有価証券報告書-第152期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、全体としては緩やかな景気回復が続いている一方で、米国の関税政策の行方や、中国やアジア新興国での経済の先行き等、不透明さが増している状況です。当社グループにとって重要市場であるインドにおいては内需を中心に景気は拡大しています。日本においても政府による各種政策を背景に景気は緩やかな回復を続けています。
このような状況下、当社グループは、平成27年からの5ヵ年における「中期経営計画SUZUKI NEXT 100」を策定し、「チームスズキ」、「ものづくりの強化」を中心に、社是の第一に掲げる「消費者(お客様)の立場になって価値ある製品を作ろう」の原点に立ち戻り、様々な改革を実行してまいりました。これら施策の効果もあり、3年目にあたる平成29年度は以下のとおり連結売上高で平成31年度目標の3兆7千億円を超え、営業利益率も10%と目標の7%を大きく超えることができました。
具体的な当連結会計年度の経営成績ですが、連結売上高は3兆7,572億円と前連結会計年度に比べ5,877億円(18.5%)増加しました。国内売上高は四輪車販売の増加等により1兆1,167億円と前連結会計年度に比べ792億円(7.6%)増加しました。海外売上高はインド、欧州等での四輪車や二輪車の販売増等により2兆6,405億円と前連結会計年度に比べ5,085億円(23.8%)増加しました。
連結利益の面では、営業利益は、アジア、日本、欧州での損益改善等により3,742億円と前連結会計年度に比べ1,075億円(40.3%)増加、経常利益は3,828億円と前連結会計年度に比べ961億円(33.5%)増加、親会社株主に帰属する当期純利益は2,157億円と前連結会計年度に比べ557億円(34.9%)増加しました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。
① 四輪事業
四輪事業につきましては、国内売上高は昨年度に投入した「ワゴンR」、「スイフト」に加え、12月に投入した「スペーシア」、「クロスビー」など新型車の販売貢献等により前連結会計年度を上回りました。海外売上高は、新型「ディザイア」、「スイフト」を投入したインドをはじめ、欧州等での販売増等により前連結会計年度を上回りました。この結果、四輪事業の売上高は3兆4,358億円と前連結会計年度に比べ5,402億円(18.7%)増加しました。営業利益はアジア、日本、欧州での損益改善等により3,551億円と前連結会計年度に比べ1,000億円(39.2%)増加しました。
② 二輪事業
二輪事業につきましては、売上高はインドでのスクーターや先進国での大型バイクの販売貢献等により2,464億円と前連結会計年度に比べ401億円(19.4%)増加しました。営業利益は前連結会計年度の営業損失9億円から営業利益46億円へと黒字になりました。
③ マリン事業他
マリン事業他につきましては、売上高は船外機の新型「DF350A」の北米、欧州を中心とした販売貢献等により750億円と前連結会計年度に比べ74億円(11.0%)増加しました。営業利益は145億円と前連結会計年度に比べ20億円(15.9%)増加しました。
所在地別の経営成績につきましては、アジア、日本、欧州、その他の各所在地で増収増益となりました。
生産、受注及び販売の状況は、次のとおりです。
(注) 1 マリン事業他の生産実績は販売価格によります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 販売実績は外部顧客への売上高を示しています。
4 当社グループは主に見込み生産を行っているため、受注状況について該当事項はありません。
(2) 財政状態
平成27年9月にフォルクスワーゲンAGから、その保有する当社株式を取得するために、4,603億円の自己株式取得を行いましたが、その結果、連結自己資本比率は平成27年3月末の45.6%から平成28年3月末には35.4%にまで低下しました。一方、インドなど成長投資のための多額の投資を計画していることから、平成28年4月に転換社債型新株予約権付社債により2,000億円の資金を調達しました。
当連結会計年度末の財政状態は、総資産は3兆3,408億円(前連結会計年度末比2,248億円増)、負債の部は1兆7,456億円(前連結会計年度末比167億円増)、純資産の部は1兆5,952億円(前連結会計年度末比2,082億円増)となり、業績拡大を背景に自己資本比率は38.8%にまで回復しましたが、引き続き自己資本比率の改善が重要な課題となっています。
(3) 資本の財源、資金の流動性及びキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは業績拡大により4,452億円の増加(前連結会計年度は3,663億円の資金増加)となり、投資活動ではインドでの能力増強投資や各生産拠点での新機種投資、及び有価証券の取得など3,416億円の資金を使用(前連結会計年度は2,886億円の資金減少)しました結果、フリー・キャッシュ・フローは1,036億円の増加(前連結会計年度は777億円の資金増加)となりました。財務活動では長期借入金の返済など有利子負債の圧縮を図るとともに増配による株主還元の拡大などにより1,139億円の資金が減少(前連結会計年度は895億円の資金増加)しました。
その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は6,008億円となり、前連結会計年度末に比べ132億円減少しました。
なお、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
① 貸倒引当金の計上基準
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
② 製品保証引当金の計上基準
当社グループは販売した製品のアフターサービスに対する費用の見積額を製品保証引当金として計上しています。このアフターサービス費用は、製品不良の発生率や修理コストに影響されますが、この見積りは原則として保証書の約款に従い過去の実績に基づいています。従って、製品不良の発生率や修理コストが見積りと異なる場合、製品保証引当金の修正が必要となる可能性があります。
③ 製造物賠償責任引当金の計上基準
北米向け輸出製品に対して、「製造物賠償責任保険」(PL保険)で補填されない損害賠償金の支払に備えるため、過去の実績を基礎に会社負担見込額を計上しています。従って、今後の訴訟の発生状況により、製造物賠償責任引当金の見積額の修正が必要となる可能性があります。
④ 投資有価証券の評価
当社グループは、価格変動性の高い上場会社の株式と、株価の算定が困難な非上場会社の株式を保有していますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて評価損を計上しています。なお、将来株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損処理
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、減損の測定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率を合理的に見積っています。なお、将来、資産グループに使用されている事業に関連して、経営環境に著しい変化が生じ、将来キャッシュ・フロー及び割引率の見積りに修正が必要となる場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。
⑥ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
⑦ 退職給付費用
当社グループの退職給付費用、退職給付債務は、数理計算上設定される前提条件に基づき計算されており、これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、再評価率、昇給率、退職率、死亡率などがあります。このうち、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しており、また、長期期待運用収益率は、各年金制度の年金資産運用方針等に基づき決定しています。
長期債券の利回りの低下は、割引率の低下をもたらし、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、当社が採用しているキャッシュバランス型の年金制度においては、基礎率の一つである再評価率が割引率の低下による悪影響を減殺する効果があります。
また、年金資産の運用利回りが、長期期待運用収益率を下回る場合には、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、安定運用を心掛けている当社の企業年金及び当社グループの企業年金基金においては、その影響は軽微と考えられます。
(1) 経営成績
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、全体としては緩やかな景気回復が続いている一方で、米国の関税政策の行方や、中国やアジア新興国での経済の先行き等、不透明さが増している状況です。当社グループにとって重要市場であるインドにおいては内需を中心に景気は拡大しています。日本においても政府による各種政策を背景に景気は緩やかな回復を続けています。
このような状況下、当社グループは、平成27年からの5ヵ年における「中期経営計画SUZUKI NEXT 100」を策定し、「チームスズキ」、「ものづくりの強化」を中心に、社是の第一に掲げる「消費者(お客様)の立場になって価値ある製品を作ろう」の原点に立ち戻り、様々な改革を実行してまいりました。これら施策の効果もあり、3年目にあたる平成29年度は以下のとおり連結売上高で平成31年度目標の3兆7千億円を超え、営業利益率も10%と目標の7%を大きく超えることができました。
具体的な当連結会計年度の経営成績ですが、連結売上高は3兆7,572億円と前連結会計年度に比べ5,877億円(18.5%)増加しました。国内売上高は四輪車販売の増加等により1兆1,167億円と前連結会計年度に比べ792億円(7.6%)増加しました。海外売上高はインド、欧州等での四輪車や二輪車の販売増等により2兆6,405億円と前連結会計年度に比べ5,085億円(23.8%)増加しました。
連結利益の面では、営業利益は、アジア、日本、欧州での損益改善等により3,742億円と前連結会計年度に比べ1,075億円(40.3%)増加、経常利益は3,828億円と前連結会計年度に比べ961億円(33.5%)増加、親会社株主に帰属する当期純利益は2,157億円と前連結会計年度に比べ557億円(34.9%)増加しました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。
① 四輪事業
四輪事業につきましては、国内売上高は昨年度に投入した「ワゴンR」、「スイフト」に加え、12月に投入した「スペーシア」、「クロスビー」など新型車の販売貢献等により前連結会計年度を上回りました。海外売上高は、新型「ディザイア」、「スイフト」を投入したインドをはじめ、欧州等での販売増等により前連結会計年度を上回りました。この結果、四輪事業の売上高は3兆4,358億円と前連結会計年度に比べ5,402億円(18.7%)増加しました。営業利益はアジア、日本、欧州での損益改善等により3,551億円と前連結会計年度に比べ1,000億円(39.2%)増加しました。
② 二輪事業
二輪事業につきましては、売上高はインドでのスクーターや先進国での大型バイクの販売貢献等により2,464億円と前連結会計年度に比べ401億円(19.4%)増加しました。営業利益は前連結会計年度の営業損失9億円から営業利益46億円へと黒字になりました。
③ マリン事業他
マリン事業他につきましては、売上高は船外機の新型「DF350A」の北米、欧州を中心とした販売貢献等により750億円と前連結会計年度に比べ74億円(11.0%)増加しました。営業利益は145億円と前連結会計年度に比べ20億円(15.9%)増加しました。
所在地別の経営成績につきましては、アジア、日本、欧州、その他の各所在地で増収増益となりました。
生産、受注及び販売の状況は、次のとおりです。
セグメントの名称 | 生産実績 | 販売実績 | ||
前期比 | 前期比 | |||
四輪事業 | 3,249,475台 | +10.4% | 34,358億円 | +18.7% |
二輪事業 | 1,078,174台 | +22.7% | 2,464億円 | +19.4% |
マリン事業他 | 634億円 | +12.3% | 750億円 | +11.0% |
合計 | ― | ― | 37,572億円 | +18.5% |
(注) 1 マリン事業他の生産実績は販売価格によります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 販売実績は外部顧客への売上高を示しています。
4 当社グループは主に見込み生産を行っているため、受注状況について該当事項はありません。
(2) 財政状態
平成27年9月にフォルクスワーゲンAGから、その保有する当社株式を取得するために、4,603億円の自己株式取得を行いましたが、その結果、連結自己資本比率は平成27年3月末の45.6%から平成28年3月末には35.4%にまで低下しました。一方、インドなど成長投資のための多額の投資を計画していることから、平成28年4月に転換社債型新株予約権付社債により2,000億円の資金を調達しました。
当連結会計年度末の財政状態は、総資産は3兆3,408億円(前連結会計年度末比2,248億円増)、負債の部は1兆7,456億円(前連結会計年度末比167億円増)、純資産の部は1兆5,952億円(前連結会計年度末比2,082億円増)となり、業績拡大を背景に自己資本比率は38.8%にまで回復しましたが、引き続き自己資本比率の改善が重要な課題となっています。
(3) 資本の財源、資金の流動性及びキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは業績拡大により4,452億円の増加(前連結会計年度は3,663億円の資金増加)となり、投資活動ではインドでの能力増強投資や各生産拠点での新機種投資、及び有価証券の取得など3,416億円の資金を使用(前連結会計年度は2,886億円の資金減少)しました結果、フリー・キャッシュ・フローは1,036億円の増加(前連結会計年度は777億円の資金増加)となりました。財務活動では長期借入金の返済など有利子負債の圧縮を図るとともに増配による株主還元の拡大などにより1,139億円の資金が減少(前連結会計年度は895億円の資金増加)しました。
その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は6,008億円となり、前連結会計年度末に比べ132億円減少しました。
なお、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
① 貸倒引当金の計上基準
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
② 製品保証引当金の計上基準
当社グループは販売した製品のアフターサービスに対する費用の見積額を製品保証引当金として計上しています。このアフターサービス費用は、製品不良の発生率や修理コストに影響されますが、この見積りは原則として保証書の約款に従い過去の実績に基づいています。従って、製品不良の発生率や修理コストが見積りと異なる場合、製品保証引当金の修正が必要となる可能性があります。
③ 製造物賠償責任引当金の計上基準
北米向け輸出製品に対して、「製造物賠償責任保険」(PL保険)で補填されない損害賠償金の支払に備えるため、過去の実績を基礎に会社負担見込額を計上しています。従って、今後の訴訟の発生状況により、製造物賠償責任引当金の見積額の修正が必要となる可能性があります。
④ 投資有価証券の評価
当社グループは、価格変動性の高い上場会社の株式と、株価の算定が困難な非上場会社の株式を保有していますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて評価損を計上しています。なお、将来株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損処理
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、減損の測定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率を合理的に見積っています。なお、将来、資産グループに使用されている事業に関連して、経営環境に著しい変化が生じ、将来キャッシュ・フロー及び割引率の見積りに修正が必要となる場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。
⑥ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
⑦ 退職給付費用
当社グループの退職給付費用、退職給付債務は、数理計算上設定される前提条件に基づき計算されており、これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、再評価率、昇給率、退職率、死亡率などがあります。このうち、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しており、また、長期期待運用収益率は、各年金制度の年金資産運用方針等に基づき決定しています。
長期債券の利回りの低下は、割引率の低下をもたらし、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、当社が採用しているキャッシュバランス型の年金制度においては、基礎率の一つである再評価率が割引率の低下による悪影響を減殺する効果があります。
また、年金資産の運用利回りが、長期期待運用収益率を下回る場合には、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、安定運用を心掛けている当社の企業年金及び当社グループの企業年金基金においては、その影響は軽微と考えられます。