四半期報告書-第52期第2四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

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2018/11/13 11:52
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14項目
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業の設備投資や個人消費が底堅く推移し、緩やかな回復が継続しております。海外経済は、全体として緩やかに回復を続けていますが、米国の通商政策による貿易摩擦、欧州における各国財政政策の動向、中国における景気減速懸念に加え、中東情勢の混乱など先行きに不透明感が生じております。
医療面におきましては、国内では、世界一の長寿社会を迎え、医療技術の発展による健康寿命延長への貢献が引き続き期待されており、同時にヘルスケア関連市場の継続的拡大が見込まれております。米国では、無保険者の解消のために導入された医療保険制度改革法の見直しが長期化しておりますが、影響は限定的であります。中国では、医療費抑制の政策を進めるものの、国家戦略を背景とした医療関連需要は底堅く推移しております。また、遺伝子解析技術が医療面でも応用されることにより、新たな領域が広がりつつあります。
このような状況の下、当社は、研究開発の中核拠点テクノパークに隣接する西神工業団地(神戸市西区)に、血液凝固検査分野、免疫検査分野、ライフサイエンス分野などの事業強化に向け、タンパク質などに最新のバイオテクノロジーを駆使した診断薬(以下、バイオ診断薬)の製品競争力向上及び安定供給を目的に、バイオ診断薬の研究開発、原料調達、生産から物流までを一貫して行うバイオ診断薬センターの建設を進めております。なお、本センターは、2019年4月より稼働予定です。
また、北米(米国・カナダ)の事業拡大に伴い、お客様向け及び自社技術スタッフ向けのトレーニング機能を1カ所に集約し、拡張した新たなサポート拠点を2018年7月、米国に開設しました。従来の3倍以上となる7つのバーチャルトレーニング専用スタジオを備えた本施設の設置により、より多くのお客様に、安心して当社製品をお使いいただけるよう迅速かつ効率的なトレーニングサービスをお届けします。
加えて、競争が激化する中国市場において、血球計数検査分野でのさらなるシェア及び事業の拡大を目指し、「多項目自動血球分析装置 XSシリーズ」の中国市場向け製品「XS-500ix」を2018年9月に発売しました。当製品は、国内の機器生産で培った高品質・高生産効率を実現する仕組みを踏襲しつつ、市場の特性に合わせた製品を供給するため、中国済南工場(中国山東省済南市)で生産を行います。今後も、お客様のニーズや市場の特性に合わせて、各地域に最適化された体制整備や製品・サービスのラインアップ拡充により検査の標準化・効率化を加速し、医療の発展に貢献します。
<参考>地域別売上高
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
国内21,15616.120,93715.499.0
米州30,18023.031,41323.1104.1
EMEA34,21026.136,00426.4105.2
中国34,07926.036,23026.6106.3
アジア・パシフィック11,4808.811,6088.5101.1
海外計109,95183.9115,25784.6104.8
合計131,107100.0136,194100.0103.9

国内販売につきましては、主に血球計数検査分野、免疫検査分野及びライフサイエンス分野を中心に試薬の売上が伸長しましたが、シスメックス・ビオメリュー社の合弁契約の解消に伴い売上が減少いたしました。その結果、国内売上高は20,937百万円(前年同期比1.0%減)となりました。
海外販売につきましては、主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、血球計数検査分野、血液凝固検査分野及びライフサイエンス分野において試薬の売上が伸長しました。その結果、海外売上高は115,257百万円(前年同期比4.8%増)、構成比84.6%(前年同期比0.7ポイント増)となりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は136,194百万円(前年同期比3.9%増)、営業利益は28,503百万円(前年同期比1.8%増)、税引前四半期利益は26,411百万円(前年同期比4.1%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は19,473百万円(前年同期比1.5%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
① 日本
国内において、主に血球計数検査分野、免疫検査分野及びライフサイエンス分野を中心に試薬の売上が伸長しましたが、シスメックス・ビオメリュー社の合弁契約の解消に伴い売上が減少したこと等により、売上高は22,281百万円(前年同期比0.1%減)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費を抑制したものの、研究開発費が増加したこと等により、セグメント利益(営業利益)は17,546百万円(前年同期比9.3%減)となりました。
② 米州
北米では、主に血球計数検査分野において試薬及び保守サービスの売上が増加したこと、また血液凝固検査分野において機器の売上が増加したこと等により、増収となりました。中南米では、主に血球計数検査分野において機器の売上が減少したこと等により、減収となりました。その結果、米州全体での売上高は29,254百万円(前年同期比2.2%増)となりました。
利益面につきましては、グループ間の商標ロイヤリティー支払の増加、販売費及び一般管理費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は1,525百万円(前年同期比47.8%減)となりました。
③ EMEA
主に血球計数検査分野において機器及び試薬の売上が伸長したことに加え、ライフサイエンス分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は37,001百万円(前年同期比6.6%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収や売上原価率の改善による売上総利益の増加により、セグメント利益(営業利益)は3,133百万円(前年同期比12.5%増)となりました。
④ 中国
主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、いずれも試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は36,174百万円(前年同期比6.2%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収や売上原価率の改善による売上総利益の増加により、セグメント利益(営業利益)は5,545百万円(前年同期比50.6%増)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
東南アジアでは、前年同期にインド及びバングラデシュで政府入札案件の販売があったことによる反動のため減収となりましたが、台湾及び韓国において血球球計数検査分野を中心に、売上が伸長したこと等により、売上高は11,482百万円(前年同期比0.6%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、売上原価率の改善による売上総利益の増加等により、セグメント利益(営業利益)は1,463百万円(前年同期比27.8%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて3,497百万円増加し、325,476百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が10,600百万円、営業債権及びその他の債権(流動資産)が2,604百万円それぞれ減少しましたが、その他の短期金融資産が7,834百万円、有形固定資産が4,523百万円、棚卸資産が2,412百万円、無形資産が1,101百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて9,598百万円減少し、70,938百万円となりました。この主な要因は、営業債務及びその他の債務が4,018百万円、未払法人所得税が1,913百万円、未払費用が1,336百万円、未払賞与が1,186百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて13,095百万円増加し、254,538百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が11,722百万円増加したこと、その他の資本の構成要素が1,123百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の74.8%から3.2ポイント増加して78.0%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より10,600百万円減少し、50,844百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、19,426百万円(前年同期比4,211百万円減)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が26,411百万円(前年同期比1,137百万円減)、減価償却費及び償却費が7,620百万円(前年同期比477百万円増)、営業債権の減少額が3,014百万円(前年同期は890百万円の増加)、棚卸資産の増加額が1,870百万円(前年同期比2,995百万円減)、営業債務の減少額が2,920百万円(前年同期は3,218百万円の増加)、未払金の減少額が1,500百万円(前年同期比633百万円増)、法人所得税の支払額が9,341百万円(前年同期比4,031百万円増)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、22,729百万円(前年同期比983百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が9,425百万円(前年同期比3,862百万円増)、無形資産の取得による支出が4,062百万円(前年同期比731百万円減)、資本性金融商品の取得による支出が1,007百万円(前年同期比707百万円減)、定期預金の預入による支出が7,565百万円(前年同期比7,544百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、7,253百万円(前年同期比1,142百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が7,506百万円(前年同期比1,261百万円増)となったこと等によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は8,763百万円であります。
また、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当第2四半期連結累計期間における、主な研究開発活動の状況は次のとおりであります。
① 2018年4月 当社と国立研究開発法人国立がん研究センター(以下、国立がん研究センター)が共同で開発を進めてきた“がん関連遺伝子パネル※1検査システム”を用いて行う“個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査”が、先進医療※2として承認されたとともに、本検査を国立がん研究センターにて開始いたしました。
※1 がん関連遺伝子パネル:
がんの診療上重要な複数の遺伝子の変異、増幅や融合を同時に解析できる診断薬のこと。NCCオンコパネルは、国立がん研究センターが中心となり開発された遺伝子パネルであり、日本人に特徴的な遺伝子変異を適切に診断できるように設計されている。
※2 先進医療:
未だ保険診療の対象に至らない医療技術のうち、厚生労働大臣の承認を受けたものを指す。2004年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構)、行政改革担当、構造改革特区・地域再生担当との「基本的合意」に基づき、国民の安全性を確保し、患者様の負担増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとしたもの。
② 2018年4月 当社とイミュニティリサーチ株式会社は、イミュニティリサーチ株式会社が独占的通常実施権を有する「免疫チェックポイント阻害剤の効果を事前に血液検査で予測する方法に関する特許」について、当社への再実施権を許諾する契約を締結いたしました。当社は、本特許に基づいた診断技術を開発し、免疫チェックポイント阻害剤における効果予測の実現を目指します。
③ 2018年5月 当社が独自に開発したOSNA™法※3を用いて、がんのリンパ節転移を迅速に検出するがんリンパ節転移検査システムの新製品「遺伝子増幅検出装置 RD-200」及び遺伝子増幅検出試薬「リノアンプ™CK19」を国内で発売を開始することを発表いたしました。
※3 OSNA™法:
当社が開発した直接遺伝子増幅法(One-Step Nucleic Acid Amplification)。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。
④ 2018年6月 当社、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構※4及び国立大学法人京都大学は、神戸医療産業都市推進機構が進める「創薬イノベーションプログラム※5—免疫関連疾患の診断技術の開発—」に関する共同研究を開始いたしました。3者は、共同研究を通じて、自己免疫疾患※6や慢性炎症性疾患の早期発見などを可能とする診断システムの創出を目指します。
※4 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構:
神戸医療産業都市の中核的支援機関として、産官学医の連携・融合を促進する総合調整機能を担うとともに、先端医療の実現に資する研究開発及び臨床応用の支援、次世代の医療システムの構築を通じて、革新的医療技術の創出と医療関連産業の集積形成に寄与することが基本的なミッション。2018年4月より「公益財団法人先端医療振興財団」から、「公益財団法人神戸医療産業都市推進機構」と名称を変更。
※5 創薬イノベーションプログラム:
神戸医療産業都市に集積する研究機関や基盤施設などの研究開発機能を結集・連携させたプログラムを国内外の製薬会社などへ提案し、神戸医療産業都市推進機構との共同研究体制により、創薬の開発に必要な研究者、設備、臨床開発などの研究環境を一元的に提供。
※6 自己免疫疾患:
本来、外部から体内へ侵入した異物を認識し排除する役割を持つ免疫細胞が、自身の体内に存在する物質を攻撃することで生じる疾患の総称。
⑤ 2018年8月 当社は免疫検査分野の全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/2000i/800で使用可能な細菌性敗血症の主要検査項目プレセプシンの測定試薬「HISCL™ プレセプシン試薬」を発売いたしました。従来の敗血症バイオマーカーと比較し、より早期かつ高精度な診断を補助するプレセプシンの測定試薬を試薬ラインアップに加えることにより、細菌性敗血症の早期診断への貢献を目指します。
⑥ 2018年8月 当社と凸版印刷株式会社、株式会社理研ジェネシスは、がん組織内の遺伝子変異を検出する検査を全自動化する「研究用遺伝子測定装置LW-100」及び関連試薬群を共同で開発いたしました。3者は、本システムの研究用としての提供を開始し、臨床用途での早期実用化に向けて、本システムの臨床的有用性の検証を積極的に進め、がん組織標本を用いた遺伝子検査の標準化を目指します。