訂正有価証券報告書-第37期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/10/24 15:07
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【項目】
133項目
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
(1)経営成績の状況の分析(連結)
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営業収益
NTTグループの営業収益は、固定音声関連、移動音声関連、IP系・パケット通信、通信端末機器販売、システムインテグレーション及びその他の6つのサービス分野に区分しています。
当連結会計年度の営業収益は、前期比1.8%増加し、12兆1,564億円となりました。これは、国内外ともに、旺盛なデジタル化需要を取り込んだことによるシステムインテグレーション収入や総合ICT事業におけるスマートライフ領域の拡大によるその他の営業収入の増加等によるものです。
当連結会計年度の各サービス分野における営業収益の概要は、次のとおりです。
・固定音声関連収入
固定音声関連サービスには、加入電話、INSネット、一般専用、高速ディジタル伝送等、地域通信事業セグメントと総合ICT事業セグメントの一部が含まれています。
当連結会計年度における固定音声関連収入は、前期比2.0%減少し、9,161億円(営業収益の7.5%に相当)となりました。これは、携帯電話やIP電話の普及、OTT(注)事業者が提供する無料又は低価格の通信サービスの増加等により、加入電話やINSネットの契約数が引き続き減少したこと等によるものです。
(注)Over The Top の略。自社でサービスの配信に必要な通信インフラを持たずに、他社の通信インフラを利用
してコンテンツ配信を行うサービス。
・移動音声関連収入
移動音声関連サービスには、5GやLTE(Xi)等における音声通話サービス等の総合ICT事業セグメントの一部が含まれています。
当連結会計年度における移動音声関連収入は、前期比2.2%減少し、1兆1,025億円(営業収益の9.1%に相当)となりました。これは、主に音声卸値下げの影響等によるものです。
・IP系・パケット通信収入
IP系・パケット通信サービスには、「フレッツ光」等の地域通信事業セグメントの一部や、5GやLTE(Xi)等におけるパケット通信サービスやArcstar Universal One、IP-VPN、OCN等の総合ICT事業セグメントの一部が含まれています。
当連結会計年度におけるIP系・パケット通信収入は、前期比0.9%減少し、3兆4,448億円(営業収益の28.3%に相当)となりました。これは、光回線の純増による収入の増加があったものの、ahamo等の料金プラン導入によるお客さま還元の拡大により、収入の減少があったこと等によるものです。
・通信端末機器販売収入
通信端末機器販売には、総合ICT事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部が含まれています。
当連結会計年度における通信端末機器販売収入は、前期比3.1%増加し、6,947億円(営業収益の5.7%に相当)となりました。これは、総合ICT事業セグメントにおいて、前年度の新型コロナウイルス感染症拡大によるドコモショップ来店者数減少からの回復に伴う通信端末機器販売台数の増加等によるものです。
・システムインテグレーション収入
システムインテグレーションには、グローバル・ソリューション事業セグメント、総合ICT事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部が含まれています。
当連結会計年度のシステムインテグレーション収入は、前期比4.1%増加し、3兆9,887億円(営業収益の32.8%に相当)となりました。これは、グローバル・ソリューション事業セグメントにおいて、国内外ともに、旺盛なデジタル化需要を取り込んだこと等によるものです。
・その他の営業収入
その他のサービスには、主に建築物の保守、不動産賃貸、電力販売、総合ICT事業セグメントにおけるスマートライフ領域等が含まれています。
当連結会計年度のその他の営業収入は、総合ICT事業セグメントにおけるスマートライフ領域の拡大による増収や地域通信事業セグメントにおけるコンタクトセンタビジネス等の子会社収入の増加等により、前期比5.7%増加し、2兆96億円(営業収益の16.5%に相当)となりました。

営業費用
当連結会計年度の営業費用は前期比1.1%増加し、10兆3,879億円となりました。主な要因は以下のとおりです。
・人件費
当連結会計年度の人件費は、前期比4.3%増加し、2兆5,661億円となりました。これは、グローバル・ソリューション事業セグメントにおいて、事業の業容拡大により人件費が増加したこと等によるものです。
・経費
当連結会計年度の経費は、前期比0.6%減少し、5兆8,394億円となりました。これは、地域通信事業セグメントやグローバル・ソリューション事業セグメントにおける収益連動経費の増加等があったものの、総合ICT事業セグメントにおいて、販売関連経費の減少等によるものです。
・減価償却費
当連結会計年度の減価償却費は、前期比3.6%増加し、1兆5,612億円となりました。これは、総合ICT事業セグメントにおける5G関連設備の増加等によるものです。
営業利益
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前期比5.8%増加し、1兆7,686億円となりました。
金融損益
当連結会計年度の金融損益は、前期の△190億円に対し72億円となりました。
持分法による投資損益
当連結会計年度の持分法による投資損益は、前期の2億円に対し197億円となりました。
税引前利益
以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は前期比8.7%増加し、1兆7,955億円となりました。
法人税等
当連結会計年度の法人税等は、前期比2.8%増加し、5,395億円となりました。前連結会計年度、当連結会計年度の税負担率は、それぞれ31.75%、30.05%となっています。
当社に帰属する当期利益
以上の結果、当連結会計年度の当期利益は前期比11.4%増加し、1兆2,560億円となりました。また、非支配持分に帰属する当期利益を控除した当社に帰属する当期利益は、前期比28.9%増加し、1兆1,811億円となりました。
業績の内訳は次のとおりです。
(単位:億円)
前連結会計年度
(2020年4月1日から
2021年3月31日まで)
当連結会計年度
(2021年4月1日から
2022年3月31日まで)
増減増減率
営業収益119,440121,5642,1251.8%
固定音声関連収入9,3479,161△186△2.0%
移動音声関連収入11,26811,025△243△2.2%
IP系・パケット通信収入34,77534,448△328△0.9%
通信端末機器販売収入6,7416,9472063.1%
システムインテグレーション収入38,29839,8871,5884.1%
その他の営業収入19,01020,0961,0865.7%
営業費用102,726103,8791,1531.1%
人件費24,61425,6611,0474.3%
経費58,75358,394△359△0.6%
減価償却費15,07215,6125403.6%
その他4,2874,211△76△1.8%
営業利益16,71417,6869725.8%
金融損益△19072263-
持分法による投資損益2197195-
税引前利益16,52617,9551,4308.7%
法人税等5,2475,3951482.8%
当期利益11,27912,5601,28111.4%
控除:非支配持分に帰属する当期利益2,117749△1,368△64.6%
当社に帰属する当期利益9,16211,8112,64928.9%

(2)経営成績の状況の分析(セグメント)
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<セグメント見直し>当連結会計年度より、当社グループのセグメントを従来の移動通信事業、地域通信事業、長距離・国際通信事業、データ通信事業、その他の事業の5区分から、総合ICT事業、地域通信事業、グローバル・ソリューション事業、その他(不動産・エネルギー等)の4区分に変更しています。なお、前連結会計年度の数値については変更後のセグメント区分に組み替えた数値を掲載しています。(連結財務諸表「注記2.1. セグメント情報」参照)
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総合ICT事業セグメントには、固定音声関連サービス、移動音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス、その他が含まれています。
地域通信事業セグメントには、固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス、その他が含まれています。
グローバル・ソリューション事業セグメントには、主にシステムインテグレーションサービスが含まれています。
また、その他(不動産、エネルギー等)には、主に建築物の保守、不動産賃貸、電力販売、研究開発等に係るその他のサービスが含まれています。
当連結会計年度における各セグメントの営業実績の概要は、次のとおりです。なお、各セグメントの営業実績の記載における営業収益・営業費用・営業利益は、セグメント間取引を含めています。また、当社グループは電気通信事業等の事業を行っており、生産、受注といった区分による表示が困難であるため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については各セグメントの営業業績に関連付けて示しています。
①総合ICT事業セグメント
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総合ICT事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、前年度の新型コロナウイルス感染症拡大によるドコモショップ来店者数減少の回復に伴い、通信端末機器販売台数が増加したことに伴う通信端末機器販売収入の増加や、金融・決済等のスマートライフ領域の拡大に伴う増収等があったものの、ahamo等の料金プラン導入によるお客さま還元の拡大や音声卸値下げの影響による減収の影響等により5兆8,702億円(前期比0.2%減)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、5G関連設備の増加等による減価償却費増加があったものの、販売関連経費の減少等により4兆7,976億円(前期比0.5%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は1兆725億円(前期比1.2%増)となりました。
セグメント業績の概要 (単位:億円)
前連結会計年度
(2020年4月1日から
2021年3月31日まで)
当連結会計年度
(2021年4月1日から
2022年3月31日まで)
増減増減率
営業収益58,80958,702△107△0.2%
固定音声関連サービス1,8741,760△114△6.1%
移動音声関連サービス11,32811,099△229△2.0%
IP系・パケット通信サービス23,72123,043△678△2.9%
通信端末機器販売6,0526,2902383.9%
システムインテグレーションサービス4,8605,2523928.1%
その他10,97411,2572842.6%
営業費用48,20947,976△233△0.5%
人件費4,6284,707801.7%
経費34,78534,300△485△1.4%
減価償却費7,5067,7992943.9%
その他1,2911,170△121△9.4%
営業利益10,60010,7251261.2%

《契約数、ARPU》
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2022年3月31日現在、NTTドコモの携帯電話サービスの契約数は8,475万契約となり、前期末時点の8,263万契約から1年間で212万契約増加しました。また、解約率は前期比0.13ポイント増加し、0.62%となりました。
ARPUについては当連結会計年度よりOCNモバイル関連収入・契約数を含めて算出しています(以下「新定義」)。
新定義に基づいた当連結会計年度における携帯電話総合ARPUは4,740円と、前期の4,850円に比べ110円(2.3%)減少しました。これは、光ARPUが、ドコモ光契約者数の拡大等により590円となり、前期の570円に比べて20円(3.5%)増加したものの、モバイルARPUが、ahamo等の料金プラン導入によるお客さま還元の拡大により4,150円となり、前期の4,280円に比べて130円(3.0%)減少したこと等によります。
総合ICT事業セグメントの契約数及び市場シェア (単位:千契約)
サービスの種類2021年3月31日現在2022年3月31日現在増減増減率
携帯電話サービス82,63284,7522,1202.6%
5Gサービス3,09111,5308,439273.0%
LTE(Xi)サービス64,21061,396△2,814△4.4%
FOMAサービス15,33111,826△3,505△22.9%
携帯電話市場シェア43.8%43.4%△0.4ポイント-
spモードサービス46,33950,0993,7608.1%
iモードサービス4,2912,675△1,616△37.7%
ぷらら(ISP)3,9463,889△56△1.4%
OCN(ISP)7,0407,018△21△0.3%
ひかりTV2,9472,95240.2%

(注)1.携帯電話サービス契約数には、MVNOとの契約及び通信モジュールサービス契約数を含めて記載しています。
2.他社契約数については、一般社団法人電気通信事業者協会及び各社が発表した数値を基に算出しています。
3.spモードサービスには2021年度第1四半期よりahamo契約数、2021年度第4四半期よりOCNモバイル契約数を含
めて記載しています。
携帯電話サービスにおけるARPU及びMOU
区分前連結会計年度
(2020年4月1日から
2021年3月31日まで)
当連結会計年度
(2021年4月1日から
2022年3月31日まで)
増減増減率
総合ARPU(円)4,8504,740△110△2.3%
モバイルARPU(円)4,2804,150△130△3.0%
光ARPU(円)570590203.5%
MOU(分)141137△4△2.8%

(注)1.携帯電話サービスにおけるMOUについては「(注)1.MOU(Minutes Of Use)」を、また、ARPUの算定式については「(注)3.ARPUの算定式(b)NTTドコモ」をご参照ください。
2.当連結会計年度より、モバイルARPUにOCNモバイル関連収入・契約数を含めて算出しています。
②地域通信事業セグメント
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地域通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、前年度のテレワークやオンライン授業等の特需がなくなったことによるシステムインテグレーション収入の減少等があったものの、光回線の純増等によるIP系・パケット通信サービス収入の増加やコンタクトセンタビジネス等の子会社収入の増加によるその他の営業収入の増加等により3兆2,076億円(前期比0.0%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、人員減による人件費の減少等により2兆7,676億円(前期比0.7%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は4,400億円(前期比4.7%増)となりました。
セグメント業績の概要 (単位:億円)
前連結会計年度
(2020年4月1日から
2021年3月31日まで)
当連結会計年度
(2021年4月1日から
2022年3月31日まで)
増減増減率
営業収益32,07432,07620.0%
固定音声関連サービス9,5039,320△183△1.9%
IP系・パケット通信サービス15,44115,9865463.5%
通信端末機器販売695677△18△2.6%
システムインテグレーションサービス2,9272,193△733△25.1%
その他3,5083,89939111.1%
営業費用27,87227,676△196△0.7%
人件費6,7546,574△180△2.7%
経費14,47414,5761030.7%
減価償却費4,2294,213△16△0.4%
その他2,4162,312△104△4.3%
営業利益4,2024,4001984.7%

加入電話及びINSネットの契約数 (単位:千加入/回線)
サービスの種類2021年3月31日現在2022年3月31日現在増減増減率
(NTT東日本)
加入電話7,0516,597△454△6.4%
INSネット892803△89△9.9%
(NTT西日本)
加入電話7,0526,527△525△7.4%
INSネット875801△74△8.5%

(注)1.加入電話は、一般加入電話とビル電話を合算しています(加入電話・ライトプランを含む)。
2.「INSネット」には、「INSネット64」及び「INSネット1500」が含まれています。「INSネット1500」は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)のいずれについても「INSネット64」の10倍程度であることから、「INSネット1500」の1契約を「INSネット64」の10倍に換算しています(INSネット64・ライトを含む)。
加入電話やINSネットについて、お客さまのニーズが携帯電話、IP電話、OTT事業者が提供する無料又は低価格の通信サービス等へと移行していること等に伴い、2022年3月31日現在の固定電話契約数(固定電話+INSネット)は、前期比1,142千契約減少し、14,727千契約となりました。
フレッツ光(コラボ光含む)、フレッツ・ADSL、ひかり電話、フレッツ・テレビ伝送サービスの契約数
(単位:千契約)
サービスの種類2021年3月31日現在2022年3月31日現在増減増減率
(NTT東日本)
フレッツ光(コラボ光含む)12,72713,1564293.4%
(再掲)コラボ光8,9189,5736567.4%
フレッツ・ADSL160120△41△25.3%
ひかり電話(千チャネル)10,01810,075570.6%
フレッツ・テレビ伝送サービス1,1211,154332.9%
(NTT西日本)
フレッツ光(コラボ光含む)9,83710,1102732.8%
(再掲)コラボ光6,3286,7193916.2%
フレッツ・ADSL221166△55△24.9%
ひかり電話(千チャネル)8,6748,707320.4%
フレッツ・テレビ伝送サービス795841465.8%

(注)1.「フレッツ光(コラボ光含む)」はNTT東日本の「フレッツ 光クロス」、「Bフレッツ」(2021年1月末サービス終了)、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「フレッツ 光クロス」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しています。
2.「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ伝送サービス」は、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しています。
2022年3月31日現在の「フレッツ光(コラボ光含む)」の契約数は、「光コラボレーションモデル」の展開等に取り組んだ結果、23,266千契約(前期比702千契約(3.1%)増)、「ひかり電話」の契約数は、18,782千チャネル(前期比89千チャネル(0.5%)増)、「フレッツ・テレビ」の契約数は、1,995千契約(前期比79千契約(4.1%)増)となりました。
固定通信サービスにおける固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)及びフレッツ光ARPU (単位:円)
サービスの種類前連結会計年度
(2020年4月1日から
2021年3月31日まで)
当連結会計年度
(2021年4月1日から
2022年3月31日まで)
増減増減率
(NTT東日本)
固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)2,4902,530401.6%
フレッツ光ARPU4,6904,570△120△2.6%
基本利用料ARPU3,4103,350△60△1.8%
付加サービスARPU1,2801,220△60△4.7%
(NTT西日本)
固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)2,4702,510401.6%
フレッツ光ARPU4,7404,620△120△2.5%
基本利用料ARPU3,2903,220△70△2.1%
付加サービスARPU1,4501,400△50△3.4%

(注)各ARPUについては、「(注)2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit)」「(注)3.ARPUの算定式 (a)NTT東日本、NTT西日本」をご参照ください。
当連結会計年度における固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)は、前期に比べ、NTT東日本が40円(1.6%)増加し2,530円、NTT西日本が40円(1.6%)増加し2,510円となりました。
当連結会計年度におけるフレッツ光ARPUは、前期に比べ、NTT東日本が120円(2.6%)減少し4,570円、NTT西日本が120円(2.5%)減少し4,620円となりました。これは、「光コラボレーションモデル」の進展に伴う単金減等によるものです。
③グローバル・ソリューション事業セグメント
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グローバル・ソリューション事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、NTTデータにおける国内外での旺盛なデジタル化需要の取り込みに加え、為替影響等により3兆6,152億円(前期比7.4%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、収益連動費用の増加や、海外における構造改革費用の増加等により3兆4,047億円(前期比5.7%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は2,105億円(前期比42.9%増)となりました。
セグメント業績の概要 (単位:億円)
前連結会計年度
(2020年4月1日から
2021年3月31日まで)
当連結会計年度
(2021年4月1日から
2022年3月31日まで)
増減増減率
営業収益33,67136,1522,4817.4%
システムインテグレーションサービス33,64235,9292,2876.8%
その他30223194655.6%
営業費用32,19834,0471,8495.7%
人件費11,50512,6371,1329.8%
経費17,42517,9154902.8%
減価償却費2,9693,0911214.1%
その他29840410635.6%
営業利益1,4732,10563242.9%


④その他(不動産、エネルギー等)
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その他(不動産、エネルギー等)においては、エネルギー事業の電力販売量増加等により、当連結会計年度の営業収益は1兆3,960億円(前期比4.5%増)となり、営業費用は1兆3,235億円(前期比3.5%増)となりました。この結果、営業利益は725億円(前期比28.5%増)となりました。
業績の概要 (単位:億円)
前連結会計年度
(2020年4月1日から
2021年3月31日まで)
当連結会計年度
(2021年4月1日から
2022年3月31日まで)
増減増減率
営業収益13,35413,9606054.5%
システムインテグレーションサービス468405△63△13.4%
その他12,88713,5546685.2%
営業費用12,79013,2354453.5%
人件費2,4552,488331.3%
経費8,8909,1412512.8%
減価償却費1,0611,18912812.1%
その他384417338.6%
営業利益56472516128.5%


(参考)国内売上高及び海外売上高に関する情報
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国内における当連結会計年度の営業収益は、総合ICT事業セグメントにおいて、ahamo等の料金プラン導入によるお客さま還元拡大による減収があったものの、グローバル・ソリューション事業セグメントにおけるシステムインテグレーションサービス収入の増加等の影響により9兆9,546億円(前期比0.5%増)となりました。海外における当連結会計年度の営業収益は、グローバル・ソリューション事業セグメントにおけるシステムインテグレーションサービス収入の増加等により2兆2,018億円(前期比7.9%増)となりました。
(単位:億円)
前連結会計年度
(2020年4月1日から
2021年3月31日まで)
当連結会計年度
(2021年4月1日から
2022年3月31日まで)
増減増減率
営業収益119,440121,5642,1251.8%
国内99,03999,5465070.5%
海外20,40122,0181,6187.9%

(注)営業収益は、製品及びサービスの提供先別に国内・海外を分類しています。

(注)
1.MOU(Minutes Of Use):1利用者当たり月間平均通話時間
2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit):1契約者(利用者)当たり月間平均収入
契約者(利用者)当たりの月間平均収入(ARPU)は、契約者(利用者)1人当たりの平均的な月間営業収益を計るために使われます。地域通信事業の場合、ARPUは、地域通信事業セグメントの営業収益のうち、固定電話(加入電話及びINSネット)並びに「フレッツ光」の提供により毎月発生する収入を、当該サービスの稼動契約数で除して計算されます。総合ICT事業の場合、ARPUは、総合ICT事業セグメントの営業収益のうち、携帯電話(5G)、携帯電話(LTE(Xi))、携帯電話(FOMA)、及び「ドコモ光」のサービス提供により発生する通信サービス収入(一部除く)を、当該サービスの稼動利用者数で除して計算されます。これら数字の計算からは、各月の平均的な利用状況を表さない端末機器販売、契約事務手数料、ユニバーサルサービス料等は除いています。こうして得られたARPUは、各月のお客さまの平均的な利用状況を把握する上で有用な情報を提供するものであると考えています。なお、ARPUの分子に含まれる収入は、IFRSによる連結決算値を構成する財務数値により算定しています。
3.ARPUの算定式
(a) NTT東日本、NTT西日本
NTT東日本及びNTT西日本のARPUは、以下の2種類に分けて計算しています。
・音声伝送収入(IP系除く)に含まれる加入電話とINSネットの基本料、通信・通話料、及びIP系収入に含まれる「フレッツ・ADSL」、「フレッツ・ISDN」からの収入に基づいて計算される固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)。
・IP系収入に含まれる「フレッツ光」、「フレッツ光」のオプションサービスからの収入、「ひかり電話」における基本料・通信料・機器利用料、及び附帯事業営業収益に含まれる「フレッツ光」のオプションサービス収入に基づいて計算されるフレッツ光ARPU。
※1 「フレッツ光」は、NTT東日本の「フレッツ 光クロス」、「Bフレッツ」(2021年1月末サービス終了)、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「フレッツ 光クロス」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しています。「フレッツ光」のオプションサービスは、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しています。
※2 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)及びフレッツ光ARPUには、相互接続通話料は含まれていません。
※3 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上の契約数は、固定電話(加入電話及びINSネット)の契約数です。
※4 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上、INSネット1500の契約数は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)のいずれについてもINSネット64の10倍程度であることから、INSネット1500の1契約をINSネット64の10倍に換算しています。
※5 フレッツ光ARPU算定上の契約数は、「フレッツ光」の契約数(「フレッツ光」は、NTT東日本の「フレッツ 光クロス」、「Bフレッツ」(2021年1月末サービス終了)、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「フレッツ 光クロス」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含む)です。
※6 NTT東日本及びNTT西日本におけるARPU算出時の稼動契約数の計算式は、以下のとおりです。
通期実績:当該期間の各月稼動契約数{(前月末契約数+当月末契約数)/2}の合計
(b) NTTドコモ
NTTドコモのARPUの計算式は、以下のとおりです。
・総合ARPU:モバイルARPU+光ARPU
※1 ・モバイルARPU:モバイルARPU関連収入(基本使用料、通話料、通信料)/稼動利用者数
・光ARPU:光ARPU関連収入(基本使用料、通話料)/稼動利用者数
※2 NTTドコモにおけるARPU算出時の稼動利用者数の計算式は、以下のとおりです。
当該期間の各月稼動利用者数{(前月末利用者数+当月末利用者数)/2}の合計
※3 利用者数は、以下のとおり、契約数を基本としつつ、一定の契約数を除外して算定しています。
利用者数 = 契約数
-通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」並びにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る契約数
-5G契約、Xi契約及びFOMA契約と同一名義のデータプラン契約数
なお、通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」、MVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る収入並びに「dポイント」等に係る収入影響等は、ARPUの算定上、収入に含まれていません。
(3)キャッシュ・フロー及び財政状態の状況の分析
キャッシュ・フロー
前連結会計年度及び当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(単位:億円)
前連結会計年度
(2020年4月1日から
2021年3月31日まで)
当連結会計年度
(2021年4月1日から
2022年3月31日まで)
営業活動によるキャッシュ・フロー30,09130,103
投資活動によるキャッシュ・フロー△14,245△16,992
財務活動によるキャッシュ・フロー△16,895△14,381
現金及び現金同等物の期末残高9,3578,346

NTTグループにおいては、事業が創出する安定的なキャッシュ・フローが設備投資等の経常的な投資活動に必要な支出を賄っているほか、株主還元(配当・自己株式取得)や借入金等の債務返済の主な原資となっています。
・営業キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によって得たキャッシュ・フローは、3兆103億円となりました。これは主に、非資金損益項目調整後の当期利益(当期利益に減価償却費、固定資産除却損等の非資金損益項目を加算)が2兆8,965億円となったことによります。
また、前連結会計年度の3兆91億円から12億円増加しています。これは、当期において、前期と比べ、非資金損益項目調整後の当期利益が1,561億円増加した一方で、主に営業債務の減少といった営業活動に関する資産・負債の増減等により現金支出が1,549億円増加したためです。
・投資キャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動に充てたキャッシュ・フローは、1兆6,992億円となりました。投資活動に充てたキャッシュ・フローのうち主要な項目は、有形固定資産・無形資産及び投資不動産の取得による支出であり、当連結会計年度においては、1兆7,580億円の支出となっています。
前連結会計年度の1兆4,245億円から支出が2,746億円増加しています。これは、貸付金の回収による収入が6,463億円減少した一方で、出資による支出が1,583億円減少したこと、投資の売却による収入が1,452億円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度の有形固定資産、無形資産及び投資不動産に対する投資の減少は、5G投資やデータセンター投資の増加等はあったものの、総合ICT事業セグメント・地域通信事業セグメントを中心として既存投資の効率化による減少等があったことによります。なお、当連結会計年度の発生主義に基づく設備投資額1兆6,876億円の主な内訳は総合ICT事業セグメントが6,986億円、地域通信事業セグメントが5,011億円でした。
・財務キャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動に充てたキャッシュ・フローは、1兆4,381億円となりました。
当連結会計年度の財務活動のうち、株主還元による支出は6,681億円となりました。これは、配当金として4,144億円を支払ったほか、自己株式の取得により2,537億円を支出したことによるものであります。
また、借入債務の収支は、5,459億円の支出となりました。その内訳は、短期借入債務の返済による支出1兆8,601億円、長期借入債務の増加による収入 1兆7,162億円、長期借入債務の返済による支出4,019億円です。
長期借入債務の増加による収入の内訳として、当連結会計年度はグリーンボンドを4,920億円発行しており、環境課題の解決に資するプロジェクト(5G関連投資、FTTH関連投資、IOWN構成実現に向けた研究開発、再生可能エネルギー)に充当しています。
また、前連結会計年度との比較では、前年度の1兆6,895億円から支出が2,514億円減少しています。これは、当期において、前期と比べ子会社株式取得による支出が4兆2,326億円減少した一方で、借入債務による収支が3兆8,612億円減少したこと等によるものであります。
財政状態
前連結会計年度及び当連結会計年度の資産、負債、資本の状況は以下のとおりです。
(単位:億円)
前連結会計年度末当連結会計年度末増減
資産229,655238,6228,967
負債147,624148,441817
(再掲)有利子負債76,24373,643△2,601
資本82,03090,1818,151
(再掲)株主資本75,62782,8257,197

当連結会計年度末の資産は、新規出資に伴うのれんや無形資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて8,967億円増加し、23兆8,622億円となりました。
当連結会計年度末の負債は有利子負債の減少があったものの、営業債務及びその他の債務や未払法人税等の増加等により、前連結会計年度末に比べて817億円増加し、14兆8,441億円となりました。有利子負債残高は7兆3,643億円であり、前連結会計年度末の7兆6,243億円から2,601億円減少しました。
当連結会計年度の株主資本は、配当金支払や自己株式取得による減少があったものの、当期利益が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて7,197億円増加し、8兆2,825億円となりました。有利子負債の株主資本に対する比率は88.9%(前連結会計年度末は100.8%)となりました。また、株主資本に非支配持分を加えた資本は前連結会計年度末に比べて8,151億円増加し、9兆181億円となりました。
・現金及び流動性
NTTグループは、現金及び現金同等物に加え、取引銀行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、事業活動上必要な流動性を確保しています。当連結会計年度末のNTTグループの現金及び現金同等物残高は8,346億円であり、前連結会計年度末の9,357億円から1,012億円減少しました。現金同等物とは、負債の返済や投資等に利用される予定の一時的な余剰金のことで、運転資金として使用されます。したがって、現金同等物の残高は、その時点の資金調達や運転資金の状況に応じて毎年度変化します。
また、当連結会計年度末の当座貸越契約及びコミットメントラインの未使用残高は、3,185億円でした。
・契約上の債務
下記の表は、当連結会計年度末におけるNTTグループの契約上の債務をまとめたものであります。
(単位:百万円)

負債・債務の内訳支払い期限ごとの債務額
総 額1年以内1年超
5年以内
5年超
契約上の債務
長期借入債務 (注)16,437,530720,0652,863,7282,853,737
社債3,295,371328,3521,562,6081,404,411
銀行からの借入金3,142,159391,7131,301,1201,449,326
長期借入債務に係る支払利息217,62538,765116,10962,751
リース負債 (注)21,066,800200,769422,918443,113
購入コミットメント (注)3151,855104,49642,1005,259
その他の固定負債 (注)4----

売却目的で保有する資産に直接関連する負債に振替えられた契約上の債務
(単位:百万円)

負債・債務の内訳支払い期限ごとの債務額
総 額1年以内1年超
5年以内
5年超
契約上の債務
リース負債 (注)24,476-2334,243
その他の固定負債 (注)5----

(注)1.長期借入債務には1年以内に返済予定のものを含めて表示しています。長期借入債務の詳細については、連結財務諸表「注記4.5. 短期借入債務及び長期借入債務」をご参照ください。
2.リース負債には利息相当額を含めています。
3.購入コミットメントは主に有形固定資産その他の資産の購入に関する契約債務であります。なお、残余期間が1年内の購入コミットメントを含めていますが、解約可能な購入コミットメントを除いています。
4.その他の固定負債は重要性がない、あるいは支払時期が不確実であるため、上表に金額を記載していません。なお、連結財務諸表「注記3.11. 従業員給付」に記載のとおり、NTTグループの年金制度に対して、翌連結会計年度に合計17,687百万円の拠出を見込んでいます。
5.その他の固定負債は重要性がない、あるいは支払時期が不確実であるため、上表に金額を記載していません。
当連結会計年度末のNTTグループの有形固定資産及びその他資産の購入等に係る契約債務残高は約1,519億円となっており、営業活動によって得たキャッシュ・フローによりこれらの売買契約代金の支払をする予定であります。

(4)重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断については、連結財務諸表「注記1.4. 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」をご参照ください。