有価証券報告書-第76期(2023/04/01-2024/03/31)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における当社グループの経営環境は、主要国において主力商品であるインナーウェアの販売が低迷したことから厳しい結果となりました。国内は、高価格帯のブランドは堅調に推移しましたが、円安、エネルギー価格や原材料価格の高騰等を背景とした物価上昇の長期化と、それに伴う選別消費の高まりもあり、中価格帯商品の販売が苦戦しました。物価上昇が収束基調にある米国については、個人消費は安定的な成長がみられたものの、一部の取引先における仕入抑制が継続したことから低調な推移となりました。また継続的な物価上昇に伴い個人消費が減速傾向にある英国・欧州についても販売に力強さを欠く展開となりました。中国は、ゼロコロナ政策解除後の経済活動の回復が期待されていたものの、雇用危機等による景況感の悪化を受けた個人消費の伸び悩みの影響により、売上の回復は想定を下回りました。
このような環境の下、当社グループでは、2023年11月に改訂した3カ年の中期経営計画に沿って、「キャッシュを着実に創出できる体質への転換」をテーマに「収益力の改善に向けたビジネスモデル改革」、「“VISION2030”達成に向けた成長戦略」、「ROICマネジメントの導入」、「アセットライト化の推進」の取り組みを進めております。
国内事業においては、ビジネスモデル改革の一環としてコスト構造改革を進めるほか、顧客ニーズや市場環境の変化への迅速な対応に向けてサプライチェーンマネジメント改革に着手し、店頭商品構成の見直しや需要連動型の生産方式へのシフトによる在庫水準の抑制と最適化、企画開発のリードタイム短縮に取り組んでおります。また、海外事業については、EC成長の実現に向けてデジタルを活用した顧客接点の拡大の取り組みに加えて、欧州における販売エリア・チャネルの拡大などを進めております。
以上の結果、当連結会計年度の連結売上収益は、1,872億8百万円(前期比0.7%減)となりました。国内・海外ともに主力製品であるインナーウェアの販売が低迷したものの、為替相場が円安に推移したことが海外収益を嵩上げし、前期から微減収に留まりました。事業利益は減収影響に加え、原価率の上昇や、前期のワコールのフレックス定年制度の一部改定による一時的な利益の裏返しもあり、35億10百万円(前期比14.4%減)となりました。
営業損益は、Intimates Online, Inc.(以下、IO 社)の事業撤退及び会社清算に伴うワコールインターナショナル(米国)に係る減損損失などの計上(77億95百万円)やワコールにおける構造改革費用の計上(55億22百万円)により、95億3百万円の営業損失(前期は34億90百万円の営業損失)となりました。税引前損益は82億90百万円の損失(前期は6億99百万円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期損益は86億32百万円の損失(前期は16億43百万円の当期損失)となりました。
なお、当該期間の為替換算レートは、1米ドル=144.62円(前期135.47円)、1英ポンド=181.76円(同163.15円)、1中国元=20.14円(同19.75円)です。
報告セグメントの経営成績を示すと次のとおりであります。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
① ワコール事業(国内)
当連結会計年度はブランドやチャネルごとに動向が異なり、強弱が入り交じる結果となりました。
ブランド別の動向としては、高価格帯ブランドの「Yue(ユエ)」、「Salute(サルート)」が堅調に推移したことに加え、メンズインナーウェアも「レースボクサー」を中心に消費者からの評価を受けて伸長しました。一方、主に中価格帯商品を展開する主力ブランド「Wacoal(ワコール)」、「Wing(ウイング)」については、物価上昇を背景とする消費者の選別消費の高まりもあり、低調に推移しました。
チャネル別の動向としては、自社ECが積極的な販促活動が奏功し増収となったほか、他社ECについてもECモール運営事業者との継続的な連携強化により伸長しました。直営店においては、若年層をターゲットとする「AMPHI(アンフィ)」は来店客数の伸び悩みに加え、セール売上が想定を下回ったことにより苦戦しましたが、「WACOAL The Store(ワコール・ザ・ストア)」や「Wacoal FACTORY STORE(ワコールファクトリーストア)」の堅調な販売が寄与し、前期並みの売上となりました。一方、百貨店、量販店は話題性のある商材の不足などの要因から当社店舗への来店客数が伸び悩んだことに加え、取引先の仕入抑制などの影響もあり、苦戦を強いられる結果となりました。特に量販店における販売不振を受け、返品高が増加したことも減収要因となりました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は941億98百万円(前期比2.6%減)となりました。営業損益は、前期のフレックス定年制度の特別運用を受けた人員の減少による人件費削減のほか、売上動向を踏まえて広告費の抑制に努めたものの、売上利益率の低下に加え、在庫圧縮や希望退職募集などワコールの収益改善を目的に実施する構造改革費用の計上(55億22百万円)、前期に計上した固定資産売却益(30億24百万円)の裏返しもあり、41億93百万円の営業損失(前期は28億62百万円の営業利益)となりました。
② ワコール事業(海外)
ワコールインターナショナル(米国)は、事業撤退が決定しているIO社の大幅な減収を主因に前期の売上を下回りました。「Wacoal」ブランドを展開する米国ワコールは、個人消費の底堅い成長を背景に実店舗チャネルが堅調に推移したほか、販促活動やデジタルマーケティングの強化により自社ECも好調に推移しました。一方、得意先の仕入抑制の継続もあり他社ECの売上が想定を下回ったことから、現地通貨ベースで減収となりました。IO社については、11月以降、割引プロモーションの実施により在庫の売り減らしに注力したものの、想定を下回りました。
ワコールヨーロッパの主要エリアである英国・欧州については、9月に発生したサイバーインシデントによる出荷停止や冷夏による水着の売上減少の影響があったものの、第4四半期連結会計期間において実店舗チャネルでの売上に改善が見られたことから、両エリアともに前期並みの売上水準となりました。一方、米国やその他エリアでの販売が低調に推移したことから、ワコールヨーロッパ全体の売上は現地通貨ベースで減収となりました。
中国ワコールは、ゼロコロナ政策解除後の経済活動の回復が期待されていたものの、長引く景気低迷の影響もあり実店舗への来店客数が想定を下回ったことに加え、ECでの競争激化や春節、婦人節の苦戦等により他社ECも苦戦し、現地通貨ベースで減収となりました。
これらの結果、主要子会社の売上は現地通貨ベースでは減収となったものの、主要通貨が円安に推移したことから、邦貨換算ベースでの当該セグメントの売上収益は677億57百万円(前期比1.5%増)となりました。営業損益は、IO社の事業撤退・清算に伴うワコールインターナショナル(米国)に係るのれんの減損損失などの計上(77億95百万円)が影響し、51億45百万円の営業損失(前期は73億97百万円の営業損失)となりました。
③ ピーチ・ジョン事業
当連結会計年度の国内事業においては、他社ECは新たなECモール事業者との取引開始が寄与し好調に推移したものの、新規顧客の獲得に向けた有名タレントを起用した広告活動やコラボレーション企画が振るわず、直営店・自社ECともに苦戦が続きました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は107億41百万円(前期比9.9%減)となりました。営業損益は、減収の影響やECシステムの更新に伴う経費増加に加えて、中国子会社の清算に伴う損失が影響し、2億39百万円の営業損失(前期は9億15百万円の営業利益)となりました。
④ その他
当連結会計年度については、Aiは、旅行関連需要の回復を受けて店舗、自社ECともに好調に推移したことから、前期を上回りました。七彩についても都市部の商業施設への来客数の増加を背景に、物販事業と内装工事事業が堅調に推移したことから増収となりました。一方、ルシアンは大手衣料品チェーン向けのプライベートブランド商品の販売が低調に推移した結果、減収となりました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は145億12百万円(前期比10.0%増)と増収したものの、七彩及びルシアンの収益性が悪化した結果、営業利益は74百万円(前期比43.1%減)に留まりました。
(参考)主要子会社の売上収益・営業利益(△損失)
(単位:百万円)
※外部売上収益のみを記載しております。
(単位:百万円)
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、現金及び現金同等物やその他の金融資産、退職給付に係る資産の増加などにより、前連結会計年度末に比して83億70百万円増加し、2,940億29百万円となりました。
負債は、借入金や未払法人所得税、繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末に比して67億10百万円増加し、788億87百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は、その他の資本の構成要素の増加などにより、前連結会計年度末に比して16億32百万円増加し、2,118億29百万円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度末における親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比して1.6ポイント減少し、72.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比して67億66百万円増加し、335億47百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、当期損失87億43百万円に減価償却費及び償却費や減損損失などによる調整を加えた金額に対して、資産及び負債の増減などによる調整を行った結果、112億91百万円の収入(前期に比し39億57百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、その他の金融資産の売却及び償還などにより、140億48百万円の収入(前期に比し101億46百万円の収入増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得やリース負債の返済、配当金の支払などにより、202億11百万円の支出(前期に比し23億30百万円の支出減)となりました。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、ピーチ・ジョン事業については、すべて販売会社のため該当事項はありません。また、その他のセグメントについては、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生産実績の金額は製造原価によっております。
②受注実績
その他のうち㈱七彩の店舗内装工事部門については受注生産形態をとっております。
当連結会計年度におけるその他の受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金の流動性は、主に営業活動による純現金収入によります。営業活動による純現金収入により、外部からの多額の借入や、その他の資金調達手段に頼らずに、大部分の運転資金の確保や設備投資、配当金の支払が可能となっております。ただし、金融機関に借入枠は設けており、2024年3月31日現在の借入枠の合計は504億33百万円、借入枠を設けている借入金の残高は88億55百万円となっており、主な残高の内訳としては当社が50億円、WACOAL INTERNATIONAL CORP.が31億80百万円、㈱トリーカが2億80百万円となっております。
これらの借入枠の期限は、ほとんどが自動的に更新されるものであり、現状更新を妨げるような事象は発生していないと考えております。仮にいずれかの子会社において借入が不可能になったとしても、グループの各社から資金を供給することが可能であると考えております。また、資金需要について大きな季節変動はありません。
また、子会社からの親会社への配当に係る規制は特に無いと考えております。
なお、感染症による影響の度合い、期間が不透明であったため、当社は2020年4月以降に金融機関に追加の借入枠を設け、手元流動資金を確保するため最大400億円の借入を行いましたが、2023年3月期までに350億円を返済しております。今後も目的や収益性を厳格に見積もることで、資金の流動性を確保していきます。
①設備投資
「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フロー
「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。
なお、重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
(単位:百万円)
| 2023年3月期 実績 | 2024年3月期 実績 | 前期比 | |||
| 増減額 | 増減率 | ||||
| 売上収益 | 188,592 | 187,208 | △1,384 | △0.7% | |
| 売上原価 | 82,189 | 83,123 | +934 | +1.1% | |
| 売上総利益 | 106,403 | 104,085 | △2,318 | △2.2% | |
| 販売費及び一般管理費 | 102,301 | 100,575 | △1,726 | △1.7% | |
| 事業利益 | 4,102 | 3,510 | △592 | △14.4% | |
| その他の収益 | 5,254 | 1,990 | △3,264 | △62.1% | |
| その他の費用 | 12,846 | 15,003 | +2,157 | +16.8% | |
| 営業損失(△) | △3,490 | △9,503 | △6,013 | - | |
| 金融収益 | 1,517 | 2,529 | +1,012 | +66.7% | |
| 金融費用 | 795 | 328 | △467 | △58.7% | |
| 持分法による投資損益 | 2,069 | △988 | △3,057 | - | |
| 税引前損失(△) | △699 | △8,290 | △7,591 | - | |
| 親会社の所有者に帰属する当期損失(△) | △1,643 | △8,632 | △6,989 | - | |
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における当社グループの経営環境は、主要国において主力商品であるインナーウェアの販売が低迷したことから厳しい結果となりました。国内は、高価格帯のブランドは堅調に推移しましたが、円安、エネルギー価格や原材料価格の高騰等を背景とした物価上昇の長期化と、それに伴う選別消費の高まりもあり、中価格帯商品の販売が苦戦しました。物価上昇が収束基調にある米国については、個人消費は安定的な成長がみられたものの、一部の取引先における仕入抑制が継続したことから低調な推移となりました。また継続的な物価上昇に伴い個人消費が減速傾向にある英国・欧州についても販売に力強さを欠く展開となりました。中国は、ゼロコロナ政策解除後の経済活動の回復が期待されていたものの、雇用危機等による景況感の悪化を受けた個人消費の伸び悩みの影響により、売上の回復は想定を下回りました。
このような環境の下、当社グループでは、2023年11月に改訂した3カ年の中期経営計画に沿って、「キャッシュを着実に創出できる体質への転換」をテーマに「収益力の改善に向けたビジネスモデル改革」、「“VISION2030”達成に向けた成長戦略」、「ROICマネジメントの導入」、「アセットライト化の推進」の取り組みを進めております。
国内事業においては、ビジネスモデル改革の一環としてコスト構造改革を進めるほか、顧客ニーズや市場環境の変化への迅速な対応に向けてサプライチェーンマネジメント改革に着手し、店頭商品構成の見直しや需要連動型の生産方式へのシフトによる在庫水準の抑制と最適化、企画開発のリードタイム短縮に取り組んでおります。また、海外事業については、EC成長の実現に向けてデジタルを活用した顧客接点の拡大の取り組みに加えて、欧州における販売エリア・チャネルの拡大などを進めております。
以上の結果、当連結会計年度の連結売上収益は、1,872億8百万円(前期比0.7%減)となりました。国内・海外ともに主力製品であるインナーウェアの販売が低迷したものの、為替相場が円安に推移したことが海外収益を嵩上げし、前期から微減収に留まりました。事業利益は減収影響に加え、原価率の上昇や、前期のワコールのフレックス定年制度の一部改定による一時的な利益の裏返しもあり、35億10百万円(前期比14.4%減)となりました。
営業損益は、Intimates Online, Inc.(以下、IO 社)の事業撤退及び会社清算に伴うワコールインターナショナル(米国)に係る減損損失などの計上(77億95百万円)やワコールにおける構造改革費用の計上(55億22百万円)により、95億3百万円の営業損失(前期は34億90百万円の営業損失)となりました。税引前損益は82億90百万円の損失(前期は6億99百万円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期損益は86億32百万円の損失(前期は16億43百万円の当期損失)となりました。
なお、当該期間の為替換算レートは、1米ドル=144.62円(前期135.47円)、1英ポンド=181.76円(同163.15円)、1中国元=20.14円(同19.75円)です。
報告セグメントの経営成績を示すと次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 前期比 | |||||
| 実績 | 構成比 | 実績 | 構成比 | 増減額 | 増減率 | ||
| 売上収益合計 | 188,592 | 100.0% | 187,208 | 100.0% | △1,384 | △0.7% | |
| ワコール事業(国内) | 96,746 | 51.3% | 94,198 | 50.3% | △2,548 | △2.6% | |
| ワコール事業(海外) | 66,732 | 35.4% | 67,757 | 36.2% | +1,025 | +1.5% | |
| ピーチ・ジョン事業 | 11,918 | 6.3% | 10,741 | 5.7% | △1,177 | △9.9% | |
| その他 | 13,196 | 7.0% | 14,512 | 7.8% | +1,316 | +10.0% | |
(単位:百万円)
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 前期比 | |||||
| 実績 | 売上比 | 実績 | 売上比 | 増減額 | 増減率 | ||
| 営業利益(△損失) | △3,490 | - | △9,503 | - | △6,013 | - | |
| ワコール事業(国内) | 2,862 | 3.0% | △4,193 | - | △7,055 | - | |
| ワコール事業(海外) | △7,397 | - | △5,145 | - | +2,252 | - | |
| ピーチ・ジョン事業 | 915 | 7.7% | △239 | - | △1,154 | - | |
| その他 | 130 | 1.0% | 74 | 0.5% | △56 | △43.1% | |
① ワコール事業(国内)
当連結会計年度はブランドやチャネルごとに動向が異なり、強弱が入り交じる結果となりました。
ブランド別の動向としては、高価格帯ブランドの「Yue(ユエ)」、「Salute(サルート)」が堅調に推移したことに加え、メンズインナーウェアも「レースボクサー」を中心に消費者からの評価を受けて伸長しました。一方、主に中価格帯商品を展開する主力ブランド「Wacoal(ワコール)」、「Wing(ウイング)」については、物価上昇を背景とする消費者の選別消費の高まりもあり、低調に推移しました。
チャネル別の動向としては、自社ECが積極的な販促活動が奏功し増収となったほか、他社ECについてもECモール運営事業者との継続的な連携強化により伸長しました。直営店においては、若年層をターゲットとする「AMPHI(アンフィ)」は来店客数の伸び悩みに加え、セール売上が想定を下回ったことにより苦戦しましたが、「WACOAL The Store(ワコール・ザ・ストア)」や「Wacoal FACTORY STORE(ワコールファクトリーストア)」の堅調な販売が寄与し、前期並みの売上となりました。一方、百貨店、量販店は話題性のある商材の不足などの要因から当社店舗への来店客数が伸び悩んだことに加え、取引先の仕入抑制などの影響もあり、苦戦を強いられる結果となりました。特に量販店における販売不振を受け、返品高が増加したことも減収要因となりました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は941億98百万円(前期比2.6%減)となりました。営業損益は、前期のフレックス定年制度の特別運用を受けた人員の減少による人件費削減のほか、売上動向を踏まえて広告費の抑制に努めたものの、売上利益率の低下に加え、在庫圧縮や希望退職募集などワコールの収益改善を目的に実施する構造改革費用の計上(55億22百万円)、前期に計上した固定資産売却益(30億24百万円)の裏返しもあり、41億93百万円の営業損失(前期は28億62百万円の営業利益)となりました。
② ワコール事業(海外)
ワコールインターナショナル(米国)は、事業撤退が決定しているIO社の大幅な減収を主因に前期の売上を下回りました。「Wacoal」ブランドを展開する米国ワコールは、個人消費の底堅い成長を背景に実店舗チャネルが堅調に推移したほか、販促活動やデジタルマーケティングの強化により自社ECも好調に推移しました。一方、得意先の仕入抑制の継続もあり他社ECの売上が想定を下回ったことから、現地通貨ベースで減収となりました。IO社については、11月以降、割引プロモーションの実施により在庫の売り減らしに注力したものの、想定を下回りました。
ワコールヨーロッパの主要エリアである英国・欧州については、9月に発生したサイバーインシデントによる出荷停止や冷夏による水着の売上減少の影響があったものの、第4四半期連結会計期間において実店舗チャネルでの売上に改善が見られたことから、両エリアともに前期並みの売上水準となりました。一方、米国やその他エリアでの販売が低調に推移したことから、ワコールヨーロッパ全体の売上は現地通貨ベースで減収となりました。
中国ワコールは、ゼロコロナ政策解除後の経済活動の回復が期待されていたものの、長引く景気低迷の影響もあり実店舗への来店客数が想定を下回ったことに加え、ECでの競争激化や春節、婦人節の苦戦等により他社ECも苦戦し、現地通貨ベースで減収となりました。
これらの結果、主要子会社の売上は現地通貨ベースでは減収となったものの、主要通貨が円安に推移したことから、邦貨換算ベースでの当該セグメントの売上収益は677億57百万円(前期比1.5%増)となりました。営業損益は、IO社の事業撤退・清算に伴うワコールインターナショナル(米国)に係るのれんの減損損失などの計上(77億95百万円)が影響し、51億45百万円の営業損失(前期は73億97百万円の営業損失)となりました。
③ ピーチ・ジョン事業
当連結会計年度の国内事業においては、他社ECは新たなECモール事業者との取引開始が寄与し好調に推移したものの、新規顧客の獲得に向けた有名タレントを起用した広告活動やコラボレーション企画が振るわず、直営店・自社ECともに苦戦が続きました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は107億41百万円(前期比9.9%減)となりました。営業損益は、減収の影響やECシステムの更新に伴う経費増加に加えて、中国子会社の清算に伴う損失が影響し、2億39百万円の営業損失(前期は9億15百万円の営業利益)となりました。
④ その他
当連結会計年度については、Aiは、旅行関連需要の回復を受けて店舗、自社ECともに好調に推移したことから、前期を上回りました。七彩についても都市部の商業施設への来客数の増加を背景に、物販事業と内装工事事業が堅調に推移したことから増収となりました。一方、ルシアンは大手衣料品チェーン向けのプライベートブランド商品の販売が低調に推移した結果、減収となりました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は145億12百万円(前期比10.0%増)と増収したものの、七彩及びルシアンの収益性が悪化した結果、営業利益は74百万円(前期比43.1%減)に留まりました。
(参考)主要子会社の売上収益・営業利益(△損失)
(単位:百万円)
| 売上収益 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 前期比 | ||||
| 実績 | 構成比 | 実績 | 構成比 | 増減額 | 増減率 | ||
| ワコール | 90,948 | 48.2% | 88,701 | 47.4% | △2,247 | △2.5% | |
| ワコールインターナショナル(米国) | 28,014 | 14.9% | 28,038 | 15.0% | +24 | +0.1% | |
| ワコールヨーロッパ | 19,184 | 10.2% | 20,353 | 10.9% | +1,169 | +6.1% | |
| 中国ワコール | 10,365 | 5.5% | 10,396 | 5.6% | +31 | +0.3% | |
| ピーチ・ジョン | 11,918 | 6.3% | 10,741 | 5.7% | △1,177 | △9.9% | |
| ルシアン | 3,189 | 1.7% | 2,583 | 1.4% | △606 | △19.0% | |
| 七彩 | 6,196 | 3.3% | 7,723 | 4.1% | +1,527 | +24.6% | |
※外部売上収益のみを記載しております。
(単位:百万円)
| 営業利益(△損失) | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 前期比 | ||||
| 実績 | 売上比 | 実績 | 売上比 | 増減額 | 増減率 | ||
| ワコール | 2,753 | 3.0% | △3,061 | - | △5,814 | - | |
| ワコールインターナショナル(米国) | △9,448 | - | △6,884 | - | +2,564 | - | |
| ワコールヨーロッパ | 1,680 | 8.8% | 1,816 | 8.9% | +136 | 8.1% | |
| 中国ワコール | △698 | - | △998 | - | △300 | - | |
| ピーチ・ジョン | 915 | 7.7% | △239 | - | △1,154 | - | |
| ルシアン | 111 | 3.5% | △167 | - | △278 | - | |
| 七彩 | 9 | 0.1% | 94 | 1.2% | +85 | +944.4% | |
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、現金及び現金同等物やその他の金融資産、退職給付に係る資産の増加などにより、前連結会計年度末に比して83億70百万円増加し、2,940億29百万円となりました。
負債は、借入金や未払法人所得税、繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末に比して67億10百万円増加し、788億87百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は、その他の資本の構成要素の増加などにより、前連結会計年度末に比して16億32百万円増加し、2,118億29百万円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度末における親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比して1.6ポイント減少し、72.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比して67億66百万円増加し、335億47百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、当期損失87億43百万円に減価償却費及び償却費や減損損失などによる調整を加えた金額に対して、資産及び負債の増減などによる調整を行った結果、112億91百万円の収入(前期に比し39億57百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、その他の金融資産の売却及び償還などにより、140億48百万円の収入(前期に比し101億46百万円の収入増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得やリース負債の返済、配当金の支払などにより、202億11百万円の支出(前期に比し23億30百万円の支出減)となりました。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、ピーチ・ジョン事業については、すべて販売会社のため該当事項はありません。また、その他のセグメントについては、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
| 報告セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ワコール事業(国内) | 36,771 | 91.3 |
| ワコール事業(海外) | 20,645 | 117.9 |
| 合計 | 57,416 | 99.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生産実績の金額は製造原価によっております。
②受注実績
その他のうち㈱七彩の店舗内装工事部門については受注生産形態をとっております。
当連結会計年度におけるその他の受注実績を示すと、次のとおりであります。
| 報告セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| その他 | 4,627 | 111.9 | 74 | 39.4 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 報告セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ワコール事業(国内) | 94,198 | 97.4 |
| ワコール事業(海外) | 67,757 | 101.5 |
| ピーチ・ジョン事業 | 10,741 | 90.1 |
| その他 | 14,512 | 110.0 |
| 合計 | 187,208 | 99.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金の流動性は、主に営業活動による純現金収入によります。営業活動による純現金収入により、外部からの多額の借入や、その他の資金調達手段に頼らずに、大部分の運転資金の確保や設備投資、配当金の支払が可能となっております。ただし、金融機関に借入枠は設けており、2024年3月31日現在の借入枠の合計は504億33百万円、借入枠を設けている借入金の残高は88億55百万円となっており、主な残高の内訳としては当社が50億円、WACOAL INTERNATIONAL CORP.が31億80百万円、㈱トリーカが2億80百万円となっております。
これらの借入枠の期限は、ほとんどが自動的に更新されるものであり、現状更新を妨げるような事象は発生していないと考えております。仮にいずれかの子会社において借入が不可能になったとしても、グループの各社から資金を供給することが可能であると考えております。また、資金需要について大きな季節変動はありません。
また、子会社からの親会社への配当に係る規制は特に無いと考えております。
なお、感染症による影響の度合い、期間が不透明であったため、当社は2020年4月以降に金融機関に追加の借入枠を設け、手元流動資金を確保するため最大400億円の借入を行いましたが、2023年3月期までに350億円を返済しております。今後も目的や収益性を厳格に見積もることで、資金の流動性を確保していきます。
①設備投資
「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フロー
「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。
なお、重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。