訂正有価証券報告書-第19期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/07/11 16:10
【資料】
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【項目】
143項目
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日)における我が国経済は、景気の緩やかな回復基調が続いており、個人消費も持ち直している一方で、米中間の通商問題など世界経済に関する不確実性が高まっており、先行きの不透明感に注意が必要な状況となっております。
その中にあっても当社グループが所属するITサービス市場におきましては、引き続き好調な市場環境を維持しており、人工知能(AI)ビジネスの国内市場は2020年度には1兆20億円、2030年度には2兆1,200億円に拡大するといわれております。(出典:富士キメラ総研)
当社グループでは長期的な展望に立ち、安定した収益基盤の強化と新規事業の開発を継続的に実施しております。新規事業におきましては従来より継続的に取り組んできました人工知能(AI)による事業展開を積極的に推し進めております。2018年7月には店舗内カメラデバイスによる小売店支援ツールであります「FollowUP」を事業譲受しAI新規事業の推進を加速しております。また、かねてより取り組んできました医療領域でのAI技術活用に関する取り組みが進展しました。
AI以外の事業においても大口顧客のソリューション開発により継続的に収益基盤を強化し、また連結子会社である株式会社ディーエスエスとのシナジーにより新規顧客を開拓し共同で開発案件を受注しております。
事業別の状況は次のとおりであります。
イ. SaaS事業
SaaS事業におきましては、ソーシャルメディア分析ツール「Insight Intelligence」、及び不適切投稿監視サービス「Social Monitor」などのサービスを提供しており、継続案件を中心に堅調に推移しました。
ロ. ソリューション事業
ソリューション事業おきましては、個社事業に合わせたセミオーダー型システム開発を行っております。データ解析の技術力とデータ活用のためのコンサルティング力を生かして、大型案件の継続受注に取り組みました。また、連結子会社である株式会社ディーエスエスと共同で新規の開発案件を受注しております。
ハ. リサーチコンサルティング事業
リサーチコンサルティング事業では、SaaSのツール活用にとどまらず、ソーシャルメディアのデータをアナリストが分析、コンサルティングするサービスを提供しております。近年では、訪日外国人が投稿する多言語のソーシャルメディアによる行動分析サービスへの関心が高まっており、当連結会計年度においても堅調に受注しております。
ニ. その他(AI新規事業開発)
2019年3月期にAI技術(Deep Learning(深層学習))を活用した3つの新規サービスを立ち上げました。そのほか、医療・介護分野においてもプロジェクトを開始しております。
(新規サービス)
a. FollowUP
店舗内カメラデバイスによる小売店支援ツールについて事業譲受しました。
b. 交通量調査サービス
映像をAI技術で解析することによる交通量調査サービスを立ち上げました。
c. MLFlowアノテーション
当社開発プラットフォーム「MLFlow」を活用したアノテーション代行サービスを立ち上げました。
(医療・介護分野での新規プロジェクト)
遠隔医療や介護という社会課題解決への貢献を目指し、「介護支援技術に関するプロジェクト」を、株式会社アルム、東京慈恵会医科大学、日本テクトシステムズ株式会社及び当社の四者で開始いたしました。なおこの取り組みはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトとして採択されています。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は過去最高の1,088百万円(前連結会計年度比50.9%増)、営業利益100百万円(前連結会計年度比124.2%増)、経常利益95百万円(前連結会計年度比108.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益37百万円(前連結会計年度比136.6%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して255百万円増加し、当連結会計年度末には1,502百万円(前年同期比20.4%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、188百万円(前年同期は37百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益82百万円の計上、減価償却費83百万円の計上、のれん償却額33百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、545百万円(前年同期は292百万円の支出)となりました。これは主に、事業譲受による支出250百万円、子会社株式の取得による支出200百万円、無形固定資産の取得による支出58百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、612百万円(前年同期は784百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入335百万円(純額)、短期借入金の増加260百万円によるものであります。
参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2018年3月期
(連結)
2019年3月期
(連結)
自己資本比率(%)87.768.4
時価ベースの
自己資本比率(%)
338.2296.2
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)
1.43.4
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
214.275.1

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループは、事業の特性上、生産実績という区分は適当でないため記載しておりません。
(2)受注実績
当社グループは、概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、ソーシャル・ビッグデータ事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、サービス別に記載しております。
サービスの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
SaaS (千円)189,308106.5
リサーチコンサルティング (千円)209,66070.7
ソリューション (千円)689,061279.4
合計 (千円)1,088,031150.9

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
独立行政法人 国際観光振興機構93,49513.0--
富士通株式会社--117,48310.8

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.独立行政法人 国際観光振興機構については、当連結会計年度の当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
4.富士通株式会社については、前連結会計年度の当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表[注記事項] 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ366百万円増加し、1,088百万円(前年同期比50.9%増)となりました。売上高の増加の主な要因として、店舗内カメラデバイスによる小売店支援ツール「FollowUP」の事業譲受や、大口顧客によるシステム開発案件の受注増、連結子会社である株式会社ディーエスエスを当連結会計年度から通期で連結した影響や、株式会社ディーエスエスとのシナジーにより新規顧客から共同で開発案件を受注したことなどが挙げられます。(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は前連結会計年度に比べ249百万円増加し、659百万円(同60.7%増)となりました。この主な内訳は、人件費304百万円、業務委託費252百万円、サーバ使用料40百万円であります。売上原価の増加の主な要因は、人件費及び業務委託費の増加によるものです。
(販売費及び一般管理費) 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ61百万円増加し、327百万円(同23.3%増)となりました。この主な内訳は、人件費145百万円、業務委託費39百万円、のれん償却費33百万円であります。販売費及び一般管理費の増加の主な要因は、業務委託費及びのれん償却費の増加によるものです。
以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高1,088百万円(同50.9%増)、営業利益100百万円(同124.2%増)、経常利益95百万円(同108.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益37百万円(同136.6%増)となりました。
(3)財政状態(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ263百万円増加し、1,833百万円となりました。この主な内訳は、現金及び預金1,503百万円、受取手形及び売掛金253百万円であります。流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金の増加によるものです。
(固定資産) 当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ399百万円増加し、895百万円となりました。この主な内訳は、のれん269百万円、ソフトウエア125百万円、投資有価証券117百万円であります。固定資産の増加の主な要因は、のれんの増加によるものです。(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ362百万円増加し、563百万円となりました。この主な内訳は、短期借入金260百万円、1年内返済予定の長期借入金112百万円、未払金87百万円であります。流動負債の増加の主な要因は、短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の増加によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ254百万円増加し、288百万円となりました。この主な内訳は、長期借入金274百万円であり、固定負債の増加の主な要因は、この長期借入金の増加によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ46百万円増加し、1,876百万円となりました。この主な内訳は、資本金897百万円、資本剰余金674百万円、利益剰余金295百万円であります。純資産の増加の主な要因は、利益剰余金の増加によるものです。
(4)キャッシュ・フロー キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、当社の財務戦略と具体的な資金需要及び資金調達方法については下記の通りであります。
(財務戦略)
当社グループは、安定した財務基盤を維持し手元資金を十分に確保することで、積極的な投資の機会を確保することを基本的な財務戦略としております。
(具体的な資金需要と資金調達方法)
事業シナジーがあり売上利益の増大を見込むことができる事業には、M&Aも含め積極的に投資を行う方針であり、そのための資金は、財務安定性の維持と投資のリスクや回収期間を考慮して自己資本、借入及びその組合せのうち最適な方法により資金調達を行う方針です。
(5)経営戦略の現状と見通し
AI技術とビッグデータを活用したビジネスモデルには様々な可能性があると当社グループでは認識しており、当社グループでは常に数多くのアイディアを捻出し、試行錯誤を繰り返してビッグデータを活用した新規ビジネスの創出に取り組んでおります。これらのアイディアを具体的なビジネス企画に落とし込み、早いタイミングで開発していくことが、AI技術とビッグデータを活用した新規ビジネスを創出する上で必要であると認識しております。
当社グループでは、当社グループの持つ最先端のAI技術により、様々な分野のパートナーが保有するビッグデータを活用することにより、様々な新規ビジネスを創出すべく、仮説・検証のサイクルを高速でまわし、優良な新規ビジネスを継続的に多数立ち上げる方針であります。
この方針に従い、新規事業を立ち上げるために専門領域に強みを持つ事業パートナーとのアライアンスの強化に努めてまいります。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。