有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 9:04
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響を受け、特に期初は経済活動の制限により個人消費が急減し、企業部門においても生産や設備投資が縮小する等、極めて厳しい状況で推移しました。徐々に経済活動が再開されたことで一部持ち直しの動きも見られましたが、感染再拡大による経済活動の制限等の懸念に予断を許さない状況となっております。
不動産賃貸業界におきましては、飲食業や宿泊業、小売業向けは新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、又、オフィスビルにおいてもテレワークの急拡大を背景とした事業拠点の縮小・集約の動きにより、空室率が上昇しました。
このような環境の中、当社においては飲食、小売店向けの賃貸は少なく、又、新規テナント獲得に向けた営業活動に注力した結果、当期末時点での空室率は0.2%に留まり極めて高い稼働率を維持いたしました。また、当期は中期経営計画「ここからの挑戦~新たな成長のステージへ~」に基づく投資として推進中であった東京都港区虎ノ門のオフィスビル「京阪神 虎ノ門ビル」が2020年11月に竣工し、大阪市内で開発中のデータセンタービル「京阪神 OBPビル」は2021年4月の竣工を前に全機器室のテナントが内定する等、将来にわたる持続的な成長と企業規模の拡大に注力してまいりました。
当期の連結業績は、既存ビルの稼働向上と虎ノ門ビル竣工による一部売上寄与がありましたが、神戸遠矢浜倉庫の売却による減収もあり、売上高は15,333百万円と前期比14百万円(0.1%)の微増収となり、売上原価面では虎ノ門ビルの不動産取得税等の初期費用の負担もあり、売上総利益は6,842百万円と前期比11百万円(0.2%)の微増益に留まりました。このため諸経費の増加を吸収できず、営業利益は5,295百万円と前期比118百万円(2.2%)の減益となりました。
営業外損益では、前期の199百万円の費用(純額)から、当期は213百万円の費用(純額)となり、14百万円増加しました。その結果、経常利益は5,081百万円と前期比133百万円(2.6%)の減益となりました。
特別損益では、前期の527百万円の利益(純額)から、当期は固定資産と投資有価証券の売却により多額の特別利益が発生したため、6,824百万円の利益(純額)となり、6,297百万円増加しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8,251百万円と前期比4,332百万円(110.6%)の増益となりました。
セグメントごとの経営成績(営業利益は連結調整前)は、次のとおりであります。
①土地建物賃貸事業
売上高は15,317百万円(前期比96百万円、0.6%増)、構成比は99.9%となりました。営業利益は6,140百万円(前期比15百万円、0.3%減)となりました。
②その他
売上高は16百万円(前期比81百万円減)、営業損失は17百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当社グループの主な事業は、土地建物賃貸事業であり、①生産実績②受注実績の該当はありません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
土地建物賃貸事業15,317,3480.6
その他16,612△83.2
合計15,333,9600.1

(注)1. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
日本中央競馬会3,514,95322.93,457,36722.5
ソフトバンク㈱2,193,09614.32,105,69613.7
エクイニクス・ジャパン㈱1,416,9259.21,636,80510.7

2. 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は154,043百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,438百万円(12.8%)増加し
ました。投資有価証券は売却等により718百万円減少したものの、開発工事の進捗に伴い有形固定資産が9,305百万円、事前に資金調達したため現金及び預金が8,345百万円各々増加したことが主な要因であります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
①土地建物賃貸事業
セグメント資産は119,756百万円となり、前連結会計年度末比9,242百万円(8.4%)増加しました。
②その他
セグメント資産は2百万円となり、前連結会計年度末比11百万円減少しました。
負債合計は83,503百万円となり、前連結会計年度末比11,276百万円(15.6%)増加しました。長期借入れおよび社債の発行により有利子負債が8,243百万円、未払法人税等が2,030百万円、長期預り敷金保証金が1,654百万円各々増加したことが主な要因であります。
純資産合計は70,539百万円となり、前連結会計年度末比6,161百万円(9.6%)増加しました。利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により5,657百万円増加したことが主因であります。
(3) キャッシュ・フローの状況
科目前連結会計年度当連結会計年度
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)6,6937,693
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△9,705△5,566
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)2986,219
現金及び現金同等物の増減額(百万円)△2,7138,345
現金及び現金同等物の期末残高(百万円)13,20521,550

①現金及び現金同等物
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は21,550百万円となり、前期末比8,345百万円増加しました。
②営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は7,693百万円(前連結会計年度は6,693百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益11,906百万円、減価償却費2,270百万円、長期預り敷金等の営業債務の増加額2,571百万円により主要な資金を得ましたが、投資有価証券および有形固定資産の売却益6,835百万円、法人税等の支払1,774百万円の控除要因がありました。
③投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動により使用した資金は5,566百万円(前連結会計年度は9,705百万円の支出)となりました。収入の主な要因は投資有価証券の売却6,530百万円および有形固定資産の売却1,269百万円であり、支出の主な要因は有形固定資産の取得13,344百万円によるものであります。
④財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により得られた資金は6,219百万円(前連結会計年度は298百万円の収入)となりました。収入の主な要因は長期借入れおよび社債の発行10,000百万円であり、支出の主な要因は長期借入金の返済1,756百万円、配当金の支払1,506百万円、自己株式の取得467百万円によるものであります。
⑤資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、新たなビルの取得、開発及び所有ビルの改修工事等の設備投資に係る資金であります。その所要資金は自己資金、金融機関からの借り入れ及び社債の発行により調達しております。また、当社の事業は資金回収に長期間を要するため、返済・償還期限を長めに設定しております。当連結会計年度末の有利子負債の内訳については、連結附属明細表の「社債明細表」及び「借入金等明細表」に記載のとおりであります。
当社グループは、2019年10月策定の中期経営計画「ここからの挑戦~新たな成長のステージへ~」において、財務バランスの健全性を維持するため自己資本比率は30%以上、ネット有利子負債はEBITDA(償却前営業利益)の10倍以下堅持を掲げております。
2020年3月期を初年度とする中期経営計画で掲げる経営指標の推移は下表の通りであります。
指標2019年3月期(参考)2020年3月期
(初年度)
2021年3月期
(2年目)
2026年3月期(目標)
売上高149億円153億円153億円220億円
営業利益54億円54億円52億円80億円
経常利益52億円52億円50億円75億円
税引後償却前経常利益58億円58億円57億円100億円
総資産1,327億円1,366億円1,540億円1,950億円
ネット有利子負債397億円451億円450億円920億円
ネット有利子負債/EBITDA倍率5.2倍5.9倍6.0倍7.3倍
自己資本641億円642億円704億円820億円
自己資本比率48.3%47.0%45.7%42.0%
ROA(営業利益/総資産)4.3%4.0%3.6%4%台を確保

(注)税引後償却前経常利益:経常利益×(1-法定実効税率)+減価償却費
ネット有利子負債/EBITDA倍率:ネット有利子負債/償却前営業利益
自己資本比率:自己資本/総資産
ROA(営業利益/総資産):営業利益/((前連結会計年度末総資産+当連結会計年度末総資産)/2)
(補足)
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象として
おります。
3.ネット有利子負債は、有利子負債残高から現金及び預金残高を減算しております。
4.償却前営業利益は、営業利益に減価償却費を加算しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 固定資産の減損
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 資産除去債務
当社グループは、一部の借地について、不動産賃貸借契約に基づく退去時の原状回復に係る債務等を有しておりますが、当該債務に関連する賃借資産の使用期間が明確でなく、また、現時点において将来退去する予定もないことから、資産除去債務を合理的に見積もることができません。そのため、当該債務に見合う資産除去債務を計上しておりません。
将来の退去時期が明らかになるなど、当該債務額を合理的に見積もることが可能になった場合には、その時点で当該債務に見合う資産除去債務を計上することになります。