有価証券報告書-第75期(2022/04/01-2023/03/31)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
また、当社グループは当連結会計年度から従来の米国会計基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
(単位:百万円)
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における当社グループの経営環境は、主要国において主力商品であるインナーウェアの販売が苦戦したことから、厳しい結果となりました。国内は、経済活動に対する制限の緩和が進み、個人消費の回復の兆しが見られたものの、当社店舗への来店客数が伸び悩んだことに加え、物価上昇を受けた買い控えの影響もあり、当初の想定を下回る水準で推移しました。米国は、個人消費の減速や取引先の仕入抑制を受けて低調に推移したほか、中国も新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)に対する厳格な行動制限が長期化したことから苦戦しました。一方、欧州は主力ブランドが好調に推移したことにより成長基調を維持したほか、アジア各国についても行動制限の緩和を受けて回復しました。
このような状況のもと、当社グループは、2022年6月に中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」、及び当連結会計年度を初年度とする3か年の中期経営計画を公表し、持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでおります。国内事業においては、引き続き、「顧客データの活用」、「オンラインとオフラインの融合」等による顧客体験価値の向上に向けた独自のCX戦略を推進するとともに、収益力の向上に向けた取り組みを強化し、「レジリエントな企業体質への転換」を進めました。海外事業においては、既存進出エリアでの堅実な売上拡大に加え、EC事業の拡大など、さらなる成長に向けた取り組みを進めました。また、財務戦略については、収益力の向上と資本効率の改善に向けた諸施策を進め、ROEの向上に取り組みました。
これらの結果、当連結会計年度の連結売上収益は1,885億92百万円(前期比9.6%増)となりました。営業損益は、旧大阪事業所の固定資産売却益(30億24百万円)などがあった一方で、ワコールインターナショナル(米国)に係るのれんや無形資産などの減損損失(100億33百万円)やワコールでのフレックス定年制度の特別運用の実施に伴う費用計上(7億45百万円)などにより、34億90百万円の営業損失(前期は32億91百万円の営業利益)となりました。税引前損益は、持分法による投資利益の計上がありましたが営業損失が響き、6億99百万円の損失(前期は40億83百万円の税引前利益)、親会社の所有者に帰属する当期損益は17億76百万円の損失(前期は17億32百万円の当期利益)となりました。
なお、当該期間の為替換算レートは、1米ドル=135.47円(前期112.38円)、1英ポンド=163.15円(同153.56円)、1中国元=19.75円(同17.51円)であります。
報告セグメントの経営成績を示すと次のとおりであります。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
① ワコール事業(国内)
ワコール事業(国内)については、中期経営計画のコア戦略で掲げる「レジリエントな企業体質への転換」の実現に向けて、顧客体験価値の向上に向けた独自の戦略を推進するとともに、収益力の改善に向けて事業構造改革の取り組みを進めました。
当期については経済活動に対する制限の緩和が進んだものの、話題性のある商材の不足などを背景に当社店舗への来店客数が伸び悩んだことに加え、物価上昇を受けた買い控えや、取引先の仕入抑制などの影響もあり、当初の想定を大幅に下回る結果となりました。再成長に向けて注力するCX戦略については、顧客データの統合を通じたリテンションマーケティングの強化などが奏功し、会員顧客による購買は計画通りに推移しましたが、新規を含む非会員顧客による購買については、来店や顧客獲得に繋がる効果的なプロモーション施策を打ち出せなかったことから低調な推移となりました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は967億46百万円(前期比9.8%増)となりました。営業利益は、急激な円安に伴う原価の高騰や店頭売上の苦戦に伴う返品の増加などの影響を受けたものの、増収効果に加え、コストコントロールの徹底や固定資産(旧大阪事業所など)の売却益の寄与などもあり、28億62百万円(前期比373.8%増)となりました。
なお、当期から、ワコールにおける百貨店等との消化取引については、売上を店頭価格ベースに変更しておりますが、遡及修正はしておりません。当該変更により、売上収益と販売費及び一般管理費がそれぞれ同額(54億15百万円)増加しているため、営業利益に影響はありません。
② ワコール事業(海外)
ワコール事業(海外)については、中期経営計画のコア戦略で掲げる「グローバル成長の加速」の実現に向けて、デジタルマーケティングの強化による新規顧客の獲得と、データ活用やCRMの強化による既存顧客のロイヤルカスタマー化に取り組みました。
ワコールヨーロッパは、ボディポジティブのトレンドの高まりを背景に「Elomi」ブランドが伸長したことに加え、スイムウェアも好調な推移となりました。これを受けて百貨店や専門店、ECの売上が堅調に推移した結果、成長トレンドを維持しました。ワコールインターナショナル(米国)は、急激な物価上昇などに伴う個人消費の減速の影響を受け、低調に推移しました。米国ワコールは、店頭売上の低迷や取引先の仕入抑制、主力商品の生産遅延などの影響による実店舗チャネルの苦戦が響き、現地通貨ベースで減収となりました。「LIVELY」ブランドを展開するIntimates Online, Inc.は、足元のマーケティング環境の悪化を受け、2022年8月に経営体制を刷新して収益性の改善に取り組みましたが、広告宣伝費を大幅に抑制したことで訪問客数が落ち込み、大幅な減収となりました。中国ワコールは、ゼロコロナ政策下での厳格な行動制限による商業施設の休業や来店客数の減少に加え、ECの苦戦が響き、大幅な減収となりました。
これらの結果に加えて、主要通貨が円安に推移したことから、邦貨換算後の当該セグメントの売上収益は667億32百万円(前期比12.7%増)となりました。営業損益は、売上低迷による中国ワコールの営業損失やワコールインターナショナル(米国)における減損損失の計上が響き、73億97百万円の営業損失(前期は20億55百万円の営業利益)となりました。
③ ピーチ・ジョン事業
ピーチ・ジョン事業については、消費者のニーズを捉える商品開発を進めるとともに、効果的なマーケティング戦略の展開によって高い利益水準の獲得を目指し取り組みました。
当期においては、前期の感染症影響の裏返しに加え、主力の「ナイスバディシリーズ」の店頭売上が好調に推移したことなどから直営店の売上は前期を上回りました。一方、自社ECの売上は、新たなミューズや新商品を活用したコンテンツマーケティング施策を実施して訪問者の増加を図りましたが、効果を得ることができず、前期の水準を下回りました。また、2022年12月をもって中国子会社の事業活動を終了しております。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は119億18百万円(前期比2.3%減)となりました。営業利益は、広告宣伝費の抑制に努めたものの、減収影響に加え、円安に伴う原価上昇、中国子会社の事業活動の終了に伴う損失などが響き、9億15百万円(前期比44.5%減)となりました。
④ その他
その他については、中期経営計画のコア戦略で掲げる「レジリエントな企業体質への転換」に向けて、不採算事業の対処や固定費の見直し等、確実に利益を出し続けることができる体制の構築を進めました。
当期については、ルシアンは自社ブランドの売上が回復したものの、大手衣料品チェーン向けのプライベートブランド商品の販売が不調に終わった結果、減収となりました。七彩及びAiにつきましては、行動制限の緩和に伴う需要の回復から増収となりました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は131億96百万円(前期比5.3%増)、営業利益は1億30百万円(前期は10億18百万円の営業損失)となりました。各社の売上水準は感染症拡大前を下回る水準に留まっておりますが、オペレーション見直しの進展による収益構造の改善に加え、ルシアン子会社の工場用地の退去に伴う補償金の計上などから、黒字を確保しました。
(参考)主要子会社の売上収益・営業利益(△損失)
(単位:百万円)
※外部売上収益のみを記載しております。
(単位:百万円)
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、自己株式の取得や借入金の返済による現金及び現金同等物の減少に加え、のれんや無形資産の減損などにより、前連結会計年度末に比して138億81百万円減少し、2,852億96百万円となりました。
負債は、借入金やリース負債が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比して61億32百万円減少し、721億77百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は、利益剰余金の減少や自己株式の増加などにより、前連結会計年度末に比して81億56百万円減少し、2,098億34百万円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度末における親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比して0.6ポイント増加し、73.5%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比し107億4百万円減少し、267億81百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、当期損失17億34百万円に減損損失などによる調整を加えた金額に対して、資産及び負債の増減などによる調整を行った結果、73億34百万円の収入(前期に比し92億88百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券及び有形固定資産の売却などにより、39億2百万円の収入(前期は30億42百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や借入金の返済、配当金の支払などにより、225億41百万円の支出(前期に比して184億66百万円の支出減)となりました。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、ピーチ・ジョン事業については、すべて販売会社のため該当事項はありません。また、その他のセグメントについては、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生産実績の金額は製造原価によっております。
②受注実績
その他のうち㈱七彩の店舗内装工事部門については受注生産形態をとっております。
当連結会計年度におけるその他の受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金の流動性は、主に営業活動による純現金収入によります。営業活動による純現金収入により、外部からの多額の借入や、その他の資金調達手段に頼らずに、大部分の運転資金の確保や設備投資、配当金の支払が可能となっております。ただし、金融機関に借入枠は設けており、2023年3月31日現在の借入枠の合計は551億22百万円、借入枠を設けている借入金の残高は80億84百万円となっており、主な残高の内訳としては当社が50億円、WACOAL INTERNATIONAL CORP.が28億4百万円、㈱トリーカが2億80百万円となっております。
これらの借入枠の期限は、ほとんどが自動的に更新されるものであり、現状更新を妨げるような事象は発生していないと考えております。仮にいずれかの子会社において借入が不可能になったとしても、グループの各社から資金を供給することが可能であると考えております。また、資金需要について大きな季節変動はありません。
また、子会社からの親会社への配当に係る規制は特に無いと考えております。
なお、感染症による影響の度合い、期間が不透明であったため、当社は2020年4月以降に金融機関に追加の借入枠を設け、手元流動資金を確保するため最大400億円の借入を行いましたが、当期までに350億円を返済しております。今後も目的や収益性を厳格に見積もることで、資金の流動性を確保していきます。
①設備投資
「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フロー
「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。
なお、重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
また、当社グループは当連結会計年度から従来の米国会計基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
(単位:百万円)
| 2022年3月期 実績 | 2023年3月期 実績 | 前期比 | |||
| 増減額 | 増減率 | ||||
| 売上収益 | 172,072 | 188,592 | +16,520 | +9.6% | |
| 売上原価 | 76,248 | 82,189 | +5,941 | +7.8% | |
| 売上総利益 | 95,824 | 106,403 | +10,579 | +11.0% | |
| 販売費及び一般管理費 | 95,330 | 102,301 | +6,971 | +7.3% | |
| その他の収益 | 3,749 | 5,254 | +1,505 | +40.1% | |
| その他の費用 | 952 | 12,846 | +11,894 | - | |
| 営業利益(△損失) | 3,291 | △3,490 | △6,781 | - | |
| 金融収益 | 1,930 | 1,517 | △413 | △21.4% | |
| 金融費用 | 232 | 795 | +563 | +242.7% | |
| 持分法による投資損益 | △906 | 2,069 | +2,975 | - | |
| 税引前利益(△損失) | 4,083 | △699 | △4,782 | - | |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失) | 1,732 | △1,776 | △3,508 | - | |
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における当社グループの経営環境は、主要国において主力商品であるインナーウェアの販売が苦戦したことから、厳しい結果となりました。国内は、経済活動に対する制限の緩和が進み、個人消費の回復の兆しが見られたものの、当社店舗への来店客数が伸び悩んだことに加え、物価上昇を受けた買い控えの影響もあり、当初の想定を下回る水準で推移しました。米国は、個人消費の減速や取引先の仕入抑制を受けて低調に推移したほか、中国も新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)に対する厳格な行動制限が長期化したことから苦戦しました。一方、欧州は主力ブランドが好調に推移したことにより成長基調を維持したほか、アジア各国についても行動制限の緩和を受けて回復しました。
このような状況のもと、当社グループは、2022年6月に中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」、及び当連結会計年度を初年度とする3か年の中期経営計画を公表し、持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでおります。国内事業においては、引き続き、「顧客データの活用」、「オンラインとオフラインの融合」等による顧客体験価値の向上に向けた独自のCX戦略を推進するとともに、収益力の向上に向けた取り組みを強化し、「レジリエントな企業体質への転換」を進めました。海外事業においては、既存進出エリアでの堅実な売上拡大に加え、EC事業の拡大など、さらなる成長に向けた取り組みを進めました。また、財務戦略については、収益力の向上と資本効率の改善に向けた諸施策を進め、ROEの向上に取り組みました。
これらの結果、当連結会計年度の連結売上収益は1,885億92百万円(前期比9.6%増)となりました。営業損益は、旧大阪事業所の固定資産売却益(30億24百万円)などがあった一方で、ワコールインターナショナル(米国)に係るのれんや無形資産などの減損損失(100億33百万円)やワコールでのフレックス定年制度の特別運用の実施に伴う費用計上(7億45百万円)などにより、34億90百万円の営業損失(前期は32億91百万円の営業利益)となりました。税引前損益は、持分法による投資利益の計上がありましたが営業損失が響き、6億99百万円の損失(前期は40億83百万円の税引前利益)、親会社の所有者に帰属する当期損益は17億76百万円の損失(前期は17億32百万円の当期利益)となりました。
なお、当該期間の為替換算レートは、1米ドル=135.47円(前期112.38円)、1英ポンド=163.15円(同153.56円)、1中国元=19.75円(同17.51円)であります。
報告セグメントの経営成績を示すと次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 前期比 | |||||
| 実績 | 構成比 | 実績 | 構成比 | 増減額 | 増減率 | ||
| 売上収益合計 | 172,072 | 100.0% | 188,592 | 100.0% | +16,520 | +9.6% | |
| ワコール事業(国内) | 88,128 | 51.2% | 96,746 | 51.3% | +8,618 | +9.8% | |
| ワコール事業(海外) | 59,214 | 34.4% | 66,732 | 35.4% | +7,518 | +12.7% | |
| ピーチ・ジョン事業 | 12,200 | 7.1% | 11,918 | 6.3% | △282 | △2.3% | |
| その他 | 12,530 | 7.3% | 13,196 | 7.0% | +666 | +5.3% | |
(単位:百万円)
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 前期比 | |||||
| 実績 | 売上比 | 実績 | 売上比 | 増減額 | 増減率 | ||
| 営業利益(△損失) | 3,291 | 1.9% | △3,490 | - | △6,781 | - | |
| ワコール事業(国内) | 604 | 0.7% | 2,862 | 3.0% | +2,258 | +373.8% | |
| ワコール事業(海外) | 2,055 | 3.5% | △7,397 | - | △9,452 | - | |
| ピーチ・ジョン事業 | 1,650 | 13.5% | 915 | 7.7% | △735 | △44.5% | |
| その他 | △1,018 | - | 130 | 1.0% | +1,148 | - | |
① ワコール事業(国内)
ワコール事業(国内)については、中期経営計画のコア戦略で掲げる「レジリエントな企業体質への転換」の実現に向けて、顧客体験価値の向上に向けた独自の戦略を推進するとともに、収益力の改善に向けて事業構造改革の取り組みを進めました。
当期については経済活動に対する制限の緩和が進んだものの、話題性のある商材の不足などを背景に当社店舗への来店客数が伸び悩んだことに加え、物価上昇を受けた買い控えや、取引先の仕入抑制などの影響もあり、当初の想定を大幅に下回る結果となりました。再成長に向けて注力するCX戦略については、顧客データの統合を通じたリテンションマーケティングの強化などが奏功し、会員顧客による購買は計画通りに推移しましたが、新規を含む非会員顧客による購買については、来店や顧客獲得に繋がる効果的なプロモーション施策を打ち出せなかったことから低調な推移となりました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は967億46百万円(前期比9.8%増)となりました。営業利益は、急激な円安に伴う原価の高騰や店頭売上の苦戦に伴う返品の増加などの影響を受けたものの、増収効果に加え、コストコントロールの徹底や固定資産(旧大阪事業所など)の売却益の寄与などもあり、28億62百万円(前期比373.8%増)となりました。
なお、当期から、ワコールにおける百貨店等との消化取引については、売上を店頭価格ベースに変更しておりますが、遡及修正はしておりません。当該変更により、売上収益と販売費及び一般管理費がそれぞれ同額(54億15百万円)増加しているため、営業利益に影響はありません。
② ワコール事業(海外)
ワコール事業(海外)については、中期経営計画のコア戦略で掲げる「グローバル成長の加速」の実現に向けて、デジタルマーケティングの強化による新規顧客の獲得と、データ活用やCRMの強化による既存顧客のロイヤルカスタマー化に取り組みました。
ワコールヨーロッパは、ボディポジティブのトレンドの高まりを背景に「Elomi」ブランドが伸長したことに加え、スイムウェアも好調な推移となりました。これを受けて百貨店や専門店、ECの売上が堅調に推移した結果、成長トレンドを維持しました。ワコールインターナショナル(米国)は、急激な物価上昇などに伴う個人消費の減速の影響を受け、低調に推移しました。米国ワコールは、店頭売上の低迷や取引先の仕入抑制、主力商品の生産遅延などの影響による実店舗チャネルの苦戦が響き、現地通貨ベースで減収となりました。「LIVELY」ブランドを展開するIntimates Online, Inc.は、足元のマーケティング環境の悪化を受け、2022年8月に経営体制を刷新して収益性の改善に取り組みましたが、広告宣伝費を大幅に抑制したことで訪問客数が落ち込み、大幅な減収となりました。中国ワコールは、ゼロコロナ政策下での厳格な行動制限による商業施設の休業や来店客数の減少に加え、ECの苦戦が響き、大幅な減収となりました。
これらの結果に加えて、主要通貨が円安に推移したことから、邦貨換算後の当該セグメントの売上収益は667億32百万円(前期比12.7%増)となりました。営業損益は、売上低迷による中国ワコールの営業損失やワコールインターナショナル(米国)における減損損失の計上が響き、73億97百万円の営業損失(前期は20億55百万円の営業利益)となりました。
③ ピーチ・ジョン事業
ピーチ・ジョン事業については、消費者のニーズを捉える商品開発を進めるとともに、効果的なマーケティング戦略の展開によって高い利益水準の獲得を目指し取り組みました。
当期においては、前期の感染症影響の裏返しに加え、主力の「ナイスバディシリーズ」の店頭売上が好調に推移したことなどから直営店の売上は前期を上回りました。一方、自社ECの売上は、新たなミューズや新商品を活用したコンテンツマーケティング施策を実施して訪問者の増加を図りましたが、効果を得ることができず、前期の水準を下回りました。また、2022年12月をもって中国子会社の事業活動を終了しております。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は119億18百万円(前期比2.3%減)となりました。営業利益は、広告宣伝費の抑制に努めたものの、減収影響に加え、円安に伴う原価上昇、中国子会社の事業活動の終了に伴う損失などが響き、9億15百万円(前期比44.5%減)となりました。
④ その他
その他については、中期経営計画のコア戦略で掲げる「レジリエントな企業体質への転換」に向けて、不採算事業の対処や固定費の見直し等、確実に利益を出し続けることができる体制の構築を進めました。
当期については、ルシアンは自社ブランドの売上が回復したものの、大手衣料品チェーン向けのプライベートブランド商品の販売が不調に終わった結果、減収となりました。七彩及びAiにつきましては、行動制限の緩和に伴う需要の回復から増収となりました。
これらの結果、当該セグメントの売上収益は131億96百万円(前期比5.3%増)、営業利益は1億30百万円(前期は10億18百万円の営業損失)となりました。各社の売上水準は感染症拡大前を下回る水準に留まっておりますが、オペレーション見直しの進展による収益構造の改善に加え、ルシアン子会社の工場用地の退去に伴う補償金の計上などから、黒字を確保しました。
(参考)主要子会社の売上収益・営業利益(△損失)
(単位:百万円)
| 売上収益 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 前期比 | ||||
| 実績 | 構成比 | 実績 | 構成比 | 増減額 | 増減率 | ||
| ワコール | 81,184 | 47.2% | 90,948 | 48.2% | +9,764 | +12.0% | |
| ワコールインターナショナル(米国) | 25,282 | 14.7% | 28,014 | 14.9% | +2,732 | +10.8% | |
| ワコールヨーロッパ | 16,305 | 9.5% | 19,184 | 10.2% | +2,879 | +17.7% | |
| 中国ワコール | 11,734 | 6.8% | 10,365 | 5.5% | △1,369 | △11.7% | |
| ピーチ・ジョン | 12,200 | 7.1% | 11,918 | 6.3% | △282 | △2.3% | |
| ルシアン | 3,475 | 2.0% | 3,189 | 1.7% | △286 | △8.2% | |
| 七彩 | 6,042 | 3.5% | 6,196 | 3.3% | +154 | +2.5% | |
※外部売上収益のみを記載しております。
(単位:百万円)
| 営業利益(△損失) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 前期比 | ||||
| 実績 | 売上比 | 実績 | 売上比 | 増減額 | 増減率 | ||
| ワコール | 1,733 | 2.1% | 2,753 | 3.0% | +1,020 | +58.9% | |
| ワコールインターナショナル(米国) | 490 | 1.9% | △9,448 | - | △9,938 | - | |
| ワコールヨーロッパ | 1,945 | 11.9% | 1,680 | 8.8% | △265 | △13.6% | |
| 中国ワコール | △166 | - | △698 | - | △532 | - | |
| ピーチ・ジョン | 1,650 | 13.5% | 915 | 7.7% | △735 | △44.5% | |
| ルシアン | △593 | - | 111 | 3.5% | +704 | - | |
| 七彩 | △145 | - | 9 | 0.1% | +154 | - | |
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、自己株式の取得や借入金の返済による現金及び現金同等物の減少に加え、のれんや無形資産の減損などにより、前連結会計年度末に比して138億81百万円減少し、2,852億96百万円となりました。
負債は、借入金やリース負債が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比して61億32百万円減少し、721億77百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は、利益剰余金の減少や自己株式の増加などにより、前連結会計年度末に比して81億56百万円減少し、2,098億34百万円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度末における親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比して0.6ポイント増加し、73.5%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比し107億4百万円減少し、267億81百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、当期損失17億34百万円に減損損失などによる調整を加えた金額に対して、資産及び負債の増減などによる調整を行った結果、73億34百万円の収入(前期に比し92億88百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券及び有形固定資産の売却などにより、39億2百万円の収入(前期は30億42百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や借入金の返済、配当金の支払などにより、225億41百万円の支出(前期に比して184億66百万円の支出減)となりました。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、ピーチ・ジョン事業については、すべて販売会社のため該当事項はありません。また、その他のセグメントについては、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
| 報告セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ワコール事業(国内) | 40,284 | 116.8 |
| ワコール事業(海外) | 17,510 | 120.0 |
| 合計 | 57,794 | 117.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生産実績の金額は製造原価によっております。
②受注実績
その他のうち㈱七彩の店舗内装工事部門については受注生産形態をとっております。
当連結会計年度におけるその他の受注実績を示すと、次のとおりであります。
| 報告セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| その他 | 4,134 | 106.4 | 188 | 151.6 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 報告セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ワコール事業(国内) | 96,746 | 109.8 |
| ワコール事業(海外) | 66,732 | 112.7 |
| ピーチ・ジョン事業 | 11,918 | 97.7 |
| その他 | 13,196 | 105.3 |
| 合計 | 188,592 | 109.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金の流動性は、主に営業活動による純現金収入によります。営業活動による純現金収入により、外部からの多額の借入や、その他の資金調達手段に頼らずに、大部分の運転資金の確保や設備投資、配当金の支払が可能となっております。ただし、金融機関に借入枠は設けており、2023年3月31日現在の借入枠の合計は551億22百万円、借入枠を設けている借入金の残高は80億84百万円となっており、主な残高の内訳としては当社が50億円、WACOAL INTERNATIONAL CORP.が28億4百万円、㈱トリーカが2億80百万円となっております。
これらの借入枠の期限は、ほとんどが自動的に更新されるものであり、現状更新を妨げるような事象は発生していないと考えております。仮にいずれかの子会社において借入が不可能になったとしても、グループの各社から資金を供給することが可能であると考えております。また、資金需要について大きな季節変動はありません。
また、子会社からの親会社への配当に係る規制は特に無いと考えております。
なお、感染症による影響の度合い、期間が不透明であったため、当社は2020年4月以降に金融機関に追加の借入枠を設け、手元流動資金を確保するため最大400億円の借入を行いましたが、当期までに350億円を返済しております。今後も目的や収益性を厳格に見積もることで、資金の流動性を確保していきます。
①設備投資
「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フロー
「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。
なお、重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。