四半期報告書-第12期第2四半期(2023/04/01-2023/06/30)

【提出】
2023/08/10 11:58
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42項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社は、グループのセグメントを構成するUI/UX事業について、2022年下期から役割及び位置づけの抜本的な見直しの結果、当社グループ内で事業を継続するメリットは少ないと判断し、製品の主要顧客に対して柔軟なソリューション提供を行うことが可能になることで、事業拡大の期待ができることから、カンデラ製品の販売代理店である加賀FEI株式会社と当該事業の譲渡に向けた基本合意書を2023年2月10日に締結いたしました。その後、2023年5月11日開催の取締役会において、2023年8月1日を効力発生日とする当該事業の譲渡について決議し、当該事業譲渡は予定通り2023年8月1日に完了いたしました。当該事業譲渡の詳細につきましては、5月11日付リリース「連結子会社(特定子会社)の異動(株式譲渡)及び連結子会社における会社分割(簡易吸収分割)に関するお知らせ」(https://www.celsys.com/files/user/pdf/ir/info/2023/info_2023-0511a.pdf)をご参照ください。
当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動をトータルに支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しております。
当連結会計年度におきましても、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、戦略的な開発投資を継続して行い、更なる企業価値の向上に注力しております。
その結果、当社グループの当第2四半期連結累計期間の売上高は4,253,723千円(前年同期比13.3%増)、営業利益は729,092千円(同24.4%減)となりました。
また、経常利益につきましては、営業外収益として為替差益33,270千円を計上したこと及び営業外費用として自己株式取得に係る支払手数料19,386千円、子会社の増資に伴う新株発行費6,259千円を計上したこと等により、736,363千円(同28.2%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純損失につきましては、前述のUI/UX事業の譲渡による特別損失863,725千円、法人税等△35,312千円を計上したことにより、△92,049千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益688,958千円)となりました。
当社は、資本効率の一層の向上と経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行及び株主還元の更なる充実を目的として、2022年8月からの2年間で総額30億円を目途に自己株式の取得を予定しており、第1回目は、前連結会計年度に約10億円分の自己株式を取得いたしました。また、当連結会計年度の取得価額の総額は10億円と予定しておりましたが、取得規模を拡大させていただき、株式の取得価額の総額は15億円と決議しております。本決議により、当四半期連結会計期間では899,962千円、1,057,700株(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 3.03%)の取得を実施しております。
なお、第1四半期結会計年度から、従来のクリエイターサポート事業を、イラスト・マンガ・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の開発・提供を中心とした「コンテンツ制作ソリューション事業」とDC3ソリューション及び電子書籍配信ソリューションの開発・提供を中心とした「コンテンツ流通ソリューション事業」の2つのセグメントに区分しております。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
<コンテンツ制作ソリューション事業>当第2四半期連結累計期間では、これまで継続してきましたイラスト・マンガ・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の機能向上を目的とした開発投資の成果として、2023年3月14日に「CLIP STUDIO PAINT」のバージョン2.0をリリースし提供を開始いたしました。「CLIP STUDIO PAINT」は、これまで、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収するWindows / macOS版の買い切り(無期限)モデルのみにおいて、提供開始より10年間にわたり、無償の機能アップデートの実施を継続してまいりました。バージョン2.0は、「CLIP STUDIO PAINT」の初めてのメジャーバージョンアップであり、最新の機能を利用するためには、買い切りモデルのユーザーもサブスクリプション契約をしていただく、または、新バージョンを優待購入いただく形態に変更いたしました。これにより、サブスクリプション契約の増加や、これまで獲得できなかった既存の買い切りモデルユーザーからの新バージョン購入による収益改善が見込まれ、より安定的、かつ継続的なサービス提供の実現が可能となります。
また、バージョン2.0が2023年3月14日のリリース以来ご好評をいただいていることに加え、新規ユーザーの獲得を目的とした全世界に向けた販売促進キャンペーンを実施したこと等により当四半期連結会計期間における「CLIP STUDIO PAINT」の出荷本数は過去最高の増加数となりました。今回のメジャーバージョンアップでは、マーケットにおける認知度の向上効果により、売上高及び利用者数の底上げが実現できたことから、今後も、定期的なメジャーバージョンアップを実施する予定です。また、従来の日本語版・英語版・中国語(繁体字)版・韓国語版・フランス語版・スペイン語版・ドイツ語版の7言語に加え、新たに2022年12月より追加した中国語(簡体字)版、2023年3月14日リリースのバージョン2.0ではポルトガル語版・タイ語版・インドネシア語版の合計4言語を追加し、全11言語での提供を開始したことにより、海外ユーザーの増加が期待できます。
この他、前連結会計年度から海外利用ユーザー及びサブスクリプション契約の増加を目的とした、全世界に向けたプロモーション活動を継続的に実施しております。
「CLIP STUDIO PAINT」は、2023年5月末に累計出荷本数が3,000万本を越え、2023年6月末現在の累計出荷本数は3,095万本(前年同月比47.4%増)となり、日本語以外の海外に向けた出荷が75%以上と増加傾向で推移しております。
また、2023年6月のサブスクリプション契約数は84.2万契約(同38.3%増)となり、ARR(当社がサブスクリプションから年間ベースで得られると期待できる金額)は2,462,000千円(同13.3%増)となりました。イラスト、マンガ、アニメーション分野のクリエイターをサポートする創作活動応援サイト「CLIP STUDIO」クリエイターの会員数は全世界で756万人(同24.1%増)となっております。それぞれの詳細につきましては、毎月開示しております「月次事業進捗レポート」をご参照ください。
なお、4月10日に開示いたしました「セキュリティ強化に伴うCLIP STUDIO PAINTサブスクリプションモデルの決済システム変更のお知らせ」のとおり、セキュリティ強化を目的としたサブスクリプション契約の決済に用いている決済システムの変更を行っております。これに伴い、月次進捗レポートのARR等に一時的な影響が生じており、当四半期連結会計期間のARRは直前四半期連結会計期間比で減少しておりますが一過性であり、また、ご好評をいただいているバージョン2.0の収益貢献があることなどから今回の決済システム変更による当事業の通期業績への影響はない見込みです。
当社が注力しているサブスクリプションモデルでのライセンス提供は、廉価で利用開始の敷居を下げる反面、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収する買い切りモデルに比べ、短期的には収益効果が低くなります。しかしながら、「CLIP STUDIO PAINT」への開発投資を続け、継続してご利用頂くことで中長期においては安定した収益が期待できるため、引き続きサブスクリプションモデルでのライセンス提供をしてまいります。
「CLIP STUDIO PAINT」は6月に、ユーザー層の拡大を目的にスマートフォン版のアップデートを行いました。新たに直感的に使いやすいインターフェースを追加することにより、新しいユーザーが「CLIP STUDIO PAINT」を初めて使ったときから、迷うことなく自然な操作感を感じることができるシンプルかつ直感的なインターフェースの提供を実現しました。これにより、従来、他社の無料アプリやシンプルな機能のアプリがターゲットにしていた、若年層やエントリーユーザーまで「CLIP STUDIO PAINT」のユーザー層を広げ、サブスクリプション契約の増加が期待できます。
この他、漫画家を志望する方がオンラインで編集部にマンガの持ち込みができる「モチコミonline」のサービスを6月より開始いたしました。「モチコミonline」では定期的に参加費無料の持ち込みイベントを開催し、マンガ雑誌やWEBコミックサイト、編集プロダクション等の50以上の編集部への、業界横断的な持ち込みのマッチング機会が得られ、オンラインで出版社を横断して持ち込みのマッチングが行えるサービスは業界初の取り組みとなります。当社は、漫画家志望者と編集者のマッチング機会をこれまで以上に増やし、ユーザーの「CLIP STUDIO PAINT」の継続利用機会の向上を図ってまいります。
以上の結果、売上高は3,034,180千円(前年同期比13.5%増)、営業利益は1,160,918千円(同9.3%増)となりました。
<コンテンツ流通ソリューション事業>コンテンツ流通ソリューション事業は、当社100%子会社である株式会社&DC3を中心に取り組んでおります。
2022年12月に発表した「DC3」ソリューションにおいては、基盤となるプログラム「DC3モジュール」の品質強化、サービスを横断する形で自身の保有するコンテンツを一元管理できるサービス「マイルーム」における3D表現の向上、サービス事業者がDC3上で円滑にビジネスを行うための機能群の強化等、ソリューション品質向上に向けた開発投資を継続して行っております。
併せて、各事業者の「DC3」ソリューション理解に向けた提案営業活動を推進し、DC3ソリューションを利用する予定の複数の事業者との契約が進んでおり、年内にDC3ソリューションを利用したサービスがオープンする見込みとなっています。引き続き、デジタルコンテンツビジネスの新たな可能性の開拓を推進してまいります。
また、&DC3は2023年5月に、株式会社アクセル及び当社を引き受け先とする第三者割当増資を実施し、WEB3関連の要素技術及びAI技術の活用領域で戦略的パートナーシップ契約を締結いたしました。
なお、利用促進を目的に、当連結会計年度における「DC3」ソリューションは無償での提供を計画しております。
電子書籍ソリューションにおいては、各種プラットフォームへの電子書籍配信ソリューション「CLIP STUDIO READER」の他、電子書籍オーサリングソフトウェア等を始めとする、様々なデバイス・プラットフォームに対応したグラフィック系コンテンツの制作・流通・再生にまつわる各種ソリューションの提供を行っております。
当四半期連結会計期間においては、「CLIP STUDIO READER」のバージョンアップを行いテキストコンテンツの読み上げ機能及び全文検索機能等を実装し、アクセシビリティを向上させております。
また、株式会社メディアドゥが展開する電子図書館事業「OverDrive Japan」で、「CLIP STUDIO READER」が採用されました。
以上の結果、売上高は507,517千円(前年同期比8.5%増)、営業損益は327,144千円の営業損失(前年同期は79,276千円の営業利益)となりました。
UI/UX事業では、自動車(四輪・二輪)関連分野を筆頭に、車載向けソフトウェア開発プラットフォーム「CGI Studio」及びHMIの基盤であるUIオーサリングソフトウェア群「UI Conductor」を展開しております。
当第2四半期連結累計期間では、これまで継続してきた自社IP製品の開発及び提供に加え、事業の譲渡に向けた準備を行いました。
以上の結果、売上高は712,025千円(前年同期比16.5%増)、営業損失は104,681千円(前年同期は183,513千円の営業損失)となりました。
なお、前述のとおり、UI/UX事業については、2023年8月1日付で加賀FEI株式会社への譲渡が完了しております。
(2)財政状態の分析
(資産の部)
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べて376,045千円減少し9,780,917千円となりました。この主な要因は、売掛金が236,762千円、繰延税金資産が35,772千円増加したものの自社株買いの実施等により現
金及び預金が430,425千円、未収入金が373,669千円、ソフトウエアが357,928千円減少したこと等によるものでありま
す。
(負債の部)
当第2四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べて748,580千円増加し2,680,749千円となりました。この主な要因は、未払金が58,621千円、未払法人税等が29,642千円減少した一方で前受金が174,162千円、未払費
用が113,056千円、関係会社株式譲渡損失引当金が476,983千円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当第2四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,124,626千円減少し7,100,168千円となりま
した。主な要因は、自社株買いにより自己株式が900,074千円増加したこと、利益剰余金が371,629千円減少したこと
等によるものであります。なお、自己資本比率は、71.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ432,163千円減少し、6,312,677千円となりました。なお、当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,042,594千円(前年同四半期は1,152,673千円の獲得)となりました。これは主として、売上債権の増加額233,761千円や法人税等の支払額34,738千円等があったものの、減価償却費の計上475,638千円や関係会社株式譲渡損失引当金繰入額476,983千円、ソフトウエア評価損386,742千円等の資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、460,554千円(前年同四半期は518,969千円の使用)となりました。これは主として、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出416,680千円や有形固定資産の取得による支出40,788千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,029,725千円(前年同四半期は1,490,907千円の獲得)となりました。これは主として、非支配株主からの払込みによる収入149,930千円等があったものの、配当金の支払額279,580千円や自己株式の取得による支出900,074千円があったことによるものであります。
この結果、現金及び現金同等物の当第2四半期連結累計期間末残高は、6,312,677千円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の計上はありません。
なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。