有価証券報告書-第18期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 17:00
【資料】
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【項目】
94項目
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日)における我が国経済は、海外経済の緩やかな回復、情報関連財需要の高まり、またオリンピック需要もあり、緩やかな景気回復基調が続きました。
当グループが所属する国内コグニティブ/AIシステム市場は、2016年までのPOC(Proof of Concept:実証実験)から実ビジネスへの適用が多くなり、市場は急速に成長すると予測されます。また、2018年以降の同市場は、金融などでの詐欺検出/分析、全業種での自動顧客サービスなどへのAI適用が進み、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は73.6%で成長し、2021年には 2,501億900万円の規模になると予測しています。
こうした状況の中、当連結会計年度においては以下の活動に注力して参りました。
1.高付加価値事業に注力し売上拡大。
2.昨年度実施のM&A先の発展による売上利益の向上とともに今年度も継続的にM&Aを行い収益基盤を強化。
3.MLFlowなどAIソリューションを本格的に提供開始。またAI投資も積極的に継続
詳細は以下のとおりでございます。
1.AIプラットフォーム MLFlow α版のリリース
①機械学習やIoTを利用したソリューションのローンチスピードアップと、開発コストの低下に寄与。
②昨年の12月にα版をリリースし、また本年2月にはMLFlowによる映像解析技術の優位性を活かして、ドローンで撮影した太陽光発電設備の映像を解析し、異常点検レポーティングを行うサービスを実現。
2.AIソリューションの展開
①文章自動生成、掲示板監視、AIファンドなどのサービスを展開。
3.インバウンド市場の拡大に伴う外国人行動分析事業の売上向上
①観光庁、日本政府観光局(JNTO)、地方自治体、その他省庁からの大型案件を受注。
②海外から国内へのインバウンド関連のみならず、日本から国外へ展開する事業会社のアウトバウンド案件も増加し、リピート顧客が増加。
4.KAGネットワーク・ソリューションズ株式会社(現株式会社ディーエスエス)のM&Aによる第4四半期売上への貢献
①平成30年1月に株式取得し、連結子会社化。
②過年度より安定的な収益を計上。
③当該収益をAI投資環境整備に向けて振り分け。
④顧客からの需要は大きいため、リソースの手当により、更なる業務拡大が見込まれる。
5.システム開発の高収益化が進捗
①大口顧客からの安定的な受注を確保。
②システム開発/運用のみならず、業務活用コンサルテーションも含め、上流から下流までワンストップでサポートすることによる高付加価値化を実現。
③ストック型の売り上げモデルの拡大により、継続的な売り上げ増を実現。
上記により、平成30年3月期第4四半期の売上が四半期ベースで過去最高売上を更新するとともに、平成30年3月期通期の売上高も前年実績を上回っております。
一方で、新規事業のAIソリューション開発の人材・工数の投資(AIプラットフォーム(MLFlow)や新サービスの開発)にコストを要したことから、減益となっております。当該投資については来期以降で回収を見込んでおります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は過去最高の721百万円(前連結会計年度比21.4%増)、営業利益45百万円(前連結会計年度比43.1%減)、経常利益45百万円(前連結会計年度比35.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16百万円(前連結会計年度比55.9%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して528百万円増加し、当連結会計年度末には1,247百万円(前年同期比73.5%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、37百万円(前年同期は153百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の増加124百万円、税金等調整前当期純利益40百万円の計上、減価償却費の計上67百万円、未払金の増加56百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、292百万円(前年同期は175百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出107百万円、無形固定資産の取得による支出78百万円、連結の範囲の変更を伴う会社株式の取得による支出46百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、784百万円(前年同期は20百万円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使に伴う株式の発行による収入739百万円、長期借入れによる収入50百万円によるものであります。
生産、受注及び販売の状況
(1)生産実績
当社グループは、事業の特性上、生産実績という区分は適当でないため記載しておりません。
(2)受注状況
当社グループは、概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、ソーシャル・ビッグデータ事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、サービス別に記載しております。
サービスの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
SaaS (千円)177,693121.1
リサーチコンサルティング (千円)296,744125.1
ソリューション (千円)246,634117.5
合計 (千円)721,072121.4

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
日本政府観光局93,49513.0

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表[注記事項] 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ127百万円増加し、721百万円(前年同期比21.4%増)となりました。要因として、連結子会社であるソリッドインテリジェンス株式会社による海外インバウンド事業の売上増加、および株式会社ディーエスエスが連結範囲に加わったことによるシステム保守運用受託業務売上増加のほか、当社が大口顧客によるシステム開発案件を安定的な受注を確保しつづけていることが挙げられます。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は前連結会計年度に比べ136百万円増加し、410百万円(同49.6%増)となりました。この主な内訳は、人件費208百万円、サーバ使用料35百万円であります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ25百万円増加し、265百万円(同10.5%増)となりました。この主な内訳は、人件費143百万円、研究開発費17万円によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高721百万円(同21.4%増)、営業利益45百万円(同43.1%減)、経常利益45百万円(同35.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16百万円(同55.9%減)となりました。
(3)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ709百万円増加し、1,574百万円となりました。この主な内訳は、現金及び預金1,258百万円、受取手形及び売掛金281百万円であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ181百万円増加し、491百万円となりました。この主な内訳は、投資有価証券139百万円、ソフトウエア124百万円であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ103百万円増加し、201百万円となりました。この主な内訳は、未払金95百万円、未払費用28百万円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ30百万円増加し、34百万円となりました。この主な内訳は、長期借入金32百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ757百万円増加し、1,830百万円となりました。この主な内訳は、資本金888百万円、資本剰余金666百万円、利益剰余金257百万円であります。
(4)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(5)経営戦略の現状と見通し
AI技術とビッグデータを活用したビジネスモデルには様々な可能性があると当社グループでは認識しており、当社グループでは常に数多くのアイディアを捻出し、試行錯誤を繰り返してビッグデータを活用した新規ビジネスの創出に取り組んでおります。これらのアイディアを具体的なビジネス企画に落とし込み、早いタイミングで開発していくことが、AI技術とビッグデータを活用した新規ビジネスを創出する上で必要であると認識しております。
当社グループでは、当社グループの持つ最先端のAI技術により、様々な分野のパートナーが保有するビッグデータを活用することにより、様々な新規ビジネスを創出すべく、仮説・検証のサイクルを高速でまわし、優良な新規ビジネスを継続的に多数立ち上げる方針であります。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。