当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 経営成績
企業経営において、デジタル技術を駆使した戦略的な業務改革が重要視されており、デジタル領域への投資がますます増加しています。従来のシステムインテグレーションに加え、生成AIやローコードツールを活用したシステム開発の内製化支援やシステム運用業務のアウトソーシングなど、お客様のニーズは多様化し、拡大しています。
当社グループはこの潮流を長期的な成長機会と捉え、お客様のデジタル化を支援するだけでなく、当社自身の変革を目指す「コムチュア・トランスフォーメーション(CX)」を推進しています。2032年3月期に売上高1,000億円を目指すための戦略として、グローバルベンダー各社との連携強化を主軸に、当社独自のテンプレートやソリューションを付加価値として組み合わせて提供し、お客様のビジネスモデル変革の担い手として事業活動を進めています。
そのために、「コンサルティング本部」を「コンサルティング事業部」としてさらに強化し、提案力の向上とビジネス機会の創出に注力しています。これにより、既存のお客様向けのクロスセル提案に加え、新規のお客様の開拓活動を進めています。
市場環境が好調な一方で、エンジニアの確保が最優先課題です。中でも社員の待遇の向上は重要な課題の一つであり、前連結会計年度は平均8.1%、当連結会計年度も平均5.0%の昇給を実施しました。また、社員のエンゲージメント向上のため、人事制度の改定にも取り組みました。スペシャリスト向けのキャリアパスの新設、研修体系全体の拡充、貢献度やスキルに応じた報酬体系の導入などを通して、社員が自己成長を具体的に感じられる環境を整備しました。さらに、社員の健康と働きやすい職場環境の実現に向けた取り組みを推進し、「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を取得しました。これらの取り組みの結果、エンゲージメントサーベイの「研修制度の充実度」のスコアが前年同期比で大きく向上し、退職率は5.5%と前年同期比で3.1ポイントの大幅な改善となりました。
人材採用面では、2024年4月に196名、2025年4月に192名の新卒社員を迎え入れ、2026年4月入社予定の新卒社員も最大200名の計画で採用を進めています。また、キャリア採用もエージェントとの連携やリファーラル採用の取り組みにより前年同期比で大きく増加しています。
さらに、エンジニアの価値向上のための人材育成にも注力しています。新卒社員に対しては4月から6月の3か月間を育成期間として集中的な研修を実施しています。また、前連結会計年度に引き続き、既存社員のマルチスキル化やスキルチェンジのためのリスキリングにも取り組んでいます。これらの研修には、グループ会社のIT研修会社であるエディフィストラーニング社のプログラムを活用し、全社的な人材育成を推進しています。さらに、協力会社との戦略的な強化、特に主要な協力会社のコアパートナー化を進めることで、即戦力となるエンジニアの優先的な提供体制を構築しています。
エンジニアの確保に加え、新しい事業領域への取り組みも進めています。生成AIはその一つです。日本マイクロソフト社と連携し、同社の生成AIであるMicrosoft Copilotの研修サービスを展開しており、当連結会計年度には約6,000名の方を集客しました。研修では、企業の意識改革や活用方法の学習を支援し、その後、SEによる業務への生成AIの組み込みと定着化をサポートしています。また、グループ全体でも生成AIを活用し業務改善を進めており、そのノウハウを導入支援や研修サービスを通じてお客様に提供しています。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
(百万円)
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 34,185 | 36,341 | 2,155 | 6.3 | % |
売上総利益 | 7,852 | 8,235 | 383 | 4.9 | % |
営業利益 | 4,600 | 4,630 | 30 | 0.7 | % |
経常利益 | 4,597 | 4,660 | 62 | 1.4 | % |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 3,135 | 3,160 | 25 | 0.8 | % |
事業区分 | 事業内容 |
クラウドソリューション事業 | グローバルなSaaSベンダー(Microsoft,Salesforce,ServiceNowなど)との連携によるコラボレーション・CRMなどのクラウドサービス導入時のコンサルティングやインテグレーションサービスの提供など |
デジタルソリューション事業 | グローバルなAIベンダー(Google Cloud, Amazon Web Servicesなど)との連携によるデータ基盤の構築や、グローバルなデータ分析ベンダー(SAS, Informatica, Databricksなど)との連携によるデータ分析ソリューションの提供など |
ビジネスソリューション事業 | グローバルなERPパッケージベンダーとの連携による会計(SAPなど)・人事(SuccessFactorsなど)や、フィンテックなど基幹システムの構築・運用・モダナイゼーションなど |
プラットフォーム・運用サービス事業 | 仮想化ソフトウェア(Kubernetesなど)を活用したハイブリッドクラウド環境や仮想化ネットワーク(Ciscoなど)の設計・構築・運用、グローバルなツールを活用した自社センターでのシステムの遠隔監視サービス、ヘルプデスクなど |
デジタルラーニング事業 | グローバルなベンダー(Microsoft, Salesforce, ServiceNowなど)との連携によるベンダー資格取得のための教育、デジタル人材育成のためのITスキルの習得など |
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |||
クラウド ソリューション事業 | 売上高 | 12,997 | 13,465 | 467 | 3.6 | % |
売上総利益 | 3,146 | 3,269 | 122 | 3.9 | % | |
デジタル ソリューション事業 | 売上高 | 4,736 | 5,176 | 439 | 9.3 | % |
売上総利益 | 1,069 | 1,178 | 109 | 10.2 | % | |
ビジネス ソリューション事業 | 売上高 | 9,049 | 9,731 | 682 | 7.5 | % |
売上総利益 | 2,076 | 2,176 | 100 | 4.8 | % | |
プラットフォーム・ 運用サービス事業 | 売上高 | 5,855 | 6,322 | 466 | 8.0 | % |
売上総利益 | 1,138 | 1,173 | 35 | 3.1 | % | |
デジタル ラーニング事業 | 売上高 | 1,545 | 1,645 | 99 | 6.4 | % |
売上総利益 | 420 | 437 | 16 | 3.9 | % |
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
ソリューションサービス事業 | 36,170 | 1.5 | 8,891 | 1.1 |
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
ソリューションサービス事業 | 36,341 | 6.3 |