有価証券報告書-第70期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/28 13:21
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、時価上昇による投資の増加などにより、前連結会計年度末に比べ35億76百万円増加し、2,985億34百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、未払税金や繰延税金負債が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ14億39百万円減少し、610億37百万円となりました。
当連結会計年度末の株主資本合計は、利益剰余金や未実現有価証券評価損益の増加などにより、前連結会計年度末に比べ51億44百万円増加し、2,327億12百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における株主資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.8%増加し、78.0%となりました。
b.経営成績
当連結会計年度(2017年4月1日~2018年3月31日)の国内景気は雇用情勢の改善から、一部には個人消費が持ち直す兆しが見られました。しかしながら、国内のレディスインナー市場を取り巻く環境は、将来不安による節約志向が根強く個人消費の回復が鈍いことや、量販店等の閉店や在庫調整が続いていることなどから、依然、厳しい状況となりました。一方、海外の市場環境は、米国では消費者マインドが高水準を維持し、ヨーロッパでは英国のEU離脱を巡る不透明感があるものの、ユーロ圏の雇用環境は引き続き改善しており、欧米の個人消費は堅調に推移しました。中国では実質可処分所得が高い伸びを示し個人消費が堅調だったほか、雇用不安も薄れ、実質小売売上高では高水準の伸びが続きました。
このような環境において、当社グループは中期経営計画で掲げた目標の達成に向けて、事業構造の整備と強化を進めました。国内事業においては、卸売事業組織の再編と強化による経営効率の向上、卸売事業と小売事業とのシナジーを発揮するオムニチャネルサービスの具体化、在庫効率を高めるための基幹ITの整備、ブランドや商品グループの見直しによる採算性の向上に注力しました。海外事業においては、欧米やアジア地域間の事業連携、ECへの対応力の強化、中国やASEANの商品供給拠点における品質・コスト競争力の向上に取り組みました。
当連結会計年度の連結売上高合計は、前期に比べ0.1%の微減となりました。国内は卸売事業の苦戦が続き前期を2%下回ったものの、海外はECを通じた販売が好調だったほか、実店舗においても欧米と中国の既存店が堅調に推移し、前期を7%上回りました。一方、ピーチ・ジョン事業及びその他は、ともに減収となりました。
連結営業利益は、前期に比べ13.3%の増加となりました。国内の事業収益性の向上に向けた取り組みのほか、海外の増収による売上利益額の増加が寄与しました。また、子会社の工場用地退去に伴う補償金収入を計上したことや、前期に発生したフランス子会社の清算手続に伴う一時的な費用影響がなくなったことも増益要因となりました。
連結税引前当期純利益は、前期に固定資産(土地)売却益を計上したため、その反動から前期に比べ13.8%の減少となりました。
なお、当連結会計年度の主要な為替換算レートは、1米ドル=110.85円、1英ポンド=147.03円、1中国元=16.63円です。
・売上高 1,957億25百万円 (前期比 0.1%減)
・営業利益 125億34百万円 (前期比 13.3%増)
・税引前当期純利益 142億86百万円 (前期比 13.8%減)
・当社株主に帰属する当期純利益 97億45百万円 (前期比 22.2%減)
オペレーティング・セグメントの経営成績を示すと次のとおりであります。
ワコール事業(国内)
㈱ワコールは、当期から従前のワコールブランド事業本部、ウイングブランド事業本部を改組し、「ワコール」ブランド商品の企画開発と、主に百貨店と専門店チャネルへの卸売事業を担当する「ワコールブランド事業本部」、および「ウイング」ブランド商品の企画開発と、主に量販店への卸売事業を担当する「チェーンストア事業本部」に再編しました。
ワコールブランド事業本部とチェーンストア事業本部を合わせた卸売事業を中心とする売上高は、前期に比べ2%の減少となりました。百貨店における店頭ベースの販売額は、訪日外国人消費によって東京、大阪圏では大きく拡大した一方、関東、甲信越、北陸の地方都市では低調に推移したことが響いて前期並みとなりました。また量販店における店頭ベースの販売額は、競合の激しい主力店では、「ワコール」と「ウイング」の両ブランドを効果的に展開する「Dual W(デュアルダブル)」売場への改装を積極的に進め市場シェアを拡大したものの、メンズインナーウェアやナイトウェアが振るわず前期並みにとどまりました。主力のブラジャーの店頭ベースの販売額は、「ワコール」ブランドでは快適性を訴求したブラジャー「GOCOCi(ゴコチ)」が前期比2.9倍とけん引した結果、6%増加した一方、「ウイング」ブランドでは1%の増加にとどまりました。店頭ベースの販売額は堅調だったものの、百貨店、量販店の閉店や在庫調整が卸売売上に影響を及ぼしました。
小売事業本部の売上高は、事業収益性の向上を優先し、新規出店を最小限に抑えた一方、不採算店舗11店を閉鎖した結果、前期に比べ1%の増加にとどまりました。直営店を横断展開するブラジャー「BRAGENIC(ブラジェニック)」の販売額は前期に比べ54%増加し全体の約2割を占め、主力の直営店「AMPHI(アンフィ)」を中心に、会員顧客が66万人を超えました。1品番当たりの売上を高める取り組みや、有力顧客との関係強化による値引き販売の削減に注力しました。
ウエルネス事業部の売上高は、前期比5%の減少となりました。「サクセスウォーク」は好調に推移したものの、主力の「CW-X(シーダブリュ-エックス)」が、一部のスポーツ量販店との取り引き中止などから9%減少したことが響きました。
WEB販売事業部(旧称・通信販売事業部)の売上高は、前期比1%の増加となりました。ウェブストア事業では、小売事業本部と連動した会員顧客への案内や休眠顧客の掘り起こしのほか、電話による受注対応の強化やビューティーアドバイザーによる相談サービスを開始したことで14%の増加となりました。一方、カタログ事業では冬号、春号においても利用者、購買客数ともに漸減傾向が続き4%の減少となりました。
㈱Ai(アイ)の売上高は、前期比8%の減少と苦戦しました。主力の水着事業では、短期販売員の確保が困難になるなか、最盛期の季節型店舗数を縮小し店舗当たりの売上効率を高めることを図りましたが、前期比5%の減少となりました。また下着事業も不採算店の閉鎖や商品の競争力低下等により14%の減少と振るいませんでした。
以上の結果、当該セグメントの売上高は前期に比べ1.9%の減少となりました。
営業利益は、前期に比べ13.3%増加しました。IT環境の整備費用や健康保険料の料率改定に伴う費用が増加した一方、卸売事業における返品高の削減をはじめとする経営効率を高める取り組みや、小売事業における収益性の強化を進めることによって、売上利益率の改善や販管費の抑制に努めました。このほか、第1四半期に子会社の工場用地退去に伴う補償金の収入を計上したことが寄与しました。
・売上高 1,160億85百万円 (前期比 1.9%減)
・営業利益 78億85百万円 (前期比 13.3%増)
ワコール事業(海外)
ワコールインターナショナル(米国)の現地通貨ベースの売上高は、前期に比べ3%増加しました。自社EC、他社ECを通した販売が高い伸びを示して全体をけん引したことに加えて、「ワコール」ブランドの取扱い百貨店の店舗数の増加に伴って、初回納品が第1四半期に上乗せされたことが寄与しました。しかしながら、通期において、百貨店(実店舗)の店頭ベースの販売額は堅調を維持したものの、一部百貨店やEC専業の得意先による在庫調整から、下半期のみの売上高は前年同期を3%下回る結果となりました。
現地通貨ベースの営業利益は、前期に比べ2%の増加(営業利益率11%)となりました。値引き販売の縮小や自社ECによる売上構成比の増加に伴って売上利益率が上昇した一方、自社ECの販売強化に向けたリスティング広告やサイト改編費用の投下に加え、医療保険料率の上昇によって販管費率が高まりました。このほか、第4四半期に米国内子会社(ワコールスポーツサイエンス)の組織再編に伴い、一時的な費用を計上したことが響きました。
ワコールヨーロッパの現地通貨(英ポンド)ベースの売上高は、前期に比べ3%増加しました。フランスでは、事業清算したブランドの売上が消失したことで前期を下回りましたが、主軸の英国、米国では高級下着を専業とする他社ECおよび専門店チェーンが堅調に推移しました。また、ドイツやスペインでは得意先における取り扱いブランド数の拡大と合わさって、ユーロ高による売上の嵩上げも寄与したことから前期比二桁増となりました。下着では、引き続き豊満体型女性向けブランド「elomi(エロミ)」が好調で前期比20%の増加、水着では、「FANTASIE(ファンタジー)」、「Freya(フレヤ)」がともに17%の増加となって各国の売上伸長を支えました。
営業利益は、前期はフランス子会社の清算手続に伴う一時的な費用計上を受けて赤字でしたが、当期は営業利益率9%となりました。ドル安の進展と輸送費の削減で売上利益率が改善したこと、加えて自社EC改編時期の延期によって販管費が抑制されたことから、計画を上回る収益の改善となりました。
中国ワコールの現地通貨ベースの売上高は、前期に比べ10%増加しました。消費者のファッション感度の高まりを捉え、春節や婦人節、国慶節といった需要期には特設売場の開設のほか、販促施策を強化しました。この結果、百貨店1店当たり売上高は前期比8%の増加となりました。また、他社ECを通じた売上高は、通常価格で販売する商品の取り扱いを強化したことに加えて、「双十一(ダブルイレブン)」当日の売上も好調で、29%の増加となりました。ブランド別には、「ワコール」ブランドが10%の増加となったほか、「ピーチ・ジョン」ブランドも「谷間見せないストラップレス」ブラがヒットするなど、着実に愛用者が拡がり51%の増加となりました。
現地通貨ベースの営業利益は、前期に比べ9%の増加(営業利益率5%)となりました。引き続き採算性の低い売場の撤退による販管費抑制に努めましたが、第4四半期は、特価品の効率的な販売を目的に集中管理を行う物流倉庫を新しく稼働させたことや、EC販売の強化に向けた広告費の投下を行ったことなどから販管費率が上昇しました。
以上の結果、邦貨換算後の当該セグメントの売上高は前期に比べ7.2%増加しました。また、営業利益はタイの材料会社(A(エー)テックテキスタイル)にかかるのれんの減損損失2億6百万円を計上しましたが、26.1%の増加となりました。
・売上高 518億88百万円 (前期比 7.2%増)
・営業利益 38億52百万円 (前期比 26.1%増)
ピーチ・ジョン事業
当該セグメントの売上高は、国内の通販事業が振るわず前期を2.8%下回る結果となりましたが、営業利益は、国内の売上利益率の改善と中国事業の収益性向上を受けて、前期に比べ17.9%の増加となりました。
国内売上高は、店舗事業が前期並みにとどまりました。プレミアム感ある演出を施した「SALON (サロン) by ピーチ・ジョン」は新規出店による上乗せがあり31%の増加と伸びましたが、「ピーチ・ジョン」は第4四半期に発売した「ミラクルワークブラ」が好調だったものの来店客数の減少が響き2%減少しました。通販事業は前期を12%下回りました。購買単価は上昇しましたが、話題性に欠けたことで自社ECへの訪問客数が落ち込みました。他社ECに向けた外販事業は、第4四半期のセール販売が好調だったことなどから前期を4%上回りました。海外においては、2017年5月に営業を始めた台湾子会社で計画を56%上回る結果となりました。とりわけ自社ECでは売上計画の2倍となりました。
営業利益は、国内インナーウェアの値引き販売の減少によって売上利益率が改善したことに加えて、広告宣伝費等を削減したこと、また、中国、台湾における売上拡大を受けて収益性の向上が進んだことが寄与しました。
・売上高 107億95百万円 (前期比 2.8%減)
・営業利益 4億41百万円 (前期比 17.9%増)
その他
ルシアンの売上高は、前期に比べ16%の減少となりました。主力のインナー事業において、大手量販店向けPBの受注が採用品番数の縮小や、店頭売上の不振を受けて減少し13%下回ったことが響きました。加えて、アート・ホビー事業では刺しゅう等の手芸用品は堅調だったものの、ソーイング生地が低調で4%減少と苦戦し、マテリアル事業では服飾レースの需要減少が響き13%減少と振るいませんでした。また、アパレル事業は量販店向けPB事業の撤退とテレビ通販の販売不振を受けて47%減少と大きく落ち込みました。
営業利益は、販管費を抑制したものの、減収に伴い売上利益額が落ち込んだことに加えて、前期に為替変動による売上利益額の嵩上げ効果が生じたことの反動もあって前期に比べ86%減少する結果となりました。
七彩の売上高は、前期を2%下回る結果となりました。依然、衣料品業界の景況感に顕著な改善はないものの、下半期に入って、百貨店の特設売場向けなど短期のレンタル需要、百貨店・専門店改装の工事需要に持ち直しが見られました。この結果、レンタル事業、物販事業ではおおむね前期並みを確保しました。しかしながら、工事事業では前期の大型受注を補い切れず2%の減少となり、全体に影響しました。
営業利益は、レンタル事業の原価率改善と工事事業の売上構成比の低下に伴って、売上利益率が改善したことから前期に比べ90%の増加となりました。
以上の結果、当該セグメントの売上高は前期比5.6%の減少、営業利益は47.4%の減少となりました。
・売上高 169億57百万円 (前期比 5.6%減)
・営業利益 3億56百万円 (前期比 47.4%減)
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比し45億8百万円減少し、294億87百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益96億60百万円に減価償却費や繰延税額などによる調整を加えた金額に対して、資産及び負債の増減などによる調整を行った結果、154億93百万円の収入(前期に比し8億58百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の増加や有形固定資産の取得などにより、73億62百万円の支出(前期に比し43億30百万円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払及び自己株式の取得などにより、123億3百万円の支出(前期に比し7億52百万円の支出減)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をオペレーティング・セグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、 ピーチ・ジョン事業については、すべて販売会社のため該当事項はありません。また、その他のセグメントについては、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
オペレーティング・セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
ワコール事業(国内)43,89293.3
ワコール事業(海外)16,054107.1
合計59,94696.6

(注) 生産実績の金額は製造原価によっております。また、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
その他のうち㈱七彩の一般住宅及び店舗内装工事部門については受注生産形態をとっております。
当連結会計年度におけるその他の受注実績を示すと、次のとおりであります。
オペレーティング・セグメント
の名称
受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
その他5,533106.0536211.9

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をオペレーティング・セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
オペレーティング・セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
ワコール事業(国内)116,08598.1
ワコール事業(海外)51,888107.2
ピーチ・ジョン事業10,79597.2
その他16,95794.4
合計195,72599.9

(注)1.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、米国において一般に認められた会計基準に準拠して作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。会計方針の適用にあたり、特に重要な判断を要する項目は以下のとおりであります。
a.収益認識
当社グループの卸売販売、カタログ販売及びWEB販売についての収益認識は、(ⅰ)有効な売買契約が存在すること(ⅱ)財貨の引渡しが終了していること(ⅲ)販売価格が固定されている又は決定しうること(ⅳ)代価の回収が合理的に確証できることという要件を満たした場合に行っております。また、委託販売については、商品が最終消費者に販売された時点で収益の認識を行っております。直営店舗における小売販売についても同様に、商品が最終消費者に販売された時点で収益の認識を行っております。
b.貸倒引当金及び返品調整引当金
当社グループは、売掛債権等について貸し倒れの可能性を予測する必要があります。これらの債権の回収可能性を検討するにあたっては、各相手先の業績、債権残高、財政状況等を考慮して個別に信用リスクを判断する等、重要な判断が必要であります。相手先の財政状態が悪化した場合は貸倒引当金を積み増すことがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
また当社グループは、当社グループの取引条件に明記される一定の条件の下で相手先からの返品を認めております。返品調整引当金は過去の返品率や販売動向、又は小売業界全般の状況等を勘案して計上しております。この見積りは四半期毎に実施しておりますが、実際の返品や特価セール等の要因も考慮し見直しを行っております。返品調整引当金は、売上高の減少として計上されております。
c.たな卸資産の評価損
当社グループは、原材料については先入先出法による低価法で、製品・商品及び仕掛品については総平均法による低価法で評価しております。たな卸資産の実現可能価額は、通常の事業活動による見積り販売価額から見積り直接販売費用を控除して算出されます。たな卸資産の評価は、たな卸資産が低価法に基づき正しく評価されているかどうかを確認するため、定期的に実施されております。当社グループは、必要と判断された場合、たな卸資産の簿価と実現可能価額との差額をたな卸資産の評価損として計上しております。見積り販売価額や見積り直接販売費用、マークダウン率やたな卸資産の分類等は過去の状況や将来の消化予想、その他の要素を加味して算出しております。また、将来破棄するたな卸資産についても考慮しております。当社グループのたな卸資産の評価は適正であると判断しておりますが、市況や消費者ニーズが当社グループの計画と大きく乖離する場合、評価損の金額は増加し、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。
d.繰延税金資産
当社グループは、現在、一定期間における回収可能性に基づき相当額の繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計上は、予測される将来における課税所得の達成の可否により影響を受けます。将来の課税所得の見積りにあたっては、過去の業績やタックス・プランニング等も考慮しております。当社グループの将来の収益性に係る判断は、将来における市場の動向その他の要因により影響を受けます。これらの状況に変化があった場合、繰延税金資産計上額に対して金額的に重要な評価性引当金を計上する可能性があります。繰延税金資産の回収可能性を見込めない場合には、回収不能と見込まれる金額に対して評価性引当金が計上され、損益に悪影響を与える可能性があります。
e.有価証券・投資の評価損
有価証券・投資の公正価値が帳簿価額を下回り、かつ、公正価値の低下が一時的でないと判断される場合は、評価損が計上されます。当社グループは、有価証券・投資の公正価値の下落が一時的であるかどうかを、下落の期間や程度、発行体の財政状態や業績の見通し、又は公正価値の回復が予想される十分な期間にわたって保有する意思、などを含めた基準により四半期毎に判断しております。
当社グループは、評価損を判断する基準は合理的なものであると考えておりますが、市場の変化や、予測できない経済及びビジネス上の前提条件の変化によって個々の投資に関する状況の変化があった場合には、有価証券・投資の評価額に影響を受ける可能性があります。
なお、2018年3月31日現在、当社グループが保有する有価証券・投資のいくつかの銘柄については含み損が発生しております。これらの銘柄については、下落期間や入手可能な発行体の業績等をもとに一時的な下落であると判断し、評価損は計上しておりません。
2018年3月31日現在、重要な影響を与える未実現損失は発生しておりません。
f.長期性資産の減損
当社グループが保有する長期性資産については、帳簿価額の回収ができないという兆候を示す事象や状況の変化が生じた場合には、将来の予想キャッシュ・フローに基づき減損の判定を実施し、減損が生じたと判断した場合、当該資産の帳簿価額が公正価値を超える金額を減損損失として計上しております。
2018年3月期においては、認識すべき減損損失は発生しておりません。
g.のれん及びその他の無形固定資産の減損
耐用年数が確定できないのれん及びその他の無形固定資産については、少なくとも1年に一回、又は将来の業績見通しの悪化や事業戦略の変化、事業環境の悪化、リスク調整後割引率の変動等、減損の判定が必要となる兆候が発生した場合に減損の判定を行っております。このような場合には、のれんやその他の無形固定資産の公正価値を評価し、公正価値が帳簿価額を下回っていると判断される場合には、その下回る額について減損損失として計上することになります。のれん及びその他の無形固定資産の帳簿価額の回復可能性がないと判断された場合、報告単位の公正価値の評価にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。のれんの公正価値の決定において、評価機関は観察不能なインプットを含む現在価値法を採用しております。商標権の公正価値の決定においては、評価機関は観察不能なインプットを含むロイヤルティ免除法を採用しております。
2018年3月31日時点における評価の結果、のれんの減損を206百万円認識しており、商標権の減損については不要であると判断しております。
h.退職金及び退職年金
当社グループは従業員の大多数を対象とするいくつかの退職金制度を有しており、㈱ワコール及び一部の子会社は確定給付企業年金制度を採用しております。前払年金費用、退職給付に係る負債及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出されております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれております。当社グループは、使用した数理計算上の仮定は妥当なものと判断しておりますが、仮定自体の変更により、前払年金費用、退職給付に係る負債及び退職給付費用に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しております。具体的には割引率は2018年3月31日時点における、国債のうち満期までの期間が予想される将来の給付支払の時期までの期間と同じ銘柄の利回りを基礎としております。当連結会計年度末における割引率は0.5%であります。
当社グループは、過去の運用実績と将来収益に対する予測を評価することにより長期期待運用収益率を設定しております。かかる長期期待運用収益率は、株式及び社債等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づいております。前連結会計年度及び当連結会計年度末における、年金資産の長期運用利回りは、ともに2.5%であります。長期期待運用収益率は持分証券26.0%、負債証券54.0%、生保一般勘定18.0%及び短期資金2.0%の資産構成を前提として算定しております。
これらの基礎率は退職給付債務及び費用に重要な影響を及ぼします。割引率及び長期期待運用収益率をそれぞれ0.5%変更した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。
退職給付費用への影響額退職給付債務への影響額
割引率:0.5%減少160百万円の増加1,812百万円の増加
割引率:0.5%増加157百万円の減少1,611百万円の減少
長期期待運用収益率:0.5%減少154百万円の増加-
長期期待運用収益率:0.5%増加156百万円の減少-

その他の年金制度は、退職一時金の支給か一定の条件での年金支給のどちらかとなりますが、従業員が定年に達する前に退職する場合は、通常、一括で支給されます。
i.新会計基準
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記 1 連結会計方針 F 会計処理基準 (17)新会計基準」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、次の連結会計年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画において、5つの基本方針を設定し、これに沿った事業構造の整備と強化を続けております。
当連結会計年度においては、グループ経営基盤の整備を土台に、国内事業において収益を確保しつつ、海外事業のさらなる成長を遂げる取り組みを引き続き進めました。同時に既存事業領域では、グループ内でのシナジーを発揮して競争力を高める一方、事業ポートフォリオの拡大にも挑戦することによって、収益性と事業効率の向上を目指す取り組みに努めました。並行して、効果的な財務戦略を行うことによる、資本効率の向上に注力しました。
中期経営計画の5つの基本方針に沿った事業戦略に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
まず、「国内事業の収益確保」について、主力の㈱ワコールでは、卸先チャネルの閉廃店や長引く在庫調整の影響を受けた一方、健康保険料率の上昇、販売員の処遇改善、ITシステム関連など、販管費の増加が避けられなかったことから、チェーンストア事業や小売事業を中心に収益性を優先した事業構造の変革に取り組みました。高付加価値商品の拡販、適時適量の商品投入による値引き・返品の削減、直営店での共通商品の展開強化など、粗利益率を高める取り組みを強化しました。国内では事業生産性を高める一方で、早期に成長軌道へ回帰するよう引き続き努めていく予定です。
次に、「海外事業のさらなる成長」については、欧米と中国の主要3法人で、伸長するECチャネルへの対応として、自社ECでの利便性向上や他社ECでの商品政策、販売政策の見直しを進めた結果、力強い売上拡大につながり、経営体質を一層強めることができました。一方、タイの材料会社(Aテックテキスタイル)は品質課題や不採算事業の整理など、買収後の事業構造の改革に時間を要す結果となりました。今後も、海外においては効果的な投資を実施することによって、成長性の強化を引き続き図る考えです。
「グループシナジーの発揮と競争力強化」について、㈱ピーチ・ジョン、㈱ルシアン、㈱七彩、㈱Ai(アイ)、これら国内子会社4社は、流通構造や消費ニーズの変化に対応し切れず、売上高、営業利益ともに計画を下回る結果となりました。また、営業利益率も近年2%前後に低迷していることから、事業構造の抜本的な見直しも視野に、収益性改善への取り組みを進め、安定的に売上・収益を確保できる体質への変革に着手していきます。
「事業ポートフォリオ拡大への挑戦」については、京町家を活用した宿泊事業を始める基盤整備を行いました。既存事業の収益性改善と並行して、従前の事業モデルにはとらわれない、新しい事業ポートフォリオの構築に向けた検討を続けていきます。
「グループ経営基盤の整備」については、2017年10月に制定した「ワコールグループCSR調達ガイドライン」に沿い、人権、労働慣行、倫理など、社会的な要求に対して、取引先と協働しながら一層の責任を果たす取り組みを高めております。また、コーポレートガバナンスの継続的な改善に努めるほか、女性の活躍増進だけにとどまらず、ダイバーシティの視点から事業基盤を整備しております。合わせて、テレワークの導入など、働き方改革の促進によって組織や人材の一層の活性化を図り、「見えない資産」の価値向上を目指していく考えです。
これらの結果、当期の連結業績予想に対して、営業利益は10億34百万円、税引前当期純利益は17億86百万円、当社株主に帰属する当期純利益は7億45百万円、それぞれ上回って終了することができました。
財務戦略による資本効率の向上、株主還元への取り組みに関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は、業績予想を上回って終了することができましたが、固定資産(土地)の売却益を計上した前連結会計年度の実績からは減少する結果となりました。
株主の皆様への利益配分に関しましては、収益力向上のための積極的な投資による企業価値の向上を目指しながら、1株当たり当社株主に帰属する当期純利益の増加を図るとともに、連結業績を考慮しつつ安定的な配当を実施させていただくことを基本方針としております。内部留保金につきましては、企業価値向上の観点から、国内事業における顧客接点の拡大や、海外事業拡大のための積極的な投資に加えて、競争力の維持や成長力強化のための戦略的投資に活用し、将来の収益向上を通して、株主の皆様への還元を図らせていただきたいと考えております。また、自己株式の取得についても、フリー・キャッシュ・フローレベルや市場環境を勘案しながら機動的に行い、資本効率の向上と株主の皆様への還元を図ってまいります。
当連結会計年度は、国内におけるオムニチャネルサービスの基盤となるIT整備をはじめ、海外におけるEC事業のプラットフォーム構築や工事設備の更新など、58億84百万円の設備投資を実施しました。株主の皆様への還元については、配当支払額73億86百万円、自己株式の取得40億7百万円、合わせて113億93百万円とさせていただきました。
しかしながら、株主資本の金額は、未実現有価証券評価損益などの影響から51億44百万円増加し2,327億12百万円となり、この結果、連結ROEは4.2%の水準となりました。
将来の成長に向けて、積極的かつ戦略的に投資機会を見出していくと同時に、引き続き、事業収益の改善に取り組んでいきたいと考えております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりです。
当社グループは、中期的な経営指標として、連結売上高営業利益率7%、連結ROE(株主資本当社株主に帰属する当期純利益率)5%以上の達成を目標に掲げております。
当連結会計年度における営業利益率は6.4%となり、前連結会計年度の5.6%から0.8ポイント増加しました。これは、国内での商品ミックス改善、ヨーロッパにおける対米ドル英ポンド高の進行、前連結会計年度の清算手続に伴う一時的な棚卸資産に係わる費用影響の消失などから、売上高原価率が低下したこと、また、国内子会社の工場用地退去に伴う補償金の収入や、前連結会計年度に計上したフランス子会社の清算に関連した一時費用影響の反動で、販管費率が抑制されたことが主な要因です。ROEは4.2%となり、前連結会計年度の5.5%から1.3ポイント減少しました。これは、当連結会計年度は営業利益が増益だったものの、前連結会計年度に固定資産(土地)の売却益を計上したため、その反動から当社株主に帰属する当期純利益が減少したことによります。
引き続き、これらの経営指標の改善に努めてまいります。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金の流動性は、主に営業活動による純現金収入によります。営業活動による純現金収入により、外部からの多額の借入や、その他の資金調達手段に頼らずに、大部分の運転資金の確保や設備投資、配当金の支払が可能となっております。ただし、金融機関に信用枠は設けており、2018年3月31日現在の信用枠の合計は309億65百万円、信用枠を設けている借入金の残高は72億91百万円となっており、主な残高の内訳としては当社が25億円、WACOAL EUROPE LTD.が19億88百万円、ワコールサービス㈱が26億16百万円、㈱七彩が1億87百万円となっております。
これらの信用枠の期限は、ほとんどが自動的に更新されるものであり、現状更新を妨げるような事象は発生していないと考えております。仮にいずれかの子会社において借入が不可能になったとしても、グループの各社から資金を供給することが可能であると考えております。また、資金需要について大きな季節変動はありません。
また、子会社からの親会社への配当に係る規制は特に無いと考えております。現状の事業運営に必要な運転資金は長期、短期とも十分であると考えております。
a.設備投資
「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載しております。
b.キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

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