半期報告書-第159期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/13 15:05
【資料】
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【項目】
33項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。なお、当社グループは当中間連結会計期間より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前中間連結会計期間及び前連結会計年度の数値もIFRSベースに組み替えて比較・分析を行っています。
(1) 経営成績
当中間連結会計期間の経営成績につきましては、売上収益は、2兆8,550億円となり前年同期に比べ2,989億円(11.7%)増加しました。営業利益は、研究開発費の増加や人的資本政策に伴う労務費の増加、販売台数増加に伴う営業政策費の増加があった一方で、為替影響や構成変化等の改善が増益に寄与し、3,349億円となり前年同期に比べ968億円(40.7%)増加しました。税引前中間利益は3,765億円となり前年同期に比べ883億円(30.7%)増加しました。親会社の所有者に帰属する中間利益は2,175億円となり前年同期に比べ663億円(43.9%)増加しました。
事業別セグメントの業績は、次のとおりです。
① 四輪事業
売上収益は2兆5,945億円と前年同期に比べ2,836億円(12.3%)増加しました。営業利益は2,934億円と前年同期に比べ874億円(42.4%)増加しました。
② 二輪事業
売上収益は1,983億円と前年同期に比べ196億円(11.0%)増加しました。営業利益は227億円と前年同期に比べ69億円(43.6%)増加しました。
③ マリン事業
売上収益は566億円と前年同期に比べ44億円(7.2%)減少しました。営業利益は170億円と前年同期に比べ23億円(15.8%)増加しました。
④ その他事業
売上収益は55億円と前年同期に比べ1億円(1.1%)増加しました。営業利益は18億円と前年同期に比べ2億円(15.1%)増加しました。
(2) 財政状態
当中間連結会計期間末の財政状態につきましては、資産は5兆7,155億円(前期末比422億円減少)となりました。
負債は、2兆2,941億円(前期末比792億円減少)となりました。借入金につきましては、世界情勢の不安定さを踏まえ、現在の借入水準を当面維持していく考えです。
資本は、3兆4,214億円(前期末比370億円増加)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、9,304億円となり前期末に比べ904億円増加しました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金の増加は、3,354億円(前年同期は2,245億円の増加)となりました。主な要因は、税引前中間利益3,765億円等です。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金の減少は、1,328億円(前年同期は2,476億円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,731億円等です。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金の減少は、1,008億円(前年同期は685億円の減少)となりました。主な要因は、親会社の所有者への配当金の支払額323億円、及び非支配持分への配当金の支払額302億円等です。
(4) 経営方針・経営戦略等
<10年先を見据えた技術戦略を発表>2024年7月17日、スズキは「技術戦略説明会」を行いました。
スズキは製造からリサイクルまで「エネルギーを極少化させる技術」を実現し、世界中の人々に移動する喜びをご提供しつつ、カーボンニュートラルな世界を目指します。

● カーボンニュートラルに向けて
「小・少・軽・短・美」の理念に基づき、使うエネルギーを極少化して、出すCO2を極限まで小さくします。これが私たちの考える技術哲学です。製造からリサイクルまで「資源リスクと環境リスクを極少化させる技術」を目指し、世界中の人々に移動する喜びをご提供しつつ、カーボンニュートラルな世界の実現を目指します。
私たちスズキは、移動する手段としてちょうど良いサイズのクルマ、軽くて燃費が良いクルマ、安全で必要十分な装備を備えたクルマ、言い換えれば、必要エネルギーが極少となる安全な小さいクルマを作ってきました。車重が200㎏軽いと、製造時のエネルギーは約20%少なく、また走行に必要なエネルギーは6%少なくて済みます。小さくて軽いクルマは、エネルギーの極少化に大きく貢献することができます。
「小・少・軽・短・美」は、まず動かすために必要なエネルギーが小さくて済みます。すると必要な電池や、燃料も少なくて済みます。電池が小さければ、充電に必要なエネルギーが少なくて済みます。更にモーターもエンジン排気量も小さく、モーターや排気量が小さければ使う材料も少なく、小さいものであれば製造エネルギーも少なく、軽いものであれば衝突エネルギーも少なく、リサイクルの負担も小さく、コストも資源リスクも少なく、更に軽いクルマは道路や埋設された水道管やガス管などへのダメージも小さくでき、インフラ整備のためのエネルギーも少なくて済みます。軽いということは、様々な良いことにつながる天使のサイクルを作り出します。
● エネルギーの極少化5つの柱
「小・少・軽・短・美」でエネルギーの極少化を実現させるため、5つの柱として技術開発を進めていきます。
① 全ての基本として全体を支える「軽くて安全な車体」
② お客様の用途に合わせて適所適材で「バッテリーリーンなBEV/HEV」
③ 「効率の良いICEとCNF技術の組み合わせ」
④ アフォーダブルな仕組みでクルマの価値を創造する「SDVライト(right)」
⑤ サーキュラーエコノミーに向けた「リサイクルしやすい易分解設計」
10年先を見据え、製品の素材から、製造、お客様のご使用、そしてリサイクルまでトータルの「エネルギーを極少化させる技術」を実現し、サステナブルな社会づくりに貢献していきます。
● エネルギー極少化の原点
企業の生産活動には、環境リスクと資源リスクがあります。環境影響を極少に、そして限りある資源を大切につかうこと。これらを融合(ハイブリッド)し、リスクを極少化していくことが大きな使命であり、課題です。小さい車は資源リスク・環境リスクを極小化でき、社会全体のエネルギーセキュリティの向上に寄与します。
非化石エネルギーの普及状況によって、EVかHEVのどちらの環境負荷が少ないかは異なります。地域と時期を見計らって、EV、ハイブリッド、あるいはカーボンニュートラル燃料を使う内燃機関を選択するなど、技術のラインアップのマルチパスウェイ化が必要だと考えています。
① 軽くて安全な車体
更なる10年を見据え、軽量化100kgにチャレンジします。省資源と環境に貢献する安全で軽量な「HEARTECT(ハーテクト)」を更に進化させ、軽量化技術によるエネルギーの極少化に取り組んでいきます。
② バッテリーリーンなBEV/HEV
スズキは国や地域、お客様の使用状況に合わせ、エネルギー効率がベストとなる選択で、過剰にバッテリーを搭載しない、「バッテリーリーンな電動車」をお客様にお届けすることを目指し、エネルギーを極少化した電動車を開発していきます。
③ 効率良いICE、CNF技術
高効率エンジンの技術を軽自動車から小型車のエンジンに水平展開するとともに、バイオガスやバイオエタノールといったCNFをより少ない燃料で上手く燃やすことを追求していき、高速燃焼による高効率化と排出ガスもクリーンにしていく開発を行っていきます。
④ SDVライト(right)
SDVについても「小・少・軽・短・美」によるエネルギー極少化を具現化したアフォーダブルな仕組みでクルマの価値を創造する「SDVライト(right)」を開発し、お客様に「ちょうどいい」「これでいい、これがいい」と感じていただけるものをご提供していきます。
⑤ リサイクルしやすい易分解設計
エネルギー極少化に向けて、技術を磨きながらライフサイクル全体を考えたサーキュラーエコノミーの観点で回収システムの構築、樹脂の再資源化によるリサイクルや、リサイクルしやすい易分解設計、再生材の利用促進、街灯に活用するなど、現在も行っている電池のリユースをさらに拡大した取組みを進めていきます。
技術の小さな積み重ねを決して惜しまず、工夫し、「必要エネルギーの極少化」をより効率的に、より安く、より早く実現します。全員参加、全体最適で目標に向かいチャレンジしていきます。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たな発生はありません。
(6) 研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発支出は1,235億円、要約中間連結損益計算書に計上されている研究開発費は1,136億円です。