有価証券報告書-第18期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/29 16:07
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74項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における国内経済は、政府による経済対策、日銀による金融政策の効果等を背景に、雇用・所得環境の改善傾向が続き、景気は緩やかな回復基調にあるものの、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動による影響が懸念されます。
このような市場環境の中、当社は今期を「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるための重要な一年と捉え、AI・IoT・Robot分野においてこれまで以上に積極的な事業展開及び研究開発投資を行ってまいりました。
積極投資を支える既存サービスは堅調に推移しており、「Optimal Biz」は成長を続けるEMM市場において過去同様、市場シェア1位を保持しております(2017 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(株式会社富士キメラ総研))。
AI・IoT・Robot分野では、AI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」に投資を集中させ6つのサービスを新たにリリースすると共に、「建設×IT」分野では、株式会社小松製作所、株式会社NTTドコモ、SAPジャパン株式会社と共に、建設生産プロセスのイノベーションを加速させるオープンプラットフォーム「ランドログ」を運営する合弁会社を設立し、建設現場に関わるあらゆる方に向けてサービスの提供を開始いたしました。
他産業においては、「農業×IT」分野でドローンとAIを利用したピンポイント農薬散布による栽培手法の展開を開始し、「医療×IT」分野では、遠隔診療、在宅医療向けのサービスがライセンスを伸ばしております。
さらに、地方銀行との連携による「金融×IT」、鉄道会社との「鉄道×IT」、無人店舗(AIStore)の開設(「小売×IT」)と多岐に渡るサービスを開始いたしました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末における資産合計は、3,645,377千円となり、前事業年度末と比較して314,353千円増加いたしました。これは主に、売掛金が163,446千円、繰延税金資産(流動資産)が105,026千円、繰延税金資産(固定資産)が125,338千円増加したことによるものです。
当事業年度末における負債合計は724,521千円となり、前事業年度末と比較して189,242千円減少いたしました。これは主に、買掛金が54,589千円、前受金が45,878千円増加した一方で、未払法人税等が285,836千円減少したことによるものです。
当事業年度末における純資産合計は、2,920,856千円となり、前事業年度末と比較して503,595千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が453,021千円増加したことによるものです。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高4,210,606千円(前期比27.0%増)、営業利益401,233千円(同41.4%減)、経常利益404,911千円(同40.6%減)、当期純利益453,021千円(同13.9%増)となりました。
なお、当社の事業は、ライセンス販売・保守サポートサービス(オプティマル)事業のみの単一事業であるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、サービス別の内訳は次のとおりであります。
(IoTプラットフォームサービス)
当事業年度もスマートフォン・タブレットの法人利用の拡大に伴い「Optimal Biz」のライセンス数が引き続き堅調に推移しており、市場シェア1位を獲得しております(2017 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(株式会社富士キメラ総研))。また端末の業務活用が積極化することで、セキュリティ対策やWebフィルタリングなどのオプション製品のライセンス数も順調に伸長しております。
機能面では、各OSでの機能強化、UI改善による利便性の向上、急速に市場を獲得しているMicrosoft Office 365及びG Suiteの利用制御機能を行なっていまいりました。
また、法人向けマーケットプレイス「OPTiM Store」でもMicrosoft製品の販売支援機能を加え、各販売パートナーでのプラットフォームとしての利用が拡大してまいりました。
各産業界で投資分野として益々拡大されるとみられるAI・IoT・Robot分野では、IoT時代に最適化された新型OS「OPTiM Cloud IoT OS」の開発及び提供に取り組んでまいりました。
「OPTiM Cloud IoT OS」では、新たに業界を絞って6つのサービスの提供を開始いたしました。「建設×IT」分野では、株式会社小松製作所、株式会社NTTドコモ、SAPジャパン株式会社と共に、建設生産プロセスのイノベーションを加速させるオープンプラットフォーム「ランドログ」を運営する合弁会社を設立し、建設現場に関わるあらゆる方に向けてサービスの提供を開始いたしました。
他産業においては、「農業×IT」分野でドローンとAIを利用したピンポイント農薬散布による栽培手法の展開を開始し、「医療×IT」分野では、遠隔診療、在宅医療向けのサービスがライセンスを伸ばしております。
さらに、地方銀行との連携による「金融×IT」、鉄道会社との「鉄道×IT」、無人店舗(AIStore)の開設(「小売×IT」)と多岐に渡るサービスを開始いたしました。
本分野においては、豊富な採用実績を誇る「Optimal Biz」のさらなる販売拡大と「OPTiM Cloud IoT OS」をベースとするAI・IoT・Robot分野での販路拡大を図ってまいります。
(リモートマネジメントサービス)
リモートマネジメントサービスにおいては、「Optimal Remote」のライセンス販売、コールセンター一体型の「Premium Remote Support Service」において、既存のパートナーからの販売が堅調に推移いたしました。
また、遠隔作業支援サービス「Optimal Second Sight」及び遠隔作業支援専用スマートグラス「Remote Action」を用いて様々な業種、業界に展開しており、ニーズが顕在化されていることから、パートナーを通じた販売拡大を行なってまいります。遠隔診療・健康相談サービス「ポケットドクター」では遠隔診療サービスを医療機関向けに有償販売を開始いたしました。販売パートナー経由での拡販を図ってまいります。
(サポートサービス)
パソコン市場の成長鈍化により、当該売上高は減少傾向にあります。現在急速に立ち上がったMVNO市場においてサポート効率化は今後の課題として潜在的なニーズを掘り起こしてまいります。
(その他サービス)
「パソコンソフト使い放題」、「ビジネスソフト使い放題(パソコンソフト使い放題の法人向けサービス)」は既存のパートナーでの販売が堅調に進んでおります。人気雑誌読み放題サービス「タブホ」においては、提供雑誌数800誌、3,000冊以上(5月31日時点)以上へと拡大いたしました。引き続き新たな販売パートナーの獲得と既存の販売パートナーへの販売支援を進めてまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ383,702千円減少し、1,654,957千円となりました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は47,552千円(前年同期は362,947千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益404,911千円がありましたが、法人税等の支払額461,373千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は395,430千円(前年同期は153,703千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出178,228千円、投資有価証券の取得による支出93,000千円、子会社株式の取得による支出80,000千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は50,643千円(前年同期は12,416千円の獲得)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入50,643千円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する該当事項はありません。
c.販売実績
当社は単一セグメントのため、サービスごとに記載しております。
サービスの名称当事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
IoTプラットフォームサービス2,825,578132.7
リモートマネジメントサービス668,834101.7
サポートサービス162,75788.4
その他サービス553,436160.9
合計4,210,606127.0

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前事業年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
KDDI株式会社1,077,86632.51,530,57936.4

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産の部)
当事業年度末における資産合計は、3,645,377千円となり、前事業年度末と比較して314,353千円増加いたしました。これは主に、売掛金が163,446千円、繰延税金資産(流動資産)が105,026千円、繰延税金資産(固定資産)が125,338千円増加したことによるものです。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計は724,521千円となり、前事業年度末と比較して189,242千円減少いたしました。これは主に、買掛金が54,589千円、前受金が45,878千円増加した一方で、未払法人税等が285,836千円減少したことによるものです。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、2,920,856千円となり、前事業年度末と比較して503,595千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が453,021千円増加したことによるものです。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は、4,210,606千円(前年同期比27.0%増)となり、前事業年度と比べて895,969千円増加いたしました。これは主に、IoTプラットフォームサービスの売上高が2,825,578千円(同32.7%増)、その他サービスの売上高が553,436千円(同60.9%増)となり、ライセンス収入及びカスタマイズ収入並びに保守収入が増加したことによるものです。
(売上原価)
当事業年度における売上原価は、1,106,251千円(前年同期比82.8%増)となり、前事業年度と比べて501,086千円増加いたしました。これは主に、IoTプラットフォームサービス、リモートマネジメントサービス及びその他サービスのライセンス収入の増加にともなう外注費、当期商品仕入高及びコンテンツ原価の増加やIoTプラットフォームサービス及びその他サービスのカスタマイズ収入の増加にともない売上原価が増加したことによるものです。
この結果、売上総利益は前事業年度に比べて394,883千円増加し、3,104,354千円(同14.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は2,703,121千円(前年同期比33.5%増)となり、前事業年度と比べて678,827千円増加いたしました。これは主に、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるために成果を掴みつつある「OPTiM Cloud IoT OS」への積極投資を実施し、研究開発費が増加したことによるものです。
この結果、営業利益は前事業年度に比べて283,944千円減少し、401,233千円(同41.4%減)となりました。
(営業外損益)
当事業年度における営業外収益は9,249千円(前年同期比226.8%増)となり、前事業年度と比べて6,418千円増加いたしました。これは主に、雑収入が増加したことによるものです。
当事業年度における営業外費用は5,571千円(同3.8%減)となり、前事業年度と比べて217千円減少いたしました。これは主に、投資事業組合運用損が減少したことによるものです。
この結果、経常利益は前事業年度に比べて277,307千円減少し、404,911千円(同40.6%減)となりました。
(特別損益)
当事業年度における特別利益の発生はありません(前事業年度は20,967千円)。
当事業年度における特別損失の発生はありません(前事業年度の発生はありません)。
この結果、税引前当期純利益は前事業年度に比べて298,275千円減少し、404,911千円(同42.4%減)となりました。
(当期純損益)
当事業年度における法人税等合計は、△48,109千円(前事業年度は305,584千円)となり、前事業年度と比べて353,694千円減少いたしました。これは、主に「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるために積極投資を実施したことことによるものや平成30年2月28日に吸収合併した株式会社テレパシー・グローバルの影響によるものです。
この結果、当期純利益は前事業年度に比べて55,419千円増加し、453,021千円(同13.9%増)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向や技術革新への対応等があります。当社が事業展開する市場は堅調に拡大を続けており、その市場のなかでの当社の位置づけも優位な状況であることは変わっておりません。ただし、世界の大きな潮流は、AI・IoT・Robotを活用した「第4次産業革命」へと加速度をあげて移行しております。時代の大きな転換点を鑑みるに、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるためには、より一層の研究開発投資が必要であると判断しました。具体的には、ここ数年取り組んでまいりました、各業界・産業とITを融合させる「○○×IT」によりITの力で業界・産業基盤を再構築する取り組みを引き続き推進し、技術革新への対応を進め、知的財産権の取得等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、研究開発投資に向けた労務費及び外注費等があります。
財務政策
当期末の現金及び現金同等物は、資産合計の45.4%を占める1,654,957千円です。当社は、主に営業活動から得た資金を財源とし、研究開発活動および設備投資を行っております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、売上高の増加が研究開発投資の源泉であり、将来的な利益の源泉となるものと考えており、売上高の増加、ならびに研究開発投資の成果として知的財産権(特許権)の出願・登録数を重視しております。
当事業年度における売上高は創業来18期連続となる過去最高売上高である4,210,606千円(前年同期比27.0%増)を達成しました。売上高の9割近くを占めるストック型のライセンス収入については、IoTプラットフォームサービス及びその他サービスを筆頭にライセンス数を順調に積み上げることができ、大幅な成長となっております。
当事業年度における知的財産権(特許権)の出願数は85件(内訳:PCT出願数52件、国内出願数2件、海外出願数31件)、登録数は101件(内訳:国内登録数75件、海外登録数26件)となり、年間特許登録数は国内・海外とも過去最高を更新し、AI・IoT・Robot分野の事業確立の布石となる1年になりました。
今後も、「第4次産業革命」実現の中心的な企業になるべく、さらなる研究開発体制の強化、知的財産権獲得による競争優位の確保に取り組んでまいります。