有価証券報告書-第138期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 16:07
【資料】
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【項目】
149項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は、第10次中期経営計画の最終年度として、次の4項目の基本戦略の実現に全力で取り組んで参りました。
ⅰ)製造・販売・技術が一体となって営業活動を推進することで、シェアを拡大するとともに、新しい市場の
開拓を進めます。
ⅱ)新商品・新技術の開発によって市場競争力を高め、売上げの拡大を図ります。
ⅲ)海外生産拠点の整備と海外市場の開拓を進め、事業の拡大を図ります。
ⅳ)経営インフラを整備し、経営体制の強化を図ります。
製造・販売・技術が一体となった営業活動を推進したことにより、工業機材事業では歯車やリニアガイド研削用均質構造砥石、セラミック・マテリアル事業では触媒担体、LED用厚膜回路基板、セラミックコア、積層セラミックコンデンサ向け電子部材など、ニーズを掴んだ商品を投入し、シェアの拡大と新市場の開拓に繋げることができました。
新商品・新技術の開発によって市場競争力を高めたことにより、セラミック・マテリアル事業ではインダクタ用電子ペースト、エンジニアリング事業では新素材用加熱炉などの開発及び商品化に取り組み、売上げが拡大しました。また、マイクロナノバブル発生器など、開発・技術本部と事業部とが連携して開発した新商品が市場で評価されるようになりました。
海外生産拠点の整備と海外市場の開拓につきましては、工業機材事業では、中国蘇州工場で大型砥石を増産するための新工場の建設、また、セラミック・マテリアル事業では、タイの石膏工場の生産能力増強を決定いたしました。
経営インフラの整備につきましては、ものづくり強化活動を推進し、製品やサービスの品質向上、業務の効率化や多能工化に取り組む体制を整備しました。また、情報セキュリティの強化や、女性活躍推進にも積極的に取り組みました。
その結果、当連結会計年度の売上高は1,258億2百万円(前期比6.7%増加)、営業利益は74億84百万円(前期比46.8%増加)、経常利益は97億64百万円(前期比39.6%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は97億7百万円(前期比27.7%減少)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(工業機材)
国内では、主要顧客である自動車、鉄鋼及びベアリング業界の生産が堅調に推移し、売上げは増加しました。海外では、北米は主力の自動車向けが伸び悩み、微減となりました。中国では、自動車産業が下期の後半に入り減速したものの、鉄鋼分野が高水準で推移したことから、増加しました。東南アジアは、自動車生産が回復基調にあり、海外全体で増加となりました。オフセット砥石などの汎用砥石は、アジア向けが減少したことにより、微減となりました。その結果、工業機材事業の売上高は、631億71百万円(前期比6.3%増加)、営業利益は23億33百万円(前期比34.2%増加)となりました。
(セラミック・マテリアル)
車載用や通信機器用の電子部品の需要が拡大したことから、電子ペースト及び電子部材は、積層セラミックコンデンサ用が増加し、伸長しました。触媒担体は大きく増加、セラミックコアも海外の需要を取り込んで伸長し、石膏は東南アジア向けの鋳造用及び建材用が増加しました。厚膜回路基板は減少し、蛍光表示管は微減となりました。その結果、セラミック・マテリアル事業の売上高は、348億32百万円(前期比9.7%増加)、営業利益は36億90百万円(前期比39.1%増加)となりました。
(エンジニアリング)
主力の乾燥炉及び焼成炉は、リチウムイオン電池及び電子部品分野における設備投資が活発に行われたことにより堅調に推移しました。混合攪拌装置は、大型案件が少なく低調に推移しました。濾過装置は、ベアリングや自動車向けが増加しました。超硬丸鋸切断機は、新商品の販売が順調で国内向けが伸長しました。その結果、エンジニアリング事業の売上高は、193億26百万円(前期比7.3%増加)、営業利益は22億31百万円(前期比46.6%増加)となりました。
(食器)
国内市場は、百貨店向けは大きく減少しましたが、ホテル・レストラン向けの業務用が増加し、全体では前年並みを確保しました。海外市場は、米国では主要顧客である百貨店等の販売低迷により大きく減少しました。欧州・アジアでは、専門店及びホテル・レストラン向けは増加しましたが、エアライン向けが減少し、海外全体では減少となりました。その結果、食器事業の売上高は、84億72百万円(前期比3.3%減少)、7億71百万円の営業損失となりました。
総資産は、前連結会計年度末に比べ45億9百万円(2.9%)減少し1,517億73百万円、負債合計は、前連結会計年度末に比べ88億32百万円(16.6%)減少し444億24百万円、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ43億22百万円(4.2%)増加し1,073億49百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ46億92百万円減少し、113億95百万円となりました。また、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは58億28百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ14億46百万円減少し、82億37百万円となりました。これは税金等調整前当期純利益を123億26百万円計上したものの、法人税等の支払額が36億22百万円あったこと及びたな卸資産が30億15百万円増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度において投資活動により得られた資金は84億68百万円であったのに対し、当連結会計年度において投資活動に使用した資金は24億8百万円となりました。これは主に有形及び無形固定資産の売却により35億8百万円の収入があったものの、有形及び無形固定資産の取得により53億29百万円支出したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は前連結会計年度に比べ7億8百万円減少し、103億48百万円となりました。これは主に長期借入金を92億52百万円返済したこと及び配当金の支払額が11億68百万円あったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
生産高(百万円)前年同期比(%)
工業機材51,319103.4
セラミック・マテリアル27,228119.0
エンジニアリング6,966110.9
食器3,80097.0
合計89,314108.0

(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
工業機材63,830106.88,627108.3
セラミック・マテリアル34,959108.84,074103.2
エンジニアリング25,033122.613,976169.0
食器8,46896.771499.5
合計132,292109.227,393131.1

(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称売上高
(百万円)
前年同期比
(%)
内、海外売上高
(百万円)
前年同期比
(%)
海外売上割合
(%)
工業機材63,171106.319,821102.331.4
セラミック・マテリアル34,832109.717,132108.549.2
エンジニアリング19,326107.38,196137.242.4
食器8,47296.74,27792.850.5
合計125,802106.749,428108.039.3

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態の分析
(総資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ45億9百万円(2.9%)減少し、1,517億73百万円となりました。うち、流動資産が3億15百万円減少の726億71百万円、固定資産が41億93百万円減少の791億1百万円であります。これは主に1年内返済予定の長期借入金の返済及び法人税等の支払で現金及び預金が減少したことに加え、保有株式の株価下落に伴い投資有価証券の時価総額が減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ88億32百万円(16.6%)減少し、444億24百万円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金及び未払法人税等が減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ43億22百万円(4.2%)増加し、1,073億49百万円となりました。これは主にその他有価証券評価差額金が減少したものの、利益剰余金が増加したことによるものです。
この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度に比べ278円44銭増加して7,219円82銭となり、自己資本比率は前連結会計年度末の63.7%から68.4%に増加しました。
②経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ78億73百万円(6.7%)増加の1,258億2百万円となりました。なお、販売活動の概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて27億71百万円増加の97億64百万円となりました。主な要因としては、売上高の増加によるものであります。
(特別利益・特別損失)
当連結会計年度の特別利益は28億43百万円であり、主なものは固定資産売却益27億89百万円であります。また当連結会計年度の特別損失は2億81百万円であり、主なものは固定資産処分損2億64百万円であります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、123億26百万円の税金等調整前当期純利益となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は97億7百万円となりました。
1株当たり当期純利益は675円77銭となり、自己資本利益率は前連結会計年度の14.6%から9.5%となりました。
③財務政策
当社グループは、現在、運転資金及び設備投資資金につきましては内部資金、金融機関からの借入れ又は社債の発行により資金調達することとしております。運転資金につきましては期限が一年以内の短期借入金で資金調達を行っております。国内におきましてはキャッシュ・マネジメント・システムにより当社が一括して資金を調達して各連結子会社に必要資金を配分し、海外におきましては各々の連結子会社が運転資金として使用する現地通貨にて調達することを基本としております。
2019年3月31日現在、短期借入金の残高は34億56百万円で、3種類の通貨からなっており、うち主な通貨は日本円であります。設備投資資金等の長期資金は内部資金による調達を原則とし、一部を長期借入金により調達することとしております。長期借入金の残高は13億23百万円であります。