半期報告書-第13期(2024/01/01-2024/12/31)
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社グループは、デジタルコンテンツの制作から流通までをトータル支援できる環境の提供をめざして、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の開発・提供を中心とした「コンテンツ制作ソリューション事業」と、コンテンツ流通基盤ソリューション「DC3」及び電子書籍配信ソリューションの開発・提供を中心とした「コンテンツ流通ソリューション事業」の2つの分野で事業を推進しております。
当連結会計年度におきましても、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、戦略的な開発投資を継続して行い、企業価値の向上に注力しております。その結果、当社グループの当中間連結会計期間の売上高は4,060,617千円(前年同期比4.5%減)、営業利益は1,105,106千円(同51.6%増)となりました。なお、前中間連結会計期間には、2023年8月1日付で売却したUI/UX事業の売上高712,025千円が含まれており、利益面に関しては、グループ全体の収支バランスを意識した開発投資の効率化や、コスト見直し施策の実施により、東証プライム市場への上場準備に伴うコストの上昇を補い、前年同期比増益となっております。
また、経常利益につきましては、営業外収益として為替差益96,564千円を計上したこと等により1,228,885千円(同66.9%増)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益につきましては、法人税等333,483千円を計上したこと等により943,620千円(前年同期は92,049千円の親会社株主に帰属する中間純損失)となりました。なお、当連結会計年度の計画に対する進捗率は、売上高が52.6%、営業利益が66.8%となっております。
当社は、2024年3月1日から1年間で2,000,000千円分の自己株式の取得を予定しており、その一環として2024年6月3日に開示しました「自己株式の取得状況及び取得終了に関するお知らせ」の通り、999,946千円分(1,202,700株)の自己株式を取得し、残りの1,000,000千円分も期間内に取得する予定です。あわせて、6月7日に開示しました「中間配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」のとおり、2024年12月期の中間配当は1株当たり2円の増配を実施することといたしました。また、2024年8月2日に開示しました「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」のとおり、期末配当につきましても1株当たり2円の増配を実施することとし、これにより2024年12月期の配当金につきましては、中間配当12円、期末配当12円の合計24円(12円増配)を予想しております。なお、通期業績予想は据え置きますが、下期の事業進捗を注視しつつ修正が必要となった場合はすみやかに開示いたします。
また、2024年2月9日に開示いたしました「資本金及び資本準備金の額の減少に関するお知らせ」の通り、今後の機動的かつ柔軟な資本政策に備えるため資本金及び資本準備金の額の減少につきましては、予定通り2024年4月17日に効力が発生し、資本金の額が10,000千円、資本準備金の額が2,500千円に減少しております。減資により、増加した剰余金を、配当金、自己株式取得、さらなる株主還元施策や今後の資本政策等に活用してまいります。
なお、2024年2月に、AI及びWeb3関連技術の協業関係強化を目的に、株式会社アクセルと資本業務提携をいたしました。本提携により、当社は株式会社アクセルの株式464,800株を914,726千円で取得いたしました。一方、株式会社アクセルは当社株式を市場買付により1,081,000株取得しております。
各社との資本業務提携契約の進捗状況につきまして、WEBTOON Entertainment Inc.及びLINE Digital Frontier株式会社とは、WEBTOONコンテンツ制作の効率向上、AI分野や「DC3」ソリューションの活用等を推進、株式会社ワコムとはクリエイティブ制作に欠かせないワコム製品と連携して多方面に渡って活動、株式会社アクセルとはAI技術の共同開発を実施しております。
なお、LINE Digital Frontier株式会社は、株式会社イーブックイニシアティブジャパンと2024年9月1日付で吸収合併を行い、株式会社イーブックイニシアティブジャパンが保有する当社の全株式がLINE Digital Frontier株式会社に承継され、当社の主要株主となる予定です。
また、現在、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更に向けた準備を進めており、東京証券取引所が定めるプライム市場への上場審査における形式要件には2024年6月30日現在で適合しており、コーポレート・ガバナンス強化及び業務提携の強化を目的に、LINE Digital Frontier株式会社の髙橋将峰氏が社外取締役に、取締役会の多様性の確保に資すること、当社のグローバル化や、企業とのアライアンスの促進等、当社グループの持続的な企業価値向上に力を発揮できる池田真樹氏が女性取締役としてそれぞれ就任しました。
セグメント別の経営成績は、次の通りです。
<コンテンツ制作ソリューション事業>コンテンツ制作ソリューション事業は、グラフィック分野で活動するクリエイターの創作活動をサポートする、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作SaaSサービス及び創作を支援するコミュニティサイトを通じて、コンテンツの制作にまつわるサービスをグローバルに提供しております。
2024年3月に、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の機能向上を目的とした開発投資の成果として、「CLIP STUDIO PAINT」バージョン3.0のメジャーバージョンアップをリリースいたしました。あわせて、収益性の向上と継続的なサービス提供を実現することを目的に、「CLIP STUDIO PAINT」のSaaS提供であるサブスクリプション契約価格及び買い切り版の価格を改定いたしました。今後も、サービスの価値向上に応じた価格改定を行ってまいります。
バージョン3.0は、2023年3月に提供を開始したバージョン2.0に続くメジャーバージョンアップであり、最新の機能を利用するためには、買い切りモデルのユーザーもサブスクリプション契約をしていただく、または、新バージョンを優待購入いただく形態としております。バージョン3.0はリリース以来好評をいただき、さらに、リリースにあわせて、新規ユーザーの獲得を目的とした全世界に向けた販売促進キャンペーンも実施いたしました。これにより、サブスクリプション契約の増加や、既存の買い切りモデルユーザーからの新バージョン購入により収益が改善し、より安定的、かつ継続的なサービス提供が可能となりました。
メジャーバージョンアップ施策は、マーケットにおける認知度の向上効果により、売上高及び利用者数の底上げが実現できるため、2025年12月期以降も定期的に実施する予定です。
世界の11言語に対応している「CLIP STUDIO PAINT」は、約80%が日本語以外の海外に向けた出荷となっており、特に中国本土については、サブスクリプション契約数が順調に増加傾向で推移しAppStoreにおける国別売上高構成比では上位7位となる等、今後も成長が見込まれます。
この他、海外利用ユーザー及びサブスクリプション契約の増加を目的とした、全世界に向けたプロモーション活動を継続的に実施しております。
「CLIP STUDIO PAINT」は、2024年5月には、累計出荷本数が4,000万本を超え、2024年6月には4,161万本(前年同月比34.4%増)となりました。また、「CLIP STUDIO PAINT」サブスクリプションモデルによるSaaSサービス提供のARRは、2024年5月には36.3億円(1か月3億円超)、2024年6月には37.1億円(前年同月比50.8%増)と過去最高となりました。
「CLIP STUDIO PAINT」の2024年6月におけるチャーンレートは5.3%となっております。また、サブスクリプション契約数は2024年6月に100万契約を達成し、同月末には100.1万契約(同19.7%増)となり、イラスト、マンガ、Webtoon、アニメーション分野のクリエイターをサポートするコミュニティ「CLIP STUDIO」のクリエイターの会員数は全世界で892万人(同18.0%増)となり、2024年7月には900万人を達成しました。
当社が注力しているサブスクリプションモデルでのライセンス提供は、廉価で利用開始の敷居を下げる反面、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収する買い切りモデルに比べ、短期的には収益効果が低くなります。しかしながら、継続してご利用頂くことで中・長期においては安定した収益が期待できるため、引き続きサブスクリプションモデル契約の増加を目指してまいります。
2024年3月にはワイヤレスの片手入力デバイス「CLIP STUDIO TABMATE 2」の販売を開始いたしました。「CLIP STUDIO TABMATE 2」は、はじめてiPad・iPhoneに対応することで、「CLIP STUDIO PAINT」の操作や機能について、競合アプリに対する競争力の強化を実現しました。「CLIP STUDIO TABMATE 2」はリリース以来好評をいただき、出荷本数は当初見込みを大幅に上回って推移しております。
2024年4月には、「CLIP STUDIO PAINT」が、ワコムのペンタブレット新製品「Wacom Movink 13」にバンドルされ、全世界に提供開始されました。バンドルされた「CLIP STUDIO PAINT」は、無料利用期間後にサブスクリプション契約を行うことで継続利用できる形となっており、サブスクリプション契約の増加が期待され、さらに全世界でのバンドルでは、海外ユーザーの増加も期待できます。
また、「CLIP STUDIO PAINT」が、ドイツ最大級の日本のポップカルチャーイベント「DoKomi」や、「WEBTOON FRANCE」主催の「WEBTOON CONCOURS 2024」に協賛し、海外における認知度やユーザー層の拡大に向けた取り組みに注力しております。
以上の結果、売上高は3,538,781千円(前年同期比16.6%増)、営業利益は1,463,873千円(同26.1%増)となりました。
<コンテンツ流通ソリューション事業>コンテンツ流通ソリューション事業は、株式会社&DC3(以下、&DC3)を中心に取り組んでおります。
あらゆるデジタルデータを唯一無二の “モノ” として扱うことでデジタルコンテンツの流通を実現する基盤ソリューション「DC3」においては、2024年5月に「DC3」のアップデートを実施し、DC3マイルームの3D機能向上、DC3マスター登録・編集アプリの提供を開始しました。また、「Hive」各種プレイヤーをアップデートし、サイン機能、額装機能の強化により「モノ」としての表現力が向上しました。
さらに、基盤となるプログラム「DC3モジュール」の品質強化、サービス事業者がDC3上で円滑にビジネスを行うための機能群の強化等、ソリューション品質向上に向けた開発投資を継続して行っております。
あわせて、「DC3」ソリューションの利用促進を目的とした営業・プロモーション活動を推進しており、「DC3」ソリューションを利用する予定の複数のサービス事業者との利用契約が進んでおります。虎の穴グループのクリエイターとファンを結ぶ新しい月額制ファンクラブプラットフォーム「クリエイティア」において、DC3コンテンツの販売機能が2024年1月にリリースされております。また、IP事業者の「DC3」ソリューションの活用実績として、2024年4月より放送開始しているアニメ「アストロノオト」、「ささやくように恋を唄う」や、ゲーム「エルシャダイ」、「Shadow Corridor 2 雨ノ四葩 」、映画「数分間のエールを」とのコラボレーションを実施しました。今後も複数のIPとの「DC3」ソリューションを活用したコラボレーションを実施予定です。
電子書籍ソリューションにおいては、電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」を始めとする、電子書籍オーサリングソフトウェア等、様々なデバイス・プラットフォームに対応した電子書籍の制作・流通・再生にまつわるソリューションの提供を行っております。2024年5月には、REVOLVE株式会社のコミック&ノベル配信サービス「コミノベ」で、同年6月には、日経BPの法人向け新型デジタル書籍サービス「日経BP Insight Books」で電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」が採用されました。
なお、&DC3では2024年4月に様々な事業者への営業・プロモーション活動を更に加速させることを目的に、コンテンツ領域に対する深い知見や経験を有する國枝信吾氏を社外取締役として招聘しました。
以上の結果、売上高は521,835千円(前年同期比2.8%増)、営業損失は358,764千円(前年同期は327,144千円の営業損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産の部)
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べて133,939千円減少し8,417,584千円となりました。この主な要因は、投資有価証券が694,556千円増加したものの、自社株取得等により現金及び預金が391,983千円、未収入金が254,913千円及びその他流動資産が196,890千円減少したこと等によるものであります。
(負債の部)
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べて577,952千円増加し2,469,360千円となりました。この主な要因は、未払法人税等が292,506千円、前受金が120,974千円及び賞与引当金が127,039千円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて711,892千円減少し5,948,224千円となりました。主な要因は、利益剰余金が554,302千円増加したものの、自社株取得により自己株式が992,232千円増加、有価証券評価差額金が215,419千円減少したこと等によるものであります。なお、自己資本比率は、69.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ393,784千円減少し、5,167,997千円となりました。なお、当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,278,706千円(前中間連結会計期間は1,042,594千円の獲得)となりました。これは主として、賞与引当金の増減額127,039千円や法人税等の還付額214,434千円、その他資産の増減額357,012千円等の資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,270,116千円(前中間連結会計期間は460,554千円の使用)となりました。これは主として、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出332,635千円や投資有価証券の取得による支出915,926千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,402,373千円(前中間連結会計期間は1,029,725千円の獲得)となりました。これは配当金の支払額402,376千円や自己株式の取得による支出999,997千円があったことによるものであります。
この結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、5,167,997千円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の計上はありません。
なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1)経営成績の分析
当社グループは、デジタルコンテンツの制作から流通までをトータル支援できる環境の提供をめざして、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の開発・提供を中心とした「コンテンツ制作ソリューション事業」と、コンテンツ流通基盤ソリューション「DC3」及び電子書籍配信ソリューションの開発・提供を中心とした「コンテンツ流通ソリューション事業」の2つの分野で事業を推進しております。
当連結会計年度におきましても、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、戦略的な開発投資を継続して行い、企業価値の向上に注力しております。その結果、当社グループの当中間連結会計期間の売上高は4,060,617千円(前年同期比4.5%減)、営業利益は1,105,106千円(同51.6%増)となりました。なお、前中間連結会計期間には、2023年8月1日付で売却したUI/UX事業の売上高712,025千円が含まれており、利益面に関しては、グループ全体の収支バランスを意識した開発投資の効率化や、コスト見直し施策の実施により、東証プライム市場への上場準備に伴うコストの上昇を補い、前年同期比増益となっております。
また、経常利益につきましては、営業外収益として為替差益96,564千円を計上したこと等により1,228,885千円(同66.9%増)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益につきましては、法人税等333,483千円を計上したこと等により943,620千円(前年同期は92,049千円の親会社株主に帰属する中間純損失)となりました。なお、当連結会計年度の計画に対する進捗率は、売上高が52.6%、営業利益が66.8%となっております。
当社は、2024年3月1日から1年間で2,000,000千円分の自己株式の取得を予定しており、その一環として2024年6月3日に開示しました「自己株式の取得状況及び取得終了に関するお知らせ」の通り、999,946千円分(1,202,700株)の自己株式を取得し、残りの1,000,000千円分も期間内に取得する予定です。あわせて、6月7日に開示しました「中間配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」のとおり、2024年12月期の中間配当は1株当たり2円の増配を実施することといたしました。また、2024年8月2日に開示しました「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」のとおり、期末配当につきましても1株当たり2円の増配を実施することとし、これにより2024年12月期の配当金につきましては、中間配当12円、期末配当12円の合計24円(12円増配)を予想しております。なお、通期業績予想は据え置きますが、下期の事業進捗を注視しつつ修正が必要となった場合はすみやかに開示いたします。
また、2024年2月9日に開示いたしました「資本金及び資本準備金の額の減少に関するお知らせ」の通り、今後の機動的かつ柔軟な資本政策に備えるため資本金及び資本準備金の額の減少につきましては、予定通り2024年4月17日に効力が発生し、資本金の額が10,000千円、資本準備金の額が2,500千円に減少しております。減資により、増加した剰余金を、配当金、自己株式取得、さらなる株主還元施策や今後の資本政策等に活用してまいります。
なお、2024年2月に、AI及びWeb3関連技術の協業関係強化を目的に、株式会社アクセルと資本業務提携をいたしました。本提携により、当社は株式会社アクセルの株式464,800株を914,726千円で取得いたしました。一方、株式会社アクセルは当社株式を市場買付により1,081,000株取得しております。
各社との資本業務提携契約の進捗状況につきまして、WEBTOON Entertainment Inc.及びLINE Digital Frontier株式会社とは、WEBTOONコンテンツ制作の効率向上、AI分野や「DC3」ソリューションの活用等を推進、株式会社ワコムとはクリエイティブ制作に欠かせないワコム製品と連携して多方面に渡って活動、株式会社アクセルとはAI技術の共同開発を実施しております。
なお、LINE Digital Frontier株式会社は、株式会社イーブックイニシアティブジャパンと2024年9月1日付で吸収合併を行い、株式会社イーブックイニシアティブジャパンが保有する当社の全株式がLINE Digital Frontier株式会社に承継され、当社の主要株主となる予定です。
また、現在、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更に向けた準備を進めており、東京証券取引所が定めるプライム市場への上場審査における形式要件には2024年6月30日現在で適合しており、コーポレート・ガバナンス強化及び業務提携の強化を目的に、LINE Digital Frontier株式会社の髙橋将峰氏が社外取締役に、取締役会の多様性の確保に資すること、当社のグローバル化や、企業とのアライアンスの促進等、当社グループの持続的な企業価値向上に力を発揮できる池田真樹氏が女性取締役としてそれぞれ就任しました。
セグメント別の経営成績は、次の通りです。
<コンテンツ制作ソリューション事業>コンテンツ制作ソリューション事業は、グラフィック分野で活動するクリエイターの創作活動をサポートする、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作SaaSサービス及び創作を支援するコミュニティサイトを通じて、コンテンツの制作にまつわるサービスをグローバルに提供しております。
2024年3月に、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の機能向上を目的とした開発投資の成果として、「CLIP STUDIO PAINT」バージョン3.0のメジャーバージョンアップをリリースいたしました。あわせて、収益性の向上と継続的なサービス提供を実現することを目的に、「CLIP STUDIO PAINT」のSaaS提供であるサブスクリプション契約価格及び買い切り版の価格を改定いたしました。今後も、サービスの価値向上に応じた価格改定を行ってまいります。
バージョン3.0は、2023年3月に提供を開始したバージョン2.0に続くメジャーバージョンアップであり、最新の機能を利用するためには、買い切りモデルのユーザーもサブスクリプション契約をしていただく、または、新バージョンを優待購入いただく形態としております。バージョン3.0はリリース以来好評をいただき、さらに、リリースにあわせて、新規ユーザーの獲得を目的とした全世界に向けた販売促進キャンペーンも実施いたしました。これにより、サブスクリプション契約の増加や、既存の買い切りモデルユーザーからの新バージョン購入により収益が改善し、より安定的、かつ継続的なサービス提供が可能となりました。
メジャーバージョンアップ施策は、マーケットにおける認知度の向上効果により、売上高及び利用者数の底上げが実現できるため、2025年12月期以降も定期的に実施する予定です。
世界の11言語に対応している「CLIP STUDIO PAINT」は、約80%が日本語以外の海外に向けた出荷となっており、特に中国本土については、サブスクリプション契約数が順調に増加傾向で推移しAppStoreにおける国別売上高構成比では上位7位となる等、今後も成長が見込まれます。
この他、海外利用ユーザー及びサブスクリプション契約の増加を目的とした、全世界に向けたプロモーション活動を継続的に実施しております。
「CLIP STUDIO PAINT」は、2024年5月には、累計出荷本数が4,000万本を超え、2024年6月には4,161万本(前年同月比34.4%増)となりました。また、「CLIP STUDIO PAINT」サブスクリプションモデルによるSaaSサービス提供のARRは、2024年5月には36.3億円(1か月3億円超)、2024年6月には37.1億円(前年同月比50.8%増)と過去最高となりました。
「CLIP STUDIO PAINT」の2024年6月におけるチャーンレートは5.3%となっております。また、サブスクリプション契約数は2024年6月に100万契約を達成し、同月末には100.1万契約(同19.7%増)となり、イラスト、マンガ、Webtoon、アニメーション分野のクリエイターをサポートするコミュニティ「CLIP STUDIO」のクリエイターの会員数は全世界で892万人(同18.0%増)となり、2024年7月には900万人を達成しました。
当社が注力しているサブスクリプションモデルでのライセンス提供は、廉価で利用開始の敷居を下げる反面、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収する買い切りモデルに比べ、短期的には収益効果が低くなります。しかしながら、継続してご利用頂くことで中・長期においては安定した収益が期待できるため、引き続きサブスクリプションモデル契約の増加を目指してまいります。
2024年3月にはワイヤレスの片手入力デバイス「CLIP STUDIO TABMATE 2」の販売を開始いたしました。「CLIP STUDIO TABMATE 2」は、はじめてiPad・iPhoneに対応することで、「CLIP STUDIO PAINT」の操作や機能について、競合アプリに対する競争力の強化を実現しました。「CLIP STUDIO TABMATE 2」はリリース以来好評をいただき、出荷本数は当初見込みを大幅に上回って推移しております。
2024年4月には、「CLIP STUDIO PAINT」が、ワコムのペンタブレット新製品「Wacom Movink 13」にバンドルされ、全世界に提供開始されました。バンドルされた「CLIP STUDIO PAINT」は、無料利用期間後にサブスクリプション契約を行うことで継続利用できる形となっており、サブスクリプション契約の増加が期待され、さらに全世界でのバンドルでは、海外ユーザーの増加も期待できます。
また、「CLIP STUDIO PAINT」が、ドイツ最大級の日本のポップカルチャーイベント「DoKomi」や、「WEBTOON FRANCE」主催の「WEBTOON CONCOURS 2024」に協賛し、海外における認知度やユーザー層の拡大に向けた取り組みに注力しております。
以上の結果、売上高は3,538,781千円(前年同期比16.6%増)、営業利益は1,463,873千円(同26.1%増)となりました。
<コンテンツ流通ソリューション事業>コンテンツ流通ソリューション事業は、株式会社&DC3(以下、&DC3)を中心に取り組んでおります。
あらゆるデジタルデータを唯一無二の “モノ” として扱うことでデジタルコンテンツの流通を実現する基盤ソリューション「DC3」においては、2024年5月に「DC3」のアップデートを実施し、DC3マイルームの3D機能向上、DC3マスター登録・編集アプリの提供を開始しました。また、「Hive」各種プレイヤーをアップデートし、サイン機能、額装機能の強化により「モノ」としての表現力が向上しました。
さらに、基盤となるプログラム「DC3モジュール」の品質強化、サービス事業者がDC3上で円滑にビジネスを行うための機能群の強化等、ソリューション品質向上に向けた開発投資を継続して行っております。
あわせて、「DC3」ソリューションの利用促進を目的とした営業・プロモーション活動を推進しており、「DC3」ソリューションを利用する予定の複数のサービス事業者との利用契約が進んでおります。虎の穴グループのクリエイターとファンを結ぶ新しい月額制ファンクラブプラットフォーム「クリエイティア」において、DC3コンテンツの販売機能が2024年1月にリリースされております。また、IP事業者の「DC3」ソリューションの活用実績として、2024年4月より放送開始しているアニメ「アストロノオト」、「ささやくように恋を唄う」や、ゲーム「エルシャダイ」、「Shadow Corridor 2 雨ノ四葩 」、映画「数分間のエールを」とのコラボレーションを実施しました。今後も複数のIPとの「DC3」ソリューションを活用したコラボレーションを実施予定です。
電子書籍ソリューションにおいては、電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」を始めとする、電子書籍オーサリングソフトウェア等、様々なデバイス・プラットフォームに対応した電子書籍の制作・流通・再生にまつわるソリューションの提供を行っております。2024年5月には、REVOLVE株式会社のコミック&ノベル配信サービス「コミノベ」で、同年6月には、日経BPの法人向け新型デジタル書籍サービス「日経BP Insight Books」で電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」が採用されました。
なお、&DC3では2024年4月に様々な事業者への営業・プロモーション活動を更に加速させることを目的に、コンテンツ領域に対する深い知見や経験を有する國枝信吾氏を社外取締役として招聘しました。
以上の結果、売上高は521,835千円(前年同期比2.8%増)、営業損失は358,764千円(前年同期は327,144千円の営業損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産の部)
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べて133,939千円減少し8,417,584千円となりました。この主な要因は、投資有価証券が694,556千円増加したものの、自社株取得等により現金及び預金が391,983千円、未収入金が254,913千円及びその他流動資産が196,890千円減少したこと等によるものであります。
(負債の部)
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べて577,952千円増加し2,469,360千円となりました。この主な要因は、未払法人税等が292,506千円、前受金が120,974千円及び賞与引当金が127,039千円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて711,892千円減少し5,948,224千円となりました。主な要因は、利益剰余金が554,302千円増加したものの、自社株取得により自己株式が992,232千円増加、有価証券評価差額金が215,419千円減少したこと等によるものであります。なお、自己資本比率は、69.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ393,784千円減少し、5,167,997千円となりました。なお、当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,278,706千円(前中間連結会計期間は1,042,594千円の獲得)となりました。これは主として、賞与引当金の増減額127,039千円や法人税等の還付額214,434千円、その他資産の増減額357,012千円等の資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,270,116千円(前中間連結会計期間は460,554千円の使用)となりました。これは主として、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出332,635千円や投資有価証券の取得による支出915,926千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,402,373千円(前中間連結会計期間は1,029,725千円の獲得)となりました。これは配当金の支払額402,376千円や自己株式の取得による支出999,997千円があったことによるものであります。
この結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、5,167,997千円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の計上はありません。
なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。