四半期報告書-第12期第1四半期(2023/01/01-2023/03/31)

【提出】
2023/05/10 10:06
【資料】
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【項目】
41項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社は、グループのセグメントを構成するUI/UX事業について、2022年下期から役割及び位置づけの抜本的な見直しの結果、セルシスグループ内で事業を継続するメリットは少ないと判断し、カンデラの製品の販売代理店であり、製品の主要顧客に対して柔軟なソリューション提供を行うことが可能になることで、事業拡大の期待ができることを目的に、加賀FEI株式会社との譲渡に向けた基本合意書を締結しました。なお、当初2023年3月末を目途としておりましたが、譲渡の方法や時期等の詳細な条件についても交渉を継続する必要が生じたため、5月12日を最終期限として延期し、引き続き協議を行っております。
当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動をトータルに支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しております。
当四半期連結会計期間におきましても、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、戦略的な開発投資を継続して行い、企業価値の向上に注力しております。
その結果、当社グループの当第1四半期連結累計期間の売上高は2,211,963千円(前年同期比21.0%増)、営業利益は548,738千円(前年同期比20.1%増)となりました。
また、経常利益につきましては、為替差益9,489千円を計上したこと等により、558,181千円の経常利益(前年同期比20.5%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、法人税等159,249千円を計上したことにより、398,932千円の親会社株主に帰属する四半期純利益(前年同期比39.1%増)となりました。
事業別セグメントにつきましては、以下のとおりであります。
なお、当第1四半期連結会計期間から、従来のクリエイターサポート事業を、イラスト・マンガ・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の開発・提供を中心とした「コンテンツ制作ソリューション事業」として、DC3ソリューションと電子書籍配信ソリューションの開発・提供を中心とした「コンテンツ流通ソリューション事業」として、2つのセグメントに分離しております。
事業別セグメントにつきましては、以下のとおりであります。
<コンテンツ制作ソリューション事業>当第1四半期連結累計期間では、これまで継続してきましたイラスト・マンガ・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の機能向上を目的とした開発投資の成果として、2023年3月14日に「CLIP STUDIO PAINT」のバージョン2.0をリリースし提供を開始しました。「CLIP STUDIO PAINT」は、これまで、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収するWindows / macOS版の買い切り(無期限)モデルのみにおいて、提供開始より10年間にわたり、無償の機能アップデートの実施を継続してまいりました。バージョン2.0は、「CLIP STUDIO PAINT」の初めてのメジャーバージョンアップであり、最新の機能を利用するためには、買い切りモデルのユーザーもサブスクリプション契約をしていただくか、新バージョンを優待購入いただく形に改定しました。これにより、サブスクリプション契約の増加や、これまで獲得できてこなかった既存の買い切りモデルユーザーからの新バージョン購入による収益改善を実現し、より安定した継続的なサービス提供を実現してまいります。
バージョン2.0は好評をいただき、2023年3月の「CLIP STUDIO PAINT」の出荷本数は過去1年間で最高の増加数となりました。今回のメジャーバージョンアップにより、マーケットに対する認知向上効果により、売上及び利用者数の底上げを実現しました。今後も、定期的なメジャーバージョンアップを実施予定です。
また、従来より対応している日本語版・英語版・中国語(繁体字)版・韓国語版・フランス語版・スペイン語版・ドイツ語版に加え、新たに中国語(簡体字)・ポルトガル語・タイ語・インドネシア語の4言語を追加し、全11言語で提供を開始し、海外ユーザーの増加が期待できます。
この他、前期から引き続き、海外利用ユーザー及びサブスクリプション契約の増加を目的とした、全世界に向けたプロモーション活動も実施しております。
「CLIP STUDIO PAINT」は、2023年3月末現在の累計出荷本数は2,824万本(前年同月比49.7%増)、そのうち75%以上が日本語以外の海外に向けた出荷となっております。また、同月のサブスクリプション契約数は81.2万契約(前年同月比46.8%増)となり、ARR(当社がサブスクリプションから年間ベースで得られると期待できる金額)は2,746,000千円(前年同月比39.7%増)となりました。イラスト、マンガ、アニメーション分野のクリエイターをサポートする創作活動応援サイト「CLIP STUDIO」クリエイターの会員数は全世界で720万人(前年同月比26.8%増)となっております。詳しくは、毎月開示している「月次事業進捗レポート」をご覧ください。
セルシスが注力しているサブスクリプションモデルでのライセンス提供は、廉価な価格で利用開始の敷居を下げる反面、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収する買い切りモデルに比べ、短期的には収益効果が低くなります。しかしながら、「CLIP STUDIO PAINT」への開発投資を続け、継続して利用頂くことで中長期においては安定した収益が期待できるため、引き続きサブスクリプションモデルでのライセンス提供に注力してまいります。
また、4月10日にお知らせした「セキュリティ強化に伴うCLIP STUDIO PAINTサブスクリプションモデルの決済システム変更のお知らせ」のとおり、セキュリティ強化を目的としたサブスクリプション契約の決済に用いている決済システムの変更を行っております。これに伴い、月次進捗レポートのARR等に一時的な影響が予想されますが、好評を頂いているバージョン2.0の収益貢献もあり、今回の決済システム変更による、半期及び通期のコンテンツ制作ソリューション事業の業績への影響はない見込みです。
この他、「CLIP STUDIO PAINT」がグローバルでGalaxy Book3にバンドル、NAVER WEBTOONのオンラインブランドストア「WEBTOON FRIENDS」で「CLIP STUDIO PAINT EX / PRO 1年版ライセンスカード」が提供される等、将来のサブスクリプション契約増が期待できる、パートナーとのコラボレーション施策を推進しております。
以上の結果、売上高は1,666,098千円(前年同期比25.5%増)、営業利益は800,894千円(前年同期比53.2%増)となりました。
<コンテンツ流通ソリューション事業>コンテンツ流通ソリューション事業は、当社100%子会社である株式会社&DC3を中心に取り組んでおります。
2022年12月に発表した「DC3」ソリューションにおいては、基盤となるプログラム「DC3モジュール」の品質強化、サービスを横断する形で自身の保有するコンテンツを一元管理できるサービス「マイルーム」における3D表現の向上、サービス事業者がDC3上で円滑にビジネスを行うための機能群の強化等、ソリューション品質向上に向けた開発投資を継続して行っております。併せて、各事業者の「DC3」ソリューション理解に向けた提案営業活動を推進しております。なお、利用促進を目的に、当期における「DC3」ソリューション提供は無償提供の計画となっております。
電子書籍ソリューションにおいては、各種プラットフォームへの電子書籍配信ソリューション「CLIP STUDIO READER」の他、電子書籍オーサリングソフトウェア等を始めとする、様々なデバイス・プラットフォームに対応したグラフィック系コンテンツの制作・流通・再生にまつわる各種ソリューションの提供を行っております。
以上の結果、売上高は248,326千円(前年同期比8.2%増)、営業損益は157,495千円の営業損失(前年同期は43,818千円の営業利益)となりました。
UI/UX事業では、自動車(四輪・二輪)関連分野を筆頭に、車載向けソフトウェア開発プラットフォーム「CGI Studio」、及び、HMIの基盤であるUIオーサリングソフトウェア群「UI Conductor」を中心とする自社IP製品の開発に注力しております。
当事業の主要な顧客である自動車関連分野は、新車開発の遅れによるモデルチェンジサイクルの長期化や、半導体不足等による生産台数の減少等を受けており、前期に引き続き厳しい事業環境が続いております。このような経営環境の中、子会社のカンデラは、研究開発投資とパートナーとの提携、自動車業界におけるイベントへの出展を継続しております。
当第1四半期連結累計期間では、1月25日から3日間、東京ビッグサイトにて開催されたクルマの先端技術の展示会「第15回オートモーティブ ワールド」に出展しました。
売上高は297,538千円(前年同期比10.0%増)、営業損失は94,661千円(前年同期は111,396千円の営業損失)となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べて274,687千円増加し10,431,651千円となりました。この主な要因は、未収入金が279,450千円、技術資産が25,577千円減少したものの現金及び預金が594,434千円、売掛金が47,286千円、ソフトウェアが11,062千円増加したこと等によるものであります。
当第1四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べて158,157千円増加し2,090,326千円となりました。この主な要因は、未払費用が44,749千円減少した一方で未払法人税等が124,529千円、前受金が18,968千円、賞与引当金が55,250千円増加したこと等によるものであります。
当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて116,530千円増加し8,341,324千円となりました。主な要因は、利益剰余金が119,351千円増加したこと等によるものであります。なお、自己資本比率は、79.2%となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の計上はありません。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。