半期報告書-第41期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/11 9:38
【資料】
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【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
企業経営において、デジタル技術を駆使した戦略的な業務改革が重要視されており、デジタル・トランスフォーメーション(DX)への投資がますます増加しています。従来のシステムインテグレーションに加え、生成AIやローコードツールを活用したシステム開発の内製化支援やシステム運用業務のアウトソーシングなど、お客様のニーズは多様化し、拡大しています。
当社グループはこの潮流を長期的な成長機会と捉え、お客様のDXを支援するだけでなく、当社自身の変革を目指す「コムチュア・トランスフォーメーション(CX)」を推進しています。2032年3月期における売上高1,000億円を目指す戦略として、グローバルベンダー各社との連携強化を主軸に、当社独自のテンプレートやソリューションを付加価値として組み合わせて提供し、お客様のビジネスモデル変革の担い手として事業活動を進めています。
そのために、「コンサルティング本部」を「コンサルティング事業部」としてさらに強化し、提案力の向上とビジネス機会の創出に全社を挙げて注力しています。これにより、既存のお客様向けのコンサルティングサービスのクロスセル提案に加え、新規のお客様の開拓活動を進めています。
市場環境が好調な一方で、エンジニアの確保が最優先課題です。中でも社員の待遇の向上は重要課題の一つであり、前連結会計年度は平均8.1%、当中間連結会計期間も平均2.9%の昇給を実施しました。社員とのエンゲージメントの強化にも取り組んでおり、人事制度の改定にも取り組みました。スペシャリスト向けのキャリアパスの新設や研修体系全体の拡充に加え、貢献度やスキルに応じた報酬体系を導入するなど、社員が自己成長を具体的に感じられる環境を整備しています。
人材採用面では、2024年4月に196名の新卒社員を迎え入れ、2025年4月入社予定の新卒社員の内定承諾者数も184名と当初の採用計画を超えております。また、キャリア採用もエージェントとの連携やリファーラル採用の取組みにより前年同期比で大きく増加しています。
さらに、エンジニアの価値向上のための人材育成にも力を入れています。新卒社員の育成には4月から6月の3か月間を育成期間とし、前連結会計年度に引き続き既存社員のマルチスキル化やスキルチェンジのためのリスキリングにも取り組んでいます。当社グループのIT研修会社であるエディフィストラーニング社の研修プログラムを活用し、全社的な人材育成を進めています。また、協力会社からのエンジニア調達の増加を目指し、主要な協力会社をコアパートナー化するなどの戦略的な連携を進め、即戦力エンジニアの優先的な提供を実現しています。
エンジニアの確保に加え、新しい事業領域への取組みも進めています。生成AIはその一つです。日本マイクロソフト社と連携し、同社の生成AIであるMicrosoft Copilotの研修サービスを開始し、当連結会計年度においては6,000名の参加を予定しています。研修を通じて企業に対して「意識の改革」や「活用方法の学習」を行い、その後にSEが「業務への生成AIの組み込みや定着化」を支援していきます。グループ全体でも生成AIを活用し業務改善を進めており、そのノウハウを導入支援や研修サービスを通してお客様にも提供しています。
以上の結果、当中間連結会計期間における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
(百万円)
前年同期当中間期増減増減率
売上高16,76117,7941,0326.2%
売上総利益3,6703,9112416.6%
営業利益1,9501,983331.7%
経常利益1,9461,984371.9%
親会社株主に帰属する
中間純利益
1,2511,278262.1%

売上高は、DX関連ビジネスへのさらなるシフト、プラットフォーマーやツールベンダー各社との連携の強化による営業活動の推進、金融関連の需要の増加に加え、キャリア採用の回復や協力会社のエンジニアリソース増加などにより、前年同期比で6.2%の増収となりました。
売上総利益は、昇給や社員数の増加に伴う労務費の増加に加え、育成強化のための新卒社員の研修コストも増加しましたが、成長領域へのシフトやサービス品質・生産性の向上などにより一人当たり売上高の伸長に加え、協力会社の稼働人数の増加もあり、前年同期比で6.6%の増益となりました。
営業利益は、グループの事業連携強化のためのオフィス集約に伴うコスト増加や、社員エンゲージメント向上のための全社イベントの開催費用や育成のための研修費用など人的資本投資が増加したことで、前年同期比で1.7%の増益となりました。
親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期比で2.1%の増益となりました。また、企業経営の健全性の指標である自己資本比率は72.1%となり、健全性の高い経営を実践しています。
事業別の業績についてですが、当社の事業は以下の5つの区分です。
事業区分事業内容
クラウドソリューション事業グローバルなSaaSベンダー(Microsoft,Salesforce,ServiceNowなど)との連携によるコラボレーション・CRMなどのクラウドサービス導入時のコンサルティングやインテグレーションサービスの提供など
デジタルソリューション事業グローバルなAIベンダー(Google Cloud Platform, Amazon Web Servicesなど)との連携によるデータ基盤の構築や、グローバルなデータ分析ベンダー(SAS, Informatica, Databricksなど)との連携によるデータ分析ソリューションの提供など
ビジネスソリューション事業グローバルなERPパッケージベンダーとの連携による会計(SAPなど)・人事(SuccessFactorsなど)や、フィンテックなど基幹システムの構築・運用・モダナイゼーションなど
プラットフォーム・運用サービス事業仮想化ソフトウェア(Kubernetesなど)を活用したハイブリッドクラウド環境や仮想化ネットワーク(Ciscoなど)の設計・構築・運用、グローバルなツールを活用した自社センターでのシステムの遠隔監視サービス、ヘルプデスクなど
デジタルラーニング事業グローバルなベンダー(Microsoft, Salesforce, ServiceNowなど)との連携によるベンダー資格取得のための研修、DX人材育成のためのIT研修実施など

事業別の売上高と売上総利益の状況は、以下の通りです。
クラウドソリューション事業は、日本マイクロソフト社などのベンダー各社との連携により、大手企業を中心とした社内の情報系システムのクラウド化や業務プロセスのデジタル化に向けたコンサルティング、ローコード開発ツールによる社内システム構築の需要の増加により売上高は増加しましたが、キャリア採用費の増加に加えて、リスキリング期間中のコストの発生や、新卒社員の育成強化のための研修コスト負担の増加により、売上総利益は減少いたしました。
デジタルソリューション事業は、データ分析ビジネスの拡大や、大量データを蓄積する環境構築などのデータマネジメントビジネスの拡大、クラウド環境の構築の需要の増加により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
ビジネスソリューション事業は、SAP関連ビジネスの継続的な伸長、金融関連のお客様向けのフロントシステム開発や業務の自動化の需要の増加、官公庁関連でのSAP周辺開発案件の拡大により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
プラットフォーム・運用サービス事業は、システム運用業務のアウトソーシングやセキュリティサポートなどの需要の増加、官公庁関連でのネットワーク構築案件の拡大により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
デジタルラーニング事業は、生成AI関連の研修需要の増加、研修運営アウトソーシングビジネスの伸長、講師の稼働率と価格の向上などにより、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
(百万円)
前年同期当中間期増減増減率
クラウド
ソリューション事業
売上高6,3396,5081682.7%
売上総利益1,4541,440△14△1.0%
デジタル
ソリューション事業
売上高2,3152,4391235.3%
売上総利益4955485210.7%
ビジネス
ソリューション事業
売上高4,3164,6953788.8%
売上総利益958999404.2%
プラットフォーム・
運用サービス事業
売上高2,8563,1382819.9%
売上総利益48059311223.5%
デジタル
ラーニング事業
売上高9331,013808.6%
売上総利益2813304917.6%

(2)財政状態の分析
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて617百万円増加し、24,060百万円となりました。これは主に、売上債権が増加したことにより現金及び預金が1,281百万円、償却によりのれんが169百万円、それぞれ減少した一方で、事業拡大に伴い受取手形及び売掛金が1,338百万円、新基幹システム導入作業によりソフトウエア仮勘定が311百万円、大阪事務所の移転により建物(純額)が133百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて79百万円増加し、6,717百万円となりました。これは主に、前連結会計年度末が休日であったことにより未払いとなっていた社会保険料等の支払により未払費用が342百万円減少した一方で、業務に尽力した従業員に報いるために賞与引当金が346百万円、税金等調整前中間純利益の拡大により未払法人税等が120百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて537百万円増加し、17,342百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益を1,278百万円計上する一方で、749百万円の配当を実施したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,281百万円減少し、10,842百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は46百万円(前期比97.2%減)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益が1,980百万円、賞与引当金の増加が346百万円、のれん償却額が169百万円あった一方で、売上債権の増加が1,338百万円、法人税等の支払額が586百万円、未払費用の減少が342百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は579百万円(前期は666百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出が、それぞれ235百万円及び260百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は748百万円(前期比38.7%減)となりました。これは主に、配当金の支払額が748百万円あったことによるものであります。