有価証券報告書-第15期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は以下のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
1)経営成績
当連結会計年度における当社及び連結子会社の売上収益は、モビリティ&テレマティクスサービス分野の生産・販売の正常化による増収に加え、パブリックサービス分野の無線システム事業の販売が想定を上回って好調に推移し、大幅増収となったこと等から、前年同期比で大幅な増収となりました。全社営業利益についても、増収の効果に加え、第3四半期連結会計期間に固定資産譲渡益(約97億円)を計上したこと等から、前年同期比で大幅な増益となりました。
なお、当連結会計年度の連結経営成績のサマリーは以下のとおりです。
(単位:百万円)
※売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除することにより算出され、主として一時的な要因からなる、その他の収益、その他の費用、為替差損益等を含みません。セグメントの業績評価は「コア営業利益」を使用して説明します。なお、2024年3月期より「コア営業利益」から「事業利益」に名称を変更します。
また、当連結会計年度の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。
* 売上収益
当連結会計年度における売上収益は、モビリティ&テレマティクスサービス分野が、自動車向けスピーカー、アンプ、ケーブル等の販売拡大に加え、半導体等の部品不足の解消等により、分野全体で大幅な増収となりました。さらに、パブリックサービス分野の無線システム事業の販売が想定を大幅に上回って好調に推移したことに加え、メディアサービス分野の販売も堅調に推移したことから、全社の売上収益は前年同期比で約548億円の大幅増(19.4%増収)となる3,369億10百万円となりました。
*コア営業利益
当社は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除したものを「コア営業利益」としています。
当連結会計年度における全社のコア営業利益は、上記のとおり大幅な増収となったこと等から、前年同期比で約87億円の大幅増(121.6%増益)となる158億36百万円となりました。なお、従業員の雇用等に関わる政府補助金を純損益として認識し、売上原価と販売費及び一般管理費から控除しています。
*営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前年度に計上した子会社の売却益及び金融資産の評価益が減少したものの、コア営業利益が大幅な増益となったことに加え、第3四半期連結会計期間に固定資産譲渡益(約97億円)を計上したこと等から、前年同期比で約126億円の大幅増(138.9%増益)となる216億34百万円となりました。
* 税引前利益
当連結会計年度における税引前利益は、営業利益が大幅な増益となったこと等から、前年同期比で約126億円の大幅増(148.5%増益)となる211億61百万円となりました。
* 親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益が大幅な増益となったこと等から、前年同期比で約104億円の大幅増(176.3%増益)となる162億29百万円となりました。
2)財政状態
*資産
資産合計は、現金及び現金同等物の増加に加えて、サプライチェーン問題等の影響により棚卸資産が増加したこと等から、前連結会計年度末比で約185億円増となる2,993億55百万円となりました。
*負債
負債合計は、営業債務及びその他の債務は増加しましたが、銀行借入れの返済を進めたことにより借入金が減少したこと等から、前連結会計年度末比で約12億円減となる1,956億24百万円となりました。
*資本
資本合計は、利益剰余金が約155億円増加したことに加え、その他の資本の構成要素が増加したこと等から、前連結会計年度末比で約198億円増となる1,037億31百万円となりました。
なお、親会社所有者帰属持分比率は、親会社の所有者に帰属する持分合計が増加したことから、前連結会計年度末比で4.7ポイント増加し33.0%となりました。
② セグメントごとの売上収益及び損益
セグメントごとの売上収益及びコア営業利益は以下のとおりです。
(百万円)
* モビリティ&テレマティクスサービス分野
当連結会計年度におけるモビリティ&テレマティクスサービス分野の売上収益は、前年同期比で約333億円の大幅増(20.3%増収)となる1,975億64百万円、コア営業利益は同約21億円の大幅増(95.7%増益)となる43億96百万円となりました。
(売上収益)
OEM事業は、車載用スピーカー、アンプ、ケーブル等の販売拡大に加え、半導体等の部品不足が解消したことで用品が増収となったこと等から、前年同期比で大幅な増収となりました。
アフターマーケット事業は、半導体等の部品不足の解消に加え、国内外で販売が堅調に推移したこと等から、前年同期比で大幅な増収となりました。
テレマティクスサービス事業も部品不足の解消に加え、損害保険会社向け通信型ドライブレコーダー等のテレマティクスソリューション関連商品が堅調な販売を継続したこと等から、前年同期比で増収となりました。
(コア営業利益)
テレマティクスサービス事業は部品価格高騰の影響を受けたこと等から減益となったものの、OEM事業、アフターマーケット事業は増収の効果により大幅増益となったことから、モビリティ&テレマティクスサービス分野全体でも、前年同期比で大幅な増益となりました。
* パブリックサービス分野
当連結会計年度におけるパブリックサービス分野の売上収益は、前年同期比で約166億円の大幅増(28.5%増収)となる746億52百万円、コア営業利益は同約82億円の大幅増(332.6%増益)となる106億75百万円となりました。
(売上収益)
無線システム事業は、全世界的な危機管理への機運の高まりにより需要が拡大していることに加え、米国において多額の政府予算を背景に公共安全市場の需要が堅調であること、さらに高機能を有する新製品トライバンド対応無線機の導入により受注獲得が進んでいること等によって好調に推移し、前年同期比で約161億円の大幅な増収となりました。
業務用システム事業は、株式会社JVCケンウッド・公共産業システムで、売上規模の大きい電設市場の販売回復が遅れているものの、ヘルスケアが増収となったことから、前年同期比で約5億円の増収となりました。
(コア営業利益)
無線システム事業が増収効果により前年同期比で大幅な増益となったことから、パブリックサービス分野全体でも大幅な増益となりました。
* メディアサービス分野
当連結会計年度におけるメディアサービス分野の売上収益は、前年同期比で約38億円増(7.2%増収)となる572億65百万円、コア営業利益は同約19億円減(70.5%減益)となる7億98百万円となりました。
(売上収益)
メディア事業は、第2四半期連結会計期間以降にプロジェクターの販売が回復したこと等から、前年同期比で約25億円増収となりました。
エンタテインメント事業は、年間を通じてコンテンツビジネスの販売が堅調に推移したこと等から、前年同期比で約13億円増収となりました。
(コア営業利益)
エンタテインメント事業は、増収効果により前年同期比で増益となりましたが、メディア事業でヘッドホン、イヤホン等が仕入価格高騰による影響を受けたこと等から、前年同期比で減益となり、メディアサービス分野全体では前年同期比で減益となりました。
③ キャッシュ・フロー
* 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は266億7百万円となり、前年同期比で約195億円収入が増加しました。主な要因は、税引前利益が増加したことや営業債権及びその他の債権が減少したこと等によるものです。
* 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において投資活動により減少した資金は73億29百万円となり、前年同期比で約25億円支出が減少しました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出は増加しましたが、当社八王子事業所の土地売却による収入があったこと等によるものです。
* 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において財務活動により減少した資金は140億32百万円となり、前年同期比で約28億円支出が増加しました。主な要因は、銀行借入れの返済を進めたこと等によるものです。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比で約75億円増となる561億86百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
* 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注)金額は販売価格で計上しており、消費税等は含まれていません。
* 受注実績
当社グループの製品のうち、モビリティ&テレマティクスサービス分野・パブリックサービス分野・メディアサービス分野・その他については原則として見込生産によっています。ただし、メディアサービス分野におけるエンタテインメント事業の一部は受注生産によっていますが、これらは受注と同時に生産・引渡しを行うため受注高と販売高はほぼ同額です。
* 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②セグメントごとの売上収益及び損益」に、セグメントごとに記載しています。なお、主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討事項は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、2023年3月期の期初における連結業績予想及び2023年2月1日付の修正業績予想との対比で、以下のとおりとなりました。なお、当社グループは、2022年10月31日及び2023年2月1日付で2023年3月期通期連結業績予想の修正を行っています。
(百万円)
当連結会計年度の経営成績は、モビリティ&テレマティクスサービス分野の生産・販売の正常化による増収に加え、パブリックサービス分野の無線システム事業の販売が想定を上回って好調に推移し、大幅増収となったこと等から、売上収益は3,369億10百万円となり、第3四半期連結会計期間に固定資産譲渡益(約97億円)を計上したこと等から、営業利益は216億34百万円、税引前利益は211億61百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は162億29百万円となりました。
2) 財政状態
財政状態の分析の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の概要 2)財政状態」に記載しています。
3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
*キャッシュ・フロー
当社は、円滑な事業活動に必要な資金について、主として銀行等金融機関から借入金により資金調達を行っており、借入金の年度別返済額を平準化することで借り換えリスクの低減を図っています。
また、一時的な資金需要の増加にも対応できるように銀行とコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性を確保しています。
なお、当社は、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動で支出されたキャッシュ・フローの合計をフリーキャッシュ・フローとして定義し、当社はこの指標を戦略的投資又は借入金返済に充当可能な資金、或いは資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、有用な指標と考えており、以下のとおりフリーキャッシュ・フローを算出しています。
また、これらの分析の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。
(百万円)
*資金需要
当社の運転資金のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び宣伝販促費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めています。
*財務政策
社は、株主への安定的な利益還元を図っていくとともに、今後の成長に向けた投資、財務基盤の強化を図り、大きな成長を実現する事業の構築を推進して行き、その時々の経営状況に鑑みて、株主還元、有利子負債の返済、投融資に配分して資金を使用します。
この2年間での資金配分は以下のとおりとなっています。
(百万円)
※1. 投融資は、投資キャッシュ・フローから定期預金の増減、資産売却及び分配による収入を除外した額。
※2. 有利子負債は、借入金純増減額の減少額とリース負債の返済額の合計額で、合計額がマイナスの場合は「-」(増加(収入)となる。)となります。
4) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループにおいては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載した各種の要因が、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は以下のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
1)経営成績
当連結会計年度における当社及び連結子会社の売上収益は、モビリティ&テレマティクスサービス分野の生産・販売の正常化による増収に加え、パブリックサービス分野の無線システム事業の販売が想定を上回って好調に推移し、大幅増収となったこと等から、前年同期比で大幅な増収となりました。全社営業利益についても、増収の効果に加え、第3四半期連結会計期間に固定資産譲渡益(約97億円)を計上したこと等から、前年同期比で大幅な増益となりました。
なお、当連結会計年度の連結経営成績のサマリーは以下のとおりです。
(単位:百万円)
2022年3月期 | 2023年3月期 | 前年同期比 | 増減率 | |
売上収益 | 282,088 | 336,910 | +54,821 | +19.4% |
コア営業利益※ | 7,144 | 15,836 | +8,691 | +121.6% |
営業利益 | 9,054 | 21,634 | +12,579 | +138.9% |
税引前利益 | 8,515 | 21,161 | +12,646 | +148.5% |
親会社の所有者に帰属する 当期利益 | 5,873 | 16,229 | +10,356 | +176.3% |
※売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除することにより算出され、主として一時的な要因からなる、その他の収益、その他の費用、為替差損益等を含みません。セグメントの業績評価は「コア営業利益」を使用して説明します。なお、2024年3月期より「コア営業利益」から「事業利益」に名称を変更します。
また、当連結会計年度の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。
第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | ||
損益為替レート | 米ドル | 約130円 | 約138円 | 約141円 | 約132円 |
ユーロ | 約138円 | 約139円 | 約144円 | 約142円 | |
前期(参考) | 米ドル | 約110円 | 約110円 | 約114円 | 約116円 |
ユーロ | 約132円 | 約130円 | 約130円 | 約130円 |
* 売上収益
当連結会計年度における売上収益は、モビリティ&テレマティクスサービス分野が、自動車向けスピーカー、アンプ、ケーブル等の販売拡大に加え、半導体等の部品不足の解消等により、分野全体で大幅な増収となりました。さらに、パブリックサービス分野の無線システム事業の販売が想定を大幅に上回って好調に推移したことに加え、メディアサービス分野の販売も堅調に推移したことから、全社の売上収益は前年同期比で約548億円の大幅増(19.4%増収)となる3,369億10百万円となりました。
*コア営業利益
当社は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除したものを「コア営業利益」としています。
当連結会計年度における全社のコア営業利益は、上記のとおり大幅な増収となったこと等から、前年同期比で約87億円の大幅増(121.6%増益)となる158億36百万円となりました。なお、従業員の雇用等に関わる政府補助金を純損益として認識し、売上原価と販売費及び一般管理費から控除しています。
*営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前年度に計上した子会社の売却益及び金融資産の評価益が減少したものの、コア営業利益が大幅な増益となったことに加え、第3四半期連結会計期間に固定資産譲渡益(約97億円)を計上したこと等から、前年同期比で約126億円の大幅増(138.9%増益)となる216億34百万円となりました。
* 税引前利益
当連結会計年度における税引前利益は、営業利益が大幅な増益となったこと等から、前年同期比で約126億円の大幅増(148.5%増益)となる211億61百万円となりました。
* 親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益が大幅な増益となったこと等から、前年同期比で約104億円の大幅増(176.3%増益)となる162億29百万円となりました。
2)財政状態
*資産
資産合計は、現金及び現金同等物の増加に加えて、サプライチェーン問題等の影響により棚卸資産が増加したこと等から、前連結会計年度末比で約185億円増となる2,993億55百万円となりました。
*負債
負債合計は、営業債務及びその他の債務は増加しましたが、銀行借入れの返済を進めたことにより借入金が減少したこと等から、前連結会計年度末比で約12億円減となる1,956億24百万円となりました。
*資本
資本合計は、利益剰余金が約155億円増加したことに加え、その他の資本の構成要素が増加したこと等から、前連結会計年度末比で約198億円増となる1,037億31百万円となりました。
なお、親会社所有者帰属持分比率は、親会社の所有者に帰属する持分合計が増加したことから、前連結会計年度末比で4.7ポイント増加し33.0%となりました。
② セグメントごとの売上収益及び損益
セグメントごとの売上収益及びコア営業利益は以下のとおりです。
(百万円)
セグメントの名称 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 前連結会計年度比 | |
モビリティ&テレマティクス | 売上収益 | 164,251 | 197,564 | +33,312 |
サービス分野 | コア営業利益 | 2,246 | 4,396 | +2,149 |
パブリックサービス分野 | 売上収益 | 58,089 | 74,652 | +16,563 |
コア営業利益 | 2,467 | 10,675 | +8,207 | |
メディアサービス分野 | 売上収益 | 53,432 | 57,265 | +3,833 |
コア営業利益 | 2,703 | 798 | △1,905 | |
その他 | 売上収益 | 6,315 | 7,427 | +1,112 |
コア営業利益 | △273 | △33 | +239 | |
合計 | 売上収益 | 282,088 | 336,910 | +54,821 |
コア営業利益 | 7,144 | 15,836 | +8,691 | |
営業利益 | 9,054 | 21,634 | +12,579 | |
税引前利益 | 8,515 | 21,161 | +12,646 | |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 5,873 | 16,229 | +10,356 |
* モビリティ&テレマティクスサービス分野
当連結会計年度におけるモビリティ&テレマティクスサービス分野の売上収益は、前年同期比で約333億円の大幅増(20.3%増収)となる1,975億64百万円、コア営業利益は同約21億円の大幅増(95.7%増益)となる43億96百万円となりました。
(売上収益)
OEM事業は、車載用スピーカー、アンプ、ケーブル等の販売拡大に加え、半導体等の部品不足が解消したことで用品が増収となったこと等から、前年同期比で大幅な増収となりました。
アフターマーケット事業は、半導体等の部品不足の解消に加え、国内外で販売が堅調に推移したこと等から、前年同期比で大幅な増収となりました。
テレマティクスサービス事業も部品不足の解消に加え、損害保険会社向け通信型ドライブレコーダー等のテレマティクスソリューション関連商品が堅調な販売を継続したこと等から、前年同期比で増収となりました。
(コア営業利益)
テレマティクスサービス事業は部品価格高騰の影響を受けたこと等から減益となったものの、OEM事業、アフターマーケット事業は増収の効果により大幅増益となったことから、モビリティ&テレマティクスサービス分野全体でも、前年同期比で大幅な増益となりました。
* パブリックサービス分野
当連結会計年度におけるパブリックサービス分野の売上収益は、前年同期比で約166億円の大幅増(28.5%増収)となる746億52百万円、コア営業利益は同約82億円の大幅増(332.6%増益)となる106億75百万円となりました。
(売上収益)
無線システム事業は、全世界的な危機管理への機運の高まりにより需要が拡大していることに加え、米国において多額の政府予算を背景に公共安全市場の需要が堅調であること、さらに高機能を有する新製品トライバンド対応無線機の導入により受注獲得が進んでいること等によって好調に推移し、前年同期比で約161億円の大幅な増収となりました。
業務用システム事業は、株式会社JVCケンウッド・公共産業システムで、売上規模の大きい電設市場の販売回復が遅れているものの、ヘルスケアが増収となったことから、前年同期比で約5億円の増収となりました。
(コア営業利益)
無線システム事業が増収効果により前年同期比で大幅な増益となったことから、パブリックサービス分野全体でも大幅な増益となりました。
* メディアサービス分野
当連結会計年度におけるメディアサービス分野の売上収益は、前年同期比で約38億円増(7.2%増収)となる572億65百万円、コア営業利益は同約19億円減(70.5%減益)となる7億98百万円となりました。
(売上収益)
メディア事業は、第2四半期連結会計期間以降にプロジェクターの販売が回復したこと等から、前年同期比で約25億円増収となりました。
エンタテインメント事業は、年間を通じてコンテンツビジネスの販売が堅調に推移したこと等から、前年同期比で約13億円増収となりました。
(コア営業利益)
エンタテインメント事業は、増収効果により前年同期比で増益となりましたが、メディア事業でヘッドホン、イヤホン等が仕入価格高騰による影響を受けたこと等から、前年同期比で減益となり、メディアサービス分野全体では前年同期比で減益となりました。
③ キャッシュ・フロー
* 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は266億7百万円となり、前年同期比で約195億円収入が増加しました。主な要因は、税引前利益が増加したことや営業債権及びその他の債権が減少したこと等によるものです。
* 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において投資活動により減少した資金は73億29百万円となり、前年同期比で約25億円支出が減少しました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出は増加しましたが、当社八王子事業所の土地売却による収入があったこと等によるものです。
* 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において財務活動により減少した資金は140億32百万円となり、前年同期比で約28億円支出が増加しました。主な要因は、銀行借入れの返済を進めたこと等によるものです。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比で約75億円増となる561億86百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
* 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
モビリティ&テレマティクスサービス分野 | 208,661 | 23.40 |
パブリックサービス分野 | 81,518 | 41.56 |
メディアサービス分野 | 58,772 | 3.35 |
その他 | 7,407 | △14.84 |
合計 | 356,359 | 21.94 |
(注)金額は販売価格で計上しており、消費税等は含まれていません。
* 受注実績
当社グループの製品のうち、モビリティ&テレマティクスサービス分野・パブリックサービス分野・メディアサービス分野・その他については原則として見込生産によっています。ただし、メディアサービス分野におけるエンタテインメント事業の一部は受注生産によっていますが、これらは受注と同時に生産・引渡しを行うため受注高と販売高はほぼ同額です。
* 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②セグメントごとの売上収益及び損益」に、セグメントごとに記載しています。なお、主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討事項は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、2023年3月期の期初における連結業績予想及び2023年2月1日付の修正業績予想との対比で、以下のとおりとなりました。なお、当社グループは、2022年10月31日及び2023年2月1日付で2023年3月期通期連結業績予想の修正を行っています。
(百万円)
(参考) 2023年3月期 通期連結業績予想 (2022年4月27日付 期初業績予想) | 2023年3月期 通期連結業績予想 (2023年2月1日付 修正業績予想) | 2023年3月期 通期連結実績 | 2023年3月期 通期連結業績予想比 (2023年2月1日付 修正業績予想比) | |
売上収益 | 300,000 | 330,000 | 336,910 | 101.2% |
営業利益 | 8,000 | 21,400 | 21,634 | 101.1% |
税引前利益 | 7,000 | 21,000 | 21,161 | 100.8% |
親会社の所有者に帰属する 当期利益 | 4,000 | 16,000 | 16,229 | 101.4% |
当連結会計年度の経営成績は、モビリティ&テレマティクスサービス分野の生産・販売の正常化による増収に加え、パブリックサービス分野の無線システム事業の販売が想定を上回って好調に推移し、大幅増収となったこと等から、売上収益は3,369億10百万円となり、第3四半期連結会計期間に固定資産譲渡益(約97億円)を計上したこと等から、営業利益は216億34百万円、税引前利益は211億61百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は162億29百万円となりました。
2) 財政状態
財政状態の分析の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の概要 2)財政状態」に記載しています。
3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
*キャッシュ・フロー
当社は、円滑な事業活動に必要な資金について、主として銀行等金融機関から借入金により資金調達を行っており、借入金の年度別返済額を平準化することで借り換えリスクの低減を図っています。
また、一時的な資金需要の増加にも対応できるように銀行とコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性を確保しています。
なお、当社は、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動で支出されたキャッシュ・フローの合計をフリーキャッシュ・フローとして定義し、当社はこの指標を戦略的投資又は借入金返済に充当可能な資金、或いは資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、有用な指標と考えており、以下のとおりフリーキャッシュ・フローを算出しています。
また、これらの分析の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。
(百万円)
2022年3月期 | 2023年3月期 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 7,059 | 26,607 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △9,804 | △7,329 |
フリーキャッシュ・フロー | △2,744 | 19,278 |
*資金需要
当社の運転資金のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び宣伝販促費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めています。
*財務政策
社は、株主への安定的な利益還元を図っていくとともに、今後の成長に向けた投資、財務基盤の強化を図り、大きな成長を実現する事業の構築を推進して行き、その時々の経営状況に鑑みて、株主還元、有利子負債の返済、投融資に配分して資金を使用します。
この2年間での資金配分は以下のとおりとなっています。
(百万円)
2022年3月期 | 2023年3月期 | |
株主還元 | 819 | 980 |
投融資 | 16,273 | 16,115 |
有利子負債の返済 | 10,008 | 12,331 |
※1. 投融資は、投資キャッシュ・フローから定期預金の増減、資産売却及び分配による収入を除外した額。
※2. 有利子負債は、借入金純増減額の減少額とリース負債の返済額の合計額で、合計額がマイナスの場合は「-」(増加(収入)となる。)となります。
4) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループにおいては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載した各種の要因が、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。