四半期報告書-第53期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、製造業においては、貿易摩擦をはじめとする海外情勢の不透明感や円高による収益悪化や景況感の低下が見られるものの、雇用及び所得環境は緩やかに改善を続け、企業投資も老朽化設備の更新や人手不足を背景とした合理化・省力化投資などにより、底堅く推移しております。海外経済は、米中の貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱問題に加え、中東における地政学的な緊張の高まりもあり、先行きへの警戒感が強まっております。
医療面におきましては、国内では、医療及びヘルスケア分野は高齢化や健康・医療ニーズの多様化を背景に需要期待が高まっております。政府も成長戦略の一つと位置付けており、医療関連産業の活性化は引き続き今後も見込まれております。海外においては、先進国の高齢化進展、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大、医療水準の質・サービスの向上が進み、医療の効率化、人工知能(AI)、情報通信技術(ICT)などの最新技術を取り込んだ構造的な変革が見られます。
このような状況の下、エーザイ株式会社と共同開発している血液を用いたアルツハイマー病診断法の創出に関して、第12回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)にて学術報告を行いました。CTADでは、当社のタンパク測定プラットフォームである全自動免疫測定装置HISCL™シリーズを用いて測定した血漿中のアミロイドベータ(Aβ)から、脳内アミロイド病理を把握できる可能性が示唆されたことを発表しました。これにより、現在、脳内アミロイド病理の把握方法として用いられているアミロイドPETや脳脊髄液を用いたAβ測定と比較し、患者さんの検査機会が増加するとともに、金銭的、身体的な負担を軽減することが期待されます。当社とエーザイ株式会社は、引き続き認知症の予防及び治療に対する新しい診断技術の創造に取り組んでまいります。
また、2018年12月に製造販売承認を取得した血液がんの遺伝子検査キット(ipsogen JAK2 DX試薬)が2020年1月に保険適用を受け、販売を開始いたしました。本製品は血液のがんと言われる造血器腫瘍性疾患のうち、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)及び原発性骨髄線維症(PMF)の診断に有用なJAK2V617F遺伝子変異※の量を測定する遺伝子検査キットであります。これまで、PV、ET及びPMFの患者さんに多くみられるJAK2V617F遺伝子変異を確認する体外診断用医薬品は国内には存在せず、医師が国際基準に基づく適切な診断を行うための体外診断用医薬品の登場が期待されておりました。当社は今後も、患者さんの検査機会の拡大及び診断価値の高い検査・診断技術の創出に向けて取り組むことで、個別化医療の発展と進化に貢献してまいります。
※ JAK2V617F遺伝子変異:
JAK2とは、チロシンキナーゼJAK2たんぱく質のことで、血液細胞の増殖や分化を調節するシグナルの伝達を行っている。このJAK2の617番のバリンというアミノ酸が、フェニルアラニンに置き換わる異常のこと。
<参考>地域別売上高
国内販売につきましては、主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器及び試薬の売上が増加しました。その結果、国内売上高は33,995百万円(前年同期比6.8%増)となりました。
海外販売につきましては、主に血液凝固検査分野において試薬の売上は減少したものの、血球計数検査分野、尿検査分野及び免疫検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。その結果、当社グループの海外売上高は184,167百万円(前年同期比4.3%増)、構成比84.4%(前年同期比0.3ポイント減)となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は218,162百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は40,420百万円(前年同期比5.0%減)、税引前四半期利益は37,224百万円(前年同期比6.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は26,496百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
① 日本
主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器及び試薬の売上が増加したことにより、売上高は36,695百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
利益面につきましては、増収による売上総利益の増加があったものの、販売費及び一般管理費や研究開発費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は26,408百万円(前年同期比5.9%減)となりました。
② 米州
主に血液凝固検査分野において機器の売上が減少したものの、血球計数検査分野において機器及び試薬の売上が増加したこと等により、売上高は47,014百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
利益面につきましては、増収による売上総利益の増加があったものの、販売費及び一般管理費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は1,667百万円(前年同期比33.7%減)となりました。
③ EMEA
主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は58,193百万円(前年同期比2.5%増)となりました。
利益面につきましては、増収による売上総利益の増加及び販売費及び一般管理費の削減等により、セグメント利益(営業利益)は6,338百万円(前年同期比34.7%増)となりました。
④ 中国
主に血液凝固検査分野において試薬の売上及び血球計数検査分野において機器の売上が減少しましたが、血液凝固検査分野における機器の売上の増加及び血球計数検査分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は56,532百万円(前年同期比3.3%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が減少しましたが、売上原価率の悪化による売上総利益の減少等により、セグメント利益(営業利益)は4,275百万円(前年同期比38.8%減)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
主に血球計数検査分野において機器及び試薬の売上が増加したこと等により、売上高は19,727百万円(前年同期比12.2%増)となりました。
利益面につきましては、売上原価率の悪化や販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収による売上総利益の増加等により、セグメント利益(営業利益)は3,079百万円(前年同期比34.0%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて27,593百万円増加し、374,368百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産が20,398百万円増加、棚卸資産が11,178百万円増加、その他の短期金融資産が7,091百万円減少したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて18,280百万円増加し、99,873百万円となりました。この主な要因は、リース負債(非流動)が17,083百万円増加、リース負債(流動)が5,542百万円増加、未払賞与が2,118百万円減少したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて9,312百万円増加し、274,495百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が11,467百万円増加しましたが、その他の資本の構成要素が2,492百万円減少したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の76.3%から3.1ポイント減少して73.2%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より2,366百万円減少し、48,695百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、35,155百万円(前年同期比6,062百万円増)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が37,224百万円(前年同期比2,707百万円減)、減価償却費及び償却費が17,810百万円(前年同期比6,165百万円増)、棚卸資産の増加額が11,301百万円(前年同期比7,477百万円増)、営業債務の増加額が2,998百万円(前年同期は1,477百万円の減少)、未収消費税等の減少額が623百万円(前年同期は33百万円の増加)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、17,994百万円(前年同期比11,425百万円減)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が10,123百万円(前年同期比2,163百万円減)、無形資産の取得による支出が9,633百万円(前年同期比2,976百万円増)、資本性金融商品の取得による支出が3,522百万円(前年同期比1,507百万円増)、定期預金の払戻による収入が7,223百万円(前年同期比7,223百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、19,001百万円(前年同期比4,825百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が15,028百万円(前年同期比428百万円増)、リース負債の返済による支払額が4,177百万円となったこと等によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は16,186百万円であります。
また、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当第3四半期連結累計期間における、主な研究開発活動の状況は次のとおりであります。
① 2019年4月 マラリア原虫等感染赤血球の自動測定機能を搭載した血球計数検査分野の新製品「Automated Hematology Analyzer XN-31」が、欧州IVD指令に適合してCEマーク※1を取得いたしました。今後、本製品を欧州で発売すると共に、アフリカ・アジアにおいても各国許認可を取得次第順次発売予定であります。
※1 CEマーク:
欧州経済地域内で販売される特定の製品に対して、取得が義務付けられている基準適合マーク。
② 2019年5月 当社と国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)は、当社が有する診断技術と大阪大学が有する情報科学分野における知見を活用したヘルスケア分野における新たなイノベーション創出に向け、包括連携契約を締結いたしました。
③ 2019年6月 2018年12月25日に製造販売承認を取得した「遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」が、がんゲノムプロファイリング検査用システムとして、日本で初めて保険適用を受けました。
④ 2019年8月 RAS遺伝子変異検出キット「OncoBEAM™※2 RAS CRCキット」について、国内での製造販売承認を取得いたしました。リキッドバイオプシーによる大腸がんのRAS遺伝子変異検査に用いる体外診断用医薬品としては国内初となります。
※2 OncoBEAM™:
Johns Hopkins大学が開発したBEAMing技術によって血中の微量遺伝子変異を検出する当社の技術名称。
⑤ 2019年8月 当社はフローサイトメトリー(FCM)を用いて白血病や悪性リンパ腫診断の詳細解析などを行うクリニカルFCM検査の市場において、その検体の前処理を自動で行う「Sample Preparation System PS-10」を北米市場で発売いたしました。
⑥ 2019年9月 当社は臨床検査室の品質と能力に関する要求事項を定めた国際規格ISO 15189※3に基づいた臨床検査室の運営を支援するアプリケーションである「検査品質マネジメント運用支援システム Caresphere™ QM」)を発売いたしました。
※3 ISO 15189:
臨床検査に特化した品質マネジメントシステムのISO規格。
⑦ 2019年9月 当社と国立大学法人京都大学(以下、京都大学)は、当社と京都大学 高等研究院 本庶 佑特別教授が、2013年から共同で研究開発を行ってきた、可溶性免疫チェックポイント分子(sPD-1、sPD-L1、sCTLA-4)の全自動測定法を構築いたしました。
⑧ 2019年10月 当社と国立大学法人神戸大学、神戸市及び公益財団法人神戸医療産業都市推進機構は、臨床情報が紐づいた生体試料(バイオリソース)の活用促進を目的に、産官学連携による一般社団法人 BioResource Innovation Hub in Kobeを設立いたしました。
⑨ 2019年11月 当社と株式会社オプティムは、デジタル医療の事業化を加速することを目的に、合弁会社の設立を目指すことに基本合意いたしました。
⑩ 2019年12月 当社とエーザイ株式会社は、米国で開催された第12回アルツハイマー病臨床試験会議(Clinical Trials on Alzheimer's Disease)において、血漿中の脳由来アミロイドベータから、脳内アミロイド病理を把握できる可能性が示唆されたことを、当社が代表して発表いたしました。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、製造業においては、貿易摩擦をはじめとする海外情勢の不透明感や円高による収益悪化や景況感の低下が見られるものの、雇用及び所得環境は緩やかに改善を続け、企業投資も老朽化設備の更新や人手不足を背景とした合理化・省力化投資などにより、底堅く推移しております。海外経済は、米中の貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱問題に加え、中東における地政学的な緊張の高まりもあり、先行きへの警戒感が強まっております。
医療面におきましては、国内では、医療及びヘルスケア分野は高齢化や健康・医療ニーズの多様化を背景に需要期待が高まっております。政府も成長戦略の一つと位置付けており、医療関連産業の活性化は引き続き今後も見込まれております。海外においては、先進国の高齢化進展、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大、医療水準の質・サービスの向上が進み、医療の効率化、人工知能(AI)、情報通信技術(ICT)などの最新技術を取り込んだ構造的な変革が見られます。
このような状況の下、エーザイ株式会社と共同開発している血液を用いたアルツハイマー病診断法の創出に関して、第12回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)にて学術報告を行いました。CTADでは、当社のタンパク測定プラットフォームである全自動免疫測定装置HISCL™シリーズを用いて測定した血漿中のアミロイドベータ(Aβ)から、脳内アミロイド病理を把握できる可能性が示唆されたことを発表しました。これにより、現在、脳内アミロイド病理の把握方法として用いられているアミロイドPETや脳脊髄液を用いたAβ測定と比較し、患者さんの検査機会が増加するとともに、金銭的、身体的な負担を軽減することが期待されます。当社とエーザイ株式会社は、引き続き認知症の予防及び治療に対する新しい診断技術の創造に取り組んでまいります。
また、2018年12月に製造販売承認を取得した血液がんの遺伝子検査キット(ipsogen JAK2 DX試薬)が2020年1月に保険適用を受け、販売を開始いたしました。本製品は血液のがんと言われる造血器腫瘍性疾患のうち、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)及び原発性骨髄線維症(PMF)の診断に有用なJAK2V617F遺伝子変異※の量を測定する遺伝子検査キットであります。これまで、PV、ET及びPMFの患者さんに多くみられるJAK2V617F遺伝子変異を確認する体外診断用医薬品は国内には存在せず、医師が国際基準に基づく適切な診断を行うための体外診断用医薬品の登場が期待されておりました。当社は今後も、患者さんの検査機会の拡大及び診断価値の高い検査・診断技術の創出に向けて取り組むことで、個別化医療の発展と進化に貢献してまいります。
※ JAK2V617F遺伝子変異:
JAK2とは、チロシンキナーゼJAK2たんぱく質のことで、血液細胞の増殖や分化を調節するシグナルの伝達を行っている。このJAK2の617番のバリンというアミノ酸が、フェニルアラニンに置き換わる異常のこと。
<参考>地域別売上高
前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 前年同期比 (%) | ||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | |||
国内 | 31,824 | 15.3 | 33,995 | 15.6 | 106.8 | |
米州 | 48,771 | 23.4 | 50,672 | 23.2 | 103.9 | |
EMEA | 55,232 | 26.5 | 57,006 | 26.1 | 103.2 | |
中国 | 54,795 | 26.3 | 56,599 | 26.0 | 103.3 | |
アジア・パシフィック | 17,748 | 8.5 | 19,889 | 9.1 | 112.1 | |
海外計 | 176,548 | 84.7 | 184,167 | 84.4 | 104.3 | |
合計 | 208,372 | 100.0 | 218,162 | 100.0 | 104.7 |
国内販売につきましては、主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器及び試薬の売上が増加しました。その結果、国内売上高は33,995百万円(前年同期比6.8%増)となりました。
海外販売につきましては、主に血液凝固検査分野において試薬の売上は減少したものの、血球計数検査分野、尿検査分野及び免疫検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。その結果、当社グループの海外売上高は184,167百万円(前年同期比4.3%増)、構成比84.4%(前年同期比0.3ポイント減)となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は218,162百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は40,420百万円(前年同期比5.0%減)、税引前四半期利益は37,224百万円(前年同期比6.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は26,496百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
① 日本
主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器及び試薬の売上が増加したことにより、売上高は36,695百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
利益面につきましては、増収による売上総利益の増加があったものの、販売費及び一般管理費や研究開発費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は26,408百万円(前年同期比5.9%減)となりました。
② 米州
主に血液凝固検査分野において機器の売上が減少したものの、血球計数検査分野において機器及び試薬の売上が増加したこと等により、売上高は47,014百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
利益面につきましては、増収による売上総利益の増加があったものの、販売費及び一般管理費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は1,667百万円(前年同期比33.7%減)となりました。
③ EMEA
主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は58,193百万円(前年同期比2.5%増)となりました。
利益面につきましては、増収による売上総利益の増加及び販売費及び一般管理費の削減等により、セグメント利益(営業利益)は6,338百万円(前年同期比34.7%増)となりました。
④ 中国
主に血液凝固検査分野において試薬の売上及び血球計数検査分野において機器の売上が減少しましたが、血液凝固検査分野における機器の売上の増加及び血球計数検査分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は56,532百万円(前年同期比3.3%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が減少しましたが、売上原価率の悪化による売上総利益の減少等により、セグメント利益(営業利益)は4,275百万円(前年同期比38.8%減)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
主に血球計数検査分野において機器及び試薬の売上が増加したこと等により、売上高は19,727百万円(前年同期比12.2%増)となりました。
利益面につきましては、売上原価率の悪化や販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収による売上総利益の増加等により、セグメント利益(営業利益)は3,079百万円(前年同期比34.0%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて27,593百万円増加し、374,368百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産が20,398百万円増加、棚卸資産が11,178百万円増加、その他の短期金融資産が7,091百万円減少したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて18,280百万円増加し、99,873百万円となりました。この主な要因は、リース負債(非流動)が17,083百万円増加、リース負債(流動)が5,542百万円増加、未払賞与が2,118百万円減少したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて9,312百万円増加し、274,495百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が11,467百万円増加しましたが、その他の資本の構成要素が2,492百万円減少したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の76.3%から3.1ポイント減少して73.2%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より2,366百万円減少し、48,695百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、35,155百万円(前年同期比6,062百万円増)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が37,224百万円(前年同期比2,707百万円減)、減価償却費及び償却費が17,810百万円(前年同期比6,165百万円増)、棚卸資産の増加額が11,301百万円(前年同期比7,477百万円増)、営業債務の増加額が2,998百万円(前年同期は1,477百万円の減少)、未収消費税等の減少額が623百万円(前年同期は33百万円の増加)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、17,994百万円(前年同期比11,425百万円減)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が10,123百万円(前年同期比2,163百万円減)、無形資産の取得による支出が9,633百万円(前年同期比2,976百万円増)、資本性金融商品の取得による支出が3,522百万円(前年同期比1,507百万円増)、定期預金の払戻による収入が7,223百万円(前年同期比7,223百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、19,001百万円(前年同期比4,825百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が15,028百万円(前年同期比428百万円増)、リース負債の返済による支払額が4,177百万円となったこと等によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は16,186百万円であります。
また、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当第3四半期連結累計期間における、主な研究開発活動の状況は次のとおりであります。
① 2019年4月 マラリア原虫等感染赤血球の自動測定機能を搭載した血球計数検査分野の新製品「Automated Hematology Analyzer XN-31」が、欧州IVD指令に適合してCEマーク※1を取得いたしました。今後、本製品を欧州で発売すると共に、アフリカ・アジアにおいても各国許認可を取得次第順次発売予定であります。
※1 CEマーク:
欧州経済地域内で販売される特定の製品に対して、取得が義務付けられている基準適合マーク。
② 2019年5月 当社と国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)は、当社が有する診断技術と大阪大学が有する情報科学分野における知見を活用したヘルスケア分野における新たなイノベーション創出に向け、包括連携契約を締結いたしました。
③ 2019年6月 2018年12月25日に製造販売承認を取得した「遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」が、がんゲノムプロファイリング検査用システムとして、日本で初めて保険適用を受けました。
④ 2019年8月 RAS遺伝子変異検出キット「OncoBEAM™※2 RAS CRCキット」について、国内での製造販売承認を取得いたしました。リキッドバイオプシーによる大腸がんのRAS遺伝子変異検査に用いる体外診断用医薬品としては国内初となります。
※2 OncoBEAM™:
Johns Hopkins大学が開発したBEAMing技術によって血中の微量遺伝子変異を検出する当社の技術名称。
⑤ 2019年8月 当社はフローサイトメトリー(FCM)を用いて白血病や悪性リンパ腫診断の詳細解析などを行うクリニカルFCM検査の市場において、その検体の前処理を自動で行う「Sample Preparation System PS-10」を北米市場で発売いたしました。
⑥ 2019年9月 当社は臨床検査室の品質と能力に関する要求事項を定めた国際規格ISO 15189※3に基づいた臨床検査室の運営を支援するアプリケーションである「検査品質マネジメント運用支援システム Caresphere™ QM」)を発売いたしました。
※3 ISO 15189:
臨床検査に特化した品質マネジメントシステムのISO規格。
⑦ 2019年9月 当社と国立大学法人京都大学(以下、京都大学)は、当社と京都大学 高等研究院 本庶 佑特別教授が、2013年から共同で研究開発を行ってきた、可溶性免疫チェックポイント分子(sPD-1、sPD-L1、sCTLA-4)の全自動測定法を構築いたしました。
⑧ 2019年10月 当社と国立大学法人神戸大学、神戸市及び公益財団法人神戸医療産業都市推進機構は、臨床情報が紐づいた生体試料(バイオリソース)の活用促進を目的に、産官学連携による一般社団法人 BioResource Innovation Hub in Kobeを設立いたしました。
⑨ 2019年11月 当社と株式会社オプティムは、デジタル医療の事業化を加速することを目的に、合弁会社の設立を目指すことに基本合意いたしました。
⑩ 2019年12月 当社とエーザイ株式会社は、米国で開催された第12回アルツハイマー病臨床試験会議(Clinical Trials on Alzheimer's Disease)において、血漿中の脳由来アミロイドベータから、脳内アミロイド病理を把握できる可能性が示唆されたことを、当社が代表して発表いたしました。