有価証券報告書-第37期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/16 14:42
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【項目】
146項目

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 経営成績
世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響により依然として先行きが不透明な状況となっておりますが、感染症拡大防止策等により社会経済活動の回復の動きもみられております。
このような状況の中で企業や行政においてはIT投資需要の鈍化の懸念があったものの需要は回復しつつあり、さらには、グローバルなデジタル技術を活用した戦略的経営改革など、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の領域における投資の加速が見込まれております。
当社グループはこの潮流を長期的な成長の機会と捉え、グローバルでメジャーなプラットフォームベンダーやツールベンダーとの連携強化を主軸に、独自のテンプレートやソリューションを付加価値として組み合わせて導入を支援することで、お客様のビジネスモデル変革の担い手として取り組んでまいりました。以前よりLotus NotesやSAPなどのプラットフォームをベースにしたローコードなカスタマイズ型のシステム構築にいち早く取り組み、時代の変化とともに取り扱うプラットフォームを増やしながら、現在ではSalesforceやServiceNow、Microsoft、AWSなどのクラウドプラットフォームをベースにしたシステム構築、SASなどのデータ解析ツールを活用したデータアナリティクス、さらにはRPAツールによる業務の効率化・自動化などに取り組んでおります。従来の単体のプラットフォームに加え複合型のプラットフォームの提供など、最適なものを組み合わせて提供することで複雑化するお客様のニーズに対応しております。そのために、より高度なベンダー資格取得の促進と提案力の向上に積極的に取り組み、上流工程のビジネスやコンサルティングなどの高付加価値化にも注力しております。
提案・営業活動においては、オンラインと対面を組み合わせた営業スタイルを実践しており、日々の営業報告はSFAシステムの活用により経営層を含めタイムリーな情報共有を行うことで、提案内容のレベルの向上と営業活動の強化に取り組んでおります。
さらには成長領域における新規事業の立上げを加速させるために、社内横断プロジェクトを発足しました。顧客ニーズを踏まえたアイデアの創出を実施し、次の成長に向けた取組みにも着手しております。
一方で、柔軟な働き方を実現するために、社内システムのデジタル化やテレワークを取り入れたハイブリット型の働き方、時短および時差出勤を取り入れ、Webコミュニケーションツールなどを活用した社内外とのコミュニケーションの実施などにより、ベターノーマルを目指した新しい働き方を推進しております。
これらの環境変化に対応するための取り組みの結果、当連結会計年度の業績におきましては、DX事業の推進により、売上高は実質的に11期連続の増収、売上総利益は10期連続の増益で過去最高となりました。
クラウドソリューション事業は、金融業、製造業や製薬業などの大手企業を中心に社内の情報系システムのクラウド化、業務プロセスのデジタル化に加え、クラウドプラットフォーム上でのローコード開発による業務アプリケーションの構築などの需要が伸びたことにより、売上、売上総利益ともに増加いたしました。
デジタルソリューション事業は、小売業向けの需要予測や金融業向けのリスクマネジメントなどのデータ分析ビジネスの拡大に加え、小売業向けの大量なデータを蓄積する環境の構築や整備などのデータマネジメントビジネスの拡大により、売上、売上総利益ともに増加いたしました。
ビジネスソリューション事業は、SAPや人事などの基幹系ビジネスの拡大に加え、銀行向けのクラウド型の金融商品販売システム開発などの需要の拡大により、売上、売上総利益ともに増加いたしました。
プラットフォーム・運用サービス事業は、インフラ/ネットワーク構築およびクラウド環境運用などのビジネスが拡大した一方で、従来の付加価値の低い運用案件からの撤退により、売上、売上総利益ともに減少いたしました。
デジタルラーニング事業は、コロナウイルス感染症拡大に伴う従来の教室での講義形式からWebを活用したオンライン形式に代えましたが、当期の前半の影響があり、売上、売上総利益ともに減少いたしました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減増減率
クラウド
ソリューション事業
売上高7,0878,06397613.8%
売上総利益1,6461,86321713.1%
デジタル
ソリューション事業
売上高2,1492,42427512.8%
売上総利益625660355.7%
ビジネス
ソリューション事業
売上高4,8785,66178316.1%
売上総利益1,0691,27220319.0%
プラットフォーム・
運用サービス事業
売上高5,6074,486△1,121△20.0%
売上総利益1,2971,085△212△16.3%
デジタル
ラーニング事業
売上高286233△53△18.5%
売上総利益709△61△87.0%

(注)1.2021年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を早期適用したため、前連結会計年度(2020年3月期)の売上高は、期首に同基準を適用したと仮定して算出しております。
2.2020年4月1日付の組織変更にて、プラットフォーム・運用サービス事業の中にあった教育部門をデジタルラーニング事業に移管しております。前連結会計年度(2020年3月期)の売上高は、期首に組織変更が行われたと仮定した実質の比較数値で算出しております。
なお、当連結会計年度より事業区分を4事業区分から5事業区分に変更しております。従前プラットフォーム・運用サービス事業に含まれていたデジタルラーニング事業を切出し、追加しております。
それぞれの事業の範囲は以下のとおりとなります。
事業区分事業内容
クラウドソリューション事業グローバルなプラットフォーマー(Microsoft,Salesforce.com,ServiceNow,Pegaなど)との連携によるシステムソリューションの提供など
デジタルソリューション事業ビッグデータ/AIツールの活用によるデータ分析ソリューションの提供、RPAツールを使った業務プロセスの自動化など
ビジネスソリューション事業ERPパッケージベンダー(SAPなど)との連携による会計、人事、フィンテックなどの基幹システム構築・運用とモダナイゼーションやコンサルタントなど
プラットフォーム・運用サービス事業クラウドプラットフォーマー(Amazon Web Service, Google Cloud Platformなど)やハードウェアベンダー(HPE,Dell,Ciscoなど)との連携による設計・構築・運用、自社センターでのシステムの遠隔監視サービス、ヘルプデスクなど
デジタルラーニング事業eラーニングなどのプラットフォームを活用した、企業内のIT人材育成のためのITスキルの習得やプラットフォームベンダー資格取得のための教育など

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減増減率
売上高20,00920,8688594.3%
売上総利益4,7084,8911823.9%
営業利益2,8333,15031711.2%
経常利益2,8673,19232511.3%
親会社株主に帰属する
当期純利益
1,9742,0831085.5%

(注)2021年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を早期適用したため、前連結会計年度(2020年3月期)の売上高は、期首に同基準を適用したと仮定して算出しております。
売上高は、不採算案件の影響を受けたものの、DX関連ビジネスへの更なるシフトやベンダー連携の強化による営業活動の推進などに取り組んだ結果、実質的に前年同期比で4.3%増の11期連続増収となりました。
売上総利益は、提案力の強化やサービス品質・生産性の向上、コンサルティング業務の拡大、成長領域へのシフトなどで一人あたり売上高が伸長したことにより、労務費の増加、事業拡大・強化のための先行投資を吸収し、3.9%の増益となりました。
営業利益は、採用方法の改善による採用費の削減、テレワークやWeb会議の推進による通勤費や会議費の削減など、積極的なコスト削減に取り組んだことも寄与して、前年同期比で11.2%の増益となりました。
経常利益は、保険契約の解約返戻金もあり、前年同期比で11.3%の増益となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比で5.5%増の10期連続増益で過去最高となりました。
また、企業経営の健全性の指標である自己資本比率は74.9%、高付加価値経営の指標であるROE(自己資本当期純利益率)は17.7%となり、健全性と高収益性を両立した経営を実践しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
各種システムの提案、構築、保守及び運用に係るサービスの提供を行っており、生産実績を定義することは困難であるため記載しておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
ソリューションサービス事業20,287△6.15,131△5.6

(注) 1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
ソリューションサービス事業20,868△0.3

(注) 1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1,712百万円増加し、16,483百万円となりました。これは主に、デジタルラーニング事業強化のためのM&Aによりのれんが815百万円、先端IT企業への出資等により投資有価証券が299百万円及び売上高増加に伴う受取手形及び売掛金が1,046百万円、それぞれ増加した一方で、同M&A等により現金及び預金が642百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて553百万円増加し、4,129百万円となりました。これは主に、売上増加に伴い買掛金が156百万円、安定的な運転資金を確保するために短期及び長期借入金が純額で160百万円、従業員の成果に報いるために賞与引当金が207百万円、それぞれ増加した一方で、未払法人税等が287百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,158百万円増加し、12,353百万円となりました。これは主に、剰余金の配当972百万円を上回る親会社株主に帰属する当期純利益2,083百万円を計上したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて642百万円減少し、8,251百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、1,562百万円(前期比10.0%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が3,108百万円、賞与引当金の増加が173百万円であった一方、法人税等の支払額が1,457百万円、売上債権が733百万円増加したことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、1,391百万円(前期比98.3%増)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が904百万円、投資有価証券の取得による支出が600百万円あった一方で、投資有価証券の償還による収入が200百万円あったことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は813百万円(前期は50百万円の獲得)となりました。これは主に、配当金の支払額が970百万円あった一方で、短期及び長期借入金が純額で160百万円増加したことによるものであります。
資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末において総資産のおよそ5割の手元資金を保有していることから、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えております。なお、本報告書提出日現在において、重要な資本的支出または重要な買収等の予定はありません。