有価証券報告書-第59期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)の日本経済は、高い水準にある企業収益や、雇用情勢の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移したものの、通商問題を巡る動向や中国経済の先行き等、海外経済の動向や金融資本市場の変動に加え、自然災害や消費税率引上げの影響などに留意が必要な状況が続きました。足下では、新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は大幅に下押しされ、厳しい状況となりました。
このような状況において、“いつでも、どこでも、誰もが「安全・安心・快適・便利」に暮らせる社会”を実現する「社会システム産業」の構築をめざす当社グループは、2017年に「セコムグループ2030年ビジョン」を策定し、このビジョンのもと、セコムグループの総力を結集する“ALL SECOM”戦略に加え、想いを共にするパートナーと協業する“共想”戦略を推進しながら、暮らしや社会に安心を提供する社会インフラである「あんしんプラットフォーム」の構築を進めております。さらに、「2030年ビジョン」実現に向けて今何をすべきかを明確化した「セコムグループ ロードマップ2022」を2018年に公表し、ロードマップの実現に向けた取り組みを積極的に展開しております。
2019年4月には、深刻な人手不足と高まるセキュリティニーズに対応するため、世界初となる、AIを搭載したバーチャルキャラクターが警戒監視・受付業務などの常駐警備サービスを提供する「バーチャル警備システム」を協業先の企業3社とともに開発しました。6月には、レーザーセンサーにより自己位置を特定しながら敷地内の巡回ルートを自律走行し、搭載したカメラにより様々な場所で画像監視を行う、自律走行型巡回監視ロボット「セコムロボットX2」のサービス提供を開始しました。このように、当連結会計年度も「セコムグループロードマップ2022」において優先して取り組むべき課題として設定した「テクノロジーの進化」および「労働力人口の減少」に対応すべく、人の力とロボットなどの最新テクノロジーを融合することで、より高度で効率的なセキュリティの実現を進めました。また、9月から11月にかけて開催された「ラグビーワールドカップ2019日本大会」ではオフィシャルスポンサーとして協賛し、会場の警備を担当することで、大会の「安全・安心」な開催・運営を支援しました。当連結会計年度も様々な取り組みを通じて、ますます多様化・高度化するお客様の安心ニーズに対し、きめ細やかな切れ目のないサービスを提供することに努めました。
セグメントごとの業績につきましては、次のとおりであります。
セキュリティサービス事業では、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)を中心に、常駐警備や現金護送のサービスを提供するとともに、安全商品を販売しております。
事業所向けでは、2019年9月に防犯や防災をはじめ、従業員の就業管理などによる事業効率化に至るまで、企業の事業運営に有益な機能をオールインワンで提供する、システムセキュリティ「AZ」(注1)の販売を開始し、拡販に努めました。また、多様化する画像監視ニーズに対し、多彩なラインアップやクラウド対応等の柔軟性により施設の規模を問わず幅広いニーズに対応した「セコムIPカメラ」の販売および「セコム画像クラウドサービス」の提供を開始しました。
家庭向けでは、防犯・防火ニーズに加え、共働き世帯の増加による子供の見守りや、高齢者と離れて暮らす家族による見守りへの関心が高まっていることから、お客様の生活スタイルに柔軟に対応でき、様々な機器と接続することでサービスを拡張できる「セコム・ホームセキュリティNEO」の拡販に努めました。また、「セコム・ホームセキュリティ」と連携した自律型エンタテインメントロボットによる留守番や出迎えに加え、外出先からロボットを通じて自宅内の様子を確認できるサービスの提供を2020年1月から開始しました。一方、高齢者見守りのニーズには、これまで当社が提供してきた救急通報や健康相談に、家族間等で安否確認できる機能を新たに加えた工事不要の見守り新サービス「セコムみまもりホン」を2019年4月に発売しました。さらに、12月には、離れて暮らす親御さんとのコミュニケーションを楽しみながら、ゆるやかな見守りができる新しいサービス「まごチャンネル with SECOM」の提供を開始しました。
海外では、経済発展が続く東南アジアや中国を中心に、緊急対処サービスを特徴とする「セコム方式」のセキュリティサービスの拡販に努めるとともに、最先端技術を取り込みながら現地市場に適応したシステムの開発・導入を推進しました。
当連結会計年度は事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したこと、前第2四半期より連結子会社となったセコムトセック株式会社の寄与などによる常駐警備サービスの増収および主に集配金サービスを提供している株式会社アサヒセキュリティの増収などにより、売上高は5,693億円(前期比2.0%増加)となり、営業利益は1,158億円(前期比1.4%増加)となりました。
(注1) システムセキュリティ:事業所向けオンライン・セキュリティシステム
防災事業では、オフィスビル、プラント、トンネル、文化財、船舶、住宅といった様々な施設に対し、お客様のご要望に応えた高品質な自動火災報知設備や消火設備などの各種防災システムを提供しております。当連結会計年度も、国内防災業界大手2社である能美防災株式会社およびニッタン株式会社が、それぞれの営業基盤や商品開発力などを活かした防災システムの受注に努めました。
当連結会計年度は積極的な営業活動に努めた結果、消火設備で大型・中小規模案件が好調であったことなどにより、売上高は1,523億円(前期比8.7%増加)となり、営業利益は比較的採算性の良い案件が集中したことや、業務効率化等による原価低減の取り組みが奏功したことなどにより、181億円(前期比28.5%増加)となりました。
メディカルサービス事業では、訪問看護サービスや薬剤提供サービスなどの在宅医療サービスを中心として、シニアレジデンスの運営、電子カルテの提供、医療機器・医薬品等の販売、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸等様々なメディカルサービスを提供しております。
当連結会計年度は医薬品・医療機器・薬剤提供サービスの販売が増収となったことなどにより、売上高は762億円(前期比5.5%増加)となり、営業利益は54億円(前期比7.0%増加)となりました。
保険事業では、当連結会計年度もセキュリティシステム導入によるリスク軽減を保険料に反映した事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」や家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、ガン治療費の実額を補償する「自由診療保険メディコム」、セコムの緊急対処員が要請に応じて事故現場に急行するサービスを付帯した自動車総合保険「セコム安心マイカー保険」など、当社グループならではの保険の販売を推進しました。
当連結会計年度はセコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」、火災保険および自動車保険の販売が好調に推移したことなどにより、売上高は473億円(前期比5.6%増加)となり、営業損益は前連結会計年度の3億円の営業損失から当連結会計年度は16億円の営業利益となりました。
地理空間情報サービス事業では、航空機や車両、人工衛星などを利用した測量や計測で地理情報を集積し、加工・処理・解析した空間情報サービスを、国および地方自治体などの公共機関や民間企業、さらには新興国や発展途上国を含めた諸外国政府機関に提供しております。
当連結会計年度は公共部門が航空レーザーによる測量業務等の増加により増収となったことなどにより、売上高は539億円(前期比4.6%増加)となり、営業利益は35億円(前期比31.7%増加)となりました。
BPO・ICT事業では、データセンターを中核に、セコムならではのBCP(事業継続計画)支援や情報セキュリティ、クラウドサービスの提供に加えて、コンタクトセンター業務を含む様々なBPO業務の受託・運営を行っています。
当連結会計年度はデータセンター事業の増収およびコンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収などにより、売上高は1,012億円(前期比9.9%増加)となり、営業利益は98億円(前期比21.5%増加)となりました。
不動産・その他の事業には、防犯・防災対策を充実させたマンションの開発・販売、不動産賃貸および建築設備工事などが含まれます。
当連結会計年度は不動産開発・販売事業の増収などにより、売上高は596億円(前期比9.7%増加)となり、営業利益は59億円(前期比34.5%増加)となりました。
これらの結果、当連結会計年度はすべての事業で連結売上高と営業利益が増収増益となり、連結売上高は1兆600億円(前期比4.6%増加)、営業利益は前期比126億円増益の1,428億円(前期比9.7%増加)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益が63億円減少したことなどにより増益幅が縮小しましたが、前期比64億円増益の1,513億円(前期比4.5%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は税金費用の増加および株価下落による投資有価証券評価損の増加などにより、890億円(前期比3.2%減少)となりました。なお、売上高、営業利益および経常利益は過去最高を達成することができました。
(財政状態の状況)
当連結会計年度末の総資産は、前期末比500億円(2.8%)増加の1兆8,151億円となりました。
流動資産は、現金及び預金が638億円(18.2%)増加の4,141億円、受取手形及び売掛金が79億円(5.9%)増加の1,416億円、有価証券が70億円(27.8%)増加の324億円、仕掛販売用不動産が89億円(29.1%)減少の218億円となり、流動資産合計は前期末比677億円(8.0%)増加の9,144億円となりました。
固定資産は、有形固定資産が79億円(2.1%)増加の3,863億円、繰延税金資産が40億円(14.9%)増加の315億円、投資有価証券が172億円(6.4%)減少の2,522億円、退職給付に係る資産が66億円(17.4%)減少の317億円、無形固定資産が34億円(2.7%)減少の1,247億円となり、固定資産合計は前期末比176億円(1.9%)減少の9,006億円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前期末比34億円(0.5%)増加の6,426億円となりました。
流動負債は、未払消費税等が44億円(61.8%)増加の116億円、未払法人税等が19億円(8.7%)増加の247億円、現金護送業務用預り金が27億円(2.3%)減少の1,183億円となり、流動負債合計は前期末比48億円(1.3%)増加の3,742億円となりました。
固定負債は、保険契約準備金が17億円(1.0%)増加の1,746億円、長期借入金が13億円(13.8%)減少の86億円、繰延税金負債が8億円(9.9%)減少の78億円となり、固定負債合計は前期末比13億円(0.5%)減少の2,683億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が519億円(5.7%)の増加、その他有価証券評価差額金が60億円(33.4%)の減少、為替換算調整勘定が27億円(25.3%)の減少、退職給付に係る調整累計額が53億円(82.9%)の減少となり、純資産合計は前期末比465億円(4.1%)増加の1兆1,724億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の56.4%から57.0%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の4,562.08円から4,742.58円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で1,755億円の資金の増加(前連結会計年度は1,489億円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益1,478億円、減価償却費596億円であります。また、主な資金の減少要因は、法人税等の支払額403億円、受取手形及び売掛債権の増加額76億円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で607億円の資金の減少(前連結会計年度は613億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出583億円、投資有価証券の取得による支出452億円、無形固定資産の取得による支出114億円であります。また、主な資金の増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入502億円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で482億円の資金の減少(前連結会計年度は549億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、配当金の支払額371億円、リース債務の返済による支出51億円、長期借入金の返済による支出40億円、非支配株主への配当金の支払額34億円であります。また、主な資金の増加要因は、社債の発行による収入23億円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ666億円増加して4,064億円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(概要)
当社グループは、セキュリティサービスを中心に防災、メディカルサービス、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、不動産開発・販売、不動産賃貸などの事業活動全般にわたってサービスの拡充、営業の拡大、システムの構築、商品の開発に努めるなど、積極的な事業展開を図ってまいりました。
当連結会計年度の売上高は1兆600億円(前期比4.6%増加)、営業利益は前期比126億円増益の1,428億円(前期比9.7%増加)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益が63億円減少したことなどにより増益幅が縮小しましたが、前期比64億円増益の1,513億円(前期比4.5%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は税金費用の増加および株価下落による投資有価証券評価損の増加などにより、890億円(前期比3.2%減少)となりました。
(売上高)
すべての事業セグメントの増収により、売上高は前期比4.6%増加の1兆600億円となりました。各事業セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、セキュリティサービス事業が53.7%、防災事業が14.4%、メディカルサービス事業が7.2%、保険事業が4.5%、地理空間情報サービス事業が5.1%、BPO・ICT事業が9.5%、不動産・その他の事業が5.6%となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上原価は、前期比4.4%増加の7,225億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の68.3%から68.2%になりました。
販売費及び一般管理費は、前期比1.7%増加の1,946億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の18.9%から18.4%になりました。
これらの結果、当連結会計年度の営業利益は前期比126億円(9.7%)増益の1,428億円となりました。
(経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、米国などにおける投資事業組合運用益の減少などにより、営業外収益が前期比58億円(29.9%)減少となり、為替差損の増加などにより営業外費用が前期比3億円(6.2%)増加したことにより、経常利益は増益幅が縮小しましたが、前期比64億円(4.5%)増益の1,513億円となりました。
なお、関係会社株式売却益の増加などにより、特別利益が前期比15億円(81.8%)増加となりましたが、株価下落による投資有価証券評価損の増加、減損損失の増加などにより、特別損失が前期比41億円(145.6%)増加したことなどにより、税金等調整前当期純利益は前期比38億円(2.7%)増益の1,478億円となりました。
前連結会計年度の税効果会計上の企業分類変更による影響などにより、法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額の合計は前期比64億円(16.4%)増加の456億円となり、税金等調整前当期純利益に対する負担率は前連結会計年度の27.2%から30.9%に上昇しました。
また、非支配株主に帰属する当期純利益が前期比4億円(3.1%)増加の131億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比29億円(3.2%)減益の890億円となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度の9.1%から8.4%になりました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の421.56円から408.14円、ROEは前連結会計年度の9.4%から8.8%となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
セキュリティサービス事業は、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したこと、前第2四半期より連結子会社となったセコムトセック株式会社の寄与などによる常駐警備サービスの増収および主に集配金サービスを提供している株式会社アサヒセキュリティの増収などにより、売上高は5,816億円(前期比1.7%増加)となり、営業利益は1,158億円(前期比1.4%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の20.0%から19.9%になりました。
資産は、長期貸付金などが減少しましたが、現金及び預金などの増加により、9,874億円(前期比3.0%増加)となりました。
防災事業は、積極的な営業活動に努めた結果、消火設備で大型・中小規模案件が好調であったことなどにより、売上高は1,564億円(前期比8.5%増加)となり、営業利益は比較的採算性の良い案件が集中したことや、業務効率化等による原価低減の取り組みが奏功したことなどにより、181億円(前期比28.5%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の9.8%から11.6%に上昇しました。
資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金などの増加により、1,726億円(前期比4.5%増加)となりました。
メディカルサービス事業は、医薬品・医療機器・薬剤提供サービスの販売が増収となったことなどにより、売上高は764億円(前期比5.5%増加)となり、営業利益は54億円(前期比7.0%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.1%から7.2%になりました。
資産は、出資金評価損による投資その他の資産のその他の減少の他、長期貸付金などの減少により、1,394億円(前期比0.9%減少)となりました。
保険事業は、セコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」、火災保険および自動車保険の販売が好調に推移したことなどにより、売上高は507億円(前期比5.8%増加)となり、営業損益は前連結会計年度の3億円の営業損失から当連結会計年度は16億円の営業利益となりました。
資産は、株価下落による投資有価証券の減少などにより、2,181億円(前期比1.1%減少)となりました。
地理空間情報サービス事業は、公共部門が航空レーザーによる測量業務等の増加により増収となったことなどにより、売上高は541億円(前期比4.2%増加)となり、営業利益は35億円(前期比31.7%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の5.2%から6.6%に上昇しました。
資産は、子会社の連結除外による有形固定資産などの減少により、633億円(前期比1.7%減少)となりました。
BPO・ICT事業は、データセンター事業の増収およびコンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収などにより、売上高は1,143億円(前期比8.8%増加)となり、営業利益は98億円(前期比21.5%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.7%から8.6%に上昇しました。
資産は、有形固定資産などの増加により、1,450億円(前期比2.6%増加)となりました。
不動産・その他の事業は、不動産開発・販売事業の増収などにより、売上高は609億円(前期比8.5%増加)となり、営業利益は59億円(前期比34.5%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.9%から9.8%に上昇しました。
資産は、仕掛販売用不動産などの減少により、1,559億円(前期比5.6%減少)となりました。
なお、以上のセグメント売上高および営業損益はセグメント間取引を含む数値であり、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況)」に記載した売上高(セグメント間取引を含まない外部顧客に対する売上高)とは一致しません。
財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況(財政状態の状況)」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が403億円、受取手形及び売掛債権の増加額が76億円となりましたが、税金等調整前当期純利益が1,478億円、減価償却費が596億円となったことなどにより、全体では1,755億円の資金の増加となりました。
前連結会計年度との比較では、立替金の増加や預り金の減少などによる、その他が前連結会計年度の4億円の増加に対し65億円の減少、リース債権及びリース投資資産の増減額が前連結会計年度の37億円の減少に対し8億円の増加となりましたが、法人税等の支払額が115億円減少、たな卸資産の減少額が65億円増加、投資事業組合運用益が63億円減少、未払消費税等の増減額が前連結会計年度の8億円の減少に対し44億円の増加となったことなどにより、営業活動から得た資金は前期比266億円(17.9%)の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入が502億円となりましたが、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出が583億円、投資有価証券の取得による支出が452億円、無形固定資産の取得による支出が114億円となったことなどにより、全体では607億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、投資有価証券の取得による支出が90億円増加、有形固定資産の取得による支出が45億円増加となりましたが、投資有価証券の売却及び償還による収入が66億円増加、有価証券の純増額が28億円減少、定期預金の増減額が前連結会計年度の12億円の増加に対し15億円の減少、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却が26億円増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得が24億円減少となったことなどにより、投資活動に使用した資金は前期比6億円(1.0%)の減少となりました。
この結果、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの純額)は、1,147億円の資金の増加(前連結会計年度は875億円の資金の増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が23億円となりましたが、配当金の支払額が371億円、リース債務の返済による支出が51億円、長期借入金の返済による支出が40億円、非支配株主への配当金の支払額が34億円となったことなどにより、全体では482億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、配当金の支払額が21億円増加、長期借入れによる収入が19億円減少となりましたが、長期借入金の返済による支出が32億円減少、短期借入金の純増減額が前連結会計年度の16億円の減少に対し12億円の増加、非支配株主への配当金の支払額が28億円減少、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が23億円減少となったことなどにより、財務活動に使用した資金は前期比67億円(12.3%)の減少となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比666億円(19.6%)増加の4,064億円となりました。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは、柔軟な事業活動を行い、強固な財務基盤を保つために、高い流動性を維持することを基本方針としております。また、「社会システム産業」の構築に向けて、営業活動から得た資金や、市場調達および金融機関からの借入等により調達した資金で、積極的に事業投資活動を行っております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は710億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,064億円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告金額に影響を与える判断、見積りの設定を行うことが必要となります。これらの見積りは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
a. 有形固定資産
当社グループでは、有形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。事業用資産においては管理会計上の区分で資産グルーピングを行い、賃貸不動産および遊休資産などは個別物件単位で区分を行い、当連結会計年度で収益性が著しく低下した場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額の見積りは、処分価額、不動産鑑定評価額などで算出する正味売却価額、将来キャッシュ・フロー、割引率などで算出する使用価値などにより測定しております。正味売却価額上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資産グループの使用期間中および使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
b. のれん及びその他無形資産
当社グループでは、のれん及びその他の無形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。のれん及びその他の無形固定資産の回収可能価額の見積りや減損判定に当たっては、必要に応じて外部専門家などによる評価を活用しております。なお、回収可能価額の測定で使用する、将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
c. 貸倒引当金
当社グループでは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、過去の実績、将来の見通し等を総合的に勘案して見積もられた回収不能見込額を、貸倒引当金として計上しております。回収不能見込額の見積りにおいて使用される仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収不能見込額が増減し、貸倒引当金を増額または減額する可能性があります。
d. 繰延税金資産
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、将来の課税所得の見積りにあたっては、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されていますが、見積りは、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化などにより、影響を受ける可能性があり、また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。
e. 退職給付費用及び退職給付に係る負債
当社および当社と同一の退職給付制度を有する国内連結子会社においては、退職金制度と確定拠出型年金制度を採用しております。退職給付費用及び退職給付に係る負債について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、金利変動の市場動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定した割引率、予想昇給率、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などが含まれております。これら年金数理計算の前提条件には将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって影響を受ける可能性があるため、前提条件と実際の結果が異なる場合、または前提条件の変更がある場合には、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)の日本経済は、高い水準にある企業収益や、雇用情勢の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移したものの、通商問題を巡る動向や中国経済の先行き等、海外経済の動向や金融資本市場の変動に加え、自然災害や消費税率引上げの影響などに留意が必要な状況が続きました。足下では、新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は大幅に下押しされ、厳しい状況となりました。
このような状況において、“いつでも、どこでも、誰もが「安全・安心・快適・便利」に暮らせる社会”を実現する「社会システム産業」の構築をめざす当社グループは、2017年に「セコムグループ2030年ビジョン」を策定し、このビジョンのもと、セコムグループの総力を結集する“ALL SECOM”戦略に加え、想いを共にするパートナーと協業する“共想”戦略を推進しながら、暮らしや社会に安心を提供する社会インフラである「あんしんプラットフォーム」の構築を進めております。さらに、「2030年ビジョン」実現に向けて今何をすべきかを明確化した「セコムグループ ロードマップ2022」を2018年に公表し、ロードマップの実現に向けた取り組みを積極的に展開しております。
2019年4月には、深刻な人手不足と高まるセキュリティニーズに対応するため、世界初となる、AIを搭載したバーチャルキャラクターが警戒監視・受付業務などの常駐警備サービスを提供する「バーチャル警備システム」を協業先の企業3社とともに開発しました。6月には、レーザーセンサーにより自己位置を特定しながら敷地内の巡回ルートを自律走行し、搭載したカメラにより様々な場所で画像監視を行う、自律走行型巡回監視ロボット「セコムロボットX2」のサービス提供を開始しました。このように、当連結会計年度も「セコムグループロードマップ2022」において優先して取り組むべき課題として設定した「テクノロジーの進化」および「労働力人口の減少」に対応すべく、人の力とロボットなどの最新テクノロジーを融合することで、より高度で効率的なセキュリティの実現を進めました。また、9月から11月にかけて開催された「ラグビーワールドカップ2019日本大会」ではオフィシャルスポンサーとして協賛し、会場の警備を担当することで、大会の「安全・安心」な開催・運営を支援しました。当連結会計年度も様々な取り組みを通じて、ますます多様化・高度化するお客様の安心ニーズに対し、きめ細やかな切れ目のないサービスを提供することに努めました。
セグメントごとの業績につきましては、次のとおりであります。
セキュリティサービス事業では、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)を中心に、常駐警備や現金護送のサービスを提供するとともに、安全商品を販売しております。
事業所向けでは、2019年9月に防犯や防災をはじめ、従業員の就業管理などによる事業効率化に至るまで、企業の事業運営に有益な機能をオールインワンで提供する、システムセキュリティ「AZ」(注1)の販売を開始し、拡販に努めました。また、多様化する画像監視ニーズに対し、多彩なラインアップやクラウド対応等の柔軟性により施設の規模を問わず幅広いニーズに対応した「セコムIPカメラ」の販売および「セコム画像クラウドサービス」の提供を開始しました。
家庭向けでは、防犯・防火ニーズに加え、共働き世帯の増加による子供の見守りや、高齢者と離れて暮らす家族による見守りへの関心が高まっていることから、お客様の生活スタイルに柔軟に対応でき、様々な機器と接続することでサービスを拡張できる「セコム・ホームセキュリティNEO」の拡販に努めました。また、「セコム・ホームセキュリティ」と連携した自律型エンタテインメントロボットによる留守番や出迎えに加え、外出先からロボットを通じて自宅内の様子を確認できるサービスの提供を2020年1月から開始しました。一方、高齢者見守りのニーズには、これまで当社が提供してきた救急通報や健康相談に、家族間等で安否確認できる機能を新たに加えた工事不要の見守り新サービス「セコムみまもりホン」を2019年4月に発売しました。さらに、12月には、離れて暮らす親御さんとのコミュニケーションを楽しみながら、ゆるやかな見守りができる新しいサービス「まごチャンネル with SECOM」の提供を開始しました。
海外では、経済発展が続く東南アジアや中国を中心に、緊急対処サービスを特徴とする「セコム方式」のセキュリティサービスの拡販に努めるとともに、最先端技術を取り込みながら現地市場に適応したシステムの開発・導入を推進しました。
当連結会計年度は事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したこと、前第2四半期より連結子会社となったセコムトセック株式会社の寄与などによる常駐警備サービスの増収および主に集配金サービスを提供している株式会社アサヒセキュリティの増収などにより、売上高は5,693億円(前期比2.0%増加)となり、営業利益は1,158億円(前期比1.4%増加)となりました。
(注1) システムセキュリティ:事業所向けオンライン・セキュリティシステム
防災事業では、オフィスビル、プラント、トンネル、文化財、船舶、住宅といった様々な施設に対し、お客様のご要望に応えた高品質な自動火災報知設備や消火設備などの各種防災システムを提供しております。当連結会計年度も、国内防災業界大手2社である能美防災株式会社およびニッタン株式会社が、それぞれの営業基盤や商品開発力などを活かした防災システムの受注に努めました。
当連結会計年度は積極的な営業活動に努めた結果、消火設備で大型・中小規模案件が好調であったことなどにより、売上高は1,523億円(前期比8.7%増加)となり、営業利益は比較的採算性の良い案件が集中したことや、業務効率化等による原価低減の取り組みが奏功したことなどにより、181億円(前期比28.5%増加)となりました。
メディカルサービス事業では、訪問看護サービスや薬剤提供サービスなどの在宅医療サービスを中心として、シニアレジデンスの運営、電子カルテの提供、医療機器・医薬品等の販売、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸等様々なメディカルサービスを提供しております。
当連結会計年度は医薬品・医療機器・薬剤提供サービスの販売が増収となったことなどにより、売上高は762億円(前期比5.5%増加)となり、営業利益は54億円(前期比7.0%増加)となりました。
保険事業では、当連結会計年度もセキュリティシステム導入によるリスク軽減を保険料に反映した事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」や家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、ガン治療費の実額を補償する「自由診療保険メディコム」、セコムの緊急対処員が要請に応じて事故現場に急行するサービスを付帯した自動車総合保険「セコム安心マイカー保険」など、当社グループならではの保険の販売を推進しました。
当連結会計年度はセコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」、火災保険および自動車保険の販売が好調に推移したことなどにより、売上高は473億円(前期比5.6%増加)となり、営業損益は前連結会計年度の3億円の営業損失から当連結会計年度は16億円の営業利益となりました。
地理空間情報サービス事業では、航空機や車両、人工衛星などを利用した測量や計測で地理情報を集積し、加工・処理・解析した空間情報サービスを、国および地方自治体などの公共機関や民間企業、さらには新興国や発展途上国を含めた諸外国政府機関に提供しております。
当連結会計年度は公共部門が航空レーザーによる測量業務等の増加により増収となったことなどにより、売上高は539億円(前期比4.6%増加)となり、営業利益は35億円(前期比31.7%増加)となりました。
BPO・ICT事業では、データセンターを中核に、セコムならではのBCP(事業継続計画)支援や情報セキュリティ、クラウドサービスの提供に加えて、コンタクトセンター業務を含む様々なBPO業務の受託・運営を行っています。
当連結会計年度はデータセンター事業の増収およびコンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収などにより、売上高は1,012億円(前期比9.9%増加)となり、営業利益は98億円(前期比21.5%増加)となりました。
不動産・その他の事業には、防犯・防災対策を充実させたマンションの開発・販売、不動産賃貸および建築設備工事などが含まれます。
当連結会計年度は不動産開発・販売事業の増収などにより、売上高は596億円(前期比9.7%増加)となり、営業利益は59億円(前期比34.5%増加)となりました。
これらの結果、当連結会計年度はすべての事業で連結売上高と営業利益が増収増益となり、連結売上高は1兆600億円(前期比4.6%増加)、営業利益は前期比126億円増益の1,428億円(前期比9.7%増加)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益が63億円減少したことなどにより増益幅が縮小しましたが、前期比64億円増益の1,513億円(前期比4.5%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は税金費用の増加および株価下落による投資有価証券評価損の増加などにより、890億円(前期比3.2%減少)となりました。なお、売上高、営業利益および経常利益は過去最高を達成することができました。
(財政状態の状況)
当連結会計年度末の総資産は、前期末比500億円(2.8%)増加の1兆8,151億円となりました。
流動資産は、現金及び預金が638億円(18.2%)増加の4,141億円、受取手形及び売掛金が79億円(5.9%)増加の1,416億円、有価証券が70億円(27.8%)増加の324億円、仕掛販売用不動産が89億円(29.1%)減少の218億円となり、流動資産合計は前期末比677億円(8.0%)増加の9,144億円となりました。
固定資産は、有形固定資産が79億円(2.1%)増加の3,863億円、繰延税金資産が40億円(14.9%)増加の315億円、投資有価証券が172億円(6.4%)減少の2,522億円、退職給付に係る資産が66億円(17.4%)減少の317億円、無形固定資産が34億円(2.7%)減少の1,247億円となり、固定資産合計は前期末比176億円(1.9%)減少の9,006億円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前期末比34億円(0.5%)増加の6,426億円となりました。
流動負債は、未払消費税等が44億円(61.8%)増加の116億円、未払法人税等が19億円(8.7%)増加の247億円、現金護送業務用預り金が27億円(2.3%)減少の1,183億円となり、流動負債合計は前期末比48億円(1.3%)増加の3,742億円となりました。
固定負債は、保険契約準備金が17億円(1.0%)増加の1,746億円、長期借入金が13億円(13.8%)減少の86億円、繰延税金負債が8億円(9.9%)減少の78億円となり、固定負債合計は前期末比13億円(0.5%)減少の2,683億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が519億円(5.7%)の増加、その他有価証券評価差額金が60億円(33.4%)の減少、為替換算調整勘定が27億円(25.3%)の減少、退職給付に係る調整累計額が53億円(82.9%)の減少となり、純資産合計は前期末比465億円(4.1%)増加の1兆1,724億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の56.4%から57.0%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の4,562.08円から4,742.58円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の状況は、以下のとおりであります。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減 (百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 148,929 | 175,559 | 26,629 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △ 61,393 | △ 60,780 | 613 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △ 54,977 | △ 48,209 | 6,768 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △ 594 | 93 | 688 |
現金及び現金同等物の増減額 | 31,963 | 66,662 | 34,699 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 307,853 | 339,817 | 31,963 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 339,817 | 406,479 | 66,662 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で1,755億円の資金の増加(前連結会計年度は1,489億円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益1,478億円、減価償却費596億円であります。また、主な資金の減少要因は、法人税等の支払額403億円、受取手形及び売掛債権の増加額76億円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で607億円の資金の減少(前連結会計年度は613億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出583億円、投資有価証券の取得による支出452億円、無形固定資産の取得による支出114億円であります。また、主な資金の増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入502億円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で482億円の資金の減少(前連結会計年度は549億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、配当金の支払額371億円、リース債務の返済による支出51億円、長期借入金の返済による支出40億円、非支配株主への配当金の支払額34億円であります。また、主な資金の増加要因は、社債の発行による収入23億円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ666億円増加して4,064億円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
セキュリティサービス事業 | 6,259 | 40.0 | 2,103 | 74.9 |
防災事業 | 149,698 | 4.5 | 65,555 | △ 4.0 |
地理空間情報サービス事業 | 56,145 | 7.7 | 22,897 | 10.7 |
BPO・ICT事業 | 6,610 | 5.6 | 1,652 | 29.3 |
不動産・その他の事業 | 10,941 | △ 2.4 | 5,141 | △ 5.0 |
合計 | 229,656 | 5.6 | 97,351 | 0.5 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
セキュリティサービス事業 | 569,317 | 2.0 |
防災事業 | 152,396 | 8.7 |
メディカルサービス事業 | 76,218 | 5.5 |
保険事業 | 47,319 | 5.6 |
地理空間情報サービス事業 | 53,941 | 4.6 |
BPO・ICT事業 | 101,211 | 9.9 |
不動産・その他の事業 | 59,666 | 9.7 |
合計 | 1,060,070 | 4.6 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(概要)
当社グループは、セキュリティサービスを中心に防災、メディカルサービス、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、不動産開発・販売、不動産賃貸などの事業活動全般にわたってサービスの拡充、営業の拡大、システムの構築、商品の開発に努めるなど、積極的な事業展開を図ってまいりました。
当連結会計年度の売上高は1兆600億円(前期比4.6%増加)、営業利益は前期比126億円増益の1,428億円(前期比9.7%増加)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益が63億円減少したことなどにより増益幅が縮小しましたが、前期比64億円増益の1,513億円(前期比4.5%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は税金費用の増加および株価下落による投資有価証券評価損の増加などにより、890億円(前期比3.2%減少)となりました。
(売上高)
すべての事業セグメントの増収により、売上高は前期比4.6%増加の1兆600億円となりました。各事業セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、セキュリティサービス事業が53.7%、防災事業が14.4%、メディカルサービス事業が7.2%、保険事業が4.5%、地理空間情報サービス事業が5.1%、BPO・ICT事業が9.5%、不動産・その他の事業が5.6%となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上原価は、前期比4.4%増加の7,225億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の68.3%から68.2%になりました。
販売費及び一般管理費は、前期比1.7%増加の1,946億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の18.9%から18.4%になりました。
これらの結果、当連結会計年度の営業利益は前期比126億円(9.7%)増益の1,428億円となりました。
(経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、米国などにおける投資事業組合運用益の減少などにより、営業外収益が前期比58億円(29.9%)減少となり、為替差損の増加などにより営業外費用が前期比3億円(6.2%)増加したことにより、経常利益は増益幅が縮小しましたが、前期比64億円(4.5%)増益の1,513億円となりました。
なお、関係会社株式売却益の増加などにより、特別利益が前期比15億円(81.8%)増加となりましたが、株価下落による投資有価証券評価損の増加、減損損失の増加などにより、特別損失が前期比41億円(145.6%)増加したことなどにより、税金等調整前当期純利益は前期比38億円(2.7%)増益の1,478億円となりました。
前連結会計年度の税効果会計上の企業分類変更による影響などにより、法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額の合計は前期比64億円(16.4%)増加の456億円となり、税金等調整前当期純利益に対する負担率は前連結会計年度の27.2%から30.9%に上昇しました。
また、非支配株主に帰属する当期純利益が前期比4億円(3.1%)増加の131億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比29億円(3.2%)減益の890億円となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度の9.1%から8.4%になりました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の421.56円から408.14円、ROEは前連結会計年度の9.4%から8.8%となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
セキュリティサービス事業は、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したこと、前第2四半期より連結子会社となったセコムトセック株式会社の寄与などによる常駐警備サービスの増収および主に集配金サービスを提供している株式会社アサヒセキュリティの増収などにより、売上高は5,816億円(前期比1.7%増加)となり、営業利益は1,158億円(前期比1.4%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の20.0%から19.9%になりました。
資産は、長期貸付金などが減少しましたが、現金及び預金などの増加により、9,874億円(前期比3.0%増加)となりました。
防災事業は、積極的な営業活動に努めた結果、消火設備で大型・中小規模案件が好調であったことなどにより、売上高は1,564億円(前期比8.5%増加)となり、営業利益は比較的採算性の良い案件が集中したことや、業務効率化等による原価低減の取り組みが奏功したことなどにより、181億円(前期比28.5%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の9.8%から11.6%に上昇しました。
資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金などの増加により、1,726億円(前期比4.5%増加)となりました。
メディカルサービス事業は、医薬品・医療機器・薬剤提供サービスの販売が増収となったことなどにより、売上高は764億円(前期比5.5%増加)となり、営業利益は54億円(前期比7.0%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.1%から7.2%になりました。
資産は、出資金評価損による投資その他の資産のその他の減少の他、長期貸付金などの減少により、1,394億円(前期比0.9%減少)となりました。
保険事業は、セコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」、火災保険および自動車保険の販売が好調に推移したことなどにより、売上高は507億円(前期比5.8%増加)となり、営業損益は前連結会計年度の3億円の営業損失から当連結会計年度は16億円の営業利益となりました。
資産は、株価下落による投資有価証券の減少などにより、2,181億円(前期比1.1%減少)となりました。
地理空間情報サービス事業は、公共部門が航空レーザーによる測量業務等の増加により増収となったことなどにより、売上高は541億円(前期比4.2%増加)となり、営業利益は35億円(前期比31.7%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の5.2%から6.6%に上昇しました。
資産は、子会社の連結除外による有形固定資産などの減少により、633億円(前期比1.7%減少)となりました。
BPO・ICT事業は、データセンター事業の増収およびコンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収などにより、売上高は1,143億円(前期比8.8%増加)となり、営業利益は98億円(前期比21.5%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.7%から8.6%に上昇しました。
資産は、有形固定資産などの増加により、1,450億円(前期比2.6%増加)となりました。
不動産・その他の事業は、不動産開発・販売事業の増収などにより、売上高は609億円(前期比8.5%増加)となり、営業利益は59億円(前期比34.5%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.9%から9.8%に上昇しました。
資産は、仕掛販売用不動産などの減少により、1,559億円(前期比5.6%減少)となりました。
なお、以上のセグメント売上高および営業損益はセグメント間取引を含む数値であり、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況)」に記載した売上高(セグメント間取引を含まない外部顧客に対する売上高)とは一致しません。
財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況(財政状態の状況)」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が403億円、受取手形及び売掛債権の増加額が76億円となりましたが、税金等調整前当期純利益が1,478億円、減価償却費が596億円となったことなどにより、全体では1,755億円の資金の増加となりました。
前連結会計年度との比較では、立替金の増加や預り金の減少などによる、その他が前連結会計年度の4億円の増加に対し65億円の減少、リース債権及びリース投資資産の増減額が前連結会計年度の37億円の減少に対し8億円の増加となりましたが、法人税等の支払額が115億円減少、たな卸資産の減少額が65億円増加、投資事業組合運用益が63億円減少、未払消費税等の増減額が前連結会計年度の8億円の減少に対し44億円の増加となったことなどにより、営業活動から得た資金は前期比266億円(17.9%)の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入が502億円となりましたが、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出が583億円、投資有価証券の取得による支出が452億円、無形固定資産の取得による支出が114億円となったことなどにより、全体では607億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、投資有価証券の取得による支出が90億円増加、有形固定資産の取得による支出が45億円増加となりましたが、投資有価証券の売却及び償還による収入が66億円増加、有価証券の純増額が28億円減少、定期預金の増減額が前連結会計年度の12億円の増加に対し15億円の減少、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却が26億円増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得が24億円減少となったことなどにより、投資活動に使用した資金は前期比6億円(1.0%)の減少となりました。
この結果、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの純額)は、1,147億円の資金の増加(前連結会計年度は875億円の資金の増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が23億円となりましたが、配当金の支払額が371億円、リース債務の返済による支出が51億円、長期借入金の返済による支出が40億円、非支配株主への配当金の支払額が34億円となったことなどにより、全体では482億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、配当金の支払額が21億円増加、長期借入れによる収入が19億円減少となりましたが、長期借入金の返済による支出が32億円減少、短期借入金の純増減額が前連結会計年度の16億円の減少に対し12億円の増加、非支配株主への配当金の支払額が28億円減少、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が23億円減少となったことなどにより、財務活動に使用した資金は前期比67億円(12.3%)の減少となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比666億円(19.6%)増加の4,064億円となりました。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
第55期2016年3月期 | 第56期2017年3月期 | 第57期2018年3月期 | 第58期2019年3月期 | 第59期2020年3月期 | |
自己資本比率(%) | 53.1 | 54.1 | 55.5 | 56.4 | 57.0 |
時価ベースの 自己資本比率(%) | 116.4 | 105.4 | 100.8 | 117.2 | 107.9 |
債務償還年数(年) | 0.8 | 0.5 | 0.6 | 0.5 | 0.4 |
インタレスト・ カバレッジ・レシオ | 149.3 | 173.8 | 153.0 | 207.3 | 260.6 |
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは、柔軟な事業活動を行い、強固な財務基盤を保つために、高い流動性を維持することを基本方針としております。また、「社会システム産業」の構築に向けて、営業活動から得た資金や、市場調達および金融機関からの借入等により調達した資金で、積極的に事業投資活動を行っております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は710億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,064億円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告金額に影響を与える判断、見積りの設定を行うことが必要となります。これらの見積りは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
a. 有形固定資産
当社グループでは、有形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。事業用資産においては管理会計上の区分で資産グルーピングを行い、賃貸不動産および遊休資産などは個別物件単位で区分を行い、当連結会計年度で収益性が著しく低下した場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額の見積りは、処分価額、不動産鑑定評価額などで算出する正味売却価額、将来キャッシュ・フロー、割引率などで算出する使用価値などにより測定しております。正味売却価額上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資産グループの使用期間中および使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
b. のれん及びその他無形資産
当社グループでは、のれん及びその他の無形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。のれん及びその他の無形固定資産の回収可能価額の見積りや減損判定に当たっては、必要に応じて外部専門家などによる評価を活用しております。なお、回収可能価額の測定で使用する、将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
c. 貸倒引当金
当社グループでは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、過去の実績、将来の見通し等を総合的に勘案して見積もられた回収不能見込額を、貸倒引当金として計上しております。回収不能見込額の見積りにおいて使用される仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収不能見込額が増減し、貸倒引当金を増額または減額する可能性があります。
d. 繰延税金資産
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、将来の課税所得の見積りにあたっては、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されていますが、見積りは、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化などにより、影響を受ける可能性があり、また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。
e. 退職給付費用及び退職給付に係る負債
当社および当社と同一の退職給付制度を有する国内連結子会社においては、退職金制度と確定拠出型年金制度を採用しております。退職給付費用及び退職給付に係る負債について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、金利変動の市場動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定した割引率、予想昇給率、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などが含まれております。これら年金数理計算の前提条件には将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって影響を受ける可能性があるため、前提条件と実際の結果が異なる場合、または前提条件の変更がある場合には、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。