有価証券報告書-第20期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦や世界経済の不確実性などから先行きの不透明感が覗くものの、企業収益の向上や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、2020年に入り新型コロナウイルス感染症の蔓延による国内外の経済活動の停滞懸念など、先行きは依然として不透明な状態が続いております。
このような市場環境の中、当社グループは、第4次産業革命において中心的な役割を果たす企業となるため、前期よりAI・IoT・Robotics分野においてさらなる積極的な事業展開及び研究開発投資を実施してまいりました。
積極的な研究開発投資を支える既存サービスは堅調に推移しており、拡大を続けているMDM・EMM市場において「Optimal Biz」が、ID数・金額の割合で4年連続国内MDM・EMM市場シェア1位の評価を獲得しております(出典:株式会社富士キメラ総研 出典:2016年、2017年、2018年、2019年、ネットワークセキュリティビジネス調査総覧)。
また、研究開発投資の成果として、「OPTiM AI Camera Mobile」、「OPTiM AI Camera Lite」、「OPTiM AI Creator」、「OPTiM AI Research」、「OPTiM AI Signage」、「OPTiM AI Voice Recorder」の6つのAIサービスを発表しました。さらに、医療向けの新たなプラットフォームとして、医療画像診断支援AI統合オープンプラットフォーム「AMIAS」を開発し、提供開始しております。これらの新規サービスならびにプラットフォームは、2019年10月24日と25日に開催したイベント「OPTiM INNOVATION 2019」にて一般公開を行い、大変好評をいただきました。
AI・IoT・Roboticsを活用した各産業における活動も順調に進んでおり、農業分野においては兵庫県丹波県民局ならびに兵庫県立農林水産技術総合センターとスマート農業を活用した特産物の生産力強化に向けた共同事業の実施や、長崎県五島市において、日本で初めて農地作付確認業務に固定翼ドローン「OPTiM Hawk」とAIによる判別を使用した実証事業を行いました(出典:2019年6月28日時点、当社調べ。ドローン空撮による農作物作付確認において、AIによる自動判別を取り入れる実証を「事業」として行う試みとして)。
医療分野においては、国立大学法人佐賀大学と共同で「AMIAS」を用いた医療画像診断支援AIの臨床研究を推進する取り組みを開始し、国内外の医療向け画像診断AIプログラムメーカーへ臨床研究のプラットフォームを提供するなどしております。また、「先端医療×AI・IoT」領域で業務提携を行ったシスメックス株式会社と、デジタル医療の事業化を加速することを目的に、デジタル医療に関するプラットフォームとアプリケーションを活用したソリューションサービスの企画、開発、運営を担う合弁会社の設立に向け基本合意を行いました。さらに、次世代医療用ロボットのAI化に向けた業務提携に関する覚書を、株式会社メディカロイドと締結し、高度なAI・IoT技術を応用した次世代手術支援ロボットシステムの開発を進めております。
Robotics分野においては、川崎重工業株式会社と精密機械・ロボット分野のAI・IoT活用における業務提携に関する覚書を締結しました。この業務提携により、さまざまな産業での活躍が期待される精密機械・ロボットをネットワークに接続し、得られる情報をAIが解析するプラットフォームを構築することで、精密機械・ロボット分野におけるAI・IoT技術を活かした、新たなビジネスソリューションの早期開発・事業化とグローバル展開を目指してまいります。
金融分野においては、株式会社佐賀銀行と地域の第4次産業革命への対応を加速することを目的とし、合弁事業に関する基本合意書を締結しました。これにより、地方銀行ならびに地域のデジタルトランスフォーメーションを行い、当社グループAIソリューションの販売やファンドの設立などを通じて、第4次産業革命の推進を目指します。
また、これらの取り組みや、西日本におけるAI・IoT・Roboticsを活用した「○○×IT」戦略をさらに加速させるため、兵庫県神戸市に新たな拠点「OPTiM KOBE」を開設しました。
さらに、海外での事業展開として、ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)国営最大手通信グループのVietnam Posts and Telecommunications Groupと、ベトナムにおいてAIサービス及びスマート農業分野における業務提携に関する覚書を締結しました。これにより、「OPTiM AI Camera」などのAIサービスをカスタマイズした上で、ベトナムの各種店舗や施設へ導入し、マーケティング、セキュリティなどの領域で支援するサービス展開を目指します。スマート農業事業に関しては、米を中心に農産物の一大産地であるベトナムに、ピンポイント農薬散布テクノロジー及びピンポイント施肥テクノロジーを導入することで農産物の生産性と品質を向上させ、安心・安全な農産物の安定的な生産体系の構築を目指します。Remote分野における海外での事業展開では、東京農業大学と日立キャピタルグループの日立トリプルウィン株式会社が、ロシア連邦(以下、ロシア)において日本式いちご生産を行う実証実験に、現場管理支援サービス「Smart Field」を提供しました。本実証実験の成果については、2019年9月3日からロシア・ウラジオストク市で開催された「第5回東方経済フォーラム」にて発表されております。
なお、これらAI・IoT・Roboticsに関連する取り組みが評価され、2019年9月に株式会社ミック経済研究所が発刊した調査レポートにおいて、当社グループのAIソリューションが、業種別売上高動向の「農林水産業」部門、「医療」部門、ユーザー従業員規模別売上高動向の「ユーザー従業員数300名未満の売上動向」部門、測定・観察・探索市場動向の「測定・観察・探索ベンダーシェア」部門の4部門において、シェア1位の評価を頂いております(出典:株式会社ミック経済研究所「AI(ディープラーニング)活用の画像認識ソリューション市場の現状と展望「2019年度版」)。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計の残高は、4,604,239千円となりました。主な内訳は現金及び預金が1,263,910千円、受取手形及び売掛金が1,552,215千円、繰延税金資産が742,106千円です。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計の残高は、1,565,053千円となりました。主な内訳は支払手形及び買掛金が482,958千円、未払法人税等が265,306千円です。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計の残高は、3,039,185千円となりました。主な内訳は資本金が443,439千円、資本剰余金が727,570千円、利益剰余金が1,872,893千円です。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高6,728,792千円、営業利益256,981千円、経常利益259,448千円、親会社株主に帰属する当期純利益117,222千円となりました。
なお、当社グループの事業は、ライセンス販売・保守サポートサービス(オプティマル)事業のみの単一事業であるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、サービス別の内訳は次のとおりです。
(IoTプラットフォームサービス)
当連結会計年度においても、主力となる「Optimal Biz」につきましては、順調にライセンス数を増やしており、複数の第三者調査機関による調査レポートにおいて、引き続き市場シェア1位を維持しております。(株式会社ミック経済研究所発刊:『「コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望 2019年度版」、「EMM市場とモバイルOS別動向」、「モバイル管理ソフトの市場動向」』、IDC Japan株式会社発刊:『「国内システム/サービス管理ソフトウェア市場シェア、2018年:SaaSとITオペレーション分析の本格化」、「国内エンタープライズモビリティ管理ソフトウェア市場 ベンダー別 売上額実績/シェア」の2018年国内EMMベンダー別売上額実績』、株式会社テクノ・システム・リサーチ発刊:『「2019-2020年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」』、株式会社富士キメラ総研:『2016年、2017年、2018年、2019年、ネットワークセキュリティビジネス調査総覧』。)
機能面では、Googleが2019年9月4日に一般公開を開始した「Android 10」対応するなど、新たなバージョンのOSへの対応を迅速に行い、幅広い環境で活用できるよう機能拡充を行っております。
AI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」を活用したプラットフォームとして、新たに医療画像診断支援AI統合オープンプラットフォーム「AMIAS」の提供を開始しました。サービスについてもさらに研究開発が進み、「OPTiM AI Camera」のエントリーサービスとなる「OPTiM AI Camera Mobile」ならびに「OPTiM AI Camera Lite」、独自のAI画像認識モデルを作成できる「OPTiM AI Creator」、AIによる詳細な顧客分析、店頭におけるピンポイントでのマーケティングを実現する「OPTiM AI Research」ならびに「OPTiM AI Signage」、「OPTiM AI Voice」をバージョンアップしたサービスとなる「OPTiM AI Voice Recorder」など、一挙6サービスの発表を行いました。この中で、「OPTiM AI Camera Mobile」につきましては、2020年1月30日より月額1,950円(税込)で、Google Playにて提供開始しております。「OPTiM AI Camera」と連携する、ビデオ管理システム(Video Management System、以下 VMS)との連携も進んでおり、世界シェアNo.1メーカー(出典:IHS Markit2019年6月発表調査レポート)であるGenetec Inc.の総合セキュリティプラットフォーム「Genetec Security Center」のVMSサービス「Omnicast」との連携や、国内クラウド録画サービスシェアNo.1メーカー(出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2018年ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査」、2017年クラウド録画サービスカメラシェア)であるセーフィー株式会社のVMSサービス「Safie」との接続検証を完了しました。さらに、国内ビデオ管理システム市場No.1メーカー(出典:株式会社富士経済発表、「2017、2018 セキュリティ関連市場の将来展望」)であるパナソニックネットソリューションズ株式会社のVMSサービス「ArgosView」と接続検証を進めることについて合意しております。
また「OPTiM AI Camera」について、さまざまな分野で導入が進んでおり、医療分野においては、聖路加国際病院を研究の場として、「OPTiM AI Camera」を用いた手指衛生モニタリング手法の評価を行う共同研究を開始しております。またRobotics分野においては、川崎重工業株式会社へ「OPTiM AI Camera」を提供し、同社が「2019国際ロボット展(iREX2019)」にて出展したブースにおいて、来場者の人流解析を実施しました。さらに、羽田空港国際線ターミナル出国エリア内にて、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が、経済産業省ならびに株式会社羽田未来総合研究所と連携して行った、「クールジャパン商材のプロモーション&デジタルマーケティング」の取り組みに、「OPTiM AI Camera」を提供するなど、多種多様な分野での活用が開始されています。
AI・IoT・Roboticsを活用した農業分野において、これまでオプティムでは、スマート農業ソリューションを無償提供し、収穫物を全量買取する「スマートアグリフードプロジェクト」を展開してきましたが、大規模な生産法人や企業を対象として、スマート農業に対する課題解決をワンストップで支援する「スマート農業プロフェッショナルサービス」の提供を開始しました。また、「スマート農業アライアンス」の取り組みとして実施している「スマートアグリフードプロジェクト」の成果として、2018年度から販売された「スマート米」の2019年度産、「スマート米2020」の販売も行いました。「スマート米2020」では、2018年度産で販売した、「さがびより」・「にこまる」・「ヒノヒカリ」・「まっしぐら」の品種に加え、新たに「夢しずく」・「つがるロマン」・「コシヒカリ」の3品種を加えた合計7品種のラインナップで提供しております。医療分野においては、医療画像診断支援AI統合オープンプラットフォーム「AMIAS」の提供開始や「眼底画像診断支援システム OPTiM Doctor Eye」が医療機器プログラムとしての認証取得を行っております。さらに、建設分野においては、九州最大手のゼネコンである松尾建設株式会社とAI・IoT技術などを活用した取り組みを推進して行くことを目的として、「建設×IT 戦略的包括提携」を締結いたしました。
(リモートマネジメントサービス)
リモートマネジメントサービスにつきましては、遠隔作業支援「Remote Action」、「Optimal Second Sight」、遠隔作業支援から作業管理まで行う「Smart Field」の拡販を継続して行っており、東京農業大学と日立トリプルウィン株式会社がロシアにて実施した日本式いちご生産を行う実証実験に「Smart Field」を提供しました。本実証実験の成果については、2019年9月3日からロシア・ウラジオストク市で開催された「第5回東方経済フォーラム」にて発表されております。さらに佐賀県警察へ、「Optimal Second Sight」を提供し、近年日本にてしばしば発生している激甚な自然災害において、スムーズな救援活動及び現場把握の災害対策の支援機器として、活用頂いております。これは、2018年10月12日に締結した、「AI・IoTを活用した地域の安全安心にまつわる防犯技術等の研究開発・運用に関する包括連携協定」にて合意している、「AI・IoTを活用した災害対策等に関すること」を構築する取り組みの一環となります。また、Atos株式会社へ提供をしている、「Optimal Second Sight」のOEMサービスである「Generation-Eye(G-eye)」が、国土交通省が提供している新技術情報提供システムNETIS(New Technology Information System)に登録されました。NETISに登録されることで、国および地方公共団体などの発注者や施工業者、コンサルタントなどの方々へ情報が共有され、全国での活用が期待できます。さらに、公共工事の受注の際に、NETISに登録されている技術の活用提案をすることで、工事成績評定にて加点されたり、総合評価方式において加点されるなど、受注に際して有利となります。
(サポートサービス)
パソコン市場の成長性が鈍化しており、売上高は減少傾向にございます。しかし、MVNO市場においても自動化やサポート効率化のニーズは強いため、引き続きサービスの拡大を進めております。
(その他サービス)
「パソコンソフト使い放題」、「ビジネスソフト使い放題(パソコンソフト使い放題の法人向けサービス)」ともに、既存の販売パートナーでの販売が堅調に進んでおります。人気雑誌読み放題サービス「タブホ」においては、通常の販売だけではなく、法人向けサービスとなる「タブホスポット」の販売に関しても好調に推移しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,263,910千円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は430,637千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益259,448千円、仕入債務の増加額216,314千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は365,711千円となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出249,993千円、有形固定資産の取得による支出194,876千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は250千円となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入250千円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する該当事項はありません。
c.販売実績
当社グループは単一セグメントのため、サービスごとに記載しております。
(注)1.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。
2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、6,728,792千円となりました。これは主に、IoTプラットフォームサービスの売上高が5,342,095千円、リモートマネジメントサービスの売上高が756,751千円となり、ライセンス収入及びカスタマイズ収入並びに保守収入が増加したことによるものです。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、2,623,569千円となりました。これは主に、IoTプラットフォームサービスのカスタマイズ収入の増加にともない売上原価が増加したことによるものです。
この結果、売上総利益は4,105,222千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3,848,240千円となりました。これは主に、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるために成果を掴みつつある「OPTiM Cloud IoT OS」等の研究開発投資によるものです。
この結果、営業利益は256,981千円となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外収益は9,401千円となりました。これは主に、受取手数料及び受取保険金によるものです。
当連結会計年度における営業外費用は6,934千円となりました。これは主に、投資事業組合運用損によるものです。
この結果、経常利益は259,448千円となりました。
(特別損益)
当連結会計年度における特別利益の発生はありません。
当連結会計年度における特別損失の発生はありません。
この結果、税金等調整前当期純利益は259,448千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等合計は、142,169千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は117,222千円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向や技術革新への対応等があります。当社グループが事業展開するMDM・EMM市場は堅調に拡大を続けており、その市場のなかでの当社グループの位置づけも優位な状況であることは変わっておりません。一方で、世界の大きな潮流は、AI・IoT・Roboticsを活用した「第4次産業革命」へと加速度をあげて移行しております。この時代の大きな転換点において当社グループは、MDM・EMM市場において培った技術をAI・IoT・Robotics分野に昇華させることで、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるべく、引き続き研究開発投資が必要であると考えております。具体的には、ここ数年取り組んでまいりました、各業界・産業とITを融合させる「○○×IT」によりITの力で業界・産業基盤を再構築する取り組みを引き続き推進し、技術革新への対応を進め、知的財産権の取得等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存です。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高の増加が研究開発投資の源泉であり、将来的な利益の源泉となるものと考えており、売上高の増加、ならびに研究開発投資の成果として知的財産権(特許権)を重視しております。
当連結会計年度における売上高は6,728,792千円を達成しました。売上高の多くを占めるストック型のライセンス収入については、IoTプラットフォームサービスを中心にライセンス数を順調に積み上げることができ、大幅な成長となっております。
知的財産権(特許権)については、2019年6月特許庁発行の「経営における知的財産戦略事例集」に「新事業創造に資する知財戦略」の筆頭例として掲載されました。また、取り組みの成果である「ピンポイント農薬散布・施肥テクノロジー」の基本特許(特許第6326009号)は、令和元年度九州地方発明表彰で文部科学大臣賞を受賞しました。
今後も、「第4次産業革命」実現の中心的な企業になるべく、さらなる研究開発体制の強化、知的財産権獲得による競争優位の確保に取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、研究開発投資に向けた労務費及び外注費等です。必要な運転資金については、手元資金及び事業から創出される資金によることを基本としておりますが、事業拡大に向けた大型のM&Aの実行に追加的に資金が必要となる場合は、金融機関からの借入等をはじめとした資金調達手段を実施する可能性があります。
なお、当社グループは、政府が発令しました新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、全オフィスを対象としてリモートワークを行う取り組みを実施するなど業務遂行への影響は軽微であると判断しております。また当社グループの売上の中心であるストック型のライセンス収入は、堅調に推移しております。そのため、当社グループでは研究開発投資を継続させることを計画しております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の27.5%を占める1,263,910千円となっており、有利子負債の残高はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、当社グループでは、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルスの影響に係る仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦や世界経済の不確実性などから先行きの不透明感が覗くものの、企業収益の向上や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、2020年に入り新型コロナウイルス感染症の蔓延による国内外の経済活動の停滞懸念など、先行きは依然として不透明な状態が続いております。
このような市場環境の中、当社グループは、第4次産業革命において中心的な役割を果たす企業となるため、前期よりAI・IoT・Robotics分野においてさらなる積極的な事業展開及び研究開発投資を実施してまいりました。
積極的な研究開発投資を支える既存サービスは堅調に推移しており、拡大を続けているMDM・EMM市場において「Optimal Biz」が、ID数・金額の割合で4年連続国内MDM・EMM市場シェア1位の評価を獲得しております(出典:株式会社富士キメラ総研 出典:2016年、2017年、2018年、2019年、ネットワークセキュリティビジネス調査総覧)。
また、研究開発投資の成果として、「OPTiM AI Camera Mobile」、「OPTiM AI Camera Lite」、「OPTiM AI Creator」、「OPTiM AI Research」、「OPTiM AI Signage」、「OPTiM AI Voice Recorder」の6つのAIサービスを発表しました。さらに、医療向けの新たなプラットフォームとして、医療画像診断支援AI統合オープンプラットフォーム「AMIAS」を開発し、提供開始しております。これらの新規サービスならびにプラットフォームは、2019年10月24日と25日に開催したイベント「OPTiM INNOVATION 2019」にて一般公開を行い、大変好評をいただきました。
AI・IoT・Roboticsを活用した各産業における活動も順調に進んでおり、農業分野においては兵庫県丹波県民局ならびに兵庫県立農林水産技術総合センターとスマート農業を活用した特産物の生産力強化に向けた共同事業の実施や、長崎県五島市において、日本で初めて農地作付確認業務に固定翼ドローン「OPTiM Hawk」とAIによる判別を使用した実証事業を行いました(出典:2019年6月28日時点、当社調べ。ドローン空撮による農作物作付確認において、AIによる自動判別を取り入れる実証を「事業」として行う試みとして)。
医療分野においては、国立大学法人佐賀大学と共同で「AMIAS」を用いた医療画像診断支援AIの臨床研究を推進する取り組みを開始し、国内外の医療向け画像診断AIプログラムメーカーへ臨床研究のプラットフォームを提供するなどしております。また、「先端医療×AI・IoT」領域で業務提携を行ったシスメックス株式会社と、デジタル医療の事業化を加速することを目的に、デジタル医療に関するプラットフォームとアプリケーションを活用したソリューションサービスの企画、開発、運営を担う合弁会社の設立に向け基本合意を行いました。さらに、次世代医療用ロボットのAI化に向けた業務提携に関する覚書を、株式会社メディカロイドと締結し、高度なAI・IoT技術を応用した次世代手術支援ロボットシステムの開発を進めております。
Robotics分野においては、川崎重工業株式会社と精密機械・ロボット分野のAI・IoT活用における業務提携に関する覚書を締結しました。この業務提携により、さまざまな産業での活躍が期待される精密機械・ロボットをネットワークに接続し、得られる情報をAIが解析するプラットフォームを構築することで、精密機械・ロボット分野におけるAI・IoT技術を活かした、新たなビジネスソリューションの早期開発・事業化とグローバル展開を目指してまいります。
金融分野においては、株式会社佐賀銀行と地域の第4次産業革命への対応を加速することを目的とし、合弁事業に関する基本合意書を締結しました。これにより、地方銀行ならびに地域のデジタルトランスフォーメーションを行い、当社グループAIソリューションの販売やファンドの設立などを通じて、第4次産業革命の推進を目指します。
また、これらの取り組みや、西日本におけるAI・IoT・Roboticsを活用した「○○×IT」戦略をさらに加速させるため、兵庫県神戸市に新たな拠点「OPTiM KOBE」を開設しました。
さらに、海外での事業展開として、ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)国営最大手通信グループのVietnam Posts and Telecommunications Groupと、ベトナムにおいてAIサービス及びスマート農業分野における業務提携に関する覚書を締結しました。これにより、「OPTiM AI Camera」などのAIサービスをカスタマイズした上で、ベトナムの各種店舗や施設へ導入し、マーケティング、セキュリティなどの領域で支援するサービス展開を目指します。スマート農業事業に関しては、米を中心に農産物の一大産地であるベトナムに、ピンポイント農薬散布テクノロジー及びピンポイント施肥テクノロジーを導入することで農産物の生産性と品質を向上させ、安心・安全な農産物の安定的な生産体系の構築を目指します。Remote分野における海外での事業展開では、東京農業大学と日立キャピタルグループの日立トリプルウィン株式会社が、ロシア連邦(以下、ロシア)において日本式いちご生産を行う実証実験に、現場管理支援サービス「Smart Field」を提供しました。本実証実験の成果については、2019年9月3日からロシア・ウラジオストク市で開催された「第5回東方経済フォーラム」にて発表されております。
なお、これらAI・IoT・Roboticsに関連する取り組みが評価され、2019年9月に株式会社ミック経済研究所が発刊した調査レポートにおいて、当社グループのAIソリューションが、業種別売上高動向の「農林水産業」部門、「医療」部門、ユーザー従業員規模別売上高動向の「ユーザー従業員数300名未満の売上動向」部門、測定・観察・探索市場動向の「測定・観察・探索ベンダーシェア」部門の4部門において、シェア1位の評価を頂いております(出典:株式会社ミック経済研究所「AI(ディープラーニング)活用の画像認識ソリューション市場の現状と展望「2019年度版」)。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計の残高は、4,604,239千円となりました。主な内訳は現金及び預金が1,263,910千円、受取手形及び売掛金が1,552,215千円、繰延税金資産が742,106千円です。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計の残高は、1,565,053千円となりました。主な内訳は支払手形及び買掛金が482,958千円、未払法人税等が265,306千円です。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計の残高は、3,039,185千円となりました。主な内訳は資本金が443,439千円、資本剰余金が727,570千円、利益剰余金が1,872,893千円です。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高6,728,792千円、営業利益256,981千円、経常利益259,448千円、親会社株主に帰属する当期純利益117,222千円となりました。
なお、当社グループの事業は、ライセンス販売・保守サポートサービス(オプティマル)事業のみの単一事業であるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、サービス別の内訳は次のとおりです。
(IoTプラットフォームサービス)
当連結会計年度においても、主力となる「Optimal Biz」につきましては、順調にライセンス数を増やしており、複数の第三者調査機関による調査レポートにおいて、引き続き市場シェア1位を維持しております。(株式会社ミック経済研究所発刊:『「コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望 2019年度版」、「EMM市場とモバイルOS別動向」、「モバイル管理ソフトの市場動向」』、IDC Japan株式会社発刊:『「国内システム/サービス管理ソフトウェア市場シェア、2018年:SaaSとITオペレーション分析の本格化」、「国内エンタープライズモビリティ管理ソフトウェア市場 ベンダー別 売上額実績/シェア」の2018年国内EMMベンダー別売上額実績』、株式会社テクノ・システム・リサーチ発刊:『「2019-2020年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」』、株式会社富士キメラ総研:『2016年、2017年、2018年、2019年、ネットワークセキュリティビジネス調査総覧』。)
機能面では、Googleが2019年9月4日に一般公開を開始した「Android 10」対応するなど、新たなバージョンのOSへの対応を迅速に行い、幅広い環境で活用できるよう機能拡充を行っております。
AI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」を活用したプラットフォームとして、新たに医療画像診断支援AI統合オープンプラットフォーム「AMIAS」の提供を開始しました。サービスについてもさらに研究開発が進み、「OPTiM AI Camera」のエントリーサービスとなる「OPTiM AI Camera Mobile」ならびに「OPTiM AI Camera Lite」、独自のAI画像認識モデルを作成できる「OPTiM AI Creator」、AIによる詳細な顧客分析、店頭におけるピンポイントでのマーケティングを実現する「OPTiM AI Research」ならびに「OPTiM AI Signage」、「OPTiM AI Voice」をバージョンアップしたサービスとなる「OPTiM AI Voice Recorder」など、一挙6サービスの発表を行いました。この中で、「OPTiM AI Camera Mobile」につきましては、2020年1月30日より月額1,950円(税込)で、Google Playにて提供開始しております。「OPTiM AI Camera」と連携する、ビデオ管理システム(Video Management System、以下 VMS)との連携も進んでおり、世界シェアNo.1メーカー(出典:IHS Markit2019年6月発表調査レポート)であるGenetec Inc.の総合セキュリティプラットフォーム「Genetec Security Center」のVMSサービス「Omnicast」との連携や、国内クラウド録画サービスシェアNo.1メーカー(出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2018年ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査」、2017年クラウド録画サービスカメラシェア)であるセーフィー株式会社のVMSサービス「Safie」との接続検証を完了しました。さらに、国内ビデオ管理システム市場No.1メーカー(出典:株式会社富士経済発表、「2017、2018 セキュリティ関連市場の将来展望」)であるパナソニックネットソリューションズ株式会社のVMSサービス「ArgosView」と接続検証を進めることについて合意しております。
また「OPTiM AI Camera」について、さまざまな分野で導入が進んでおり、医療分野においては、聖路加国際病院を研究の場として、「OPTiM AI Camera」を用いた手指衛生モニタリング手法の評価を行う共同研究を開始しております。またRobotics分野においては、川崎重工業株式会社へ「OPTiM AI Camera」を提供し、同社が「2019国際ロボット展(iREX2019)」にて出展したブースにおいて、来場者の人流解析を実施しました。さらに、羽田空港国際線ターミナル出国エリア内にて、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が、経済産業省ならびに株式会社羽田未来総合研究所と連携して行った、「クールジャパン商材のプロモーション&デジタルマーケティング」の取り組みに、「OPTiM AI Camera」を提供するなど、多種多様な分野での活用が開始されています。
AI・IoT・Roboticsを活用した農業分野において、これまでオプティムでは、スマート農業ソリューションを無償提供し、収穫物を全量買取する「スマートアグリフードプロジェクト」を展開してきましたが、大規模な生産法人や企業を対象として、スマート農業に対する課題解決をワンストップで支援する「スマート農業プロフェッショナルサービス」の提供を開始しました。また、「スマート農業アライアンス」の取り組みとして実施している「スマートアグリフードプロジェクト」の成果として、2018年度から販売された「スマート米」の2019年度産、「スマート米2020」の販売も行いました。「スマート米2020」では、2018年度産で販売した、「さがびより」・「にこまる」・「ヒノヒカリ」・「まっしぐら」の品種に加え、新たに「夢しずく」・「つがるロマン」・「コシヒカリ」の3品種を加えた合計7品種のラインナップで提供しております。医療分野においては、医療画像診断支援AI統合オープンプラットフォーム「AMIAS」の提供開始や「眼底画像診断支援システム OPTiM Doctor Eye」が医療機器プログラムとしての認証取得を行っております。さらに、建設分野においては、九州最大手のゼネコンである松尾建設株式会社とAI・IoT技術などを活用した取り組みを推進して行くことを目的として、「建設×IT 戦略的包括提携」を締結いたしました。
(リモートマネジメントサービス)
リモートマネジメントサービスにつきましては、遠隔作業支援「Remote Action」、「Optimal Second Sight」、遠隔作業支援から作業管理まで行う「Smart Field」の拡販を継続して行っており、東京農業大学と日立トリプルウィン株式会社がロシアにて実施した日本式いちご生産を行う実証実験に「Smart Field」を提供しました。本実証実験の成果については、2019年9月3日からロシア・ウラジオストク市で開催された「第5回東方経済フォーラム」にて発表されております。さらに佐賀県警察へ、「Optimal Second Sight」を提供し、近年日本にてしばしば発生している激甚な自然災害において、スムーズな救援活動及び現場把握の災害対策の支援機器として、活用頂いております。これは、2018年10月12日に締結した、「AI・IoTを活用した地域の安全安心にまつわる防犯技術等の研究開発・運用に関する包括連携協定」にて合意している、「AI・IoTを活用した災害対策等に関すること」を構築する取り組みの一環となります。また、Atos株式会社へ提供をしている、「Optimal Second Sight」のOEMサービスである「Generation-Eye(G-eye)」が、国土交通省が提供している新技術情報提供システムNETIS(New Technology Information System)に登録されました。NETISに登録されることで、国および地方公共団体などの発注者や施工業者、コンサルタントなどの方々へ情報が共有され、全国での活用が期待できます。さらに、公共工事の受注の際に、NETISに登録されている技術の活用提案をすることで、工事成績評定にて加点されたり、総合評価方式において加点されるなど、受注に際して有利となります。
(サポートサービス)
パソコン市場の成長性が鈍化しており、売上高は減少傾向にございます。しかし、MVNO市場においても自動化やサポート効率化のニーズは強いため、引き続きサービスの拡大を進めております。
(その他サービス)
「パソコンソフト使い放題」、「ビジネスソフト使い放題(パソコンソフト使い放題の法人向けサービス)」ともに、既存の販売パートナーでの販売が堅調に進んでおります。人気雑誌読み放題サービス「タブホ」においては、通常の販売だけではなく、法人向けサービスとなる「タブホスポット」の販売に関しても好調に推移しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,263,910千円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は430,637千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益259,448千円、仕入債務の増加額216,314千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は365,711千円となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出249,993千円、有形固定資産の取得による支出194,876千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は250千円となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入250千円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する該当事項はありません。
c.販売実績
当社グループは単一セグメントのため、サービスごとに記載しております。
サービスの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
IoTプラットフォームサービス | 5,342,095 | - |
リモートマネジメントサービス | 756,751 | - |
サポートサービス | 145,394 | - |
その他サービス | 484,551 | - |
合計 | 6,728,792 | - |
(注)1.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。
2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
販売高(千円) | 割合(%) | |
KDDI株式会社 | 1,987,838 | 29.5 |
株式会社小松製作所 | 1,266,002 | 18.8 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、6,728,792千円となりました。これは主に、IoTプラットフォームサービスの売上高が5,342,095千円、リモートマネジメントサービスの売上高が756,751千円となり、ライセンス収入及びカスタマイズ収入並びに保守収入が増加したことによるものです。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、2,623,569千円となりました。これは主に、IoTプラットフォームサービスのカスタマイズ収入の増加にともない売上原価が増加したことによるものです。
この結果、売上総利益は4,105,222千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3,848,240千円となりました。これは主に、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるために成果を掴みつつある「OPTiM Cloud IoT OS」等の研究開発投資によるものです。
この結果、営業利益は256,981千円となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外収益は9,401千円となりました。これは主に、受取手数料及び受取保険金によるものです。
当連結会計年度における営業外費用は6,934千円となりました。これは主に、投資事業組合運用損によるものです。
この結果、経常利益は259,448千円となりました。
(特別損益)
当連結会計年度における特別利益の発生はありません。
当連結会計年度における特別損失の発生はありません。
この結果、税金等調整前当期純利益は259,448千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等合計は、142,169千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は117,222千円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向や技術革新への対応等があります。当社グループが事業展開するMDM・EMM市場は堅調に拡大を続けており、その市場のなかでの当社グループの位置づけも優位な状況であることは変わっておりません。一方で、世界の大きな潮流は、AI・IoT・Roboticsを活用した「第4次産業革命」へと加速度をあげて移行しております。この時代の大きな転換点において当社グループは、MDM・EMM市場において培った技術をAI・IoT・Robotics分野に昇華させることで、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるべく、引き続き研究開発投資が必要であると考えております。具体的には、ここ数年取り組んでまいりました、各業界・産業とITを融合させる「○○×IT」によりITの力で業界・産業基盤を再構築する取り組みを引き続き推進し、技術革新への対応を進め、知的財産権の取得等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存です。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高の増加が研究開発投資の源泉であり、将来的な利益の源泉となるものと考えており、売上高の増加、ならびに研究開発投資の成果として知的財産権(特許権)を重視しております。
当連結会計年度における売上高は6,728,792千円を達成しました。売上高の多くを占めるストック型のライセンス収入については、IoTプラットフォームサービスを中心にライセンス数を順調に積み上げることができ、大幅な成長となっております。
知的財産権(特許権)については、2019年6月特許庁発行の「経営における知的財産戦略事例集」に「新事業創造に資する知財戦略」の筆頭例として掲載されました。また、取り組みの成果である「ピンポイント農薬散布・施肥テクノロジー」の基本特許(特許第6326009号)は、令和元年度九州地方発明表彰で文部科学大臣賞を受賞しました。
今後も、「第4次産業革命」実現の中心的な企業になるべく、さらなる研究開発体制の強化、知的財産権獲得による競争優位の確保に取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、研究開発投資に向けた労務費及び外注費等です。必要な運転資金については、手元資金及び事業から創出される資金によることを基本としておりますが、事業拡大に向けた大型のM&Aの実行に追加的に資金が必要となる場合は、金融機関からの借入等をはじめとした資金調達手段を実施する可能性があります。
なお、当社グループは、政府が発令しました新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、全オフィスを対象としてリモートワークを行う取り組みを実施するなど業務遂行への影響は軽微であると判断しております。また当社グループの売上の中心であるストック型のライセンス収入は、堅調に推移しております。そのため、当社グループでは研究開発投資を継続させることを計画しております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の27.5%を占める1,263,910千円となっており、有利子負債の残高はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、当社グループでは、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルスの影響に係る仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。