半期報告書-第58期(2024/04/01-2025/03/31)
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当中間連結会計期間における世界経済の成長見通しは、積極的な政府支出と家計消費、労働市場参加率の上昇を中心とした供給能力の拡大を背景として、2024年3月期同様のペースの成長が続くと見込んでおります。一方で、サービス価格の上昇がディスインフレの進展を妨げており、依然としてインフレの上振れのリスクがあると見込んでおります。
医療面におきましては、世界的な高齢化社会の中で、社会保障費の適正化と医療機能の分散が進み、予防やセルフメディケーションが重要になる一方、医療格差や医療アクセスの問題は今後も継続すると想定しております。また、遺伝子解析、超高感度測定、小型化等の技術革新と医療への実装が進展すると共に、個別化医療へのニーズは増加、再生細胞医療や遺伝子治療等新たな治療法が実用化され始めております。加えて、AIの普及をはじめ医療分野のDXは加速し、ロボット技術の実装・用途拡大も進展する予測であり、更なる成長機会が見込まれております。
このような状況のもと、当社はインドにおけるグループ初の試薬・機器双方の生産機能を備える新たな生産拠点の建設を完了いたしました。この新生産拠点は、当社グループの海外生産拠点では最大の延べ床面積を持ち、試薬生産品目を大幅に拡大することに加え、Make in India 政策に対応した機器製品の生産機能を有しております。これにより、旺盛な検査需要に対する供給力を強化し、インドにおける事業展開の加速と成長持続を目指しております。今後は、本格稼働に向けた準備を進め、試薬製品・機器製品共に2025年3月期中の出荷開始を計画しております。
加えて、当社は、QIAGEN N.V.(以下、キアゲン)と、遺伝子検査領域における研究・開発、生産、臨床開発、販売等多面的な協業の強化に合意し、グローバルアライアンス契約を締結いたしました。本契約の締結により両社が協業を更に深化させ、遺伝子検査領域における製品の市場展開を、それぞれが強みを有する地域で協力することで、両社のグローバルな成功を加速させ、将来的には製品開発における協業も視野に入れております。また、その協業の第一弾として、キアゲンが製薬企業並びに研究機関向けに展開する臨床試験検体測定を、当社のグローバルラボ(Sysmex Inostics, Inc. のCLIA認定ラボ※1、シスメックス研究開発センター及び株式会社理研ジェネシス)で受託測定し、キアゲンのグローバルサービスをサポートすることで合意いたしました。協業の拡大により、価値の高い両社の製品をいち早くグローバルのお客様にお届けすることを目指してまいります。
最後に、当社は、血小板第4因子とヘパリンの複合体に対するIgG抗体を測定する「HISCL™ HIT IgG試薬」を2024年9月27日より国内市場から発売いたしました。本製品は、HISCL™ シリーズ※2の技術を採用した全自動血液凝固測定装置 CN™-6500/CN™-3500用の検査試薬であり、ヘパリン起因性血小板減少症(以下、HIT)※3の血清学的検査において求められる高感度、更には高特異度を実現しております。高特異度を可能としたことで、ヘパリン療法の副作用判定において課題である偽陽性の低減に寄与し、HIT診断の迅速化及び検査効率の向上に貢献いたします。
※1 CLIA認定ラボ:
米国のCLIA(Clinical Laboratory Improvement Amendment; 米国臨床検査室改善法)に基づいて認定されたラボのこと。その認証を受けたラボは、定期的な査察等によって品質維持を図ることが求められ、検査における品質管理を保証するものとなります。
※2 HISCL™ シリーズ:
全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800の総称。
※3 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT):
ヘパリンの使用により血小板減少症と血栓症を発症する疾患。
<参考>地域別売上高
国内販売につきましては、ヘマトロジー分野における機器及び試薬、メディカルロボット事業における機器及び消耗品の売上が増加いたしました。その結果、国内売上高は30,323百万円(前年同期比9.6%増)となりました。
海外販売につきましては、ヘマトロジー分野における試薬及び保守サービス、血液凝固分野及び尿分野における試薬の売上が増加したことに加え、為替相場が円安に推移いたしました。その結果、海外売上高は212,156百万円(前年同期比14.7%増)、構成比87.5%(前年同期比0.5ポイント増)となりました。
また、販売費及び一般管理費につきましては、主に事業規模拡大に伴う人員増加や販売促進活動の結果、72,371百万円(前年同期比15.6%増)となりました。研究開発費につきましては、15,239百万円(前年同期比1.5%増)となりました。
この結果、当中間連結会計期間の連結業績は、売上高は242,479百万円(前年同期比14.0%増)、営業利益は44,502百万円(前年同期比31.6%増)、税引前中間利益は38,280百万円(前年同期比15.0%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は26,002百万円(前年同期比17.2%増)となりました。
セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。
① 本社統括
ヘマトロジー分野、血液凝固分野における機器及び試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は43,336百万円(前年同期比12.6%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加いたしましたが、増収、売上原価率の改善により、セグメント利益(営業利益)は27,595百万円(前年同期比32.2%増)となりました。
② 米州統括
北米では、ヘマトロジー分野、尿分野における試薬及び保守サービスの売上が増加いたしました。また、中南米では、ブラジル市場を中心に、ヘマトロジー分野の機器及び試薬、尿分野の試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は59,804百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
利益面につきましては、増収いたしましたが、販売費及び一般管理費の増加により、セグメント利益(営業利益)は3,178百万円(前年同期比36.8%減)となりました。
③ EMEA統括
サウジアラビアにおける直販化の効果も寄与し、ヘマトロジー分野における機器及び試薬の売上、血液凝固検査分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は66,482百万円(前年同期比14.3%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加いたしましたが、増収により、セグメント利益(営業利益)は6,785百万円(前年同期比46.9%増)となりました。
④ 中国統括
検査数の増加により、ヘマトロジー分野及び血液凝固分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は54,471百万円(前年同期比14.8%増)となりました。
利益面につきましては、増収、販売費及び一般管理費の減少により、セグメント利益(営業利益)は5,812百万円(前年同期比48.2%増)となりました。
⑤ AP統括
インド市場での成長も寄与し、ヘマトロジー分野における試薬及び保守サービスの売上が増加いたしました。その結果、売上高は18,384百万円(前年同期比26.5%増)となりました。
利益面につきましては、増収、売上原価率の改善により、セグメント利益(営業利益)は3,740百万円(前年同期比100.3%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて859百万円減少し、618,061百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が16,211百万円、棚卸資産が3,392百万円増加したものの、流動資産の営業債権及びその他の債権が19,468百万円減少したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて9,682百万円減少し、176,341百万円となりました。この主な要因は、長期借入金が2,969百万円増加したものの、営業債務及びその他の債務が6,237百万円、非流動負債のリース負債が2,335百万円、未払賞与が2,147百万円減少したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて8,822百万円増加し、441,720百万円となりました。この主な要因は、その他の資本の構成要素が9,747百万円減少したものの、利益剰余金が18,635百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の69.8%から1.5ポイント増加して71.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より16,211百万円増加し、91,719百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、50,131百万円(前年同期比19,460百万円増)となりました。この主な要因は、税引前中間利益が38,280百万円(前年同期比4,980百万円増)、減価償却費及び償却費が19,191百万円(前年同期比2,115百万円増)、棚卸資産の増加額が7,414百万円(前年同期比3,797百万円増)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、23,758百万円(前年同期比256百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が11,490百万円(前年同期比938百万円増)、無形資産の取得による支出が11,845百万円(前年同期比186百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、10,532百万円(前年同期比2,276百万円減)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が8,728百万円(前年同期比59百万円減)となったこと等によるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」内の「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載について重要な変更はありません。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」内の「重要な会計方針及び見積り」の記載について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費は15,239百万円であります。
また、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当中間連結会計期間における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。
① 2024年4月 近畿大学と京都大学の研究グループは、当社との共同研究により、非小細胞肺がん※1に対するオプジーボ(一般名:ニボルマブ)をはじめとする抗PD-1抗体※2の効果を、血液中の「免疫チェックポイント関連因子※3」から予測できる可能性があることを明らかにいたしました。本研究成果は、今後、非小細胞肺がんの治療方針の検討の際に役立つものであると期待されます。
※1 非小細胞肺がん:
肺がんの8~9割を占め、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん等に分類される。
※2 抗PD-1抗体:
免疫チェックポイント阻害剤の一つ。がん細胞を攻撃するT細胞を阻害する、PD-1とPD-L1の結合を阻止する。抑えられていたT細胞の動きを亢進させ、抗腫瘍効果を発揮させる。
※3 免疫チェックポイント関連因子:
免疫応答を制御する分子のこと。持続的に抗原刺激が起こると、免疫細胞であるT細胞の膜表面に発現し、T細胞の細胞増殖能やサイトカイン産生能、細胞傷害性が低下する。
② 2024年4月 当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイドは、手術支援ロボット「hinotori™サージカルロボットシステム」の胸部外科領域(呼吸器外科)への適応について、厚生労働省より承認を取得いたしました。
③ 2024年6月 当社は、再生細胞医療における細胞培養液中の分泌タンパク質を測定する研究用試薬(「(研究用)HISCL™ VEGF試薬」、「(研究用)HISCL™ PEDF試薬」)、(以下、本製品)を国内から販売開始いたしました。本製品が、再生細胞医療の研究開発や細胞製造において使用されることで、細胞医薬品の品質管理試験の自動化・効率化に貢献することが期待されます。
④ 2024年6月 当社の子会社である株式会社理研ジェネシスは、東北大学病院との共同の成果により、結腸・直腸がんにおける治療薬の選択の補助として用いることができる体外診断用医薬品「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」の国内における製造販売承認を取得いたしました。
⑤ 2024年9月 当社は、抗アミロイドβ抗体薬の副作用リスクを予測するため、血液中のゲノムDNAからAPOE遺伝型※4を判定する検査試薬の日本における製造販売承認申請を実施いたしました。
※4 APOE遺伝型:
脂質代謝に関わるアポリポタンパク質E(ApoE)をコードする遺伝子。112番目と158番目のアミノ酸をコードする2つの一塩基置換(rs429358,rs7412)の組み合わせにより3つの遺伝型(ε2,ε3,ε4)が規定される。
⑥ 2024年9月 当社は、血小板第4因子とヘパリンの複合体に対するIgG抗体を測定する「HISCL™ HIT IgG試薬」(以下、本製品)を国内市場から発売いたしました。本製品は、HISCL™シリーズ※5の技術を採用した全自動血液凝固測定装置CN™-6500/CN™-3500用の検査試薬であり、ヘパリン起因性血小板減少症(以下、HIT)※6の血清学的検査において求められる高感度、更には高特異度を実現します。高特異度を可能としたことで、ヘパリン療法の副作用判定において課題である偽陽性の低減に寄与し、HIT診断の迅速化及び検査効率の向上に貢献します。
※5 HISCLシリーズ:
全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800の総称
※6 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT):
ヘパリンの使用により血小板減少症と血栓症を発症する疾患のこと。
(1) 経営成績の分析
当中間連結会計期間における世界経済の成長見通しは、積極的な政府支出と家計消費、労働市場参加率の上昇を中心とした供給能力の拡大を背景として、2024年3月期同様のペースの成長が続くと見込んでおります。一方で、サービス価格の上昇がディスインフレの進展を妨げており、依然としてインフレの上振れのリスクがあると見込んでおります。
医療面におきましては、世界的な高齢化社会の中で、社会保障費の適正化と医療機能の分散が進み、予防やセルフメディケーションが重要になる一方、医療格差や医療アクセスの問題は今後も継続すると想定しております。また、遺伝子解析、超高感度測定、小型化等の技術革新と医療への実装が進展すると共に、個別化医療へのニーズは増加、再生細胞医療や遺伝子治療等新たな治療法が実用化され始めております。加えて、AIの普及をはじめ医療分野のDXは加速し、ロボット技術の実装・用途拡大も進展する予測であり、更なる成長機会が見込まれております。
このような状況のもと、当社はインドにおけるグループ初の試薬・機器双方の生産機能を備える新たな生産拠点の建設を完了いたしました。この新生産拠点は、当社グループの海外生産拠点では最大の延べ床面積を持ち、試薬生産品目を大幅に拡大することに加え、Make in India 政策に対応した機器製品の生産機能を有しております。これにより、旺盛な検査需要に対する供給力を強化し、インドにおける事業展開の加速と成長持続を目指しております。今後は、本格稼働に向けた準備を進め、試薬製品・機器製品共に2025年3月期中の出荷開始を計画しております。
加えて、当社は、QIAGEN N.V.(以下、キアゲン)と、遺伝子検査領域における研究・開発、生産、臨床開発、販売等多面的な協業の強化に合意し、グローバルアライアンス契約を締結いたしました。本契約の締結により両社が協業を更に深化させ、遺伝子検査領域における製品の市場展開を、それぞれが強みを有する地域で協力することで、両社のグローバルな成功を加速させ、将来的には製品開発における協業も視野に入れております。また、その協業の第一弾として、キアゲンが製薬企業並びに研究機関向けに展開する臨床試験検体測定を、当社のグローバルラボ(Sysmex Inostics, Inc. のCLIA認定ラボ※1、シスメックス研究開発センター及び株式会社理研ジェネシス)で受託測定し、キアゲンのグローバルサービスをサポートすることで合意いたしました。協業の拡大により、価値の高い両社の製品をいち早くグローバルのお客様にお届けすることを目指してまいります。
最後に、当社は、血小板第4因子とヘパリンの複合体に対するIgG抗体を測定する「HISCL™ HIT IgG試薬」を2024年9月27日より国内市場から発売いたしました。本製品は、HISCL™ シリーズ※2の技術を採用した全自動血液凝固測定装置 CN™-6500/CN™-3500用の検査試薬であり、ヘパリン起因性血小板減少症(以下、HIT)※3の血清学的検査において求められる高感度、更には高特異度を実現しております。高特異度を可能としたことで、ヘパリン療法の副作用判定において課題である偽陽性の低減に寄与し、HIT診断の迅速化及び検査効率の向上に貢献いたします。
※1 CLIA認定ラボ:
米国のCLIA(Clinical Laboratory Improvement Amendment; 米国臨床検査室改善法)に基づいて認定されたラボのこと。その認証を受けたラボは、定期的な査察等によって品質維持を図ることが求められ、検査における品質管理を保証するものとなります。
※2 HISCL™ シリーズ:
全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800の総称。
※3 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT):
ヘパリンの使用により血小板減少症と血栓症を発症する疾患。
<参考>地域別売上高
前中間連結会計期間 | 当中間連結会計期間 | 前年同期比 (%) | ||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | |||
国内 | 27,668 | 13.0 | 30,323 | 12.5 | 109.6 | |
米州 | 57,209 | 26.9 | 63,745 | 26.3 | 111.4 | |
EMEA | 59,593 | 28.0 | 69,121 | 28.5 | 116.0 | |
中国 | 47,514 | 22.4 | 54,540 | 22.5 | 114.8 | |
アジア・パシフィック | 20,712 | 9.7 | 24,748 | 10.2 | 119.5 | |
海外計 | 185,030 | 87.0 | 212,156 | 87.5 | 114.7 | |
合計 | 212,698 | 100.0 | 242,479 | 100.0 | 114.0 |
国内販売につきましては、ヘマトロジー分野における機器及び試薬、メディカルロボット事業における機器及び消耗品の売上が増加いたしました。その結果、国内売上高は30,323百万円(前年同期比9.6%増)となりました。
海外販売につきましては、ヘマトロジー分野における試薬及び保守サービス、血液凝固分野及び尿分野における試薬の売上が増加したことに加え、為替相場が円安に推移いたしました。その結果、海外売上高は212,156百万円(前年同期比14.7%増)、構成比87.5%(前年同期比0.5ポイント増)となりました。
また、販売費及び一般管理費につきましては、主に事業規模拡大に伴う人員増加や販売促進活動の結果、72,371百万円(前年同期比15.6%増)となりました。研究開発費につきましては、15,239百万円(前年同期比1.5%増)となりました。
この結果、当中間連結会計期間の連結業績は、売上高は242,479百万円(前年同期比14.0%増)、営業利益は44,502百万円(前年同期比31.6%増)、税引前中間利益は38,280百万円(前年同期比15.0%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は26,002百万円(前年同期比17.2%増)となりました。
セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。
① 本社統括
ヘマトロジー分野、血液凝固分野における機器及び試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は43,336百万円(前年同期比12.6%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加いたしましたが、増収、売上原価率の改善により、セグメント利益(営業利益)は27,595百万円(前年同期比32.2%増)となりました。
② 米州統括
北米では、ヘマトロジー分野、尿分野における試薬及び保守サービスの売上が増加いたしました。また、中南米では、ブラジル市場を中心に、ヘマトロジー分野の機器及び試薬、尿分野の試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は59,804百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
利益面につきましては、増収いたしましたが、販売費及び一般管理費の増加により、セグメント利益(営業利益)は3,178百万円(前年同期比36.8%減)となりました。
③ EMEA統括
サウジアラビアにおける直販化の効果も寄与し、ヘマトロジー分野における機器及び試薬の売上、血液凝固検査分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は66,482百万円(前年同期比14.3%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加いたしましたが、増収により、セグメント利益(営業利益)は6,785百万円(前年同期比46.9%増)となりました。
④ 中国統括
検査数の増加により、ヘマトロジー分野及び血液凝固分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は54,471百万円(前年同期比14.8%増)となりました。
利益面につきましては、増収、販売費及び一般管理費の減少により、セグメント利益(営業利益)は5,812百万円(前年同期比48.2%増)となりました。
⑤ AP統括
インド市場での成長も寄与し、ヘマトロジー分野における試薬及び保守サービスの売上が増加いたしました。その結果、売上高は18,384百万円(前年同期比26.5%増)となりました。
利益面につきましては、増収、売上原価率の改善により、セグメント利益(営業利益)は3,740百万円(前年同期比100.3%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて859百万円減少し、618,061百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が16,211百万円、棚卸資産が3,392百万円増加したものの、流動資産の営業債権及びその他の債権が19,468百万円減少したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて9,682百万円減少し、176,341百万円となりました。この主な要因は、長期借入金が2,969百万円増加したものの、営業債務及びその他の債務が6,237百万円、非流動負債のリース負債が2,335百万円、未払賞与が2,147百万円減少したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて8,822百万円増加し、441,720百万円となりました。この主な要因は、その他の資本の構成要素が9,747百万円減少したものの、利益剰余金が18,635百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の69.8%から1.5ポイント増加して71.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より16,211百万円増加し、91,719百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、50,131百万円(前年同期比19,460百万円増)となりました。この主な要因は、税引前中間利益が38,280百万円(前年同期比4,980百万円増)、減価償却費及び償却費が19,191百万円(前年同期比2,115百万円増)、棚卸資産の増加額が7,414百万円(前年同期比3,797百万円増)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、23,758百万円(前年同期比256百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が11,490百万円(前年同期比938百万円増)、無形資産の取得による支出が11,845百万円(前年同期比186百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、10,532百万円(前年同期比2,276百万円減)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が8,728百万円(前年同期比59百万円減)となったこと等によるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」内の「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載について重要な変更はありません。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」内の「重要な会計方針及び見積り」の記載について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費は15,239百万円であります。
また、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当中間連結会計期間における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。
① 2024年4月 近畿大学と京都大学の研究グループは、当社との共同研究により、非小細胞肺がん※1に対するオプジーボ(一般名:ニボルマブ)をはじめとする抗PD-1抗体※2の効果を、血液中の「免疫チェックポイント関連因子※3」から予測できる可能性があることを明らかにいたしました。本研究成果は、今後、非小細胞肺がんの治療方針の検討の際に役立つものであると期待されます。
※1 非小細胞肺がん:
肺がんの8~9割を占め、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん等に分類される。
※2 抗PD-1抗体:
免疫チェックポイント阻害剤の一つ。がん細胞を攻撃するT細胞を阻害する、PD-1とPD-L1の結合を阻止する。抑えられていたT細胞の動きを亢進させ、抗腫瘍効果を発揮させる。
※3 免疫チェックポイント関連因子:
免疫応答を制御する分子のこと。持続的に抗原刺激が起こると、免疫細胞であるT細胞の膜表面に発現し、T細胞の細胞増殖能やサイトカイン産生能、細胞傷害性が低下する。
② 2024年4月 当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイドは、手術支援ロボット「hinotori™サージカルロボットシステム」の胸部外科領域(呼吸器外科)への適応について、厚生労働省より承認を取得いたしました。
③ 2024年6月 当社は、再生細胞医療における細胞培養液中の分泌タンパク質を測定する研究用試薬(「(研究用)HISCL™ VEGF試薬」、「(研究用)HISCL™ PEDF試薬」)、(以下、本製品)を国内から販売開始いたしました。本製品が、再生細胞医療の研究開発や細胞製造において使用されることで、細胞医薬品の品質管理試験の自動化・効率化に貢献することが期待されます。
④ 2024年6月 当社の子会社である株式会社理研ジェネシスは、東北大学病院との共同の成果により、結腸・直腸がんにおける治療薬の選択の補助として用いることができる体外診断用医薬品「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」の国内における製造販売承認を取得いたしました。
⑤ 2024年9月 当社は、抗アミロイドβ抗体薬の副作用リスクを予測するため、血液中のゲノムDNAからAPOE遺伝型※4を判定する検査試薬の日本における製造販売承認申請を実施いたしました。
※4 APOE遺伝型:
脂質代謝に関わるアポリポタンパク質E(ApoE)をコードする遺伝子。112番目と158番目のアミノ酸をコードする2つの一塩基置換(rs429358,rs7412)の組み合わせにより3つの遺伝型(ε2,ε3,ε4)が規定される。
⑥ 2024年9月 当社は、血小板第4因子とヘパリンの複合体に対するIgG抗体を測定する「HISCL™ HIT IgG試薬」(以下、本製品)を国内市場から発売いたしました。本製品は、HISCL™シリーズ※5の技術を採用した全自動血液凝固測定装置CN™-6500/CN™-3500用の検査試薬であり、ヘパリン起因性血小板減少症(以下、HIT)※6の血清学的検査において求められる高感度、更には高特異度を実現します。高特異度を可能としたことで、ヘパリン療法の副作用判定において課題である偽陽性の低減に寄与し、HIT診断の迅速化及び検査効率の向上に貢献します。
※5 HISCLシリーズ:
全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800の総称
※6 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT):
ヘパリンの使用により血小板減少症と血栓症を発症する疾患のこと。