四半期報告書-第11期第3四半期(令和4年7月1日-令和4年9月30日)

【提出】
2022/11/11 11:18
【資料】
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【項目】
42項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動をトータルに支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しており、当連結会計年度におきましても、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、戦略的な開発投資を継続して行い、企業価値の向上に注力しております。
9月1日には、グループの中長期的な成長の実現を目的に、より機動的なクリエイターサポート事業の経営体制構 築を目指し、株式会社セルシスを合併し、社名を株式会社セルシスとして活動を始めております。
当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は5,544,308千円(前年同期比6.8%増)、営業利益は1,233,533千円(前年同期比11.5%増)となりました。
また、経常利益につきましては、助成金収入24,439千円、為替差益95,165千円を計上したこと、株式交付費7,790千円等により、1,339,402千円の経常利益(前年同期比16.1%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、第1四半期連結累計期間で事務所移転に伴う固定資産除却損及び賃貸借契約解約損を60,215千円計上したこと、法人税等406,032千円を計上したことにより、875,984千円の親会社株主に帰属する四半期純利益(前年同期比25.4%減)となりました。
また、子会社のカンデラが展開するUI/UX事業は、2022年後半以降の市場回復・拡大をにらみ、開発投資とパートナーとの提携を積極的に行っておりましたが、当事業の主要な顧客である自動車関連分野は、前期に引き続き、新車開発の遅れによるモデルチェンジサイクルの長期化や、半導体不足等による生産台数の減少等を受け、厳しい事業環境が続いております。このような事業環境を踏まえたうえで、将来の収益貢献見込み等を慎重に精査し、当社グループにおけるUI/UX事業の役割及び位置づけの抜本的な見直しを引き続き行っております。
事業別セグメントにつきましては、以下のとおりであります。
<クリエイターサポート事業>第3四半期においても継続して、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の機能向上を目的とした開発投資を行いながら、海外利用ユーザー及びサブスクリプション契約の増加を目的とした、全世界に向けたプロモーション活動を実施しております。
「CLIP STUDIO PAINT」は、2022年9月現在では累計出荷本数が2,300万本(前年同月比55.6%増)を超え、そのうち75%以上が日本語以外の海外に向けた出荷となっております。また、同月のサブスクリプション契約数は9月末では66.1万契約(前年同月比62.4%増)となり、ARR(当社がサブスクリプションから年間ベースで得られると期待できる金額)は2,375,000千円(前年同月比48.9%増)となりました。
注力しているサブスクリプションモデルでのライセンス提供は、廉価な価格で利用開始の敷居を下げる反面、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収する買い切りモデルに比べ、短期的には収益効果が低くなります。しかしながら、継続して利用頂くことで中長期においては安定した収益が期待できるため、引き続きサブスクリプションモデルでのライセンス提供に注力してまいります。
なお、クリエイターサポート事業は、売上の過半数が日本国外からとなっており、為替の影響を受けています。各通貨に対して円安が進んでいる現状では、買い切りライセンスの販売では売上押し上げ効果はありますが、サブスクリプション契約の年払いモデルにおいては、売上を12か月に分割して計上しており、短期的な売上押し上げ効果については低くなります。また、主にドル建てで費用が発生する、クラウドサーバーインフラコストや、日本国外に出稿するWEB広告のコスト等が経費の増加に繋がっています。以上のことから、為替変動の損益に対する影響額は公示されている為替レートがダイレクトに反映されることとはなりません。
「CLIP STUDIO PAINT」は、Windows/macOS買い切り(無期限)版の提供において、2012年の販売から約10年間に無償で80回を超える機能アップデートを続けて参りましたが、2023年以降の収益改善を目的に「CLIP STUDIO PAINT」を、2023年3月に有償でのメジャーアップデート及び、年払いのサブスクリプションを必要とする提供・販売方法に変更する旨の顧客への告知を8月22日に実施いたしました。これにより、従来通り常に最新の機能を利用するためには、サブスクリプション契約をしていただく形となり、サブスクリプション契約の増加や、これまで獲得できてこなかった既存の買い切りモデルユーザーからの新バージョン購入による収益改善が期待でき、より安定した継続的なサービス提供を実現します。
以上の告知の結果、当第3四半期連結会計期間では、9月に実施した日本国外の新規ユーザー獲得目的のWindows及びMacOSの「CLIP STUDIO PAINT」ダウンロード(買い切り)版の海外向け販促キャンペーンも含んだ、現行バージョンの買い控えによる売上減の影響により、買い切り版のツール販売のみが減少しました。なお、8月22日以降のツール販売以外の出荷本数及びサブスクリプション契約数、ARRに影響はございません。
本件買い控えに対する影響につきましては、10月13日に当社ホームページのトピックにてリリースしましたとおり(ご参照アドレス:https://www.celsys.com/topic/2022101302)、2023年3月リリース予定の「CLIP STUDIO PAINT」の最新バージョンを、購入者に無償で提供するキャンペーン等を10月14日から実施することで解消を見込んでおります。
また、クリエイターサポート事業は、戦略的な開発投資も継続して行っております。当四半期においては、昨今クリエイティブ分野で影響力を増している画像生成AIに関する開発を行っております。
さらに、WEB3及びメタバースを見据えた、新たなコンテンツ流通をサポートするソリューションの開発を、11月1日付で株式会社CLIPソリューションズから社名変更を行った、当社100%子会社である株式会社&DC3を中心に取り組んでおります。
以上の結果、売上高は4,611,306千円(前年同期比4.3%増)、営業利益は1,514,968千円(前年同期比3.3%増)となりました。
子会社のカンデラが展開するUI/UX事業では、自動車(四輪・二輪)関連分野を筆頭に、車載向けソフトウェア開発プラットフォーム「CGI Studio」、及び、HMIの基盤であるUIオーサリングソフトウェア「UI Conductor」を中心とする自社IP製品の開発に注力しております。
当事業の主要な顧客である自動車関連分野は、前期に引き続き、新車開発の遅れによるモデルチェンジサイクルの長期化や、半導体不足等による生産台数の減少等を受け、厳しい事業環境が続きました。
当第3四半期連結累計期間では、HMI開発ツールの最新バージョン「CGI Studio 3.11」をリリースしました。また、10月20日には、開発中の次世代HMIソリューション「Candera Studio」を発表いたしました。「Candera Studio」は、自動車関連に限らず、液晶デバイスの普及により今後市場拡大が見込まれる、産業・民生機器等の幅広い分野で利用可能になることを目指しており、2023年度の正式リリースを予定しております。
以上の結果、売上高は933,001千円(前年同期比22.5%増)、営業損失は307,816千円(前年同期は415,495千円の営業損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べて1,974,971千円増加し10,319,642千円となりました。この主な要因は、償却により技術資産が76,733千円、繰延税金資産が69,895千円減少したものの第3者割当増資の実施等により現金及び預金が1,491,288千円、未収入金が56,680千円、ソフトウェアが246,969千円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べて183,505千円増加し1,951,989千円となりました。この主な要因は、未払費用が25,251千円、未払法人税等が39,814千円、役員退職慰労引当金が30,008千円、減少した一方で前受金が146,527千円、賞与引当金が61,541千円、退職給付に係る負債が32,788千円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,791,466千円増加し8,367,653千円となりました。主な要因は、自己株式の取得674,852千円があったものの第3者割当増資等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ800,814千円ずつ増加したこと、利益剰余金が782,260千円増加したこと等によるものであります。なお、自己資本比率は、80.5%となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、32,873千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。