有価証券報告書-第118期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 9:53
【資料】
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【項目】
144項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析したものである。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とする。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる事項」に記載しているが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えている。
① 貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上している。将来、顧客の財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性がある。
② 製品保証引当金
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い、過去の実績を基礎に翌期以降保証期間内の費用見積り額を計上している。当社グループは、製品の安全を最優先課題として、研究開発・製造から販売サービスまで最善の努力を傾けているが、実際の製品の不具合等により発生した保証費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性がある。
③ 退職給付費用
当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。
(2) 経営成績の分析
(販売状況)
当連結会計年度のグローバル全体需要は前年度比5.3%増の9,181万台となった。当社グループのグローバル販売台数は、前年度比3.7%増の562万6千台に達した。
日本国内の全体需要は前年度比2.8%増の508万台となった。当社グループの販売台数は、4月の「デイズ」、「デイズ ルークス」の販売停止を受け、前年比2.6%減の55万7千台となり、市場占有率は11.0%となった。7月には「デイズ」、「デイズ ルークス」の販売を再開し、その後に発売した「セレナ プロパイロット」「ノート e-POWER」の貢献により、年度後半の市場占有率は改善している。
中国の全体需要は前年度比13.2%増の2,688万台となった。当社グループの販売台数は「エクストレイル」、「シルフィ」、「キャシュカイ」の貢献により、135万5千台となり、市場占有率は5.0%となった。
メキシコとカナダを含む北米市場の全体需要は前年度比0.8%増の2,110万台となった。当社グループの販売台数は前年度比5.9%増の213万台となった。
米国の全体需要は前年度比0.7%減の1,749万台となった。当社グループの販売台数は「ローグ」、「アルティマ」の貢献により、前年度比4.2%増の158万1千台となり、市場占有率は9.0%となった。
欧州の全体需要は前年度から5.8%増の1,946万台となり、ロシアを除く当社グループの販売台数は「キャシュカイ」、「ナバラ」の貢献により前年度比7.2%増の68万3千台となった。一方、ロシアにおける当社グループの販売台数は前年度比19.7%減の9万3千台となった。
その他市場における当社グループの販売台数は、前年度比3.3%減の80万8千台となった。アジア・オセアニアにおける販売台数は前年度比4.5%減の34万1千台となり、中東における販売台数は前年度比5.4%減の19万8千台となり、アフリカにおける販売台数は前年度比10.7%減の8万7千台となった。一方、中南米における販売台数は全体需要の伸びを上回る前年度比6.0%増の18万2千台となった。
(業績)
① 売上高
連結売上高は前連結会計年度に対し4,695億円(3.9%)減少し、11兆7,200億円となった。主な減収要因は、海外売上高における為替の換算影響である。
② 営業利益
連結営業利益は7,422億円、売上高営業利益率は6.3%となった。前連結会計年度の営業利益に対し511億円(6.4%)の減益となった。
営業利益の減益要因は、為替相場の変動影響等によるものである。
③ 営業外損益
連結営業外損益は1,225億円の利益となり、前連結会計年度の690億円の利益に対し、535億円の増益となった。これは主に、持分法による投資利益の増加によるものである。
④ 特別損益
連結特別損益は1,005億円の利益となり、前連結会計年度の1,294億円の損失に対し、2,299億円改善した。これは主に、関係会社株式売却益の計上によるものである。
⑤ 法人税等
法人税等は2,647億円となり、前連結会計年度に比べ846億円の増加となった。
⑥ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は370億円となり、前連結会計年度に比べ80億円の増加となった。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は6,635億円となり、前連結会計年度に比べ1,397億円(26.7%)の増益となった。
⑧ 自動車事業実質有利子負債
当連結会計年度末の自動車事業における手元資金は有利子負債額を上回り、1兆6,350億円のキャッシュ・ポジションとなった。
⑨ 自動車事業フリーキャッシュ・フロー
当連結会計年度における自動車事業のフリーキャッシュ・フローは6,771億円のプラスとなった。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
1 キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により1兆3,355億円増加、投資活動により1兆3,776億円減少、財務活動により3,206億円増加した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により349億円減少し、連結範囲の変更に伴い54億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し2,490億円(25.1%)増加の1兆2,411億円となった。
営業活動
営業活動によって生み出された資金は1兆3,355億円となり、前連結会計年度の9,270億円に比べて4,085億円増加した。主として、税金等調整前当期純利益の増加、法人税等の支払額の減少及び仕入債務の増加幅の拡大による収入が増加したことによるものである。
投資活動
投資活動による支出は1兆3,776億円となり、前連結会計年度の1兆2,293億円に比べて1,483億円増加した。これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が増加したものの、投資有価証券の取得による支出が増加したことによるものである。
財務活動
財務活動によって生み出された資金は3,206億円となり、前連結会計年度の5,306億円に比べて2,100億円減少した。これは主として、社債の発行による収入が増加したものの、短期借入金の純増加額が減少したこと及び自己株式の取得による支出が増加したことによるものである。
2 財務政策
当社グループは、当社財務部にグローバルトレジャラーの機能を持たせ、全世界のグループ会社の財務活動を一括して管理している。またグローバル・キャッシュ・マネジメントにより資金効率を最大限に高める活動を行っている。
当社グループは、研究開発活動、設備投資及び金融事業に投資するために、適切な資金確保を行い、最適な流動性を保持し、健全なバランスシートを維持することを財務方針としている。
金融市場の急激な環境変化などにより、資金の流動性には注視が必要であるが、当社グループは、現金及び現金同等物に加え、世界の主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、必要とされる充分な流動性を確保していると考えている。
当社グループによる無担保資金調達に係わるコスト及びその発行の可否は、一般に当社グループに関する信用格付けによっている。現在、当社グループの信用格付けは投資適格のレベルとなっているが、これらの格付けは当社グループの債券の売買・保有を推奨するものではない。