有価証券報告書-第24期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/23 12:41
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響による、社会・経済活動の停滞が長期化しており、足元では、大都市圏を中心とし緊急事態宣言が再発令される事態となっております。個人消費においては、最初の緊急事態宣言が解除された2020年6月以降、政府による経済対策などの効果により緩やかに持ち直したものの、今後も、感染拡大の状況によっては引き続き低調に推移することが想定されます。
一方、外出自粛意識の高まりにより、オンライン経由の購買行動の裾野が拡大しており、食品宅配市場についても、EC化率の上昇により消費者ニーズが底上げされた状態が続いております。
このような環境の中、当社グループにおいては、食を支えるインフラ企業として、食材宅配サービスの需要増加に対し、安定的なサービス提供を最優先の経営課題として捉え、十分な出荷キャパシティや商品サプライの確保に取り組みました。また、お客さまの家庭での食の在り方が大きく変化する中で、「健康・免疫意識の高まり」、「家庭での食事頻度・人数の増加」「自宅で飲食店メニューの食事」など新しいお客さまニーズに沿った商品・サービスを提案するなど、新型コロナウイルスによる変化対応を優先的に実施してまいりました。 また、経営戦略の柱である「国内宅配事業の成長・収益力強化」に向けた取組みや、顧客基盤の拡大や商品の付加価値向上等のブランドごとの事業フェーズに即した施策を実行しております。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,273百万円増加し、38,360百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,477百万円増加し、18,369百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,795百万円増加し、19,991百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高100,061百万円(前期比40.9%増)、営業利益7,465百万円(前期比202.6%増)、経常利益7,037百万円(前期比285.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,031百万円(前期比536.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
宅配事業(Oisix)は、売上高49,863百万円(前期比39.2%増)、セグメント利益8,984百万円(前期比87.1%増)となりました。
宅配事業(大地を守る会)は、売上高13,978百万円(前期比32.6%増)、セグメント利益2,401百万円(前期比56.0%増)となりました。
宅配事業(らでぃっしゅぼーや)は、売上高17,704百万円(前期比18.2%増)、セグメント利益3,023百万円(前期比13.4%増)となりました。
その他事業は、売上高18,922百万円(前期比90.0%増)、セグメント利益2,087百万円(前期比202.7%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動による8,819百万円の増加、投資活動による2,780百万円の減少、財務活動による1,894百万円の増加などにより、現金及び現金同等物(以下「資金」)は7,898百万円増加したことから、期末残高は15,552百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていますが、事業全体における重要性が低いため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループの主な事業は、最終消費者へ直接販売する小売業であり、当該事業は商品を仕入れてから販売するまでの期間が極めて短期間のため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前期比(%)
宅配事業(Oisix)(百万円)49,863+39.2
宅配事業(大地を守る会)(百万円)13,978+32.6
宅配事業(らでぃっしゅぼーや)(百万円)17,704+18.2
その他事業(百万円)18,515+91.2
合計(百万円)100,061+40.9

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
3.その他事業には商品売上のほか、業務受託売上・広告売上等が含まれております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
当社グループにおいては、前述の経営戦略に基づき、①国内宅配事業の事業成長および収益力強化、②非連続な成長に向けた事業領域の拡大を行ってまいりました。
国内宅配事業の事業成長については、主要3ブランドを中心とし、各ブランドの事業フェーズに沿った戦略の実行、また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うお客さまニーズの変化に沿った商品・サービスを提供したことにより、定期会員数の拡大および購買頻度・単価の向上を図りました。収益力強化については、商品加工工程の内製化やKit Oisixの製造効率化などの商品原価削減、また、らでぃっしゅぼーや集荷センターの集約などの物流費削減など収益力強化に向けた施策を複数実行しております。
非連続な成長に向けた事業ドメインの拡大については、2019年4月に米国でビーガンに特化したミールキットの販売を手掛けるThe Purple Carrotについて、国内で培ったサブスクリプションモデルのノウハウを横展開することによりサービスレベルの改善を図りました。また新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、会員数は約2倍となり、事業規模は大きく伸長しております。
さらに、店舗事業、保育園卸事業においても、リアルの場においても当社ブランドとのタッチポイントを増加し、ECサービスとの親和性を高めることを目的とし、提携小売店の店舗内に販売コーナーを作り商品を販売する「Shop in Shop」モデルや、保育園向けの食材卸サービス「すくすくOisix」といったリアルの小売領域での規模拡大も順調に進捗しております。
引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大を経て生活が大きく変化する中で、お客さまの潜在的ニーズをいち早く捉え、当社サービスでしか出会うことの出来ない独自性のある商品や食体験など、食に関する新しい価値提案をより強化してまいります。
a.財政状態及び経営成績
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は38,360百万円となり、前連結会計年度末残高26,087百万円と比較して12,273百万円増加しました。
流動資産は29,301百万円となり、前連結会計年度末残高18,250百万円と比較して11,051百万円増加しました。この主な要因は、現金及び預金7,903百万円の増加、売掛金1,660百万円の増加、商品及び製品400百万円の増加、未収入金799百万円の増加等によるものです。
固定資産は9,059百万円となり、前連結会計年度末残高7,837百万円と比較して1,222百万円増加しました。有形固定資産801百万円の増加、無形固定資産471百万円の減少、投資その他の資産891百万円の増加によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債合計は18,369百万円となり、前連結会計年度末残高11,891百万円と比較して6,477百万円増加しました。
流動負債は17,540百万円となり、前連結会計年度末残高11,043百万円と比較して6,497百万円増加しました。この主な要因は、買掛金1,197百万円の増加、短期借入金1,040百万円の増加、未払金1,901百万円の増加、未払法人税等1,640百万円の増加、その他流動負債626百万円の増加によるものです。
固定負債は828百万円となり、前連結会計年度末残高848百万円と比較して20百万円減少しました。この主な要因は、長期借入金201百万円の増加、繰延税金負債125百万円の減少、その他固定負債96百万円の減少によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は19,991百万円となり、前連結会計年度末残高14,195百万円と比較して5,795百万円増加しました。これは、資本金2,302百万円の増加、資本剰余金2,309百万円の増加、自己株式の取得4,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,031百万円の計上等によるものです。資本金及び資本剰余金の増加は、主に2020年4月に実施した公募増資及び2020年5月に実施したオーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資によるものです。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、当連結会計年度よりThree Limes, Inc. (通称:The Purple Carrot)が通期連結したこと、また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内宅配3ブランドを中心に食品宅配の需要が高まり、前連結会計年度と比較して40.9%増の100,061百万円となりました。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、売上拡大に伴い商品仕入が増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して32.8%増の49,439百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、売上拡大に伴う変動費の増加などにより、前連結会計年度と比較して37.7%増の43,156百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内宅配3ブランドを中心に食品宅配の需要が高まり事業利益が大きく増加したことにより、前連結会計年度と比較して536.7%増の5,031百万円となりました。
b.セグメントごとの経営成績
宅配事業(Oisix)は、第1四半期連結会計期間に、急激な需要増に起因する物流センターの出荷キャパシティ逼迫により、新規会員獲得を停止した影響があったものの、第4四半期連結会計期間には、テレビCMを初めとした大規模な新規会員獲得のプロモーション施策を行った結果、会員数は、前連結会計年度末(2020年3月末)の239,837人から、当連結会計年度末(2021年3月末)には308,889人へと大きく増加しております。また、在宅勤務の拡大などによる家庭内での食事頻度の増加や、巣ごもりニーズを捉えた商品・サービス開発を加速させたことにより、購買頻度・単価ともに前連結会計年度を上回って推移しており、売上高は49,863百万円(前期比39.2%増)と大きく増加しております。また、セグメント利益についても、8,984百万円(前期比87.1%増)と大きく伸長しております。
宅配事業(大地を守る会)は、“ちゃんとした食生活”のコンセプトのもと、当連結会計年度より会員再拡大のフェーズへと移行しております。足元では、宅配需要の急激な高まりは落ち着きつつあるものの、引き続き新規会員は純増を継続しており、会員数は、前連結会計年度末(2020年3月末)の37,127人から、当連結会計年度末(2021年3月末)には45,307人へと増加しております。また、シニア層の健康・免疫意識の高まりに対し、手軽に野菜を摂取できるサービスや発酵関連の商品を積極的に展開し、お客さまニーズに即した販売施策を実施したことにより、購買頻度・単価ともに前連結会計年度を上回って推移しており、売上高も13,978百万円(前期比32.6%増)と増加しております。また、セグメント利益についても、2,401百万円(前期比56.0%増)と大きく増加しております。
宅配事業(らでぃっしゅぼーや)は、当連結会計年度も引き続き、定期宅配サービスのオペレーション改善施策を優先的に実施しております。第1四半期連結会計期間では、宅配需要の急激な高まりにより新規会員獲得が大幅に増加しましたが、その後は戦略的に新規獲得を抑制しており、第2四半期連結会計期間以後は微減で推移しておりました。第4四半期連結会計期間では、翌連結会計年度に向けたプロモーション費用を先行的に投下し、新規会員獲得が順調に進んでおります。その結果、会員数は、前連結会計年度末(2020年3月末)の56,935人から、当連結会計年度末(2021年3月末)には62,751人へと増加しております。 また、家庭での調理機会の増加に対し、料理が楽しくなる商品・サービスの販売施策を実施したことや、メイン商材である季節の野菜の詰め合わせボックス「ぱれっと」の商品設計の改善などを行った結果、購買頻度・単価ともに前連結会計年度を上回って推移しており、売上高17,704百万円(前期比18.2%増)と大きく増加しております。またセグメント利益についても、3,023百万円(前期比13.4%増)と増加しております。
その他事業は、ソリューション事業、店舗事業、海外事業、卸事業等から構成されております。売上高については、また、前第3四半期連結会計期間より米国The Purple Carrotの業績を、その他事業に含めております。新型コロナウイルス感染症の影響により、保育園卸事業などのリアル事業において減収の影響があったものの、宅配需要の高まりにより、他社EC支援などのソリューション事業や海外宅配事業が順調に推移したことや、The Purple Carrot連結分が上積みされた影響により、売上高は18,922百万円(前期比90.0%増)と大きく増加しております。また、セグメント利益も2,087百万円(前期比202.7%増)と大きく増加しております。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ7,898百万円増加の15,552百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、8,819百万円(前期比716.5%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益6,991百万円、減価償却費837百万円、のれん償却額598百万円、持分法による投資損失448百万円、仕入債務の増加額1,189百万円、未払金の増加額1,901百万円等による収入と、売上債権の増加額1,611百万円、未収入金の増加額798百万円、たな卸資産の増加額565百万円、法人税等の支払額940百万円等の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,780百万円(前期比58.5%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得1,026百万円、無形固定資産の取得845百万円、投資有価証券の取得835百万円等の支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,894百万円(前期比643.7%増)となりました。これは主に、公募増資及びオーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資ならびに新株予約権の権利行使に伴う株式の発行による収入4,586百万円、自己株式の取得による支出4,500百万円、短期借入れによる収入1,000百万円等によるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
1) 財務政策
当社グループは現在、運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)を充当しております。また、設備資金については、設備投資計画に基づき、手元資金で不足が生じる場合は、長期借入金での調達を検討いたします。また、設備投資の案件が継続して発生する、あるいは大型の案件が発生する場合については、長期的な財務体質の強化を意識し、公募増資も視野に入れた資金調達を検討いたします。
2) 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入、お客様へ商品を配送するための荷造運賃発送費、新規顧客獲得を中心としたマーケティング費用等の営業費用であります。また、設備資金需要としては、物流センター等の設備の新設・増強による投資、販売管理システムの改修等のソフトウェア開発による投資等があります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社および連結子会社の重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。