有価証券報告書-第8期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/09/25 15:00
【資料】
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【項目】
141項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社グループは、メルカリ日本事業・メルペイ事業・メルカリ米国事業の3本柱を確立するため、当連結会計年度を勝負の年として位置づけ、ミッション達成にむけた強固な基盤の構築を進めております。
メルカリ日本事業では中長期での継続的な成長を図るため、特に出品と購入のバランスの最適化に注力していることに加え、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」という。)の拡大の影響もあり、ユーザ数の増加及び一人あたりの利用金額が増加しております。これらの結果、「メルカリ」の日本国内流通総額(注1)は下期から成長率が再加速し、当連結会計年度において6,259億円となり、前年同期比で1,356億円増加しております。
当社グループでは、「メルカリ」で培った技術力と膨大な顧客・情報基盤をもとに、スマホ決済サービス「メルペイ」の提供を2019年2月に開始しました。メルペイは「日常で使われる決済」を目指し、お客様及び加盟店の獲得を行うとともに、与信事業や業務提携を進め、信用を軸にした新たなエコシステムの構築により、収益性改善に向けた取り組みを行っております。これらの結果、「メルペイ」の利用者数は700万人(注2)を超え、順調に増加しております。
米国ではCtoCマーケットプレイス「Mercari」の拡大に向けて、ブランディング及びグロースを求めたマーケティングキャンペーン強化及びお客様の多種多様なニーズに応えるために、出品および配送の最適化を行っております。また、メルカリ日本事業と同様に、COVID-19の拡大の影響もあり、ユーザ数の増加及び一人あたりの利用金額が増加しております。これらの結果、米国内流通総額は当連結会計年度において736億円(為替レートについては、期中平均為替レート108.16円にて換算)となり、前年同期比で334億円増加しております。また、目標としていた月間流通総額100million USDを第4四半期において達成することが出来ました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高76,275百万円(前年同期比47.6%増)、広告宣伝費や人件費の増加等に伴い営業損失19,308百万円(前年同期は12,149百万円の損失)、経常損失19,391百万円(前年同期は12,171百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失22,772百万円(前年同期は13,764百万円の損失)となりました。なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注)1.CARTUNEを経由した購入を含む。
2.メルペイ「電子マネー」の登録を行ったユーザと、「メルペイコード払い」、「ネット決済」、「メルペイスマート払い」等の利用者の合計(重複を除く。)2020年6月時点。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末に比べ34,329百万円増加し、198,014百万円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・現金及び預金の主な増減理由は「③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
・預け金は、主に「メルカリ」及び「メルペイ」の利用金額の増加に伴い、前連結会計年度末に比べ増加しております。
・投資有価証券は、主に保有する株式銘柄が株式上場したことに伴い、前連結会計年度末と比べ増加しております。
・差入保証金は、主に「メルカリ」及び「メルペイ」の利用金額の増加に伴い、法令に基づいた供託を実施したことにより、前連結会計年度末に比べ増加しております。
(負債)
当連結会計年度末における負債につきましては、前連結会計年度末に比べ49,897百万円増加し、162,645百万円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・未払金は、主に取引先への支払条件の変更等に伴い、前連結会計年度末に比べ増加しております。
・預り金は、主に「メルカリ」及び「メルペイ」の利用金額の増加に伴い、前連結会計年度末に比べ増加しております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ15,567百万円減少し、35,368百万円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・資本金及び資本剰余金は、主に新株発行に伴い、前連結会計年度末に比べ増加しております。
・利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上に伴い、前連結会計年度末に比べ減少しております。
・その他有価証券評価差額金は、主に保有する株式銘柄が株式上場したことに伴い、新規に発生しております。
・非支配株主持分は、主に株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーの取得に伴い、新規に発生しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額124百万円を合わせて、前連結会計年度末に比べ10,234百万円増加し、当連結会計年度末には141,008百万円となりました。なお、現金及び現金同等物には、現金及び預金と有価証券が含まれております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、12,533百万円(前連結会計年度は7,289百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失20,519百万円に、減価償却費及びその他の償却費1,463百万円、減損損失922百万円、未払金の増加額8,638百万円、預り金の増加額37,695百万円、預け金の増加額4,334百万円を調整し、また、法人税等の支払額2,735百万円、及び差入保証金の増加額11,983百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、2,653百万円(前連結会計年度は2,805百万円の使用)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,534百万円、及び有形固定資産の取得による支出773百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、465百万円(前連結会計年度は32,200百万円の獲得)となりました。これは、長期借入れによる収入1,000百万円、長期借入金の返済による支出1,261百万円、株式の発行による収入973百万円、及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出246百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはマーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年7月1日
至 2020年6月30日)
販売高(百万円)前年同期比(%)
マーケットプレイス関連事業76,275147.6

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。
この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表を作成するにあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。
なお、COVID-19の影響の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。
a. 貸倒引当金の計上基準
当社グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
b. 固定資産及びのれんの減損
当社グループは、固定資産及びのれんのうち減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性
が著しく低下した場合には、固定資産及びのれんの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失
として計上することとしております。固定資産及びのれんにおける回収可能価額の評価の前提条件は、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
減損損失の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載のとおりです。
c. 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上してい
ます。将来の課税所得は過去の業績等に基づいて見積っているため、税制改正や経営環境の変化等により課税
所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 売上高
当連結会計年度における売上高は、76,275百万円となりました。これは主に流通総額が増加したことによるものであります。
b. 売上原価
当連結会計年度における売上原価は、20,661百万円となりました。これは主に売上高が増加したことによるものであります。
c. 販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、74,921百万円となりました。これは主に広告宣伝費34,307百万円、支払手数料14,316百万円、給料及び手当7,192百万円によるものであり、この結果、営業損失は19,308百万円となりました。
d. 営業外収益、営業外費用、経常利益
営業外収益は主に受取利息の計上により211百万円、営業外費用は主に支払利息の計上により295百万円となり、この結果、経常損失は19,391百万円となりました。
e. 特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
減損損失及び投資有価証券評価損により、特別損失1,127百万円の計上があったため税金等調整前当期純損失は20,519百万円となり、法人税等合計2,440百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は22,772百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループは、継続的な成長のため、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのユーザを獲得し、また既存のユーザを維持していくことが必要であると考え、会社設立以降積極的に広告宣伝等にコストを投下してきており、今後も継続して国内外における広告宣伝等を進めていく方針であります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及び開発に係る人件費であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、必要な資金を主に自己資金及び金融機関からの借入で賄っております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、前記「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、国際事業展開、コンプライアンス等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。