有価証券報告書-第36期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 15:54
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【項目】
154項目

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。連結財務諸表の作成に当たっては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に関して、必要な見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断には不確実性が伴うことから、実際の結果は見積り及び判断と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況1.(1)連結財務諸表連結務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に、下記に記載した重要な会計方針が連結財務諸表作成における見積りの判断に重要な影響を及ぼすと考えております。
①収益の認識基準
当社グループは、請負工事に係る収益の認識基準について、一定規模以上の案件について工事進行基準を、その他の案件について工事完成基準を適用しております。
当社グループは、全ての案件について、将来の発生原価を合理的に見積って厳格なプロジェクトの採算管理を実施しております。しかしながら、見積時点では想定できなかったシステム上の不具合等により、追加コストが発生した場合には経営成績に悪影響を及ぼす可能性があり、開発スケジュールや検収タイミングに遅延が生じた場合には期間損益に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは契約の締結に際し、長期間にわたる大型かつ包括的な請負契約を避けて複数の個別契約に分割して影響を極小化する、あるいは部分的に検収を受ける、仕様追加や変更に対して追加受注を受ける等の方針を採用しております。顧客との契約締結にあたっては、品質管理部による見積会議により契約の妥当性を検証しておりますが、実態と整合しない契約を締結してしまうことにより期間損益に影響を及ぼす可能性があります。
②工事損失引当金
工事契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注案件のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることのできる契約について、損失見込額を計上しております。しかしながら、見積時点では想定できなかった追加コストの発生等により損失が発生した場合、追加の引当金計上により経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 経営成績
当社グループを取り巻く国内ITサービス市場においては、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)に関する投資が加速しています。同時に新型コロナウイルス感染拡大により、テレワークなど働き方改革への意識が高まっており、更にDX化が推進されます。
このような潮流を長期的な成長の機会と捉え、当社グループにおきましては、DXで企業や社会の未来をリードする「Lead the Future」の精神のもと、総合ITベンダーとして新しい技術やソリューションを組み合わせて活用し、クラウド、ビッグデータ/AIなどのデジタルプラットフォームを活用して、高付加価値なコンサルティングなどの上流工程のビジネス拡大や、データの分析(アナリティクス)や活用の提案の強化など、お客様のビジネスモデルの変革の担い手として取り組んでまいりました。
当社グループにおいては「お客様のささやきをカタチに!」するという、高い提案力を提供するための顧客満足度向上活動を推進してまいりました。これはお客様の要望や関心(ささやき)を吸い上げ、チームで知恵出しを行うことで、お客様にとって最良な提案やサービス(カタチ)を提供できるための経営理念に基づいた活動です。これらの取組みにより、継続的な顧客満足度の向上と高付加価値化を実現しております。
4事業別の業績は以下のとおりとなります。成長領域であるクラウドソリューション事業が24.7%、デジタルソリューション事業が29.2%と大きく伸長したことに加え、製造業の社内システム投資の再開によりエンタープライズソリューション事業も15.5%の増収となり、プラットフォーム・運用サービス事業は、システム運用業務など低付加価値の事業領域からクラウド環境構築等の高付加価値の事業領域へシフトしたことにより、3.4%の増収となりました。
売上高(事業別)
クラウドソリューション事業 7,599百万円(前年同期比 24.7%増)
デジタルソリューション事業 2,173百万円(前年同期比 29.2%増)
エンタープライズソリューション事業 4,902百万円(前年同期比 15.5%増)
プラットフォーム・運用サービス事業 6,258百万円(前年同期比 3.4%増)
売上総利益(事業別)
クラウドソリューション事業 1,646百万円(前年同期比 16.4%増)
デジタルソリューション事業 625百万円(前年同期比 32.9%増)
エンタープライズソリューション事業 1,069百万円(前年同期比 7.6%増)
プラットフォーム・運用サービス事業 1,368百万円(前年同期比 2.0%増)
なお、当連結会計年度より事業区分を変更しております。それぞれの事業の範囲は以下のとおりとなります。
クラウドソリューション事業
グローバルなクラウドソリューションプラットフォーマー(Microsoft,Salesforce.com,ServiceNowなど)との連携によるソリューションの提供、クラウド環境の構築など
デジタルソリューション事業
ビッグデータ/AIツールの活用によるデータ分析ソリューションの提供、RPAツールを使った業務プロセスの可視化、効率化や自動化支援など
エンタープライズソリューション事業
ERPパッケージ(SAPなど)との連携や業務システムのコンサルティングから設計・開発など
プラットフォーム・運用サービス事業
グローバルなクラウドプラットフォーマー(Amazon Web Service, Google Cloud Platformなど)やハードウェアベンダー(HPE,Dell,Ciscoなど)との連携による設計・構築、自社センターでのシステムの遠隔監視サービス、PCや業務アプリケーションのヘルプデスクなど
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
売上高 20,932百万円(前年同期比 15.8%増)
売上総利益 4,708百万円(前年同期比 11.6%増)
営業利益 2,833百万円(前年同期比 10.2%増)
経常利益 2,867百万円(前年同期比 11.3%増)
親会社株主に帰属する当期純利益 1,974百万円(前年同期比 9.2%増)
売上高は、前述のとおりクラウドソリューション事業とデジタルソリューション事業が大きく伸長し、10期連続の増収となり、過去最高となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益も、一部不採算案件が発生したものの、提案力の強化やサービス品質・生産性向上、コンサルティング業務の拡大等で一人あたり売上高が伸長したことにより、労務費の増加、採用人数の増加、オフィスの増床および社内システム強化等の事業拡大・強化のための先行投資も吸収して9期連続の増益となり、こちらも過去最高となりました。
① ソリューションサービス関連
当セグメントにおきましては、当社の主力事業であるクラウドビジネスにおけるコールセンターシステム構築やオンプレミスシステムからクラウドへの移行などの需要の増加、ビッグデータ/AIビジネスでは需要予測やデータ分析環境の構築などの需要の増加、ERPビジネスでは新規導入や更新ビジネスの増加、RPAビジネスでは事務部門のデータ入力作業の自動化システムなどの増加により、売上高は13,805百万円(前年同期比15.9%増)、売上総利益は3,082百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
② ネットワークサービス関連
当セグメントにおきましては、お客様のクラウド環境への移行に伴う構築および遠隔監視ビジネスなど、成長領域へのシフトとビジネスの高付加価値化を積極的に推進したことに加え、当期より連結した子会社の寄与により、売上高は7,374百万円(前年同期比15.6%増)、売上総利益は1,655百万円(前年同期比18.2%増)となりました。
③ プロダクト販売関連
当セグメントにおきましては、クラウドサービスのライセンスの再販ビジネスが大きく伸長したことにより、売上高は74百万円(前年同期比53.2%増)、売上総利益は9百万円(前年同期比27.8%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当社グループは、各種システムの提案、構築、保守及び運用に係るサービスの提供を行っており、生産実績を定義することは困難であるため記載しておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
ソリューションサービス関連14,707,27017.93,812,51037.6
ネットワークサービス関連6,844,77422.81,602,726△13.7
プロダクト販売関連60,587△16.922,361△34.8
合計21,612,63219.35,437,59716.6

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
ソリューションサービス関連13,781,41115.8
ネットワークサービス関連7,078,43315.6
プロダクト販売関連72,49950.1
合計20,932,34415.8

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1,783百万円増加し、14,771百万円となりました。これは主に、1,974百万円の親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により現金及び預金が1,084百万円、業務拡大に伴うオフィス増床等による建物(純額)が183百万円、同様の理由による差入保証金が305百万円、AI関連企業への出資等により投資有価証券が194百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて392百万円減少し、3,576百万円となりました。これは主に、支払のタイミングにより買掛金が144百万円、返済により1年内返済予定長期借入金を含む長期借入金が139百万円減少した他、未払費用が64百万円、賞与引当金が65百万円それぞれ減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて2,175百万円増加し、11,195百万円となりました。これは主に、業績が好調なことから、剰余金の配当997百万円を上回る親会社株主に帰属する当期純利益1,974百万円を計上したこと及び新株予約権の行使による自己株式の処分によって資本剰余金が1,016百万円増加したことによるものであります。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,084百万円増加し、8,893百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、1,735百万円(前年同期比12.4%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,883百万円、減価償却費が126百万円、のれん償却費が128百万円であったことに対し、法人税等の支払額が833百万円あったことに加え、仕入債務及び未払費用がそれぞれ144百万円及び95百万円減少したことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、701百万円(前年同期比539.5%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が341百万円、投資有価証券の取得による支出が349百万円、差入保証金の差入による支出が381百万円あった一方で、投資有価証券の償還による収入が100百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が242百万円あったことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果獲得した資金は50百万円(前年同期比97.7%減)となりました。これは主に、新株予約権の行使による自己株式の処分による収入1,187百万円に対し、配当金の支払額が993百万円及び長期借入金の返済による支出139百万円があったことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末において総資産のおよそ6割の手元資金を保有していることから、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えております。なお、本報告書提出日現在において、重要な資本的支出または重要な買収等の予定はありません。