有価証券報告書-第153期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、米国の利上げに伴い新興国において通貨安および利上げの影響による景気の減速がみられました。さらに米中貿易問題や英国のEU離脱問題などにより世界経済は不透明さが増しています。なお、インドでは本年に入って利下げの実施や通貨の安定などマクロ環境の改善、日本においては、政府による各種政策を背景に景気は緩やかな回復を続けているものの、世界経済全体としてマクロ環境の変化に注視が必要な状況が続いています。さらに、環境問題への社会全体の意識が高まるなか、当社グループとしましてもそれらを意識した経営や各国の規制への対応が増々重要となってきています。
このような状況下、当社グループは、2015年からの5ヵ年における「中期経営計画SUZUKI NEXT 100」を策定し、「チームスズキ」、「ものづくりの強化」を中心に、社是の第一に掲げる「消費者(お客様)の立場になって価値ある製品を作ろう」の原点に立ち戻り、様々な改革を実行してまいりました。これら施策の効果もあり、5ヵ年計画の3年目において、連結売上高、営業利益率、ROEなどの主要目標値を早期に達成することができました。5ヵ年計画の4年目にあたる2018年度につきましても、5ヵ年計画の主要目標値は達成(連結売上高…目標3兆7,000億円、実績3兆8,715億円、営業利益率…目標7%、実績8.4%、ROE…目標10%、実績13.3%)しましたが、完成検査における不適切な取扱いにつきまして、当社を取り巻くすべてのステークホルダーの皆様に、多大なご心配、ご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申しあげます。
具体的な当連結会計年度の経営成績ですが、連結売上高は3兆8,715億円と前連結会計年度に比べ1,143億円(3.0%)増加しました。営業利益はインドルピーをはじめとする新興国通貨安の影響および諸経費等増加の影響等により3,244億円と前連結会計年度に比べ498億円(13.3%)減少しました。経常利益は受取利息の増加や持分法投資損益の改善もあり3,795億円と前連結会計年度に比べ33億円(0.9%)の減少にとどまりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、リコール実施に伴う特別損失813億円を計上したこと等により1,788億円と前連結会計年度に比べ369億円(17.1%)減少しました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。
① 四輪事業
四輪事業につきましては、海外売上高は新興国通貨安の影響等により前連結会計年度を下回りましたが、国内売上高が「スペーシア」、「クロスビー」の販売貢献等により前連結会計年度を上回ったことでカバーし、四輪事業の売上高は3兆5,325億円と前連結会計年度に比べ967億円(2.8%)増加しました。営業利益は新興国通貨安に加え諸経費等増加の影響等により3,038億円と前連結会計年度に比べ513億円(14.4%)減少しました。
② 二輪事業
二輪事業につきましては、売上高はインド、インドネシア、フィリピンでの販売増加等により2,551億円と前連結会計年度に比べ87億円(3.5%)増加しました。営業利益は欧州での大型二輪車の売上減少等により36億円と前連結会計年度に比べ10億円(21.2%)減少しました。
③ マリン事業他
マリン事業他につきましては、大型船外機「DF350A」の北米を中心とした販売貢献等により売上高は839億円と前連結会計年度に比べ89億円(11.8%)増加、営業利益は170億円と前連結会計年度に比べ25億円(16.9%)増加しました。
所在地別の営業利益につきましては、日本は品質関連費用等の増加により1,508億円と前連結会計年度に比べ103億円(6.4%)減少しました。海外では、欧州、その他の所在地で増加しましたが、アジアにつきましてはインドルピーをはじめとする新興国通貨安や販売関連費用の増加により1,442億円と前連結会計年度に比べ471億円(24.6%)減少しました。
生産、受注及び販売の状況は、次のとおりです。
(注) 1 マリン事業他の生産実績は販売価格によります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 販売実績は外部顧客への売上高を示しています。
4 当社グループは主に見込み生産を行っているため、受注状況について該当事項はありません。
(2) 財政状態
インドなど成長投資に充てるために2016年4月に実施した転換社債型新株予約権付社債2,000億円が昨年8月の株価上昇により取得が進み、当連結会計年度末では115億円にまで減少、負債の部は前連結会計年度末に比べ595億円減少し1兆6,861億円となりました。一方、純資産の部は利益計上による株主資本の増加などにより前連結会計年度末に比べ1,207億円増加し1兆7,159億円となりました。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ612億円増加し3兆4,020億円となり、2015年9月に実施した4,603億円の自己株式取得以降、40%を割っていた自己資本比率はようやく40.9%にまで回復しました。
しかしながら、当連結会計年度の設備投資は2,689億円と過去最高を記録し、次期連結会計年度につきましても2,700億円と引き続き高水準の設備投資を計画しています。これらの設備投資を可能とするためにも、円滑な資金調達、自己資本比率の改善が重要な課題となっております。
(3) 資本の財源、資金の流動性及びキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,834億円の増加(前連結会計年度は4,452億円の資金増加)となり、投資活動ではインドでの能力増強投資や各生産拠点での新機種投資などにより2,508億円の資金を使用(前連結会計年度は3,416億円の資金減少)しました。その結果、フリー・キャッシュ・フローは1,326億円の増加(前連結会計年度は1,036億円の資金増加)となりました。財務活動では転換社債型新株予約権付社債の取得による1,824億円の減少等により2,561億円の資金が減少(前連結会計年度は1,139億円の資金減少)しました。
その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は4,731億円となり、前連結会計年度末に比べ1,277億円減少しました。
なお、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
① 貸倒引当金の計上基準
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
② 製品保証引当金の計上基準
当社グループは販売した製品のアフターサービスに対する費用の見積額を製品保証引当金として計上しています。このアフターサービス費用は、製品不良の発生率や修理コストに影響されますが、この見積りは原則として保証書の約款及び法令等に従い過去の実績に基づいています。従って、製品不良の発生率や修理コストが見積りと異なる場合、製品保証引当金の修正が必要となる可能性があります。
③ 製造物賠償責任引当金の計上基準
北米向け輸出製品に対して、「製造物賠償責任保険」(PL保険)で補填されない損害賠償金の支払に備えるため、過去の実績を基礎に会社負担見込額を計上しています。従って、今後の訴訟の発生状況により、製造物賠償責任引当金の見積額の修正が必要となる可能性があります。
④ 投資有価証券の評価
当社グループは、価格変動性の高い上場会社の株式と、株価の算定が困難な非上場会社の株式を保有していますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて評価損を計上しています。なお、将来株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損処理
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、減損の測定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率を合理的に見積っています。なお、将来、資産グループに使用されている事業に関連して、経営環境に著しい変化が生じ、将来キャッシュ・フロー及び割引率の見積りに修正が必要となる場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。
⑥ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
⑦ 退職給付費用
当社グループの退職給付費用、退職給付債務は、数理計算上設定される前提条件に基づき計算されており、これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、再評価率、昇給率、退職率、死亡率などがあります。このうち、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しており、また、長期期待運用収益率は、各年金制度の年金資産運用方針等に基づき決定しています。
長期債券の利回りの低下は、割引率の低下をもたらし、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、当社が採用しているキャッシュバランス型の年金制度においては、基礎率の一つである再評価率が割引率の低下による悪影響を減殺する効果があります。
また、年金資産の運用利回りが、長期期待運用収益率を下回る場合には、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、安定運用を心掛けている当社の企業年金及び当社グループの企業年金基金においては、その影響は軽微と考えられます。
(1) 経営成績
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、米国の利上げに伴い新興国において通貨安および利上げの影響による景気の減速がみられました。さらに米中貿易問題や英国のEU離脱問題などにより世界経済は不透明さが増しています。なお、インドでは本年に入って利下げの実施や通貨の安定などマクロ環境の改善、日本においては、政府による各種政策を背景に景気は緩やかな回復を続けているものの、世界経済全体としてマクロ環境の変化に注視が必要な状況が続いています。さらに、環境問題への社会全体の意識が高まるなか、当社グループとしましてもそれらを意識した経営や各国の規制への対応が増々重要となってきています。
このような状況下、当社グループは、2015年からの5ヵ年における「中期経営計画SUZUKI NEXT 100」を策定し、「チームスズキ」、「ものづくりの強化」を中心に、社是の第一に掲げる「消費者(お客様)の立場になって価値ある製品を作ろう」の原点に立ち戻り、様々な改革を実行してまいりました。これら施策の効果もあり、5ヵ年計画の3年目において、連結売上高、営業利益率、ROEなどの主要目標値を早期に達成することができました。5ヵ年計画の4年目にあたる2018年度につきましても、5ヵ年計画の主要目標値は達成(連結売上高…目標3兆7,000億円、実績3兆8,715億円、営業利益率…目標7%、実績8.4%、ROE…目標10%、実績13.3%)しましたが、完成検査における不適切な取扱いにつきまして、当社を取り巻くすべてのステークホルダーの皆様に、多大なご心配、ご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申しあげます。
具体的な当連結会計年度の経営成績ですが、連結売上高は3兆8,715億円と前連結会計年度に比べ1,143億円(3.0%)増加しました。営業利益はインドルピーをはじめとする新興国通貨安の影響および諸経費等増加の影響等により3,244億円と前連結会計年度に比べ498億円(13.3%)減少しました。経常利益は受取利息の増加や持分法投資損益の改善もあり3,795億円と前連結会計年度に比べ33億円(0.9%)の減少にとどまりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、リコール実施に伴う特別損失813億円を計上したこと等により1,788億円と前連結会計年度に比べ369億円(17.1%)減少しました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。
① 四輪事業
四輪事業につきましては、海外売上高は新興国通貨安の影響等により前連結会計年度を下回りましたが、国内売上高が「スペーシア」、「クロスビー」の販売貢献等により前連結会計年度を上回ったことでカバーし、四輪事業の売上高は3兆5,325億円と前連結会計年度に比べ967億円(2.8%)増加しました。営業利益は新興国通貨安に加え諸経費等増加の影響等により3,038億円と前連結会計年度に比べ513億円(14.4%)減少しました。
② 二輪事業
二輪事業につきましては、売上高はインド、インドネシア、フィリピンでの販売増加等により2,551億円と前連結会計年度に比べ87億円(3.5%)増加しました。営業利益は欧州での大型二輪車の売上減少等により36億円と前連結会計年度に比べ10億円(21.2%)減少しました。
③ マリン事業他
マリン事業他につきましては、大型船外機「DF350A」の北米を中心とした販売貢献等により売上高は839億円と前連結会計年度に比べ89億円(11.8%)増加、営業利益は170億円と前連結会計年度に比べ25億円(16.9%)増加しました。
所在地別の営業利益につきましては、日本は品質関連費用等の増加により1,508億円と前連結会計年度に比べ103億円(6.4%)減少しました。海外では、欧州、その他の所在地で増加しましたが、アジアにつきましてはインドルピーをはじめとする新興国通貨安や販売関連費用の増加により1,442億円と前連結会計年度に比べ471億円(24.6%)減少しました。
生産、受注及び販売の状況は、次のとおりです。
セグメントの名称 | 生産実績 | 販売実績 | ||
前期比 | 前期比 | |||
四輪事業 | 3,359,265台 | +3.4% | 35,325億円 | +2.8% |
二輪事業 | 1,334,816台 | +24.0% | 2,551億円 | +3.5% |
マリン事業他 | 728億円 | +14.7% | 839億円 | +11.8% |
合計 | ― | ― | 38,715億円 | +3.0% |
(注) 1 マリン事業他の生産実績は販売価格によります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 販売実績は外部顧客への売上高を示しています。
4 当社グループは主に見込み生産を行っているため、受注状況について該当事項はありません。
(2) 財政状態
インドなど成長投資に充てるために2016年4月に実施した転換社債型新株予約権付社債2,000億円が昨年8月の株価上昇により取得が進み、当連結会計年度末では115億円にまで減少、負債の部は前連結会計年度末に比べ595億円減少し1兆6,861億円となりました。一方、純資産の部は利益計上による株主資本の増加などにより前連結会計年度末に比べ1,207億円増加し1兆7,159億円となりました。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ612億円増加し3兆4,020億円となり、2015年9月に実施した4,603億円の自己株式取得以降、40%を割っていた自己資本比率はようやく40.9%にまで回復しました。
しかしながら、当連結会計年度の設備投資は2,689億円と過去最高を記録し、次期連結会計年度につきましても2,700億円と引き続き高水準の設備投資を計画しています。これらの設備投資を可能とするためにも、円滑な資金調達、自己資本比率の改善が重要な課題となっております。
(3) 資本の財源、資金の流動性及びキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,834億円の増加(前連結会計年度は4,452億円の資金増加)となり、投資活動ではインドでの能力増強投資や各生産拠点での新機種投資などにより2,508億円の資金を使用(前連結会計年度は3,416億円の資金減少)しました。その結果、フリー・キャッシュ・フローは1,326億円の増加(前連結会計年度は1,036億円の資金増加)となりました。財務活動では転換社債型新株予約権付社債の取得による1,824億円の減少等により2,561億円の資金が減少(前連結会計年度は1,139億円の資金減少)しました。
その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は4,731億円となり、前連結会計年度末に比べ1,277億円減少しました。
なお、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
① 貸倒引当金の計上基準
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
② 製品保証引当金の計上基準
当社グループは販売した製品のアフターサービスに対する費用の見積額を製品保証引当金として計上しています。このアフターサービス費用は、製品不良の発生率や修理コストに影響されますが、この見積りは原則として保証書の約款及び法令等に従い過去の実績に基づいています。従って、製品不良の発生率や修理コストが見積りと異なる場合、製品保証引当金の修正が必要となる可能性があります。
③ 製造物賠償責任引当金の計上基準
北米向け輸出製品に対して、「製造物賠償責任保険」(PL保険)で補填されない損害賠償金の支払に備えるため、過去の実績を基礎に会社負担見込額を計上しています。従って、今後の訴訟の発生状況により、製造物賠償責任引当金の見積額の修正が必要となる可能性があります。
④ 投資有価証券の評価
当社グループは、価格変動性の高い上場会社の株式と、株価の算定が困難な非上場会社の株式を保有していますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて評価損を計上しています。なお、将来株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損処理
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、減損の測定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率を合理的に見積っています。なお、将来、資産グループに使用されている事業に関連して、経営環境に著しい変化が生じ、将来キャッシュ・フロー及び割引率の見積りに修正が必要となる場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。
⑥ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
⑦ 退職給付費用
当社グループの退職給付費用、退職給付債務は、数理計算上設定される前提条件に基づき計算されており、これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、再評価率、昇給率、退職率、死亡率などがあります。このうち、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しており、また、長期期待運用収益率は、各年金制度の年金資産運用方針等に基づき決定しています。
長期債券の利回りの低下は、割引率の低下をもたらし、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、当社が採用しているキャッシュバランス型の年金制度においては、基礎率の一つである再評価率が割引率の低下による悪影響を減殺する効果があります。
また、年金資産の運用利回りが、長期期待運用収益率を下回る場合には、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、安定運用を心掛けている当社の企業年金及び当社グループの企業年金基金においては、その影響は軽微と考えられます。