有価証券報告書-第84期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費が底堅く推移し、景気は緩やかな回復基調をたどりました。企業部門では省力化やDX化に向けた投資が堅調を維持した一方、生産は横ばい圏で推移し、企業収益の改善テンポにも一服感がみられました。年明け以降は、高水準の賃上げ見通しが家計を下支えしたものの、中東情勢の緊迫化に伴う原油高や物流面の制約、長期金利の上昇が企業部門や外需の重石となり、景気は緩やかな回復を維持しつつも、期末にかけて慎重な局面となりました。
世界経済は、企業活動の持ち直しや米国景気の底堅さがみられたものの、高金利の継続や通商政策を巡る不確実性のもと、地域ごとに回復の度合いに差を伴いながら推移しました。米国では個人消費や設備投資が景気を支えた一方、欧州では高金利やユーロ高が重石となって景気停滞感が続き、中国では内需の弱さやデフレ圧力が重石となりました。期末にかけては、こうした地域差に加え、中東情勢の緊迫化に伴う原油高や供給不安がインフレ再燃と景気減速懸念を強め、金融市場の変動も含めて先行き不透明感が一段と高まりました。
外国為替市場は、対ドルの円相場を中心に、米国の金融政策見通しと日銀の政策修正観測が交錯し、不安定な推移となりました。4月に139円台後半まで円高が進んだ後は、日銀の利上げ観測後退を背景に円安基調へ転じ、11月には157円台後半までドル高・円安が進行しました。期末にかけては、中東危機を背景とした有事のドル買いや資源価格高騰、米利下げ期待の後退を受けて一段とドル高・円安が進み、3月下旬には160円48銭まで上昇し、総じて円安基調が鮮明となる一年となりました。
日経平均株価は、春先に米国の政策動向を巡る不透明感から値動きの荒い展開となり、4月には年初来安値を付けたものの、その後は生成AI需要拡大への期待を背景とした半導体関連株の上昇や円安基調を追い風に持ち直し、秋口にかけて高値圏へと水準を切り上げました。さらに、期末にかけては、政策期待や日銀の早期利上げ観測後退を支えに上昇基調を強め、2月末には今期最高値5万9,332円43銭を付けましたが、その後は中東情勢悪化に伴う原油高や米ハイテク株安、投資家のリスク回避姿勢の強まりを受けて大きく下落し、3月末終値は前月末比7,786円55銭(13.23%)安の5万1,063円72銭となり当年度の取引を終えました。
こうした経済環境のもと、当社におきましては、「顧客中心主義」に基づいた魅力ある商品・サービス・手数料体系の提供に努めた結果、2026年3月末の預り資産は60兆8,012億円となりました。
業績に関しましては、信用取引の増加や有価証券貸借取引の増加により「金融収益」は120,544百万円(前期比40.2%増)、また、投資信託の代行手数料やアドバイザリー手数料の増加により「その他の受入手数料」は60,534百万円(同7.0%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、営業収益284,630百万円(前期比19.2%増)、純営業収益242,540百万円(同14.7%増)、営業利益86,752百万円(同12.5%増)、経常利益90,458百万円(同18.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益53,604百万円(同12.0%増)となりました。
当連結会計年度の主な取り組みは、以下のとおりであります。
・POマイレージの提供を開始(2025年5月)
・JCBオリジナルシリーズでのクレジットカード投信積立サービスの提供を開始(2025年5月)
・海外出国時の継続保有可能商品の拡充(2025年5月)
・SBI FX、200万口座を達成(2025年6月)
・総合金融サービスOliveの新たな資産運用サービスの提供に向けてSMBCグループと業務提携を公表(2025年6月)
・2025年度JCSI(日本版顧客満足度指数)調査にて、9年連続となる「証券業種」顧客満足第1位を獲得(2025年6月)
・預り資産残高50兆円を突破(2025年6月)
・「J.D.パワー2025年NISA顧客満足度調査SM」<ネット証券部門>3年連続1位、「J.D.パワー2025年個人資産運用顧客満足度調査SM」<ネット証券部門>総合満足度ランキング1位を受賞(2025年7月)
・「SBIラップ」残高1,500億円を突破(2025年7月)
・取引所CFD「くりっく株365」、100万口座を突破(2025年7月)
・外貨建債券残高1兆円を突破(2025年7月)
・SBIマネープラザ株式会社、株式会社400Fと資本業務提携に向けた基本合意を締結(2025年7月)
・投資信託の預り残高20兆円を突破(2025年8月)
・SBI新生銀行とSBIマネープラザによる共同店舗の預り資産残高5,000億円を突破(2025年8月)
・SMBCグループの金融商品仲介口座による投信残高2兆円を突破(2025年8月)
・暗号資産等に対応した店頭CFDサービス(SBI CFD)の提供を開始(2025年8月)
・セキュリティトークンのセカンダリーマーケット(二次流通市場)取引におけるステーブルコインを活用したDvP決済に係る実証プロジェクトを開始(2025年8月)
・HDI-Japan「問合せ窓口格付け」および「Webサポート格付け」において「三つ星」を獲得(2025年9月)
・SBIグループとSMBCグループとの合弁による新会社「株式会社Oliveコンサルティング」を設立(2025年9月)
・証券会社が運営する公式YouTubeチャンネル登録者数No.1の「ビジネスドライブ!」にてチャンネル登録者数50万人を突破(2025年9月)
・SBI新生銀行との預り金自動スィープサービス「SBIハイパー預金」の提供を開始(2025年9月)
・auフィナンシャルグループとのリテール分野における業務提携を開始(2025年9月)
・株式会社Ridge-iと次世代の生成AIチャネル開発に向けた協業を開始(2025年9月)
・国内初となる、ブロックチェーン技術を活用した個人投資家向けプライベートエクイティファンド投資商品を開発(2025年9月)
・業界初となる「e-iDeCo(iDeCo各種手続きオンライン申請)」サービスの提供を開始(2025年10月)
・「かんたん積立アプリ」のデザインリニューアルを実施(2025年11月)
・株式会社東北銀行との入金サービス「東北銀行 リアルタイム入金」の提供を開始(2025年11月)
・「第28回企業電話応対コンテスト」にて国内唯一となる4年連続、通算6度目の「会長賞」受賞及び「ゴールドランク企業」認定(2025年11月)
・国内初となる証券総合口座1,500万口座を達成(2025年11月)
・PC版FX取引ツール『HYPER SBI FX』の提供を開始(2025年11月)
・投資信託「定期売却サービス」機能を拡充(2025年12月)
・SBI新生銀行との連携サービス「SBIハイパー預金」が残高5,000億円を突破(2025年12月)
・預り資産残高60兆円を突破(2025年12月)
・「SBIラップ」第4弾、三井住友DSアセットマネジメントが投資助言を行う「SBIラップ ALL株式コース」の提供を開始(2025年12月)
・国内初のトークン化預金によるセキュリティトークン決済の実発行検証に関する協業を開始(2025年12月)
・国内株式の一般信用新規取引のSOR注文およびPTS注文の取扱いを開始(2026年1月)
・SBIハイパー預金 残高1兆円を突破(2026年1月)
・クレジットカード決済による投資信託の積立サービス 月間積立設定金額1,000億円を突破(2026年1月)
・外国株式取引サイトおよび金・銀・プラチナ取引サイトをリニューアル(2026年1月、2月)
・投資一任サービス「SBIラップ×SBI新生銀行」預り資産残高1,000億円を突破(2026年1月)
・「資産運用フェス 2026-Spring-」を開催(2026年2月)
・新たな資産管理アプリ「SBI証券Plus」の提供を開始(2026年2月)
・SBIホールディングス初のST(セキュリティ・トークン)社債 愛称:SBI START債を取扱い(2026年2月)
・公式YouTubeチャンネル「ビジネスドライブ!」の登録者数が75万人を突破し、金融業界No.1を達成(2026年2月)
・セキュリティ・トークン活用PE運用商品の取り組みで「Japan Financial Innovation Award 2026」大賞および「東京金融賞2025」オーディエンス賞を受賞(2026年3月)
・「三井住友カード つみたて投資」月間積立金額1,000億円を突破(2026年3月)
・SBI証券と岡三証券による「岡三オンライン証券」事業に係る吸収分割契約を締結(2026年3月)
また、業績の概要は以下のとおりであります。
(受入手数料)
当連結会計年度は107,492百万円(前期比12.7%増)を計上しておりますが、その内訳は以下のとおりであります。
・委託手数料
主にインターネット及び対面による株式取引により32,745百万円(同9.6%増)を計上しております。
・引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
株式及び債券の引受け等により6,316百万円(同46.0%増)を計上しております。
・募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
引き受けた株式の販売等により7,895百万円(同71.4%増)を計上しております。
・その他の受入手数料
投資信託の代行手数料及びアドバイザリー業務手数料等により60,534百万円(同7.0%増)を計上しております。
(トレーディング損益)
FX収益及び外債販売に係る収益等により56,557百万円(前期比1.6%減)を計上しております。
(金融収支)
信用取引の増加及び国内金利上昇による受取利息の増加により「金融収益」は120,544百万円(前期比40.2%増)、「金融費用」は31,347百万円(同74.3%増)となりました。その結果、金融収支は89,196百万円(同31.1%増)となっております。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は155,787百万円(前期比16.0%増)となりました。これは、顧客の有価証券取引の増加により「取引関係費」が46,896百万円(同18.3%増)となったこと及び金融商品仲介業者へ支払う手数料の増加により「事務費」が33,837百万円(同10.0%増)となったこと等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は929,182百万円となり、前連結会計年度末の699,707百万円から229,474百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは82,655百万円の収入(前期は213,733百万円の支出)となりました。これは主に、「利息及び配当金の受取額」が105,941百万円の収入となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは48,623百万円の支出(前期は44,396百万円の支出)となりました。これは主に、「定期預金の純増減額」が25,893百万円の支出となったこと及び「貸付金の純増減額」が20,886百万円の支出となったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは204,192百万円の収入(前期は335,072百万円の収入)となりました。これは主に、「短期社債の純増減額」が131,838百万円の収入となったこと及び「短期借入金の純増減額」が92,293百万円の収入となったこと等によるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」業績等の概要 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社の預り資産の最近5連結会計年度の推移は、以下のとおりとなっております。
| 第80期 | 第81期 | 第82期 | 第83期 | 第84期 | |
| (2022年3月期) | (2023年3月期) | (2024年3月期) | (2025年3月期) | (2026年3月期) | |
| 預り資産 | 20,314,274百万円 | 23,786,586百万円 | 36,374,988百万円 | 43,077,289百万円 | 60,801,244百万円 |
(注)預り資産は、㈱SBI証券単体の数値であります。
当社グループの経営成績は、株式市場の売買高・売買代金等の動向に強い影響を受けます。当社グループでは、取引発注システムの充実、取扱商品の拡充、取引形態の拡大、投資情報の充実等により、委託業務を拡大していく方針であります。
しかし、その一方で、株式委託手数料に依存する収益体質を改善する目的で、引受・募集業務にも注力しております。また、米国株取引等の外国株式取引、外国為替保証金取引やCFD取引等の導入により、国内株式以外の取扱商品を増やすなど、収益源の多様化を図っております。なお、当社における新規公開株式引受件数の推移は、以下のとおりとなっております。
| 第80期 | 第81期 | 第82期 | 第83期 | 第84期 | |
| (2022年3月期) | (2023年3月期) | (2024年3月期) | (2025年3月期) | (2026年3月期) | |
| 引受件数 | 117件 | 92件 | 90件 | 76件 | 52件 |
(注)1.上場日ベースで集計しております。また、委託販売のみの件数は除いております。
2.㈱SBI証券単体の数値であります。
なお、当社グループの事業区分は、「投資・金融サービス業」という単一のセグメントに属しているため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループの事業活動における主な資金需要としては、信用取引に係る一般顧客への貸付資金等がございます。この資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、短期金融市場における取引や金融機関及び証券金融会社からの借入による間接金融、社債による直接金融並びに有価証券貸借取引等により資金を調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。具体的には、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)並びに同規則第46条及び第68条の規定に基づき、「金融商品取引業等に関する内閣府令」(2007年内閣府令第52号)及び「有価証券関連業経理の統一に関する規則」(1974年11月14日付日本証券業協会自主規制規則)に準拠して作成しております。
この連結財務諸表の作成にあたりまして、特に以下の重要な事項が、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
貸倒引当金
債権の貸倒による損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。しかしながら、当該債権の債務者の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。