四半期報告書-第40期第1四半期(2023/04/01-2023/06/30)

【提出】
2023/08/04 12:54
【資料】
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【項目】
32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
企業や行政などにおいて、デジタル技術を活用した新規ビジネスやサービスの創出、ワークスタイルの変革などの戦略的経営改革が求められている中で、デジタル・トランスフォーメーション(DX)領域への投資はますます加速しております。
当社グループはこの潮流を長期的な成長の機会と捉え、お客様のDXを支援していくことに加えて当社自身も変革していく「コムチュア・トランスフォーメーション(CX)」を掲げ、これからの10年先を見据えた戦略であるグローバルベンダー各社との連携強化を主軸に、当社独自のテンプレートやソリューションを付加価値として組み合わせて提供することで、お客様のビジネスモデル変革の担い手として事業活動を拡大してまいりました。
具体的には、以前よりLotus Notesなどのソフトウェアをベースにした付加価値の高いシステム構築にいち早く取り組み、時代の変化とともに取り扱うベンダー商材を増やしており、現在ではMicrosoft、Salesforce、ServiceNow、Amazon Web Services、Google Cloud Platformなどのクラウドサービスをベースにしたシステム構築、SASなどのデータ分析ツールを活用したデータサイエンス、SAPなどのERPやSuccessFactorsなどの人事系システムの構築など、DX関連のソリューションの提供に取り組んでおります。これらグローバルベンダーのプラットフォームやソリューションをベースにしたシステム構築の需要の高まりが、付加価値・収益性の高い提案機会の増加に寄与しております。さらには複合的にベンダー商材を組み合わせたソリューションの提供など、最適なものを組み合わせて提供することで複雑化するお客様のニーズにも対応しております。そのために、より高度なベンダー資格取得の促進による技術力向上に加え、ビジネスプロセスコンサルティングなどの付加価値の高いサービスを提供する部門を立ち上げ、提案力の強化にも積極的に取り組んでおります。
提案・営業活動においては、オンラインと対面を組み合わせた効率的な営業活動を強化し、日々の営業報告はSFAシステム(Salesforce)の活用によって経営層を含めタイムリーな情報共有を行うことで、チームでの知恵出しによる提案内容のレベルの向上に取り組んでいます。さらには成長領域の事業を加速させるため、顧客事例をテンプレート化し顧客ニーズに対応することで、次の成長に向け取り組んでおります。
受注環境が好調な一方で、エンジニアの確保が最優先課題です。中でも社員の待遇の向上は重要な課題の一つであり、前連結会計年度は平均8.1%、当連結会計年度も平均8.0%の昇給を計画しております。また、より成長を実感できるキャリアパスのための人事制度と研修体系の改定を進めております。加えて、テレワークと出社を組み合わせたハイブリッドな働き方の促進、小集団活動など自由な研究開発、経営と社員を結びつける場づくり、さらには部門を超えた議論ができるコラボレーションスペースの増床など、社員とのエンゲージメントの強化にも一層取り組んでおります。
人材育成においては、213名の新卒社員の早期戦力化に加え、既存社員を対象にしたリスキリングによる成長領域へのリソースシフト等により、収益性の更なる向上に取り組んでおります。リソース確保においては、中途採用では採用エージェントとの連携強化や社員紹介制度等の取組みによる即戦力のエンジニアの採用を進めており、採用以外にも前連結会計年度に100名のエンジニアを有するタクトシステムズ株式会社およびタクトビジネスソフト株式会社の株式を取得するなど、グループの成長を加速させるためのM&Aにも積極的に取り組んでおります。
また、協力会社からのエンジニアの調達も増加させるため、主要な協力会社をコアパートナー化するなどの戦略的な連携を進め即戦力エンジニアの優先的な提供を実現するとともに、当社グループのIT研修会社であるエディフィストラーニング社の教育コンテンツを活用した成長領域での人材育成支援を行うなど、エンジニアの確保を積極的に進めております。
エンジニアの確保とともに、更なる事業の拡大にも取り組んでおります。当第1四半期連結会計期間に伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠」)との業務提携契約を締結し、伊藤忠グループへのDX支援の共同提案、伊藤忠グループのDXプロジェクトへの参画など、システム開発領域での協業の検討を開始いたしました。
以上の結果、当第1四半期連結会計期間における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
(百万円)
前年同四半期当第1四半期増減増減率
売上高6,8558,0981,24318.1%
売上総利益1,4611,79833723.1%
営業利益68686017425.3%
経常利益68186017926.3%
親会社株主に帰属する
四半期純利益
4785587916.7%

売上高は、DX関連ビジネスへの更なるシフト、プラットフォーマーやツールベンダー各社との連携の強化による営業活動の推進などに加え、前連結会計年度に採用した社員の戦力化が進んだこと、協力会社のリソース確保が二桁成長したこと、M&Aの寄与などにより前年同四半期比で18.1%の増収となりました。
売上総利益は、社員満足度向上のために引き続き労務費を大幅に上げましたが、一方で提案力の強化やサービス品質・生産性の向上、コンサルティング業務の拡大、成長領域へのシフトによる一人当たり売上高の伸長に加え、新卒社員の有償化が進んだことなどにより、前年同四半期比で23.1%の増益となりました。なお、従来、新卒社員の4月および5月の研修期間中の人件費については「売上原価」に含めて表示しておりましたが、当第1四半期連結会計期間より「販売費及び一般管理費」として表示する方法に変更しております。この変更により前第1四半期連結累計期間の売上総利益は、84百万円増加しております。
営業利益は、採用費の増加などの更なる成長に向けた先行投資やM&A関連の費用が増加したものの、前連結会計年度に発生したのれんの即時償却の剥落などにより、前年同四半期比で25.3%の増益となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期比で16.7%の増益となりました。
企業経営の健全性の指標である自己資本比率は71.7%となり、健全性の高い経営を実践しております。
事業別の売上高と売上総利益の状況は、以下の通りです。
クラウドソリューション事業は、日本マイクロソフト社やセールスフォース・ジャパン社などとの連携による顧客情報システム構築、また大手企業を中心とした社内の情報系システムのクラウド化、業務プロセスのデジタル化に向けたコンサルティングなどの需要の増加に加え、当連結会計年度より連結した子会社の寄与により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
デジタルソリューション事業は、SASを使った金融業向けのアンチマネーロンダリングシステム構築やDatabricksのデータ分析ビジネスの拡大に加え、Google Cloud Platform上での大量データを蓄積する環境構築などのデータマネジメントビジネスの拡大により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
ビジネスソリューション事業は、リスキリングプログラムに基づく社員リソースのシフトなどによるS/4 HANA化などSAP関連ビジネスの成長に加え、金融関連の需要の増加により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
プラットフォーム・運用サービス事業は、クラウド環境の運用ビジネスの拡大に加え、システム運用業務のアウトソーシングやセキュリティサポートなどの需要の増加により売上高は増加いたしましたが、売上総利益は減少いたしました。
デジタルラーニング事業は、Microsoft、Salesforce、ServiceNowなどのベンダー資格取得のための教育ビジネスの拡大に加え、新人研修・DX研修などの企業向けの企画型研修の需要の増加により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
(百万円)
前年同四半期当第1四半期増減増減率
クラウド
ソリューション事業
売上高2,0122,96294947.2%
売上総利益50567316733.1%
デジタル
ソリューション事業
売上高9501,08713714.4%
売上総利益2072322411.9%
ビジネス
ソリューション事業
売上高2,0772,107301.5%
売上総利益33448915446.3%
プラットフォーム・
運用サービス事業
売上高1,3111,4241128.6%
売上総利益253242△10△4.3%
デジタル
ラーニング事業
売上高504517122.6%
売上総利益15916011.0%

(注) 当第1四半期連結会計期間より各事業の範囲を見直したことにより、前年同四半期のクラウドソリューション事業、デジタルソリューション事業、ビジネスソリューション事業およびプラットフォーム・運用サービス事業の売上高は、それぞれ434百万円減少、319百万円増加、141百万円増加および26百万円減少しております。
また、上記に加え、新卒社員の4月および5月の研修期間中の人件費を「販売費及び一般管理費」として表示する方法に変更したことにより、前年同四半期のクラウドソリューション事業、デジタルソリューション事業、ビジネスソリューション事業、プラットフォーム・運用サービス事業およびデジタルラーニング事業の売上総利益は、それぞれ40百万円減少、72百万円増加、38百万円増加、12百万円増加および1百万円増加しております。
それぞれの事業の範囲は以下のとおりとなります。
事業区分事業内容
クラウドソリューション事業グローバルなSaaSベンダー(Microsoft,Salesforce,ServiceNowなど)との連携によるコラボレーション・CRMなどのクラウドサービス導入時のコンサルティングやインテグレーションサービスの提供など
デジタルソリューション事業グローバルなAIベンダー(Google Cloud Platform, Amazon Web Servicesなど)との連携によるデータ基盤の構築や、グローバルなデータ分析ベンダー(SAS, Informatica, Databricksなど)との連携によるデータ分析ソリューションの提供など
ビジネスソリューション事業グローバルなERPパッケージベンダーとの連携による会計(SAPなど)・人事(SuccessFactorsなど)や、フィンテックなど基幹システムの構築・運用・モダナイゼーションなど
プラットフォーム・運用サービス事業仮想化ソフトウェア(Kubernetesなど)を活用したハイブリッドクラウド環境や仮想化ネットワーク(Ciscoなど)の設計・構築・運用、グローバルなツールを活用した自社センターでのシステムの遠隔監視サービス、ヘルプデスクなど
デジタルラーニング事業グローバルなベンダー(Microsoft, Salesforce, ServiceNowなど)との連携によるベンダー資格取得のための教育、DX人材育成のためのITスキルの習得など


(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間の総資産は、前連結会計年度末に比べて393百万円減少し、21,345百万円となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益の増加等により現金及び預金が1,003百万円、案件の増加により仕掛品が110百万円増加した一方で、売上債権の回収が進んだことにより受取手形及び売掛金が977百万円、投資その他の資産のその他に含まれている保険積立金が解約により537百万円、償却によりのれんが84百万円それぞれ減少したことによるものであります。
当第1四半期連結会計期間の負債は、前連結会計年度末に比べて601百万円減少し、6,039百万円となりました。これは主に社会保険料等の預り金の増加等により流動負債のその他が356百万円増加した一方で、仕入債務の支払が進んだことにより買掛金が173百万円、賞与支給により賞与引当金が535百万円、納付により未払法人税等が149百万円それぞれ減少したことによるものであります。
当第1四半期連結会計期間の純資産は、前連結会計年度末に比べて208百万円増加し、15,305百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益を558百万円計上する一方で、350百万円の配当を実施したことによるものであります。