有価証券報告書-第23期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 13:08
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等により緩やかな景気回復基調で推移した一方で、個人消費におきましては、2019年10月より実施された消費増税等により、依然として消費マインドは先行きが不透明な状況が続きました。
更に新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、足元では外出自粛の意識の高まりによる食材宅配サービスの需要増加が見込まれているものの、外出自粛の緩和及び感染拡大の収束が見込まれた後においては、日本国内での消費マインドの停滞による経済減速の流れが懸念され、家庭での食事の在り方を初めとし、当社事業を取り巻く環境も変化し、業績に大きな影響が及ぶことも想定されます。
このような環境の下、当社グループにおいては、上述の経営戦略に基づき、①国内宅配事業の事業成長および収益力強化、②非連続な成長に向けた事業領域の拡大を行ってまいりました。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,338,145千円増加し、26,087,630千円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,647,598千円増加し、11,891,862千円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,690,547千円増加し、14,195,767千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高71,040,906千円(前期比11.0%増)、営業利益2,467,254千円(前期比6.7%増)、経常利益1,825,570千円(前期比20.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益790,196千円(前期比66.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
宅配事業(Oisix)は、売上高35,829,784千円(前期比21.0%増)、セグメント利益4,801,358千円(前期比19.0%増)となりました。
宅配事業(大地を守る会)は、売上高10,541,105千円(前期比3.3%減)、セグメント利益1,539,553千円(前期比6.1%減)となりました。
宅配事業(らでぃっしゅぼーや)は、売上高14,980,914千円(前期比16.9%減)、セグメント利益2,667,271千円(前期比20.2%減)となりました。
その他事業は、売上高9,961,602千円(前期比71.9%増)、セグメント利益689,586千円(前期比0.1%増)となりました。なお、当連結会計年度より米国Three Limes, Inc.(通称:The Purple Carrot)の業績を、その他事業に含めております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動による1,080,201千円の増加、投資活動による1,754,465千円の減少、財務活動による254,815千円の増加などにより、現金及び現金同等物(以下「資金」)は438,665千円減少したことから、期末残高は7,654,707千円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていますが、事業全体における重要性が低いため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループの主な事業は、最終消費者へ直接販売する小売業であり、当該事業は商品を仕入れてから販売するまでの期間が極めて短期間のため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比
(%)
宅配事業(Oisix)(千円)35,829,784+21.0
宅配事業(大地を守る会)(千円)10,541,105△3.3
宅配事業(らでぃっしゅぼーや)(千円)14,980,914△16.9
その他事業(千円)9,961,602+71.9
合計(千円)71,040,906+11.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
3.その他事業には商品売上のほか、業務受託売上・広告売上等が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
当社グループにおいては、前述の経営戦略に基づき、①国内宅配事業の事業成長および収益力強化、②非連続な成長に向けた事業領域の拡大を行ってまいりました。
国内宅配事業の事業成長については、主要3ブランドを中心に、各ブランドの事業フェーズに沿った戦略を実行し、定期会員数の拡大および購買頻度・単価の向上を図りました。収益力強化については、削減余地の大きい商品原価および物流費の低減に向けた施策を複数実行しております。
また、非連続な成長に向けた事業領域の拡大については、2019年4月に米国でビーガンに特化したミールキットの販売を手掛けるThree Limes, Inc. (通称:The Purple Carrot)を子会社化し、米国での宅配事業を開始いたしました。また、2019年5月には日本国内のDEAN & DELUCAブランドを運営する株式会社ウェルカムを関連会社化し、当社の実店舗小売領域事業の更なる強化に向けた取り組みを開始しております。
また、直近の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う食品宅配サービスの需要増加に対しては、安定的なサービス提供を最優先の経営課題として捉え、十分な出荷キャパシティや商品サプライの確保に取り組んでおります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を経て生活が大きく変化する中で、お客様の食に対するニーズにおいても、「健康・免疫意識の高まり」、「家庭での食事頻度の増加」など新しいニーズが顕在化しており、新しい食の在り方に即して迅速かつ柔軟な価値提案が出来るようサービスの進化を行ってまいります。
a.財政状態及び経営成績
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は26,087,630千円となり、前連結会計年度末残高22,749,485千円と比較して3,338,145千円増加しました。
流動資産は18,250,009千円となり、前連結会計年度末残高16,601,798千円と比較して1,648,211千円増加しました。この主な要因は、現金及び預金459,466千円の減少、売掛金1,269,235千円の増加、未収入金680,604千円の増加によるものです。
固定資産は7,837,620千円となり、前連結会計年度末残高6,147,686千円と比較して1,689,933千円増加しました。有形固定資産425,017千円の増加、無形固定資産2,088,004千円の増加、投資その他の資産823,088千円の減少によるものです。無形固定資産の増加は、主にThe Purple Carrotの取得によるものです。投資その他の資産の減少は、主に持分法適用会社である株式会社ウェルカムに関して、のれん相当額の減損を含む持分法による投資損失の計上をしたことによるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債合計は11,891,862千円となり、前連結会計年度末残高10,244,264千円と比較して1,647,598千円増加しました。
流動負債は11,043,508千円となり、前連結会計年度末残高9,450,000千円と比較して1,593,508千円増加しました。この主な要因は、買掛金735,716千円の増加、未払金627,422千円の増加、未払法人税等396,308千円の増加、その他流動負債200,480千円の減少によるものです。
固定負債は848,354千円となり、前連結会計年度末残高794,264千円と比較して54,089千円増加しました。この主な要因は、繰延税金負債138,875千円の増加、その他固定負債95,474千円の減少によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は14,195,767千円となり、前連結会計年度末残高12,505,220千円と比較して1,690,547千円増加しました。この要因は、第三者割当増資及び新株予約権の権利行使による資本金407,301千円の増加及び資本準備金406,707千円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益790,196千円の計上によるものです。
2)経営成績
当連結会計年度より、The Purple Carrot、Future Food Fund株式会社及びFuture Food Fund1号投資事業有限責任組合の子会社化に伴い、これらの経営成績を連結損益計算書に含めております。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度よりらでぃっしゅぼーやの宅配事業・その他事業の売上高が加わり、また、当社のミールキットサービス「KitOisix」が好評を博するなどOisixの定期購入会員数が順調に増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して11.0%増の71,040,906千円となりました。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、売上拡大に伴い商品仕入が増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して11.1%増の37,222,981千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、売上拡大に伴う変動費の増加、横浜南部キッチンの新設による管理費の増加などにより、前連結会計年度と比較して11.1%増の31,350,670千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して66.9%減の790,196千円となりました。これは、当連結会計年度において持分法による投資損失の計上拡大があったことに加え、前連結会計年度においては、らでぃっしゅぼーや株式会社との吸収合併による税務上の繰越欠損金の継承、繰延税金資産の追加計上という特殊要因があったことによるものです。
b.セグメントごとの経営成績
宅配事業(Oisix)は、事業拡大フェーズと位置づけ、オリジナルミールキットサービス「KitOisix」を中心に積極的な新規顧客獲得、販売促進施策を行っております。その結果、定期宅配サービス「おいしっくすくらぶ」会員数が、前連結会計年度末(2019年3月末)の205,976人から、当連結会計年度末(2020年3月末)には244,740人と大きく増加し、売上高は35,829,784千円(前期比21.0%増)と大きく増加しております。また、セグメント利益についても、成長の加速に向けた物流キャパシティの拡大対応のための費用や、新規会員獲得のためのプロモーション費用を積極的に投下しつつも、全体として売上増による利益増が大きく伸長し、4,801,358千円(前期比19.0%増)と順調に伸長しております。
宅配事業(大地を守る会)は、50代以降のシニア層をメインターゲットに定め、当連結会計年度においては、“ちゃんとした食生活”を手軽に実現できる商品やサービス構築を優先して実施する事業フェーズと位置付けております。そのため、新規会員獲得においては、非効率なチャネル経由の集客を抑制した結果、前連結会計年度末(2019年3月末)の40,210人から、当連結会計年度末(2020年3月末)には37,188人へ減少しており、売上高も10,541,105千円(前期比3.3%減)と減少しております。また、セグメント利益についても、ユーザニーズに沿った商品・サービスの進化に注力し、定期会員の購買頻度・購買単価ともに上昇しているものの、売上減による固定的費用の比率が増加したことにより、1,539,553千円(前期比6.1%減)と減少しております。
宅配事業(らでぃっしゅぼーや)は、当連結会計年度は、事業立て直しフェーズと位置付け、上期中に単価の低い赤字受注の削減の取組、下期からは、定期宅配サービスのオペレーション改善施策を優先して実施しております。その結果、収支構造の良化し、解約率やクレームは大幅に減少しております。一方、新規会員の獲得を戦略的に抑制しており、会員数は、前連結会計年度末(2019年3月末)の63,461人から、当連結会計年度末(2020年3月末)には57,393人へ減少した結果、売上高14,980,914千円(前期比16.9%減)と減少しております。またセグメント利益についても、オペレーション改善施策などの効果により、定期会員の購買頻度・購買単価ともに上昇しているものの、売上減による固定的費用の比率が増加したことにより、2,667,271千円(前期比20.2%減)と減少しております。
その他事業は、ソリューション事業、店舗事業、海外事業、卸事業等から構成されております。売上高については、ソリューション事業及び店舗事業が順調に推移したことに加え、当第3四半期連結会計年度よりThe Purple Carrotが連結されたことにより9,961,602千円(前期比71.9%増)と大きく増加しております。一方、セグメント利益はソリューション事業及び店舗事業の売上増により利益が増加したものの、The Purple Carrotの営業損失及びのれん償却の影響により689,586千円(前期比0.1%増)と横ばいとなっております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ438,665千円減少の7,654,707千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,080,201千円(前期比65.3%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,747,854千円、減価償却費594,110千円、のれん償却額506,376千円、持分法による投資損失659,384千円等による収入と、売上債権の増加額1,268,810千円、未収入金の増加額680,604千円、法人税等の支払額323,101千円等の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,754,465千円(前期比20.8%減)となりました。これは主に、横浜南部キッチンに係る設備等の有形固定資産の取得559,475千円、販売管理システム改修等の無形固定資産の取得699,688千円、Three Limes, Inc.(通称:The Purple Carrot)の株式の取得362,706千円等の支出によるものであります。なお、横浜南部キッチンの新設は、生産設備のキャパシティ増強を目的として行ったものであります。また、販売管理システム改修は、当社におけるEC事業の特性上、定常的に必要となる投資活動の一環として行ったものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、254,815千円(前期比4,125.1%増)となりました。これは主に、第三者割当増資及び新株予約権の権利行使に伴う株式の発行による収入812,909千円、長期借入金の返済による支出682,657千円によるものであります。なお、長期借入金の返済は、主にグループ内資金の有効活用の観点から、The Purple Carrotが保有する外部からの長期借入金を返済し、当社グループからの出資及び借入金を充当する方法に変更したこと等により発生したものです。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、2020年4月から5月にかけて公募による新株式の発行及び第三者割当による新株式の発行による資金調達を行っております。これらの新株式発行による手取概算額合計4,547,564千円については、2021年10月までに3,599,900千円を新海老名ステーション稼働に係る設備投資資金及びシステム投資等に係る資金に、2023年3月までに879,900千円をらでぃっしゅぼーや事業における基幹システムプラットフォームの改修等の基幹システムの基盤刷新に係るシステム投資資金に、残額を2021年3月までに広告宣伝費等の運転資金に充当する予定であります。
b.資本の財源及び資金の流動性
1)財務政策
当社グループは現在、運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)を充当しております。また、設備資金については、設備投資計画に基づき、手元資金で不足が生じる場合は、長期借入金での調達を検討いたします。また、設備投資の案件が継続して発生する、あるいは大型の案件が発生する場合については、長期的な財務体質の強化を意識し、公募増資も視野に入れた資金調達を検討いたします。
2)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入、お客様へ商品を配送するための荷造運賃発送費、新規顧客獲得を中心としたマーケティング費用等の営業費用であります。また、設備資金需要としては、物流センター等の設備の新設・増強による投資、販売管理システムの改修等のソフトウェア開発による投資等があります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
次に挙げるものは、当社および連結子会社の会計方針を包括的に記載するものではありません。当社および連結子会社の重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されています。
連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりであります。
のれん及びその他の無形固定資産の減損
のれん及びその他の無形固定資産については、少なくとも1年に一回、又は事業環境や将来の見通しの悪化、事業戦略の変化等、減損の判定が必要となる兆候が発生した場合に減損の判定を行っております。割引前将来キャッシュ・フローの総額の見積もりが報告単位の帳簿価格を下回っていると判断される場合には、のれんやその他の無形固定資産を含む報告単位の価値を評価し、帳簿価格を回収可能と測定した価額まで減額するとともに減損損失を計上することになります。