有価証券報告書-第21期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により世界的に経済活動は停滞したことなどから先行きの不透明感が一層強まっています。
デジタルトランスフォーメーションに係る流通業界の国内市場(投資金額)については、デジタルオペレーションへの投資が中心となり、最適化による逸失利益の削減に向けたサービスなどへの投資も増加しています。今後は人手不足への対策として、業務効率化を目的とした投資が積極的に行われるとみられ、2030年度予測は2019年度比6.5倍の2,375億円と予測されています(富士キメラ総研「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)。
また、AIビジネスの国内市場においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、プロジェクト遅延や新規案件の延期などが一時的にみられましたが、リモートワークの急速な普及もあり、デジタル技術を活用した構造改革を積極的に進めている企業も多くみられます。経済状況が悪化している中でも企業競争力向上の取組みの一環として、AIへの投資は優先的に行われるとの予測から、2020年度は2019年度比15.4%増の1兆1,084億円が見込まれています。2021年度以降は、企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するための要素技術の一つとしてAIの利用がさらに増加していき、2025年度には2019年度比2.0倍の1兆9,357億円が予測されています(富士キメラ総研「2020 人工知能ビジネス総調査」)。
このような経済状況のもと、当社グループは、SaaS、リサーチコンサルティング、ソリューションサービス、その他(AI新規事業開発)のサービスを展開しております。
当社のサービスごとの概況は以下のとおりであります。なお、2021年5月14日付「2021年3月期 決算説明資料」(以下「決算説明資料」といいます。)上の分類について括弧書きで補足しております。
イ. SaaS
SaaSにおきましては、小売店舗に設置したAIカメラで取得する画像・動画データとPOSデータと掛け合わせて分析することで店舗の業績向上を支援するストック型のサービス「FollowUP」を主要サービスとし、「FollowUP」の派生サービスとして、店舗内の人数を可視化し入り口にて入店の密集度を表示することで入店制限の自動化を支援する「Store Capacity Control」、店舗入場者の発熱やマスク着用の有無を検知する「HealthyUP」、日々のウイルス感染対策オペレーションの支援とオペレーションのeラーニング機能を提供する「COVID-19 Tasking」などのサービスを提供しております(決算説明資料上は「リテールマーケティング事業」)。また、ソーシャルメディア分析ツール「Insight Intelligence」及び「Insight Intelligence Q」、並びに不適切投稿監視サービス「Social Monitor」などのストック型のサービスを提供しております(決算説明資料上は「ソーシャルメディア分析事業」)。
当連結会計年度の「FollowUP」及びその派生サービスにおいては、新型コロナウイルス感染症の対応策として世界の各都市で行われたロックダウンに伴う店舗休業の影響で、一時的に売上が減少したものの、各都市の経済活動の再開とともに回復し、当連結会計年度末においてはコロナ禍前の80%まで回復いたしました。
また、ソーシャルメディア分析ツールについては、一部の解約などがあり、微減となりました。
ロ. リサーチコンサルティング
リサーチコンサルティングでは、アナリストが分析、コンサルティングするサービスを提供しております(決算説明資料上は「ソーシャルメディア分析事業」)。
主に当社連結子会社であるソリッドインテリジェンス株式会社で行っている多言語ソーシャルメディア分析におけるコンサルティングサービスに関しては、新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンド向けソーシャルメディア分析の案件の減少やコロナ禍において官公庁予算の繰り越しが生じたことから、昨年度に比して微減となりました。ポストコロナに向けては、外国人が投稿する多言語のソーシャルメディア分析への関心は依然として高いと考えており、引き続き案件獲得に注力してまいります。
ハ. ソリューション
ソリューションサービスにおきましては、データ分析を業務改善に活用したシステム開発を顧客ごとにカスタマイズして行っております。データセクションの強みであるデータの解析の技術力と活用のためのコンサルティング力を生かして、顧客ごとの業務を理解して課題解決の提案からシステム開発及び運用までをワンストップで提供することで大型の開発案件を中心に売上を計上しております。(決算説明資料上は「AI・システム開発事業」)
当連結会計年度のソリューションサービスは、連結子会社の株式会社ディーエスエスにおける受注の増加があり、全体としては売上増となりました。
ニ. その他(AI新規事業開発) その他(AI新規事業開発)においては、今後当社の収益拡大の柱となることを目標としたサービスを新規に開発しております(決算説明資料上は「新規事業」)。
開発中のサービスは以下のとおりです。
a.音声解析AI
関連会社の株式会社iVOICEにおいて、音声解析AIを活用した議事録作成サービス「GIJIREC」トライアル版を提供しております。製品版「GIJIREC」では高精度の議事録作成サービスを提供することを目指してまいります。また、引き続き、国内の課題に対して、積極的に国の垣根を越えたグローバルなスキームを組み、よりスピーディーに課題を解決することにより、日本の持続的な発展に貢献してまいります。
b.医療・介護分野での継続開発中のプロジェクト
日本テクトシステムズ株式会社(以下「日本テクトシステムズ」といいます。)との『医療、特に認知症領域』を中心とした IT 事業に関する業務提携の一環として、MRI脳画像(白質病変)やタンパク質のAI解析などの共同事業を推進しております。
また、遠隔医療や介護という社会課題解決への貢献を目指し、「介護支援技術に関するプロジェクト」を、株式会社アルム(以下「アルム」といいます。)、東京慈恵会医科大学、日本テクトシステムズ及び当社の4者で進めております。この取り組みはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトとして採択されております。このプロジェクトにおいて第2四半期より心電図解析エンジン開発のための実証実験を開始し、心電図検査(ECG)の長時間データへの対応等機能の追加をいたしました。今後は異常波形の可視化、解析レポートの出力、アルムのサービスとの連携を目指してまいります。
さらに、IQVIAジャパングループ及びアルムと、それぞれの強みを活かし、PHR(※)の社会実装と価値最大化を支援するための共同プロジェクトを進めております。引き続き3社の強みを活かし、「個々の健康診断結果の自動入力→脳卒中及び心卒中のリスク判定→フォロー」を包括的に支援する取り組みを進めてまいります。
※PHRとは、Personal Health Record(パーソナル・ヘルス・レコード)の略語で、個人の健康・医療・介護に関する情報のことをさしています。
以上の取り組みを実施した結果、当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は1,389百万円(前年同期比18.9%増)となり、過去最高売上高を更新いたしました。この主な要因は、Jach Technology SpA(以下「Jach」といいます。)及びその子会社の連結による損益の取り込み、及び大型の受注開発案件の売上計上によるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は851百万円(前年同期比12.5%増)となりました。この主な内訳は、人件費418百万円、業務委託費298百万円、減価償却費96百万円によるものであります。売上原価の増加の主な要因は、Jach及びその子会社の連結による損益の取り込み、及び人件費の増加によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は519百万円(前年同期比30.7%増)となりました。この主な内訳は、人件費221百万円、のれん及び顧客関連資産の償却費111百万円、募集費24百万円、租税公課22百万円、業務委託費19百万円等によるものであります。販売費及び一般管理費の増加の主な要因は、Jach及びその子会社の連結による損益の取り込みによるものであります。
上記より、当連結会計年度における経営成績は、売上高1,389百万円(前年同期比18.9%増)、営業利益18百万円(前年同期比27.6%増)、円安ドル高の進行によりドル建て債権にかかる営業外収益(為替差益)20百万円の計上等により経常利益31百万円(前年同期比432.5%増)、親会社株主に帰属する当期純損失41百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失17百万円)となりました。
(2)当期の財政状態の概況
資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して186百万円(前年同期比4.6%増)増加し、4,268百万円となりました。
これは、長期貸付金が308百万円、ソフトウエア仮勘定が50百万円増加し、のれんが96百万円、現金及び預金87百万円それぞれ減少したことを主要因とするものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して118百万円(前年同期比9.2%増)増加し、1,399百万円となりました。
これは、短期借入金が160百万円、未払法人税等が28百万円増加し、未払金が42百万円、未払消費税等が28百万円減少したことを主要因とするものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して68百万円増加し、2,868百万円となりました。
これは、新株予約権の行使による新株の発行により、資本金が47百万円、資本剰余金が47百万円それぞれ増加したこと、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が41百万円減少したことを主要因とするものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して、107百万円減少し、その結果として1,580百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、169百万円(前連結会計年度は、44百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益22百万円の計上、減価償却費119百万円、のれん償却額96百万円、未払金及び未払費用の減少43百万円、法人税等の支払額38百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、508百万円(前連結会計年度は、87百万円の支出)となりました。これは主に、貸付けによる支出287百万円、無形固定資産の取得による支出119百万円、有形固定資産の取得による支出54百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、232百万円(前連結会計年度は、228百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入237百万円、短期借入金の増加172百万円、及び長期借入金の返済による支出268百万円等によるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループは、事業の特性上、生産実績という区分は適当でないため記載しておりません。
(2)受注実績
当社グループは、概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、ソーシャル・ビッグデータ事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、サービス別に記載しております。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりでありますが、特に以下の項目は当社グループが行う連結財務諸表作成上の重要な判断と見積りに大きな影響を与えるものであると考えております。
①のれんの評価
特に重要なのれんの評価につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②有価証券の評価
当社グループは、時価を把握することが困難な有価証券を保有しております。これらの有価証券につきましては、その評価には原価法を採用し、投資先の業績等をもとに合理的に価値を評価して必要な減損処理を行ってきておりますが、将来の市況の変化等により実質価値が著しく低下し、かつ回復する見込みがないと判断した場合には減損処理が必要となる可能性があります。
③繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、毎決算日ごとに繰延税金資産の回収可能性について十分な検討を行い、将来の税金負担額を軽減する効果があると見込んだ額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、予測不能な事象や社会状況の変化等の影響を受けて課税所得の見積りに変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、有価証券の評価や繰延税金資産の回収可能性、及びのれんの評価等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。新型コロナウイルス感染症による影響についても作成時に入手可能な情報を踏まえて会計上の見積りを実施しております。(2)経営成績
当社グループは、最先端のAI技術とデータを活用した新規サービスを継続的に立ち上げ、ストック型のビジネスモデルによる安定的な収益確保を重要な戦略と位置づけております。さらに海外売上高を重要な柱と考え、「FollowUP」などサービスを提供しているリテールマーケティング事業のグローバル展開に注力してまいりました。このような方針に基づき経営成績の分析を行っております。 なお、当連結会計年度における経営成績等の前連結会計年度との比較数値については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響はあったものの、「FollowUP」の海外展開等により売上高は過去最高となりました。
サービス別の売上高の状況は以下のとおりであります。
SaaSの売上高は、前連結会計年度と比較して大幅に増加し、427百万円(前年同期比130.0%増)となりました。商品別には、AIを用いた店舗の顧客行動分析ツールである「FollowUP」の海外事業が売上を牽引しています。ソーシャルメディア分析ツール全体では売上高は減少していますが、マーケター視点を取り入れてリニューアルしたソーシャルメディア分析ツールであるInsight Intelligence Qの受注は好調であり、Insight Intelligence Qが売上を伸ばしました。 ソリューションの売上高は、前連結会計年度と比較して1百万円増加(前年同期比0.3%増)しました。これは大型の受託開発案件を継続的に受注したことによるものであります。一方でコロナの影響により大型案件の受注のスピードが緩んでおり、その影響もあり、1百万円の増加となっております。 リサーチコンサルティングの売上高は、前連結会計年度と比較して23百万円減少(前年同期比11.4%減)しました。今期はコロナにより訪日外国人が大幅に減少しました。その結果、ソリッドインテリジェンス株式会社が得意とする大型公募案件の数が減少し、その結果として売上高が減少しました。 これらの結果、当連結会計年度における売上高は1,389百万円(前年同期比18.9%増)となりました。
売上高の増加に伴い、人件費や業務委託費などが増加し売上原価も増加しております。 以上の結果により、営業利益は18百万円(前年同期比27.6%増)となりました。 円安ドル高の進行によりドル建て債権にかかる営業外収益(為替差益)20百万円の計上等によりにより経常利益は31百万円(前年同期比432.5%増)となりました。 また、以下の特別損益を計上しております。 投資有価証券の持分の一部譲渡に伴う投資有価証券売却益を計上しております。また、収益化の見込める事業へのリソースの選択と集中を行うため、自社利用ソフトウエアの一部と事業用資産について特別損失として減損損失を計上しております。 これらの結果、税金等調整前当期純利益は22百万円(前年同期比18.2%増)となりました。
法人税等、及び法人税等調整額53百万円、非支配株主利益に10百万円を計上した結果、最終的な親会社株主に帰属する当期純損失は41百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失17百万円)となりました。
(3)財政状態
当社グループは、財務健全性を維持しつつ、業容拡大のために積極的に投資を行う方針であります。このような方針に基づき財政状態の分析を行っております。
当連結会計年度における財政状態等の前連結会計年度との比較数値については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)当期の財政状態の概況」に記載のとおりであります。 当連結会計年度において、当社グループの資産・負債・純資産はともに増加しておりますが、これは、長期貸付金が308百万円、ソフトウエア仮勘定が50百万円増加し、のれんが96百万円、現金及び預金87百万円それぞれ減少したことを主要因とするものであります。 また、当社グループは、十分な手元資金を確保する目的で、財務健全性を維持できる範囲で銀行等からの借入による資金調達を行っており、負債が増加しております。 これらの結果、資産合計は4,268百万円(前年同期比4.6%増)、負債合計は1,399百万円(前年同期比9.2%増)、純資産は2,868百万円(前年同期比2.4%増)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して107百万円減少し1,580百万円となりました。
当社グループの財務戦略、具体的な資金需要と資金調達方法及び資金の流動性については下記のとおりであります。(財務戦略) 当社グループは、安定した財務基盤を維持し、手元資金を十分に確保することで、積極的な投資の機会を確保することを基本的な財務戦略としております。この戦略にもとづき海外事業に積極的に投資を行ってきた結果、当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は169百万円と、前連結会計年度に比べて125百万円の増加となりました(前年同期比285.4%増)。
(具体的な資金需要と資金調達方法) 事業シナジーがあり売上利益の増大を見込むことができる事業には、M&Aも含め積極的に投資を行う方針であり、そのための資金は、財務安定性の維持と投資のリスクや回収期間を考慮して自己資本、借入及びその組合せのうち最適な方法により資金調達を行う方針です。当連結会計年度において、「FollowUP」のサービス拡充目的の為のソフトウエア開発等に投資しております。(資金の流動性) 営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金と、金融機関からの長期借入金及び当座貸越契約の締結等のさまざまな手段により資金調達を行い、手元資金の流動性を十分に確保しております。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりとなっております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(注4)当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2020年3月期に係る各数値につきましては、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
(5)経営戦略の現状と見通し
2022年3月期も引き続き、収益(売上)の拡大を進めてまいります。
具体的には、各事業において下記の対応を行い企業価値の向上を図ってまいります。
「リテールマーケティング事業」
(小売店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、業務を最適化)
※FollowUPなど
・プロダクト企画・開発・販売・マーケティング・海外展開に注力
・プロダクト企画と開発の強化に向けたプランナー及びエンジニアの増強、プロダクトの営業・販売強化に向けたセールスメンバーの増強、リード獲得とマーケティング施策実行のためのデジタルマーケティングチームメンバーの増強など人材体制強化
「ソーシャルメディア事業」
(ソーシャルメディアのクチコミ分析からマーケティングを支援)
※Insight Intelligence Qなど
・「Insight Intelligence Q」などのツールにおいては、強みの明確化や営業体制の強化
・ソリッドインテリジェンスにおいては、資本業務提携先のトランスコスモス・アナリティクス株式会社との連携の強化や官公庁の案件獲得の強化
「AI・システム開発事業」
(個社毎にビッグデータ分析を活用支援)
※システム開発など
・既存プロジェクトの実績で得たWebデータクローリングによるデータ収集・分析・業務活用のノウハウを横展開し、初期開発(スポット型)売上の獲得と運用保守フェーズでの月額ストック型売上の向上を狙う
・各クライアントの業務改善に寄り添ったデータ活用支援を提案するために営業体制を強化
なお、進捗中の各案件の獲得の有無や時期に不確定要素が多いため、連結業績予想をレンジで公表しております。
これらを踏まえた結果、2022年3月期の連結業績予想は、売上高が1,500百万円~1,900百万円、営業損益が-50百万円~100百万円を見込んでおります。
新型コロナウイルス感染症の当社業績への影響については、2021年3月期の実績を踏まえ、一定程度2022年3月期の連結業績予想に折り込み済みですが、新型コロナウイルス感染症の影響が今後更に拡大、長期化した場合は、業績に影響を与える可能性があります。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により世界的に経済活動は停滞したことなどから先行きの不透明感が一層強まっています。
デジタルトランスフォーメーションに係る流通業界の国内市場(投資金額)については、デジタルオペレーションへの投資が中心となり、最適化による逸失利益の削減に向けたサービスなどへの投資も増加しています。今後は人手不足への対策として、業務効率化を目的とした投資が積極的に行われるとみられ、2030年度予測は2019年度比6.5倍の2,375億円と予測されています(富士キメラ総研「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)。
また、AIビジネスの国内市場においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、プロジェクト遅延や新規案件の延期などが一時的にみられましたが、リモートワークの急速な普及もあり、デジタル技術を活用した構造改革を積極的に進めている企業も多くみられます。経済状況が悪化している中でも企業競争力向上の取組みの一環として、AIへの投資は優先的に行われるとの予測から、2020年度は2019年度比15.4%増の1兆1,084億円が見込まれています。2021年度以降は、企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するための要素技術の一つとしてAIの利用がさらに増加していき、2025年度には2019年度比2.0倍の1兆9,357億円が予測されています(富士キメラ総研「2020 人工知能ビジネス総調査」)。
このような経済状況のもと、当社グループは、SaaS、リサーチコンサルティング、ソリューションサービス、その他(AI新規事業開発)のサービスを展開しております。
当社のサービスごとの概況は以下のとおりであります。なお、2021年5月14日付「2021年3月期 決算説明資料」(以下「決算説明資料」といいます。)上の分類について括弧書きで補足しております。
イ. SaaS
SaaSにおきましては、小売店舗に設置したAIカメラで取得する画像・動画データとPOSデータと掛け合わせて分析することで店舗の業績向上を支援するストック型のサービス「FollowUP」を主要サービスとし、「FollowUP」の派生サービスとして、店舗内の人数を可視化し入り口にて入店の密集度を表示することで入店制限の自動化を支援する「Store Capacity Control」、店舗入場者の発熱やマスク着用の有無を検知する「HealthyUP」、日々のウイルス感染対策オペレーションの支援とオペレーションのeラーニング機能を提供する「COVID-19 Tasking」などのサービスを提供しております(決算説明資料上は「リテールマーケティング事業」)。また、ソーシャルメディア分析ツール「Insight Intelligence」及び「Insight Intelligence Q」、並びに不適切投稿監視サービス「Social Monitor」などのストック型のサービスを提供しております(決算説明資料上は「ソーシャルメディア分析事業」)。
当連結会計年度の「FollowUP」及びその派生サービスにおいては、新型コロナウイルス感染症の対応策として世界の各都市で行われたロックダウンに伴う店舗休業の影響で、一時的に売上が減少したものの、各都市の経済活動の再開とともに回復し、当連結会計年度末においてはコロナ禍前の80%まで回復いたしました。
また、ソーシャルメディア分析ツールについては、一部の解約などがあり、微減となりました。
ロ. リサーチコンサルティング
リサーチコンサルティングでは、アナリストが分析、コンサルティングするサービスを提供しております(決算説明資料上は「ソーシャルメディア分析事業」)。
主に当社連結子会社であるソリッドインテリジェンス株式会社で行っている多言語ソーシャルメディア分析におけるコンサルティングサービスに関しては、新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンド向けソーシャルメディア分析の案件の減少やコロナ禍において官公庁予算の繰り越しが生じたことから、昨年度に比して微減となりました。ポストコロナに向けては、外国人が投稿する多言語のソーシャルメディア分析への関心は依然として高いと考えており、引き続き案件獲得に注力してまいります。
ハ. ソリューション
ソリューションサービスにおきましては、データ分析を業務改善に活用したシステム開発を顧客ごとにカスタマイズして行っております。データセクションの強みであるデータの解析の技術力と活用のためのコンサルティング力を生かして、顧客ごとの業務を理解して課題解決の提案からシステム開発及び運用までをワンストップで提供することで大型の開発案件を中心に売上を計上しております。(決算説明資料上は「AI・システム開発事業」)
当連結会計年度のソリューションサービスは、連結子会社の株式会社ディーエスエスにおける受注の増加があり、全体としては売上増となりました。
ニ. その他(AI新規事業開発) その他(AI新規事業開発)においては、今後当社の収益拡大の柱となることを目標としたサービスを新規に開発しております(決算説明資料上は「新規事業」)。
開発中のサービスは以下のとおりです。
a.音声解析AI
関連会社の株式会社iVOICEにおいて、音声解析AIを活用した議事録作成サービス「GIJIREC」トライアル版を提供しております。製品版「GIJIREC」では高精度の議事録作成サービスを提供することを目指してまいります。また、引き続き、国内の課題に対して、積極的に国の垣根を越えたグローバルなスキームを組み、よりスピーディーに課題を解決することにより、日本の持続的な発展に貢献してまいります。
b.医療・介護分野での継続開発中のプロジェクト
日本テクトシステムズ株式会社(以下「日本テクトシステムズ」といいます。)との『医療、特に認知症領域』を中心とした IT 事業に関する業務提携の一環として、MRI脳画像(白質病変)やタンパク質のAI解析などの共同事業を推進しております。
また、遠隔医療や介護という社会課題解決への貢献を目指し、「介護支援技術に関するプロジェクト」を、株式会社アルム(以下「アルム」といいます。)、東京慈恵会医科大学、日本テクトシステムズ及び当社の4者で進めております。この取り組みはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトとして採択されております。このプロジェクトにおいて第2四半期より心電図解析エンジン開発のための実証実験を開始し、心電図検査(ECG)の長時間データへの対応等機能の追加をいたしました。今後は異常波形の可視化、解析レポートの出力、アルムのサービスとの連携を目指してまいります。
さらに、IQVIAジャパングループ及びアルムと、それぞれの強みを活かし、PHR(※)の社会実装と価値最大化を支援するための共同プロジェクトを進めております。引き続き3社の強みを活かし、「個々の健康診断結果の自動入力→脳卒中及び心卒中のリスク判定→フォロー」を包括的に支援する取り組みを進めてまいります。
※PHRとは、Personal Health Record(パーソナル・ヘルス・レコード)の略語で、個人の健康・医療・介護に関する情報のことをさしています。
以上の取り組みを実施した結果、当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は1,389百万円(前年同期比18.9%増)となり、過去最高売上高を更新いたしました。この主な要因は、Jach Technology SpA(以下「Jach」といいます。)及びその子会社の連結による損益の取り込み、及び大型の受注開発案件の売上計上によるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は851百万円(前年同期比12.5%増)となりました。この主な内訳は、人件費418百万円、業務委託費298百万円、減価償却費96百万円によるものであります。売上原価の増加の主な要因は、Jach及びその子会社の連結による損益の取り込み、及び人件費の増加によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は519百万円(前年同期比30.7%増)となりました。この主な内訳は、人件費221百万円、のれん及び顧客関連資産の償却費111百万円、募集費24百万円、租税公課22百万円、業務委託費19百万円等によるものであります。販売費及び一般管理費の増加の主な要因は、Jach及びその子会社の連結による損益の取り込みによるものであります。
上記より、当連結会計年度における経営成績は、売上高1,389百万円(前年同期比18.9%増)、営業利益18百万円(前年同期比27.6%増)、円安ドル高の進行によりドル建て債権にかかる営業外収益(為替差益)20百万円の計上等により経常利益31百万円(前年同期比432.5%増)、親会社株主に帰属する当期純損失41百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失17百万円)となりました。
(2)当期の財政状態の概況
資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して186百万円(前年同期比4.6%増)増加し、4,268百万円となりました。
これは、長期貸付金が308百万円、ソフトウエア仮勘定が50百万円増加し、のれんが96百万円、現金及び預金87百万円それぞれ減少したことを主要因とするものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して118百万円(前年同期比9.2%増)増加し、1,399百万円となりました。
これは、短期借入金が160百万円、未払法人税等が28百万円増加し、未払金が42百万円、未払消費税等が28百万円減少したことを主要因とするものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して68百万円増加し、2,868百万円となりました。
これは、新株予約権の行使による新株の発行により、資本金が47百万円、資本剰余金が47百万円それぞれ増加したこと、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が41百万円減少したことを主要因とするものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して、107百万円減少し、その結果として1,580百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、169百万円(前連結会計年度は、44百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益22百万円の計上、減価償却費119百万円、のれん償却額96百万円、未払金及び未払費用の減少43百万円、法人税等の支払額38百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、508百万円(前連結会計年度は、87百万円の支出)となりました。これは主に、貸付けによる支出287百万円、無形固定資産の取得による支出119百万円、有形固定資産の取得による支出54百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、232百万円(前連結会計年度は、228百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入237百万円、短期借入金の増加172百万円、及び長期借入金の返済による支出268百万円等によるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループは、事業の特性上、生産実績という区分は適当でないため記載しておりません。
(2)受注実績
当社グループは、概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、ソーシャル・ビッグデータ事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、サービス別に記載しております。
サービスの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
SaaS (千円) | 427,789 | 230.0 |
リサーチコンサルティング (千円) | 179,338 | 88.6 |
ソリューション (千円) | 782,336 | 100.3 |
合計 (千円) | 1,389,465 | 118.9 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
富士通株式会社 | 163,796 | 14.0 | 157,065 | 11.3 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりでありますが、特に以下の項目は当社グループが行う連結財務諸表作成上の重要な判断と見積りに大きな影響を与えるものであると考えております。
①のれんの評価
特に重要なのれんの評価につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②有価証券の評価
当社グループは、時価を把握することが困難な有価証券を保有しております。これらの有価証券につきましては、その評価には原価法を採用し、投資先の業績等をもとに合理的に価値を評価して必要な減損処理を行ってきておりますが、将来の市況の変化等により実質価値が著しく低下し、かつ回復する見込みがないと判断した場合には減損処理が必要となる可能性があります。
③繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、毎決算日ごとに繰延税金資産の回収可能性について十分な検討を行い、将来の税金負担額を軽減する効果があると見込んだ額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、予測不能な事象や社会状況の変化等の影響を受けて課税所得の見積りに変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、有価証券の評価や繰延税金資産の回収可能性、及びのれんの評価等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。新型コロナウイルス感染症による影響についても作成時に入手可能な情報を踏まえて会計上の見積りを実施しております。(2)経営成績
当社グループは、最先端のAI技術とデータを活用した新規サービスを継続的に立ち上げ、ストック型のビジネスモデルによる安定的な収益確保を重要な戦略と位置づけております。さらに海外売上高を重要な柱と考え、「FollowUP」などサービスを提供しているリテールマーケティング事業のグローバル展開に注力してまいりました。このような方針に基づき経営成績の分析を行っております。 なお、当連結会計年度における経営成績等の前連結会計年度との比較数値については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響はあったものの、「FollowUP」の海外展開等により売上高は過去最高となりました。
サービス別の売上高の状況は以下のとおりであります。
SaaSの売上高は、前連結会計年度と比較して大幅に増加し、427百万円(前年同期比130.0%増)となりました。商品別には、AIを用いた店舗の顧客行動分析ツールである「FollowUP」の海外事業が売上を牽引しています。ソーシャルメディア分析ツール全体では売上高は減少していますが、マーケター視点を取り入れてリニューアルしたソーシャルメディア分析ツールであるInsight Intelligence Qの受注は好調であり、Insight Intelligence Qが売上を伸ばしました。 ソリューションの売上高は、前連結会計年度と比較して1百万円増加(前年同期比0.3%増)しました。これは大型の受託開発案件を継続的に受注したことによるものであります。一方でコロナの影響により大型案件の受注のスピードが緩んでおり、その影響もあり、1百万円の増加となっております。 リサーチコンサルティングの売上高は、前連結会計年度と比較して23百万円減少(前年同期比11.4%減)しました。今期はコロナにより訪日外国人が大幅に減少しました。その結果、ソリッドインテリジェンス株式会社が得意とする大型公募案件の数が減少し、その結果として売上高が減少しました。 これらの結果、当連結会計年度における売上高は1,389百万円(前年同期比18.9%増)となりました。
売上高の増加に伴い、人件費や業務委託費などが増加し売上原価も増加しております。 以上の結果により、営業利益は18百万円(前年同期比27.6%増)となりました。 円安ドル高の進行によりドル建て債権にかかる営業外収益(為替差益)20百万円の計上等によりにより経常利益は31百万円(前年同期比432.5%増)となりました。 また、以下の特別損益を計上しております。 投資有価証券の持分の一部譲渡に伴う投資有価証券売却益を計上しております。また、収益化の見込める事業へのリソースの選択と集中を行うため、自社利用ソフトウエアの一部と事業用資産について特別損失として減損損失を計上しております。 これらの結果、税金等調整前当期純利益は22百万円(前年同期比18.2%増)となりました。
法人税等、及び法人税等調整額53百万円、非支配株主利益に10百万円を計上した結果、最終的な親会社株主に帰属する当期純損失は41百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失17百万円)となりました。
(3)財政状態
当社グループは、財務健全性を維持しつつ、業容拡大のために積極的に投資を行う方針であります。このような方針に基づき財政状態の分析を行っております。
当連結会計年度における財政状態等の前連結会計年度との比較数値については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)当期の財政状態の概況」に記載のとおりであります。 当連結会計年度において、当社グループの資産・負債・純資産はともに増加しておりますが、これは、長期貸付金が308百万円、ソフトウエア仮勘定が50百万円増加し、のれんが96百万円、現金及び預金87百万円それぞれ減少したことを主要因とするものであります。 また、当社グループは、十分な手元資金を確保する目的で、財務健全性を維持できる範囲で銀行等からの借入による資金調達を行っており、負債が増加しております。 これらの結果、資産合計は4,268百万円(前年同期比4.6%増)、負債合計は1,399百万円(前年同期比9.2%増)、純資産は2,868百万円(前年同期比2.4%増)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して107百万円減少し1,580百万円となりました。
当社グループの財務戦略、具体的な資金需要と資金調達方法及び資金の流動性については下記のとおりであります。(財務戦略) 当社グループは、安定した財務基盤を維持し、手元資金を十分に確保することで、積極的な投資の機会を確保することを基本的な財務戦略としております。この戦略にもとづき海外事業に積極的に投資を行ってきた結果、当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は169百万円と、前連結会計年度に比べて125百万円の増加となりました(前年同期比285.4%増)。
(具体的な資金需要と資金調達方法) 事業シナジーがあり売上利益の増大を見込むことができる事業には、M&Aも含め積極的に投資を行う方針であり、そのための資金は、財務安定性の維持と投資のリスクや回収期間を考慮して自己資本、借入及びその組合せのうち最適な方法により資金調達を行う方針です。当連結会計年度において、「FollowUP」のサービス拡充目的の為のソフトウエア開発等に投資しております。(資金の流動性) 営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金と、金融機関からの長期借入金及び当座貸越契約の締結等のさまざまな手段により資金調達を行い、手元資金の流動性を十分に確保しております。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりとなっております。
2020年3月期 (連結) | 2021年3月期 (連結) | |
自己資本比率(%) | 67.9 | 66.2 |
時価ベースの 自己資本比率(%) | 116.4 | 150.5 |
キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) | 21.5 | 6.5 |
インタレスト・ カバレッジ・レシオ(倍) | 11.5 | 104.0 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(注4)当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2020年3月期に係る各数値につきましては、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
(5)経営戦略の現状と見通し
2022年3月期も引き続き、収益(売上)の拡大を進めてまいります。
具体的には、各事業において下記の対応を行い企業価値の向上を図ってまいります。
「リテールマーケティング事業」
(小売店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、業務を最適化)
※FollowUPなど
・プロダクト企画・開発・販売・マーケティング・海外展開に注力
・プロダクト企画と開発の強化に向けたプランナー及びエンジニアの増強、プロダクトの営業・販売強化に向けたセールスメンバーの増強、リード獲得とマーケティング施策実行のためのデジタルマーケティングチームメンバーの増強など人材体制強化
「ソーシャルメディア事業」
(ソーシャルメディアのクチコミ分析からマーケティングを支援)
※Insight Intelligence Qなど
・「Insight Intelligence Q」などのツールにおいては、強みの明確化や営業体制の強化
・ソリッドインテリジェンスにおいては、資本業務提携先のトランスコスモス・アナリティクス株式会社との連携の強化や官公庁の案件獲得の強化
「AI・システム開発事業」
(個社毎にビッグデータ分析を活用支援)
※システム開発など
・既存プロジェクトの実績で得たWebデータクローリングによるデータ収集・分析・業務活用のノウハウを横展開し、初期開発(スポット型)売上の獲得と運用保守フェーズでの月額ストック型売上の向上を狙う
・各クライアントの業務改善に寄り添ったデータ活用支援を提案するために営業体制を強化
なお、進捗中の各案件の獲得の有無や時期に不確定要素が多いため、連結業績予想をレンジで公表しております。
これらを踏まえた結果、2022年3月期の連結業績予想は、売上高が1,500百万円~1,900百万円、営業損益が-50百万円~100百万円を見込んでおります。
新型コロナウイルス感染症の当社業績への影響については、2021年3月期の実績を踏まえ、一定程度2022年3月期の連結業績予想に折り込み済みですが、新型コロナウイルス感染症の影響が今後更に拡大、長期化した場合は、業績に影響を与える可能性があります。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。