有価証券報告書-第75期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/21 11:56
【資料】
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【項目】
124項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度の業績におきまして、活況な半導体市場を背景に半導体液晶部門の販売が増加したことにより、売上高は336億22百万円(前期比12.6%増)となりました。
営業利益については、売上高が前期比で増加したものの、主原料である無水フッ酸が中国における環境規制の高まり等を背景とした供給不足により市場価格が急騰し、利益を大きく圧迫する要因となったため、23億69百万円(同45.8%減)となりました。
経常利益については、営業外費用において、原材料購入に充てる外貨の調達を目的に取り組んでいるデリバティブ取引に関し、期末に向けて為替相場が円高に進行し、デリバティブ評価損1億86百万円を計上したこと等により17億56百万円(同57.7%減)となりました。
税金等調整前当期純利益については、特別利益において中国の合弁会社へリチウムイオン二次電池用電解質の製造設備を売却したこと等により固定資産売却益を2億85百万円計上した一方で、特別損失において前連結会計年度と同様、主要工場における製造設備の配置最適化を目的に老朽設備の撤去を実施したこと等により固定資産廃棄損を2億6百万円計上したため18億3百万円(同52.7%減)となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は12億74百万円(同54.9%減)となりました。
当社グループは中期経営計画において、売上高営業利益率を経営上の目標状況を達成するための客観的な指標として掲げております。当連結会計年度については、数値目標として11.0%の売上高営業利益率を設定しておりましたが、実績においては、売上高は半導体液晶部門が過去最高の販売金額を記録し、計画値を大きく上回ったものの、主原料の無水フッ酸価格の急騰により原材料費が増大したため、7.0%に留まりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2事業等のリスク」に記載しておりますが、当連結会計年度においては、高純度薬品事業における主原料であり、中国より調達を行っている無水フッ酸価格が中国市場における深刻な供給不足により過去最高値まで急騰し、原材料費の大幅な上昇を引き起こすこととなったため経営成績に重大な影響を及ぼす結果となりました。この度の上昇については企業努力で吸収できる範囲を超えているため、販売価格への適切な転嫁を図ってまいります。
セグメントごとの経営業績は、次のとおりです。
① 高純度薬品
高純度薬品事業につきましては、半導体液晶部門において、前連結会計年度と比較して出荷量が大幅に増加した結果、売上高は291億45百万円(前期比14.3%増)となりました。
利益面では、主原料である無水フッ酸価格が急騰し過去最高値に達するなど売上原価が大きく上昇したため、営業利益は25億円(同43.5%減)となりました。
なお、主要な部門別の売上高については次のとおりです。
[半導体液晶部門]
半導体液晶部門においては、スマートフォンやデータセンター向けの需要の高まり等により、活況な半導体メモリ市場を背景に国内外ともに出荷量が大幅に増加した結果、売上高は156億62百万円(同27.2%増)となりました。
[電池部門]
電池部門においては、リチウムイオン二次電池の車載向け市場が拡大していることを受け、電解質、添加剤ともに出荷が堅調に推移した結果、売上高は50億69百万円(同0.1%減)となりました。
② 運輸
運輸事業につきましては、運送関連等の取扱量が前期を上回った結果、売上高は42億69百万円(前期比3.0%増)となりました。
利益面では、軽油価格の上昇など運送コストは増加したものの、売上高の増加により、営業利益は7億79百万円(同11.6%増)となりました。
③ メディカル
メディカル事業につきましては、次世代のがん治療であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の治験を進めており、前連結会計年度に引き続き治験における第Ⅱ相試験の実施を含めた先行投資費用が発生した結果、営業損失は9億60百万円(前期は7億92百万円の営業損失)となりました。
④ その他
その他事業につきましては、保険代理業収入等が前期を上回った結果、売上高は2億7百万円(前期比1.5%増)、営業利益は34百万円(同11.8%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
高純度薬品(百万円)27,246114.8
運輸(百万円)--
メディカル(百万円)--
報告セグメント計(百万円)27,246114.8
その他(百万円)--
合計(百万円)27,246114.8

(注) 1.金額は販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
高純度薬品(百万円)2,01689.0
運輸(百万円)24156.8
メディカル(百万円)--
報告セグメント計(百万円)2,04189.5
その他(百万円)49107.8
合計(百万円)2,09189.9

(注) 1.金額は仕入価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
③ 受注状況
主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
高純度薬品
表面処理(百万円)1,95696.2
代替フロン(百万円)2,546103.4
半導体液晶関連(百万円)15,662127.2
半導体装置関連(百万円)693131.3
電池(百万円)5,06999.9
反応触媒(百万円)919107.6
土壌改良剤(百万円)7276.9
その他(百万円)1,26794.4
小計(百万円)28,186114.1
商品(百万円)958119.4
合計(百万円)29,145114.3
運輸(百万円)4,269103.0
メディカル(百万円)--
報告セグメント計(百万円)33,414112.7
その他(百万円)207101.5
合計(百万円)33,622112.6

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
丸善薬品産業株式会社5,12617.26,54419.5
三菱ケミカル株式会社4,63515.55,15915.3

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産合計は513億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億93百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金が減少したことによるものです。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
①高純度薬品
高純度薬品事業につきましては、当連結会計年度末の総資産は、382億22百万円となり、前連結会計年度と比べ13億61百万円減少しました。主な要因は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入減少に加え投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローの支出増加により現金及び預金が減少したことによるものです。
②運輸
運輸部門につきましては、当連結会計年度末の総資産は、89億97百万円となり、前連結会計年度末と比べ5億60百万円増加しました。主な要因は、車両の購入等により有形固定資産が増加したことによるものです。
③メディカル
メディカル部門につきましては、当連結会計年度末の総資産は、42億64百万円となり、前連結会計年度末と比べ3億81百万円増加しました。主な要因は、投資その他の資産の増加によるものです。
④その他
その他事業につきましては、当連結会計年度末の総資産は、1億73百万円となり、前連結会計年度末と比べ18百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金の減少によるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、189億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億61百万円減少しました。主な要因は、前連結会計年度に発行した新株予約権付社債ついて、当連結会計年度末までに全ての新株予約権が行使され、資本への転換がなされたことおよび借入金の返済によるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、324億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億68百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金の増加に加え、新株予約権の行使により資本金および資本準備金が増加したことによるものです。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて52億38百万円減少し、当連結会計年度末は89億30百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は9億37百万円(前期比44億3百万円収入減少)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益が18億3百万円、減価償却費が33億44百万円の収入、売上債権が18億45百万円の増加、たな卸資産が14億27百万円の増加などです。売上債権の増加については、主に販売の増加および3月末日が金融機関の休業日であったため入金が翌月へ繰り越されたことによるものであり、たな卸資産の増加については、主に原材料価格の上昇や販売増加にともない必要な在庫を積み増したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、46億73百万円(同28億58百万円支出増加)となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出33億39百万円、定期預金の預入による支出20億59百万円などです。有形固定資産の支出については、前連結会計年度と比べ17億95百万円の支出増加となっておりますが、半導体液晶部門の生産設備の更新、製品運搬用のコンテナの購入およびリチウムイオン二次電池用添加剤の設備増強など出荷量の増加に対応した設備投資を実施したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は14億円(前期は5億31百万円の収入)となりました。
主な内訳は、短期借入金が4億64百万円の減少、配当金の支払5億57百万円などです。
借入金については、今後、事業拡大を見据えた積極的な設備投資を可能とするため、当連結会計年度においては、短期借入金と長期借入金合わせて11億13百万円の圧縮を行いました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性について、当社グループは事業活動を遂行するための適切な資金確保および健全な財務体質を維持することを目指し、安定的な資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資・投融資資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入により調達しています。
資金の流動性については、事業規模に応じた適正な手元資金の水準を維持するとともに金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結することにより手元流動性を確保しています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は89億30百万円であり、金融機関との間で総額30億円のコミットメントライン契約を締結しています。本契約に基づくコミットメントラインに対し、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。