有価証券報告書-第33期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)営業実績
当連結会計年度における情報通信市場では、固定/移動ブロードバンドを活用した様々な機器の普及・浸透に加え、クラウドサービスやIoT、ビッグデータ、AIなどの技術の進歩による新たなサービスの登場が進んでいます。これらを通じて、様々なデータが蓄積され、その利用環境の整備を図ることにより、データの分析・活用が広がり、人々の生活における利便性や各産業における生産性の向上など、幅広い変化が起きています。一方で、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対するセキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や安心・安全な社会システムの運営など、情報通信の役割はより重要となってきています。こうした動きは世界的な広がりを見せています。
このような事業環境のなか、NTTグループは、2015年5月に策定・公表した中期経営戦略「新たなステージをめざして 2.0」に基づき、「バリューパートナー」としての自己変革を加速し、グループ全体を利益成長軌道へ乗せていくための取り組みを推進しました。
《グローバルビジネスの拡大・利益創出に向けた取り組みの状況》
グローバル・クラウドサービスを事業の基軸として拡大するとともに、利益創出スピードを加速する取り組みを強化しました。
○グローバル・クラウドサービスの事業基盤を拡充するため、北米、欧州、アジアの各地域でM&Aを推進しました。
○昨年譲受を完了した旧Dell Services部門の統合を進めるとともに、グローバルネットワーク、クラウドマイグレーション、ITアウトソーシング案件を中心に、グループ会社間の連携によるクロスセルを推進し、欧州のエネルギー業界のお客さまをはじめ、世界各地で多くの受注を獲得しました。
○長距離・国際通信事業セグメントの主要子会社であるNTTコミュニケーションズとDimension Dataとの間でクラウドサービス事業の集約を行うなど、グローバル・クラウド事業におけるサービスやオペレーションの強化・効率化を図るとともに、グループ横断でのサービス提供の連携強化などにより、コスト削減・利益改善に取り組みました。
《国内ネットワーク事業の効率化・収益力強化に向けた取り組みの状況》
国内ネットワーク事業における、付加価値の高いサービスの創出や、設備投資の効率化およびコスト削減による利益成長に向けた取り組みを強化しました。
○様々な事業者とのコラボレーションを推進する「光コラボレーションモデル」や「+d」の取り組みを通じて、付加価値の高いサービスの創出に努めました。
○ネットワークのシンプル化・スリム化を実施することにより、後年度の費用負担の軽減を推進しました。また、既存設備の有効利用や調達コストの削減など、設備投資の効率化を実施しました。
○業務のシステム化による生産性向上、開発コストの効率化等を実施し、継続的なコスト削減に取り組みました。
《B2B2Xビジネスの拡大に向けた取り組みの状況》
「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(注)」をゴールドパートナーとして通信サービスの分野で支えるとともに、官民が連携して推進しているSociety 5.0の実現に向けた取り組みをNTTの総合力を活かす大きなチャンスと捉え、B2B2Xモデルへの転換をさらに加速し、他分野の事業者や自治体とともに次世代に受け継がれるサービスの創出をめざした取り組みを強化しました。
○スポーツビジネス分野においては、Jリーグとの協業をさらに深化させ、「トップパートナー契約」および「オフィシャルテクノロジーパートナー契約」を締結しました。
Jリーグ・クラブチームのファン・サポーターの観戦機会の拡大、スタジアムの稼働率の向上を図るため、NTT グループのICT サービスやSNS などと連動させたファン参加型の観戦体験やアウェイ試合をホームスタジアムでライブ観戦する大画面パブリックビューイングなどを推進しました。
また、新たなファン層の開拓に向け、NTTグループが持つAR・VRをはじめとする最新技術を活用した新たなエンターテイメント体験の展開とJリーグ保有の過去映像の利活用推進、デジタルコンテンツとドコモショップとの連携を図るとともに、Jリーグ・クラブチームのデジタル顧客基盤の強化に取り組みました。
○松竹株式会社との間で、歌舞伎と最新のICT技術のコラボレーションによる、全く新たな歌舞伎鑑賞をめざした共同実験を推進するなど、伝統芸能などのエンターテイメント分野でのコラボレーションを推進しました。
○ファナック株式会社の製造業向けプラットフォームについて協業を進めた結果、同社において、2017年10月より国内向けサービスの運用開始に至ったほか、センサー情報や画像解析による生育管理などの農業や畜産業のスマート化に取り組むなど、様々な産業分野とのコラボレーションも推進しました。
○札幌市、北海道大学、地場企業などと産官学連携により「札幌市ICT活用プラットフォーム検討会」を設立して以降、観光・交通・雪対策などの幅広い分野で、官民のデータを収集・かけあわせることにより新たな価値を創出し、住民・来訪者の利便性向上、地域が抱える様々な課題解決や地域活性化に向けたスマートシティへの取り組みを推進しました。札幌市の中心市街地では初の公道における自動走行実験を実施したほか、札幌市および地場企業で構築・データ集積した情報をオープンデータサイト「札幌市ICT活用プラットフォーム DATA–SMART CITY SAPPORO」として公開するなど、札幌市民や地場企業によるデータ利活用の本格化に取り組みました。
(注) NTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会ゴールドパートナー(通信サービス)です。
以上の取り組みの結果、当連結会計年度の営業実績は次のとおりとなりました。
(単位:億円)
営業収益
NTTグループの営業収益は、固定音声関連、移動音声関連、IP系・パケット通信、通信端末機器販売、システムインテグレーション及びその他の6つのサービス分野に区分しております。
2017年度の営業収益は、前期比3.6%増加し、11兆7,996億円となりました。これは、海外売上を中心としたデータ通信事業セグメントの増収およびモバイル通信の拡大等による移動通信事業セグメントの増収などによるものです。
2017年度における各サービス分野における営業収益の概要は、次のとおりです。
・固定音声関連収入
固定音声関連サービスには、加入電話、INSネット、一般専用、高速ディジタル伝送など、地域通信事業セグメントと長距離・国際通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年度における固定音声関連収入は、前期比7.0%減少し、1兆1,469億円(営業収益の9.7%に相当)となりました。これは、携帯電話や光IP電話の普及、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスの増加などにより、加入電話やINSネットの契約数が引き続き減少したことなどによるものです。
・移動音声関連収入
移動音声関連サービスには、LTE(Xi)における音声通話サービスなどの移動通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年度における移動音声関連収入は、前期比8.9%増加し、9,422億円(営業収益の8.0%に相当)となりました。これは、「カケホーダイ&パケあえる」契約者数の拡大などによるものです。
・IP系・パケット通信収入
IP系・パケット通信サービスには、「フレッツ光」などの地域通信事業セグメントの一部、Arcstar Universal One、IP-VPN、OCNなどの長距離・国際通信事業セグメントの一部、LTE(Xi)におけるパケット通信サービスなどの移動通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年度におけるIP系・パケット通信収入は、前期比0.2%減少し、3兆8,018億円(営業収益の32.2%に相当)となりました。これは、移動通信事業セグメントにおいて「ドコモ光」契約者数の拡大が進んだものの、地域通信事業セグメントにおける「光コラボレーションモデル」への転用の進展や、移動通信事業セグメントにおけるお客さま還元の強化による収入の減少があったことなどによるものです。
・通信端末機器販売収入
通信端末機器販売には、移動通信事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部などが含まれております。
2017年度における通信端末機器販売収入は、前期比4.6%増加し、8,435億円(営業収益の7.1%に相当)となりました。これは、主に移動通信事業セグメントにおけるスマートフォンなどの携帯電話端末の卸売販売台数が増加したことによるものです。
・システムインテグレーション収入
システムインテグレーションには、データ通信事業セグメント及び長距離・国際通信事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年度のシステムインテグレーション収入は、前期比13.2%増加し、3兆4,431億円(営業収益の29.2%に相当)となりました。これは、データ通信事業セグメントにおける旧Dell Services部門の譲り受けによる連結拡大影響や、ビジネス規模の拡大などによるものです。
・その他の営業収入
その他のサービスには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、移動通信事業セグメントにおけるスマートライフ領域などが含まれております。
2017年度のその他の営業収入は、前期比0.8%減少し、1兆6,220億円(営業収益の13.7%に相当)となりました。これは、主にその他の事業セグメントにおいて不動産事業に関する収益が減少したことなどによるものです。
営業費用
2017年度の営業費用は前期比3.1%増加し、10兆1,567億円となりました。主な要因は以下のとおりであります。なお、下記の人件費、経費は、連結損益計算書上のサービス原価、通信端末機器原価、システムインテグレーション原価、販売費及び一般管理費に含まれております。
・人件費
2017年度の人件費は、前期比5.8%増加し、2兆4,083億円となりました。これは、地域通信事業セグメントにおける人件費が退職等により減少したものの、データ通信事業セグメントにおける人件費が連結拡大により増加したことなどによるものです。
・経費
2017年度の経費は、前期比4.5%増加し、5兆8,666億円となりました。これは、主にデータ通信事業セグメントにおける連結拡大影響や、移動通信事業セグメントにおける卸売販売台数の増加に伴う収益連動経費の増加などによるものです。
・減価償却費
2017年度の減価償却費は、前期比8.4%減少し、1兆3,394億円となりました。これは、主に2016年度において計上した旧世代設備の加速償却を2017年度においては計上していないことなどによるものです。
営業利益
以上の結果、2017年度の営業利益は、前期比6.7%増加し、1兆6,428億円となりました。
営業外損益
2017年度の営業外損益は、前期の△120億円に対し1,128億円となりました。
税引前当期純利益
以上の結果、2017年度の税引前当期純利益は前期比14.9%増加し、1兆7,556億円となりました。
法人税等
2017年度の法人税等は、前期比15.7%増加し、5,419億円となりました。これは、税引前当期純利益が増加したことなどによるものです。この結果、2016年度と2017年度の税負担率は、それぞれ30.66%、30.86%となっております。
持分法による投資利益(△損失)
2017年度の持分法による投資利益(△損失)は、前期の△0億円に対し56億円となりました。
当社に帰属する当期純利益
以上の結果、2017年度の当期純利益は前期比15.1%増加し、1兆2,193億円となりました。また、非支配持分に帰属する当期純利益を控除した当社に帰属する当期純利益は、前期比13.7%増加し、9,097億円となりました。
《中期財務目標》
NTTグループは、中期経営戦略「新たなステージをめざして 2.0」に基づき、事業構造の変革に取り組んでいます。
2015年度から2017年度の中期財務目標については、目標年度である当連結会計年度において、最重要の目標であるEPS(1株当たり当期純利益)が456円となり、目標としていた400円以上を達成しました。その他の目標については、国内ネットワーク事業における設備投資について、2,000億円以上削減の目標に対し2,049億円を削減し、固定/移動アクセス系のコストについて、8,000億円以上削減の目標に対し8,560億円を削減し、それぞれ目標を達成しました。また、海外売上高/海外営業利益については、220億米ドル/15億米ドルの目標に対し、それぞれ195億米ドル/10億米ドルとなりました。目標達成に向けて引き続き取り組んでまいります。
これからも引き続き利益成長に主眼を置きつつ、自己株式取得などによる資本効率の向上を図ることにより、EPSをさらに成長させるよう努めてまいります。
(注)1.設備投資の効率化(国内ネットワーク事業)は、対2014年度比であり、NTTコミュニケーションズのデータセンターなどの設備投資を除いて算出しております。
2.コスト削減(固定/移動アクセス系)は、対2014年度比であり、有形固定資産の減価償却方法を変更した影響を除いた財務目標としております。
3.海外営業利益は、買収に伴う無形固定資産の償却費など、一時的なコストを除いて算出しております。
(2)セグメント情報
NTTグループの事業は5つのオペレーティング・セグメント、すなわち、地域通信事業セグメント、長距離・国際通信事業セグメント、移動通信事業セグメント、データ通信事業セグメントおよびその他の事業セグメントに区分しております。(連結財務諸表の注20参照)
地域通信事業セグメントには、固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス、その他が含まれております。
長距離・国際通信事業セグメントには、主に固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、システムインテグレーションサービス、その他が含まれております。
移動通信事業セグメントには、移動音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、その他が含まれております。
データ通信事業セグメントには、システムインテグレーションサービスが含まれております。
また、その他の事業セグメントには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、研究開発等に係るその他のサービスが含まれております。
各セグメントの営業実績の概要は、次のとおりです。なお、各セグメントの営業実績の記載における営業収益・営業費用・営業利益は、セグメント間取引を含んでおります。また、当社グループは電気通信事業等の事業を行っており、生産、受注といった区分による表示が困難であるため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の状況については各セグメントの営業業績に関連付けて示しております。
①地域通信事業セグメント
地域通信事業では、光アクセスサービスなどを様々な事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」によるB2B2Xビジネスの展開などの取り組みを行いました。
○「光コラボレーションモデル」において、通信業界、エネルギー業界、不動産業界、警備業界、住宅業界などの事業者のほか、当連結会計年度は社会インフラ事業者やFinTech事業者など異業種の事業者との協業が引き続き広がり、卸サービスを提供している事業者数は当連結会計年度末時点で約700社となりました。社会インフラ事業を営む事業者においては、信号機につながるネットワークの光化を進めるためにコラボ光を採用いただくなど、新たな活用事例が生まれました。こうした取り組みにより、同モデルにおける光アクセスサービスの契約数は1,112万契約となりました。
○業務のシステム化による生産性向上、開発コストの効率化等を実施し、コストの継続的な削減に取り組みました。また、ネットワークのシンプル化・スリム化や、既存設備の利用率の向上など、設備投資の効率化を推進しました。
○企業や自治体が自らの情報サービスの有力なツールとして積極的に導入を進めているWi-Fiについて、増加する訪日外国人旅行者の利便性向上に向けて、様々な地域における面的拡大に引き続き取り組んだ結果、Wi-Fiのエリアオーナー数は744となりました。
《主なサービスの提供状況》
○「フレッツ光」 :2,053万契約(対前連結会計年度:+48万契約)
(再掲)「コラボ光」:1,112万契約(対前連結会計年度:+237万契約)
○「ひかり電話」 :1,803万ch(対前連結会計年度:+27万ch)
○「フレッツ・テレビ」:162万契約(対前連結会計年度:+9万契約)
(注)「フレッツ光」、「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ」は、「光コラボレーションモデル」を活用してNTT東日本およびNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスの契約数を含めて記載しております。
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
地域通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、固定音声関連サービス収入が減少したことなどに伴い3兆2,329億円(前期比2.3%減)となりました。
一方、当連結会計年度の営業費用は、メタルケーブル関連の減損損失を計上したものの、減価償却費の減少や、退職等による人件費の減少などにより2兆8,786億円(前期比2.4%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は3,543億円(前期比1.4%減)となりました。
地域通信事業セグメントにおける各サービス分野別の営業の状況は以下のとおりです。
(固定音声関連サービス)
本セグメントにおける固定音声関連サービス収入は、前期比674億円(5.6%)減少の1兆1,431億円となりました。これは主に以下の要因によるものです。
加入電話やINSネットについて、お客さまニーズが携帯電話、IP電話、ブロードバンドアクセスサービス、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスなどへと移行していることなどに伴い、2018年3月31日現在の固定電話契約数(固定電話+INSネット)は、前期比1,467千契約減少し、19,869千契約となりました。
加入電話とINSネットの契約数は、次のとおりです。
(単位:千加入/回線)
(注)1.加入電話は、一般加入電話とビル電話を合算しております(加入電話・ライトプランを含む)。
2.「INSネット」には、「INSネット64」及び「INSネット1500」が含まれております。「INSネット1500」は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)いずれについても「INSネット64」の10倍程度であることから、「INSネット1500」の1契約を「INSネット64」の10倍に換算しております(INSネット64・ライトを含む)。
2017年度における固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)は、前期に比べ、NTT東日本が30円(1.1%)減少し2,580円、NTT西日本が40円(1.6%)減少し2,540円となりました。これらの原因は、移動体通話への移行、高利用者層のIP電話への移行などによるものです。
なお、ARPUについては、「(注)2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit)」をご参照ください。また、固定電話総合ARPUの算定式については、「(注)3.ARPUの算定式 (a)NTT東日本、NTT西日本」をご参照下さい。
(IP系・パケット通信サービス)
本セグメントにおけるIP系・パケット通信サービス収入は、前期比60億円(0.4%)減少の1兆5,349億円となりました。これは、主に「フレッツ光(コラボ光含む)」の契約数は増加したものの、フレッツ光ARPUが減少したことなどによるものです。具体的には以下の通りです。
2018年3月31日現在の「フレッツ光(コラボ光含む)」の契約数は、「光コラボレーションモデル」によるB2B2Xビジネスの展開などに取り組んだ結果、前期比480千契約(2.4%)増加し20,533千契約、「ひかり電話」の契約数は、前期比273千チャネル(1.5%)増加し18,032千チャネル、「フレッツ・テレビ」の契約数は、前期比94千契約(6.2%)増加し1,615千契約となりました。
「フレッツ光(コラボ光含む)」、「フレッツ・ADSL」および「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ伝送サービス」の契約数は、次のとおりです。
(単位:千契約)
(注)1.「フレッツ光(コラボ光含む)」はNTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「Bフレッツ」、「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しております。
2.「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ伝送サービス」は、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しております。
2017年度におけるフレッツ光ARPUは、前期に比べ、NTT東日本が170円(3.2%)減少し5,080円、NTT西日本が180円(3.4%)減少し5,100円となりました。これは、「光コラボレーションモデル」の進展に伴う単金減などによるものです。
フレッツ光ARPUの算定式については、「(注)3.ARPUの算定式 (a)NTT東日本、NTT西日本」をご参照下さい。
(その他)
システムインテグレーションサービス、その他については、企業や自治体などのお客さまに対し、お客さまごとの課題やニーズに応じたサービスを提供し、ICTの利活用促進に取り組みました。
②長距離・国際通信事業セグメント
長距離・国際通信事業では、ネットワーク、セキュリティなどを組み合わせたシームレスICTソリューションの提供力を強化したほか、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化を図りました。
《主な取り組み内容》
○SAPやOracleなどの幅広いアプリケーションを効率的に保守・運用する体制を強化し、お客さまのICT環境をトータルで保守・運用するマネージドサービスの提供能力を拡大することをめざし、米国ITマネージドサービス事業者であるSecure-24 Intermediate Holdings, Inc.の株式取得に関する契約を締結しました。
○世界各地でのクラウドサービスやデータセンターの需要に対応するため、市場拡大の続く各国において、サービス提供体制の拡充を進めました。米国においては「テキサス ダラス 1 (TX1) データセンター」、「バージニア アッシュバーン 3 (VA3) データセンター」の提供を、ドイツにおいては「ドイツ ミュンヘン 2 データセンター」、「ドイツ ライン・ルール 1 データセンター」の提供をそれぞれ開始したほか、南アフリカでも新たにデータセンターサービスの提供を開始しました。
○クラウドサービスの競争力強化を図るため、Dimension Data からNTTコミュニケーションズへクラウドサービスの設備、開発・運用業務の移管を進めるなど、クラウドサービス事業の集約・強化に取り組みました。
《主なサービスの提供状況》
○クラウドサービスお客さま数:9,900件(対前連結会計年度:+900件)
○「ひかりTV」 :302万契約(対前連結会計年度:△1万契約)
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
長距離・国際通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、固定音声関連サービス収入の減少があったものの、海外ビジネスの拡大などによるシステムインテグレーションサービス収入の増加や、「Arcstar Universal One」の拡大によるIP系・パケット通信サービス収入の増加などにより2兆2,189億円(前期比4.2%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、海外ビジネスの拡大に伴う収益連動費用の増加などにより2兆1,253億円(前期比1.8%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は936億円(前期比129.1%増)となりました。
長距離・国際通信事業セグメントにおける各サービス分野別の営業の状況は次のとおりです。
(固定音声関連サービス)
本セグメントにおける固定音声関連サービス収入は、前期比227億円(8.7%)減少の2,399億円となりました。これは、主に携帯電話や光IP電話の普及、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスの増加などにより固定電話の契約数が減少したことなどによるものです。
(IP系・パケット通信サービス)
本セグメントにおけるIP系・パケット通信サービス収入は、前期比152億円(3.8%)増加の4,124億円となりました。これは、主に以下の取り組みによるものです。
個人のお客さま向けには、NTTコミュニケーションズのLTE対応モバイルデータ通信サービス「OCN モバイル ONE」において、混雑する時間帯の通信速度を改善し、コンテンツ表示に要する時間を短縮化するなど、更なる品質改善などで契約者数を増加させました。
法人のお客さま向けには、NTTコミュニケーションズの企業向けネットワークサービス「Arcstar Universal One」において、セキュアな閉域網上にマルチクラウド環境を構築できるオプション機能を提供するなど、先進的な機能の提供などで契約数の増加に努めました。
長距離・国際通信事業セグメントにおけるIP系・パケット通信関連サービスの契約数は、次のとおりです。
(単位:千契約)
(注1)「ネットワークサービス(VPN)」には、Arcstar Universal One、ArcstarグローバルIP-VPNなどが含まれております。
(注2)「ぷらら」及び「ひかりTV」に係る収入は、その他の営業収入に含まれております。
(システムインテグレーションサービス)
本セグメントにおけるシステムインテグレーションサービス収入は、グローバル・クラウドサービスをNTTグループ全体の事業の基軸として拡大させる取り組みを強化したことにより、前期比882億円(6.8%)増加の1兆3,915億円となりました。
主な取り組みとして、フルスタック・フルライフサイクルでのサービス提供力をさらに強化するため、データセンターなどのクラウド基盤の拡充や、ネットワーク・セキュリティなどを組み合わせたシームレスICTソリューションの提供力の強化、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化などを図りました。
具体的には、NTTコミュニケーションズの企業向けネットワークサービス「Enterprise Cloud」について、パートナー企業との協業範囲の拡大や協業の強化などを図ったほか、データセンターサービス「Nexcenter」について、サービス提供体制の拡充などに取り組みました。
③移動通信事業セグメント
移動通信事業では、料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」や「ドコモ光」の販売を推進したほか、様々な事業者とのコラボレーションを推進し、新たな付加価値の提供を行うなど、スマートライフ領域の収益力強化を図りました。
《主な取り組み内容》
○お客さまのライフステージに合わせながら、長期にわたりお得にお使いいただける「カケホーダイ&パケあえる」の販売を引き続き推進したほか、「シンプルプラン」や「docomo with」を提供するなど、お客さま還元の強化に取り組みました。その結果、「カケホーダイ&パケあえる」の契約数は4,196万契約となりました。
○地域通信事業の「光コラボレーションモデル」を活用し、光アクセスサービスとインターネット接続サービス、モバイルサービスを一括して提供する「ドコモ光パック」の販売を推進しました。その結果、「ドコモ光」の契約数は476万契約となりました。
○株式会社小松製作所などと、建設生産プロセス全体をつなぐ新プラットフォーム「LANDLOG」の共同企画・運用に合意し、実証実験を開始したほか、人工知能を活用したタクシー乗車需要予測サービス「AIタクシー®」の提供開始や、「5Gトライアルサイト」の提供開始など、先進技術を活用した取り組みを実施するなど、様々な事業者とのコラボレーションを通じて新たな付加価値を協創する「+d」の取り組みを推進しました。
《主なサービスの提供状況》
○携帯電話サービス :7,637万契約(対前連結会計年度:+149万契約)
(再掲)カケホーダイ&パケあえる:4,196万契約(対前連結会計年度:+490万契約)
(再掲)LTE(Xi)サービス :5,010万契約(対前連結会計年度:+555万契約)
(再掲)FOMAサービス :2,627万契約(対前連結会計年度:△406万契約)
(注) 携帯電話サービス契約数、LTE(Xi)サービス契約数およびFOMAサービス契約数には、通信モジュールサービス契約数を含めて記載しております。
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
移動通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、お客さま還元強化による減収影響があったものの、「ドコモ光」や「カケホーダイ&パケあえる」の契約数拡大に加え、スマートフォンなどの携帯電話端末の卸売販売台数が増加したことなどにより4兆7,694億円(前期比4.0%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、「ドコモ光」の拡大や卸売販売台数の増加に伴う収益連動費用の増加や、ポイント経費の増加などにより3兆7,873億円(前期比4.2%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は9,821億円(前期比3.2%増)となりました。
移動通信事業セグメントにおける各サービス分野別の営業の状況は次のとおりです。
(移動音声関連サービス/IP系・パケット通信サービス)
本セグメントにおける移動音声関連サービス収入は、前期比765億円(8.7%)増加の9,517億円となりました。また、IP系・パケット通信サービス収入は、前期比713億円(3.4%)増加の2兆1,726億円となりました。これは、お客さま還元強化による減収影響はあるものの、「ドコモ光」や「カケホーダイ&パケあえる」の契約者数が拡大したことや、「月々サポート」の割引影響が縮小したことなどによるものです。
2018年3月31日現在、NTTドコモの携帯電話サービスの契約数は、7,637万契約と前期末時点の7,488万契約から1年間で149万契約増加いたしました。また、解約率は前期比0.05ポイント上昇し、0.65%となりました。
移動通信事業セグメントの契約数および市場シェアは、次のとおりです。
(単位:千契約)
(注1)携帯電話サービス契約数、LTE(Xi)サービス契約数及びFOMAサービス契約数には、通信モジュールサービス契約数を含めて記載しております。
(注2)他社契約数については、一般社団法人電気通信事業者協会及び各社が発表した数値を基に算出しております。
2017年度における携帯電話総合ARPUは4,680円と、前期の4,430円に比べ250円(5.6%)増加しました。これは、音声ARPUが、お客さま還元強化による減収影響はあるものの、「カケホーダイ&パケあえる」への継続的な移行による影響などにより1,370円と前期の1,250円に比べて120円(9.6%)増加したこと、データARPUが、「ドコモ光」契約者数の拡大や、「月々サポート」の割引影響の縮小などにより3,310円と前期の3,180円に比べて130円(4.1%)増加したことによります。
下の表は、携帯電話サービスにおけるARPUおよびMOUに関するデータを示しております。
携帯電話サービスにおけるMOUについては「(注)1.MOU(Minutes Of Use)」を、また、ARPUの算定式については「(注)3.ARPUの算定式(b)NTTドコモ」をご参照下さい。
(その他)
本セグメントにおけるその他の収入は、前期比371億円(2.3%)増加の1兆6,452億円となりました。これは、スマートフォンなどの携帯電話端末の卸売販売台数が増加したことなどによるものです。
スマートライフ事業においては、「dポイント」を貯める・使うことができるブランドやサイトの拡充に取り組み、「dポイント」の利便性向上を図りました。
④データ通信事業セグメント
データ通信事業では、お客さまのグローバル市場への進出の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でのビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したシステムインテグレーションなどの多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
《主な取り組み内容》
○2017年4月発足のNTT DATA Servicesのもと、昨年譲受を完了した旧Dell Services部門の統合の着実な実現および北米を中心とした事業の一体化に取り組みました。特にヘルスケア、公共、金融の各分野においてアウトソーシング等の豊富な実績や知見を活かした事業拡大を図るとともに、更なるローカルプレゼンス向上に向けて取り組みを推進しました。
○先端技術のブロックチェーンを活用する取り組みを進め、事務局として貿易情報連携基盤の実現に向けたコンソーシアムを設立し、各業界を代表する14社とともに活動を推進しました。また、一般社団法人全国銀行協会の「ブロックチェーン連携プラットフォーム」のパートナーベンダーの1社に選定され、新サービス開発のための実証実験の推進に寄与しました。
○近年高まる働き方改革の動きなどを受け急速に普及が進むデスクワークを自動化・効率化するRPAソリューションについて、NTTグループが開発した「WinActor」の販売を推進しました。英語版のほか、特に自動化ニーズの高い財務経理業務向けに機能強化するなどにより様々な業界のお客さまへの導入が進み、働き方改革を支援しました。
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
データ通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、旧Dell Services 部門の譲り受けによる連結拡大影響や、国内における金融および法人・ソリューション分野をはじめとしたビジネス規模拡大などにより2兆431億円(前期比18.9%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、連結子会社の拡大に伴う経費や人件費の増加などにより1兆9,153億円(前期比18.9%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は1,278億円(前期比18.5%増)となりました。
⑤その他の事業セグメント
その他の事業では、主に不動産事業、金融事業、建築・電力事業、システム開発事業に係るサービスを提供しました。
《主な取り組み内容》
○不動産事業
主力となるオフィス・商業事業やマンションブランド「Wellith(ウエリス)」を主体とした住宅事業のほか、グローバル事業やホテル・リゾート事業を推進しました。また、保育所などを併設した新たな形のシェアオフィス事業「LIFORK(リフォーク)」を開始しました。
○金融事業
多様化するニーズや経済環境およびグローバル化の進展などの変化に対応したリース・割賦やファイナンスなどの金融サービスを展開しました。また、通信サービス料金などの請求・回収、クレジットカードの決済サービスの提供を行いました。
○建築・電力事業
「ICT・エネルギー・建築」の技術を最大限に融合・活用し、自然エネルギーの活用や限りあるエネルギーを効率的にムダなく使う街づくり、自然災害などのリスクに強い安心・安全な街づくりに取り組みました。
○システム開発事業
最適で高品質なICTサービスを提供するため、ネットワークのオペレーションシステムやアプリケーションサービスの開発などに取り組んだほか、AIをはじめとした先端技術を活用したソリューション開発などに取り組みました。
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
その他の事業セグメントにおいては、不動産事業における売上高の減少などにより、当連結会計年度の営業収益は1兆2,366億円(前期比3.6%減)となりました。一方、当連結会計年度における営業費用は、不動産事業における収益連動経費の減少などにより、1兆1,580億円(前期比3.9%減)となりました。この結果、営業利益は786億円(前期比1.7%増)となりました。
(参考)国内売上高及び海外売上高に関する情報
(単位:億円)
(注)営業収益は、製品及びサービスの提供先別に国内・海外を分類しております。
国内における当連結会計年度の営業収益は、移動通信事業セグメントにおける増収などにより9兆6,252億円(前期比0.7%増)となりました。海外における当連結会計年度の営業収益は、データ通信事業セグメントにおける連結拡大影響などにより2兆1,744億円(前期比18.5%増)となりました。
(注)
1.MOU(Minutes Of Use):1利用者当たり月間平均通話時間
2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit):1契約者(利用者)当たり月間平均収入
契約者(利用者)当たりの月間平均収入(ARPU)は、契約者(利用者)1人当たりの平均的な月間営業収益を計るために使われます。固定通信事業の場合、ARPUは、地域通信事業セグメントの営業収益のうち、固定電話(加入電話およびINSネット)並びに「フレッツ光」の提供により毎月発生する収入を、当該サービスの稼動契約数で除して計算されます。移動通信事業の場合、ARPUは、移動通信事業セグメントの営業収益のうち、携帯電話(LTE(Xi))、携帯電話(FOMA)、及び「ドコモ光」のサービス提供により発生する通信サービス収入(一部除く)を、当該サービスの稼動利用者数で除して計算されます。これら数字の計算からは、各月の平均的な利用状況を表さない端末機器販売、契約事務手数料、ユニバーサルサービス料などは除いています。こうして得られたARPUは各月のお客さまの平均的な利用状況を把握する上で有用な情報を提供するものであると考えております。なお、ARPUの分子に含まれる収入は米国会計基準による連結決算値を構成する財務数値により算定しております。
3.ARPUの算定式
(a) NTT東日本、NTT西日本
NTT東日本およびNTT西日本のARPUは、以下の2種類に分けて計算をしております。
・音声伝送収入(IP系除く)に含まれる加入電話とINSネットの基本料、通信・通話料、およびIP系収入に含まれる「フレッツ・ADSL」、「フレッツ・ISDN」からの収入に基づいて計算される固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)。
・IP系収入に含まれる「フレッツ光」、「フレッツ光」のオプションサービスからの収入、「ひかり電話」における基本料・通信料・機器利用料、および附帯事業営業収益に含まれる「フレッツ光」のオプションサービス収入に基づいて計算されるフレッツ光ARPU。
※1 「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」および「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「Bフレッツ」、「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しております。「フレッツ光」のオプションサービスは、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しております。
※2 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)およびフレッツ光ARPUには相互接続通話料が含まれておりません。
※3 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上の契約数は、固定電話(加入電話及びINSネット)の契約数であります。
※4 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上、INSネット1500の契約数は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)いずれについてもINSネット64の10倍程度であることから、INSネット1500の1契約をINSネット64の10倍に換算しております。
※5 フレッツ光ARPU算定上の契約数は、「フレッツ光」の契約数(「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「Bフレッツ」、「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含む)であります。
※6 NTT東日本およびNTT西日本におけるARPU算出時の稼動契約数の計算式は以下のとおりであります。
通期実績:4月~3月までの各月稼動契約数{(前月末契約数+当月末契約数)/2}の合計
(b) NTTドコモ
NTTドコモのARPUの計算式は、以下のとおりであります。
・総合ARPU:音声ARPU+パケットARPU+ドコモ光ARPU
※1 ・音声ARPU:音声ARPU関連収入(基本使用料、通話料)/稼動利用者数
・パケットARPU:パケットARPU関連収入(月額定額料、通信料)/稼動利用者数
・ドコモ光ARPU:ドコモ光ARPU関連収入(基本使用料、通話料)/稼動利用者数
なお、パケットARPUとドコモ光ARPUの合算値をデータARPUと称します。
※2 NTTドコモにおけるARPU算出時の稼動利用者数の計算式は以下のとおりであります。
当該期間の各月稼動利用者数{(前月末利用者数+当月末利用者数)/2}の合計
※3 利用者数は、以下のとおり、契約数を基本としつつ、一定の契約数を除外して算定しています。
利用者数 = 契約数
-通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」並びにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る契約数
-Xi契約及びFOMA契約と同一名義のデータプラン契約数
なお、通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」並びにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る収入は、ARPUの算定上、収入に含まれておりません。
(3)流動性及び資金の源泉
前連結会計年度及び当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(単位:億円)
(注)当連結会計年度において、末日が休日だったことから通信サービス料金等の支払期限が後倒しとなった影響2,319億円。
資金調達及び資金の源泉と使途
当連結会計年度の休日影響を除いた場合の営業活動によって得たキャッシュ・フローは、2兆8,695億円となり、前連結会計年度の2兆9,174億円から479億円減少しております。これは、当連結会計年度の売掛金の回収が前連結会計年度に比べて減少したこと等によるものであります。なお、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2兆6,375億円であります。
NTTグループは、営業活動によって得たキャッシュ・フローを主に設備の取得、配当金の支払、自己株式の取得等に充てました。
当連結会計年度の投資活動に充てたキャッシュ・フローは、1兆8,418億円となり、前連結会計年度の2兆893億円から2,475億円減少しております。これは、有形固定資産、無形固定資産に対する投資が現金支出ベースで89億円増加した一方で、新規連結子会社の取得による支出が3,094億円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度の有形固定資産、無形固定資産に対する投資の増加は、地域通信事業において光関連投資が減少したことに加え、移動通信事業において基地局構築の効率化により投資が減少した一方で、データ通信事業において大型案件の規模拡大により投資が増加したこと等によります。なお、当連結会計年度の発生主義に基づく設備投資額1兆6,748億円の主な内訳は地域通信事業が5,496億円、移動通信事業が5,764億円でした。
当連結会計年度の財務活動に充てたキャッシュ・フローは、9,317億円となり、前連結会計年度の9,815億円から支出が499億円減少しております。これは、短期借入債務及び長期借入債務の返済による支出が純額で792億円増加した一方で、自己株式の取得による支出が純額で1,389億円減少したこと等によります。なお、当連結会計年度の長期借入による資金調達額の内訳は、社債による調達959億円、金融機関借入による調達3,450億円となっております。
また、2018年3月31日現在のNTTグループの有利子負債残高は3兆8,548億円であり、2017年3月31日現在の4兆882億円から2,334億円減少しました。2018年3月31日現在の有利子負債の株主資本に対する比率は40.6%(2017年3月31日現在は45.2%)となりました。なお、2018年3月31日現在の有利子負債は、連結財務諸表の注14に記載されている短期借入債務及び長期借入債務に加え、金銭消費寄託契約に基づく預り金118億円を含んでおります。
NTTグループは、営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、銀行やその他の金融機関からの借入金、あるいは、資本市場における株式や債券の発行により、将来にわたって現在予測される設備投資とその他の支出や負債の支払に必要な財源が確保できると確信しております。
翌連結会計年度は、地域通信事業において設備整備の効率化により投資が減少することに加え、移動通信事業において基地局構築の効率化により投資が減少する一方で、長距離・国際通信事業においてデータセンター構築及び海外子会社の連結拡大により投資が増加すること等により、発生主義に基づく設備投資額を1兆7,000億円と見込んでおります。その内訳は、地域通信事業が5,450億円、移動通信事業5,700億円等となっております。設備投資は確実な予測が困難な需要動向、競争環境及びその他の要因に影響を受けるため、予想とは異なることもありえます。なお、NTTグループの実際の資金調達額は、将来の事業運営、市場状況、その他の要因によって変化するため、正確に予測することは困難であります。
流動性
2018年3月31日現在の休日影響を除いた場合のNTTグループの現預金及び現金同等物(期間3ヶ月以内の短期投資を含む)残高は1兆122億円であり、2017年3月31日現在の9,252億円から870億円増加しました。現金同等物とは、負債の返済や投資等に利用される予定の一時的な余剰金のことで、運転資金として使用されます。したがって、現金同等物の残高は、その時点の資金調達や運転資金の状況に応じて毎年度変化します。なお、2018年3月31日現在の現預金及び現金同等物残高は7,803億円であります。
契約上の債務
下記の表は、2018年3月31日現在におけるNTTグループの契約上の債務をまとめたものであります。
(注)1.長期借入債務の詳細については、連結財務諸表の注14参照。
2.キャピタル・リース債務には利息相当額を含んでおります。
3.購入債務は主に有形固定資産その他の資産の購入に関する契約債務であります。なお、残余期間が1年内の購入債務を含んでおりますが、解約可能な購入債務を除いております。
4.その他の固定負債は重要性がない、あるいは支払時期が不確実であるため、上表に金額を記載しておりません。なお、連結財務諸表の注15に記載のとおり、NTTグループの年金制度に対して、翌連結会計年度に合計16,309百万円の拠出を見込んでおります。
2018年3月31日現在、NTTグループの有形固定資産及びその他資産の購入等に係る契約債務残高は約1,260億円となっており、営業活動によって得たキャッシュ・フローによりこれらの売買契約代金の支払をする予定であります。
(4)オフバランスシートアレンジメント(簿外取引)
2018年3月31日現在、保証債務等に関する偶発債務は850億円であります。
(5)最重要の会計方針
NTTグループの連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準(米国会計基準)に準拠して作成しております。連結財務諸表の注3には、財務諸表作成に用いられた重要な会計方針の要約が記載されております。当社は、重要な会計方針のうち以下に記載した事項は、より高度な判断もしくは複雑さを伴うものと考えております。
・収益の認識
NTTグループは契約事務手数料等の初期一括収入は繰り延べ、サービス毎に最終顧客(契約者)の見積平均契約期間にわたって収益として認識しております。また、関連する直接費用も、初期一括収入の金額を限度として繰り延べ、同期間で償却しております。当該処理方法は、当期純利益には重要な影響を与えないものの、収益及び原価の計上額は、初期一括収入及び関連する直接費用、ならびに収益・費用の繰り延べの基礎となる顧客の見積平均契約期間によって影響を受けます。顧客の平均契約期間の見積りに影響を与える要因としては、解約率、新規のまたは予想されうる競合商品・サービス・技術等があげられます。現在の償却期間は、過去のトレンドの分析と経験に基づき算定されております。
また、NTTグループは、システムインテグレーション収入に関して、損失の発生が予測される場合の損失引当は、損失の発生が最初に予測され、損失の額が合理的に見積り可能となった日の属する連結会計年度において行っております。当該損失は、給付完了時に見込まれる全ての収益及び費用の見積りに基づいて認識しております。これにより、給付が完了するまでの様々な段階で収益及び費用の合理的見積りが可能となります。認識された損失は、契約の進捗にしたがって見直すことがあり、その原因となる事実が判明した連結会計年度において計上されます。
・有形固定資産、ソフトウェアその他の償却可能無形資産及び耐用年数を特定できない無形資産
NTTグループは、連結会計年度に計上すべき減価償却費を決定するために、有形固定資産、ソフトウェアその他の償却可能無形資産の耐用年数及び残存価額を見積っております。耐用年数及び残存価額は、資産が取得された時点で、類似資産における過去の経験に基づくほか、予想される技術その他の変化を考慮に入れて見積っております。技術上の変化が予想より急速に、あるいは予想とは異なった様相で発生した場合には、当該資産に適用された耐用年数を短縮する必要が生じる可能性があります。その場合、結果として、将来において減価償却費を増加修正する必要が生じる可能性があります。
NTTグループは、その帳簿価額が回復不能であることを示唆する事象や環境の変化がある場合、常に減損の検討を行っております。仮に、割引前将来キャッシュ・フロー見積額が資産の帳簿価額を下回る場合には、当該資産の帳簿価額と割引キャッシュ・フロー法、市場価額及び独立した第三者による評価額等により測定した公正価値との差額を「減損損失-その他」として計上することとしております。なお、連結財務諸表の注9に記載した電気通信事業用のメタルケーブルの一部減損については、その減損損失額を当連結会計年度において「減損損失-メタルケーブル関連」に区分して計上しており、公正価値の測定については連結財務諸表の注19に記載しております。
「減損損失-メタルケーブル関連」及び「減損損失-その他」に計上された減損損失
(億円)
また、耐用年数を特定できない無形資産は償却をせず、年1回以上、減損テストを実施することとしております。
・営業権
営業権については、少なくとも年に一度、減損の兆候があればそれ以上の頻度で、事業セグメントまたはそれより一段低いレベルの報告単位毎に、減損テストを行っております。減損テストの詳細については、連結財務諸表の注3(1) 主要な会計方針の「営業権」に記載しております。
営業権の公正価値の測定にあたっては、当該報告単位の将来の事業利益及びキャッシュ・フローの創出能力に対する経営陣の見通し、ならびに当社の事業目標における報告単位の戦略的重要性等がその決定要素となっております。NTTグループは、現時点で合理的であると判断される一定の前提に基づき公正価値の測定を行っておりますが、将来の予測不能な事業上の環境の変化により見通しと異なることがあります。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度に計上された「減損損失-営業権」は、それぞれ533億円及び189億円であります。
2018年3月31日現在、重要な報告単位のうち、Dimension Dataに帰属する営業権は、2,366億円、データ通信事業セグメントにおける「北米」に帰属する営業権は3,288億円であります。当連結会計年度の年次減損テストの結果、Dimension Data及び「北米」に帰属する報告単位の公正価値は帳簿価額をそれぞれ48.3%及び16.0%上回っております。なお、データ通信事業セグメントにおける報告単位は、連結財務諸表の注3(1)主要な会計方針の「営業権」に記載のとおり、当連結会計年度に再編成されております。
・投資
NTTグループは、他企業に対して投資を行っており、原価法、持分法及び公正価値に基づいて会計処理しております。また、NTTグループは、投資価値が帳簿価額を下回り、その下落が一時的でない場合は減損損失を認識し、新たな取得原価を計上しております。一時的な下落か否かを判断するにあたっては、投資価値が帳簿価額を下回る程度及び期間、出資先企業及び事業分野の財務状況、ならびに投資を維持する能力及び意図を考慮しております。NTTグループは、投資の簿価が回復できない可能性を示唆する事象や環境の変化が発生したときは、常に減損の要否について検討を行っております。さらに、NTTグループは、評価を行うにあたり、キャッシュ・フロー予測、外部の第三者による評価、ならびに適用可能である場合は株価分析を含む様々な情報を活用しております。
当該予測及び評価には、統計(人口、普及率及び普及速度、解約率等)、技術革新、設備投資、市場の成長及びシェア、ARPU及び残存価値に係る推定が必要になります。前連結会計年度及び当連結会計年度に計上された「市場性のある投資有価証券及びその他の投資」の減損額は、それぞれ約30億円及び約50億円であります。また、関連会社の市場を取り巻く最近の経済、財政状況により、投資先の価値が一時的ではない下落が生じていないか判断するため、投資先の事業の見通しを検討しております。前連結会計年度及び当連結会計年度においてHutchison Telephone Company Limitedを含む関連会社投資についてそれぞれ239億円及び26億円の減損額を計上しております。
過去において、NTTグループはいくつかの「関連会社投資」について多額の減損処理を実施し、その減損額はそれぞれの会計期間における「持分法による投資損益」に計上されました。今後においても「市場性のある有価証券及びその他の投資」及び「関連会社投資」について同様の減損が発生する可能性があります。また、今後、投資持分の売却に際して多額の売却損益を計上する可能性もあります。
・退職給付会計
NTTグループにおける前連結会計年度及び当連結会計年度の退職給付費用は、営業費用合計の概ね1.0%となっております。従業員に対する退職給付制度に係る費用及び債務の連結財務諸表計上額は、多くの仮定を用いた数理計算により決定されております。退職給付費用及び退職給付債務の決定に用いられる仮定には、長期期待運用収益率、割引率、予定昇給率、平均残存勤務期間等があり、そのなかでも長期期待運用収益率と割引率は重要な仮定といえます。これらの仮定は、少なくとも年1回は見直され、また重要な仮定に大きな影響を与えることが想定される出来事が起こるか、あるいは環境が変化した場合にも見直しが行われます。仮定と実績との差異は、米国会計基準に従い、数理計算上の差異として将来にわたって繰延償却処理されます。2018年3月31日現在、NTTグループの退職給付制度に関連する数理計算上の差異の合計額は3,792億円であり、このうち退職給付債務又は年金資産の公正価値の10%を超える金額は、予測平均残存勤務期間にわたって償却するため、将来の年金費用に対し増加影響が生じることとなります。
長期期待運用収益率
NTTグループは、年金資産の長期期待運用収益率として、前連結会計年度において2.0-2.5%、当連結会計年度において1.0-1.9%を採用しております。NTTグループは、年金資産の長期期待運用収益率の決定に際し、現在及び将来の年金資産のポートフォリオや、各種長期投資の過去の実績利回り分析を基にした期待収益とリスクを考慮しております。NTTグループは、年金資産のポートフォリオについて、年金資産の種類別の期待収益を考慮するとともに、年金資産から生ずる収益を安定化させリスクを軽減するため、制度毎に政策的資産構成割合を定めております。制度毎の政策的資産構成割合は以下のとおりであります。
2018年3月31日現在の年金資産残高は、概ね目標配分比率に整合するものとなっております。また、前連結会計年度及び当連結会計年度における年金資産の実際運用収益率は、それぞれ約3%、約4%となっており、将来においても、その時々の市場環境により、大きく増減する可能性があります。年金資産の公正価値は測定日現在の市場価格を用いて測定しております。
割引率
もう一つの重要な仮定は、退職給付費用及び退職給付債務の決定に用いられる割引率であります。NTTグループは、退職給付費用の決定に際して、前連結会計年度においては0.5%の割引率を使用し、当連結会計年度においては0.7%の割引率を使用しております。また、退職給付債務の決定に際して、2017年3月31日現在においては0.7%の割引率を使用し、2018年3月31日現在においては0.6%の割引率を使用しております。NTTグループは、割引率の決定に際して、年金給付満期までの見積り期間と同じ期間の優良確定利付債券の利率に関し利用可能な情報を考慮しております。
2018年3月31日現在のNTTグループの年金制度において、その他全ての仮定を一定としたままで、割引率及び長期期待運用収益率を変更した場合の状況を示すと次のとおりであります。
・法人税等
NTTグループは、資産・負債の帳簿価額と税務申告上の価額との間の一時差異及び繰越欠損金に対する税効果について、繰延税金資産及び負債を認識しております。繰延税金資産及び負債の金額は、一時差異が解消する期間及び繰越欠損金が利用可能な期間において適用が見込まれる法定実効税率を用いて計算しております。法定実効税率が変更された場合には、税率変更のあった日が属する連結会計年度において、税金費用の計上を通じて繰延税金資産及び負債を調整しております。
NTTグループは、将来の実現可能性を考慮し、繰延税金資産に対して評価性引当金を計上しております。評価性引当金を適切に決定するため、予想される将来の課税所得水準及び利用可能なタックスプランニングを考慮に入れております。将来の課税所得が予想を下回った場合、またはタックスプランニングが期待通りに利用可能とならなかった場合には、その判断がなされた連結会計年度において、税金費用の計上を通じて評価性引当金を追加計上する可能性があります。2017年3月31日及び2018年3月31日現在、NTTグループは、それぞれ1兆7,323億円及び1兆5,446億円の繰延税金資産を有しており、その資産に対して、それぞれ3,795億円及び2,471億円の評価性引当金を計上しております。当該評価性引当金は、主に将来の実現が見込めない税務上の欠損金を有する当社及び特定の子会社の繰延税金資産に関するものであります。評価性引当金の変動額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ2,123億円の増加及び1,324億円の減少となっております。詳細は連結財務諸表の注16に記載しております。
・ポイントプログラム引当金
NTTグループは、携帯電話やクレジットサービス等の利用に応じて進呈するポイントと引き換えに、商品購入時の支払いや通信料金への充当等が可能なポイントプログラムを提供しており、顧客に進呈したポイントについてポイントプログラム引当金を計上しております。2017年3月31日現在及び2018年3月31日時点におけるポイントプログラム引当金は短期、長期合わせてそれぞれ1,146億円及び1,249億円であります。また、前連結会計年度及び当連結会計年度において計上されたポイントプログラム経費は、それぞれ947億円及び1,217億円であります。
ポイントプログラム引当金の算定においては、将来の解約等による失効部分の見積りが可能である場合には、その失効部分を反映したポイント利用率等の見積りが必要となります。実際のポイント利用率が当初見積りよりも多い場合等において、将来において追加的な費用の計上や引当金の計上を実施する必要が生じる可能性があります。
2018年3月31日現在のポイントプログラム引当金において、その他全ての仮定を一定としたままで、ポイント利用率が1%上昇した場合の引当金への影響は軽微であります。
(6)最近公表された会計基準
連結財務諸表の注3(3)に記載しております。
(1)営業実績
当連結会計年度における情報通信市場では、固定/移動ブロードバンドを活用した様々な機器の普及・浸透に加え、クラウドサービスやIoT、ビッグデータ、AIなどの技術の進歩による新たなサービスの登場が進んでいます。これらを通じて、様々なデータが蓄積され、その利用環境の整備を図ることにより、データの分析・活用が広がり、人々の生活における利便性や各産業における生産性の向上など、幅広い変化が起きています。一方で、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対するセキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や安心・安全な社会システムの運営など、情報通信の役割はより重要となってきています。こうした動きは世界的な広がりを見せています。
このような事業環境のなか、NTTグループは、2015年5月に策定・公表した中期経営戦略「新たなステージをめざして 2.0」に基づき、「バリューパートナー」としての自己変革を加速し、グループ全体を利益成長軌道へ乗せていくための取り組みを推進しました。
《グローバルビジネスの拡大・利益創出に向けた取り組みの状況》
グローバル・クラウドサービスを事業の基軸として拡大するとともに、利益創出スピードを加速する取り組みを強化しました。
○グローバル・クラウドサービスの事業基盤を拡充するため、北米、欧州、アジアの各地域でM&Aを推進しました。
○昨年譲受を完了した旧Dell Services部門の統合を進めるとともに、グローバルネットワーク、クラウドマイグレーション、ITアウトソーシング案件を中心に、グループ会社間の連携によるクロスセルを推進し、欧州のエネルギー業界のお客さまをはじめ、世界各地で多くの受注を獲得しました。
○長距離・国際通信事業セグメントの主要子会社であるNTTコミュニケーションズとDimension Dataとの間でクラウドサービス事業の集約を行うなど、グローバル・クラウド事業におけるサービスやオペレーションの強化・効率化を図るとともに、グループ横断でのサービス提供の連携強化などにより、コスト削減・利益改善に取り組みました。
《国内ネットワーク事業の効率化・収益力強化に向けた取り組みの状況》
国内ネットワーク事業における、付加価値の高いサービスの創出や、設備投資の効率化およびコスト削減による利益成長に向けた取り組みを強化しました。
○様々な事業者とのコラボレーションを推進する「光コラボレーションモデル」や「+d」の取り組みを通じて、付加価値の高いサービスの創出に努めました。
○ネットワークのシンプル化・スリム化を実施することにより、後年度の費用負担の軽減を推進しました。また、既存設備の有効利用や調達コストの削減など、設備投資の効率化を実施しました。
○業務のシステム化による生産性向上、開発コストの効率化等を実施し、継続的なコスト削減に取り組みました。
《B2B2Xビジネスの拡大に向けた取り組みの状況》
「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(注)」をゴールドパートナーとして通信サービスの分野で支えるとともに、官民が連携して推進しているSociety 5.0の実現に向けた取り組みをNTTの総合力を活かす大きなチャンスと捉え、B2B2Xモデルへの転換をさらに加速し、他分野の事業者や自治体とともに次世代に受け継がれるサービスの創出をめざした取り組みを強化しました。
○スポーツビジネス分野においては、Jリーグとの協業をさらに深化させ、「トップパートナー契約」および「オフィシャルテクノロジーパートナー契約」を締結しました。
Jリーグ・クラブチームのファン・サポーターの観戦機会の拡大、スタジアムの稼働率の向上を図るため、NTT グループのICT サービスやSNS などと連動させたファン参加型の観戦体験やアウェイ試合をホームスタジアムでライブ観戦する大画面パブリックビューイングなどを推進しました。
また、新たなファン層の開拓に向け、NTTグループが持つAR・VRをはじめとする最新技術を活用した新たなエンターテイメント体験の展開とJリーグ保有の過去映像の利活用推進、デジタルコンテンツとドコモショップとの連携を図るとともに、Jリーグ・クラブチームのデジタル顧客基盤の強化に取り組みました。
○松竹株式会社との間で、歌舞伎と最新のICT技術のコラボレーションによる、全く新たな歌舞伎鑑賞をめざした共同実験を推進するなど、伝統芸能などのエンターテイメント分野でのコラボレーションを推進しました。
○ファナック株式会社の製造業向けプラットフォームについて協業を進めた結果、同社において、2017年10月より国内向けサービスの運用開始に至ったほか、センサー情報や画像解析による生育管理などの農業や畜産業のスマート化に取り組むなど、様々な産業分野とのコラボレーションも推進しました。
○札幌市、北海道大学、地場企業などと産官学連携により「札幌市ICT活用プラットフォーム検討会」を設立して以降、観光・交通・雪対策などの幅広い分野で、官民のデータを収集・かけあわせることにより新たな価値を創出し、住民・来訪者の利便性向上、地域が抱える様々な課題解決や地域活性化に向けたスマートシティへの取り組みを推進しました。札幌市の中心市街地では初の公道における自動走行実験を実施したほか、札幌市および地場企業で構築・データ集積した情報をオープンデータサイト「札幌市ICT活用プラットフォーム DATA–SMART CITY SAPPORO」として公開するなど、札幌市民や地場企業によるデータ利活用の本格化に取り組みました。
(注) NTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会ゴールドパートナー(通信サービス)です。
以上の取り組みの結果、当連結会計年度の営業実績は次のとおりとなりました。
(単位:億円)
前連結会計年度 (2016年4月1日から 2017年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2017年4月1日から 2018年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 113,910 | 117,996 | 4,086 | 3.6% |
固定音声関連収入 | 12,339 | 11,469 | △870 | △7.0% |
移動音声関連収入 | 8,653 | 9,422 | 769 | 8.9% |
IP系・パケット通信収入 | 38,090 | 38,018 | △72 | △0.2% |
通信端末機器販売収入 | 8,065 | 8,435 | 371 | 4.6% |
システムインテグレーション収入 | 30,416 | 34,431 | 4,016 | 13.2% |
その他の営業収入 | 16,348 | 16,220 | △127 | △0.8% |
営業費用 | 98,512 | 101,567 | 3,055 | 3.1% |
営業利益 | 15,398 | 16,428 | 1,031 | 6.7% |
営業外損益 | △120 | 1,128 | 1,248 | - |
税引前当期純利益 | 15,278 | 17,556 | 2,279 | 14.9% |
法人税等 | 4,684 | 5,419 | 735 | 15.7% |
持分法による投資利益(△損失) | △0 | 56 | 56 | - |
当期純利益 | 10,594 | 12,193 | 1,599 | 15.1% |
控除:非支配持分に帰属する当期純利益 | 2,592 | 3,096 | 504 | 19.4% |
当社に帰属する当期純利益 | 8,001 | 9,097 | 1,096 | 13.7% |
営業収益
NTTグループの営業収益は、固定音声関連、移動音声関連、IP系・パケット通信、通信端末機器販売、システムインテグレーション及びその他の6つのサービス分野に区分しております。
2017年度の営業収益は、前期比3.6%増加し、11兆7,996億円となりました。これは、海外売上を中心としたデータ通信事業セグメントの増収およびモバイル通信の拡大等による移動通信事業セグメントの増収などによるものです。
2017年度における各サービス分野における営業収益の概要は、次のとおりです。
・固定音声関連収入
固定音声関連サービスには、加入電話、INSネット、一般専用、高速ディジタル伝送など、地域通信事業セグメントと長距離・国際通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年度における固定音声関連収入は、前期比7.0%減少し、1兆1,469億円(営業収益の9.7%に相当)となりました。これは、携帯電話や光IP電話の普及、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスの増加などにより、加入電話やINSネットの契約数が引き続き減少したことなどによるものです。
・移動音声関連収入
移動音声関連サービスには、LTE(Xi)における音声通話サービスなどの移動通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年度における移動音声関連収入は、前期比8.9%増加し、9,422億円(営業収益の8.0%に相当)となりました。これは、「カケホーダイ&パケあえる」契約者数の拡大などによるものです。
・IP系・パケット通信収入
IP系・パケット通信サービスには、「フレッツ光」などの地域通信事業セグメントの一部、Arcstar Universal One、IP-VPN、OCNなどの長距離・国際通信事業セグメントの一部、LTE(Xi)におけるパケット通信サービスなどの移動通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年度におけるIP系・パケット通信収入は、前期比0.2%減少し、3兆8,018億円(営業収益の32.2%に相当)となりました。これは、移動通信事業セグメントにおいて「ドコモ光」契約者数の拡大が進んだものの、地域通信事業セグメントにおける「光コラボレーションモデル」への転用の進展や、移動通信事業セグメントにおけるお客さま還元の強化による収入の減少があったことなどによるものです。
・通信端末機器販売収入
通信端末機器販売には、移動通信事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部などが含まれております。
2017年度における通信端末機器販売収入は、前期比4.6%増加し、8,435億円(営業収益の7.1%に相当)となりました。これは、主に移動通信事業セグメントにおけるスマートフォンなどの携帯電話端末の卸売販売台数が増加したことによるものです。
・システムインテグレーション収入
システムインテグレーションには、データ通信事業セグメント及び長距離・国際通信事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部が含まれております。
2017年度のシステムインテグレーション収入は、前期比13.2%増加し、3兆4,431億円(営業収益の29.2%に相当)となりました。これは、データ通信事業セグメントにおける旧Dell Services部門の譲り受けによる連結拡大影響や、ビジネス規模の拡大などによるものです。
・その他の営業収入
その他のサービスには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、移動通信事業セグメントにおけるスマートライフ領域などが含まれております。
2017年度のその他の営業収入は、前期比0.8%減少し、1兆6,220億円(営業収益の13.7%に相当)となりました。これは、主にその他の事業セグメントにおいて不動産事業に関する収益が減少したことなどによるものです。
営業費用
2017年度の営業費用は前期比3.1%増加し、10兆1,567億円となりました。主な要因は以下のとおりであります。なお、下記の人件費、経費は、連結損益計算書上のサービス原価、通信端末機器原価、システムインテグレーション原価、販売費及び一般管理費に含まれております。
・人件費
2017年度の人件費は、前期比5.8%増加し、2兆4,083億円となりました。これは、地域通信事業セグメントにおける人件費が退職等により減少したものの、データ通信事業セグメントにおける人件費が連結拡大により増加したことなどによるものです。
・経費
2017年度の経費は、前期比4.5%増加し、5兆8,666億円となりました。これは、主にデータ通信事業セグメントにおける連結拡大影響や、移動通信事業セグメントにおける卸売販売台数の増加に伴う収益連動経費の増加などによるものです。
・減価償却費
2017年度の減価償却費は、前期比8.4%減少し、1兆3,394億円となりました。これは、主に2016年度において計上した旧世代設備の加速償却を2017年度においては計上していないことなどによるものです。
営業利益
以上の結果、2017年度の営業利益は、前期比6.7%増加し、1兆6,428億円となりました。
営業外損益
2017年度の営業外損益は、前期の△120億円に対し1,128億円となりました。
税引前当期純利益
以上の結果、2017年度の税引前当期純利益は前期比14.9%増加し、1兆7,556億円となりました。
法人税等
2017年度の法人税等は、前期比15.7%増加し、5,419億円となりました。これは、税引前当期純利益が増加したことなどによるものです。この結果、2016年度と2017年度の税負担率は、それぞれ30.66%、30.86%となっております。
持分法による投資利益(△損失)
2017年度の持分法による投資利益(△損失)は、前期の△0億円に対し56億円となりました。
当社に帰属する当期純利益
以上の結果、2017年度の当期純利益は前期比15.1%増加し、1兆2,193億円となりました。また、非支配持分に帰属する当期純利益を控除した当社に帰属する当期純利益は、前期比13.7%増加し、9,097億円となりました。
《中期財務目標》
NTTグループは、中期経営戦略「新たなステージをめざして 2.0」に基づき、事業構造の変革に取り組んでいます。
2015年度から2017年度の中期財務目標については、目標年度である当連結会計年度において、最重要の目標であるEPS(1株当たり当期純利益)が456円となり、目標としていた400円以上を達成しました。その他の目標については、国内ネットワーク事業における設備投資について、2,000億円以上削減の目標に対し2,049億円を削減し、固定/移動アクセス系のコストについて、8,000億円以上削減の目標に対し8,560億円を削減し、それぞれ目標を達成しました。また、海外売上高/海外営業利益については、220億米ドル/15億米ドルの目標に対し、それぞれ195億米ドル/10億米ドルとなりました。目標達成に向けて引き続き取り組んでまいります。
これからも引き続き利益成長に主眼を置きつつ、自己株式取得などによる資本効率の向上を図ることにより、EPSをさらに成長させるよう努めてまいります。
(注)1.設備投資の効率化(国内ネットワーク事業)は、対2014年度比であり、NTTコミュニケーションズのデータセンターなどの設備投資を除いて算出しております。
2.コスト削減(固定/移動アクセス系)は、対2014年度比であり、有形固定資産の減価償却方法を変更した影響を除いた財務目標としております。
3.海外営業利益は、買収に伴う無形固定資産の償却費など、一時的なコストを除いて算出しております。
(2)セグメント情報
NTTグループの事業は5つのオペレーティング・セグメント、すなわち、地域通信事業セグメント、長距離・国際通信事業セグメント、移動通信事業セグメント、データ通信事業セグメントおよびその他の事業セグメントに区分しております。(連結財務諸表の注20参照)
地域通信事業セグメントには、固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス、その他が含まれております。
長距離・国際通信事業セグメントには、主に固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、システムインテグレーションサービス、その他が含まれております。
移動通信事業セグメントには、移動音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、その他が含まれております。
データ通信事業セグメントには、システムインテグレーションサービスが含まれております。
また、その他の事業セグメントには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、研究開発等に係るその他のサービスが含まれております。
各セグメントの営業実績の概要は、次のとおりです。なお、各セグメントの営業実績の記載における営業収益・営業費用・営業利益は、セグメント間取引を含んでおります。また、当社グループは電気通信事業等の事業を行っており、生産、受注といった区分による表示が困難であるため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の状況については各セグメントの営業業績に関連付けて示しております。
①地域通信事業セグメント
地域通信事業では、光アクセスサービスなどを様々な事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」によるB2B2Xビジネスの展開などの取り組みを行いました。
○「光コラボレーションモデル」において、通信業界、エネルギー業界、不動産業界、警備業界、住宅業界などの事業者のほか、当連結会計年度は社会インフラ事業者やFinTech事業者など異業種の事業者との協業が引き続き広がり、卸サービスを提供している事業者数は当連結会計年度末時点で約700社となりました。社会インフラ事業を営む事業者においては、信号機につながるネットワークの光化を進めるためにコラボ光を採用いただくなど、新たな活用事例が生まれました。こうした取り組みにより、同モデルにおける光アクセスサービスの契約数は1,112万契約となりました。
○業務のシステム化による生産性向上、開発コストの効率化等を実施し、コストの継続的な削減に取り組みました。また、ネットワークのシンプル化・スリム化や、既存設備の利用率の向上など、設備投資の効率化を推進しました。
○企業や自治体が自らの情報サービスの有力なツールとして積極的に導入を進めているWi-Fiについて、増加する訪日外国人旅行者の利便性向上に向けて、様々な地域における面的拡大に引き続き取り組んだ結果、Wi-Fiのエリアオーナー数は744となりました。
《主なサービスの提供状況》
○「フレッツ光」 :2,053万契約(対前連結会計年度:+48万契約)
(再掲)「コラボ光」:1,112万契約(対前連結会計年度:+237万契約)
○「ひかり電話」 :1,803万ch(対前連結会計年度:+27万ch)
○「フレッツ・テレビ」:162万契約(対前連結会計年度:+9万契約)
(注)「フレッツ光」、「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ」は、「光コラボレーションモデル」を活用してNTT東日本およびNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスの契約数を含めて記載しております。
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2016年4月1日から 2017年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2017年4月1日から 2018年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 33,082 | 32,329 | △753 | △2.3% |
固定音声関連サービス | 12,106 | 11,431 | △674 | △5.6% |
IP系・パケット通信サービス | 15,408 | 15,349 | △60 | △0.4% |
システムインテグレーションサービス | 1,662 | 1,666 | 4 | 0.3% |
その他 | 3,906 | 3,883 | △23 | △0.6% |
営業費用 | 29,487 | 28,786 | △701 | △2.4% |
営業利益 | 3,595 | 3,543 | △52 | △1.4% |
地域通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、固定音声関連サービス収入が減少したことなどに伴い3兆2,329億円(前期比2.3%減)となりました。
一方、当連結会計年度の営業費用は、メタルケーブル関連の減損損失を計上したものの、減価償却費の減少や、退職等による人件費の減少などにより2兆8,786億円(前期比2.4%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は3,543億円(前期比1.4%減)となりました。
地域通信事業セグメントにおける各サービス分野別の営業の状況は以下のとおりです。
(固定音声関連サービス)
本セグメントにおける固定音声関連サービス収入は、前期比674億円(5.6%)減少の1兆1,431億円となりました。これは主に以下の要因によるものです。
加入電話やINSネットについて、お客さまニーズが携帯電話、IP電話、ブロードバンドアクセスサービス、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスなどへと移行していることなどに伴い、2018年3月31日現在の固定電話契約数(固定電話+INSネット)は、前期比1,467千契約減少し、19,869千契約となりました。
加入電話とINSネットの契約数は、次のとおりです。
(単位:千加入/回線)
サービスの種類 | 2017年3月31日現在 | 2018年3月31日現在 | 増減 | 増減率 |
(NTT東日本) | ||||
加入電話 | 9,315 | 8,707 | △608 | △6.5% |
INSネット | 1,293 | 1,188 | △106 | △8.2% |
(NTT西日本) | ||||
加入電話 | 9,482 | 8,832 | △650 | △6.9% |
INSネット | 1,246 | 1,143 | △102 | △8.2% |
(注)1.加入電話は、一般加入電話とビル電話を合算しております(加入電話・ライトプランを含む)。
2.「INSネット」には、「INSネット64」及び「INSネット1500」が含まれております。「INSネット1500」は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)いずれについても「INSネット64」の10倍程度であることから、「INSネット1500」の1契約を「INSネット64」の10倍に換算しております(INSネット64・ライトを含む)。
2017年度における固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)は、前期に比べ、NTT東日本が30円(1.1%)減少し2,580円、NTT西日本が40円(1.6%)減少し2,540円となりました。これらの原因は、移動体通話への移行、高利用者層のIP電話への移行などによるものです。
なお、ARPUについては、「(注)2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit)」をご参照ください。また、固定電話総合ARPUの算定式については、「(注)3.ARPUの算定式 (a)NTT東日本、NTT西日本」をご参照下さい。
(IP系・パケット通信サービス)
本セグメントにおけるIP系・パケット通信サービス収入は、前期比60億円(0.4%)減少の1兆5,349億円となりました。これは、主に「フレッツ光(コラボ光含む)」の契約数は増加したものの、フレッツ光ARPUが減少したことなどによるものです。具体的には以下の通りです。
2018年3月31日現在の「フレッツ光(コラボ光含む)」の契約数は、「光コラボレーションモデル」によるB2B2Xビジネスの展開などに取り組んだ結果、前期比480千契約(2.4%)増加し20,533千契約、「ひかり電話」の契約数は、前期比273千チャネル(1.5%)増加し18,032千チャネル、「フレッツ・テレビ」の契約数は、前期比94千契約(6.2%)増加し1,615千契約となりました。
「フレッツ光(コラボ光含む)」、「フレッツ・ADSL」および「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ伝送サービス」の契約数は、次のとおりです。
(単位:千契約)
サービスの種類 | 2017年3月31日現在 | 2018年3月31日現在 | 増減 | 増減率 |
(NTT東日本) | ||||
フレッツ光(コラボ光含む) | 11,173 | 11,491 | 318 | 2.8% |
フレッツ・ADSL | 411 | 342 | △69 | △16.8% |
ひかり電話(千チャネル) | 9,369 | 9,558 | 190 | 2.0% |
フレッツ・テレビ伝送サービス | 951 | 992 | 41 | 4.3% |
(NTT西日本) | ||||
フレッツ光(コラボ光含む) | 8,880 | 9,041 | 162 | 1.8% |
フレッツ・ADSL | 508 | 438 | △70 | △13.8% |
ひかり電話(千チャネル) | 8,390 | 8,474 | 83 | 1.0% |
フレッツ・テレビ伝送サービス | 570 | 624 | 53 | 9.4% |
(注)1.「フレッツ光(コラボ光含む)」はNTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「Bフレッツ」、「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しております。
2.「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ伝送サービス」は、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しております。
2017年度におけるフレッツ光ARPUは、前期に比べ、NTT東日本が170円(3.2%)減少し5,080円、NTT西日本が180円(3.4%)減少し5,100円となりました。これは、「光コラボレーションモデル」の進展に伴う単金減などによるものです。
フレッツ光ARPUの算定式については、「(注)3.ARPUの算定式 (a)NTT東日本、NTT西日本」をご参照下さい。
(その他)
システムインテグレーションサービス、その他については、企業や自治体などのお客さまに対し、お客さまごとの課題やニーズに応じたサービスを提供し、ICTの利活用促進に取り組みました。
②長距離・国際通信事業セグメント
長距離・国際通信事業では、ネットワーク、セキュリティなどを組み合わせたシームレスICTソリューションの提供力を強化したほか、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化を図りました。
《主な取り組み内容》
○SAPやOracleなどの幅広いアプリケーションを効率的に保守・運用する体制を強化し、お客さまのICT環境をトータルで保守・運用するマネージドサービスの提供能力を拡大することをめざし、米国ITマネージドサービス事業者であるSecure-24 Intermediate Holdings, Inc.の株式取得に関する契約を締結しました。
○世界各地でのクラウドサービスやデータセンターの需要に対応するため、市場拡大の続く各国において、サービス提供体制の拡充を進めました。米国においては「テキサス ダラス 1 (TX1) データセンター」、「バージニア アッシュバーン 3 (VA3) データセンター」の提供を、ドイツにおいては「ドイツ ミュンヘン 2 データセンター」、「ドイツ ライン・ルール 1 データセンター」の提供をそれぞれ開始したほか、南アフリカでも新たにデータセンターサービスの提供を開始しました。
○クラウドサービスの競争力強化を図るため、Dimension Data からNTTコミュニケーションズへクラウドサービスの設備、開発・運用業務の移管を進めるなど、クラウドサービス事業の集約・強化に取り組みました。
《主なサービスの提供状況》
○クラウドサービスお客さま数:9,900件(対前連結会計年度:+900件)
○「ひかりTV」 :302万契約(対前連結会計年度:△1万契約)
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2016年4月1日から 2017年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2017年4月1日から 2018年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 21,293 | 22,189 | 896 | 4.2% |
固定音声関連サービス | 2,626 | 2,399 | △227 | △8.7% |
IP系・パケット通信サービス | 3,972 | 4,124 | 152 | 3.8% |
システムインテグレーションサービス | 13,033 | 13,915 | 882 | 6.8% |
その他 | 1,662 | 1,751 | 89 | 5.4% |
営業費用 | 20,884 | 21,253 | 369 | 1.8% |
営業利益 | 408 | 936 | 527 | 129.1% |
長距離・国際通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、固定音声関連サービス収入の減少があったものの、海外ビジネスの拡大などによるシステムインテグレーションサービス収入の増加や、「Arcstar Universal One」の拡大によるIP系・パケット通信サービス収入の増加などにより2兆2,189億円(前期比4.2%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、海外ビジネスの拡大に伴う収益連動費用の増加などにより2兆1,253億円(前期比1.8%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は936億円(前期比129.1%増)となりました。
長距離・国際通信事業セグメントにおける各サービス分野別の営業の状況は次のとおりです。
(固定音声関連サービス)
本セグメントにおける固定音声関連サービス収入は、前期比227億円(8.7%)減少の2,399億円となりました。これは、主に携帯電話や光IP電話の普及、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスの増加などにより固定電話の契約数が減少したことなどによるものです。
(IP系・パケット通信サービス)
本セグメントにおけるIP系・パケット通信サービス収入は、前期比152億円(3.8%)増加の4,124億円となりました。これは、主に以下の取り組みによるものです。
個人のお客さま向けには、NTTコミュニケーションズのLTE対応モバイルデータ通信サービス「OCN モバイル ONE」において、混雑する時間帯の通信速度を改善し、コンテンツ表示に要する時間を短縮化するなど、更なる品質改善などで契約者数を増加させました。
法人のお客さま向けには、NTTコミュニケーションズの企業向けネットワークサービス「Arcstar Universal One」において、セキュアな閉域網上にマルチクラウド環境を構築できるオプション機能を提供するなど、先進的な機能の提供などで契約数の増加に努めました。
長距離・国際通信事業セグメントにおけるIP系・パケット通信関連サービスの契約数は、次のとおりです。
(単位:千契約)
サービスの種類 | 2017年3月31日現在 | 2018年3月31日現在 | 増減 | 増減率 |
ネットワークサービス(VPN)(注1)(千回線) | 353 | 386 | 33 | 9.3% |
OCN(ISP) | 7,739 | 7,521 | △217 | △2.8% |
ぷらら(ISP)(注2) | 3,106 | 3,145 | 40 | 1.3% |
ひかりTV(注2) | 3,023 | 3,016 | △7 | △0.2% |
(注1)「ネットワークサービス(VPN)」には、Arcstar Universal One、ArcstarグローバルIP-VPNなどが含まれております。
(注2)「ぷらら」及び「ひかりTV」に係る収入は、その他の営業収入に含まれております。
(システムインテグレーションサービス)
本セグメントにおけるシステムインテグレーションサービス収入は、グローバル・クラウドサービスをNTTグループ全体の事業の基軸として拡大させる取り組みを強化したことにより、前期比882億円(6.8%)増加の1兆3,915億円となりました。
主な取り組みとして、フルスタック・フルライフサイクルでのサービス提供力をさらに強化するため、データセンターなどのクラウド基盤の拡充や、ネットワーク・セキュリティなどを組み合わせたシームレスICTソリューションの提供力の強化、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化などを図りました。
具体的には、NTTコミュニケーションズの企業向けネットワークサービス「Enterprise Cloud」について、パートナー企業との協業範囲の拡大や協業の強化などを図ったほか、データセンターサービス「Nexcenter」について、サービス提供体制の拡充などに取り組みました。
③移動通信事業セグメント
移動通信事業では、料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」や「ドコモ光」の販売を推進したほか、様々な事業者とのコラボレーションを推進し、新たな付加価値の提供を行うなど、スマートライフ領域の収益力強化を図りました。
《主な取り組み内容》
○お客さまのライフステージに合わせながら、長期にわたりお得にお使いいただける「カケホーダイ&パケあえる」の販売を引き続き推進したほか、「シンプルプラン」や「docomo with」を提供するなど、お客さま還元の強化に取り組みました。その結果、「カケホーダイ&パケあえる」の契約数は4,196万契約となりました。
○地域通信事業の「光コラボレーションモデル」を活用し、光アクセスサービスとインターネット接続サービス、モバイルサービスを一括して提供する「ドコモ光パック」の販売を推進しました。その結果、「ドコモ光」の契約数は476万契約となりました。
○株式会社小松製作所などと、建設生産プロセス全体をつなぐ新プラットフォーム「LANDLOG」の共同企画・運用に合意し、実証実験を開始したほか、人工知能を活用したタクシー乗車需要予測サービス「AIタクシー®」の提供開始や、「5Gトライアルサイト」の提供開始など、先進技術を活用した取り組みを実施するなど、様々な事業者とのコラボレーションを通じて新たな付加価値を協創する「+d」の取り組みを推進しました。
《主なサービスの提供状況》
○携帯電話サービス :7,637万契約(対前連結会計年度:+149万契約)
(再掲)カケホーダイ&パケあえる:4,196万契約(対前連結会計年度:+490万契約)
(再掲)LTE(Xi)サービス :5,010万契約(対前連結会計年度:+555万契約)
(再掲)FOMAサービス :2,627万契約(対前連結会計年度:△406万契約)
(注) 携帯電話サービス契約数、LTE(Xi)サービス契約数およびFOMAサービス契約数には、通信モジュールサービス契約数を含めて記載しております。
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2016年4月1日から 2017年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2017年4月1日から 2018年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 45,846 | 47,694 | 1,849 | 4.0% |
移動音声関連サービス | 8,752 | 9,517 | 765 | 8.7% |
IP系・パケット通信サービス | 21,013 | 21,726 | 713 | 3.4% |
その他 | 16,081 | 16,452 | 371 | 2.3% |
営業費用 | 36,329 | 37,873 | 1,543 | 4.2% |
営業利益 | 9,516 | 9,821 | 305 | 3.2% |
移動通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、お客さま還元強化による減収影響があったものの、「ドコモ光」や「カケホーダイ&パケあえる」の契約数拡大に加え、スマートフォンなどの携帯電話端末の卸売販売台数が増加したことなどにより4兆7,694億円(前期比4.0%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、「ドコモ光」の拡大や卸売販売台数の増加に伴う収益連動費用の増加や、ポイント経費の増加などにより3兆7,873億円(前期比4.2%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は9,821億円(前期比3.2%増)となりました。
移動通信事業セグメントにおける各サービス分野別の営業の状況は次のとおりです。
(移動音声関連サービス/IP系・パケット通信サービス)
本セグメントにおける移動音声関連サービス収入は、前期比765億円(8.7%)増加の9,517億円となりました。また、IP系・パケット通信サービス収入は、前期比713億円(3.4%)増加の2兆1,726億円となりました。これは、お客さま還元強化による減収影響はあるものの、「ドコモ光」や「カケホーダイ&パケあえる」の契約者数が拡大したことや、「月々サポート」の割引影響が縮小したことなどによるものです。
2018年3月31日現在、NTTドコモの携帯電話サービスの契約数は、7,637万契約と前期末時点の7,488万契約から1年間で149万契約増加いたしました。また、解約率は前期比0.05ポイント上昇し、0.65%となりました。
移動通信事業セグメントの契約数および市場シェアは、次のとおりです。
(単位:千契約)
サービスの種類 | 2017年3月31日現在 | 2018年3月31日現在 | 増減 | 増減率 |
携帯電話サービス(注1) | 74,880 | 76,370 | 1,491 | 2.0% |
(再掲)カケホーダイ&パケあえる | 37,066 | 41,964 | 4,899 | 13.2% |
LTE(Xi)サービス | 44,544 | 50,097 | 5,553 | 12.5% |
FOMAサービス | 30,336 | 26,273 | △4,062 | △13.4% |
携帯電話市場シェア(注2) | 46.0% | 45.3% | △0.7ポイント | - |
spモードサービス | 35,921 | 38,998 | 3,077 | 8.6% |
iモードサービス | 15,493 | 12,111 | △3,381 | △21.8% |
(注1)携帯電話サービス契約数、LTE(Xi)サービス契約数及びFOMAサービス契約数には、通信モジュールサービス契約数を含めて記載しております。
(注2)他社契約数については、一般社団法人電気通信事業者協会及び各社が発表した数値を基に算出しております。
2017年度における携帯電話総合ARPUは4,680円と、前期の4,430円に比べ250円(5.6%)増加しました。これは、音声ARPUが、お客さま還元強化による減収影響はあるものの、「カケホーダイ&パケあえる」への継続的な移行による影響などにより1,370円と前期の1,250円に比べて120円(9.6%)増加したこと、データARPUが、「ドコモ光」契約者数の拡大や、「月々サポート」の割引影響の縮小などにより3,310円と前期の3,180円に比べて130円(4.1%)増加したことによります。
下の表は、携帯電話サービスにおけるARPUおよびMOUに関するデータを示しております。
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 |
総合ARPU(円) | 4,430 | 4,680 | 250 | 5.6% |
音声ARPU(円) | 1,250 | 1,370 | 120 | 9.6% |
データARPU(円) | 3,180 | 3,310 | 130 | 4.1% |
パケットARPU(円) | 2,990 | 2,970 | △20 | △0.7% |
ドコモ光ARPU(円) | 190 | 340 | 150 | 78.9% |
MOU(分) | 137 | 136 | △1 | △0.7% |
携帯電話サービスにおけるMOUについては「(注)1.MOU(Minutes Of Use)」を、また、ARPUの算定式については「(注)3.ARPUの算定式(b)NTTドコモ」をご参照下さい。
(その他)
本セグメントにおけるその他の収入は、前期比371億円(2.3%)増加の1兆6,452億円となりました。これは、スマートフォンなどの携帯電話端末の卸売販売台数が増加したことなどによるものです。
スマートライフ事業においては、「dポイント」を貯める・使うことができるブランドやサイトの拡充に取り組み、「dポイント」の利便性向上を図りました。
④データ通信事業セグメント
データ通信事業では、お客さまのグローバル市場への進出の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でのビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したシステムインテグレーションなどの多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
《主な取り組み内容》
○2017年4月発足のNTT DATA Servicesのもと、昨年譲受を完了した旧Dell Services部門の統合の着実な実現および北米を中心とした事業の一体化に取り組みました。特にヘルスケア、公共、金融の各分野においてアウトソーシング等の豊富な実績や知見を活かした事業拡大を図るとともに、更なるローカルプレゼンス向上に向けて取り組みを推進しました。
○先端技術のブロックチェーンを活用する取り組みを進め、事務局として貿易情報連携基盤の実現に向けたコンソーシアムを設立し、各業界を代表する14社とともに活動を推進しました。また、一般社団法人全国銀行協会の「ブロックチェーン連携プラットフォーム」のパートナーベンダーの1社に選定され、新サービス開発のための実証実験の推進に寄与しました。
○近年高まる働き方改革の動きなどを受け急速に普及が進むデスクワークを自動化・効率化するRPAソリューションについて、NTTグループが開発した「WinActor」の販売を推進しました。英語版のほか、特に自動化ニーズの高い財務経理業務向けに機能強化するなどにより様々な業界のお客さまへの導入が進み、働き方改革を支援しました。
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2016年4月1日から 2017年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2017年4月1日から 2018年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 17,187 | 20,431 | 3,244 | 18.9% |
営業費用 | 16,108 | 19,153 | 3,044 | 18.9% |
営業利益 | 1,079 | 1,278 | 199 | 18.5% |
データ通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、旧Dell Services 部門の譲り受けによる連結拡大影響や、国内における金融および法人・ソリューション分野をはじめとしたビジネス規模拡大などにより2兆431億円(前期比18.9%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、連結子会社の拡大に伴う経費や人件費の増加などにより1兆9,153億円(前期比18.9%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は1,278億円(前期比18.5%増)となりました。
⑤その他の事業セグメント
その他の事業では、主に不動産事業、金融事業、建築・電力事業、システム開発事業に係るサービスを提供しました。
《主な取り組み内容》
○不動産事業
主力となるオフィス・商業事業やマンションブランド「Wellith(ウエリス)」を主体とした住宅事業のほか、グローバル事業やホテル・リゾート事業を推進しました。また、保育所などを併設した新たな形のシェアオフィス事業「LIFORK(リフォーク)」を開始しました。
○金融事業
多様化するニーズや経済環境およびグローバル化の進展などの変化に対応したリース・割賦やファイナンスなどの金融サービスを展開しました。また、通信サービス料金などの請求・回収、クレジットカードの決済サービスの提供を行いました。
○建築・電力事業
「ICT・エネルギー・建築」の技術を最大限に融合・活用し、自然エネルギーの活用や限りあるエネルギーを効率的にムダなく使う街づくり、自然災害などのリスクに強い安心・安全な街づくりに取り組みました。
○システム開発事業
最適で高品質なICTサービスを提供するため、ネットワークのオペレーションシステムやアプリケーションサービスの開発などに取り組んだほか、AIをはじめとした先端技術を活用したソリューション開発などに取り組みました。
セグメント業績の概要(2017年4月1日~2018年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2016年4月1日から 2017年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2017年4月1日から 2018年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 12,823 | 12,366 | △457 | △3.6% |
営業費用 | 12,050 | 11,580 | △470 | △3.9% |
営業利益 | 773 | 786 | 13 | 1.7% |
その他の事業セグメントにおいては、不動産事業における売上高の減少などにより、当連結会計年度の営業収益は1兆2,366億円(前期比3.6%減)となりました。一方、当連結会計年度における営業費用は、不動産事業における収益連動経費の減少などにより、1兆1,580億円(前期比3.9%減)となりました。この結果、営業利益は786億円(前期比1.7%増)となりました。
(参考)国内売上高及び海外売上高に関する情報
(単位:億円)
前連結会計年度 (2016年4月1日から 2017年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2017年4月1日から 2018年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 113,910 | 117,996 | 4,086 | 3.6% |
国内 | 95,564 | 96,252 | 688 | 0.7% |
海外 | 18,346 | 21,744 | 3,398 | 18.5% |
(注)営業収益は、製品及びサービスの提供先別に国内・海外を分類しております。
国内における当連結会計年度の営業収益は、移動通信事業セグメントにおける増収などにより9兆6,252億円(前期比0.7%増)となりました。海外における当連結会計年度の営業収益は、データ通信事業セグメントにおける連結拡大影響などにより2兆1,744億円(前期比18.5%増)となりました。
(注)
1.MOU(Minutes Of Use):1利用者当たり月間平均通話時間
2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit):1契約者(利用者)当たり月間平均収入
契約者(利用者)当たりの月間平均収入(ARPU)は、契約者(利用者)1人当たりの平均的な月間営業収益を計るために使われます。固定通信事業の場合、ARPUは、地域通信事業セグメントの営業収益のうち、固定電話(加入電話およびINSネット)並びに「フレッツ光」の提供により毎月発生する収入を、当該サービスの稼動契約数で除して計算されます。移動通信事業の場合、ARPUは、移動通信事業セグメントの営業収益のうち、携帯電話(LTE(Xi))、携帯電話(FOMA)、及び「ドコモ光」のサービス提供により発生する通信サービス収入(一部除く)を、当該サービスの稼動利用者数で除して計算されます。これら数字の計算からは、各月の平均的な利用状況を表さない端末機器販売、契約事務手数料、ユニバーサルサービス料などは除いています。こうして得られたARPUは各月のお客さまの平均的な利用状況を把握する上で有用な情報を提供するものであると考えております。なお、ARPUの分子に含まれる収入は米国会計基準による連結決算値を構成する財務数値により算定しております。
3.ARPUの算定式
(a) NTT東日本、NTT西日本
NTT東日本およびNTT西日本のARPUは、以下の2種類に分けて計算をしております。
・音声伝送収入(IP系除く)に含まれる加入電話とINSネットの基本料、通信・通話料、およびIP系収入に含まれる「フレッツ・ADSL」、「フレッツ・ISDN」からの収入に基づいて計算される固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)。
・IP系収入に含まれる「フレッツ光」、「フレッツ光」のオプションサービスからの収入、「ひかり電話」における基本料・通信料・機器利用料、および附帯事業営業収益に含まれる「フレッツ光」のオプションサービス収入に基づいて計算されるフレッツ光ARPU。
※1 「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」および「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「Bフレッツ」、「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しております。「フレッツ光」のオプションサービスは、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しております。
※2 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)およびフレッツ光ARPUには相互接続通話料が含まれておりません。
※3 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上の契約数は、固定電話(加入電話及びINSネット)の契約数であります。
※4 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上、INSネット1500の契約数は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)いずれについてもINSネット64の10倍程度であることから、INSネット1500の1契約をINSネット64の10倍に換算しております。
※5 フレッツ光ARPU算定上の契約数は、「フレッツ光」の契約数(「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「Bフレッツ」、「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含む)であります。
※6 NTT東日本およびNTT西日本におけるARPU算出時の稼動契約数の計算式は以下のとおりであります。
通期実績:4月~3月までの各月稼動契約数{(前月末契約数+当月末契約数)/2}の合計
(b) NTTドコモ
NTTドコモのARPUの計算式は、以下のとおりであります。
・総合ARPU:音声ARPU+パケットARPU+ドコモ光ARPU
※1 ・音声ARPU:音声ARPU関連収入(基本使用料、通話料)/稼動利用者数
・パケットARPU:パケットARPU関連収入(月額定額料、通信料)/稼動利用者数
・ドコモ光ARPU:ドコモ光ARPU関連収入(基本使用料、通話料)/稼動利用者数
なお、パケットARPUとドコモ光ARPUの合算値をデータARPUと称します。
※2 NTTドコモにおけるARPU算出時の稼動利用者数の計算式は以下のとおりであります。
当該期間の各月稼動利用者数{(前月末利用者数+当月末利用者数)/2}の合計
※3 利用者数は、以下のとおり、契約数を基本としつつ、一定の契約数を除外して算定しています。
利用者数 = 契約数
-通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」並びにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る契約数
-Xi契約及びFOMA契約と同一名義のデータプラン契約数
なお、通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」並びにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る収入は、ARPUの算定上、収入に含まれておりません。
(3)流動性及び資金の源泉
前連結会計年度及び当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(単位:億円)
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 29,174 | 26,375 |
営業活動によるキャッシュ・フロー (休日影響(注)を除く) | 28,695 | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △20,893 | △18,418 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △9,815 | △9,317 |
現預金及び現金同等物の期末残高 | 9,252 | 7,803 |
現預金及び現金同等物の期末残高 (休日影響(注)を除く) | 10,122 |
(注)当連結会計年度において、末日が休日だったことから通信サービス料金等の支払期限が後倒しとなった影響2,319億円。
資金調達及び資金の源泉と使途
当連結会計年度の休日影響を除いた場合の営業活動によって得たキャッシュ・フローは、2兆8,695億円となり、前連結会計年度の2兆9,174億円から479億円減少しております。これは、当連結会計年度の売掛金の回収が前連結会計年度に比べて減少したこと等によるものであります。なお、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2兆6,375億円であります。
NTTグループは、営業活動によって得たキャッシュ・フローを主に設備の取得、配当金の支払、自己株式の取得等に充てました。
当連結会計年度の投資活動に充てたキャッシュ・フローは、1兆8,418億円となり、前連結会計年度の2兆893億円から2,475億円減少しております。これは、有形固定資産、無形固定資産に対する投資が現金支出ベースで89億円増加した一方で、新規連結子会社の取得による支出が3,094億円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度の有形固定資産、無形固定資産に対する投資の増加は、地域通信事業において光関連投資が減少したことに加え、移動通信事業において基地局構築の効率化により投資が減少した一方で、データ通信事業において大型案件の規模拡大により投資が増加したこと等によります。なお、当連結会計年度の発生主義に基づく設備投資額1兆6,748億円の主な内訳は地域通信事業が5,496億円、移動通信事業が5,764億円でした。
当連結会計年度の財務活動に充てたキャッシュ・フローは、9,317億円となり、前連結会計年度の9,815億円から支出が499億円減少しております。これは、短期借入債務及び長期借入債務の返済による支出が純額で792億円増加した一方で、自己株式の取得による支出が純額で1,389億円減少したこと等によります。なお、当連結会計年度の長期借入による資金調達額の内訳は、社債による調達959億円、金融機関借入による調達3,450億円となっております。
また、2018年3月31日現在のNTTグループの有利子負債残高は3兆8,548億円であり、2017年3月31日現在の4兆882億円から2,334億円減少しました。2018年3月31日現在の有利子負債の株主資本に対する比率は40.6%(2017年3月31日現在は45.2%)となりました。なお、2018年3月31日現在の有利子負債は、連結財務諸表の注14に記載されている短期借入債務及び長期借入債務に加え、金銭消費寄託契約に基づく預り金118億円を含んでおります。
NTTグループは、営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、銀行やその他の金融機関からの借入金、あるいは、資本市場における株式や債券の発行により、将来にわたって現在予測される設備投資とその他の支出や負債の支払に必要な財源が確保できると確信しております。
翌連結会計年度は、地域通信事業において設備整備の効率化により投資が減少することに加え、移動通信事業において基地局構築の効率化により投資が減少する一方で、長距離・国際通信事業においてデータセンター構築及び海外子会社の連結拡大により投資が増加すること等により、発生主義に基づく設備投資額を1兆7,000億円と見込んでおります。その内訳は、地域通信事業が5,450億円、移動通信事業5,700億円等となっております。設備投資は確実な予測が困難な需要動向、競争環境及びその他の要因に影響を受けるため、予想とは異なることもありえます。なお、NTTグループの実際の資金調達額は、将来の事業運営、市場状況、その他の要因によって変化するため、正確に予測することは困難であります。
流動性
2018年3月31日現在の休日影響を除いた場合のNTTグループの現預金及び現金同等物(期間3ヶ月以内の短期投資を含む)残高は1兆122億円であり、2017年3月31日現在の9,252億円から870億円増加しました。現金同等物とは、負債の返済や投資等に利用される予定の一時的な余剰金のことで、運転資金として使用されます。したがって、現金同等物の残高は、その時点の資金調達や運転資金の状況に応じて毎年度変化します。なお、2018年3月31日現在の現預金及び現金同等物残高は7,803億円であります。
契約上の債務
下記の表は、2018年3月31日現在におけるNTTグループの契約上の債務をまとめたものであります。
(単位:百万円) |
負債・債務の内訳 | 支払い期限ごとの債務額 | ||||
総 額 | 1年以内 | 1年超 3年以内 | 3年超 5年以内 | 5年超 | |
契約上の債務 | |||||
長期借入債務 (注)1 | |||||
社債 | 1,233,835 | 222,248 | 511,497 | 324,653 | 175,437 |
銀行からの借入金 | 2,338,495 | 402,137 | 482,506 | 562,123 | 891,729 |
長期借入債務に係る支払利息 | 186,800 | 39,675 | 59,558 | 32,478 | 55,089 |
キャピタル・リース債務 (注)2 | 42,447 | 14,874 | 17,524 | 6,442 | 3,607 |
オペレーティング・リース債務 | 182,280 | 45,095 | 63,246 | 34,945 | 38,994 |
購入債務 (注)3 | 123,654 | 86,742 | 18,426 | 5,980 | 12,506 |
その他の固定負債 (注)4 | - | - | - | - | - |
合 計 | 4,107,511 | 810,771 | 1,152,757 | 966,621 | 1,177,362 |
(注)1.長期借入債務の詳細については、連結財務諸表の注14参照。
2.キャピタル・リース債務には利息相当額を含んでおります。
3.購入債務は主に有形固定資産その他の資産の購入に関する契約債務であります。なお、残余期間が1年内の購入債務を含んでおりますが、解約可能な購入債務を除いております。
4.その他の固定負債は重要性がない、あるいは支払時期が不確実であるため、上表に金額を記載しておりません。なお、連結財務諸表の注15に記載のとおり、NTTグループの年金制度に対して、翌連結会計年度に合計16,309百万円の拠出を見込んでおります。
2018年3月31日現在、NTTグループの有形固定資産及びその他資産の購入等に係る契約債務残高は約1,260億円となっており、営業活動によって得たキャッシュ・フローによりこれらの売買契約代金の支払をする予定であります。
(4)オフバランスシートアレンジメント(簿外取引)
2018年3月31日現在、保証債務等に関する偶発債務は850億円であります。
(5)最重要の会計方針
NTTグループの連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準(米国会計基準)に準拠して作成しております。連結財務諸表の注3には、財務諸表作成に用いられた重要な会計方針の要約が記載されております。当社は、重要な会計方針のうち以下に記載した事項は、より高度な判断もしくは複雑さを伴うものと考えております。
・収益の認識
NTTグループは契約事務手数料等の初期一括収入は繰り延べ、サービス毎に最終顧客(契約者)の見積平均契約期間にわたって収益として認識しております。また、関連する直接費用も、初期一括収入の金額を限度として繰り延べ、同期間で償却しております。当該処理方法は、当期純利益には重要な影響を与えないものの、収益及び原価の計上額は、初期一括収入及び関連する直接費用、ならびに収益・費用の繰り延べの基礎となる顧客の見積平均契約期間によって影響を受けます。顧客の平均契約期間の見積りに影響を与える要因としては、解約率、新規のまたは予想されうる競合商品・サービス・技術等があげられます。現在の償却期間は、過去のトレンドの分析と経験に基づき算定されております。
また、NTTグループは、システムインテグレーション収入に関して、損失の発生が予測される場合の損失引当は、損失の発生が最初に予測され、損失の額が合理的に見積り可能となった日の属する連結会計年度において行っております。当該損失は、給付完了時に見込まれる全ての収益及び費用の見積りに基づいて認識しております。これにより、給付が完了するまでの様々な段階で収益及び費用の合理的見積りが可能となります。認識された損失は、契約の進捗にしたがって見直すことがあり、その原因となる事実が判明した連結会計年度において計上されます。
・有形固定資産、ソフトウェアその他の償却可能無形資産及び耐用年数を特定できない無形資産
NTTグループは、連結会計年度に計上すべき減価償却費を決定するために、有形固定資産、ソフトウェアその他の償却可能無形資産の耐用年数及び残存価額を見積っております。耐用年数及び残存価額は、資産が取得された時点で、類似資産における過去の経験に基づくほか、予想される技術その他の変化を考慮に入れて見積っております。技術上の変化が予想より急速に、あるいは予想とは異なった様相で発生した場合には、当該資産に適用された耐用年数を短縮する必要が生じる可能性があります。その場合、結果として、将来において減価償却費を増加修正する必要が生じる可能性があります。
NTTグループは、その帳簿価額が回復不能であることを示唆する事象や環境の変化がある場合、常に減損の検討を行っております。仮に、割引前将来キャッシュ・フロー見積額が資産の帳簿価額を下回る場合には、当該資産の帳簿価額と割引キャッシュ・フロー法、市場価額及び独立した第三者による評価額等により測定した公正価値との差額を「減損損失-その他」として計上することとしております。なお、連結財務諸表の注9に記載した電気通信事業用のメタルケーブルの一部減損については、その減損損失額を当連結会計年度において「減損損失-メタルケーブル関連」に区分して計上しており、公正価値の測定については連結財務諸表の注19に記載しております。
「減損損失-メタルケーブル関連」及び「減損損失-その他」に計上された減損損失
(億円)
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |
減損損失-メタルケーブル関連 | - | 1,248 |
減損損失-その他 | 206 | 185 |
また、耐用年数を特定できない無形資産は償却をせず、年1回以上、減損テストを実施することとしております。
・営業権
営業権については、少なくとも年に一度、減損の兆候があればそれ以上の頻度で、事業セグメントまたはそれより一段低いレベルの報告単位毎に、減損テストを行っております。減損テストの詳細については、連結財務諸表の注3(1) 主要な会計方針の「営業権」に記載しております。
営業権の公正価値の測定にあたっては、当該報告単位の将来の事業利益及びキャッシュ・フローの創出能力に対する経営陣の見通し、ならびに当社の事業目標における報告単位の戦略的重要性等がその決定要素となっております。NTTグループは、現時点で合理的であると判断される一定の前提に基づき公正価値の測定を行っておりますが、将来の予測不能な事業上の環境の変化により見通しと異なることがあります。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度に計上された「減損損失-営業権」は、それぞれ533億円及び189億円であります。
2018年3月31日現在、重要な報告単位のうち、Dimension Dataに帰属する営業権は、2,366億円、データ通信事業セグメントにおける「北米」に帰属する営業権は3,288億円であります。当連結会計年度の年次減損テストの結果、Dimension Data及び「北米」に帰属する報告単位の公正価値は帳簿価額をそれぞれ48.3%及び16.0%上回っております。なお、データ通信事業セグメントにおける報告単位は、連結財務諸表の注3(1)主要な会計方針の「営業権」に記載のとおり、当連結会計年度に再編成されております。
・投資
NTTグループは、他企業に対して投資を行っており、原価法、持分法及び公正価値に基づいて会計処理しております。また、NTTグループは、投資価値が帳簿価額を下回り、その下落が一時的でない場合は減損損失を認識し、新たな取得原価を計上しております。一時的な下落か否かを判断するにあたっては、投資価値が帳簿価額を下回る程度及び期間、出資先企業及び事業分野の財務状況、ならびに投資を維持する能力及び意図を考慮しております。NTTグループは、投資の簿価が回復できない可能性を示唆する事象や環境の変化が発生したときは、常に減損の要否について検討を行っております。さらに、NTTグループは、評価を行うにあたり、キャッシュ・フロー予測、外部の第三者による評価、ならびに適用可能である場合は株価分析を含む様々な情報を活用しております。
当該予測及び評価には、統計(人口、普及率及び普及速度、解約率等)、技術革新、設備投資、市場の成長及びシェア、ARPU及び残存価値に係る推定が必要になります。前連結会計年度及び当連結会計年度に計上された「市場性のある投資有価証券及びその他の投資」の減損額は、それぞれ約30億円及び約50億円であります。また、関連会社の市場を取り巻く最近の経済、財政状況により、投資先の価値が一時的ではない下落が生じていないか判断するため、投資先の事業の見通しを検討しております。前連結会計年度及び当連結会計年度においてHutchison Telephone Company Limitedを含む関連会社投資についてそれぞれ239億円及び26億円の減損額を計上しております。
過去において、NTTグループはいくつかの「関連会社投資」について多額の減損処理を実施し、その減損額はそれぞれの会計期間における「持分法による投資損益」に計上されました。今後においても「市場性のある有価証券及びその他の投資」及び「関連会社投資」について同様の減損が発生する可能性があります。また、今後、投資持分の売却に際して多額の売却損益を計上する可能性もあります。
・退職給付会計
NTTグループにおける前連結会計年度及び当連結会計年度の退職給付費用は、営業費用合計の概ね1.0%となっております。従業員に対する退職給付制度に係る費用及び債務の連結財務諸表計上額は、多くの仮定を用いた数理計算により決定されております。退職給付費用及び退職給付債務の決定に用いられる仮定には、長期期待運用収益率、割引率、予定昇給率、平均残存勤務期間等があり、そのなかでも長期期待運用収益率と割引率は重要な仮定といえます。これらの仮定は、少なくとも年1回は見直され、また重要な仮定に大きな影響を与えることが想定される出来事が起こるか、あるいは環境が変化した場合にも見直しが行われます。仮定と実績との差異は、米国会計基準に従い、数理計算上の差異として将来にわたって繰延償却処理されます。2018年3月31日現在、NTTグループの退職給付制度に関連する数理計算上の差異の合計額は3,792億円であり、このうち退職給付債務又は年金資産の公正価値の10%を超える金額は、予測平均残存勤務期間にわたって償却するため、将来の年金費用に対し増加影響が生じることとなります。
長期期待運用収益率
NTTグループは、年金資産の長期期待運用収益率として、前連結会計年度において2.0-2.5%、当連結会計年度において1.0-1.9%を採用しております。NTTグループは、年金資産の長期期待運用収益率の決定に際し、現在及び将来の年金資産のポートフォリオや、各種長期投資の過去の実績利回り分析を基にした期待収益とリスクを考慮しております。NTTグループは、年金資産のポートフォリオについて、年金資産の種類別の期待収益を考慮するとともに、年金資産から生ずる収益を安定化させリスクを軽減するため、制度毎に政策的資産構成割合を定めております。制度毎の政策的資産構成割合は以下のとおりであります。
退職一時金及び規約型企業年金制度 | NTT企業年金基金 | |
国内債券 | 65.0% | 54.9% |
国内株式 | 10.0% | 15.1% |
外国債券 | - | 6.4% |
外国株式 | 5.0% | 10.8% |
生保一般勘定 | 20.0% | 12.8% |
合計 | 100.0% | 100.0% |
2018年3月31日現在の年金資産残高は、概ね目標配分比率に整合するものとなっております。また、前連結会計年度及び当連結会計年度における年金資産の実際運用収益率は、それぞれ約3%、約4%となっており、将来においても、その時々の市場環境により、大きく増減する可能性があります。年金資産の公正価値は測定日現在の市場価格を用いて測定しております。
割引率
もう一つの重要な仮定は、退職給付費用及び退職給付債務の決定に用いられる割引率であります。NTTグループは、退職給付費用の決定に際して、前連結会計年度においては0.5%の割引率を使用し、当連結会計年度においては0.7%の割引率を使用しております。また、退職給付債務の決定に際して、2017年3月31日現在においては0.7%の割引率を使用し、2018年3月31日現在においては0.6%の割引率を使用しております。NTTグループは、割引率の決定に際して、年金給付満期までの見積り期間と同じ期間の優良確定利付債券の利率に関し利用可能な情報を考慮しております。
2018年3月31日現在のNTTグループの年金制度において、その他全ての仮定を一定としたままで、割引率及び長期期待運用収益率を変更した場合の状況を示すと次のとおりであります。
(単位:億円) |
仮定の変更 | 退職給付債務 | 退職給付費用 (税効果考慮前) | その他の包括利益 (損失)累積額 (税効果考慮後) |
割引率が0.5%増加/低下 | △/+2,400 | +/△60 | +/△1,700 |
長期期待運用収益率が0.5%増加/低下 | - | △/+110 | - |
・法人税等
NTTグループは、資産・負債の帳簿価額と税務申告上の価額との間の一時差異及び繰越欠損金に対する税効果について、繰延税金資産及び負債を認識しております。繰延税金資産及び負債の金額は、一時差異が解消する期間及び繰越欠損金が利用可能な期間において適用が見込まれる法定実効税率を用いて計算しております。法定実効税率が変更された場合には、税率変更のあった日が属する連結会計年度において、税金費用の計上を通じて繰延税金資産及び負債を調整しております。
NTTグループは、将来の実現可能性を考慮し、繰延税金資産に対して評価性引当金を計上しております。評価性引当金を適切に決定するため、予想される将来の課税所得水準及び利用可能なタックスプランニングを考慮に入れております。将来の課税所得が予想を下回った場合、またはタックスプランニングが期待通りに利用可能とならなかった場合には、その判断がなされた連結会計年度において、税金費用の計上を通じて評価性引当金を追加計上する可能性があります。2017年3月31日及び2018年3月31日現在、NTTグループは、それぞれ1兆7,323億円及び1兆5,446億円の繰延税金資産を有しており、その資産に対して、それぞれ3,795億円及び2,471億円の評価性引当金を計上しております。当該評価性引当金は、主に将来の実現が見込めない税務上の欠損金を有する当社及び特定の子会社の繰延税金資産に関するものであります。評価性引当金の変動額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ2,123億円の増加及び1,324億円の減少となっております。詳細は連結財務諸表の注16に記載しております。
・ポイントプログラム引当金
NTTグループは、携帯電話やクレジットサービス等の利用に応じて進呈するポイントと引き換えに、商品購入時の支払いや通信料金への充当等が可能なポイントプログラムを提供しており、顧客に進呈したポイントについてポイントプログラム引当金を計上しております。2017年3月31日現在及び2018年3月31日時点におけるポイントプログラム引当金は短期、長期合わせてそれぞれ1,146億円及び1,249億円であります。また、前連結会計年度及び当連結会計年度において計上されたポイントプログラム経費は、それぞれ947億円及び1,217億円であります。
ポイントプログラム引当金の算定においては、将来の解約等による失効部分の見積りが可能である場合には、その失効部分を反映したポイント利用率等の見積りが必要となります。実際のポイント利用率が当初見積りよりも多い場合等において、将来において追加的な費用の計上や引当金の計上を実施する必要が生じる可能性があります。
2018年3月31日現在のポイントプログラム引当金において、その他全ての仮定を一定としたままで、ポイント利用率が1%上昇した場合の引当金への影響は軽微であります。
(6)最近公表された会計基準
連結財務諸表の注3(3)に記載しております。