四半期報告書-第10期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/12 10:47
【資料】
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【項目】
40項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社は、2021年9月3日開催の取締役会において、今後の当社グループの中長期的な成長を実現していくため、より機動的な経営体制を構築し事業を推進することが最善であると考え、2022年4月1日を効力発生日として、当社と株式会社セルシスを合併させ、統合会社の商号を事業会社としての認知度が高い株式会社セルシスに変更することを決議いたしました。
当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動をトータルに支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しております。
当連結会計年度におきましても、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、戦略的な開発投資を継続して行い、企業価値の向上に注力しております。
その結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は5,192,966千円(前年同期比11.3%増)、営業利益は1,106,574千円(前年同期74.9%増)となりました。
また、経常利益につきましては、助成金収入53,984千円、為替差損4,590千円を計上したこと等により、1,153,995千円の経常利益(前年同期比87.3%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、当第2四半期連結累計期間に特別利益として関係会社株式売却益205,651千円を計上したこと、法人税等185,178千円を計上したことにより、1,174,903千円の親会社株主に帰属する四半期純利益(前年同期はのれんの減損損失による特別損失の計上により651,363千円の四半期純損失)となりました。
なお、当社では、株主優待制度を通じて当社事業へのご理解を深めていただき、より多くの皆様に中長期的に当社株式を所有していただくことを目的として株主優待制度を新設、2021年7月末現在の株主様に向け、9月中旬に発送いたしました。
事業別セグメントにつきましては、以下のとおりであります。
<クリエイターサポート事業>当第3四半期連結累計期間においては、第1四半期、第2四半期に引き続き、子会社の株式会社セルシスがイラスト・マンガ・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」のインターネット上での全世界に向けたプロモーション活動を実施しております。
「CLIP STUDIO PAINT」は、2021年9月現在、累計出荷本数は1,498万本、そのうち70%以上が日本語以外の海外に向けた出荷となっております。また、「月次事業進捗レポート」で公表しております、「2020年1月を100%とした「CLIP STUDIO PAINT」サブスクリプションモデルの契約数進捗率」は、2021年9月には350%となり、堅調に推移しています。さらに、サブスクリプションモデルの事業進捗をよりご理解いただくことを目的に、2021年9月の「月次事業進捗レポート」から、ARR(Annual Recurring Revenueの略称)を通じて、当社がサブスクリプションから年間ベースで得られると期待できる金額の公表も始めており、2021年9月のARRは1,595,000千円となっております。
サブスクリプションモデルでのライセンス提供は、廉価な価格で利用開始の敷居を下げ、ユーザー数の増加を加速することができる反面、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収する買い切りモデルに比べ、短期的には収益効果が低くなります。しかしながら、「CLIP STUDIO PAINT」への開発投資を続け、継続して利用頂くことで中・長期においては安定した収益が期待できるため、引き続きサブスクリプションモデルでのライセンス提供に注力してまいります。
9月には、「CLIP STUDIO PAINT」に全プラットホームに向けたアップデートVer.1.11.0を提供し、ブラシの表現力強化や、ファイル容量の軽量化などを実現しました。引き続き、積極的な開発投資を行ってまいります。
同じく9月に、マンガ制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」を開発・提供する株式会社セルシスが、日本では「LINEマンガ」、韓国では「NAVER WEBTOON」等のサービスをグローバルに提供するWEBTOON Entertainment社と、コンテンツの制作・翻訳・流通の効率化とマーケットの活性化を目指し、技術提携いたしました。
当期も、セルシスは、アプリ・サービスの利用促進を目的とした活動を行いました。セルシスが主催した、全世界の学生を対象とした「国際コミック・マンガスクールコンテスト2021」 の結果発表を行い、世界85の国・地域の1,245校の参加登録校から応募された1,500を超える作品から、受賞作品を決定しました。また、WEBTOON Entertainment社が運営する、クリエイター向けウェブコミックプラットフォーム「Webtoon CANVAS」と、オンラインイベント「Webtoon CANVAS Summit」を共催し、初心者やプロのコミック・アーティストに向けたセミナー等を実施しました。さらに、株式会社ワコムと提携して、同社が主催する世界3日間の全デジタルイベント「Manga&Anime Days」を開催し、制作者によるワークショップ、プレゼンテーション、ライブのコミュニティイベント等を行いました。
今後も、協業パートナーと共に積極的にイベント等を開催・協賛する等、株式会社セルシスが運営する会員サイト「CLIP STUDIO」におけるコンテスト等も通じて、クリエイターの創作のきっかけを創出するサービスの充実を図ってまいります。
この他、デバイス向けでは、「CLIP STUDIO PAINT」がSamsungのGalaxy Tab S7 FEにグローバルでプリインストールされました。
電子書籍ソリューションでは、電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」が株式会社エル・エー・ビーの電子書籍サイト「LIVECITY BOOKS」に、株式会社ホビージャパンのノベル&コミック配信サイト「ファイアCROS」で、それぞれ採用されました。
また、「CLIP STUDIO READER」が、Apple社より9月21日に提供されたiPhone向け最新OS「iOS 15」、iPad向け最新OS「iPadOS 15」にそれぞれ対応いたしました。
以上の結果、売上高は4,420,045千円(前年同期比25.8%増)、営業利益は1,466,501千円(前年同期比21.9%増)となりました。
UI/UX事業では、自動車(四輪・二輪)関連分野を筆頭に、車載向けソフトウェア開発プラットフォーム「CGI Studio」(シージーアイスタジオ)、及び、HMIの基盤であるUIオーサリングソフトウェア群「exbeans UI Conductor」(エックスビーンズユーアイコンダクター)を中心とする自社IP製品の開発に注力しております。
当第3四半期連結累計期間では、「CGI Studio」の機能をさらに向上させたバージョン 3.10 をリリース、「CGI Studio 3.10」はAIベースの「Smart Importer」を搭載し、Adobe Photoshop や Sketch、Axure RPを直接インポート。フル機能を備えた HMI に自動的に変換することが可能です。なお、日本語のユーザーインターフェースの追加やチュートリアル等の拡充によって、より幅広いユーザーへの使いやすさを実現しました。「CGI Studio 3.10」の注目機能「Smart Importer」は、Car HMI Europe が主催する「CarHMI Europe賞2021」の、「自動車のHMI + UXにおける機械学習とAIの最も革新的なアプリケーション部門」において、第1位を受賞しております。
また、「CGI Studio」を提供しているカンデラは、エッジコンピューティングのグローバルリーダーである ADLINKTechnology社(台湾)とパートナーシップを締結しました。IoT市場において大規模で国際的な顧客ニーズに応えることが可能となり、車載分野をはじめその他の産業分野において、革新的でカスタマイズ可能な2D/3DのHMI開発ができるようになり、今回、カンデラと ADLINK社は協働で、「CGI Studio」で実装された洗濯機ディスプレイ用の多言語に対応したフルハイビジョンのフルデジタル2D/3Dグラフィカルユーザーインターフェイスを実現しました。
さらに、インドの大手自動車部品及び精密工学製品メーカーのPricol Limited社(インド)と戦略的パートナーシップを締結、カンデラのHMI開発ツール「CGI Studio」で開発したHMIソリューションが、すべての車両セグメントでサービスを提供する同社の次世代コネクテッド・ドライバー・インフォメーション・システム(DIS)製品に導入されます。
並行して「UI Conductor」については、2021年4Qでのアップデートを予定しております。
この他、イベントでは、5月26日から7月30日まで開催された、自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展 2021 ONLINE」に出展、9月27日、28日に中国の上海で開催された「The 3rd China Automotive Intelligent Cockpit Summit 2021」に出展しました。
今後も引き続き「CGI Studio」の積極的な営業活動を推進してまいります。売上高は761,920千円(前年同期比35.0%減)、営業損失は415,495千円(前年同期は637,245千円の営業損失)となりました。
なお、第1四半期会計期間において、連結子孫会社であった株式会社エイチアイの全株式を株式会社ミックウェアへ譲渡したため、同社の数値につきましては第2四半期連結累計期間の連結財務諸表から除外しております。
(2)中期経営計画の進捗に関する説明
2020年11月6日に発表した中期経営計画で見込んでいる、2021年12月期のグループ売上6,980百万円、営業利益1,070百万円の計画に対し、当第3四半期累計実績は、売上5,192百万円(進捗率74.4%)、営業利益1,106百万円(進捗率103.4%)となりました。
カンデラが主力とする自動車関連分野の厳しい事業環境は改善していないなか、収支のバランスをコントロールしながらの先行開発投資の実施に加え、クリエイターサポート事業の堅調な事業進捗も収益に寄与し、中期経営計画は順調に進捗しております。
(3)財政状態の分析
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べて897,748千円増加し6,536,027千円となりました。この主な要因は、売掛金が130,442千円、技術資産が76,733千円減少したものの現金及び預金が837,478千円、未収入金が180,309千円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べて52,013千円減少し1,565,589千円となりました。この主な要因は、前受金が158,691千円、賞与引当金が44,426千円増加した一方で未払費用が31,391千円、未払法人税等が226,947千円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて949,761千円増加し4,970,438千円となりました。主な要因は、自社株買い等により自己株式を182,737千円追加取得した一方で利益剰余金が1,093,343千円増加したこと等によるものであります。なお、自己資本比率は、75.9%となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、2,971千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。