有価証券報告書-第19期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における国内経済は、政府による経済対策、日銀による金融政策の効果等を背景に、雇用・所得環境の改善傾向が続き、景気は緩やかな回復基調にあるものの、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動による影響が懸念されます。
このような市場環境の中、当社は、前期に引き続き第4次産業革命において中心的な役割を果たす企業となるため、AI・IoT・Robotics分野においてさらなる積極的な事業展開及び研究開発投資を行ってまいりました。
研究開発投資を支える既存サービスについては、「Optimal Biz」をはじめ、「Optimal Remote」「タブホ」など各サービスのライセンス数が増加しており、全体の売上としても堅調に伸びております。特に、売上の中心である「Optimal Biz」については、拡大を続けているMDM・EMM市場において、ID数・金額の割合で3年連続国内MDM・EMM市場シェア1位の評価を獲得しております(出典:株式会社富士キメラ総研 出典:2016年、2017年、2018年、ネットワークセキュリティビジネス調査総覧)。当事業年度においても、スマートフォン・タブレットの法人利用の拡大や、学校教育向け市場の拡大、政府が進めている働き方改革向けの機能拡張などの性能面・機能面の強化をはかることなどにより、想定していたよりも順調にライセンス数を伸ばすことができ、期初の売上予測を上回る要因となりました。
積極的な研究開発投資については、主に「OPTiM Cloud IoT OS」及びそれに基づくサービス・ソリューションの開発となります。その成果については、2018年10月にAI画像解析技術で各業界特有の課題解決を実現するパッケージサービス「OPTiM AI Camera」ならびに、定量データ解析サービス「OPTiM AI Prediction」を発表する等しております。これらのサービスは第4四半期中に販売を開始し、一定の成果をあげることができ、2020年3月期においては、更なる拡販が期待されます。
「OPTiM Cloud IoT OS」を基盤とし、AI・IoT・Roboticsを活用した各産業における活動では、それぞれの業界を代表する企業や団体との協力体制の構築が進んでおります。農業分野においては、一般社団法人九州経済連合会ならびに福岡県、大分県と九州におけるスマート農業の促進を目的として「スマート農業促進コンソーシアム」を設立しました。さらに、2019年1月には株式会社みちのく銀行と日本初となるスマート農業地域商社「株式会社オプティムアグリ・みちのく」を設立するなど、全国でのスマート農業の取り組みが進んでおります。医療分野においては、シスメックス株式会社と、先端医療分野におけるAI・IoTを活用した医療ITソリューションの開発と、グローバルなサービス展開に向けた包括的な業務提携を行うなど、社会を構成する各産業において、AI・IoT・Roboticsの活用を推進する取り組みが順調に進んでおります。そのほかにも株式会社小松製作所(他2社)との合弁会社である株式会社ランドログとの(建設現場のIT化における)協業は堅実に進捗しており、また九州電力株式会社と「戦略的提携」に関する契約を締結するなど、2020年3月期の「OPTiM Cloud IoT OS」の売上計上へ向けた下地作りを進めることができております。なお、「OPTiM Cloud IoT OS」を利用するためのカスタマイズ、環境構築等については、当事業年度における売上の増加要因となっています。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末における資産合計は、3,725,858千円となり、前事業年度末と比較して80,480千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が527,278千円減少した一方で、売掛金が407,848千円、繰延税金資産が53,874千円、投資有価証券が45,535千円、敷金及び保証金が43,046千円増加したことによるものです。
当事業年度末における負債合計は868,054千円となり、前事業年度末と比較して143,533千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が105,380千円、前受収益が38,315千円増加したことによるものです。
当事業年度末における純資産合計は、2,857,803千円となり、前事業年度末と比較して63,052千円減少いたしました。これは主に、自己株式が74,989千円増加したことによるものです。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態については、遡及処理後の前事業年度末の数値で比較を行っております。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高5,468,745千円(前年同期比29.9%増)、営業利益96,493千円(同76.0%減)、経常利益145,527千円(同64.1%減)、当期純利益11,281千円(同97.5%減)となりました。
なお、当社の事業は、ライセンス販売・保守サポートサービス(オプティマル)事業のみの単一事業であるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、サービス別の内訳は次のとおりであります。
(IoTプラットフォームサービス)
主力である「Optimal Biz」は、引き続きライセンス数を伸ばしており、売上の伸びの大きな要因の一つとなっております。Googleが提供する法人向け端末管理フレームワーク「Android enterprise」の「ゼロタッチ登録」機能への対応強化、Appleが提供するアプリケーションの設定配布機能「App Configuration」への対応、Windows端末向けの「SIM抜き差し監視機能」を国内で初めて提供するなど性能面・機能面での強化を図り、当事業年度及び来期以降も持続的にシェアの確保と成長を目指しております。
「OPTiM Cloud IoT OS」関連においては、主力サービスとなることが見込まれるAI画像解析技術で各業界特有の課題解決を実現するパッケージサービス「OPTiM AI Camera」ならびに、定量データ解析サービス「OPTiM AI Prediction」を発表しており、「OPTiM AI Camera」は、株式会社蔦屋家電エンタープライズがオープンした「蔦屋家電+」(ツタヤカデンプラス)ならびに、期間限定で表参道ヒルズにてオープンしたポップアップストア「PAUL & JOE ACCESSOIRES(ポール & ジョー アクセソワ)」へ導入されるなど、来期以降へ向けたライセンスの積み上げにつながっております。
AI・IoT・Roboticsを活用した農業分野においては、「スマート農業アライアンス」の活動が順調に進んでおり、参加団体数が1,000団体を超えました。さらに当社が特許を保有する「ピンポイント農薬散布テクノロジー」を用いて生産された作物を、当社が運営するWebサイト「スマートアグリフーズ直送便(愛称:スマ直)」やAmazon、Yahoo!ショッピングで販売も開始しております。
医療分野においては、国立大学法人佐賀大学と共同で取り組んでいる「メディカル・イノベーションプロジェクト」において、眼底画像を用いた人工知能による緑内障の診断支援システムの臨床研究を医療法人YT美川眼科医院にて実施しております。さらに、2018年12月21日付で「高度管理医療機器等販売業・貸与業」の許可を取得しました。これにより、医療機器とその他のデバイスが併せて販売が可能になるほか、それらの医療機器などを貸し出すことが可能となります。
(リモートマネジメントサービス)
リモートマネジメントサービスにつきましては、遠隔作業支援から作業管理まで行う「Smart Field」の拡販に引き続き注力しており、遠隔作業支援「Remote Action」、「Optimal Second Sight」も順調にライセンス数を伸ばしております。
医療分野においては、AI・IoTを活用した在宅医療支援サービス「Smart Home Medical Care」が全国の医療機関向けに提供が開始されています。また、「遠隔診療ポケットドクター」が愛知県において遠隔服薬指導の実証実験に採択されるなどしております。
(サポートサービス)
パソコン市場の成長性が鈍化しており、売上高は減少傾向にあります。しかし、MVNO市場においても自動化やサポート効率化のニーズは強いため、引き続きサービスの拡大を進めてまいります。
(その他サービス)
「パソコンソフト使い放題」、「ビジネスソフト使い放題(パソコンソフト使い放題の法人向けサービス)」ともに、既存の販売パートナーでの販売が堅調に進んでおります。人気雑誌読み放題サービス「タブホ」においては、提供雑誌数が900誌3,000冊以上へと拡大いたしました。さらに、通常の販売だけではなく、法人向けサービスである「タブホスポット」の販売も好調に推移しております。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ527,278千円減少し、1,127,679千円となりました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は250,525千円(前年同期は47,552千円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益144,677千円がありましたが、売上債権の増加額426,705千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は202,090千円(前年同期は395,430千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出103,143千円、投資有価証券の取得による支出60,000千円、敷金及び保証金の差入による支出43,046千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は74,333千円(前年同期は50,643千円の獲得)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出74,989千円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する該当事項はありません。
c.販売実績
当社は単一セグメントのため、サービスごとに記載しております。
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産の部)
当事業年度末における資産合計は、3,725,858千円となり、前事業年度末と比較して80,480千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が527,278千円減少した一方で、売掛金が407,848千円、繰延税金資産が53,874千円、投資有価証券が45,535千円、敷金及び保証金が43,046千円増加したことによるものです。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計は868,054千円となり、前事業年度末と比較して143,533千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が105,380千円、前受収益が38,315千円増加したことによるものです。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、2,857,803千円となり、前事業年度末と比較して63,052千円減少いたしました。これは主に、自己株式が74,989千円増加したことによるものです。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態については、遡及処理後の前事業年度末の数値で比較を行っております。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は、5,468,745千円(前年同期比29.9%増)となり、前事業年度と比べて1,258,139千円増加いたしました。これは主に、IoTプラットフォームサービスの売上高が3,989,101千円(同41.2%増)、リモートマネジメントサービスの売上高が777,359千円(同16.2%増)となり、ライセンス収入及びカスタマイズ収入並びに保守収入が増加したことによるものです。
(売上原価)
当事業年度における売上原価は、1,965,375千円(前年同期比77.7%増)となり、前事業年度と比べて859,124千円増加いたしました。これは主に、IoTプラットフォームサービス、リモートマネジメントサービスのライセンス収入の増加にともなう外注費、当期商品仕入高の増加やIoTプラットフォームサービスのカスタマイズ収入の増加にともない売上原価が増加したことによるものです。
この結果、売上総利益は前事業年度に比べて399,015千円増加し、3,503,370千円(同12.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は3,406,876千円(前年同期比26.0%増)となり、前事業年度と比べて703,755千円増加いたしました。これは主に、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるために成果を掴みつつある「OPTiM Cloud IoT OS」への積極投資を実施し、研究開発費が増加したことによるものです。
この結果、営業利益は前事業年度に比べて304,740千円減少し、96,493千円(同76.0%減)となりました。
(営業外損益)
当事業年度における営業外収益は49,896千円(前年同期比439.5%増)となり、前事業年度と比べて40,647千円増加いたしました。これは主に、雑収入が増加したことによるものです。
当事業年度における営業外費用は862千円(同84.5%減)となり、前事業年度と比べて4,708千円減少いたしました。これは主に、投資事業組合運用損が無くなり、投資事業組合運用益になったことによるものです。
この結果、経常利益は前事業年度に比べて259,384千円減少し、145,527千円(同64.1%減)となりました。
(特別損益)
当事業年度における特別利益の発生はありません(前事業年度の発生はありません)。
当事業年度における特別損失は、850千円(前事業年度の発生はありません)となり、前事業年度と比べて850千円増加いたしました。これはゴルフ会員権を再評価したためです。
この結果、税引前当期純利益は前事業年度に比べて260,234千円減少し、144,677千円(同64.3%減)となりました。
(当期純損益)
当事業年度における法人税等合計は、133,396千円(前事業年度は△48,109千円)となり、前事業年度と比べて181,505千円増加いたしました。これは主に、前事業年度は2018年2月28日に吸収合併した株式会社テレパシー・グローバルの影響があったためです。
この結果、当期純利益は前事業年度に比べて441,739千円減少し、11,281千円(同97.5%減)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向や技術革新への対応等があります。当社が事業展開するMDM・EMM市場は堅調に拡大を続けており、その市場のなかでの当社の位置づけも優位な状況であることは変わっておりません。一方で、世界の大きな潮流は、AI・IoT・Roboticsを活用した「第4次産業革命」へと加速度をあげて移行しております。この時代の大きな転換点において当社は、MDM・EMM市場において培った技術をAI・IoT・Robotics分野に昇華させることで、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるべく、引き続き研究開発投資が必要であると考えております。具体的には、ここ数年取り組んでまいりました、各業界・産業とITを融合させる「○○×IT」によりITの力で業界・産業基盤を再構築する取り組みを引き続き推進し、技術革新への対応を進め、知的財産権の取得等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存です。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、研究開発投資に向けた労務費及び外注費等があります。
財務政策
当期末の現金及び現金同等物は、資産合計の30.3%を占める1,127,679千円です。当社は、主に営業活動から得た資金を財源とし、研究開発活動及び設備投資を行っております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、売上高の増加が研究開発投資の源泉であり、将来的な利益の源泉となるものと考えており、売上高の増加、ならびに研究開発投資の成果として知的財産権(特許権)の出願・登録数を重視しております。
当事業年度における売上高は創業来19期連続となる過去最高売上高である5,468,745千円(前年同期比29.9%増)を達成しました。売上高の8割近くを占めるストック型のライセンス収入については、IoTプラットフォームサービスを筆頭にライセンス数を順調に積み上げることができ、大幅な成長となっております。
当事業年度における知的財産権(特許権)の出願数は52件(内訳:PCT出願数26件、海外出願数26件)、登録数67件(内訳:国内登録数56件、海外登録数11件)であり、AI・IoT・Robotics各分野の事業発展に貢献した知財戦略が認められ、経済産業省特許庁から「知財功労賞」を授与されました。
今後も、「第4次産業革命」実現の中心的な企業になるべく、さらなる研究開発体制の強化、知的財産権獲得による競争優位の確保に取り組んでまいります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における国内経済は、政府による経済対策、日銀による金融政策の効果等を背景に、雇用・所得環境の改善傾向が続き、景気は緩やかな回復基調にあるものの、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動による影響が懸念されます。
このような市場環境の中、当社は、前期に引き続き第4次産業革命において中心的な役割を果たす企業となるため、AI・IoT・Robotics分野においてさらなる積極的な事業展開及び研究開発投資を行ってまいりました。
研究開発投資を支える既存サービスについては、「Optimal Biz」をはじめ、「Optimal Remote」「タブホ」など各サービスのライセンス数が増加しており、全体の売上としても堅調に伸びております。特に、売上の中心である「Optimal Biz」については、拡大を続けているMDM・EMM市場において、ID数・金額の割合で3年連続国内MDM・EMM市場シェア1位の評価を獲得しております(出典:株式会社富士キメラ総研 出典:2016年、2017年、2018年、ネットワークセキュリティビジネス調査総覧)。当事業年度においても、スマートフォン・タブレットの法人利用の拡大や、学校教育向け市場の拡大、政府が進めている働き方改革向けの機能拡張などの性能面・機能面の強化をはかることなどにより、想定していたよりも順調にライセンス数を伸ばすことができ、期初の売上予測を上回る要因となりました。
積極的な研究開発投資については、主に「OPTiM Cloud IoT OS」及びそれに基づくサービス・ソリューションの開発となります。その成果については、2018年10月にAI画像解析技術で各業界特有の課題解決を実現するパッケージサービス「OPTiM AI Camera」ならびに、定量データ解析サービス「OPTiM AI Prediction」を発表する等しております。これらのサービスは第4四半期中に販売を開始し、一定の成果をあげることができ、2020年3月期においては、更なる拡販が期待されます。
「OPTiM Cloud IoT OS」を基盤とし、AI・IoT・Roboticsを活用した各産業における活動では、それぞれの業界を代表する企業や団体との協力体制の構築が進んでおります。農業分野においては、一般社団法人九州経済連合会ならびに福岡県、大分県と九州におけるスマート農業の促進を目的として「スマート農業促進コンソーシアム」を設立しました。さらに、2019年1月には株式会社みちのく銀行と日本初となるスマート農業地域商社「株式会社オプティムアグリ・みちのく」を設立するなど、全国でのスマート農業の取り組みが進んでおります。医療分野においては、シスメックス株式会社と、先端医療分野におけるAI・IoTを活用した医療ITソリューションの開発と、グローバルなサービス展開に向けた包括的な業務提携を行うなど、社会を構成する各産業において、AI・IoT・Roboticsの活用を推進する取り組みが順調に進んでおります。そのほかにも株式会社小松製作所(他2社)との合弁会社である株式会社ランドログとの(建設現場のIT化における)協業は堅実に進捗しており、また九州電力株式会社と「戦略的提携」に関する契約を締結するなど、2020年3月期の「OPTiM Cloud IoT OS」の売上計上へ向けた下地作りを進めることができております。なお、「OPTiM Cloud IoT OS」を利用するためのカスタマイズ、環境構築等については、当事業年度における売上の増加要因となっています。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末における資産合計は、3,725,858千円となり、前事業年度末と比較して80,480千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が527,278千円減少した一方で、売掛金が407,848千円、繰延税金資産が53,874千円、投資有価証券が45,535千円、敷金及び保証金が43,046千円増加したことによるものです。
当事業年度末における負債合計は868,054千円となり、前事業年度末と比較して143,533千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が105,380千円、前受収益が38,315千円増加したことによるものです。
当事業年度末における純資産合計は、2,857,803千円となり、前事業年度末と比較して63,052千円減少いたしました。これは主に、自己株式が74,989千円増加したことによるものです。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態については、遡及処理後の前事業年度末の数値で比較を行っております。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高5,468,745千円(前年同期比29.9%増)、営業利益96,493千円(同76.0%減)、経常利益145,527千円(同64.1%減)、当期純利益11,281千円(同97.5%減)となりました。
なお、当社の事業は、ライセンス販売・保守サポートサービス(オプティマル)事業のみの単一事業であるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、サービス別の内訳は次のとおりであります。
(IoTプラットフォームサービス)
主力である「Optimal Biz」は、引き続きライセンス数を伸ばしており、売上の伸びの大きな要因の一つとなっております。Googleが提供する法人向け端末管理フレームワーク「Android enterprise」の「ゼロタッチ登録」機能への対応強化、Appleが提供するアプリケーションの設定配布機能「App Configuration」への対応、Windows端末向けの「SIM抜き差し監視機能」を国内で初めて提供するなど性能面・機能面での強化を図り、当事業年度及び来期以降も持続的にシェアの確保と成長を目指しております。
「OPTiM Cloud IoT OS」関連においては、主力サービスとなることが見込まれるAI画像解析技術で各業界特有の課題解決を実現するパッケージサービス「OPTiM AI Camera」ならびに、定量データ解析サービス「OPTiM AI Prediction」を発表しており、「OPTiM AI Camera」は、株式会社蔦屋家電エンタープライズがオープンした「蔦屋家電+」(ツタヤカデンプラス)ならびに、期間限定で表参道ヒルズにてオープンしたポップアップストア「PAUL & JOE ACCESSOIRES(ポール & ジョー アクセソワ)」へ導入されるなど、来期以降へ向けたライセンスの積み上げにつながっております。
AI・IoT・Roboticsを活用した農業分野においては、「スマート農業アライアンス」の活動が順調に進んでおり、参加団体数が1,000団体を超えました。さらに当社が特許を保有する「ピンポイント農薬散布テクノロジー」を用いて生産された作物を、当社が運営するWebサイト「スマートアグリフーズ直送便(愛称:スマ直)」やAmazon、Yahoo!ショッピングで販売も開始しております。
医療分野においては、国立大学法人佐賀大学と共同で取り組んでいる「メディカル・イノベーションプロジェクト」において、眼底画像を用いた人工知能による緑内障の診断支援システムの臨床研究を医療法人YT美川眼科医院にて実施しております。さらに、2018年12月21日付で「高度管理医療機器等販売業・貸与業」の許可を取得しました。これにより、医療機器とその他のデバイスが併せて販売が可能になるほか、それらの医療機器などを貸し出すことが可能となります。
(リモートマネジメントサービス)
リモートマネジメントサービスにつきましては、遠隔作業支援から作業管理まで行う「Smart Field」の拡販に引き続き注力しており、遠隔作業支援「Remote Action」、「Optimal Second Sight」も順調にライセンス数を伸ばしております。
医療分野においては、AI・IoTを活用した在宅医療支援サービス「Smart Home Medical Care」が全国の医療機関向けに提供が開始されています。また、「遠隔診療ポケットドクター」が愛知県において遠隔服薬指導の実証実験に採択されるなどしております。
(サポートサービス)
パソコン市場の成長性が鈍化しており、売上高は減少傾向にあります。しかし、MVNO市場においても自動化やサポート効率化のニーズは強いため、引き続きサービスの拡大を進めてまいります。
(その他サービス)
「パソコンソフト使い放題」、「ビジネスソフト使い放題(パソコンソフト使い放題の法人向けサービス)」ともに、既存の販売パートナーでの販売が堅調に進んでおります。人気雑誌読み放題サービス「タブホ」においては、提供雑誌数が900誌3,000冊以上へと拡大いたしました。さらに、通常の販売だけではなく、法人向けサービスである「タブホスポット」の販売も好調に推移しております。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ527,278千円減少し、1,127,679千円となりました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は250,525千円(前年同期は47,552千円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益144,677千円がありましたが、売上債権の増加額426,705千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は202,090千円(前年同期は395,430千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出103,143千円、投資有価証券の取得による支出60,000千円、敷金及び保証金の差入による支出43,046千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は74,333千円(前年同期は50,643千円の獲得)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出74,989千円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する該当事項はありません。
c.販売実績
当社は単一セグメントのため、サービスごとに記載しております。
サービスの名称 | 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
IoTプラットフォームサービス | 3,989,101 | 141.2 |
リモートマネジメントサービス | 777,359 | 116.2 |
サポートサービス | 155,307 | 95.4 |
その他サービス | 546,977 | 98.8 |
合計 | 5,468,745 | 129.9 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前事業年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
KDDI株式会社 | 1,530,579 | 36.4 | 1,860,249 | 34.0 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産の部)
当事業年度末における資産合計は、3,725,858千円となり、前事業年度末と比較して80,480千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が527,278千円減少した一方で、売掛金が407,848千円、繰延税金資産が53,874千円、投資有価証券が45,535千円、敷金及び保証金が43,046千円増加したことによるものです。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計は868,054千円となり、前事業年度末と比較して143,533千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が105,380千円、前受収益が38,315千円増加したことによるものです。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、2,857,803千円となり、前事業年度末と比較して63,052千円減少いたしました。これは主に、自己株式が74,989千円増加したことによるものです。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態については、遡及処理後の前事業年度末の数値で比較を行っております。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は、5,468,745千円(前年同期比29.9%増)となり、前事業年度と比べて1,258,139千円増加いたしました。これは主に、IoTプラットフォームサービスの売上高が3,989,101千円(同41.2%増)、リモートマネジメントサービスの売上高が777,359千円(同16.2%増)となり、ライセンス収入及びカスタマイズ収入並びに保守収入が増加したことによるものです。
(売上原価)
当事業年度における売上原価は、1,965,375千円(前年同期比77.7%増)となり、前事業年度と比べて859,124千円増加いたしました。これは主に、IoTプラットフォームサービス、リモートマネジメントサービスのライセンス収入の増加にともなう外注費、当期商品仕入高の増加やIoTプラットフォームサービスのカスタマイズ収入の増加にともない売上原価が増加したことによるものです。
この結果、売上総利益は前事業年度に比べて399,015千円増加し、3,503,370千円(同12.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は3,406,876千円(前年同期比26.0%増)となり、前事業年度と比べて703,755千円増加いたしました。これは主に、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるために成果を掴みつつある「OPTiM Cloud IoT OS」への積極投資を実施し、研究開発費が増加したことによるものです。
この結果、営業利益は前事業年度に比べて304,740千円減少し、96,493千円(同76.0%減)となりました。
(営業外損益)
当事業年度における営業外収益は49,896千円(前年同期比439.5%増)となり、前事業年度と比べて40,647千円増加いたしました。これは主に、雑収入が増加したことによるものです。
当事業年度における営業外費用は862千円(同84.5%減)となり、前事業年度と比べて4,708千円減少いたしました。これは主に、投資事業組合運用損が無くなり、投資事業組合運用益になったことによるものです。
この結果、経常利益は前事業年度に比べて259,384千円減少し、145,527千円(同64.1%減)となりました。
(特別損益)
当事業年度における特別利益の発生はありません(前事業年度の発生はありません)。
当事業年度における特別損失は、850千円(前事業年度の発生はありません)となり、前事業年度と比べて850千円増加いたしました。これはゴルフ会員権を再評価したためです。
この結果、税引前当期純利益は前事業年度に比べて260,234千円減少し、144,677千円(同64.3%減)となりました。
(当期純損益)
当事業年度における法人税等合計は、133,396千円(前事業年度は△48,109千円)となり、前事業年度と比べて181,505千円増加いたしました。これは主に、前事業年度は2018年2月28日に吸収合併した株式会社テレパシー・グローバルの影響があったためです。
この結果、当期純利益は前事業年度に比べて441,739千円減少し、11,281千円(同97.5%減)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向や技術革新への対応等があります。当社が事業展開するMDM・EMM市場は堅調に拡大を続けており、その市場のなかでの当社の位置づけも優位な状況であることは変わっておりません。一方で、世界の大きな潮流は、AI・IoT・Roboticsを活用した「第4次産業革命」へと加速度をあげて移行しております。この時代の大きな転換点において当社は、MDM・EMM市場において培った技術をAI・IoT・Robotics分野に昇華させることで、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるべく、引き続き研究開発投資が必要であると考えております。具体的には、ここ数年取り組んでまいりました、各業界・産業とITを融合させる「○○×IT」によりITの力で業界・産業基盤を再構築する取り組みを引き続き推進し、技術革新への対応を進め、知的財産権の取得等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存です。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、研究開発投資に向けた労務費及び外注費等があります。
財務政策
当期末の現金及び現金同等物は、資産合計の30.3%を占める1,127,679千円です。当社は、主に営業活動から得た資金を財源とし、研究開発活動及び設備投資を行っております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、売上高の増加が研究開発投資の源泉であり、将来的な利益の源泉となるものと考えており、売上高の増加、ならびに研究開発投資の成果として知的財産権(特許権)の出願・登録数を重視しております。
当事業年度における売上高は創業来19期連続となる過去最高売上高である5,468,745千円(前年同期比29.9%増)を達成しました。売上高の8割近くを占めるストック型のライセンス収入については、IoTプラットフォームサービスを筆頭にライセンス数を順調に積み上げることができ、大幅な成長となっております。
当事業年度における知的財産権(特許権)の出願数は52件(内訳:PCT出願数26件、海外出願数26件)、登録数67件(内訳:国内登録数56件、海外登録数11件)であり、AI・IoT・Robotics各分野の事業発展に貢献した知財戦略が認められ、経済産業省特許庁から「知財功労賞」を授与されました。
今後も、「第4次産業革命」実現の中心的な企業になるべく、さらなる研究開発体制の強化、知的財産権獲得による競争優位の確保に取り組んでまいります。