有価証券報告書-第60期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 14:59
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業収益が大幅に減少するなど厳しい状況で推移し、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動などの影響に留意が必要な状況が続きました。また、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、景気は持ち直しの動きも見られました。
このような状況の中、当社グループは、「安全・安心・快適・便利」な社会を実現する「社会システム産業」の構築をめざす中で策定した「セコムグループ2030年ビジョン」、また、その実現に向けて今何をすべきかを明確化した「セコムグループ ロードマップ2022」への取り組みを積極的に展開しております。
2020年7月には、マスク着用時でも顔の表面温度を計測可能なタブレット端末一体型のサーマルカメラの販売を開始し、8月にはテレワークへのニーズに対応するサービスとして、従業員個人のパソコンと社内システムを安全に接続することができる「セコムあんしんテレワーク(USBリモート端末)」のサービス提供を開始するなど、コロナ禍において感染拡大防止に寄与する商品販売およびサービス提供を行いました。また、アジアで増加しつつある富裕層、中間層を含む新たな成長市場への事業展開を推進し、海外における業容拡大を一層加速するために、2020年9月にマレーシア、10月にシンガポール、2021年2月には香港において、ジョンソンコントロールズインターナショナルPLC(本社:アイルランド・コーク)傘下のセキュリティ会社3社の発行済み株式100%を取得し、それぞれ子会社化しました。さらに、2021年3月には、屋外用セキュリティ専用端末「ココセコム」のサービスをリニューアルし、新たに開発したスマートフォン専用アプリとの連携機能によりビジネスシーンやご家庭などの多様な用途における利便性を向上させるなど、当連結会計年度も様々な取り組みを通じて、ますます多様化・高度化するお客様の安心ニーズに対し、きめ細やかな切れ目のないサービスを提供することに努めました。
セグメントごとの業績につきましては、次のとおりであります。
セキュリティサービス事業では、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)を中心に、常駐警備や現金護送のサービスを提供するとともに、安全商品を販売しております。
事業所向けでは、防犯や防災をはじめ、従業員の就業管理などによる事業効率化に至るまで、企業の事業運営に有益な機能をオールインワンで提供する、システムセキュリティ「AZ」(注1)の拡販に努めました。また、多様化する画像監視ニーズに対し、「AZ」との連携が可能で、多彩なラインアップやクラウド対応等の柔軟性により施設の規模を問わず幅広いニーズに対応した「セコムIPカメラ」の販売および「セコム画像クラウドサービス」を提供しております。
家庭向けでは、防犯・防火ニーズに加え、お客様の生活スタイルに柔軟に対応でき、様々な機器と接続することでサービスを拡張できる「セコム・ホームセキュリティNEO」の機能を向上し、拡販に努めました。また、コロナ禍において訪問することが困難な離れて暮らす親御さんを、ゆるやかに見守ることができる「まごチャンネル with SECOM」を提供しております。
海外では、経済発展が続く東南アジアや中国を中心に、緊急対処サービスを特徴とする「セコム方式」のセキュリティサービスの拡販に努めるとともに、最先端技術を取り込みながら機械警備のデジタルトランスフォーメーション化を推進し、現地市場に適応したシステムの開発・導入を推進しました。
当連結会計年度は事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売は堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響などにより商品販売、工事売上が減収となったことなどにより、売上高は5,615億円(前期比1.4%減少)となり、営業利益は1,133億円(前期比2.2%減少)となりました。
(注1) システムセキュリティ:事業所向けオンライン・セキュリティシステム
防災事業では、オフィスビル、プラント、トンネル、文化財、船舶、住宅といった様々な施設に対し、お客様のご要望に応えた高品質な自動火災報知設備や消火設備などの各種防災システムを提供しております。当連結会計年度も、国内防災業界大手2社である能美防災株式会社およびニッタン株式会社が、それぞれの営業基盤や商品開発力などを活かした防災システムの受注に努めました。
当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響および前連結会計年度に大型案件があったことなどにより、売上高は1,426億円(前期比6.4%減少)となり、営業利益は前連結会計年度に採算性の良い物件が集中したことなどにより、129億円(前期比28.5%減少)となりました。
メディカルサービス事業では、訪問看護サービスや薬剤提供サービスなどの在宅医療サービスを中心として、シニアレジデンスの運営、電子カルテの提供、医療機器・医薬品等の販売、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸等様々なメディカルサービスを提供しております。
当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響などにより医療機器・医薬品の販売が減収となったことおよびインドにおける総合病院事業会社タクシャシーラ ホスピタルズ オペレーティング Pvt.Ltd.の減収などにより、売上高は716億円(前期比6.0%減少)となり、営業利益は41億円(前期比25.2%減少)となりました。
保険事業では、当連結会計年度もセキュリティシステム導入によるリスク軽減を保険料に反映した事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」や家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、ガン治療費の実額を補償する「自由診療保険メディコム」、セコムの緊急対処員が要請に応じて事故現場に急行するサービスを付帯した自動車総合保険「セコム安心マイカー保険」など、当社グループならではの保険の販売を推進しました。
当連結会計年度はセコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」、自動車保険の販売が好調に推移したことなどにより、売上高は494億円(前期比4.6%増加)となり、営業利益は台風第10号、令和2年7月豪雨などの大規模災害による影響などにより、7億円(前期比51.5%減少)となりました。
地理空間情報サービス事業では、航空機や車両、人工衛星などを利用した測量や計測で地理情報を集積し、加工・処理・解析した空間情報サービスを、国および地方自治体などの公共機関や民間企業、さらには新興国や発展途上国を含めた諸外国政府機関に提供しております。
当連結会計年度は国内公共部門が航空レーザーによる測量業務等の増加により増収となったことなどにより、売上高は548億円(前期比1.6%増加)となり、営業利益は国内公共部門の売上の増加や生産効率の向上を図ったことから原価率が改善したほか、海外部門の事業最適化の取り組みや、リモート環境を活用した営業プロセスの見直しにより販売費及び一般管理費が減少したことから、47億円(前期比31.8%増加)となりました。
BPO・ICT事業では、データセンターを中核に、セコムならではのBCP(事業継続計画)支援やテレワーク支援、情報セキュリティ、クラウドサービスの提供に加えて、コンタクトセンター業務を含む様々なBPO業務の受託・運営を行っています。
当連結会計年度はコンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収およびデータセンター事業の増収などにより、売上高は1,120億円(前期比10.7%増加)となり、営業利益は118億円(前期比19.5%増加)となりました。
不動産・その他の事業には、不動産賃貸および建築設備工事などが含まれます。
当連結会計年度は2020年12月に当社の連結子会社でありましたセコムホームライフ株式会社の発行済株式の全てを譲渡したため、連結の範囲から除外した影響などにより、売上高は437億円(前期比26.7%減少)となり、営業利益は55億円(前期比7.0%減少)となりました。
これらの結果、当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、連結売上高は1兆358億円(前期比2.3%減少)、営業利益は1,369億円(前期比4.2%減少)となりました。経常利益は営業外損益で米国などにおける投資事業組合運用損益が前連結会計年度20億円の運用益から当連結会計年度35億円の運用損となったことなどにより、1,389億円(前期比8.2%減少)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失でのれん償却額56億円および関係会社株式売却損29億円を計上したことなどにより、746億円(前期比16.2%減少)となりました。
(財政状態の状況)
当連結会計年度末の総資産は、前期末比490億円(2.7%)増加の1兆8,641億円となりました。
流動資産は、現金及び預金が850億円(20.5%)増加の4,992億円、有価証券が108億円(33.5%)減少の215億円、受取手形及び売掛金が87億円(6.2%)減少の1,328億円の他、2020年12月に当社の連結子会社でありましたセコムホームライフ株式会社の発行済株式の全てを譲渡したため、連結の範囲から除外した影響などにより、仕掛販売用不動産が218億円減少、販売用不動産が47億円減少となり、流動資産合計は前期末比275億円(3.0%)増加の9,420億円となりました。
固定資産は、投資有価証券が198億円(7.9%)増加の2,721億円、退職給付に係る資産が77億円(24.4%)増加の395億円、繰延税金資産が64億円(20.5%)減少の250億円となり、固定資産合計は前期末比214億円(2.4%)増加の9,221億円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前期末比82億円(1.3%)減少の6,343億円となりました。
流動負債は、支払手形及び買掛金が45億円(9.6%)減少の428億円、短期借入金が45億円(11.9%)減少の338億円、1年内償還予定の社債が24億円(84.9%)減少の4億円、未払法人税等が13億円(5.3%)減少の234億円となり、流動負債合計は前期末比131億円(3.5%)減少の3,611億円となりました。
固定負債は、保険契約準備金が64億円(3.7%)増加の1,810億円、長期借入金が17億円(20.4%)増加の104億円、長期預り保証金が19億円(5.9%)減少の306億円、退職給付に係る負債が16億円(6.8%)減少の220億円となり、固定負債合計は前期末比49億円(1.8%)増加の2,732億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が375億円(3.9%)の増加、その他有価証券評価差額金が100億円(82.9%)の増加、為替換算調整勘定が36億円(27.1%)の減少、退職給付に係る調整累計額が31億円(287.4%)の増加、非支配株主持分が102億円(7.5%)の増加となり、純資産合計は前期末比573億円(4.9%)増加の1兆2,298億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の57.0%から58.1%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の4,742.58円から4,958.18円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の状況は、以下のとおりであります。
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー175,559181,9326,373
投資活動によるキャッシュ・フロー△ 60,780△ 48,53612,243
財務活動によるキャッシュ・フロー△ 48,209△ 49,311△ 1,102
現金及び現金同等物に係る換算差額93△ 524△ 617
現金及び現金同等物の増減額66,66283,55916,896
現金及び現金同等物の期首残高339,817406,47966,662
現金及び現金同等物の期末残高406,479490,03983,559

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で1,819億円の資金の増加(前連結会計年度は1,755億円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益1,288億円、減価償却費607億円であります。また、主な資金の減少要因は、法人税等の支払額438億円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で485億円の資金の減少(前連結会計年度は607億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、投資有価証券の取得による支出559億円、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出478億円、無形固定資産の取得による支出102億円であります。また、主な資金の増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入478億円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で493億円の資金の減少(前連結会計年度は482億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、配当金の支払額371億円、リース債務の返済による支出49億円、短期借入金の純減額39億円、社債の償還による支出29億円であります。また、主な資金の増加要因は、長期借入れによる収入45億円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ835億円増加して4,900億円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
セキュリティサービス事業6,6255.82,63325.2
防災事業148,377△ 0.971,2728.7
地理空間情報サービス事業53,059△ 5.521,135△ 7.7
BPO・ICT事業5,262△ 20.4770△ 53.4
不動産・その他の事業10,616△ 3.06,46425.7
合計223,941△ 2.5102,2765.1

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(百万円)
前期比(%)
セキュリティサービス事業561,531△ 1.4
防災事業142,660△ 6.4
メディカルサービス事業71,624△ 6.0
保険事業49,4914.6
地理空間情報サービス事業54,8211.6
BPO・ICT事業112,02510.7
不動産・その他の事業43,742△ 26.7
合計1,035,898△ 2.3

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(概要)
当社グループは、セキュリティサービスを中心に防災、メディカルサービス、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、不動産賃貸などの事業活動全般にわたってサービスの拡充、営業の拡大、システムの構築、商品の開発に努めるなど、積極的な事業展開を図ってまいりました。
当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、売上高は1兆358億円(前期比2.3%減少)、営業利益は1,369億円(前期比4.2%減少)となりました。経常利益は営業外損益で米国などにおける投資事業組合運用損益が前連結会計年度20億円の運用益から当連結会計年度35億円の運用損となったことなどにより、1,389億円(前期比8.2%減少)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失でのれん償却額56億円および関係会社株式売却損29億円を計上したことなどにより、746億円(前期比16.2%減少)となりました。
(売上高)
セキュリティサービス事業、防災事業、メディカルサービス事業、不動産・その他の事業の減収により、売上高は前期比2.3%減少の1兆358億円となりました。各事業セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、セキュリティサービス事業が54.2%、防災事業が13.8%、メディカルサービス事業が6.9%、保険事業が4.8%、地理空間情報サービス事業が5.3%、BPO・ICT事業が10.8%、不動産・その他の事業が4.2%となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上原価は、前期比2.4%減少の7,053億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の68.2%から68.1%になりました。
販売費及び一般管理費は、前期比0.5%減少の1,936億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の18.4%から18.7%になりました。
これらの結果、当連結会計年度の営業利益は1,369億円(前期比4.2%減少)となりました。
(経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、米国などにおける投資事業組合運用損益が前連結会計年度20億円の運用益から当連結会計年度35億円の運用損となったことなどにより、営業外収益が前期比22億円(16.1%)減少となり、営業外費用が前期比42億円(79.7%)増加したことにより、経常利益は1,389億円(前期比8.2%減少)となりました。
なお、特別損失にのれん償却額56億円および関係会社株式売却損29億円を計上したことなどにより、税金等調整前当期純利益は1,288億円(前期比12.9%減少)となりました。
法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額の合計は前期比26億円(5.8%)減少の429億円となり、税金等調整前当期純利益に対する負担率は前連結会計年度の30.9%から33.3%に上昇しました。
また、非支配株主に帰属する当期純利益が前期比19億円(14.8%)減少の112億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は746億円(前期比16.2%減少)となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度の8.4%から7.2%になりました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の408.14円から342.17円、ROEは前連結会計年度の8.8%から7.1%となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
セキュリティサービス事業は、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売は堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響などにより商品販売、工事売上が減収となったことなどにより、売上高は5,730億円(前期比1.5%減少)となり、営業利益は1,133億円(前期比2.2%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の19.9%から19.8%になりました。
資産は、長期貸付金、短期貸付金などが減少しましたが、現金及び預金などの増加により、1兆55億円(前期比1.8%増加)となりました。
防災事業は、新型コロナウイルス感染症の影響および前連結会計年度に大型案件があったことなどにより、売上高は1,459億円(前期比6.7%減少)となり、営業利益は前連結会計年度に採算性の良い物件が集中したことなどにより、129億円(前期比28.5%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の11.6%から8.9%に低下しました。
資産は、受取手形及び売掛金などが減少しましたが、現金及び預金などの増加により、1,760億円(前期比2.0%増加)となりました。
メディカルサービス事業は、新型コロナウイルス感染症の影響などにより医療機器・医薬品の販売が減収となったことおよびインドにおける総合病院事業会社タクシャシーラ ホスピタルズ オペレーティング Pvt.Ltd.の減収などにより、売上高は718億円(前期比6.0%減少)となり、営業利益は41億円(前期比25.2%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.2%から5.7%に低下しました。
資産は、有形固定資産の減少、貸倒引当金の増加などにより、1,336億円(前期比4.2%減少)となりました。
保険事業は、セコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」、自動車保険の販売が好調に推移したことなどにより、売上高は525億円(前期比3.6%増加)となり、営業利益は台風第10号、令和2年7月豪雨などの大規模災害による影響などにより、7億円(前期比51.5%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の3.2%から1.5%に低下しました。
資産は、投資有価証券などが減少しましたが、有価証券、現金及び預金などの増加により、2,316億円(前期比6.2%増加)となりました。
地理空間情報サービス事業は、国内公共部門が航空レーザーによる測量業務等の増加により増収となったことなどにより、売上高は550億円(前期比1.6%増加)となり、営業利益は国内公共部門の売上の増加や生産効率の向上を図ったことから原価率が改善したほか、海外部門の事業最適化の取り組みや、リモート環境を活用した営業プロセスの見直しにより販売費及び一般管理費が減少したことから、47億円(前期比31.8%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の6.6%から8.6%に上昇しました。
資産は、現金及び預金などの増加により、661億円(前期比4.5%増加)となりました。
BPO・ICT事業は、コンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収およびデータセンター事業の増収などにより、売上高は1,216億円(前期比6.3%増加)となり、営業利益は118億円(前期比19.5%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の8.6%から9.7%に上昇しました。
資産は、現金及び預金などの増加により、1,480億円(前期比2.1%増加)となりました。
不動産・その他の事業は、2020年12月に当社の連結子会社でありましたセコムホームライフ株式会社の発行済株式の全てを譲渡したため、連結の範囲から除外した影響などにより、売上高は448億円(前期比26.4%減少)となり、営業利益は55億円(前期比7.0%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の9.8%から12.4%に上昇しました。
資産は、仕掛販売用不動産、販売用不動産などの減少により、1,379億円(前期比11.6%減少)となりました。
なお、以上のセグメント売上高および営業損益はセグメント間取引を含む数値であり、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況)」に記載した売上高(セグメント間取引を含まない外部顧客に対する売上高)とは一致しません。
財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(財政状態の状況)」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が438億円となりましたが、税金等調整前当期純利益が1,288億円、減価償却費が607億円となったことなどにより、全体では1,819億円の資金の増加となりました。
前連結会計年度との比較では、税金等調整前当期純利益が190億円減少となりましたが、受取手形及び売掛債権の増減額が前連結会計年度の76億円の減少に対し89億円の増加、のれん償却額が57億円増加、投資事業組合運用損益が前連結会計年度の20億円の減少に対し35億円の増加となったことなどにより、営業活動から得た資金は前期比63億円(3.6%)の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入が478億円となりましたが、投資有価証券の取得による支出が559億円、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出が478億円、無形固定資産の取得による支出が102億円となったことなどにより、全体では485億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、投資有価証券の取得による支出が106億円増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得が63億円増加となりましたが、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却が119億円増加、有価証券の増減額が前連結会計年度の13億円の増加に対し92億円の減少、有形固定資産の取得による支出が104億円減少となったことなどにより、投資活動に使用した資金は前期比122億円(20.1%)の減少となりました。
この結果、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの純額)は、1,333億円の資金の増加(前連結会計年度は1,147億円の資金の増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が45億円となりましたが、配当金の支払額が371億円、リース債務の返済による支出が49億円、短期借入の純減額が39億円、社債の償還による支出が29億円となったことなどにより、全体では493億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、長期借入れによる収入が41億円増加となりましたが、短期借入金の純増減額が前連結会計年度の12億円の増加に対し39億円の減少となったことなどにより、財務活動に使用した資金は前期比11億円(2.3%)の増加となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比835億円(20.6%)増加の4,900億円となりました。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
第56期2017年3月期第57期2018年3月期第58期2019年3月期第59期2020年3月期第60期2021年3月期
自己資本比率(%)54.155.556.457.058.1
時価ベースの
自己資本比率(%)
105.4100.8117.2107.9109.0
債務償還年数(年)0.50.60.50.40.4
インタレスト・
カバレッジ・レシオ
173.8153.0207.3260.6237.0

※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは、柔軟な事業活動を行い、強固な財務基盤を保つために、高い流動性を維持することを基本方針としております。また、「社会システム産業」の構築に向けて、営業活動から得た資金や、市場調達および金融機関からの借入等により調達した資金で、積極的に事業投資活動を行っております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は664億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,900億円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告金額に影響を与える判断、見積りの設定を行うことが必要となります。これらの見積りは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
a. 有形固定資産
当社グループでは、有形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。事業用資産においては管理会計上の区分で資産グルーピングを行い、賃貸不動産および遊休資産などは個別物件単位で区分を行い、当連結会計年度で収益性が著しく低下した場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額の見積りは、処分価額、不動産鑑定評価額などで算出する正味売却価額、将来キャッシュ・フロー、割引率などで算出する使用価値などにより測定しております。正味売却価額上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資産グループの使用期間中および使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
b. のれん及びその他無形資産
当社グループでは、のれん及びその他の無形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。のれん及びその他の無形固定資産の回収可能価額の見積りや減損判定に当たっては、必要に応じて外部専門家などによる評価を活用しております。なお、回収可能価額の測定で使用する、将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
c. 貸倒引当金
当社グループでは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、過去の実績、将来の見通し等を総合的に勘案して見積もられた回収不能見込額を、貸倒引当金として計上しております。回収不能見込額の見積りにおいて使用される仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収不能見込額が増減し、貸倒引当金を増額または減額する可能性があります。
d. 繰延税金資産
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、将来の課税所得の見積りにあたっては、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されていますが、見積りは、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化などにより、影響を受ける可能性があり、また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。
e. 退職給付費用及び退職給付に係る負債
当社および当社と同一の退職給付制度を有する国内連結子会社においては、退職金制度と確定拠出型年金制度を採用しております。退職給付費用及び退職給付に係る負債について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、金利変動の市場動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定した割引率、予想昇給率、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などが含まれております。これら年金数理計算の前提条件には将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって影響を受ける可能性があるため、前提条件と実際の結果が異なる場合、または前提条件の変更がある場合には、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。