有価証券報告書-第119期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 13:52
【資料】
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【項目】
111項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比べ40百万円増加し113億40百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比べ3億34百万円減少し27億87百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比べ3億75百万円増加し85億53百万円となりました。
②経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大問題の影響をうけ、経済活動が抑制されました。2020年5月の緊急事態宣言解除後に段階的に経済活動が引き上げられたものの、2021年1月には再び緊急事態宣言が発令され、景気の先行きは依然として不透明な状態で推移しております。
当社のセグメント別受注状況は、歯車及び歯車装置事業ではバルブ・アクチュエータ、ジャッキ、その他増減速機につきましては減少いたしました。歯車につきましては鉄道船舶向けが減少したことにより、受注は減少いたしました。工事事業では、発電所をはじめとする定期検査工事等が減少したことにより受注は減少いたしました。
その結果、当事業年度の受注高は70億62百万円(前事業年度比10.9%減)、売上高は77億15百万円(同1.8%増)となりました。
損益面につきましては、売上高の増加に伴い、売上原価が54億84百万円(前事業年度比3.6%増)、研究開発費の増加に伴い、販売費及び一般管理費は18億18百万円(同5.9%増)となりました。これにより、営業利益は4億12百万円(同27.4%減)、経常利益は4億23百万円(同26.9%減)、当期純利益3億12百万円(同21.0%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比べ2億77百万円増加し29億49百万円(前事業年度比10.4%増)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、7億21百万円(同580.5%増加)となりました。これは主に税引前当期純利益4億48百万円、減価償却費2億46百万円、たな卸資産の減少3億3百万円、売上債権の減少36百万円の収入に対し、前払年金費用の増加43百万円、仕入債務の減少1億19百万円、法人税等の支払額1億89百万円の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、1億69百万円(同1132.6%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億6百万円、敷金及び保証金の差入による支出35百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、2億74百万円(同691.8%増)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1億79百万円、リース債務の返済による支出23百万円、配当金の支払額71百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
歯車及び歯車装置事業(千円)5,249,965△7.8
工事事業(千円)--
合計(千円)5,249,965△7.8

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.工事事業については、事業の性格上生産高実績は算出しておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
歯車及び歯車装置事業(千円)5,591,079△11.0
工事事業(千円)1,471,070△10.3
合計(千円)7,062,149△10.9

(注)1.金額は受注価格で示してあります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
歯車及び歯車装置事業(千円)6,156,3441.8
工事事業(千円)1,558,7811.9
合計(千円)7,715,1261.8

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
(資産合計)
流動資産は、前事業年度末と比べ39百万円減少し83億19百万円となりました。これは主に現金及び預金が2億77百万円増加しましたが、たな卸資産が3億3百万円減少したことによるものであります。固定資産は、前事業年度末と比べ80百万円増加し30億21百万円となりました。これは主に機械及び装置が71百万円、ソフトウエアが35百万円、リース資産が21百万円、電話加入権が12百万円減少しましたが、投資有価証券が1億91百万円、前払年金費用が43百万円、ソフトウエア仮勘定が15百万円増加したことによるものであります。
(負債合計)
流動負債は、前事業年度末と比べ2億8百万円減少し20億11百万円となりました。これは主に電子記録債務が3億78百万円増加しましたが、支払手形が4億73百万円、未払法人税等が82百万円、買掛金が41百万円減少したことによるものであります。固定負債は、前事業年度末と比べ1億26百万円減少し7億75百万円となりました。これは主に繰延税金負債が60百万円増加しましたが、長期借入金が1億79百万円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
純資産は、前事業年度末と比べ3億75百万円増加し85億53百万円となりました。これは主に利益剰余金が2億41百万円、その他有価証券評価差額金が1億34百万円増加したことによるものであります。
②経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は、前事業年度と比べ1億36百万円(前年同期比1.8%)増加し77億15百万円となりました。このうち歯車及び歯車装置事業につきましては、前事業年度と比べ1億7百万円(同1.8%)増加いたしました。これは、バルブ・アクチュエータにつきましては、原子力発電所、鉄鋼向けが減少したものの、火力発電所、石油・ガス、化学向けが増加いたしました。ジャッキにつきましては減少しました。その他の増減速機につきましては、原子力発電所、化学向け撹拌機が増加いたしました。歯車につきましては減少いたしました。
工事事業につきましては、原子力発電所、石油・ガス、化学、鉄鋼向けが増加したため、前事業年度と比べ28百万円(同1.9%)増加いたしました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、外注加工費が増加したことにより前事業年度と比べ1億91百万円(同3.6%)増加いたしました。販売費及び一般管理費は、研究開発費が増加したため、前事業年度と比べ1億円(同5.9%)増加いたしました。
この結果、売上総利益は前事業年度と比べ55百万円(同2.4%)減少し22億30百万円となり、営業利益は前事業年度と比べ1億55百万円(同27.4%)減少し4億12百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前事業年度と比べほぼ同額の24百万円となり、営業外費用も、前事業年度と比べほぼ同額の14百万円となりました。
この結果、経常利益は前事業年度と比べ1億55百万円(同26.9%)減少し4億23百万円となりました。
(特別利益、特別損失)
特別利益は、補助金収入が増加したことにより26百万円(同138.5%)増加し45百万円となりました。特別損失は、遊休資産の減損損失を計上したことにより、20百万円となりました。
この結果、税引前当期純利益は前事業年度と比べ1億49百万円(同24.9%)減少し4億48百万円となりました。
(法人税、住民税及び事業税)
法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額は、前事業年度と比べ65百万円(同32.6%)減少し1億36百万円となりました。
この結果、当期純利益は前事業年度と比べ83百万円(同21.0%)減少し3億12百万円となりました。
③経営に影響を与える要因に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向、原材料の価格変動、災害等があります。
市場動向につきましては、当社の事業が関係する市場におきましては、国内外の企業との熾烈な競争が今後も展開されると予想されることから、当社を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識しております。こうした中、新規市場の開拓およびニーズの深耕により売上の拡大を図るとともに、生産体制のより一層の強化に取り組んでまいります。
原材料の価格変動につきましては、鉄・非鉄金属の市場価格上昇への対応、設計の標準化、部品の共有化、標準品の採用推進等に取り組むほか、3社以上による相見積もりによる価格交渉、密接な情報交換を行い、更なるコスト削減努力を行ってまいります。
災害等につきましては、防火委員会等の活動にて防火対策に取り組んでおります。
④セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(歯車及び歯車装置事業)
バルブ・アクチュエータの受注高は、化学向けが増加したものの、火力発電所、原子力発電所、鉄鋼、石油・ガス向けが減少したことにより、前事業年度比5.7%減少いたしました。売上高は原子力発電所、鉄鋼向けが減少したものの、火力発電所、石油・ガス、化学向けが増加したことにより、前事業年度比3.2%増加いたしました。
ジャッキにつきましては、受注高は鉄鋼、半導体向けの受注が増加したものの、その他汎用向けが大きく減少したことにより、前事業年度比12.6%減少いたしました。売上高は鉄鋼、紙・パルプ、半導体向け設備投資が増加したものの、その他汎用向けが減少したことにより、前事業年度比10.9%減少いたしました。
その他増減速機につきましては、受注高は原子力発電所、石油・ガス、上下水道向けが増加したものの、火力発電所、鉄鋼、紙・パルプ向けが減少したことにより、前事業年度比22.0%減少いたしました。売上高は火力発電所、石油・ガス向けが減少したものの、原子力発電所、化学向け撹拌機が増加したことにより、前事業年度比9.6%増加いたしました。
歯車の受注高は特殊車両用が増加したものの、自動車用、鉄道船舶用傘歯車が大きく減少したことにより前事業年度比21.9%減少いたしました。売上高は特殊車両用が増加したものの、自動車用、コンプレッサー用円筒歯車が減少したことにより、前事業年度比5.5%減少いたしました。
以上の結果、歯車及び歯車装置事業では、受注高は前事業年度比11.0%減少し、売上高は前事業年度比1.8%増加いたしました。
セグメント資産は、棚卸資産の減少により、前事業年度末に比べ3億84百万円減少し29億85百万円となりました。
(工事事業)
工事事業の受注高につきましては、火力発電所向け点検サイクル延長、上下水道向けの施設更新による点検見直し等により前事業年度比10.3%減少いたしました。売上高は、火力発電所、上下水道向けが減少したものの、原子力発電所、石油・ガス、化学、鉄鋼向けが増加したことにより、前事業年度比1.9%増加いたしました。
セグメント資産は、棚卸資産の減少により、前事業年度末に比べ46百万円減少し8億64百万円となりました。
⑤キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金需要)
当社の資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。
運転資金需要のうち主なものは製品を製造するための材料仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としては機械及び装置等の有形固定資産投資に加え、情報処理の為の無形固定資産投資等があります。
(財務政策)
当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。
長期借入金の調達につきましては、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。
また、国内金融機関において合計16億円のコミットメントライン及び当座貸越を設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は7億26百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は29億49百万円となっております。
⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
⑦経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、収益性及び効率性の両面から体質を強化することが重要と捉え、「経常利益」及び「当期純利益」を重要な指標として位置付けております。当事業年度における経常利益は4億23百万円となり、経常利益率は5.5%となりました。当期純利益は3億12百万円となり、当期純利益率は4.1%となりました。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。