有価証券報告書-第79期(2022/11/21-2023/11/20)

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2024/02/19 9:15
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
(経営成績に関する分析)
当連結会計年度におきましては、世界的な物価高と金融引き締めにより、世界経済は緩やかに減速いたしました。新型コロナウイルス感染症からの経済正常化や供給制約の緩和、インフレ率の鈍化により、景気回復への期待は高まっていますが、ウクライナ危機をはじめとする地政学リスクや米欧の金融引き締めの影響、中国景気の減速などが、経済への悪影響として懸念されます。日本においては、感染リスクの低下による経済活動の正常化やインバウンド需要の回復など、景気は回復傾向にありますが、物価上昇による個人消費の陰りや輸出の伸び悩みにより、回復ペースは緩やかにとどまっています。
このような経営環境の中で、当社グループは2022年11月21日より、暮らしの課題、社会の課題を解決しながら持続的に成長するソリューションブランドへ着実に移行「シフト」するため、新たな中期3ヵ年計画『SHIFT』をスタートしました。
『SHIFT』では、ドメイン・シフト「新規領域の拡大と既存領域の深化」、グローバル・シフト「グローバル市場での成長加速」、デジタル・シフト「デジタル化の推進」、サステナビリティ・シフト「持続可能企業への体質転換」の4つの重点課題を掲げ、具体的施策の実行に向けて取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、前年実績から960百万円増加し83,494百万円(前連結会計年度比1.2%増)となりました。製品区分別では、調理家電製品は前年を下回りましたが、リビング製品や生活家電製品は順調に推移しました。国内売上高は52,347百万円(前連結会計年度比2.1%減)、海外売上高は31,147百万円(同7.1%増)となり、海外売上高構成比は37.3%となりました。海外では北米や東南アジアが好調に推移しました。
利益につきましては、販売費及び一般管理費は増加しましたが、価格競争力の強化や、円安による輸入コストの増加に対する価格転嫁を進めた結果、営業利益は5,000百万円(前連結会計年度比7.2%増)となりました。経常利益は6,496百万円(同11.7%増)となり、グループ内の各社の利益構成比が変動し税負担率が減少したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は4,441百万円(同21.4%増)となりました。
製品区分別の経営成績は次のとおりであります。
① 調理家電製品
調理家電製品の売上高は、58,631百万円(前連結会計年度比0.6%減)となりました。
国内では、炊飯ジャーは、マイコン及び圧力IH炊飯ジャーが苦戦したことにより、前年実績を下回りました。電気ポットは低調でしたが、電気ケトルは好調に推移しました。新規カテゴリ商品のオーブンレンジ「EVERINO(エブリノ)」は売上増加に寄与したものの、電気調理器具では、市場の縮小が続くホットプレートやオーブントースターなどの販売が低調で、前年実績を下回りました。
海外では、中国や東南アジアで電気ポットなどが低調でしたが、北米と東南アジアで炊飯ジャーが好調に推移し、全体では前年実績を上回りました。
② リビング製品
リビング製品の売上高は、17,696百万円(前連結会計年度比3.7%増)となりました。
国内では、ステンレススープジャーやステンレスポットは好調に推移しましたが、ステンレスボトルが低調で、ほぼ前年並みの実績にとどまりました。
海外では、北米の販売は低調でしたが、台湾や東南アジア、韓国でステンレス製品が好調に推移したことにより、前年実績を上回りました。
③ 生活家電製品
生活家電製品の売上高は、5,009百万円(前連結会計年度比10.5%増)となりました。
国内では、加湿器や食器乾燥器などが低調で、前年実績を下回りました。
海外では、加湿器が韓国で好調に推移しました。
④ その他製品
その他製品の売上高は、2,156百万円(前連結会計年度比11.9%増)となりました。
・地域別製品区分別売上高
(単位:百万円)
日本海外合計前年
同期比
(%)
アジア北中南米その他
内、中国
売上高調理家電39,0439,6773,5039,8456419,58758,631△0.6
リビング7,6907,9664,3891,28375610,00617,6963.7
生活家電4,04296733--9675,00910.5
その他1,5704831609845862,15611.9
52,34719,0948,08611,22782531,14783,4941.2
構成比(%)62.722.99.713.41.037.3100.0

当社グループは、家庭用品等の製造、販売及びこれらの付随業務を営んでおりますが、家庭用品以外の事業の重要性が乏しいと考えられるため、セグメント別の生産実績及び販売実績の記載は行っておりません。
なお、生産実績及び販売実績を製品区分別に記載すると以下のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
製品区分生産高(百万円)前年同期比(%)
調理家電製品37,975△10.7
リビング製品10,2113.2
生活家電製品3,73121.0
その他製品1,07310.7
合計52,992△6.1

(注) 金額は製造原価により表示しております。
② 受注状況
当社グループは、原則として見込生産であります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
製品区分販売高(百万円)前年同期比(%)
調理家電製品58,631△0.6
リビング製品17,6963.7
生活家電製品5,00910.5
その他製品2,15611.9
合計83,4941.2

(注) 当連結会計年度において、総販売実績に対する割合が10%以上となる相手先はございません。
(重要な経営指標に関する分析)
中期3ヵ年計画『SHIFT』で掲げた2023年目標連結売上高83,500百万円、連結営業利益3,900百万円、連結営業利益率4.7%に対して、当連結会計年度は連結売上高83,494百万(前期比1.2%増)、連結営業利益5,000百万円(前期比7.2%増)、連結営業利益率6.0%となりました。連結売上高は目標にわずかに届きませんでしたが、価格競争力の強化や、円安による輸入コストの増加に対する価格転嫁を進めた結果、連結営業利益は目標を上回りました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末と比較して総資産が1,233百万円増加し、負債が2,787百万円減少しました。また、純資産は4,020百万円増加いたしました。その結果、自己資本比率は2.7ポイント増加し75.1%となりました。
総資産の増加1,233百万円は、流動資産の減少1,315百万円及び固定資産の増加2,548百万円によるものであります。
流動資産1,315百万円の減少は主に、原材料及び貯蔵品407百万円が増加した一方、電子記録債権205百万円、商品及び製品1,017百万円、その他流動資産636百万円が減少したことによるものであります。また、固定資産2,548百万円の増加は主に、建物及び構築物143百万円、工具、器具及び備品154百万円、投資有価証券864百万円、退職給付に係る資産1,007百万円、その他投資382百万円が増加したことによるものであります。
負債の減少2,787百万円は、流動負債の減少3,512百万円及び固定負債の増加725百万円によるものであります。
流動負債3,512百万円の減少は主に、支払手形及び買掛金2,899百万円、未払費用354百万円が減少したことによるものであります。また、固定負債725百万円の増加は主に、退職給付に係る負債299百万円が減少した一方、繰延税金負債1,043百万円が増加したことによるものであります。
純資産4,020百万円の増加は主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上4,441百万円、剰余金の配当の支払2,300百万円、その他有価証券評価差額金572百万円、為替換算調整勘定535百万円、退職給付に係る調整累計額744百万円が増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して134百万円増加し、31,211百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度と比較して5,218百万円増加し、4,939百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益6,442百万円、減価償却費2,258百万円、棚卸資産の減少額936百万円により資金が増加したものの、仕入債務の減少額2,982百万円、法人税等の支払額1,500百万円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比較して508百万円減少し、2,078百万円となりました。
これは主に、定期預金の預入による支出4,061百万円、有形固定資産の取得による支出1,654百万円、無形固定資産の取得による支出320百万円により資金が減少したものの、定期預金の払戻による収入4,182百万円により資金が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比較して45百万円増加し、2,968百万円となりました。
これは主に、配当金の支払額2,300百万円により資金が減少したことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための費用、販売費及び一般管理費等の営業費用や、金型等の生産設備、情報処理システム等への設備投資であります。
これらの資金需要に対応するための財源は、営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金により調達することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入等により調達していく考えであります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 棚卸資産の評価
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項] (重要な会計上の見積り) 1.棚卸資産の評価」に記載のとおりであります。
② 退職給付会計
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項] (重要な会計上の見積り) 2.退職給付会計」に記載のとおりであります。
③ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来減算一時差異が将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性、将来加算一時差異の十分性等を満たしている場合に、将来減算一時差異が将来の税金負担額を軽減する効果を有するものとしております。
これらの判断は、将来の利益計画に基づく課税所得、一時差異等の解消見込年度等の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等によりこの見積りの前提とした条件や仮定に見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
④ 固定資産の減損
固定資産の減損は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合に減損損失を認識することとし、帳簿価額を回収可能価額まで減額させた当該減少額を減損損失として測定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定を行うにあたっては、過年度の実績や事業計画等に基づく資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フロー、回収可能価額等の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等によりこの見積りの前提とした条件や仮定に見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。