有価証券報告書-第35期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
(1)営業実績
当事業年度における情報通信市場では、引き続きクラウドサービスやIoT、ビッグデータ、AI等の進展により、様々なデジタルサービスの利用が進むとともに、5Gサービスも開始されました。それらのサービスの利用を通じて蓄積されたデータを分析・活用(データマネジメント)することで、人々の生活における利便性向上や、ビジネスにおける新たなモデル創出や生産性向上等、より良い方向への変革を実現するデジタルトランスフォーメーションが世界的に進みつつあります。また、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対する情報セキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や、環境保護への貢献等も求められるようになっています。さらに、当事業年度末に新型コロナウイルス感染症の流行が世界的に拡大しており、在宅勤務や遠隔教育、遠隔医療等への取り組みが求められています。
こうした様々な社会的課題を解決するうえで、情報通信の役割はますます重要になっています。
このような事業環境のなか、NTTグループは中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、「Your Value Partner」としてパートナーの皆さまとともに、社会的課題の解決をめざす取り組みを推進しました。
《お客さまのデジタルトランスフォーメーションをサポート》
B2B2Xモデルの推進による新たな価値創出の支援や、5Gサービスの実現・展開に向けた取り組み、パーソナル化推進によるライフスタイル変革の支援等を進めました。
○ 2019年6月の国立大学法人北海道大学・岩見沢市とのスマートアグリシティの実現に向けた産官学連携協定締結に加え、2019年7月には、千葉市と未来のまちづくりに向けた包括連携協定を締結するとともに、2015年に札幌市と締結したさっぽろまちづくりパートナー協定をさっぽろ連携中枢都市圏12市町村に拡大する等、地域経済圏の更なる活性化をめざす取り組みを推進しました。
○ トヨタ自動車株式会社と当社は、価値観を共有し、社会の発展をめざすコアなパートナーとして、住民のニーズに応じて進化し続けるスマートシティの実現をめざし、スマートシティビジネスの事業化が可能な長期的かつ継続的な協業関係を構築することを目的に、2020年3月に業務資本提携に合意しました。
○ 2019年12月に、三菱商事株式会社とデジタルトランスフォーメーションによる産業バリューチェーンの変革と新たな価値創出を目的とした業務提携に合意するとともに、位置情報サービス分野でグローバルサービスプロバイダーである蘭HERE Technologiesへの共同出資を進めることに合意しました。また、米Microsoft Corporationとセキュアで信頼性の高いソリューションの提供を目的として、グローバル・デジタル・ファブリックの構築、企業向けデジタルソリューションの開発、次世代技術の共創を推進する複数年にわたる戦略的提携に合意しました。
○ パーソナル化の推進に向け、多様化するお客さまのライフスタイルに対応するため、2019年6月よりシンプルでおトクな新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」等の提供を開始し、契約数は1,494万契約となりました。
(注)契約数は「ギガホ」「ギガライト」「5Gギガホ」「5Gギガライト」「ケータイプラン」「キッズケータイプラン」「データプラス」「5Gデータプラス」の合計
○ 2020年3月から5G商用サービスを開始しました。「5Gギガホ」「5Gギガライト」といった料金プランと、7機種の5G端末、ゲーム・音楽・スポーツジャンルでのサービス、産業の高度化やデジタルトランスフォーメーション推進等に寄与するソリューションを提供します。5Gを通じて、新しい価値の創出や社会課題の解決に貢献し、お客さまの生活がより便利で、豊かなものになるよう取り組みを推進します。
《自らのデジタルトランスフォーメーションを推進》
グローバル事業の競争力強化に向けたOne NTTとしてのグローバルビジネス成長戦略や、国内事業のデジタルトランスフォーメーション等を推進しました。
○ 2019年7月にNTTブランドによるグローバル事業会社として、NTT Ltd.(本社:英ロンドン)が営業を開始しました。NTT Ltd. の各海外子会社のロゴをNTTのロゴへ変更するとともに、社名についても各エリアにおいてNTTを冠する社名への変更を順次実施しました。また、NTT Ltd. において、マネージドサービス等の高付加価値サービスへのシフトをめざし、構造改革を推進しました。
○ 2019年9月には、日本のIT企業として初めて、米MLB(Major League Baseball)とテクノロジーパートナーシップ契約を締結しました。MLBに加え、NTTが冠スポンサーである「インディカー・シリーズ」や、NTT Ltd. がオフィシャルテクノロジーパートナーとなっている「ツール・ド・フランス」等、世界的なスポーツイベントを通じて、NTTブランディングの強化を推進しています。
○ 米ラスベガス市を皮切りに展開しているスマートシティ実現に向けた取り組みとして、マレーシアの現地のステークホルダーと連携しマレーシア・サイバージャヤ地区におけるアジア初の実地検証を2020年2月より開始しました。本実地検証を通じて、NTTグループが米国で培ったスマートシティ分野における技術・ノウハウによるアジアでの社会課題解決の可能性を検証するとともに、持続可能なビジネスモデルの構築を推進しています。
○ RPAの導入による業務効率化を推進し、2020年3月末時点でのNTTグループの業務プロセス活用数は、約2,100となりました。RPAの導入についてはグループ内に限らず、お客さまにも提案を進めており、2020年3月末時点で約5,000社のお客さまにご利用いただいています。また、更なるグループ経営の高度化に向け、人事・財務・調達等の業務においてグループ統一ERPの導入を推進しました。
○ 国内(NTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ)の故障受付に関する電話問い合わせについて、お客さまご自身で故障に係る自己診断ができるwebサイトへの誘導や、チャットボットの活用等、対応を原則自動化することにより業務効率化を推進しました。
《人・技術・資産の活用》
不動産利活用、エネルギー供給等の新事業創出、地域社会・経済の活性化に取り組みました。
○ NTTグループの街づくり事業の中核を担うNTTアーバンソリューションズ株式会社が2019年7月に事業を開始しました。国内では福岡市や仙台市、京都市等における街づくり開発の取り組みを推進しました。
○ スマートエネルギー事業の推進に向けてNTTアノードエナジー株式会社が2019年9月に事業を開始しました。小売電気事業を展開する株式会社エネットの子会社化等により、発電・送配電/蓄電・小売/卸売の3つの領域で事業を展開し、エネルギー事業での競争力強化・収益拡大を推進します。
○ 巧妙化・複雑化している特殊詐欺に対し、お客さまに安心して電話をご利用いただけるよう、NTTグループが有するサービス・技術等を活用し、2019年8月より、特殊詐欺解析AIを用いた実証実験を実施しました。この実証実験の結果を踏まえ、準備が整い次第、サービス等を提供開始する予定です。
○ 近年、災害エネルギーの増大により、大規模な災害影響が多発しています。通信設備やサービスへの影響の増大や復旧の長期化を踏まえ、設備の強靭化や復旧対応の迅速化を推進しています。
設備の強靭化に関する主な取り組み
・停電対策等、災害に対する備えを持たせた中ゾーン基地局の拡大
・EVを活用した基地局の停電対策
・NTTグループが保有する移動電源車(約400台)の一元管理、運用
・災害影響等を考慮したケーブルの地中化やワイヤレス固定電話等の検討
復旧対応の迅速化に関する主な取り組み
・AIを活用した被害想定による復旧体制(全国広域支援体制等)の事前立上げ
・当社OB社員の活用等を含めた、復旧体制の増強、人員確保
・公衆電話BOXへのWi-Fi・蓄電池設置や出張113の開設等を通じた、被災されたお客さま支援の強化
《ESG経営の推進、株主還元の充実による企業価値の向上》
持続的な企業価値の向上と、株主の皆さまへの利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付け、環境負荷の低減、多様な人材の活用、セキュリティの強化、株主還元の充実等に取り組みました。
○ 環境負荷の低減への取り組みとして、事業のエネルギー効率を倍増させる「EP100」の目標に基づき、通信事業の電力効率の向上に取り組みました。また、電気自動車の使用や環境整備の促進をめざす「EV100」に基づき、一般車両のEV化を推進しました。
○ 多様な人材の活用として、2019年12月、障がい者の活躍推進に取り組む国際イニシアティブ「The Valuable 500」に加盟しました。また、障がい者活躍の取り組みとして、遠隔操作型分身ロボット「OriHime-D」を活用した障がい者による受付業務トライアルを実施しました。
○ 持続的な企業価値向上に向けたESG領域におけるNTTグループの取り組みが高く評価され、世界の代表的なESG投資指標であるDow Jones Sustainability Indexの「World Index」に2年連続で選定されました。また、世界最大規模の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が日本企業へのESG投資にあたり採用している4つのESG指数すべてに選定されました(2020年3月末時点)。
○ 株主還元については、配当及び機動的な自己株式取得を実施しました。また、投資単位当たりの金額を引き下げることにより、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的として、2020年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しました。
○ 当社株式の魅力を高め、中長期的に当社株を保有していただける株主の拡大を図ることを目的として、株主の皆さまへdポイントを進呈することとしました。
以上の取り組みの結果、当連結会計年度の営業実績は次のとおりとなりました。
(単位:億円)
営業収益
NTTグループの営業収益は、固定音声関連、移動音声関連、IP系・パケット通信、通信端末機器販売、システムインテグレーション及びその他の6つのサービス分野に区分しています。
2019年度の営業収益は、前期比0.2%増加し、11兆8,994億円となりました。これは、国内及び海外におけるデータ通信事業セグメントの増収、株式会社エネットの連結拡大影響によるその他の事業セグメントの増収等によるものです。
2019年度における各サービス分野における営業収益の概要は、次のとおりです。
・固定音声関連収入
固定音声関連サービスには、加入電話、INSネット、一般専用、高速ディジタル伝送等、地域通信事業セグメントと長距離・国際通信事業セグメントの一部が含まれています。
2019年度における固定音声関連収入は、前期比7.3%減少し、9,994億円(営業収益の8.4%に相当)となりました。これは、携帯電話や光IP電話の普及、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスの増加等により、加入電話やINSネットの契約数が引き続き減少したこと等によるものです。
・移動音声関連収入
移動音声関連サービスには、LTE(Xi)における音声通話サービス等の移動通信事業セグメントの一部が含まれています。
2019年度における移動音声関連収入は、前期比2.1%増加し、9,665億円(営業収益の8.1%に相当)となりました。これは、「月々サポート」による割引の縮小に伴う増収影響等によるものです。
・IP系・パケット通信収入
IP系・パケット通信サービスには、「フレッツ光」等の地域通信事業セグメントの一部、Arcstar Universal One、IP-VPN、OCN等の長距離・国際通信事業セグメントの一部、LTE(Xi)におけるパケット通信サービス等の移動通信事業セグメントの一部が含まれています。
2019年度におけるIP系・パケット通信収入は、前期比2.7%減少し、3兆6,193億円(営業収益の30.4%に相当)となりました。これは、移動通信事業セグメントにおいて「ドコモ光」契約者数の拡大が進んだものの、地域通信事業セグメントにおける「光コラボレーションモデル」への転用の進展や、移動通信事業セグメントにおける新料金プラン導入による収入の減少があったこと等によるものです。
・通信端末機器販売収入
通信端末機器販売には、移動通信事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部等が含まれています。
2019年度における通信端末機器販売収入は、前期比25.5%減少し、6,918億円(営業収益の5.8%に相当)となりました。これは、主に移動通信事業セグメントにおいて、分離プラン導入により端末販売台数が減少したこと等によるものです。
・システムインテグレーション収入
システムインテグレーションには、データ通信事業セグメント及び長距離・国際通信事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部が含まれています。
2019年度のシステムインテグレーション収入は、前期比3.8%増加し、3兆7,314億円(営業収益の31.4%に相当)となりました。これは、データ通信事業セグメントにおいて、国内及び海外でビジネス規模を拡大したこと等によるものです。
・その他の営業収入
その他のサービスには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、移動通信事業セグメントにおけるスマートライフ領域等が含まれています。
2019年度のその他の営業収入は、株式会社エネットの連結拡大影響等により、前期比17.4%増加し、1兆8,910億円(営業収益の15.9%に相当)となりました。
営業費用
2019年度の営業費用は前期比1.5%増加し、10兆3,373億円となりました。主な要因は以下のとおりです。
・人件費
2019年度の人件費は、前期比1.5%増加し、2兆4,285億円となりました。これは、地域通信事業セグメントにおける人件費が退職等により減少したものの、データ通信事業セグメントにおける人件費が海外事業の業容拡大により増加したこと等によるものです。
・経費
2019年度の経費は、前期比1.5%増加し、6兆64億円となりました。これは、移動通信事業セグメントにおける端末販売収入に連動する端末機器原価の減少、及びIFRS第16号「リース」適用影響による減少があったものの、その他の事業セグメントにおける株式会社エネットの連結拡大影響による増加等があったことによるものです。
・減価償却費
2019年度の減価償却費は、前期比9.9%増加し、1兆4,653億円となりました。これは、主にIFRS第16号「リース」適用影響によるものです。
営業利益
以上の結果、2019年度の営業利益は、前期比7.8%減少し、1兆5,622億円となりました。
金融損益
2019年度の金融損益は、前期の△119億円に対し△33億円となりました。
持分法による投資損益
2019年度の持分法による投資損益は、前期の△101億円に対し113億円となりました。
税引前利益
以上の結果、2019年度の税引前利益は前期比6.1%減少し、1兆5,701億円となりました。
法人税等
2019年度の法人税等は、前期比14.0%減少し、4,588億円となりました。2018年度、2019年度の税負担率は、それぞれ31.89%、29.22%となっております。
当社に帰属する当期利益
以上の結果、2019年度の当期利益は前期比2.4%減少し、1兆1,113億円となりました。また、非支配持分に帰属する当期利益を控除した当社に帰属する当期利益は、前期比0.1%増加し、8,553億円となりました。
(2)セグメント情報
NTTグループの事業は5つのオペレーティング・セグメント、すなわち、移動通信事業セグメント、地域通信事業セグメント、長距離・国際通信事業セグメント、データ通信事業セグメント及びその他の事業セグメントに区分しています(連結財務諸表 注記2.1.参照)。
移動通信事業セグメントには、移動音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、その他が含まれています。
地域通信事業セグメントには、固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス、その他が含まれています。
長距離・国際通信事業セグメントには、固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス、その他が含まれています。
データ通信事業セグメントには、システムインテグレーションサービスが含まれています。
また、その他の事業セグメントには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、研究開発等に係るその他のサービスが含まれています。
各セグメントの営業実績の概要は、次のとおりです。なお、各セグメントの営業実績の記載における営業収益・営業費用・営業利益は、セグメント間取引を含んでいます。また、当社グループは電気通信事業等の事業を行っており、生産、受注といった区分による表示が困難であるため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については各セグメントの営業業績に関連付けて示しています。
①移動通信事業セグメント
移動通信事業では、シンプルでおトクな新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」や「ドコモ光」の販売を推進したほか、5Gサービスの提供開始、スマートライフ領域における様々な事業者とのコラボレーション推進等、新たな付加価値の提供に取り組みました。
《主な取り組み内容》
○ スマートフォン決済サービスの「d払い」や「dポイント」の取扱い店舗の拡大に努め、「dポイントクラブ」会員数は7,509万会員、「dポイントカード」登録数は4,326万件となりました。
○ ドコモショップにおけるお客さまの待ち時間短縮のためにWeb・電話予約の導入や、予約の受付可能数の拡大に取り組みました。また、2019年12月より、ドコモショップ店頭で端末をご購入いただき、初期設定・データ移行を希望されるお客さまに対して無料で手続きをご案内するようにサポート内容を統一しました。
○ 国内の医師の約9割を会員に持つ国内最大の医療IT企業であるエムスリー株式会社と資本・業務提携契約を締結し、企業の健康経営をサポートする株式会社emphealを設立しました。
○ 5Gの技術や仕様に関する情報や、5Gの技術検証環境の無償提供等を通じて、パートナー企業と新たなソリューション協創の取り組みとして実施している「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」の参加パートナー数は、2020年3月末に3,400となりました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
移動通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、一部子会社のセグメント間異動等に伴うスマートライフ領域の増収があったものの、新料金プラン導入影響等に伴うIP系・パケット通信サービス収入の減少に加え、分離プラン導入による端末販売台数減少に伴う通信端末機器販売収入の減少等により4兆6,513億円(前期比3.9%減)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、一部子会社のセグメント間異動の影響やポイント経費の増加はあったものの、端末販売台数減少に伴う端末機器原価の減少やコスト効率化等により3兆7,966億円(前期比0.8%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は8,547億円(前期比15.7%減)となりました。
移動通信事業セグメントの契約数及び市場シェア (単位:千契約)
(注)1.携帯電話サービス契約数、LTE(Xi)サービス契約数及びFOMAサービス契約数には、MVNOとの契約及び通信モジュールサービス契約数を含めて記載しています。
(注)2.他社契約数については、一般社団法人電気通信事業者協会及び各社が発表した数値を基に算出しています。
(注)3.当連結会計年度において、一部の子会社が「長距離・国際通信事業」から「移動通信事業」へセグメント間異動したことにより、ぷらら(ISP)及びひかりTVの契約数を移動通信事業セグメントに記載しています。
2020年3月31日現在、NTTドコモの携帯電話サービスの契約数は8,033万契約となり、前期末時点の7,845万契約から1年間で187万契約増加しました。また、解約率は前期比0.03ポイント減少し、0.54%となりました。
携帯電話サービスにおけるARPU及びMOU
(注)携帯電話サービスにおけるMOUについては「(注)1.MOU(Minutes Of Use)」を、また、ARPUの算定式については「(注)3.ARPUの算定式(b)NTTドコモ」をご参照下さい。
2019年度における携帯電話総合ARPUは4,740円と、前期の4,800円に比べ60円(1.3%)減少しました。これは、ドコモ光ARPUが、「ドコモ光」契約者数の拡大等により510円となり、前期の440円に比べて70円(15.9%)増加したものの、モバイルARPUが、新料金プラン導入による減収影響等により4,230円となり、前期の4,360円に比べて130円(3.0%)減少したこと等によります。
②地域通信事業セグメント
地域通信事業では、光アクセスサービス等を様々な事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」や、地域社会・経済の活性化に向けたソリューションビジネスの強化を図りました。
○ IoT/AIを活用し、農業を起点とした街づくりを推進するため、NTTグループ初の農業×ICT専業会社である株式会社NTTアグリテクノロジーを設立しました。また、地域社会と経済活性への貢献等を推進するため、スカパーJSAT株式会社、株式会社タイトーとの共同出資により株式会社NTTe-Sportsを設立しました。
○ NTT東日本・NTT西日本は、全国の多くの地方自治体等と連携し、ICTを活用した街づくり等に向けた様々な取り組みを推進しました。NTT西日本においては、大学・地方自治体向けの共同利用型クラウドである「地域創生クラウド」サービスを京都エリアから順次提供開始しました。
○ 地域の文化芸術資源の保存・伝承という社会的課題や、文化芸術を通じた地域の魅力発信・活性化といったお客さまの期待に対し、地域文化芸術に関するデジタルデータの集積や、先進技術を用いた発信により、地域の文化芸術伝承を通じた地方創生の取り組みを推進しました。また、取り組みのコンセプトを発信する場として、体験型美術展「Digital×北斎(序章)」を開催しました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
地域通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、固定音声関連サービス収入の減少や一部子会社のセグメント間異動に伴う減収等により3兆799億円(前期比2.3%減)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、前年度に実施したメタルケーブル関連損が無くなった影響等により2兆6,916億円(前期比3.6%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は3,883億円(前期比7.6%増)となりました。
加入電話及びINSネットの契約数 (単位:千加入/回線)
(注)1.加入電話は、一般加入電話とビル電話を合算しています(加入電話・ライトプランを含む)。
2.「INSネット」には、「INSネット64」及び「INSネット1500」が含まれています。「INSネット1500」は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)のいずれについても「INSネット64」の10倍程度であることから、「INSネット1500」の1契約を「INSネット64」の10倍に換算しています(INSネット64・ライトを含む)。
加入電話やINSネットについて、お客さまのニーズが携帯電話、IP電話、ブロードバンドアクセスサービス、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービス等へと移行していること等に伴い、2020年3月31日現在の固定電話契約数(固定電話+INSネット)は、前期比1,415千契約減少し、17,085千契約となりました。
フレッツ光(コラボ光含む)、フレッツ・ADSL、ひかり電話、フレッツ・テレビ伝送サービスの契約数
(単位:千契約)
(注)1.「フレッツ光(コラボ光含む)」はNTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しています。
2.「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ伝送サービス」は、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しています。
2020年3月31日現在の「フレッツ光(コラボ光含む)」の契約数は、「光コラボレーションモデル」の展開等に取り組んだ結果、21,658千契約(前期比580千契約(2.8%)増)、「ひかり電話」の契約数は、18,503千チャネル(前期比259千チャネル(1.4%)増)、「フレッツ・テレビ」の契約数は、1,828千契約(前期比112千契約(6.5%)増)となりました。
固定通信サービスにおける固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)及びフレッツ光ARPU (単位:円)
(注)各ARPUについては、「(注)2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit)」「(注)3.ARPUの算定式 (a)NTT東日本、NTT西日本」をご参照下さい。
2019年度における固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)は、前期に比べ、NTT東日本が30円(1.2%)減少し2,510円、NTT西日本が20円(0.8%)減少し2,500円となりました。これらの原因は、移動体通話への移行、高利用者層のIP電話への移行等によるものです。
2019年度におけるフレッツ光ARPUは、前期に比べ、NTT東日本が120円(2.4%)減少し4,790円、NTT西日本が110円(2.2%)減少し4,820円となりました。これは、「光コラボレーションモデル」の進展に伴う単金減等によるものです。
③長距離・国際通信事業セグメント
長距離・国際通信事業では、ネットワーク、セキュリティ等を組み合わせたICTソリューションの提供力を強化したほか、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化を図りました。
《主な取り組み内容》
○ 世界各地でのクラウドサービスやデータセンターの需要に対応するため、市場拡大の続く各国において、サービス提供体制の拡充を進めました。欧州ではオランダ アムステルダム 1 データセンター、ドイツ フランクフルト 4 データセンターの提供を開始し、アジアではインドネシア ジャカルタ 3 データセンターの建設に着手しました。
○ SAPに特化した北米有数のマネージドサービス事業者Symmetry Holding Inc. の株式を取得しました。当該株式取得により、マネージドサービスの最大市場である北米において、オンプレミスからクラウドへのSAP移行・運用のケイパビリティを獲得し、SAPユーザに対するハイブリッドクラウドソリューションの提供力を強化しました。
○ 株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社みずほ銀行、みずほ情報総研株式会社と、音声認識処理技術、テキストマイニング、RPAを活用した市場商品の取引データ入力を自動化する業務効率化ツールである音声入力システムを共同開発し、みずほ銀行の市場バンキング業務において利用を開始しました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
長距離・国際通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、一部子会社のセグメント間異動の影響等により2兆2,058億円(前期比3.2%減)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、海外ビジネスの再編に係るコスト増等はあるものの、一部子会社のセグメント間異動等による経費の減少等により2兆1,022億円(前期比3.5%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は1,036億円(前期比3.4%増)となりました。
長距離・国際通信事業セグメントにおけるIP系・パケット通信関連サービスの契約数 (単位:千契約)
④データ通信事業セグメント
データ通信事業では、グローバルでのデジタルトランスフォーメーション等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したデジタル化の提案、システムインテグレーション等の多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
《主な取り組み内容》
○ 決済手段を指定したQRコードで認証入店することで、手に取った商品をレジでの支払い無しでそのまま持ち帰ることができる「Catch&Go」を提供開始しました。レジ無しデジタル店舗の実現により、消費者はレジでの支払いストレス軽減や、店内行動をもとにした優遇キャンペーン等、便利でオトクな購買体験が得られます。一方、従業員や店舗経営者にとっては、レジ打ちが無くなることによる業務効率化やレジ待ち解消による購買機会の最大化、消費者の店内動線やアクションをデータで把握することによる拡販機会の獲得、店舗設計やマーケティングへの活用等が可能となります。
○ 欧州・中南米を中心に30カ国以上でガス・電力事業を行うスペインのNaturgy Energy Group, SAより、デジタル変革プロジェクトの戦略パートナーに選定されました。今後、ガスの導管や電力の送配電に関するシステムの維持・運用、及びガス・電力の小売に係る各種業務を対象に、自社開発の先進的なプラットフォーム等を活用したBPO・ITOサービスを提供します。
○ 北米での成長戦略の更なる推進に向けて、アマゾン・ウェブ・サービス関連及び米国連邦政府向けのヘルスケア分野のケイパビリティを強化するため、米Flux7 Labs Inc. 及び米NET ESOLUTIONS CORPORATION の2社を子会社化しました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
データ通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、国内においては法人・ソリューション分野、金融分野、公共・社会基盤分野の各分野とも、また、海外においてはEMEA・中南米を中心としてビジネス規模を拡大したこと等により2兆2,668億円(前期比4.8%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、収益連動費用の増加等により2兆1,359億円(前期比6.0%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は1,309億円(前期比11.4%減)となりました。
⑤その他の事業セグメント
その他の事業では、主に不動産事業、金融事業、電力事業、システム開発事業に係るサービスを提供しました。
《主な取り組み内容》
○ 不動産事業
NTTグループの不動産事業を一元的に担うNTTアーバンソリューションズ株式会社を創設し、主力となるオフィス・商業事業や住宅事業、グローバル事業を推進しました。また、ホテル・リゾート事業として、京都エリアにおいて、歴史的建造物等を活用した複数のホテル開発にも取り組み、地域社会の街づくりに貢献しました。
○ 金融事業
ICT機器の普及や、環境・教育・医療分野を中心とした社会的課題の解決に向け、リース・ファイナンス等の金融サービスを展開しました。また、通信サービス料金等の請求・回収、クレジットカード決済サービスの提供を行いました。
○ 電力事業
NTTグループにおけるスマートエネルギー事業を推進するNTTアノードエナジー株式会社を設立しました。ICT技術・直流給電技術を最大限に融合・活用し、保有する太陽光発電所からグリーン電力を提供する等、自然エネルギーの活用や限りあるエネルギーを効率的にムダなく使う街づくり、自然災害等のリスクに強い安心・安全な街づくりに取り組みました。
○ システム開発事業
デジタルトランスフォーメーション推進に向けて、新規サービスのプラットフォームとなるITシステム群の開発・導入を開始しました。また都市の安全・地域の活性化等、社会課題解決ソリューションの開発に取り組みました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
その他の事業セグメントにおいては、株式会社エネットの連結拡大の影響等により、当連結会計年度の営業収益は1兆6,017億円(前期比29.1%増)となり、営業費用は1兆5,108億円(前期比30.8%増)となりました。この結果、営業利益は909億円(前期比6.2%増)となりました。
(参考)国内売上高及び海外売上高に関する情報
(単位:億円)
(注)営業収益は、製品及びサービスの提供先別に国内・海外を分類しています。
国内における当連結会計年度の営業収益は、株式会社エネットの連結拡大の影響はあるものの、移動通信事業セグメント等の減収により9兆6,758億円(前期比0.0%減)となりました。海外における当連結会計年度の営業収益は、データ通信事業セグメントにおけるビジネス規模の拡大等により2兆2,236億円(前期比1.0%増)となりました。
(注)
1.MOU(Minutes Of Use):1利用者当たり月間平均通話時間
2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit):1契約者(利用者)当たり月間平均収入
契約者(利用者)当たりの月間平均収入(ARPU)は、契約者(利用者)1人当たりの平均的な月間営業収益を計るために使われます。固定通信事業の場合、ARPUは、地域通信事業セグメントの営業収益のうち、固定電話(加入電話及びINSネット)並びに「フレッツ光」の提供により毎月発生する収入を、当該サービスの稼動契約数で除して計算されます。移動通信事業の場合、ARPUは、移動通信事業セグメントの営業収益のうち、携帯電話(LTE(Xi))、携帯電話(FOMA)、及び「ドコモ光」のサービス提供により発生する通信サービス収入(一部除く)を、当該サービスの稼動利用者数で除して計算されます。これら数字の計算からは、各月の平均的な利用状況を表さない端末機器販売、契約事務手数料、ユニバーサルサービス料等は除いています。こうして得られたARPUは、各月のお客さまの平均的な利用状況を把握する上で有用な情報を提供するものであると考えております。なお、ARPUの分子に含まれる収入は、IFRSによる連結決算値を構成する財務数値により算定しています。
3.ARPUの算定式
(a) NTT東日本、NTT西日本
NTT東日本及びNTT西日本のARPUは、以下の2種類に分けて計算しています。
・音声伝送収入(IP系除く)に含まれる加入電話とINSネットの基本料、通信・通話料、及びIP系収入に含まれる「フレッツ・ADSL」、「フレッツ・ISDN」からの収入に基づいて計算される固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)。
・IP系収入に含まれる「フレッツ光」、「フレッツ光」のオプションサービスからの収入、「ひかり電話」における基本料・通信料・機器利用料、及び附帯事業営業収益に含まれる「フレッツ光」のオプションサービス収入に基づいて計算されるフレッツ光ARPU。
※1 「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しています。「フレッツ光」のオプションサービスは、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しています。
※2 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)及びフレッツ光ARPUには、相互接続通話料は含まれていません。
※3 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上の契約数は、固定電話(加入電話及びINSネット)の契約数です。
※4 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上、INSネット1500の契約数は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)のいずれについてもINSネット64の10倍程度であることから、INSネット1500の1契約をINSネット64の10倍に換算しています。
※5 フレッツ光ARPU算定上の契約数は、「フレッツ光」の契約数(「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含む)です。
※6 NTT東日本及びNTT西日本におけるARPU算出時の稼動契約数の計算式は、以下のとおりです。
通期実績:4月~3月までの各月稼動契約数{(前月末契約数+当月末契約数)/2}の合計
(b) NTTドコモ
NTTドコモのARPUの計算式は、以下のとおりです。
・総合ARPU:モバイルARPU+ドコモ光ARPU
※1 ・モバイルARPU:モバイルARPU関連収入(基本使用料、通話料、通信料)/稼動利用者数
・ドコモ光ARPU:ドコモ光ARPU関連収入(基本使用料、通話料)/稼動利用者数
※2 NTTドコモにおけるARPU算出時の稼動利用者数の計算式は、以下のとおりです。
当該期間の各月稼動利用者数{(前月末利用者数+当月末利用者数)/2}の合計
※3 利用者数は、以下のとおり、契約数を基本としつつ、一定の契約数を除外して算定しています。
利用者数 = 契約数
-通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」並びにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る契約数
-5G契約、Xi契約及びFOMA契約と同一名義のデータプラン契約数
なお、通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」、MVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る収入並びに「dポイント」等に係る収入影響等は、ARPUの算定上、収入に含まれておりません。
(3)流動性及び資金の源泉
前連結会計年度及び当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(単位:億円)
(注)1.前々期末日及び前期末日が休日だったことから、通信サービス料金等の支払期限が月末から翌月初に後倒し
となった影響83億円。
2.前期末日が休日だったことから、通信サービス料金等の支払期限が月末から翌月初に後倒しとなった影響
2,237億円。
3.2019年度からのIFRS第16号(新リース会計基準)適用開始に伴う営業活動によるキャッシュ・フロー及び財
務活動によるキャッシュ・フローの増減影響1,690億円。
資金調達及び資金の源泉と使途
当連結会計年度の休日影響及びIFRS第16号(新リース会計基準)適用開始影響を除いた場合の営業活動によって得たキャッシュ・フローは、2兆6,025億円となり、前連結会計年度の2兆3,979億円から2,046億円増加しております。これは営業債権の回収が増加したことなどによるものであります。なお、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2兆9,952億円であります。
NTTグループは、営業活動によって得たキャッシュ・フローを主に設備の取得、配当金の支払、自己株式の取得等に充てました。
当連結会計年度の投資活動に充てたキャッシュ・フローは、1兆8,527億円となり、前連結会計年度の1兆7,741億円から支出が786億円増加しております。これは、投資の売却または償還による収入が2,390億円増加した一方で、有形固定資産、無形資産に対する投資が現金支出ベースで1,840億円増加したこと、投資の取得による支出が1,368億円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度の有形固定資産、無形資産に対する投資の増加は、その他の事業において街づくり事業の推進等により投資が増加したこと等によります。なお、当連結会計年度の発生主義に基づく設備投資額1兆8,066億円の主な内訳は移動通信事業が5,728億円、地域通信事業が5,225億円でした。
当連結会計年度のIFRS第16号(新リース会計基準)適用開始影響を除いた場合の財務活動に充てたキャッシュ・フローは、8,723億円となり、前連結会計年度の5,843億円から支出が2,880億円増加しております。これは、自己株式の取得が増加したこと等によります。なお、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは1兆413億円の支出であります。
また、2020年3月31日現在のNTTグループの有利子負債残高は4兆6,999億円であり、2019年3月31日現在の4兆2,627億円から4,372億円増加しました。2020年3月31日現在の有利子負債の株主資本に対する比率は51.9%(2019年3月31日現在は46.0%)となりました。
NTTグループは、営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、銀行やその他の金融機関からの借入金、あるいは、資本市場における株式や債券の発行により、将来にわたって現在予測される設備投資とその他の支出や負債の支払に必要な財源が確保できると確信しております。
翌連結会計年度の発生主義に基づく設備投資額は、設備投資計画が新型コロナウイルスの影響による新規システムインテグレーション受注や各種サービス販売等への影響により大きく変動する状況であること、また新型コロナウイルスの終息時期や第二波の到来等が見通せず影響額を合理的に算定できないことから、現時点での開示を見送り、影響額の合理的な算定が可能となった段階で速やかに開示することを予定しています。なお、NTTグループの実際の資金調達額は、将来の事業運営、市場状況、その他の要因によって変化するため、正確に予測することは困難であります。
流動性
2020年3月31日現在のNTTグループの現金及び現金同等物残高は1兆336億円であり、休日影響を除いた2019年3月31日現在の1兆1,698億円から1,362億円減少しました。現金同等物とは、負債の返済や投資等に利用される予定の一時的な余剰金のことで、運転資金として使用されます。したがって、現金同等物の残高は、その時点の資金調達や運転資金の状況に応じて毎年度変化します。
契約上の債務
下記の表は、2020年3月31日現在におけるNTTグループの契約上の債務をまとめたものであります。
売却目的で保有する資産に直接関連する負債に振替えられた契約上の債務
(単位:百万円)
(注)1.長期借入債務には1年以内に返済予定のものを含めて表示しております。長期借入債務の詳細については、連結財務諸表 注記4.5.参照。
2.リース債務には利息相当額を含んでおります。
3.購入コミットメントは主に有形固定資産その他の資産の購入に関する契約債務であります。なお、残余期間が1年内の購入コミットメントを含んでおりますが、解約可能な購入コミットメントを除いております。
4.その他の固定負債は重要性がない、あるいは支払時期が不確実であるため、上表に金額を記載しておりません。なお、連結財務諸表 注記3.11.に記載のとおり、NTTグループの年金制度に対して、翌連結会計年度に合計22,700百万円の拠出を見込んでおります。
5.長期借入債務には1年以内に返済予定のものを含めて表示しております。長期借入債務の詳細については、連結財務諸表 注記3.4.参照。
6.その他の固定負債は重要性がない、あるいは支払時期が不確実であるため、上表に金額を記載しておりません。
2020年3月31日現在、NTTグループの有形固定資産及びその他資産の購入等に係る契約債務残高は約678億円となっており、営業活動によって得たキャッシュ・フローによりこれらの売買契約代金の支払をする予定であります。
(4)重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断については、第5 経理の状況 連結財務諸表 「注記1.4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」参照。
なお、新型コロナウイルス感染症流行拡大については、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、その長期化により、お客さまの事業活動が縮小し、システムインテグレーションの受注や各種サービスの販売が減少することや、計画していた工事等が遅延する等、事業活動に大きな影響が生じる可能性があり、また、感染症終息後は、人々の生活や企業の活動のスタイルが大きく変容する可能性があり、それらの結果としてNTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。しかしながら、2019年度期末日において、当社の会計上の見積り及び見積りを伴う判断に重要な影響は与えておりません。また当社は、感染終息時期や第二波の到来等が見通せず、影響額を合理的に算定できないことから2020年度業績予想を公表していないものの、有価証券報告書提出日時点では、当該見積り及び判断に直ちに重要な影響を与える状況には至っていないものと判断しています。
(1)営業実績
当事業年度における情報通信市場では、引き続きクラウドサービスやIoT、ビッグデータ、AI等の進展により、様々なデジタルサービスの利用が進むとともに、5Gサービスも開始されました。それらのサービスの利用を通じて蓄積されたデータを分析・活用(データマネジメント)することで、人々の生活における利便性向上や、ビジネスにおける新たなモデル創出や生産性向上等、より良い方向への変革を実現するデジタルトランスフォーメーションが世界的に進みつつあります。また、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対する情報セキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や、環境保護への貢献等も求められるようになっています。さらに、当事業年度末に新型コロナウイルス感染症の流行が世界的に拡大しており、在宅勤務や遠隔教育、遠隔医療等への取り組みが求められています。
こうした様々な社会的課題を解決するうえで、情報通信の役割はますます重要になっています。
このような事業環境のなか、NTTグループは中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、「Your Value Partner」としてパートナーの皆さまとともに、社会的課題の解決をめざす取り組みを推進しました。
《お客さまのデジタルトランスフォーメーションをサポート》
B2B2Xモデルの推進による新たな価値創出の支援や、5Gサービスの実現・展開に向けた取り組み、パーソナル化推進によるライフスタイル変革の支援等を進めました。
○ 2019年6月の国立大学法人北海道大学・岩見沢市とのスマートアグリシティの実現に向けた産官学連携協定締結に加え、2019年7月には、千葉市と未来のまちづくりに向けた包括連携協定を締結するとともに、2015年に札幌市と締結したさっぽろまちづくりパートナー協定をさっぽろ連携中枢都市圏12市町村に拡大する等、地域経済圏の更なる活性化をめざす取り組みを推進しました。
○ トヨタ自動車株式会社と当社は、価値観を共有し、社会の発展をめざすコアなパートナーとして、住民のニーズに応じて進化し続けるスマートシティの実現をめざし、スマートシティビジネスの事業化が可能な長期的かつ継続的な協業関係を構築することを目的に、2020年3月に業務資本提携に合意しました。
○ 2019年12月に、三菱商事株式会社とデジタルトランスフォーメーションによる産業バリューチェーンの変革と新たな価値創出を目的とした業務提携に合意するとともに、位置情報サービス分野でグローバルサービスプロバイダーである蘭HERE Technologiesへの共同出資を進めることに合意しました。また、米Microsoft Corporationとセキュアで信頼性の高いソリューションの提供を目的として、グローバル・デジタル・ファブリックの構築、企業向けデジタルソリューションの開発、次世代技術の共創を推進する複数年にわたる戦略的提携に合意しました。
○ パーソナル化の推進に向け、多様化するお客さまのライフスタイルに対応するため、2019年6月よりシンプルでおトクな新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」等の提供を開始し、契約数は1,494万契約となりました。
(注)契約数は「ギガホ」「ギガライト」「5Gギガホ」「5Gギガライト」「ケータイプラン」「キッズケータイプラン」「データプラス」「5Gデータプラス」の合計
○ 2020年3月から5G商用サービスを開始しました。「5Gギガホ」「5Gギガライト」といった料金プランと、7機種の5G端末、ゲーム・音楽・スポーツジャンルでのサービス、産業の高度化やデジタルトランスフォーメーション推進等に寄与するソリューションを提供します。5Gを通じて、新しい価値の創出や社会課題の解決に貢献し、お客さまの生活がより便利で、豊かなものになるよう取り組みを推進します。
《自らのデジタルトランスフォーメーションを推進》
グローバル事業の競争力強化に向けたOne NTTとしてのグローバルビジネス成長戦略や、国内事業のデジタルトランスフォーメーション等を推進しました。
○ 2019年7月にNTTブランドによるグローバル事業会社として、NTT Ltd.(本社:英ロンドン)が営業を開始しました。NTT Ltd. の各海外子会社のロゴをNTTのロゴへ変更するとともに、社名についても各エリアにおいてNTTを冠する社名への変更を順次実施しました。また、NTT Ltd. において、マネージドサービス等の高付加価値サービスへのシフトをめざし、構造改革を推進しました。
○ 2019年9月には、日本のIT企業として初めて、米MLB(Major League Baseball)とテクノロジーパートナーシップ契約を締結しました。MLBに加え、NTTが冠スポンサーである「インディカー・シリーズ」や、NTT Ltd. がオフィシャルテクノロジーパートナーとなっている「ツール・ド・フランス」等、世界的なスポーツイベントを通じて、NTTブランディングの強化を推進しています。
○ 米ラスベガス市を皮切りに展開しているスマートシティ実現に向けた取り組みとして、マレーシアの現地のステークホルダーと連携しマレーシア・サイバージャヤ地区におけるアジア初の実地検証を2020年2月より開始しました。本実地検証を通じて、NTTグループが米国で培ったスマートシティ分野における技術・ノウハウによるアジアでの社会課題解決の可能性を検証するとともに、持続可能なビジネスモデルの構築を推進しています。
○ RPAの導入による業務効率化を推進し、2020年3月末時点でのNTTグループの業務プロセス活用数は、約2,100となりました。RPAの導入についてはグループ内に限らず、お客さまにも提案を進めており、2020年3月末時点で約5,000社のお客さまにご利用いただいています。また、更なるグループ経営の高度化に向け、人事・財務・調達等の業務においてグループ統一ERPの導入を推進しました。
○ 国内(NTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ)の故障受付に関する電話問い合わせについて、お客さまご自身で故障に係る自己診断ができるwebサイトへの誘導や、チャットボットの活用等、対応を原則自動化することにより業務効率化を推進しました。
《人・技術・資産の活用》
不動産利活用、エネルギー供給等の新事業創出、地域社会・経済の活性化に取り組みました。
○ NTTグループの街づくり事業の中核を担うNTTアーバンソリューションズ株式会社が2019年7月に事業を開始しました。国内では福岡市や仙台市、京都市等における街づくり開発の取り組みを推進しました。
○ スマートエネルギー事業の推進に向けてNTTアノードエナジー株式会社が2019年9月に事業を開始しました。小売電気事業を展開する株式会社エネットの子会社化等により、発電・送配電/蓄電・小売/卸売の3つの領域で事業を展開し、エネルギー事業での競争力強化・収益拡大を推進します。
○ 巧妙化・複雑化している特殊詐欺に対し、お客さまに安心して電話をご利用いただけるよう、NTTグループが有するサービス・技術等を活用し、2019年8月より、特殊詐欺解析AIを用いた実証実験を実施しました。この実証実験の結果を踏まえ、準備が整い次第、サービス等を提供開始する予定です。
○ 近年、災害エネルギーの増大により、大規模な災害影響が多発しています。通信設備やサービスへの影響の増大や復旧の長期化を踏まえ、設備の強靭化や復旧対応の迅速化を推進しています。
設備の強靭化に関する主な取り組み
・停電対策等、災害に対する備えを持たせた中ゾーン基地局の拡大
・EVを活用した基地局の停電対策
・NTTグループが保有する移動電源車(約400台)の一元管理、運用
・災害影響等を考慮したケーブルの地中化やワイヤレス固定電話等の検討
復旧対応の迅速化に関する主な取り組み
・AIを活用した被害想定による復旧体制(全国広域支援体制等)の事前立上げ
・当社OB社員の活用等を含めた、復旧体制の増強、人員確保
・公衆電話BOXへのWi-Fi・蓄電池設置や出張113の開設等を通じた、被災されたお客さま支援の強化
《ESG経営の推進、株主還元の充実による企業価値の向上》
持続的な企業価値の向上と、株主の皆さまへの利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付け、環境負荷の低減、多様な人材の活用、セキュリティの強化、株主還元の充実等に取り組みました。
○ 環境負荷の低減への取り組みとして、事業のエネルギー効率を倍増させる「EP100」の目標に基づき、通信事業の電力効率の向上に取り組みました。また、電気自動車の使用や環境整備の促進をめざす「EV100」に基づき、一般車両のEV化を推進しました。
○ 多様な人材の活用として、2019年12月、障がい者の活躍推進に取り組む国際イニシアティブ「The Valuable 500」に加盟しました。また、障がい者活躍の取り組みとして、遠隔操作型分身ロボット「OriHime-D」を活用した障がい者による受付業務トライアルを実施しました。
○ 持続的な企業価値向上に向けたESG領域におけるNTTグループの取り組みが高く評価され、世界の代表的なESG投資指標であるDow Jones Sustainability Indexの「World Index」に2年連続で選定されました。また、世界最大規模の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が日本企業へのESG投資にあたり採用している4つのESG指数すべてに選定されました(2020年3月末時点)。
○ 株主還元については、配当及び機動的な自己株式取得を実施しました。また、投資単位当たりの金額を引き下げることにより、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的として、2020年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しました。
○ 当社株式の魅力を高め、中長期的に当社株を保有していただける株主の拡大を図ることを目的として、株主の皆さまへdポイントを進呈することとしました。
以上の取り組みの結果、当連結会計年度の営業実績は次のとおりとなりました。
(単位:億円)
前連結会計年度 (2018年4月1日から 2019年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2019年4月1日から 2020年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 118,798 | 118,994 | 196 | 0.2% |
固定音声関連収入 | 10,777 | 9,994 | △782 | △7.3% |
移動音声関連収入 | 9,467 | 9,665 | 198 | 2.1% |
IP系・パケット通信収入 | 37,212 | 36,193 | △1,019 | △2.7% |
通信端末機器販売収入 | 9,292 | 6,918 | △2,373 | △25.5% |
システムインテグレーション収入 | 35,941 | 37,314 | 1,373 | 3.8% |
その他の営業収入 | 16,110 | 18,910 | 2,800 | 17.4% |
営業費用 | 101,860 | 103,373 | 1,513 | 1.5% |
営業利益 | 16,938 | 15,622 | △1,317 | △7.8% |
金融損益 | △119 | △33 | 86 | 72.5% |
持分法による投資損益 | △101 | 113 | 213 | - |
税引前利益 | 16,719 | 15,701 | △1,017 | △6.1% |
法人税等 | 5,332 | 4,588 | △744 | △14.0% |
当期利益 | 11,387 | 11,113 | △273 | △2.4% |
控除:非支配持分に帰属する当期利益 | 2,841 | 2,560 | △281 | △9.9% |
当社に帰属する当期利益 | 8,546 | 8,553 | 7 | 0.1% |
営業収益
NTTグループの営業収益は、固定音声関連、移動音声関連、IP系・パケット通信、通信端末機器販売、システムインテグレーション及びその他の6つのサービス分野に区分しています。
2019年度の営業収益は、前期比0.2%増加し、11兆8,994億円となりました。これは、国内及び海外におけるデータ通信事業セグメントの増収、株式会社エネットの連結拡大影響によるその他の事業セグメントの増収等によるものです。
2019年度における各サービス分野における営業収益の概要は、次のとおりです。
・固定音声関連収入
固定音声関連サービスには、加入電話、INSネット、一般専用、高速ディジタル伝送等、地域通信事業セグメントと長距離・国際通信事業セグメントの一部が含まれています。
2019年度における固定音声関連収入は、前期比7.3%減少し、9,994億円(営業収益の8.4%に相当)となりました。これは、携帯電話や光IP電話の普及、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスの増加等により、加入電話やINSネットの契約数が引き続き減少したこと等によるものです。
・移動音声関連収入
移動音声関連サービスには、LTE(Xi)における音声通話サービス等の移動通信事業セグメントの一部が含まれています。
2019年度における移動音声関連収入は、前期比2.1%増加し、9,665億円(営業収益の8.1%に相当)となりました。これは、「月々サポート」による割引の縮小に伴う増収影響等によるものです。
・IP系・パケット通信収入
IP系・パケット通信サービスには、「フレッツ光」等の地域通信事業セグメントの一部、Arcstar Universal One、IP-VPN、OCN等の長距離・国際通信事業セグメントの一部、LTE(Xi)におけるパケット通信サービス等の移動通信事業セグメントの一部が含まれています。
2019年度におけるIP系・パケット通信収入は、前期比2.7%減少し、3兆6,193億円(営業収益の30.4%に相当)となりました。これは、移動通信事業セグメントにおいて「ドコモ光」契約者数の拡大が進んだものの、地域通信事業セグメントにおける「光コラボレーションモデル」への転用の進展や、移動通信事業セグメントにおける新料金プラン導入による収入の減少があったこと等によるものです。
・通信端末機器販売収入
通信端末機器販売には、移動通信事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部等が含まれています。
2019年度における通信端末機器販売収入は、前期比25.5%減少し、6,918億円(営業収益の5.8%に相当)となりました。これは、主に移動通信事業セグメントにおいて、分離プラン導入により端末販売台数が減少したこと等によるものです。
・システムインテグレーション収入
システムインテグレーションには、データ通信事業セグメント及び長距離・国際通信事業セグメント、地域通信事業セグメントの一部が含まれています。
2019年度のシステムインテグレーション収入は、前期比3.8%増加し、3兆7,314億円(営業収益の31.4%に相当)となりました。これは、データ通信事業セグメントにおいて、国内及び海外でビジネス規模を拡大したこと等によるものです。
・その他の営業収入
その他のサービスには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、移動通信事業セグメントにおけるスマートライフ領域等が含まれています。
2019年度のその他の営業収入は、株式会社エネットの連結拡大影響等により、前期比17.4%増加し、1兆8,910億円(営業収益の15.9%に相当)となりました。
営業費用
2019年度の営業費用は前期比1.5%増加し、10兆3,373億円となりました。主な要因は以下のとおりです。
・人件費
2019年度の人件費は、前期比1.5%増加し、2兆4,285億円となりました。これは、地域通信事業セグメントにおける人件費が退職等により減少したものの、データ通信事業セグメントにおける人件費が海外事業の業容拡大により増加したこと等によるものです。
・経費
2019年度の経費は、前期比1.5%増加し、6兆64億円となりました。これは、移動通信事業セグメントにおける端末販売収入に連動する端末機器原価の減少、及びIFRS第16号「リース」適用影響による減少があったものの、その他の事業セグメントにおける株式会社エネットの連結拡大影響による増加等があったことによるものです。
・減価償却費
2019年度の減価償却費は、前期比9.9%増加し、1兆4,653億円となりました。これは、主にIFRS第16号「リース」適用影響によるものです。
営業利益
以上の結果、2019年度の営業利益は、前期比7.8%減少し、1兆5,622億円となりました。
金融損益
2019年度の金融損益は、前期の△119億円に対し△33億円となりました。
持分法による投資損益
2019年度の持分法による投資損益は、前期の△101億円に対し113億円となりました。
税引前利益
以上の結果、2019年度の税引前利益は前期比6.1%減少し、1兆5,701億円となりました。
法人税等
2019年度の法人税等は、前期比14.0%減少し、4,588億円となりました。2018年度、2019年度の税負担率は、それぞれ31.89%、29.22%となっております。
当社に帰属する当期利益
以上の結果、2019年度の当期利益は前期比2.4%減少し、1兆1,113億円となりました。また、非支配持分に帰属する当期利益を控除した当社に帰属する当期利益は、前期比0.1%増加し、8,553億円となりました。
(2)セグメント情報
NTTグループの事業は5つのオペレーティング・セグメント、すなわち、移動通信事業セグメント、地域通信事業セグメント、長距離・国際通信事業セグメント、データ通信事業セグメント及びその他の事業セグメントに区分しています(連結財務諸表 注記2.1.参照)。
移動通信事業セグメントには、移動音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、その他が含まれています。
地域通信事業セグメントには、固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス、その他が含まれています。
長距離・国際通信事業セグメントには、固定音声関連サービス、IP系・パケット通信サービス、通信端末機器販売、システムインテグレーションサービス、その他が含まれています。
データ通信事業セグメントには、システムインテグレーションサービスが含まれています。
また、その他の事業セグメントには、主に建築物の保守、不動産賃貸、システム開発、リース、研究開発等に係るその他のサービスが含まれています。
各セグメントの営業実績の概要は、次のとおりです。なお、各セグメントの営業実績の記載における営業収益・営業費用・営業利益は、セグメント間取引を含んでいます。また、当社グループは電気通信事業等の事業を行っており、生産、受注といった区分による表示が困難であるため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については各セグメントの営業業績に関連付けて示しています。
①移動通信事業セグメント
移動通信事業では、シンプルでおトクな新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」や「ドコモ光」の販売を推進したほか、5Gサービスの提供開始、スマートライフ領域における様々な事業者とのコラボレーション推進等、新たな付加価値の提供に取り組みました。
《主な取り組み内容》
○ スマートフォン決済サービスの「d払い」や「dポイント」の取扱い店舗の拡大に努め、「dポイントクラブ」会員数は7,509万会員、「dポイントカード」登録数は4,326万件となりました。
○ ドコモショップにおけるお客さまの待ち時間短縮のためにWeb・電話予約の導入や、予約の受付可能数の拡大に取り組みました。また、2019年12月より、ドコモショップ店頭で端末をご購入いただき、初期設定・データ移行を希望されるお客さまに対して無料で手続きをご案内するようにサポート内容を統一しました。
○ 国内の医師の約9割を会員に持つ国内最大の医療IT企業であるエムスリー株式会社と資本・業務提携契約を締結し、企業の健康経営をサポートする株式会社emphealを設立しました。
○ 5Gの技術や仕様に関する情報や、5Gの技術検証環境の無償提供等を通じて、パートナー企業と新たなソリューション協創の取り組みとして実施している「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」の参加パートナー数は、2020年3月末に3,400となりました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2018年4月1日から 2019年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2019年4月1日から 2020年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 48,408 | 46,513 | △1,896 | △3.9% |
移動音声関連サービス | 9,562 | 9,763 | 201 | 2.1% |
IP系・パケット通信サービス | 21,593 | 21,025 | △567 | △2.6% |
通信端末機器販売 | 8,444 | 6,082 | △2,362 | △28.0% |
その他 | 8,809 | 9,642 | 833 | 9.5% |
営業費用 | 38,272 | 37,966 | △306 | △0.8% |
営業利益 | 10,136 | 8,547 | △1,590 | △15.7% |
移動通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、一部子会社のセグメント間異動等に伴うスマートライフ領域の増収があったものの、新料金プラン導入影響等に伴うIP系・パケット通信サービス収入の減少に加え、分離プラン導入による端末販売台数減少に伴う通信端末機器販売収入の減少等により4兆6,513億円(前期比3.9%減)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、一部子会社のセグメント間異動の影響やポイント経費の増加はあったものの、端末販売台数減少に伴う端末機器原価の減少やコスト効率化等により3兆7,966億円(前期比0.8%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は8,547億円(前期比15.7%減)となりました。
移動通信事業セグメントの契約数及び市場シェア (単位:千契約)
サービスの種類 | 2019年3月31日現在 | 2020年3月31日現在 | 増減 | 増減率 |
携帯電話サービス | 78,453 | 80,326 | 1,873 | 2.4% |
5Gサービス | - | 14 | 14 | - |
LTE(Xi)サービス | 55,872 | 61,664 | 5,792 | 10.4% |
FOMAサービス | 22,581 | 18,648 | △3,933 | △17.4% |
携帯電話市場シェア | 44.7% | 44.1% | △0.6ポイント | - |
spモードサービス | 41,797 | 44,273 | 2,476 | 5.9% |
iモードサービス | 9,098 | 6,204 | △2,893 | △31.8% |
ぷらら(ISP) | 3,234 | 3,938 | 704 | 21.8% |
ひかりTV | 3,001 | 2,983 | △19 | △0.6% |
(注)1.携帯電話サービス契約数、LTE(Xi)サービス契約数及びFOMAサービス契約数には、MVNOとの契約及び通信モジュールサービス契約数を含めて記載しています。
(注)2.他社契約数については、一般社団法人電気通信事業者協会及び各社が発表した数値を基に算出しています。
(注)3.当連結会計年度において、一部の子会社が「長距離・国際通信事業」から「移動通信事業」へセグメント間異動したことにより、ぷらら(ISP)及びひかりTVの契約数を移動通信事業セグメントに記載しています。
2020年3月31日現在、NTTドコモの携帯電話サービスの契約数は8,033万契約となり、前期末時点の7,845万契約から1年間で187万契約増加しました。また、解約率は前期比0.03ポイント減少し、0.54%となりました。
携帯電話サービスにおけるARPU及びMOU
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 |
総合ARPU(円) | 4,800 | 4,740 | △60 | △1.3% |
モバイルARPU(LTE(Xi)+FOMA)(円) | 4,360 | 4,230 | △130 | △3.0% |
ドコモ光ARPU(円) | 440 | 510 | 70 | 15.9% |
MOU(分) | 134 | 133 | △1 | △0.7% |
(注)携帯電話サービスにおけるMOUについては「(注)1.MOU(Minutes Of Use)」を、また、ARPUの算定式については「(注)3.ARPUの算定式(b)NTTドコモ」をご参照下さい。
2019年度における携帯電話総合ARPUは4,740円と、前期の4,800円に比べ60円(1.3%)減少しました。これは、ドコモ光ARPUが、「ドコモ光」契約者数の拡大等により510円となり、前期の440円に比べて70円(15.9%)増加したものの、モバイルARPUが、新料金プラン導入による減収影響等により4,230円となり、前期の4,360円に比べて130円(3.0%)減少したこと等によります。
②地域通信事業セグメント
地域通信事業では、光アクセスサービス等を様々な事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」や、地域社会・経済の活性化に向けたソリューションビジネスの強化を図りました。
○ IoT/AIを活用し、農業を起点とした街づくりを推進するため、NTTグループ初の農業×ICT専業会社である株式会社NTTアグリテクノロジーを設立しました。また、地域社会と経済活性への貢献等を推進するため、スカパーJSAT株式会社、株式会社タイトーとの共同出資により株式会社NTTe-Sportsを設立しました。
○ NTT東日本・NTT西日本は、全国の多くの地方自治体等と連携し、ICTを活用した街づくり等に向けた様々な取り組みを推進しました。NTT西日本においては、大学・地方自治体向けの共同利用型クラウドである「地域創生クラウド」サービスを京都エリアから順次提供開始しました。
○ 地域の文化芸術資源の保存・伝承という社会的課題や、文化芸術を通じた地域の魅力発信・活性化といったお客さまの期待に対し、地域文化芸術に関するデジタルデータの集積や、先進技術を用いた発信により、地域の文化芸術伝承を通じた地方創生の取り組みを推進しました。また、取り組みのコンセプトを発信する場として、体験型美術展「Digital×北斎(序章)」を開催しました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2018年4月1日から 2019年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2019年4月1日から 2020年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 31,523 | 30,799 | △724 | △2.3% |
固定音声関連サービス | 10,852 | 10,061 | △791 | △7.3% |
IP系・パケット通信サービス | 15,007 | 14,897 | △109 | △0.7% |
通信端末機器販売 | 766 | 766 | △0 | △0% |
システムインテグレーションサービス | 1,689 | 2,061 | 372 | 22.0% |
その他 | 3,209 | 3,013 | △196 | △6.1% |
営業費用 | 27,916 | 26,916 | △1,000 | △3.6% |
営業利益 | 3,607 | 3,883 | 276 | 7.6% |
地域通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、固定音声関連サービス収入の減少や一部子会社のセグメント間異動に伴う減収等により3兆799億円(前期比2.3%減)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、前年度に実施したメタルケーブル関連損が無くなった影響等により2兆6,916億円(前期比3.6%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は3,883億円(前期比7.6%増)となりました。
加入電話及びINSネットの契約数 (単位:千加入/回線)
サービスの種類 | 2019年3月31日現在 | 2020年3月31日現在 | 増減 | 増減率 |
(NTT東日本) | ||||
加入電話 | 8,119 | 7,528 | △590 | △7.3% |
INSネット | 1,086 | 982 | △104 | △9.6% |
(NTT西日本) | ||||
加入電話 | 8,244 | 7,615 | △629 | △7.6% |
INSネット | 1,052 | 960 | △92 | △8.8% |
(注)1.加入電話は、一般加入電話とビル電話を合算しています(加入電話・ライトプランを含む)。
2.「INSネット」には、「INSネット64」及び「INSネット1500」が含まれています。「INSネット1500」は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)のいずれについても「INSネット64」の10倍程度であることから、「INSネット1500」の1契約を「INSネット64」の10倍に換算しています(INSネット64・ライトを含む)。
加入電話やINSネットについて、お客さまのニーズが携帯電話、IP電話、ブロードバンドアクセスサービス、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービス等へと移行していること等に伴い、2020年3月31日現在の固定電話契約数(固定電話+INSネット)は、前期比1,415千契約減少し、17,085千契約となりました。
フレッツ光(コラボ光含む)、フレッツ・ADSL、ひかり電話、フレッツ・テレビ伝送サービスの契約数
(単位:千契約)
サービスの種類 | 2019年3月31日現在 | 2020年3月31日現在 | 増減 | 増減率 |
(NTT東日本) | ||||
フレッツ光(コラボ光含む) | 11,880 | 12,240 | 359 | 3.0% |
(再掲)コラボ光 | 7,470 | 8,149 | 679 | 9.1% |
フレッツ・ADSL | 258 | 201 | △58 | △22.4% |
ひかり電話(千チャネル) | 9,759 | 9,940 | 181 | 1.9% |
フレッツ・テレビ伝送サービス | 1,033 | 1,082 | 49 | 4.7% |
(NTT西日本) | ||||
フレッツ光(コラボ光含む) | 9,197 | 9,418 | 221 | 2.4% |
(再掲)コラボ光 | 5,220 | 5,739 | 519 | 9.9% |
フレッツ・ADSL | 344 | 282 | △62 | △18.0% |
ひかり電話(千チャネル) | 8,485 | 8,563 | 78 | 0.9% |
フレッツ・テレビ伝送サービス | 684 | 747 | 63 | 9.2% |
(注)1.「フレッツ光(コラボ光含む)」はNTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しています。
2.「ひかり電話」、「フレッツ・テレビ伝送サービス」は、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しています。
2020年3月31日現在の「フレッツ光(コラボ光含む)」の契約数は、「光コラボレーションモデル」の展開等に取り組んだ結果、21,658千契約(前期比580千契約(2.8%)増)、「ひかり電話」の契約数は、18,503千チャネル(前期比259千チャネル(1.4%)増)、「フレッツ・テレビ」の契約数は、1,828千契約(前期比112千契約(6.5%)増)となりました。
固定通信サービスにおける固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)及びフレッツ光ARPU (単位:円)
サービスの種類 | 2019年3月31日現在 | 2020年3月31日現在 | 増減 | 増減率 |
(NTT東日本) | ||||
固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット) | 2,540 | 2,510 | △30 | △1.2% |
フレッツ光ARPU | 4,910 | 4,790 | △120 | △2.4% |
基本利用料ARPU | 3,520 | 3,470 | △50 | △1.4% |
付加サービスARPU | 1,390 | 1,320 | △70 | △5.0% |
(NTT西日本) | ||||
固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット) | 2,520 | 2,500 | △20 | △0.8% |
フレッツ光ARPU | 4,930 | 4,820 | △110 | △2.2% |
基本利用料ARPU | 3,380 | 3,320 | △60 | △1.8% |
付加サービスARPU | 1,550 | 1,500 | △50 | △3.2% |
(注)各ARPUについては、「(注)2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit)」「(注)3.ARPUの算定式 (a)NTT東日本、NTT西日本」をご参照下さい。
2019年度における固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)は、前期に比べ、NTT東日本が30円(1.2%)減少し2,510円、NTT西日本が20円(0.8%)減少し2,500円となりました。これらの原因は、移動体通話への移行、高利用者層のIP電話への移行等によるものです。
2019年度におけるフレッツ光ARPUは、前期に比べ、NTT東日本が120円(2.4%)減少し4,790円、NTT西日本が110円(2.2%)減少し4,820円となりました。これは、「光コラボレーションモデル」の進展に伴う単金減等によるものです。
③長距離・国際通信事業セグメント
長距離・国際通信事業では、ネットワーク、セキュリティ等を組み合わせたICTソリューションの提供力を強化したほか、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化を図りました。
《主な取り組み内容》
○ 世界各地でのクラウドサービスやデータセンターの需要に対応するため、市場拡大の続く各国において、サービス提供体制の拡充を進めました。欧州ではオランダ アムステルダム 1 データセンター、ドイツ フランクフルト 4 データセンターの提供を開始し、アジアではインドネシア ジャカルタ 3 データセンターの建設に着手しました。
○ SAPに特化した北米有数のマネージドサービス事業者Symmetry Holding Inc. の株式を取得しました。当該株式取得により、マネージドサービスの最大市場である北米において、オンプレミスからクラウドへのSAP移行・運用のケイパビリティを獲得し、SAPユーザに対するハイブリッドクラウドソリューションの提供力を強化しました。
○ 株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社みずほ銀行、みずほ情報総研株式会社と、音声認識処理技術、テキストマイニング、RPAを活用した市場商品の取引データ入力を自動化する業務効率化ツールである音声入力システムを共同開発し、みずほ銀行の市場バンキング業務において利用を開始しました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2018年4月1日から 2019年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2019年4月1日から 2020年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 22,787 | 22,058 | △729 | △3.2% |
固定音声関連サービス | 2,203 | 2,079 | △123 | △5.6% |
IP系・パケット通信サービス | 4,275 | 4,183 | △92 | △2.2% |
通信端末機器販売 | 115 | 110 | △5 | △4.0% |
システムインテグレーションサービス | 14,391 | 14,426 | 35 | 0.2% |
その他 | 1,803 | 1,259 | △544 | △30.2% |
営業費用 | 21,785 | 21,022 | △763 | △3.5% |
営業利益 | 1,001 | 1,036 | 34 | 3.4% |
長距離・国際通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、一部子会社のセグメント間異動の影響等により2兆2,058億円(前期比3.2%減)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、海外ビジネスの再編に係るコスト増等はあるものの、一部子会社のセグメント間異動等による経費の減少等により2兆1,022億円(前期比3.5%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は1,036億円(前期比3.4%増)となりました。
長距離・国際通信事業セグメントにおけるIP系・パケット通信関連サービスの契約数 (単位:千契約)
サービスの種類 | 2019年3月31日現在 | 2020年3月31日現在 | 増減 | 増減率 |
OCN(ISP) | 7,305 | 7,153 | △152 | △2.1% |
④データ通信事業セグメント
データ通信事業では、グローバルでのデジタルトランスフォーメーション等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したデジタル化の提案、システムインテグレーション等の多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
《主な取り組み内容》
○ 決済手段を指定したQRコードで認証入店することで、手に取った商品をレジでの支払い無しでそのまま持ち帰ることができる「Catch&Go」を提供開始しました。レジ無しデジタル店舗の実現により、消費者はレジでの支払いストレス軽減や、店内行動をもとにした優遇キャンペーン等、便利でオトクな購買体験が得られます。一方、従業員や店舗経営者にとっては、レジ打ちが無くなることによる業務効率化やレジ待ち解消による購買機会の最大化、消費者の店内動線やアクションをデータで把握することによる拡販機会の獲得、店舗設計やマーケティングへの活用等が可能となります。
○ 欧州・中南米を中心に30カ国以上でガス・電力事業を行うスペインのNaturgy Energy Group, SAより、デジタル変革プロジェクトの戦略パートナーに選定されました。今後、ガスの導管や電力の送配電に関するシステムの維持・運用、及びガス・電力の小売に係る各種業務を対象に、自社開発の先進的なプラットフォーム等を活用したBPO・ITOサービスを提供します。
○ 北米での成長戦略の更なる推進に向けて、アマゾン・ウェブ・サービス関連及び米国連邦政府向けのヘルスケア分野のケイパビリティを強化するため、米Flux7 Labs Inc. 及び米NET ESOLUTIONS CORPORATION の2社を子会社化しました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2018年4月1日から 2019年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2019年4月1日から 2020年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 21,636 | 22,668 | 1,032 | 4.8% |
システムインテグレーションサービス | 21,636 | 22,668 | 1,032 | 4.8% |
営業費用 | 20,159 | 21,359 | 1,200 | 6.0% |
営業利益 | 1,477 | 1,309 | △168 | △11.4% |
データ通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、国内においては法人・ソリューション分野、金融分野、公共・社会基盤分野の各分野とも、また、海外においてはEMEA・中南米を中心としてビジネス規模を拡大したこと等により2兆2,668億円(前期比4.8%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、収益連動費用の増加等により2兆1,359億円(前期比6.0%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は1,309億円(前期比11.4%減)となりました。
⑤その他の事業セグメント
その他の事業では、主に不動産事業、金融事業、電力事業、システム開発事業に係るサービスを提供しました。
《主な取り組み内容》
○ 不動産事業
NTTグループの不動産事業を一元的に担うNTTアーバンソリューションズ株式会社を創設し、主力となるオフィス・商業事業や住宅事業、グローバル事業を推進しました。また、ホテル・リゾート事業として、京都エリアにおいて、歴史的建造物等を活用した複数のホテル開発にも取り組み、地域社会の街づくりに貢献しました。
○ 金融事業
ICT機器の普及や、環境・教育・医療分野を中心とした社会的課題の解決に向け、リース・ファイナンス等の金融サービスを展開しました。また、通信サービス料金等の請求・回収、クレジットカード決済サービスの提供を行いました。
○ 電力事業
NTTグループにおけるスマートエネルギー事業を推進するNTTアノードエナジー株式会社を設立しました。ICT技術・直流給電技術を最大限に融合・活用し、保有する太陽光発電所からグリーン電力を提供する等、自然エネルギーの活用や限りあるエネルギーを効率的にムダなく使う街づくり、自然災害等のリスクに強い安心・安全な街づくりに取り組みました。
○ システム開発事業
デジタルトランスフォーメーション推進に向けて、新規サービスのプラットフォームとなるITシステム群の開発・導入を開始しました。また都市の安全・地域の活性化等、社会課題解決ソリューションの開発に取り組みました。
セグメント業績の概要(2019年4月1日~2020年3月31日) (単位:億円)
前連結会計年度 (2018年4月1日から 2019年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2019年4月1日から 2020年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 12,403 | 16,017 | 3,614 | 29.1% |
営業費用 | 11,546 | 15,108 | 3,561 | 30.8% |
営業利益 | 856 | 909 | 53 | 6.2% |
その他の事業セグメントにおいては、株式会社エネットの連結拡大の影響等により、当連結会計年度の営業収益は1兆6,017億円(前期比29.1%増)となり、営業費用は1兆5,108億円(前期比30.8%増)となりました。この結果、営業利益は909億円(前期比6.2%増)となりました。
(参考)国内売上高及び海外売上高に関する情報
(単位:億円)
前連結会計年度 (2018年4月1日から 2019年3月31日まで) | 当連結会計年度 (2019年4月1日から 2020年3月31日まで) | 増減 | 増減率 | |
営業収益 | 118,798 | 118,994 | 196 | 0.2% |
国内 | 96,783 | 96,758 | △25 | △0.0% |
海外 | 22,016 | 22,236 | 221 | 1.0% |
(注)営業収益は、製品及びサービスの提供先別に国内・海外を分類しています。
国内における当連結会計年度の営業収益は、株式会社エネットの連結拡大の影響はあるものの、移動通信事業セグメント等の減収により9兆6,758億円(前期比0.0%減)となりました。海外における当連結会計年度の営業収益は、データ通信事業セグメントにおけるビジネス規模の拡大等により2兆2,236億円(前期比1.0%増)となりました。
(注)
1.MOU(Minutes Of Use):1利用者当たり月間平均通話時間
2.ARPU(Average monthly Revenue Per Unit):1契約者(利用者)当たり月間平均収入
契約者(利用者)当たりの月間平均収入(ARPU)は、契約者(利用者)1人当たりの平均的な月間営業収益を計るために使われます。固定通信事業の場合、ARPUは、地域通信事業セグメントの営業収益のうち、固定電話(加入電話及びINSネット)並びに「フレッツ光」の提供により毎月発生する収入を、当該サービスの稼動契約数で除して計算されます。移動通信事業の場合、ARPUは、移動通信事業セグメントの営業収益のうち、携帯電話(LTE(Xi))、携帯電話(FOMA)、及び「ドコモ光」のサービス提供により発生する通信サービス収入(一部除く)を、当該サービスの稼動利用者数で除して計算されます。これら数字の計算からは、各月の平均的な利用状況を表さない端末機器販売、契約事務手数料、ユニバーサルサービス料等は除いています。こうして得られたARPUは、各月のお客さまの平均的な利用状況を把握する上で有用な情報を提供するものであると考えております。なお、ARPUの分子に含まれる収入は、IFRSによる連結決算値を構成する財務数値により算定しています。
3.ARPUの算定式
(a) NTT東日本、NTT西日本
NTT東日本及びNTT西日本のARPUは、以下の2種類に分けて計算しています。
・音声伝送収入(IP系除く)に含まれる加入電話とINSネットの基本料、通信・通話料、及びIP系収入に含まれる「フレッツ・ADSL」、「フレッツ・ISDN」からの収入に基づいて計算される固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)。
・IP系収入に含まれる「フレッツ光」、「フレッツ光」のオプションサービスからの収入、「ひかり電話」における基本料・通信料・機器利用料、及び附帯事業営業収益に含まれる「フレッツ光」のオプションサービス収入に基づいて計算されるフレッツ光ARPU。
※1 「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含めて記載しています。「フレッツ光」のオプションサービスは、NTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスを含めて記載しています。
※2 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)及びフレッツ光ARPUには、相互接続通話料は含まれていません。
※3 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上の契約数は、固定電話(加入電話及びINSネット)の契約数です。
※4 固定電話総合ARPU(加入電話+INSネット)の算定上、INSネット1500の契約数は、チャネル数、伝送速度、回線使用料(基本料)のいずれについてもINSネット64の10倍程度であることから、INSネット1500の1契約をINSネット64の10倍に換算しています。
※5 フレッツ光ARPU算定上の契約数は、「フレッツ光」の契約数(「フレッツ光」は、NTT東日本の「Bフレッツ」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光ライト」、「フレッツ 光ライトプラス」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、NTT西日本の「フレッツ・光プレミアム」、「フレッツ・光マイタウン」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ 光マイタウン ネクスト」、「フレッツ 光ライト」及び「フレッツ 光WiFiアクセス」、並びにNTT東日本及びNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービス(コラボ光)を含む)です。
※6 NTT東日本及びNTT西日本におけるARPU算出時の稼動契約数の計算式は、以下のとおりです。
通期実績:4月~3月までの各月稼動契約数{(前月末契約数+当月末契約数)/2}の合計
(b) NTTドコモ
NTTドコモのARPUの計算式は、以下のとおりです。
・総合ARPU:モバイルARPU+ドコモ光ARPU
※1 ・モバイルARPU:モバイルARPU関連収入(基本使用料、通話料、通信料)/稼動利用者数
・ドコモ光ARPU:ドコモ光ARPU関連収入(基本使用料、通話料)/稼動利用者数
※2 NTTドコモにおけるARPU算出時の稼動利用者数の計算式は、以下のとおりです。
当該期間の各月稼動利用者数{(前月末利用者数+当月末利用者数)/2}の合計
※3 利用者数は、以下のとおり、契約数を基本としつつ、一定の契約数を除外して算定しています。
利用者数 = 契約数
-通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」並びにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る契約数
-5G契約、Xi契約及びFOMA契約と同一名義のデータプラン契約数
なお、通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」、MVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る収入並びに「dポイント」等に係る収入影響等は、ARPUの算定上、収入に含まれておりません。
(3)流動性及び資金の源泉
前連結会計年度及び当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(単位:億円)
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 24,062 | 29,952 |
営業活動によるキャッシュ・フロー (休日影響(注)1,2及びIFRS第16号影響(注)3を除く) | 23,979 | 26,025 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △17,741 | △18,527 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △5,843 | △10,413 |
財務活動によるキャッシュ・フロー (IFRS第16号影響(注)3を除く) | △5,843 | △8,723 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 9,461 | 10,336 |
現金及び現金同等物の期末残高 (休日影響(注)2を除く) | 11,698 | 10,336 |
(注)1.前々期末日及び前期末日が休日だったことから、通信サービス料金等の支払期限が月末から翌月初に後倒し
となった影響83億円。
2.前期末日が休日だったことから、通信サービス料金等の支払期限が月末から翌月初に後倒しとなった影響
2,237億円。
3.2019年度からのIFRS第16号(新リース会計基準)適用開始に伴う営業活動によるキャッシュ・フロー及び財
務活動によるキャッシュ・フローの増減影響1,690億円。
資金調達及び資金の源泉と使途
当連結会計年度の休日影響及びIFRS第16号(新リース会計基準)適用開始影響を除いた場合の営業活動によって得たキャッシュ・フローは、2兆6,025億円となり、前連結会計年度の2兆3,979億円から2,046億円増加しております。これは営業債権の回収が増加したことなどによるものであります。なお、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2兆9,952億円であります。
NTTグループは、営業活動によって得たキャッシュ・フローを主に設備の取得、配当金の支払、自己株式の取得等に充てました。
当連結会計年度の投資活動に充てたキャッシュ・フローは、1兆8,527億円となり、前連結会計年度の1兆7,741億円から支出が786億円増加しております。これは、投資の売却または償還による収入が2,390億円増加した一方で、有形固定資産、無形資産に対する投資が現金支出ベースで1,840億円増加したこと、投資の取得による支出が1,368億円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度の有形固定資産、無形資産に対する投資の増加は、その他の事業において街づくり事業の推進等により投資が増加したこと等によります。なお、当連結会計年度の発生主義に基づく設備投資額1兆8,066億円の主な内訳は移動通信事業が5,728億円、地域通信事業が5,225億円でした。
当連結会計年度のIFRS第16号(新リース会計基準)適用開始影響を除いた場合の財務活動に充てたキャッシュ・フローは、8,723億円となり、前連結会計年度の5,843億円から支出が2,880億円増加しております。これは、自己株式の取得が増加したこと等によります。なお、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは1兆413億円の支出であります。
また、2020年3月31日現在のNTTグループの有利子負債残高は4兆6,999億円であり、2019年3月31日現在の4兆2,627億円から4,372億円増加しました。2020年3月31日現在の有利子負債の株主資本に対する比率は51.9%(2019年3月31日現在は46.0%)となりました。
NTTグループは、営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、銀行やその他の金融機関からの借入金、あるいは、資本市場における株式や債券の発行により、将来にわたって現在予測される設備投資とその他の支出や負債の支払に必要な財源が確保できると確信しております。
翌連結会計年度の発生主義に基づく設備投資額は、設備投資計画が新型コロナウイルスの影響による新規システムインテグレーション受注や各種サービス販売等への影響により大きく変動する状況であること、また新型コロナウイルスの終息時期や第二波の到来等が見通せず影響額を合理的に算定できないことから、現時点での開示を見送り、影響額の合理的な算定が可能となった段階で速やかに開示することを予定しています。なお、NTTグループの実際の資金調達額は、将来の事業運営、市場状況、その他の要因によって変化するため、正確に予測することは困難であります。
流動性
2020年3月31日現在のNTTグループの現金及び現金同等物残高は1兆336億円であり、休日影響を除いた2019年3月31日現在の1兆1,698億円から1,362億円減少しました。現金同等物とは、負債の返済や投資等に利用される予定の一時的な余剰金のことで、運転資金として使用されます。したがって、現金同等物の残高は、その時点の資金調達や運転資金の状況に応じて毎年度変化します。
契約上の債務
下記の表は、2020年3月31日現在におけるNTTグループの契約上の債務をまとめたものであります。
(単位:百万円) |
負債・債務の内訳 | 支払い期限ごとの債務額 | |||
総 額 | 1年以内 | 1年超 5年以内 | 5年超 | |
契約上の債務 | ||||
長期借入債務 (注)1 | 2,640,564 | 474,786 | 1,278,296 | 887,482 |
社債 | 769,004 | 239,847 | 462,461 | 66,696 |
銀行からの借入金 | 1,871,560 | 234,939 | 815,835 | 820,786 |
長期借入債務に係る支払利息 | 123,126 | 26,647 | 59,030 | 37,449 |
リース債務 (注)2 | 660,078 | 162,001 | 262,434 | 235,643 |
購入コミットメント (注)3 | 67,842 | 38,457 | 22,259 | 7,125 |
その他の固定負債 (注)4 | - | - | - | - |
売却目的で保有する資産に直接関連する負債に振替えられた契約上の債務
(単位:百万円)
負債・債務の内訳 | 支払い期限ごとの債務額 | |||
総 額 | 1年以内 | 1年超 5年以内 | 5年超 | |
契約上の債務 | ||||
長期借入債務 (注)5 | ||||
銀行からの借入金 | 479,651 | 32,148 | 367,637 | 79,866 |
長期借入債務に係る支払利息 | 5,712 | 1,716 | 3,273 | 722 |
リース債務 (注)2 | 31,440 | 4,886 | 12,807 | 13,747 |
その他の固定負債 (注)6 | - | - | - | - |
(注)1.長期借入債務には1年以内に返済予定のものを含めて表示しております。長期借入債務の詳細については、連結財務諸表 注記4.5.参照。
2.リース債務には利息相当額を含んでおります。
3.購入コミットメントは主に有形固定資産その他の資産の購入に関する契約債務であります。なお、残余期間が1年内の購入コミットメントを含んでおりますが、解約可能な購入コミットメントを除いております。
4.その他の固定負債は重要性がない、あるいは支払時期が不確実であるため、上表に金額を記載しておりません。なお、連結財務諸表 注記3.11.に記載のとおり、NTTグループの年金制度に対して、翌連結会計年度に合計22,700百万円の拠出を見込んでおります。
5.長期借入債務には1年以内に返済予定のものを含めて表示しております。長期借入債務の詳細については、連結財務諸表 注記3.4.参照。
6.その他の固定負債は重要性がない、あるいは支払時期が不確実であるため、上表に金額を記載しておりません。
2020年3月31日現在、NTTグループの有形固定資産及びその他資産の購入等に係る契約債務残高は約678億円となっており、営業活動によって得たキャッシュ・フローによりこれらの売買契約代金の支払をする予定であります。
(4)重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断については、第5 経理の状況 連結財務諸表 「注記1.4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」参照。
なお、新型コロナウイルス感染症流行拡大については、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、その長期化により、お客さまの事業活動が縮小し、システムインテグレーションの受注や各種サービスの販売が減少することや、計画していた工事等が遅延する等、事業活動に大きな影響が生じる可能性があり、また、感染症終息後は、人々の生活や企業の活動のスタイルが大きく変容する可能性があり、それらの結果としてNTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。しかしながら、2019年度期末日において、当社の会計上の見積り及び見積りを伴う判断に重要な影響は与えておりません。また当社は、感染終息時期や第二波の到来等が見通せず、影響額を合理的に算定できないことから2020年度業績予想を公表していないものの、有価証券報告書提出日時点では、当該見積り及び判断に直ちに重要な影響を与える状況には至っていないものと判断しています。