有価証券報告書-第33期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/27 15:07
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国の政策運営や欧州の政治情勢、北朝鮮情勢による地政学リスクの高まりなど不確実性が高まるものの、緩やかな回復基調で推移いたしました。
わが国経済においても、海外経済の動向に関する不確実性はありましたが、輸出の持ち直しや内需の下支えもあり、引き続き堅調さを維持いたしました。
当社グループを取り巻く事業においては、製造業の業況感は改善傾向となりグローバル生産が拡大する中、引き続き機動的な生産拠点戦略が重要となっております。一方で国内においては雇用の安定・創出に向けた政府の諸政策を背景に雇用情勢は改善しており、さまざまな産業分野において人材の不足、雇用確保が難しい状況が続いております。
このような環境の下、当社グループは、日本のモノづくりを支えるトータルソリューション企業として、日本、中国、アセアン諸国において、ヒューマンソリューション事業(以下、HS事業)とエレクトロニクスマニュファクチャリングサービス事業(以下、EMS事業)の融合による新たなビジネスモデルの構築や、さまざまな産業・家電機器の機能、信頼性を高め、開発から設計、製造、販売までを行うパワーサプライ事業(以下、PS事業)との連携など、グループシナジー創出に向けた取り組みを進めてきました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高54,172百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益1,292百万円(前年同期比32.6%増)となり、経常利益については為替差損が大幅に減少したこともあり、前年同期に比べ944百万円増加し1,506百万円、親会社株主に帰属する当期純利益についても子会社における投資有価証券売却益の発生等により、前年同期に比べ695百万円増加し、1,188百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、持株会社体制への移行に伴い、当連結会計年度より、セグメント利益の算定方法を変更しており、HS事業の前年同期比較につきましては、変更後の算定方法を反映しております。
1) HS事業
当連結会計年度におきましては、国内HS事業の製造派遣・製造請負事業においては、正社員化や福利厚生の充実等により、採用力の強化と共に定着率の向上を図ることができ、製造請負事業においては、管理体制の強化により生産効率が改善され、継続的に顧客への単価交渉を行ってきたこともあり、引き続き収益性の改善を図ることができました。
海外HS事業は、中国における市場環境の変化や人件費の高騰等があるものの、現地における事業拡大の手段として、製造請負の展開を増やすと共に、グループ内EMS事業のノウハウを活かした生産効率改善・設備自動化融合によるサービス展開を進めております。
また、当連結会計年度より連結対象会社といたしましたNMS VIETNAM CO.,LTD.・NMS INTERNATIONAL RESOURCES CO.,LTD.・nms(Thailand)Co.,Ltd.につきましてはグループリソースの活用を行いながら、収益性向上への取り組みを進めております。
この結果、売上高17,069百万円(前年同期比22.7%増)、セグメント利益は、成長戦略として外国人技能実習生向け研修事業会社の設立等、国内外における先行投資コストの発生等もあり610百万円(前年同期比10.5%減)となりました。
2) EMS事業
EMS事業は、志摩グループ、TKRグループを事業母体として事業展開しております。
当連結会計年度におきましては、国内EMS事業は、前事業年度にTKR国内各社で実施した国内工場の統合等の構造改革による利益改善効果や工作機械関連の受注が回復したことにより、全体として売上・利益共に増加しました。
海外EMS事業は、中国において、前事業年度に経営資源の最適配分及び効率的な生産拠点の運用を考慮して、志摩電子(深圳)有限公司を解散したことにより、減収とはなったものの、収益性は改善いたしました。
この結果、売上高26,165百万円(前年同期比7.5%減)、セグメント利益648百万円(前年同期比430.9%増)となりました。
3) PS事業
PS事業は、パワーサプライテクノロジー株式会社(以下、PST)を事業母体として事業展開しております。
当連結会計年度におきましては、既存製品の需要調整や新規分野への製品投入までの端境期となっていることもあり、前年対比で減収減益となっておりますが、平成30年1月11日付でEV分野の開発・製造を行う拠点として、「松阪工場」(三重県松阪市)を開設し、リチウムイオン二次電池パックをはじめとするEV分野の製品開発・量産を加速させるとともに、現在の主軸である電源製品の生産技術開発も発展させ、「基盤強化」と「新製品開発・製造・拡販」の両輪で、新規受注の上乗せを推進しております。
この結果、売上高10,936百万円(前年同期比11.6%減)、セグメント利益469百万円(前年同期比24.6%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,196百万円増加し4,449百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。また、現金及び現金同等物に係る換算差額が251百万円増加しております。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、2,266百万円の収入(前年同期は1,595百万円の収入)となりました。主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益1,664百万円(前年同期は854百万円の利益)、減価償却費716百万円(前年同期は648百万円)、仕入債務の増加額954百万円(前年同期は1,925百万円の減少額)、未払消費税等の増加額469百万円(前年同期は1百万円の増加額)等となり、主なマイナス要因は、売上債権の増加額763百万円(前年同期は1,263百万円の減少額)、たな卸資産の増加額323百万円(前年同期は892百万円の減少額)、未払金の減少額235百万円(前年同期は292百万円の増加額)、投資有価証券売却益161百万円(前年同期 - )等によるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、87百万円の支出(前年同期は417百万円の支出)となりました。主なマイナス要因は、有形固定資産の取得による支出849百万円(前年同期は970百万円の支出)、貸付けによる支出104百万円(前年同期は551百万円の支出)、定期預金の預入による支出96百万円(前年同期は437百万円の支出)等となり、主なプラス要因は、定期預金の払戻による収入410百万円(前年同期は156百万円の収入)、有形固定資産の売却による収入284百万円(前年同期は1,263百万円の収入)、投資有価証券の売却による収入232百万円(前年同期 - )等によるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、1,133百万円の支出(前年同期は469百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、長期借入れによる収入4,000百万円(前年同期は1,410百万円の収入)等となり、主なマイナス要因は、短期借入金の純減額3,487百万円(前年同期は697百万円の収入)、長期借入金の返済による支出1,628百万円(前年同期は1,693百万円の支出)等によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、製造アウトソーシング事業を主な事業として営んでおります。ヒューマンソリューション(HS)事業につきましては、その大部分が、請負業務・派遣業務であり、重要性が乏しいため、記載を省略しております。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス(EMS)
事業(千円)
24,104,32491.02
パワーサプライ(PS)事業(千円)8,824,67486.57
合計(千円)32,928,99889.78

(注)1.金額は、製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは、受注から生産までの期間が短く受注管理を行う必要性が乏しいため、パワーサプライ(PS)事業以外のセグメントにつきましては、記載を省略しております。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
パワーサプライ(PS)事業10,643,30588.511,446,421107.79

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
ヒューマンソリューション(HS)事業(千円)17,069,564122.75
エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス(EMS)事業(千円)26,165,84792.46
パワーサプライ(PS)事業(千円)10,936,93888.39
合計(千円)54,172,34999.25

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Panasonic Appliances
Air-Conditioning Malaysia Sdn.Bhd.
7,685,96814.17,076,97313.06

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書発表日(平成30年6月27日)現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴い実際の結果は異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、総じて世界経済の回復が続きましたが、地政学リスクや米国をはじめとした保護主義的な政策の影響、金融市場の動向などの不確実性もあり、引き続き不透明な状況で推移致しました。この中で、当社グループは、変化を好機として攻めの施策で成長基盤を構築すべく、中長期に成長につながる施策を実行してまいりました。
各セグメントにおける取り組みは、以下のとおりです。
1) HS事業
HS事業の製造派遣・製造請負事業においては、お客様におけるさまざまな課題・ニーズに対し、高度な人材と技術ノウハウ、グループ内EMS企業との連携等により、従来型の製造派遣や製造請負とは一線を画すことを目指しています。これにより、事業の質を追求し、当社グループが有する各種ソリューションを総合的に提供してまいります。
平成29年8月には新たなスキームとして外国人技能実習生向け研修事業会社として株式会社日本技能教育機構を設立し、入国後研修や教育・総務人事・労務等の必要業務の受託を開始しております。今後は更に海外新拠点の設立や多極化で独自性を確立し、事業拡大を図ってまいります。
また、海外事業としてはNMS VIEWTNAM CO.,LTD.で車載部品製造受託を拡大、nms(Thailand)CO.,LTD.では人材ソリューション事業の拡大を積極的に推進、海外展開を行う企業の戦略的パートナーとして顧客基盤の拡大を図るべく、これまで以上に高品質なマニュファクチャリングサービスを提供してまいります。
2) EMS事業
EMS事業においては、省人化・省力化ノウハウによる効率的生産ラインの構築により機動的な生産拠点戦略を実行し、テクノロジーを有するEMS事業としてメーカー各社に対して高付加価値、かつ、広範なアウトソーシング提案を行ってまいります。
海外においては、これまでも中国(東莞)、マレーシアに生産拠点を展開しグローバル生産体制を整えてきましたが、お客様の生産における市場・地域の分散化や、地産地消ニーズが高まる中、アセアン地域における生産体制拡充の必要性が増してきたことを受け、平成31年度の事業開始を目指して、ベトナム社会主義共和国に生産体制を構築し、グローバル事業体制の拡充を図ることと致しました。
3) PS事業
PS事業においては、株式会社日立メディアエレクトロニクスとパナソニック株式会社から譲り受けた電源に関する技術力の融合を図り、今後成長が見込まれるLED電源、空気清浄機等の分野を強化し、パナソニックで培った世界トップクラスの高圧電源及び高圧トランスにかかる技術の競争力を一層高め、既存事業の強化と共に伸長市場への参入により事業拡大を果たし、高収益電源トップメーカーの地位を確立してまいります。
EV分野の製品開発・製造拠点として平成30年1月に開設した「松阪工場」においては電池パック事業の早期立ち上げ、量産体制の確立を図ってまいります。
以上のとおり、当社グループは3つのソリューション事業を戦略的に事業成長させることで事業間シナジーを発揮し、日本のモノづくりインフラの再構築に貢献できる事業を推進してまいります。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は54,172百万円(前年同期比0.7%減)となり、前事業年度に経営資源の最適配分及び効率的な生産拠点の運用を考慮して、志摩電子(深圳)有限公司を解散したこともあり、前連結会年度に比べて408百万円減少しました。セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は7,794百万円(前年同期比9.9%増)となり、前連結会年度に比べて700百万円増加しました。また、売上総利益率は、生産効率の改善や構造改革などもあり、前連結会計年度に比べ1.4ポイント増加し14.4%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は1,292百万円(前年同期比32.6%増)となり、成長戦略として外国人技能実習生向け研修事業会社の設立等、国内外における先行投資コストの発生がありましたが、EMS事業が国内外の需要に支えられ堅調に推移したことや生産効率の改善、構造改革等により、前連結会年度に比べて317百万円増加しました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は1,506百万円(前年同期比168.0%増)となり、為替差損が当連結会計年度において大幅に減少したこともあり、前連結会年度に比べて944百万円増加しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、1,188百万円(前年同期比140.9%増)となり、特別利益として、子会社において投資有価証券売却益を計上したこともあり、前連結会計年度に比べ695百万円増加しました。
財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は26,496百万円となり、前連結会計年度末に比べ、1,937百万円増加いたしました。
流動資産合計は20,666百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,357百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が881百万円、受取手形及び売掛金が968百万円、原材料及び貯蔵品が378百万円増加したものの、製品が151百万円減少したことによるものです。
固定資産合計は5,830百万円となり、前連結会計年度末に比べ420百万円減少いたしました。これは有形固定資産が307百万円増加したものの、無形固定資産が23百万円、投資その他の資産が705百万円減少したことによるものです。
(負債の部)
負債合計は20,345百万円となり、前連結会計年度末に比べ746百万円増加いたしました。
流動負債合計は13,590百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,289百万円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が891百万円、未払法人税等が314百万円、未払消費税等457百万円増加したものの、短期借入金が4,072百万円減少したことによるものです。
固定負債合計は6,755百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,035百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が3,043百万円増加したことによるものです。
(純資産の部)
純資産合計は6,150百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,190百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が981百万円、為替換算調整勘定が283百万円増加したことによるものです。
キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。