有価証券報告書-第207期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当行グループ(当行、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
主要勘定につきましては、預金は、個人預金や法人預金が増加し、前連結会計年度末比2,084億円増加の2兆8,474億円となりました。また、譲渡性預金を含めた預金等につきましては、前連結会計年度末比2,281億円増加の2兆9,043億円となりました。貸出金は、引き続きアセット構造の改革を進め大・中堅企業向け貸出金は減少しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う資金繰り支援に積極的に対応しました結果、中小企業等貸出金が増加し、前連結会計年度末比922億円増加の1兆8,770億円となりました。有価証券は、運用を強化し、投資信託や外国証券等を購入しました結果、前連結会計年度末比1,490億円増加の9,672億円となりました。
損益につきましては、経常収益は、国債等債券売却益の減少等により、前連結会計年度比14億68百万円減少し415億2百万円となりました。経常費用は、貸出金償却や株式等償却の減少等により、前連結会計年度比78億53百万円減少し320億20百万円となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度比63億85百万円増加し94億82百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同35億45百万円増加の66億41百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の増加等により2,242億49百万円のプラスとなりました。前連結会計年度比では3,198億1百万円増加しております。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が有価証券の売却や償還による収入を上回ったこと等により1,283億6百万円のマイナスとなりました。前連結会計年度比では1,124億97百万円減少しております。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や自己株式の取得による支出等により22億84百万円のマイナスとなりました。前連結会計年度比では6億98百万円減少しております。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、当連結会計年度中に936億59百万円増加し3,276億45百万円となりました。
(参考)
(1) 国内・国際業務部門別収支
(国内業務部門)
資金運用収支は、前連結会計年度に比べ6億2百万円増加し234億25百万円となりました。
役務取引等収支は、前連結会計年度に比べ2億22百万円増加し50億59百万円となりました。
その他業務収支は、前連結会計年度に比べ91百万円減少し12億20百万円の支出超過となりました。
(国際業務部門)
資金運用収支は、前連結会計年度に比べ2億69百万円増加し32億69百万円となりました。
役務取引等収支は、前連結会計年度に比べ3百万円減少し19百万円となりました。
その他業務収支は、前連結会計年度に比べ19億90百万円減少し6億64百万円となりました。
(注) 1 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
3 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除して表示しております。
(参考)
(2) 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況
① 国内業務部門
資金運用勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ1,855億円増加し2兆8,248億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.04ポイント低下し0.86%となりました。
資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ2,064億円増加し2兆9,104億円となりました。同利回りは、前連結会計年度と同じ0.03%となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建対非居住者取引等を除いた円建取引であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度82,191百万円、当連結会計年度85,300百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度1,000百万円、当連結会計年度1,999百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
4 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
② 国際業務部門
資金運用勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ248億円増加し2,972億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.46ポイント低下し1.25%となりました。
資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ244億円増加し2,962億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.45ポイント低下し0.15%となりました。
(注) 1 国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
③ 合計
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度82,191百万円、当連結会計年度85,300百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度1,000百万円、当連結会計年度1,999百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0万円)を、それぞれ控除して表示しております。
2 国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息は相殺して記載しております。
(参考)
(3) 国内・国際業務部門別役務取引の状況
役務取引は、そのほとんどを国内業務部門で占めており、主要な役務取引の内訳は次のとおりであります。
(注) 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
(参考)
(4) 国内・国際業務部門別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1 国内業務部門は円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金+定期積金
(参考)
(5) 貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
② 外国政府等向け債権残高(国別)
該当事項はありません。
(参考)
(6) 国内・国際業務部門別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(参考)
(7) 「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は提出会社1社であります。
① 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表/連結)
(注) 1 共同信託他社管理財産 前連結会計年度―百万円 当連結会計年度―百万円
2 元本補填契約のある信託については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額については基礎的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
単体自己資本比率(国内基準)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、3カ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討結果内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当行の中期経営計画「ベスト リライアブル・バンクへの挑戦 ステップ3」の2年目となる当連結会計年度は、以下の内容に取り組みました。
〈戦略目標Ⅰ 「四銀スタイル」の確立〉
当行の特長である「Just Like Family!な人財力」をベースに、お客さまに対して高度なコンサルティング機能を提供できる人財を開発・育成し、「四銀スタイル」の確立に取り組みました。その結果、コンサルティング力を発揮するために必要な資格試験等の合格者数(延べ人数)は、新型コロナウイルス感染症の影響により一部の試験が中止となったことにより前連結会計年度比29人減少の700人となりましたが、オンラインを活用した研修スタイルの確立により、休日開催講座の受講者数(延べ人数)は前連結会計年度比412人増加の926人となりました。
また、「従業者及びその家族の健康は、企業にとって大切な財産であり、守るべきものである」との考え方のもと、従業者が健康で、やりがい・働きがいの持てる働き方の実現に向けた取組みを推し進めました。その結果、働き方改革の実効性を高める取組みとして、働き方改革プロジェクトチームを公募により組成し、諸施策の検討を開始するとともに、監督職層(支店長代理・主任)以上に占める女性行員の割合は前連結会計年度比1.8ポイント上昇の20.3%となり、目標の20.0%を達成しました。
こうした「四銀スタイル」の確立に向けた人財の開発・育成によるコンサルティング機能強化や女性行員の役職者数増加等、効果的な人財開発・育成への取組みが評価され、経済産業省による「新・ダイバーシティ経営企業100選」を、令和2年度受賞企業14社の中で金融・保険業としては唯一当行が受賞しました。
〈戦略目標Ⅱ BPR・ICT戦略の加速〉
BPRの推進を通じて生産性の向上とお客さまの利便性の向上を図るため、入金伝票や振込依頼書等の記入が原則不要となるなど、お客さまの手続きが簡単、スピーディーになる「クイック窓口」の導入を高知県内の37店舗の営業店にまで拡大したほか、事務の本部集中やインターネットバンキングの利用促進、ペーパーレスの推進などに取り組みました。当連結会計年度の印刷枚数は、前連結会計年度比で9.9%の減少となりました。
また、より質の高いコンサルティング機能の発揮に向け、口座開設や住所変更等の手続きについて、タブレット端末によりペーパーレス、印鑑レス化を実現する「Smile」を試行導入しました。さらには、四国銀行アプリの機能改善や、紙の通帳に代わるデジタル通帳サービス「スマート通帳」の導入等、お客さまの利便性向上を図りました。
店舗につきましては、質の高いサービスの提供と、店舗運営の効率化を図るため、高知県では南国南支店を南国支店内に、また、横浜ニュータウン出張所を桂浜通支店内に、徳島県では国府支店を徳島西支店内にそれぞれブランチ・イン・ブランチ方式にて移転統合しました。結果、当連結会計年度末の有人店舗数は、前連結会計年度末比3店舗減少し、100店(本支店90店、出張所1店及び代理店9店)となりました。また、これからの店舗のあり方として、「The Bridge of Lifetime Finance(人生における金融の架け橋になる)」を目指し、一宮支店(高知県)を次世代型店舗第1号店舗として新築移転しました。
こうした取組みにより、当連結会計年度における人員捻出・再配置数は、中期経営計画期間中の計画人数300人に対し、182人(採用抑制等69人、再配置113人)と順調に進み、結果として、当行全体の人員数削減と、コンサルティング部門・企画部門への人員配置が実現しました。
〈戦略目標Ⅲ 3つのコンサルティング機能の発揮〉
コンサルティング機能の発揮に向け、ビジネス、個人、地域の3つのコンサルティングを軸に取り組みました。
法人のお客さまに対しては、Withコロナ・Afterコロナを見据え、コンサルティング部の「事業承継・相続サポートデスク」や審査部の「経営支援室」の体制を強化し、営業店とも一体となって、事業承継・M&A、経営改善支援等のお客さまの課題解決に向けた支援を行いました。また、コロナ禍でのお客さまニーズを踏まえたビジネスマッチングの取組みを強化した結果、ビジネスマッチングの成約件数は前連結会計年度比546件増加の1,275件となりました。
個人のお客さまに対しては、高度なコンサルティング力を発揮できる営業店担当者及び統括する本部担当者をそれぞれ前連結会計年度より増員し、営業店と本部が連携してお客さまのライフステージに応じたコンサルティング活動を一層推進しました。また、お客さまの資産形成ニーズにあわせた幅広いご提案を行うために、商品ラインナップの充実に努めました。
新型コロナウイルス感染症の影響による急激な市況変動時には、アフターフォロー及び資産形成に向けた各種提案等を積極的に実施しました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響はありましたが、地域を活性化することが地域金融機関の役割であるとの原点に立ち、地方創生に向けた様々な取組みを行いました。
「しぎん地域活性化ファンド」を通じては、地域の医療の発展に寄与すべく、医師と患者の負担軽減につながる医療機器を開発・提供する事業に対して投資を行いました。また、株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)等と共同で出資した「高知県観光活性化ファンド」を通じた、広域観光組織の整備や観光施設の磨き上げなど、高知県の観光振興に対するこれまでの取組みが評価され、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部による「地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』」に選定され、内閣府から表彰されました。
その他、新型コロナウイルス感染症の影響によって事業に影響を受けられた高知県内の飲食店や観光施設を支援するための、クラウドファンディングを活用した取組みをはじめ、森林の間伐活動等、SDGsに繋がる活動にも積極的に取り組みました。
四国の地方銀行4行(当行、阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行)による「四国アライアンス」では、地域商社Shikokuブランド株式会社を設立し、地域資源のブランディングや販路開拓支援に向けた取組みを開始しました。また、四国アライアンスキャピタル株式会社が運営する「しこく創生ファンド」「しこく中小企業支援ファンド」を活用した事業承継や企業再生への取組みや、オンラインを活用した商談会の開催等、四国創生に向けた活動を一層推し進めました。
〈戦略目標Ⅳ 持続可能な財務基盤・経営基盤の確立〉
中期経営計画の実績(単体ベース)及び進捗は以下のとおりであります。
2020年度の単年度の財務目標につきましては、中期経営計画に基づく各施策に取り組んだ結果、全ての項目で目標を達成することができました。コンサルティング機能の発揮に関する数値目標では、投資性商品契約者比率及び預り資産残高は未達成となりましたが、事業所融資先数、事業承継・M&A支援件数、ビジネスマッチング成約件数は目標を達成しました。
・財務目標(2020年度の単年度目標)
(注)ROE(株主資本ベース)は、当期純利益を株主資本合計(当事業年度末と前事業年度末の平均値)で
除して算出しております。
・コンサルティング機能の発揮に関する数値目標
(注)投資性商品契約者比率は、20歳～50歳の投資信託または個人年金保険等の契約者を同年代の個人預金取引
先数で除して算出しております。
① 経営成績の分析
資金運用収支は、資金運用収益は前連結会計年度比4億1百万円減少しましたが、資金調達費用が同12億72百万円減少したため、同8億71百万円増加し266億94百万円となりました。世界的な金融緩和のなか、主に外貨の運用利回り低下により貸出金利息や有価証券利息配当金が減少しましたが、短期市場での外貨の調達利回り低下により金利スワップ支払利息等が大きく減少したことが主な要因です。
役務取引等収支は、役務取引等収益が前連結会計年度比2億3百万円増加し、役務取引等費用が同16百万円減少したため、同2億20百万円増加し50億79百万円となりました。戦略目標Ⅲに掲げる3つのコンサルティング機能の発揮に取り組み、法人及び個人のコンサルティング収益が増加しました。法人では、多様な資金調達ニーズに対応したスキームの構築等へ積極的に取り組むことで、ストラクチャリング手数料や事業承継・M&A手数料等が増加しました。また個人では、お客さまの資産形成ニーズに合わせた幅広いご提案に努め、投資信託関係手数料等が増加しました。
その他業務収支は、その他業務収益が国債等債券売却益の減少等により前連結会計年度比14億69百万円減少し、その他業務費用が国債等債券売却損や国債等債券償還損の増加等により同6億13百万円増加したため、同20億80百万円減少し5億55百万円の支出超過となりました。その他業務費用の増加は、リスク圧縮・ポートフォリオ改善目的として、評価損となっていた投資信託の売却を実施したことが主な要因です。
営業経費は、前連結会計年度比27百万円増加し240億66百万円となりました。主な要因は、退職給付費用の増加による人件費の増加であり、物件費は中期経営計画の戦略目標Ⅱに掲げるBPR・ICT戦略の加速による効果により順調に減少しております。
その他経常収支は、その他経常収益が株式等売却益の増加等により前連結会計年度比1億99百万円増加し、その他経常費用が貸出金償却や株式等償却の減少等により同72億5百万円減少したため、同74億2百万円増加し23億30百万円となりました。これは前連結会計年度のお取引先の債務者区分ランクダウンによる貸出金償却や新型コロナウイルス感染症の影響による多額の株式等償却の発生等の反動によるものです。
特別損益は、減損損失の減少等により、前連結会計年度比4億81百万円損失が縮小し1億42百万円の損失となりました。
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比35億45百万円増加し66億41百万円となりました。
② 財政状態の分析
(貸出金)
貸出金は、引き続きアセット構造の改革を積極的に進め、大企業向け及び中堅企業向け貸出金は減少しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う資金繰り支援に積極的に対応しました結果、中小企業向け貸出金の増加等により、前連結会計年度末比922億円増加の1兆8,770億円となりました。
リスク管理債権は、融資取引先の経営改善支援に積極的に取り組むなか、債務者区分の見直しもあり、前連結会計年度末比12億円増加し415億円となりました。貸出金残高に対するリスク管理債権の比率は、同0.04ポイント低下し2.21%となりました。
(有価証券)
有価証券は、運用を強化し、投資信託や外国証券等を中心に投資しました結果、前連結会計年度末比1,490億円増加の9,672億円となりました。
なお、その他有価証券に係る評価損益は、前連結会計年度末の新型コロナウイルス感染症に伴う市場の混乱からの回復もあり、株式の評価益が増加したこと等から、前連結会計年度末比174億円増加の383億円の評価益となりました。
(預金等・預り資産)
譲渡性預金を含めた預金等は、個人預金、法人等預金、及び譲渡性預金がそれぞれ増加し、前連結会計年度末比2,281億円増加の2兆9,043億円となりました。
預り資産は、新型コロナウイルス感染症の影響により営業活動が制限されるなか、お客さまに寄り添った提案や長期的な資産形成支援などの個人コンサルティング活動に努めました結果、個人年金保険等は減少しましたが、投資信託が増加し、前連結会計年度末比3億円増加の2,502億円となりました。
(連結自己資本比率[国内基準])
連結自己資本比率は、リスク・アセットの額が有価証券の増加等により前連結会計年度末比187億円増加しましたが、自己資本の額も利益剰余金の増加等により同37億円増加したため、同0.15ポイント上昇し9.11%となりました。
なお、国内基準で求められている4%の基準は大幅に上回っており、十分な健全性を確保しております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当行グループは銀行業務を中心に金融サービスを提供していることから、主にお客さまからお預かりした預金等を中心に、また必要に応じて市場等からも資金調達を行い、貸出金や有価証券等により資金運用を行っております。資金の調達・運用状況は、月に1回開催するALM委員会に報告されており、適切にコントロールしております。
なお、設備投資、株主還元等につきましては自己資金で対応しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループが連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
〈貸倒引当金〉
当行グループは、金融機関が自ら自行の保有する資産を個別に検討して、回収の危険性または価値の毀損の危険性の度合に従って区分する自己査定を実施し、予め定めている償却・引当基準に則り、貸倒引当金を計上しております。債務者区分別の具体的な内容につきましては、「第5 経理の状況 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (5)貸倒引当金の計上基準」に記載のとおりであります。
また、見積りに用いた主要な仮定については、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計上の見積り) (2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報 ②主要な仮定」に記載のとおりであります。
会計上の見積りを決定する際に使用した測定のプロセスは当行グループの状況から見て適切であり、適切な貸倒引当金を計上していると判断しておりますが 、貸出先の経営状況が予想を超えて悪化した場合、現時点で見積もり計上した貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、担保価格の下落、またはその他の予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しを必要とする場合もあり、これらの場合には当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
なお、上記における新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、今後一定程度継続するとの想定のもと、一部の業種等への影響は一時的に深刻となるものの、政府や地方公共団体の経済対策や金融機関による支援等により、多額の与信関係費用が発生する事態には至らないという仮定をおいております。しかしながら本感染症は、経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予想することは困難なことから、想定を超えて与信関係費用が増加するなど、当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当行グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当行グループ(当行、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
主要勘定につきましては、預金は、個人預金や法人預金が増加し、前連結会計年度末比2,084億円増加の2兆8,474億円となりました。また、譲渡性預金を含めた預金等につきましては、前連結会計年度末比2,281億円増加の2兆9,043億円となりました。貸出金は、引き続きアセット構造の改革を進め大・中堅企業向け貸出金は減少しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う資金繰り支援に積極的に対応しました結果、中小企業等貸出金が増加し、前連結会計年度末比922億円増加の1兆8,770億円となりました。有価証券は、運用を強化し、投資信託や外国証券等を購入しました結果、前連結会計年度末比1,490億円増加の9,672億円となりました。
損益につきましては、経常収益は、国債等債券売却益の減少等により、前連結会計年度比14億68百万円減少し415億2百万円となりました。経常費用は、貸出金償却や株式等償却の減少等により、前連結会計年度比78億53百万円減少し320億20百万円となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度比63億85百万円増加し94億82百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同35億45百万円増加の66億41百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の増加等により2,242億49百万円のプラスとなりました。前連結会計年度比では3,198億1百万円増加しております。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が有価証券の売却や償還による収入を上回ったこと等により1,283億6百万円のマイナスとなりました。前連結会計年度比では1,124億97百万円減少しております。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や自己株式の取得による支出等により22億84百万円のマイナスとなりました。前連結会計年度比では6億98百万円減少しております。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、当連結会計年度中に936億59百万円増加し3,276億45百万円となりました。
(参考)
(1) 国内・国際業務部門別収支
(国内業務部門)
資金運用収支は、前連結会計年度に比べ6億2百万円増加し234億25百万円となりました。
役務取引等収支は、前連結会計年度に比べ2億22百万円増加し50億59百万円となりました。
その他業務収支は、前連結会計年度に比べ91百万円減少し12億20百万円の支出超過となりました。
(国際業務部門)
資金運用収支は、前連結会計年度に比べ2億69百万円増加し32億69百万円となりました。
役務取引等収支は、前連結会計年度に比べ3百万円減少し19百万円となりました。
その他業務収支は、前連結会計年度に比べ19億90百万円減少し6億64百万円となりました。
| 種類 | 期別 | 国内業務部門 | 国際業務部門 | 合計 |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
| 資金運用収支 | 前連結会計年度 | 22,823 | 3,000 | 25,824 |
| 当連結会計年度 | 23,425 | 3,269 | 26,694 | |
| うち資金運用収益 | 前連結会計年度 | 23,881 | 4,658 | 28 28,511 |
| 当連結会計年度 | 24,426 | 3,717 | 34 28,110 | |
| うち資金調達費用 | 前連結会計年度 | 1,058 | 1,657 | 28 2,687 |
| 当連結会計年度 | 1,000 | 448 | 34 1,415 | |
| 信託報酬 | 前連結会計年度 | 0 | ― | 0 |
| 当連結会計年度 | 0 | ― | 0 | |
| 役務取引等収支 | 前連結会計年度 | 4,837 | 22 | 4,859 |
| 当連結会計年度 | 5,059 | 19 | 5,079 | |
| うち役務取引等収益 | 前連結会計年度 | 7,163 | 63 | 7,227 |
| 当連結会計年度 | 7,362 | 68 | 7,430 | |
| うち役務取引等費用 | 前連結会計年度 | 2,326 | 41 | 2,367 |
| 当連結会計年度 | 2,302 | 48 | 2,351 | |
| その他業務収支 | 前連結会計年度 | △1,129 | 2,654 | 1,525 |
| 当連結会計年度 | △1,220 | 664 | △555 | |
| うちその他業務収益 | 前連結会計年度 | 145 | 2,773 | 2,919 |
| 当連結会計年度 | 150 | 1,299 | 1,450 | |
| うちその他業務費用 | 前連結会計年度 | 1,275 | 118 | 1,393 |
| 当連結会計年度 | 1,371 | 635 | 2,006 |
(注) 1 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
3 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除して表示しております。
(参考)
(2) 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況
① 国内業務部門
資金運用勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ1,855億円増加し2兆8,248億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.04ポイント低下し0.86%となりました。
資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ2,064億円増加し2兆9,104億円となりました。同利回りは、前連結会計年度と同じ0.03%となりました。
| 種類 | 期別 | 平均残高 | 利息 | 利回り |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||
| 資金運用勘定 | 前連結会計年度 | (143,483) 2,639,332 | (28) 23,881 | 0.90 |
| 当連結会計年度 | (170,169) 2,824,875 | (34) 24,426 | 0.86 | |
| うち貸出金 | 前連結会計年度 | 1,656,739 | 17,830 | 1.07 |
| 当連結会計年度 | 1,723,758 | 18,057 | 1.04 | |
| うち商品有価証券 | 前連結会計年度 | 6 | 0 | 0.21 |
| 当連結会計年度 | 10 | 0 | 0.42 | |
| うち有価証券 | 前連結会計年度 | 639,614 | 5,899 | 0.92 |
| 当連結会計年度 | 700,129 | 6,129 | 0.87 | |
| うちコールローン 及び買入手形 | 前連結会計年度 | 115,169 | △50 | △0.04 |
| 当連結会計年度 | 93,709 | △32 | △0.03 | |
| うち預け金 | 前連結会計年度 | 63,031 | 63 | 0.10 |
| 当連結会計年度 | 119,396 | 119 | 0.09 | |
| 資金調達勘定 | 前連結会計年度 | 2,703,963 | 1,058 | 0.03 |
| 当連結会計年度 | 2,910,455 | 1,000 | 0.03 | |
| うち預金 | 前連結会計年度 | 2,575,984 | 334 | 0.01 |
| 当連結会計年度 | 2,745,073 | 288 | 0.01 | |
| うち譲渡性預金 | 前連結会計年度 | 52,950 | 13 | 0.02 |
| 当連結会計年度 | 66,365 | 9 | 0.01 | |
| うちコールマネー 及び売渡手形 | 前連結会計年度 | 5,751 | △2 | △0.04 |
| 当連結会計年度 | 876 | △0 | △0.01 | |
| うち債券貸借取引受入 担保金 | 前連結会計年度 | 12,675 | 1 | 0.01 |
| 当連結会計年度 | 5,111 | 0 | 0.01 | |
| うち借用金 | 前連結会計年度 | 57,278 | 43 | 0.07 |
| 当連結会計年度 | 94,588 | 44 | 0.04 |
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建対非居住者取引等を除いた円建取引であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度82,191百万円、当連結会計年度85,300百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度1,000百万円、当連結会計年度1,999百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
4 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
② 国際業務部門
資金運用勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ248億円増加し2,972億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.46ポイント低下し1.25%となりました。
資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ244億円増加し2,962億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.45ポイント低下し0.15%となりました。
| 種類 | 期別 | 平均残高 | 利息 | 利回り |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||
| 資金運用勘定 | 前連結会計年度 | 272,365 | 4,658 | 1.71 |
| 当連結会計年度 | 297,217 | 3,717 | 1.25 | |
| うち貸出金 | 前連結会計年度 | 107,074 | 1,818 | 1.69 |
| 当連結会計年度 | 121,797 | 1,317 | 1.08 | |
| うち商品有価証券 | 前連結会計年度 | ― | ― | ― |
| 当連結会計年度 | ― | ― | ― | |
| うち有価証券 | 前連結会計年度 | 153,139 | 2,821 | 1.84 |
| 当連結会計年度 | 165,613 | 2,408 | 1.45 | |
| うちコールローン 及び買入手形 | 前連結会計年度 | 2,980 | 42 | 1.41 |
| 当連結会計年度 | 1,522 | 4 | 0.26 | |
| うち預け金 | 前連結会計年度 | ― | ― | ― |
| 当連結会計年度 | ― | ― | ― | |
| 資金調達勘定 | 前連結会計年度 | (143,483) 271,823 | (28) 1,657 | 0.60 |
| 当連結会計年度 | (170,169) 296,291 | (34) 448 | 0.15 | |
| うち預金 | 前連結会計年度 | 35,636 | 176 | 0.49 |
| 当連結会計年度 | 32,231 | 37 | 0.11 | |
| うち譲渡性預金 | 前連結会計年度 | ― | ― | ― |
| 当連結会計年度 | ― | ― | ― | |
| うちコールマネー 及び売渡手形 | 前連結会計年度 | 17,242 | 389 | 2.25 |
| 当連結会計年度 | 13,766 | 92 | 0.67 | |
| うち債券貸借取引受入 担保金 | 前連結会計年度 | 64,469 | 76 | 0.11 |
| 当連結会計年度 | 57,126 | 26 | 0.04 | |
| うち借用金 | 前連結会計年度 | 10,924 | 252 | 2.31 |
| 当連結会計年度 | 22,959 | 126 | 0.55 |
(注) 1 国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
③ 合計
| 種類 | 期別 | 平均残高 | 利息 | 利回り |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||
| 資金運用勘定 | 前連結会計年度 | 2,768,214 | 28,511 | 1.02 |
| 当連結会計年度 | 2,951,922 | 28,110 | 0.95 | |
| うち貸出金 | 前連結会計年度 | 1,763,814 | 19,648 | 1.11 |
| 当連結会計年度 | 1,845,555 | 19,374 | 1.04 | |
| うち商品有価証券 | 前連結会計年度 | 6 | 0 | 0.21 |
| 当連結会計年度 | 10 | 0 | 0.42 | |
| うち有価証券 | 前連結会計年度 | 792,753 | 8,721 | 1.10 |
| 当連結会計年度 | 865,742 | 8,538 | 0.98 | |
| うちコールローン 及び買入手形 | 前連結会計年度 | 118,150 | △8 | △0.00 |
| 当連結会計年度 | 95,232 | △28 | △0.02 | |
| うち預け金 | 前連結会計年度 | 63,031 | 63 | 0.10 |
| 当連結会計年度 | 119,396 | 119 | 0.09 | |
| 資金調達勘定 | 前連結会計年度 | 2,832,304 | 2,687 | 0.09 |
| 当連結会計年度 | 3,036,576 | 1,415 | 0.04 | |
| うち預金 | 前連結会計年度 | 2,611,620 | 511 | 0.01 |
| 当連結会計年度 | 2,777,304 | 325 | 0.01 | |
| うち譲渡性預金 | 前連結会計年度 | 52,950 | 13 | 0.02 |
| 当連結会計年度 | 66,365 | 9 | 0.01 | |
| うちコールマネー 及び売渡手形 | 前連結会計年度 | 22,994 | 386 | 1.68 |
| 当連結会計年度 | 14,643 | 92 | 0.63 | |
| うち債券貸借取引受入 担保金 | 前連結会計年度 | 77,144 | 77 | 0.10 |
| 当連結会計年度 | 62,237 | 27 | 0.04 | |
| うち借用金 | 前連結会計年度 | 68,203 | 296 | 0.43 |
| 当連結会計年度 | 117,548 | 170 | 0.14 |
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度82,191百万円、当連結会計年度85,300百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度1,000百万円、当連結会計年度1,999百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0万円)を、それぞれ控除して表示しております。
2 国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息は相殺して記載しております。
(参考)
(3) 国内・国際業務部門別役務取引の状況
役務取引は、そのほとんどを国内業務部門で占めており、主要な役務取引の内訳は次のとおりであります。
| 種類 | 期別 | 国内業務部門 | 国際業務部門 | 合計 |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
| 役務取引等収益 | 前連結会計年度 | 7,163 | 63 | 7,227 |
| 当連結会計年度 | 7,362 | 68 | 7,430 | |
| うち預金・貸出業務 | 前連結会計年度 | 1,707 | 1 | 1,709 |
| 当連結会計年度 | 1,665 | 2 | 1,667 | |
| うち為替業務 | 前連結会計年度 | 1,939 | 60 | 2,000 |
| 当連結会計年度 | 1,940 | 62 | 2,002 | |
| うち信託関連業務 | 前連結会計年度 | ― | ― | ― |
| 当連結会計年度 | ― | ― | ― | |
| うち証券関連業務 | 前連結会計年度 | 754 | ― | 754 |
| 当連結会計年度 | 862 | ― | 862 | |
| うち代理業務 | 前連結会計年度 | 911 | ― | 911 |
| 当連結会計年度 | 931 | ― | 931 | |
| うち保護預り・ 貸金庫業務 | 前連結会計年度 | 73 | ― | 73 |
| 当連結会計年度 | 72 | ― | 72 | |
| うち保証業務 | 前連結会計年度 | 243 | 1 | 244 |
| 当連結会計年度 | 256 | 2 | 258 | |
| 役務取引等費用 | 前連結会計年度 | 2,326 | 41 | 2,367 |
| 当連結会計年度 | 2,302 | 48 | 2,351 | |
| うち為替業務 | 前連結会計年度 | 288 | 35 | 324 |
| 当連結会計年度 | 281 | 44 | 326 |
(注) 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
(参考)
(4) 国内・国際業務部門別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
| 種類 | 期別 | 国内業務部門 | 国際業務部門 | 合計 |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
| 預金合計 | 前連結会計年度 | 2,608,502 | 30,532 | 2,639,035 |
| 当連結会計年度 | 2,818,394 | 29,094 | 2,847,488 | |
| うち流動性預金 | 前連結会計年度 | 1,521,661 | ― | 1,521,661 |
| 当連結会計年度 | 1,747,097 | ― | 1,747,097 | |
| うち定期性預金 | 前連結会計年度 | 1,065,519 | ― | 1,065,519 |
| 当連結会計年度 | 1,045,797 | ― | 1,045,797 | |
| うちその他 | 前連結会計年度 | 21,322 | 30,532 | 51,855 |
| 当連結会計年度 | 25,499 | 29,094 | 54,593 | |
| 譲渡性預金 | 前連結会計年度 | 37,145 | ― | 37,145 |
| 当連結会計年度 | 56,888 | ― | 56,888 | |
| 総合計 | 前連結会計年度 | 2,645,648 | 30,532 | 2,676,181 |
| 当連結会計年度 | 2,875,282 | 29,094 | 2,904,376 |
(注) 1 国内業務部門は円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金+定期積金
(参考)
(5) 貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
| 業種別 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |
| 国内(除く特別国際金融取引勘定分) | 1,784,830 | 100.00 | 1,877,078 | 100.00 |
| 製造業 | 190,156 | 10.65 | 184,702 | 9.84 |
| 農業、林業 | 1,971 | 0.11 | 2,258 | 0.12 |
| 漁業 | 2,345 | 0.13 | 2,934 | 0.16 |
| 鉱業、採石業、砂利採取業 | 3,450 | 0.19 | 3,587 | 0.19 |
| 建設業 | 46,234 | 2.59 | 61,035 | 3.25 |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 50,330 | 2.82 | 51,498 | 2.74 |
| 情報通信業 | 12,651 | 0.71 | 13,064 | 0.70 |
| 運輸業、郵便業 | 43,639 | 2.44 | 52,031 | 2.77 |
| 卸売業 | 88,745 | 4.97 | 94,914 | 5.06 |
| 小売業 | 96,660 | 5.42 | 106,298 | 5.66 |
| 金融業、保険業 | 33,344 | 1.87 | 30,382 | 1.62 |
| 不動産業 | 252,603 | 14.15 | 270,917 | 14.43 |
| 物品賃貸業 | 42,571 | 2.39 | 39,153 | 2.09 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 6,948 | 0.39 | 8,551 | 0.46 |
| 宿泊業 | 8,278 | 0.46 | 9,921 | 0.53 |
| 飲食業 | 10,378 | 0.58 | 15,646 | 0.83 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 14,470 | 0.81 | 14,678 | 0.78 |
| 教育、学習支援業 | 7,820 | 0.44 | 8,140 | 0.43 |
| 医療・福祉 | 104,158 | 5.84 | 111,415 | 5.94 |
| その他のサービス | 30,974 | 1.74 | 33,875 | 1.80 |
| 地方公共団体 | 301,416 | 16.89 | 311,049 | 16.57 |
| その他 | 435,677 | 24.41 | 451,018 | 24.03 |
| 特別国際金融取引勘定分 | ― | ― | ― | ― |
| 政府等 | ― | ― | ― | ― |
| 金融機関 | ― | ― | ― | ― |
| その他 | ― | ― | ― | ― |
| 合計 | 1,784,830 | ― | 1,877,078 | ― |
② 外国政府等向け債権残高(国別)
該当事項はありません。
(参考)
(6) 国内・国際業務部門別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
| 種類 | 期別 | 国内業務部門 | 国際業務部門 | 合計 |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
| 国債 | 前連結会計年度 | 142,634 | ― | 142,634 |
| 当連結会計年度 | 145,023 | ― | 145,023 | |
| 地方債 | 前連結会計年度 | 242,506 | ― | 242,506 |
| 当連結会計年度 | 278,227 | ― | 278,227 | |
| 社債 | 前連結会計年度 | 155,466 | ― | 155,466 |
| 当連結会計年度 | 165,423 | ― | 165,423 | |
| 株式 | 前連結会計年度 | 53,467 | ― | 53,467 |
| 当連結会計年度 | 63,721 | ― | 63,721 | |
| その他の証券 | 前連結会計年度 | 81,326 | 142,846 | 224,172 |
| 当連結会計年度 | 109,842 | 205,053 | 314,895 | |
| 合計 | 前連結会計年度 | 675,400 | 142,846 | 818,246 |
| 当連結会計年度 | 762,237 | 205,053 | 967,291 |
(注) 1 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(参考)
(7) 「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は提出会社1社であります。
① 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表/連結)
| 資産 | ||||
| 前連結会計年度 (2020年3月31日) | 当連結会計年度 (2021年3月31日) | |||
| 金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |
| 現金預け金 | 54 | 100.00 | 51 | 100.00 |
| 合計 | 54 | 100.00 | 51 | 100.00 |
| 負債 | ||||
| 前連結会計年度 (2020年3月31日) | 当連結会計年度 (2021年3月31日) | |||
| 金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |
| 金銭信託 | 54 | 100.00 | 51 | 100.00 |
| 合計 | 54 | 100.00 | 51 | 100.00 |
(注) 1 共同信託他社管理財産 前連結会計年度―百万円 当連結会計年度―百万円
2 元本補填契約のある信託については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額については基礎的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
| 2021年3月31日 | ||
| 1.連結自己資本比率 (2/3) | % | 9.11 |
| 2.連結における自己資本の額 | 億円 | 1,334 |
| 3.リスク・アセットの額 | 億円 | 14,648 |
| 4.連結総所要自己資本額 | 億円 | 585 |
単体自己資本比率(国内基準)
| 2021年3月31日 | ||
| 1.自己資本比率 (2/3) | % | 8.77 |
| 2.単体における自己資本の額 | 億円 | 1,277 |
| 3.リスク・アセットの額 | 億円 | 14,552 |
| 4.単体総所要自己資本額 | 億円 | 582 |
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、3カ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
| 債権の区分 | 2020年3月31日 | 2021年3月31日 |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |
| 破産更生債権及びこれらに準ずる債権 | 7,120 | 3,331 |
| 危険債権 | 29,870 | 34,402 |
| 要管理債権 | 2,956 | 3,480 |
| 正常債権 | 1,778,786 | 1,874,699 |
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討結果内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当行の中期経営計画「ベスト リライアブル・バンクへの挑戦 ステップ3」の2年目となる当連結会計年度は、以下の内容に取り組みました。
〈戦略目標Ⅰ 「四銀スタイル」の確立〉
当行の特長である「Just Like Family!な人財力」をベースに、お客さまに対して高度なコンサルティング機能を提供できる人財を開発・育成し、「四銀スタイル」の確立に取り組みました。その結果、コンサルティング力を発揮するために必要な資格試験等の合格者数(延べ人数)は、新型コロナウイルス感染症の影響により一部の試験が中止となったことにより前連結会計年度比29人減少の700人となりましたが、オンラインを活用した研修スタイルの確立により、休日開催講座の受講者数(延べ人数)は前連結会計年度比412人増加の926人となりました。
また、「従業者及びその家族の健康は、企業にとって大切な財産であり、守るべきものである」との考え方のもと、従業者が健康で、やりがい・働きがいの持てる働き方の実現に向けた取組みを推し進めました。その結果、働き方改革の実効性を高める取組みとして、働き方改革プロジェクトチームを公募により組成し、諸施策の検討を開始するとともに、監督職層(支店長代理・主任)以上に占める女性行員の割合は前連結会計年度比1.8ポイント上昇の20.3%となり、目標の20.0%を達成しました。
こうした「四銀スタイル」の確立に向けた人財の開発・育成によるコンサルティング機能強化や女性行員の役職者数増加等、効果的な人財開発・育成への取組みが評価され、経済産業省による「新・ダイバーシティ経営企業100選」を、令和2年度受賞企業14社の中で金融・保険業としては唯一当行が受賞しました。
〈戦略目標Ⅱ BPR・ICT戦略の加速〉
BPRの推進を通じて生産性の向上とお客さまの利便性の向上を図るため、入金伝票や振込依頼書等の記入が原則不要となるなど、お客さまの手続きが簡単、スピーディーになる「クイック窓口」の導入を高知県内の37店舗の営業店にまで拡大したほか、事務の本部集中やインターネットバンキングの利用促進、ペーパーレスの推進などに取り組みました。当連結会計年度の印刷枚数は、前連結会計年度比で9.9%の減少となりました。
また、より質の高いコンサルティング機能の発揮に向け、口座開設や住所変更等の手続きについて、タブレット端末によりペーパーレス、印鑑レス化を実現する「Smile」を試行導入しました。さらには、四国銀行アプリの機能改善や、紙の通帳に代わるデジタル通帳サービス「スマート通帳」の導入等、お客さまの利便性向上を図りました。
店舗につきましては、質の高いサービスの提供と、店舗運営の効率化を図るため、高知県では南国南支店を南国支店内に、また、横浜ニュータウン出張所を桂浜通支店内に、徳島県では国府支店を徳島西支店内にそれぞれブランチ・イン・ブランチ方式にて移転統合しました。結果、当連結会計年度末の有人店舗数は、前連結会計年度末比3店舗減少し、100店(本支店90店、出張所1店及び代理店9店)となりました。また、これからの店舗のあり方として、「The Bridge of Lifetime Finance(人生における金融の架け橋になる)」を目指し、一宮支店(高知県)を次世代型店舗第1号店舗として新築移転しました。
こうした取組みにより、当連結会計年度における人員捻出・再配置数は、中期経営計画期間中の計画人数300人に対し、182人(採用抑制等69人、再配置113人)と順調に進み、結果として、当行全体の人員数削減と、コンサルティング部門・企画部門への人員配置が実現しました。
〈戦略目標Ⅲ 3つのコンサルティング機能の発揮〉
コンサルティング機能の発揮に向け、ビジネス、個人、地域の3つのコンサルティングを軸に取り組みました。
法人のお客さまに対しては、Withコロナ・Afterコロナを見据え、コンサルティング部の「事業承継・相続サポートデスク」や審査部の「経営支援室」の体制を強化し、営業店とも一体となって、事業承継・M&A、経営改善支援等のお客さまの課題解決に向けた支援を行いました。また、コロナ禍でのお客さまニーズを踏まえたビジネスマッチングの取組みを強化した結果、ビジネスマッチングの成約件数は前連結会計年度比546件増加の1,275件となりました。
個人のお客さまに対しては、高度なコンサルティング力を発揮できる営業店担当者及び統括する本部担当者をそれぞれ前連結会計年度より増員し、営業店と本部が連携してお客さまのライフステージに応じたコンサルティング活動を一層推進しました。また、お客さまの資産形成ニーズにあわせた幅広いご提案を行うために、商品ラインナップの充実に努めました。
新型コロナウイルス感染症の影響による急激な市況変動時には、アフターフォロー及び資産形成に向けた各種提案等を積極的に実施しました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響はありましたが、地域を活性化することが地域金融機関の役割であるとの原点に立ち、地方創生に向けた様々な取組みを行いました。
「しぎん地域活性化ファンド」を通じては、地域の医療の発展に寄与すべく、医師と患者の負担軽減につながる医療機器を開発・提供する事業に対して投資を行いました。また、株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)等と共同で出資した「高知県観光活性化ファンド」を通じた、広域観光組織の整備や観光施設の磨き上げなど、高知県の観光振興に対するこれまでの取組みが評価され、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部による「地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』」に選定され、内閣府から表彰されました。
その他、新型コロナウイルス感染症の影響によって事業に影響を受けられた高知県内の飲食店や観光施設を支援するための、クラウドファンディングを活用した取組みをはじめ、森林の間伐活動等、SDGsに繋がる活動にも積極的に取り組みました。
四国の地方銀行4行(当行、阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行)による「四国アライアンス」では、地域商社Shikokuブランド株式会社を設立し、地域資源のブランディングや販路開拓支援に向けた取組みを開始しました。また、四国アライアンスキャピタル株式会社が運営する「しこく創生ファンド」「しこく中小企業支援ファンド」を活用した事業承継や企業再生への取組みや、オンラインを活用した商談会の開催等、四国創生に向けた活動を一層推し進めました。
〈戦略目標Ⅳ 持続可能な財務基盤・経営基盤の確立〉
中期経営計画の実績(単体ベース)及び進捗は以下のとおりであります。
2020年度の単年度の財務目標につきましては、中期経営計画に基づく各施策に取り組んだ結果、全ての項目で目標を達成することができました。コンサルティング機能の発揮に関する数値目標では、投資性商品契約者比率及び預り資産残高は未達成となりましたが、事業所融資先数、事業承継・M&A支援件数、ビジネスマッチング成約件数は目標を達成しました。
・財務目標(2020年度の単年度目標)
| 経営指標 | 目標 | 実績 |
| 当期純利益 | 30億円以上 | 65億25百万円 |
| 自己資本比率 | 8%台 | 8.77% |
| ROE (株主資本ベース) | 2.5%以上 | 5.4% |
(注)ROE(株主資本ベース)は、当期純利益を株主資本合計(当事業年度末と前事業年度末の平均値)で
除して算出しております。
・コンサルティング機能の発揮に関する数値目標
| 項目 | 2020年度までの目標 | 2020年度実績 | |
| 事業所融資先数 | 2020年度末 | 11,500先以上 | 12,049先 |
| 事業継承・M&A支援件数 | 2019年度～2020年度 | 3,350件以上 | 4,311件 |
| ビジネスマッチング成約件数 | 2019年度～2020年度 | 1,000件以上 | 2,004件 |
| 投資性商品契約者比率 | 2020年度末 | 3.5%以上 | 2.76% |
| 預り資産残高 (投資信託及び個人年金保険等) | 2020年度末 | 2,550億円以上 | 2,339億円 |
(注)投資性商品契約者比率は、20歳～50歳の投資信託または個人年金保険等の契約者を同年代の個人預金取引
先数で除して算出しております。
① 経営成績の分析
資金運用収支は、資金運用収益は前連結会計年度比4億1百万円減少しましたが、資金調達費用が同12億72百万円減少したため、同8億71百万円増加し266億94百万円となりました。世界的な金融緩和のなか、主に外貨の運用利回り低下により貸出金利息や有価証券利息配当金が減少しましたが、短期市場での外貨の調達利回り低下により金利スワップ支払利息等が大きく減少したことが主な要因です。
役務取引等収支は、役務取引等収益が前連結会計年度比2億3百万円増加し、役務取引等費用が同16百万円減少したため、同2億20百万円増加し50億79百万円となりました。戦略目標Ⅲに掲げる3つのコンサルティング機能の発揮に取り組み、法人及び個人のコンサルティング収益が増加しました。法人では、多様な資金調達ニーズに対応したスキームの構築等へ積極的に取り組むことで、ストラクチャリング手数料や事業承継・M&A手数料等が増加しました。また個人では、お客さまの資産形成ニーズに合わせた幅広いご提案に努め、投資信託関係手数料等が増加しました。
その他業務収支は、その他業務収益が国債等債券売却益の減少等により前連結会計年度比14億69百万円減少し、その他業務費用が国債等債券売却損や国債等債券償還損の増加等により同6億13百万円増加したため、同20億80百万円減少し5億55百万円の支出超過となりました。その他業務費用の増加は、リスク圧縮・ポートフォリオ改善目的として、評価損となっていた投資信託の売却を実施したことが主な要因です。
営業経費は、前連結会計年度比27百万円増加し240億66百万円となりました。主な要因は、退職給付費用の増加による人件費の増加であり、物件費は中期経営計画の戦略目標Ⅱに掲げるBPR・ICT戦略の加速による効果により順調に減少しております。
その他経常収支は、その他経常収益が株式等売却益の増加等により前連結会計年度比1億99百万円増加し、その他経常費用が貸出金償却や株式等償却の減少等により同72億5百万円減少したため、同74億2百万円増加し23億30百万円となりました。これは前連結会計年度のお取引先の債務者区分ランクダウンによる貸出金償却や新型コロナウイルス感染症の影響による多額の株式等償却の発生等の反動によるものです。
特別損益は、減損損失の減少等により、前連結会計年度比4億81百万円損失が縮小し1億42百万円の損失となりました。
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比35億45百万円増加し66億41百万円となりました。
② 財政状態の分析
(貸出金)
貸出金は、引き続きアセット構造の改革を積極的に進め、大企業向け及び中堅企業向け貸出金は減少しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う資金繰り支援に積極的に対応しました結果、中小企業向け貸出金の増加等により、前連結会計年度末比922億円増加の1兆8,770億円となりました。
| 前連結会計年度 (百万円)(A) | 当連結会計年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | ||
| 貸出金(末残) | 個人向け | 352,219 | 359,071 | 6,852 |
| 中小企業向け | 861,820 | 971,104 | 109,284 | |
| その他 | 570,790 | 546,901 | △23,889 | |
| 計 | 1,784,830 | 1,877,078 | 92,248 | |
リスク管理債権は、融資取引先の経営改善支援に積極的に取り組むなか、債務者区分の見直しもあり、前連結会計年度末比12億円増加し415億円となりました。貸出金残高に対するリスク管理債権の比率は、同0.04ポイント低下し2.21%となりました。
| 前連結会計年度 (百万円)(A) | 当連結会計年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | ||
| リスク管理債権額 (末残) | 破綻先債権 | 548 | 432 | △116 |
| 延滞債権 | 36,729 | 37,588 | 859 | |
| 3カ月以上延滞債権 | ― | ― | ― | |
| 貸出条件緩和債権 | 2,956 | 3,480 | 524 | |
| 計 | 40,234 | 41,502 | 1,268 | |
| 前連結会計年度 (%)(A) | 当連結会計年度 (%)(B) | 増減(%) (B)-(A) | ||
| 貸出金残高比率 | 破綻先債権 | 0.03 | 0.02 | △0.01 |
| 延滞債権 | 2.05 | 2.00 | △0.05 | |
| 3カ月以上延滞債権 | ― | ― | ― | |
| 貸出条件緩和債権 | 0.16 | 0.18 | 0.02 | |
| 計 | 2.25 | 2.21 | △0.04 | |
(有価証券)
有価証券は、運用を強化し、投資信託や外国証券等を中心に投資しました結果、前連結会計年度末比1,490億円増加の9,672億円となりました。
なお、その他有価証券に係る評価損益は、前連結会計年度末の新型コロナウイルス感染症に伴う市場の混乱からの回復もあり、株式の評価益が増加したこと等から、前連結会計年度末比174億円増加の383億円の評価益となりました。
| 前連結会計年度 (百万円)(A) | 当連結会計年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | ||
| その他有価証券に 係る評価損益(年度末) | 株式 | 10,609 | 23,270 | 12,661 |
| 債券 | 7,119 | 6,503 | △616 | |
| その他 | 3,213 | 8,622 | 5,409 | |
| 計 | 20,941 | 38,395 | 17,454 | |
(預金等・預り資産)
譲渡性預金を含めた預金等は、個人預金、法人等預金、及び譲渡性預金がそれぞれ増加し、前連結会計年度末比2,281億円増加の2兆9,043億円となりました。
| 前連結会計年度 (百万円)(A) | 当連結会計年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | ||
| 預金等(末残) | 個人預金 | 1,771,524 | 1,873,885 | 102,361 |
| 法人等預金 | 867,511 | 973,603 | 106,092 | |
| 譲渡性預金 | 37,145 | 56,888 | 19,743 | |
| 計 | 2,676,181 | 2,904,376 | 228,195 | |
預り資産は、新型コロナウイルス感染症の影響により営業活動が制限されるなか、お客さまに寄り添った提案や長期的な資産形成支援などの個人コンサルティング活動に努めました結果、個人年金保険等は減少しましたが、投資信託が増加し、前連結会計年度末比3億円増加の2,502億円となりました。
| 前連結会計年度 (百万円)(A) | 当連結会計年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | ||
| 預り資産(末残) | 公共債 | 16,551 | 16,352 | △199 |
| 投資信託 | 44,420 | 53,341 | 8,921 | |
| 個人年金保険等 | 189,009 | 180,602 | △8,407 | |
| 計 | 249,981 | 250,296 | 315 | |
(連結自己資本比率[国内基準])
連結自己資本比率は、リスク・アセットの額が有価証券の増加等により前連結会計年度末比187億円増加しましたが、自己資本の額も利益剰余金の増加等により同37億円増加したため、同0.15ポイント上昇し9.11%となりました。
なお、国内基準で求められている4%の基準は大幅に上回っており、十分な健全性を確保しております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当行グループは銀行業務を中心に金融サービスを提供していることから、主にお客さまからお預かりした預金等を中心に、また必要に応じて市場等からも資金調達を行い、貸出金や有価証券等により資金運用を行っております。資金の調達・運用状況は、月に1回開催するALM委員会に報告されており、適切にコントロールしております。
なお、設備投資、株主還元等につきましては自己資金で対応しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループが連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
〈貸倒引当金〉
当行グループは、金融機関が自ら自行の保有する資産を個別に検討して、回収の危険性または価値の毀損の危険性の度合に従って区分する自己査定を実施し、予め定めている償却・引当基準に則り、貸倒引当金を計上しております。債務者区分別の具体的な内容につきましては、「第5 経理の状況 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (5)貸倒引当金の計上基準」に記載のとおりであります。
また、見積りに用いた主要な仮定については、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計上の見積り) (2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報 ②主要な仮定」に記載のとおりであります。
会計上の見積りを決定する際に使用した測定のプロセスは当行グループの状況から見て適切であり、適切な貸倒引当金を計上していると判断しておりますが 、貸出先の経営状況が予想を超えて悪化した場合、現時点で見積もり計上した貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、担保価格の下落、またはその他の予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しを必要とする場合もあり、これらの場合には当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
なお、上記における新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、今後一定程度継続するとの想定のもと、一部の業種等への影響は一時的に深刻となるものの、政府や地方公共団体の経済対策や金融機関による支援等により、多額の与信関係費用が発生する事態には至らないという仮定をおいております。しかしながら本感染症は、経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予想することは困難なことから、想定を超えて与信関係費用が増加するなど、当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当行グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。