有価証券報告書-第24期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、内需及びインバウンド需要の回復など、社会活動の正常化の動きがみられました。一方で、国際情勢不安、円安の進行、物価上昇など、景気動向についてもいまだ予断を許さない状況が続いております。
AIビジネスの国内市場においては、2023年度以降は、アプリケーション機能の高度化や特定業務に特化したシステム活用への投資が増えるとみられています。アプリケーションやシステムをユーザーの要望に合わせて複雑化させると、コストや開発スピードなどの要因から外注よりも内製化するケースが多くなると予想され、それに伴い、特に内製化に関連するミドルウェアやサーバー/ストレージ/IaaSなどの品目が大きく伸長することから、2027年度には2021年度比1.7倍の1兆9,787億円が予測されています(富士キメラ総研「2022 人工知能ビジネス総調査」)。
南米のスマートリテールデバイス市場は、2019年の18億3,220万米ドルから2027年までに26億6,920万米ドルに成長すると予想されています。2020年から2027年までに5.3%のCAGRで成長すると推定されています。南米のスマートリテールデバイス市場は、ブラジル、アルゼンチン、およびその他の南米の地域に分類されます。この地域には複雑なマクロ経済的および政治的環境を抱える国がいくつかあり、さまざまな成長シナリオが存在します。ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーなどの発展途上国は、インフラストラクチャーや小売部門の開発に多額の投資を行っています。さらに、これらの地域の多くの小売業者は、競争力を高め、変化のメリットを適応させるためにデジタル変革を開始しています。コロンビアとブラジルはデジタルイノベーションに急速に進化しており、チリはデジタル化とイノベーションにおいて最も優れた国にランクされ、「傑出した」国とみなされています。このデジタル変革は、地域全体のスマート小売デバイス市場に新たな機会を提供します。都市化の進行により、さまざまなショッピング複合施設やレクリエーションセンターが成長しており、この地域のスマート小売デバイスの需要が高まると予想されています (Business Market Insights「South America Smart Retail Devices Market research report 」)。
リテールテック(決済端末・セルフ操作端末、次世代ファシリティ、次世代オペレーション)の国内においては、コロナ禍でも事業を維持するために、フルセルフレジや遠隔接客システムなど、非接触対応や少人数のスタッフで業務を行うための投資が進み、従来、データ化できていなかった消費者の属性や店内行動などの可視化、およびデータ利活用に関する品目が伸びており、今後は、レジレス決済システムやスマートエントランスなど、次世代ソリューションが伸びるほか、RFIDソリューションや需要予測システムなど、サプライチェーン全体の最適化に関連する品目が伸長することから、2030年の市場は2021年比2.2倍の5,553億円が予測されています(富士経済「2022年版 次世代ストア&リテールテック市場の現状と将来展望」)。
デジタルトランスフォーメーションに係る流通/小売業界については、実店舗の人手不足を補い、来店客の購買体験を改善・拡充するフルセルフレジ、また、食品スーパーや総合スーパーではタブレット端末付きショッピングカートの導入が進んでおり、今後は無人店舗ソリューションの伸びも期待されること、ショッピング体験の拡充に向けて、小売事業者やSI、広告事業者がAR/VR技術を活用した展開を進められていること、デジタルオペレーションでは、自動発注システムが食品や総合スーパーを中心に採用が広がっており、卸事業者のSCM向けの導入も期待され、また、需要予測システムは廃棄ロス削減やSDGs対応ニーズにより、全国展開する大手リテーラーで導入が進んでいることから、2030年度予測は2021年度比3.6倍の1,852億円と予測されています(富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンダー戦略編」)。
このような状況のもと、当社グループは、当連結会計年度において、グローバル展開加速のための事業投資、体制強化のための積極的な人材採用やリテンション強化施策等を実行しております。
なお、第2四半期連結会計期間において、マネジメント・アプローチの観点から、経営管理・業績管理体制を見直し高度化を図ること、及び今後は、国内・海外双方にバランスの良い投資を行い成長を目指すことなど、将来の事業展開も踏まえ合理的な区分の検討を行った結果、報告セグメントを従来の「リテールマーケティング」、「データ分析ソリューション」の2区分から「国内事業」及び「海外事業」の2区分に変更いたしました。また、重要性が増したことに伴い、スペインのFollowUP Customer Experience S.L.及びパナマのAlianza FollowUP Panamá S.A.を連結子会社化いたしました。
当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,229百万円(前期比15.9%増)となりました。この主な要因は、国内では連結子会社の株式会社ディーエスエス(以下「DSS」といいます。)においてシステム開発案件の受注が増加したこと、同じく連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社(以下「SI」といいます。)においてパブリックセクターやインバウンドニーズを的確にとらえて案件の受注が大幅に増加したこと、海外では当連結会計年度の第2四半期から連結子会社化したFollowUP Customer Experience S.L.及びAlianza FollowUP Panamá S.A.を含め、海外連結子会社各社においてサービスの受注が堅調に増加していることによるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は1,527百万円(前期比34.2%増)となりました。この主な内訳は、人件費719百万円、業務委託費610百万円、減価償却費149百万円、サーバー使用料53百万円であります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は917百万円(前期比9.1%増)となりました。この主な内訳は、人件費469百万円、業務委託費97百万円、のれん及び顧客関連資産償却費54百万円、支払報酬料49百万円、地代家賃39百万円、租税公課35百万円、募集費32百万円、支払手数料30百万円、監査報酬24百万円であります。
(営業利益及び調整後EBITDA)
上記より、売上高2,229百万円(前期比15.9%増)となった一方、当連結会計年度の基本方針である事業ポートフォリオの再構築に向けた先行費用の発生、事業買収による今後中核となるエンジニア人材の増強や、業容拡大に対応したBPO費用の拡大、並びにグローバル企業としての基盤整備とガバナンス強化に向けた専門家の活用などによる人件費及び業務委託費の増加を主因として、営業損失は216百万円(前期は55百万円の営業損失)となりました。
この結果、調整後EBITDAは、のれんの償却費などキャッシュアウトを伴わない費用はほぼ計画通りであったものの、営業損失の拡大により47百万円(前期比93.1%減)となりました。
※調整後EBITDA=営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用
(営業外費用)
支払利息として11百万円、持分法による投資損失として7百万円、及びその他営業外費用として14百万円等を計上いたしました。
(特別利益)
新株予約権戻入益として9百万円、負ののれん発生益として6百万円、固定資産売却益として3百万円を計上いたしました。
(特別損失)
優先配当権の処理として、旧株主との間で、既存の旧株主向けの貸付金との相殺消去を行った関係で、第3四半期連結会計期間において、旧株主向け貸付金に係る回収可能性の見込を勘案し、当該貸付金に関する貸倒損失として505百万円を計上いたしました。
また、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき当社資産の将来の回収可能性を検討した結果、当社マーケティング事業にかかるソフトウエア資産等による減損損失として、378百万円を計上いたしました。
(法人税等)
法人税等合計については、法人税、住民税及び事業税45百万円を計上し、また、現時点での将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、法人税等調整額113百万円を計上いたしました。
(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
上記より、営業外費用に、支払利息11百万円、持分法による投資損失7百万円、及びその他営業外費用として14百万円等を計上した結果、経常損失は235百万円(前期は46百万円の経常利益)となりました。
また、特別利益として新株予約権戻入益9百万円、負ののれん発生益6百万円、固定資産売却益3百万円を計上し、特別損失として貸倒損失505百万円、減損損失378百万円を計上したこと、及び足元の業績を踏まえ将来の課税所得を再度見積もりしたことによる法人税等調整額113百万円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,261百万円(前期は530百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
イ. 国内事業
国内事業では、AI・システム開発事業、ソーシャルメディア分析事業、リテールマーケティング事業、新規事業を行っております。
AI・システム開発事業は、当社単体でビッグデータ分析で培った技術力・ノウハウとAI技術(テキスト/画像/音声)を活用したユーザ個別ソリューション開発を行うとともに、連結子会社の株式会社ディーエスエス(以下「DSS」といいます。)では、決済サービスの提供(法人向けプリペイドカードサービス「Biz プリカ」(https://bizpreca.jp/))、SES事業(カード会社、決済会社、証券会社等)、カード会社を中心とした金融 系受託開発、MSPサービス(AWSを中心としたクラウドシステム構築・運用・保守サービス)、セキュリティサービス(PCIDSSコンサル業務やセキィリティ診断サービス等)を提供しております。
当連結会計年度の当社においては、2023年9月にThe ROOM4D株式会社(以下「4D」といいます。)から譲り受けたデータサイエンス事業が寄与し、前期と比べ、売上高が増加しました。また、DSSにおいては、複数の大型開発案件が進行し、前期と比べ売上高が増加いたしました。
今後は、大手優良企業を中心とする顧客及びデータ活用とAIの開発実績を保有している4DのPMIとして、データサイエンス領域の強化を図るほか、データの利活用などのコンサルティング、あるいはIT教育などの顧客ニーズを契機に、当社の強みである大容量のデータ分析、あるいは保守運用までの一貫したサービス提供を拡大するとともに、Fintech領域を事業基盤とするDSSとの更なる連携を図り、受注拡大につとめてまいります。
ソーシャルメディア分析事業は、当社単体でソーシャルメディア分析ツール「Insight Intelligence」及び「Insight Intelligence Q」などのストック型のサービスを提供するとともに、連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社(以下「SI」といいます。)で多言語ソーシャルメディア分析におけるコンサルティングサービスを提供しております。
当連結会計年度の当社単体においては、昨年度からの効率的な販売体制構築を優先した結果、新規受注が伸び悩み、売上高は前年同四半期と比べ減少しました。一方、連結子会社であるSIにおいては、パブリックセクターやインバウンドニーズを的確にとらえ売上高は増加いたしました。この結果、事業全体では前期に比べ、売上高は増加いたしました。
リテールマーケティング事業は、当社において、小売店舗に設置したAIカメラで取得する画像・動画データとPOSデータと掛け合わせて分析することで店舗の業績向上を支援するストック型のサービス「FollowUP」を主要サービスとして、国内大手企業などへ提供しております。
当連結会計年度における「FollowUP」の国内展開は、昨年度後半から今年度にかけて、多店舗展開を行う小売業の顧客からの複数の受注が進行し、「FollowUP」の導入店舗数及びカメラ設置台数が増加したことで、売上高は前期と比べ増加いたしました。
新規事業では、AIによる医療系データ解析サービスとして、モニタリングAI(心電図)、NEDO軽度認知症解析AI(音声)、NEDO脳波癲癇解析AI(脳波、心電図)の開発、音声解析AIによるサービスの開発を行っております。
当連結会計年度における新規事業は、小売業向けの新規のプロダクト開発や医療関連ビジネスの進行に注力いたしました。
これらの結果、国内各社全般に受注が拡大していることから、当連結会計年度の外部顧客への売上高は1,363百万円(前期比11.2%増)と増加しましたが、本年度の基本方針である事業ポートフォリオの再構築に向けた先行費用の発生、事業買収による、今後中核となるエンジニア人材の増強や、業容拡大に対応したBPO費用の拡大、ならびにグローバル企業としての基盤整備とガバナンス強化に向けた専門家の活用などによる人件費及び業務委託費の増加などの費用増加がこれを上回ったため、セグメント損失は18百万円(前期は76百万円のセグメント利益)となりました。
ロ. 海外事業
海外事業においては、グローバル20か国以上への「FollowUP」展開を行っております。
相対的に今後の高い成長性が見込まれる南米マーケットを主戦場とし、チリの連結子会社であるJach Technology SpAにおいては、現地上場ディベロッパーなど優良大口顧客からの受注など、オーガニックに案件や顧客の大型化を進行したほか、傘下子会社であるスペイン及びパナマの非連結子会社を、第2四半期連結会計期間から連結子会社化することで、複数国における商圏拡大を通じ、グローバルな事業基盤を更に強化しております。
また、2021年に買収を行ったInteligenxia S.A.並びに、前連結会計年度に連結子会社化したFollow UP Peru S.A.C.なども順調な企業成長を実現しており、買収事業としてのPMIも着実に進行しております。
これらの結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は865百万円(前期比24.0%増)となり、セグメント利益は169百万円(前期は118百万円のセグメント損失)となりました。
また、当連結会計年度における財政状態の概況は次の通りであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して599百万円減少し(前年度末比13.7%減)、3,786百万円となりました。
これは、現金及び預金が244百万円、有形固定資産が139百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が86百万円増加し、投資その他の資産が862百万円、無形固定資産が124百万円減少したことを主要因とするものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して73百万円減少し(前年度末比3.9%減)、1,803百万円となりました。
これは、短期借入金86百万円を含む流動負債が148百万円、その他固定負債が64百万円増加、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)358百万円が減少したしたことを主要因とするものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して526百万円減少し(前年度末比21.0%減)、1,982百万円となりました。
これは、2024年1月26日付「第三者割当による新株式及び第19回新株予約権(行使価額固定型)の発行、並びに主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」、及び2024年2月13日付「第三者割当による新株式及び第19回新株予約権の発行における払込期日及び行使期間等の変更に関するお知らせ」にて開示いたしました普通株式等の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ352百万円、新株予約権が22百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失により利益剰余金が1,253百万円減少したことを主要因とするものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して、244百万円増加し、その結果として1,659百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、333百万円(前連結会計年度は、2百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失△1,099百万円、貸倒損失505百万円、減損損失378百万円、減価償却費167百万円及びのれん償却額47百万円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、569百万円(前連結会計年度は、255百万円の支出) となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出536百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、382百万円(前連結会計年度は、242百万円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入704百万円、長期借入れによる収入135百万円、短期借入金の増加86百万円、長期借入金の返済による支出504百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、事業の特性上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、事業の特性上、受注実績の記載になじまないため、省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループは、M&Aを活用しグロ-バルな成長を推進しており、そのような授業特性を踏まえ、当社グループの事業活動におけるキャッシュ・フロー創出力を示す指標として調整後EBITDA(※)を重要な指標として位置付けております。
(※)調整後EBITDA = 営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用
当連結会計年度における調整後EBITDAは47百万円であり、前連結会計年度と比較して642百万円減少しました。また、売上高に対する調整後EBITDA比率は2.1%であり、前連結会計年度と比較して33.7ポイント減少しました。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,229百万円(前年同期比15.9%増)、営業損失216百万円(前年同期は55百万円の営業損失)、経常損失235百万円(前年同期は46百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,261百万円(前年同期は530百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント別の売上高の状況は以下のとおりであります。
(国内事業)
国内事業では、AI・システム開発事業は、当社において2023年9月にThe ROOM4D株式会社(以下「4D」といいます。)から譲り受けたデータサイエンス事業が寄与し、前年同期と比べ、売上高が増加しました。また、DSSにおいては、複数の大型開発案件が進行し、前年同期と比べ売上高が増加いたしました。
また、ソーシャルメディア分析事業は、当社単体において、昨年度からの効率的な販売体制構築を優先した結果、新規受注が伸び悩み、売上高は前年同期と比べ減少しました。一方、連結子会社であるSIにおいては、パブリックセクターやインバウンドニーズを的確にとらえ売上高は増加いたしました。この結果、事業全体では前年同期に比べ、売上高は増加いたしました。
さらに、「FollowUP」の国内展開は、昨年度後半から今年度にかけて、多店舗展開を行う小売業の顧客からの複数の受注が進行し、「FollowUP」の導入店舗数及びカメラ設置台数が増加したことで、売上高は前年同期と比べ増加いたしました。
そのほか、新規事業は、小売業向けの新規のプロダクト開発や医療関連ビジネスの進行に注力いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は1,363百万円(前年同期比11.2%増)と増加しました。一方、本年度の基本方針である事業ポートフォリオの再構築に向けた先行費用の発生、事業買収による、今後中核となるエンジニア人材の増強や、業容拡大に対応したBPO費用の拡大、ならびにグローバル企業としての基盤整備とガバナンス強化に向けた専門家の活用などによる人件費及び業務委託費の増加などの費用増加がこれを上回ったため、セグメント損失は18百万円(前年同期は76百万円のセグメント利益)となりました。
(海外事業)
「FollowUP」の海外展開では、相対的に今後の高い成長性が見込まれる南米マーケットを主戦場とし、チリの連結子会社であるJachにおいては、現地上場ディベロップメントなど優良大口顧客からの受注など、オーガニックに案件や顧客の大型化を進行したほか、傘下子会社であるスペイン及びパナマの非連結子会社を、第2四半期連結会計期間から連結子会社化することで、複数国における商圏拡大を通じ、グローバルな事業基盤を更に強化しております。
また、2021年に買収を行ったInx並びに、前連結会計年度に連結子会社化したPeruなども順調な企業成長を実現しており、買収事業としてのPMIも着実に進行しております。
これらの結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は865百万円(前年同期比24.0%増)となり、セグメント利益は169百万円(前年同期は118百万円のセグメント損失)となりました。
b. 経営戦略の現状と見通し
2025年3月期も引き続き、売上及び利益の拡大に努めてまいります。
具体的には、各事業において下記の対応を行い企業価値の向上を図ってまいります。
イ. 国内事業
「国内」
・当社単体では、市場調査に基づく顧客ニーズに照らした更なるコンサルティング機能の発揮や、ターゲッティングの先鋭化により付加価値性の高い大型案件の受託を図るとともに、今後のIT活用可能性の高い業種、パブリックセクター案件への参画など戦略的な取組と、産学官連携による協働研究案件など、将来の収益基盤となるチャネル拡大を併進します。このため、エンジニアの採用強化に加え、稼働体制を整備することで、受注採算の向上にも努めてまいります。
・大手優良企業を中心とする顧客及びデータ活用とAIの開発実績を保有している4DのPMIとして、データの利活用などのコンサルティングやIT教育などの顧客ニーズをとらえ、データサイエンス領域の強化を図ってまいります。
・FollowUPの提供によるオーガニックな成長を維持するとともに、開発した自社プロダクトの投入や、他の自社サービスとのクロスセル等により付加価値の向上と、幅広い業種の顧客からの大型案件を図り、売上と利益の拡大を目指します。
・「Insight Intelligence」や「Insight Intelligence Q」などのツールにおいては、引き続き効率的なリード獲得に努めるとともに、リテールマーケティング等の他事業とのクロスセル、金融機関などのチャネル拡大により、着実な成長を目指します。
・SIにおいては、PR(セミナー実施、展示会出展等)による観光(インバウンド)領域における更なる知名度の拡大、内閣府、外務省、農水省、経産省などの中央省庁およびその外郭団体からの受託拡大による観光以外の公官庁案件の横展開・安定化、その他新サービスの開発等を定性的な目標としております。
・DSSにおいては、大手金融機関等との強固なリレーションで得られたノウハウを、デジタル決済や自社プロダクト開発に活かし、中期的な収益基盤の拡大に努めるとともに、短期的なエンジニアリソースの不足などにも対応するため、柔軟な人材採用、機動的な外注の活用、マネジメント層の育成等の体制強化を進めてまいります。
ロ. 海外事業
・インフォーマルマーケット(露店等)から、フォーマルマーケット(ショッピングモール等)への市場成長が加速する南米マーケットにおいては、引き続き、現地の上場ディベロッパーなどや、小売業オーナーとのリレーションを活かし、ショッピングモールなどの大型案件の獲得を目指すとともに、買収により抑えたリセラーの販路や、プロダクトのラインナップ強化により、その提供価値を拡大いたします。
「ソーシャルメディア事業」
・「Insight Intelligence」や「Insight Intelligence Q」などのツールにおいては、引き続き効率的なリード獲得に努めるとともに、リテールマーケティング等の他事業とのクロスセル、金融機関などのチャネル拡大により、着実な成長を目指します。
・連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社においては、PR(セミナー実施、展示会出展等)による観光(インバウンド)領域における更なる知名度の拡大・内閣府、外務省、農水省、経産省などの中央省庁およびその外郭団体からの受託拡大による観光以外の公官庁案件の横展開・安定化、その他新サービスの開発等を定性的な目標としております。
2025年3月期の連結業績は、売上高2,650百万円と国内・海外双方のバランス良い成長を図るとともに、各社においてより一層、受注採算やコスト意識を徹底することによる利益向上、また、当連結会計年度で、のれんの一括償却及び減損損失を計上したことによる償却費の減少などを考慮し、営業利益は80百万円の予想としております。
また、調整後EBITDAは、のれんの減損を考慮しない平年度ベースで、425百万円と増益を見込んでおります。
c. 資本の財源及び資金の流動性の分析
(財務戦略)
当社グループは、安定した財務基盤を維持し、手元資金を十分に確保することで、積極的な投資の機会を確保することを基本的な財務戦略としております。この戦略にもとづき海外事業に積極的に投資を行ってきた結果、当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は333百万円となりました。
(具体的な資金需要と資金調達方法)
当社グループは、主に「FollowUP」のサービス提供のため顧客店舗に設置する機器等の設備投資、サービス拡充目的のためのソフトウエア開発等を行っています。また、事業シナジーがあり利益の増大を見込むことができる事業には、M&Aも含め積極的に投資を行う方針です。これらを実行するための資金調達は、財務安定性の維持と投資のリスクや回収期間を考慮して自己資本、借入及びその組合せのうち最適な方法により資金調達を行う方針です。
(資金の流動性)
営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金と、金融機関からの長期借入金及び当座貸越契約の締結等のさまざまな手段により資金調達を行い、手元資金の流動性を十分に確保しております。
d. 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、内需及びインバウンド需要の回復など、社会活動の正常化の動きがみられました。一方で、国際情勢不安、円安の進行、物価上昇など、景気動向についてもいまだ予断を許さない状況が続いております。
AIビジネスの国内市場においては、2023年度以降は、アプリケーション機能の高度化や特定業務に特化したシステム活用への投資が増えるとみられています。アプリケーションやシステムをユーザーの要望に合わせて複雑化させると、コストや開発スピードなどの要因から外注よりも内製化するケースが多くなると予想され、それに伴い、特に内製化に関連するミドルウェアやサーバー/ストレージ/IaaSなどの品目が大きく伸長することから、2027年度には2021年度比1.7倍の1兆9,787億円が予測されています(富士キメラ総研「2022 人工知能ビジネス総調査」)。
南米のスマートリテールデバイス市場は、2019年の18億3,220万米ドルから2027年までに26億6,920万米ドルに成長すると予想されています。2020年から2027年までに5.3%のCAGRで成長すると推定されています。南米のスマートリテールデバイス市場は、ブラジル、アルゼンチン、およびその他の南米の地域に分類されます。この地域には複雑なマクロ経済的および政治的環境を抱える国がいくつかあり、さまざまな成長シナリオが存在します。ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーなどの発展途上国は、インフラストラクチャーや小売部門の開発に多額の投資を行っています。さらに、これらの地域の多くの小売業者は、競争力を高め、変化のメリットを適応させるためにデジタル変革を開始しています。コロンビアとブラジルはデジタルイノベーションに急速に進化しており、チリはデジタル化とイノベーションにおいて最も優れた国にランクされ、「傑出した」国とみなされています。このデジタル変革は、地域全体のスマート小売デバイス市場に新たな機会を提供します。都市化の進行により、さまざまなショッピング複合施設やレクリエーションセンターが成長しており、この地域のスマート小売デバイスの需要が高まると予想されています (Business Market Insights「South America Smart Retail Devices Market research report 」)。
リテールテック(決済端末・セルフ操作端末、次世代ファシリティ、次世代オペレーション)の国内においては、コロナ禍でも事業を維持するために、フルセルフレジや遠隔接客システムなど、非接触対応や少人数のスタッフで業務を行うための投資が進み、従来、データ化できていなかった消費者の属性や店内行動などの可視化、およびデータ利活用に関する品目が伸びており、今後は、レジレス決済システムやスマートエントランスなど、次世代ソリューションが伸びるほか、RFIDソリューションや需要予測システムなど、サプライチェーン全体の最適化に関連する品目が伸長することから、2030年の市場は2021年比2.2倍の5,553億円が予測されています(富士経済「2022年版 次世代ストア&リテールテック市場の現状と将来展望」)。
デジタルトランスフォーメーションに係る流通/小売業界については、実店舗の人手不足を補い、来店客の購買体験を改善・拡充するフルセルフレジ、また、食品スーパーや総合スーパーではタブレット端末付きショッピングカートの導入が進んでおり、今後は無人店舗ソリューションの伸びも期待されること、ショッピング体験の拡充に向けて、小売事業者やSI、広告事業者がAR/VR技術を活用した展開を進められていること、デジタルオペレーションでは、自動発注システムが食品や総合スーパーを中心に採用が広がっており、卸事業者のSCM向けの導入も期待され、また、需要予測システムは廃棄ロス削減やSDGs対応ニーズにより、全国展開する大手リテーラーで導入が進んでいることから、2030年度予測は2021年度比3.6倍の1,852億円と予測されています(富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンダー戦略編」)。
このような状況のもと、当社グループは、当連結会計年度において、グローバル展開加速のための事業投資、体制強化のための積極的な人材採用やリテンション強化施策等を実行しております。
なお、第2四半期連結会計期間において、マネジメント・アプローチの観点から、経営管理・業績管理体制を見直し高度化を図ること、及び今後は、国内・海外双方にバランスの良い投資を行い成長を目指すことなど、将来の事業展開も踏まえ合理的な区分の検討を行った結果、報告セグメントを従来の「リテールマーケティング」、「データ分析ソリューション」の2区分から「国内事業」及び「海外事業」の2区分に変更いたしました。また、重要性が増したことに伴い、スペインのFollowUP Customer Experience S.L.及びパナマのAlianza FollowUP Panamá S.A.を連結子会社化いたしました。
当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,229百万円(前期比15.9%増)となりました。この主な要因は、国内では連結子会社の株式会社ディーエスエス(以下「DSS」といいます。)においてシステム開発案件の受注が増加したこと、同じく連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社(以下「SI」といいます。)においてパブリックセクターやインバウンドニーズを的確にとらえて案件の受注が大幅に増加したこと、海外では当連結会計年度の第2四半期から連結子会社化したFollowUP Customer Experience S.L.及びAlianza FollowUP Panamá S.A.を含め、海外連結子会社各社においてサービスの受注が堅調に増加していることによるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は1,527百万円(前期比34.2%増)となりました。この主な内訳は、人件費719百万円、業務委託費610百万円、減価償却費149百万円、サーバー使用料53百万円であります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は917百万円(前期比9.1%増)となりました。この主な内訳は、人件費469百万円、業務委託費97百万円、のれん及び顧客関連資産償却費54百万円、支払報酬料49百万円、地代家賃39百万円、租税公課35百万円、募集費32百万円、支払手数料30百万円、監査報酬24百万円であります。
(営業利益及び調整後EBITDA)
上記より、売上高2,229百万円(前期比15.9%増)となった一方、当連結会計年度の基本方針である事業ポートフォリオの再構築に向けた先行費用の発生、事業買収による今後中核となるエンジニア人材の増強や、業容拡大に対応したBPO費用の拡大、並びにグローバル企業としての基盤整備とガバナンス強化に向けた専門家の活用などによる人件費及び業務委託費の増加を主因として、営業損失は216百万円(前期は55百万円の営業損失)となりました。
この結果、調整後EBITDAは、のれんの償却費などキャッシュアウトを伴わない費用はほぼ計画通りであったものの、営業損失の拡大により47百万円(前期比93.1%減)となりました。
※調整後EBITDA=営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用
(営業外費用)
支払利息として11百万円、持分法による投資損失として7百万円、及びその他営業外費用として14百万円等を計上いたしました。
(特別利益)
新株予約権戻入益として9百万円、負ののれん発生益として6百万円、固定資産売却益として3百万円を計上いたしました。
(特別損失)
優先配当権の処理として、旧株主との間で、既存の旧株主向けの貸付金との相殺消去を行った関係で、第3四半期連結会計期間において、旧株主向け貸付金に係る回収可能性の見込を勘案し、当該貸付金に関する貸倒損失として505百万円を計上いたしました。
また、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき当社資産の将来の回収可能性を検討した結果、当社マーケティング事業にかかるソフトウエア資産等による減損損失として、378百万円を計上いたしました。
(法人税等)
法人税等合計については、法人税、住民税及び事業税45百万円を計上し、また、現時点での将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、法人税等調整額113百万円を計上いたしました。
(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
上記より、営業外費用に、支払利息11百万円、持分法による投資損失7百万円、及びその他営業外費用として14百万円等を計上した結果、経常損失は235百万円(前期は46百万円の経常利益)となりました。
また、特別利益として新株予約権戻入益9百万円、負ののれん発生益6百万円、固定資産売却益3百万円を計上し、特別損失として貸倒損失505百万円、減損損失378百万円を計上したこと、及び足元の業績を踏まえ将来の課税所得を再度見積もりしたことによる法人税等調整額113百万円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,261百万円(前期は530百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
イ. 国内事業
国内事業では、AI・システム開発事業、ソーシャルメディア分析事業、リテールマーケティング事業、新規事業を行っております。
AI・システム開発事業は、当社単体でビッグデータ分析で培った技術力・ノウハウとAI技術(テキスト/画像/音声)を活用したユーザ個別ソリューション開発を行うとともに、連結子会社の株式会社ディーエスエス(以下「DSS」といいます。)では、決済サービスの提供(法人向けプリペイドカードサービス「Biz プリカ」(https://bizpreca.jp/))、SES事業(カード会社、決済会社、証券会社等)、カード会社を中心とした金融 系受託開発、MSPサービス(AWSを中心としたクラウドシステム構築・運用・保守サービス)、セキュリティサービス(PCIDSSコンサル業務やセキィリティ診断サービス等)を提供しております。
当連結会計年度の当社においては、2023年9月にThe ROOM4D株式会社(以下「4D」といいます。)から譲り受けたデータサイエンス事業が寄与し、前期と比べ、売上高が増加しました。また、DSSにおいては、複数の大型開発案件が進行し、前期と比べ売上高が増加いたしました。
今後は、大手優良企業を中心とする顧客及びデータ活用とAIの開発実績を保有している4DのPMIとして、データサイエンス領域の強化を図るほか、データの利活用などのコンサルティング、あるいはIT教育などの顧客ニーズを契機に、当社の強みである大容量のデータ分析、あるいは保守運用までの一貫したサービス提供を拡大するとともに、Fintech領域を事業基盤とするDSSとの更なる連携を図り、受注拡大につとめてまいります。
ソーシャルメディア分析事業は、当社単体でソーシャルメディア分析ツール「Insight Intelligence」及び「Insight Intelligence Q」などのストック型のサービスを提供するとともに、連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社(以下「SI」といいます。)で多言語ソーシャルメディア分析におけるコンサルティングサービスを提供しております。
当連結会計年度の当社単体においては、昨年度からの効率的な販売体制構築を優先した結果、新規受注が伸び悩み、売上高は前年同四半期と比べ減少しました。一方、連結子会社であるSIにおいては、パブリックセクターやインバウンドニーズを的確にとらえ売上高は増加いたしました。この結果、事業全体では前期に比べ、売上高は増加いたしました。
リテールマーケティング事業は、当社において、小売店舗に設置したAIカメラで取得する画像・動画データとPOSデータと掛け合わせて分析することで店舗の業績向上を支援するストック型のサービス「FollowUP」を主要サービスとして、国内大手企業などへ提供しております。
当連結会計年度における「FollowUP」の国内展開は、昨年度後半から今年度にかけて、多店舗展開を行う小売業の顧客からの複数の受注が進行し、「FollowUP」の導入店舗数及びカメラ設置台数が増加したことで、売上高は前期と比べ増加いたしました。
新規事業では、AIによる医療系データ解析サービスとして、モニタリングAI(心電図)、NEDO軽度認知症解析AI(音声)、NEDO脳波癲癇解析AI(脳波、心電図)の開発、音声解析AIによるサービスの開発を行っております。
当連結会計年度における新規事業は、小売業向けの新規のプロダクト開発や医療関連ビジネスの進行に注力いたしました。
これらの結果、国内各社全般に受注が拡大していることから、当連結会計年度の外部顧客への売上高は1,363百万円(前期比11.2%増)と増加しましたが、本年度の基本方針である事業ポートフォリオの再構築に向けた先行費用の発生、事業買収による、今後中核となるエンジニア人材の増強や、業容拡大に対応したBPO費用の拡大、ならびにグローバル企業としての基盤整備とガバナンス強化に向けた専門家の活用などによる人件費及び業務委託費の増加などの費用増加がこれを上回ったため、セグメント損失は18百万円(前期は76百万円のセグメント利益)となりました。
ロ. 海外事業
海外事業においては、グローバル20か国以上への「FollowUP」展開を行っております。
相対的に今後の高い成長性が見込まれる南米マーケットを主戦場とし、チリの連結子会社であるJach Technology SpAにおいては、現地上場ディベロッパーなど優良大口顧客からの受注など、オーガニックに案件や顧客の大型化を進行したほか、傘下子会社であるスペイン及びパナマの非連結子会社を、第2四半期連結会計期間から連結子会社化することで、複数国における商圏拡大を通じ、グローバルな事業基盤を更に強化しております。
また、2021年に買収を行ったInteligenxia S.A.並びに、前連結会計年度に連結子会社化したFollow UP Peru S.A.C.なども順調な企業成長を実現しており、買収事業としてのPMIも着実に進行しております。
これらの結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は865百万円(前期比24.0%増)となり、セグメント利益は169百万円(前期は118百万円のセグメント損失)となりました。
また、当連結会計年度における財政状態の概況は次の通りであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して599百万円減少し(前年度末比13.7%減)、3,786百万円となりました。
これは、現金及び預金が244百万円、有形固定資産が139百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が86百万円増加し、投資その他の資産が862百万円、無形固定資産が124百万円減少したことを主要因とするものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して73百万円減少し(前年度末比3.9%減)、1,803百万円となりました。
これは、短期借入金86百万円を含む流動負債が148百万円、その他固定負債が64百万円増加、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)358百万円が減少したしたことを主要因とするものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して526百万円減少し(前年度末比21.0%減)、1,982百万円となりました。
これは、2024年1月26日付「第三者割当による新株式及び第19回新株予約権(行使価額固定型)の発行、並びに主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」、及び2024年2月13日付「第三者割当による新株式及び第19回新株予約権の発行における払込期日及び行使期間等の変更に関するお知らせ」にて開示いたしました普通株式等の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ352百万円、新株予約権が22百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失により利益剰余金が1,253百万円減少したことを主要因とするものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して、244百万円増加し、その結果として1,659百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、333百万円(前連結会計年度は、2百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失△1,099百万円、貸倒損失505百万円、減損損失378百万円、減価償却費167百万円及びのれん償却額47百万円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、569百万円(前連結会計年度は、255百万円の支出) となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出536百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、382百万円(前連結会計年度は、242百万円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入704百万円、長期借入れによる収入135百万円、短期借入金の増加86百万円、長期借入金の返済による支出504百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、事業の特性上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、事業の特性上、受注実績の記載になじまないため、省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
国内事業(千円) | 1,363,824 | 111.2 |
海外事業(千円) | 865,457 | 124.0 |
合計(千円) | 2,229,281 | 115.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
株式会社デジタルガレージ | 219,294 | 11.4 | - | - |
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループは、M&Aを活用しグロ-バルな成長を推進しており、そのような授業特性を踏まえ、当社グループの事業活動におけるキャッシュ・フロー創出力を示す指標として調整後EBITDA(※)を重要な指標として位置付けております。
(※)調整後EBITDA = 営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用
当連結会計年度における調整後EBITDAは47百万円であり、前連結会計年度と比較して642百万円減少しました。また、売上高に対する調整後EBITDA比率は2.1%であり、前連結会計年度と比較して33.7ポイント減少しました。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,229百万円(前年同期比15.9%増)、営業損失216百万円(前年同期は55百万円の営業損失)、経常損失235百万円(前年同期は46百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,261百万円(前年同期は530百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント別の売上高の状況は以下のとおりであります。
(国内事業)
国内事業では、AI・システム開発事業は、当社において2023年9月にThe ROOM4D株式会社(以下「4D」といいます。)から譲り受けたデータサイエンス事業が寄与し、前年同期と比べ、売上高が増加しました。また、DSSにおいては、複数の大型開発案件が進行し、前年同期と比べ売上高が増加いたしました。
また、ソーシャルメディア分析事業は、当社単体において、昨年度からの効率的な販売体制構築を優先した結果、新規受注が伸び悩み、売上高は前年同期と比べ減少しました。一方、連結子会社であるSIにおいては、パブリックセクターやインバウンドニーズを的確にとらえ売上高は増加いたしました。この結果、事業全体では前年同期に比べ、売上高は増加いたしました。
さらに、「FollowUP」の国内展開は、昨年度後半から今年度にかけて、多店舗展開を行う小売業の顧客からの複数の受注が進行し、「FollowUP」の導入店舗数及びカメラ設置台数が増加したことで、売上高は前年同期と比べ増加いたしました。
そのほか、新規事業は、小売業向けの新規のプロダクト開発や医療関連ビジネスの進行に注力いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は1,363百万円(前年同期比11.2%増)と増加しました。一方、本年度の基本方針である事業ポートフォリオの再構築に向けた先行費用の発生、事業買収による、今後中核となるエンジニア人材の増強や、業容拡大に対応したBPO費用の拡大、ならびにグローバル企業としての基盤整備とガバナンス強化に向けた専門家の活用などによる人件費及び業務委託費の増加などの費用増加がこれを上回ったため、セグメント損失は18百万円(前年同期は76百万円のセグメント利益)となりました。
(海外事業)
「FollowUP」の海外展開では、相対的に今後の高い成長性が見込まれる南米マーケットを主戦場とし、チリの連結子会社であるJachにおいては、現地上場ディベロップメントなど優良大口顧客からの受注など、オーガニックに案件や顧客の大型化を進行したほか、傘下子会社であるスペイン及びパナマの非連結子会社を、第2四半期連結会計期間から連結子会社化することで、複数国における商圏拡大を通じ、グローバルな事業基盤を更に強化しております。
また、2021年に買収を行ったInx並びに、前連結会計年度に連結子会社化したPeruなども順調な企業成長を実現しており、買収事業としてのPMIも着実に進行しております。
これらの結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は865百万円(前年同期比24.0%増)となり、セグメント利益は169百万円(前年同期は118百万円のセグメント損失)となりました。
b. 経営戦略の現状と見通し
2025年3月期も引き続き、売上及び利益の拡大に努めてまいります。
具体的には、各事業において下記の対応を行い企業価値の向上を図ってまいります。
イ. 国内事業
「国内」
・当社単体では、市場調査に基づく顧客ニーズに照らした更なるコンサルティング機能の発揮や、ターゲッティングの先鋭化により付加価値性の高い大型案件の受託を図るとともに、今後のIT活用可能性の高い業種、パブリックセクター案件への参画など戦略的な取組と、産学官連携による協働研究案件など、将来の収益基盤となるチャネル拡大を併進します。このため、エンジニアの採用強化に加え、稼働体制を整備することで、受注採算の向上にも努めてまいります。
・大手優良企業を中心とする顧客及びデータ活用とAIの開発実績を保有している4DのPMIとして、データの利活用などのコンサルティングやIT教育などの顧客ニーズをとらえ、データサイエンス領域の強化を図ってまいります。
・FollowUPの提供によるオーガニックな成長を維持するとともに、開発した自社プロダクトの投入や、他の自社サービスとのクロスセル等により付加価値の向上と、幅広い業種の顧客からの大型案件を図り、売上と利益の拡大を目指します。
・「Insight Intelligence」や「Insight Intelligence Q」などのツールにおいては、引き続き効率的なリード獲得に努めるとともに、リテールマーケティング等の他事業とのクロスセル、金融機関などのチャネル拡大により、着実な成長を目指します。
・SIにおいては、PR(セミナー実施、展示会出展等)による観光(インバウンド)領域における更なる知名度の拡大、内閣府、外務省、農水省、経産省などの中央省庁およびその外郭団体からの受託拡大による観光以外の公官庁案件の横展開・安定化、その他新サービスの開発等を定性的な目標としております。
・DSSにおいては、大手金融機関等との強固なリレーションで得られたノウハウを、デジタル決済や自社プロダクト開発に活かし、中期的な収益基盤の拡大に努めるとともに、短期的なエンジニアリソースの不足などにも対応するため、柔軟な人材採用、機動的な外注の活用、マネジメント層の育成等の体制強化を進めてまいります。
ロ. 海外事業
・インフォーマルマーケット(露店等)から、フォーマルマーケット(ショッピングモール等)への市場成長が加速する南米マーケットにおいては、引き続き、現地の上場ディベロッパーなどや、小売業オーナーとのリレーションを活かし、ショッピングモールなどの大型案件の獲得を目指すとともに、買収により抑えたリセラーの販路や、プロダクトのラインナップ強化により、その提供価値を拡大いたします。
「ソーシャルメディア事業」
・「Insight Intelligence」や「Insight Intelligence Q」などのツールにおいては、引き続き効率的なリード獲得に努めるとともに、リテールマーケティング等の他事業とのクロスセル、金融機関などのチャネル拡大により、着実な成長を目指します。
・連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社においては、PR(セミナー実施、展示会出展等)による観光(インバウンド)領域における更なる知名度の拡大・内閣府、外務省、農水省、経産省などの中央省庁およびその外郭団体からの受託拡大による観光以外の公官庁案件の横展開・安定化、その他新サービスの開発等を定性的な目標としております。
2025年3月期の連結業績は、売上高2,650百万円と国内・海外双方のバランス良い成長を図るとともに、各社においてより一層、受注採算やコスト意識を徹底することによる利益向上、また、当連結会計年度で、のれんの一括償却及び減損損失を計上したことによる償却費の減少などを考慮し、営業利益は80百万円の予想としております。
また、調整後EBITDAは、のれんの減損を考慮しない平年度ベースで、425百万円と増益を見込んでおります。
c. 資本の財源及び資金の流動性の分析
(財務戦略)
当社グループは、安定した財務基盤を維持し、手元資金を十分に確保することで、積極的な投資の機会を確保することを基本的な財務戦略としております。この戦略にもとづき海外事業に積極的に投資を行ってきた結果、当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は333百万円となりました。
(具体的な資金需要と資金調達方法)
当社グループは、主に「FollowUP」のサービス提供のため顧客店舗に設置する機器等の設備投資、サービス拡充目的のためのソフトウエア開発等を行っています。また、事業シナジーがあり利益の増大を見込むことができる事業には、M&Aも含め積極的に投資を行う方針です。これらを実行するための資金調達は、財務安定性の維持と投資のリスクや回収期間を考慮して自己資本、借入及びその組合せのうち最適な方法により資金調達を行う方針です。
(資金の流動性)
営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金と、金融機関からの長期借入金及び当座貸越契約の締結等のさまざまな手段により資金調達を行い、手元資金の流動性を十分に確保しております。
d. 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。