有価証券報告書-第41期(2024/04/01-2025/03/31)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 経営成績
企業経営において、デジタル技術を駆使した戦略的な業務改革が重要視されており、デジタル領域への投資がますます増加しています。従来のシステムインテグレーションに加え、生成AIやローコードツールを活用したシステム開発の内製化支援やシステム運用業務のアウトソーシングなど、お客様のニーズは多様化し、拡大しています。
当社グループはこの潮流を長期的な成長機会と捉え、お客様のデジタル化を支援するだけでなく、当社自身の変革を目指す「コムチュア・トランスフォーメーション(CX)」を推進しています。2032年3月期に売上高1,000億円を目指すための戦略として、グローバルベンダー各社との連携強化を主軸に、当社独自のテンプレートやソリューションを付加価値として組み合わせて提供し、お客様のビジネスモデル変革の担い手として事業活動を進めています。
そのために、「コンサルティング本部」を「コンサルティング事業部」としてさらに強化し、提案力の向上とビジネス機会の創出に注力しています。これにより、既存のお客様向けのクロスセル提案に加え、新規のお客様の開拓活動を進めています。
市場環境が好調な一方で、エンジニアの確保が最優先課題です。中でも社員の待遇の向上は重要な課題の一つであり、前連結会計年度は平均8.1%、当連結会計年度も平均5.0%の昇給を実施しました。また、社員のエンゲージメント向上のため、人事制度の改定にも取り組みました。スペシャリスト向けのキャリアパスの新設、研修体系全体の拡充、貢献度やスキルに応じた報酬体系の導入などを通して、社員が自己成長を具体的に感じられる環境を整備しました。さらに、社員の健康と働きやすい職場環境の実現に向けた取り組みを推進し、「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を取得しました。これらの取り組みの結果、エンゲージメントサーベイの「研修制度の充実度」のスコアが前年同期比で大きく向上し、退職率は5.5%と前年同期比で3.1ポイントの大幅な改善となりました。
人材採用面では、2024年4月に196名、2025年4月に192名の新卒社員を迎え入れ、2026年4月入社予定の新卒社員も最大200名の計画で採用を進めています。また、キャリア採用もエージェントとの連携やリファーラル採用の取り組みにより前年同期比で大きく増加しています。
さらに、エンジニアの価値向上のための人材育成にも注力しています。新卒社員に対しては4月から6月の3か月間を育成期間として集中的な研修を実施しています。また、前連結会計年度に引き続き、既存社員のマルチスキル化やスキルチェンジのためのリスキリングにも取り組んでいます。これらの研修には、グループ会社のIT研修会社であるエディフィストラーニング社のプログラムを活用し、全社的な人材育成を推進しています。さらに、協力会社との戦略的な強化、特に主要な協力会社のコアパートナー化を進めることで、即戦力となるエンジニアの優先的な提供体制を構築しています。
エンジニアの確保に加え、新しい事業領域への取り組みも進めています。生成AIはその一つです。日本マイクロソフト社と連携し、同社の生成AIであるMicrosoft Copilotの研修サービスを展開しており、当連結会計年度には約6,000名の方を集客しました。研修では、企業の意識改革や活用方法の学習を支援し、その後、SEによる業務への生成AIの組み込みと定着化をサポートしています。また、グループ全体でも生成AIを活用し業務改善を進めており、そのノウハウを導入支援や研修サービスを通じてお客様に提供しています。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
(百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | ||
| 売上高 | 34,185 | 36,341 | 2,155 | 6.3 | % |
| 売上総利益 | 7,852 | 8,235 | 383 | 4.9 | % |
| 営業利益 | 4,600 | 4,630 | 30 | 0.7 | % |
| 経常利益 | 4,597 | 4,660 | 62 | 1.4 | % |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 3,135 | 3,160 | 25 | 0.8 | % |
売上高は、デジタル関連ビジネスへの更なるシフト、プラットフォーマーやツールベンダー各社との連携の強化による営業活動の推進、金融関連の需要の増加に加え、キャリア採用の回復や退職率の改善、協力会社のエンジニアリソース増加などにより、前年同期比で6.3%の増収となりました。
売上総利益は、昇給や社員数の増加に伴う労務費の増加に加え、育成強化による新卒社員の研修コストも発生しましたが、成長領域へのシフトやサービス品質・生産性の向上などによる一人当たり売上高の伸長に加え、協力会社の稼働人数の増加もあり、前年同期比で4.9%の増益となりました。
営業利益は、グループの事業連携強化のためのオフィス集約に伴うコスト増加や、社員エンゲージメント向上のための全社イベントの開催費用、育成のための研修費用など人的資本投資が増加したことで、前年同期比で0.7%の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比で0.8%の増益となりました。
企業経営の健全性の指標である自己資本比率は72.1%となり、健全性の高い経営を実践しております。
事業別の業績についてですが、当社の事業は以下の5つの区分です。
| 事業区分 | 事業内容 |
| クラウドソリューション事業 | グローバルなSaaSベンダー(Microsoft,Salesforce,ServiceNowなど)との連携によるコラボレーション・CRMなどのクラウドサービス導入時のコンサルティングやインテグレーションサービスの提供など |
| デジタルソリューション事業 | グローバルなAIベンダー(Google Cloud, Amazon Web Servicesなど)との連携によるデータ基盤の構築や、グローバルなデータ分析ベンダー(SAS, Informatica, Databricksなど)との連携によるデータ分析ソリューションの提供など |
| ビジネスソリューション事業 | グローバルなERPパッケージベンダーとの連携による会計(SAPなど)・人事(SuccessFactorsなど)や、フィンテックなど基幹システムの構築・運用・モダナイゼーションなど |
| プラットフォーム・運用サービス事業 | 仮想化ソフトウェア(Kubernetesなど)を活用したハイブリッドクラウド環境や仮想化ネットワーク(Ciscoなど)の設計・構築・運用、グローバルなツールを活用した自社センターでのシステムの遠隔監視サービス、ヘルプデスクなど |
| デジタルラーニング事業 | グローバルなベンダー(Microsoft, Salesforce, ServiceNowなど)との連携によるベンダー資格取得のための教育、デジタル人材育成のためのITスキルの習得など |
事業別の売上高と売上総利益の状況は、以下の通りです。
クラウドソリューション事業は、日本マイクロソフト社などのベンダー各社との連携により、大手企業を中心とした社内の情報系システムのクラウド化、業務プロセスのデジタル化に向けたコンサルティング、ローコード開発ツールによる社内システム構築などの需要の増加により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
デジタルソリューション事業は、データ分析ビジネスの拡大や、大量データを蓄積する環境構築などのデータマネジメントビジネスの拡大、クラウド環境の構築の需要の増加などにより、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
ビジネスソリューション事業は、SAP関連ビジネスの継続的な伸長、官公庁関連でのSAP周辺開発案件の拡大、金融関連のお客様向けのフロントシステム開発や業務の自動化の需要の増加などにより、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
プラットフォーム・運用サービス事業は、システム運用業務のアウトソーシングやセキュリティサポートなどの需要の増加により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
デジタルラーニング事業は、Microsoft(AIなど)関連の研修需要の増加、研修運営アウトソーシングビジネスの伸長、講師の稼働率と価格の向上などにより、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
(百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |||
| クラウド ソリューション事業 | 売上高 | 12,997 | 13,465 | 467 | 3.6 | % |
| 売上総利益 | 3,146 | 3,269 | 122 | 3.9 | % | |
| デジタル ソリューション事業 | 売上高 | 4,736 | 5,176 | 439 | 9.3 | % |
| 売上総利益 | 1,069 | 1,178 | 109 | 10.2 | % | |
| ビジネス ソリューション事業 | 売上高 | 9,049 | 9,731 | 682 | 7.5 | % |
| 売上総利益 | 2,076 | 2,176 | 100 | 4.8 | % | |
| プラットフォーム・ 運用サービス事業 | 売上高 | 5,855 | 6,322 | 466 | 8.0 | % |
| 売上総利益 | 1,138 | 1,173 | 35 | 3.1 | % | |
| デジタル ラーニング事業 | 売上高 | 1,545 | 1,645 | 99 | 6.4 | % |
| 売上総利益 | 420 | 437 | 16 | 3.9 | % | |
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
各種システムのコンサルティング、構築、保守、運用及び教育に係るサービスの提供を行っており、生産実績を定義することは困難であるため記載しておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| ソリューションサービス事業 | 36,170 | 1.5 | 8,891 | 1.1 |
(注) 当社グループの事業は単一セグメントであります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| ソリューションサービス事業 | 36,341 | 6.3 |
(注) 当社グループの事業は単一セグメントであります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて2,168百万円増加し、25,611百万円となりました。これは主に、償却によりのれんが338百万円減少した一方で、税金等調整前当期純利益の増加等により現金及び預金が757百万円、新基幹システム導入作業によりソフトウエア仮勘定が748百万円、売上高の増加等により受取手形及び売掛金が600百万円、大阪事務所の移転等により建物(純額)が194百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて505百万円増加し、7,143百万円となりました。これは主に、一部連結子会社の退職給付制度終了による退職金支給等により退職給付に係る負債が335百万円、社会保険料等の支払により未払費用が124百万円、それぞれ減少した一方で、課税所得の増加により未払法人税等が366百万円、従業員の貢献に報いるために賞与引当金が314百万円、見積りの変更等により資産除去債務が136百万円、売上原価の増加等により買掛金が105百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,662百万円増加し、18,468百万円となりました。これは主に、剰余金の配当1,514百万円を上回る親会社株主に帰属する当期純利益3,160百万円を計上したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて757百万円増加し、12,881百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果獲得した資金は3,194百万円(前年同期比6.7%減)となりました。これは主に、法人税等の支払額が1,191百万円、売上債権の増加額が600百万円、退職給付に係る負債の減少額が335百万円、未払費用の減少額が124百万円あった一方で、税金等調整前当期純利益が4,586百万円、のれん償却額が338百万円、賞与引当金の増加額が314百万円、減価償却費が168百万円、仕入債務の増加額が105百万円あったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は923百万円(前連結会計年度は449百万円の獲得)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が698百万円、有形固定資産の取得による支出が211百万円あったことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は1,512百万円(前年同期比22.5%減)となりました。これは主に、配当金の支払額が1,512百万円あったことによるものであります。
資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末において総資産のおよそ50.3%の手元資金を保有していることから、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えております。なお、本報告書提出日現在において、重要な資本的支出または重要な買収等の予定はありません。