有価証券報告書-第139期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の経済情勢は、国内は輸出が減少するなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続きました。海外では、米国は個人消費が底堅く、概ね堅調に推移しました。欧州は低調に推移し、中国では米国との貿易摩擦の影響を受け緩やかな減速が続きました。年度終盤にかけては新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、経済活動に与える影響は世界全体へ広がり、長期化が懸念されています。
こうした経済環境の下、当連結会計年度は、第11次中期経営計画の初年度として、次の4つの基本戦略に全力で取り組んで参りました。
ⅰ)競争力のある新商品・新技術開発の促進
ⅱ)海外生産拠点の増強と海外市場開拓の推進
ⅲ)国内販売体制、製造体制の再整備
ⅳ)ものづくり強化活動、環境活動、安全衛生活動、働き方改革と事業活動の一体化
新商品・新技術開発につきましては、工業機材事業では自動車の電動化に対応した新商品、セラミック・マテリアル事業では高速通信向け積層セラミックコンデンサ用の新商品の開発に取り組んでいます。エンジニアリング事業ではリチウムイオン電池や自動車分野における新たな用途開拓による拡販を進めています。
海外生産拠点の増強と海外市場の開拓につきましては、中国蘇州工場で大型砥石を増産するための新工場の建設に着手しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、生産開始は予定していた2020年6月から遅れる見込みです。タイの石膏子会社については、出資比率を高め経営の効率化を進めるとともに、東南アジアにおける需要増加に対応するための製造設備の増設を完了しました。
国内販売体制、製造体制の再整備につきましては、工業機材事業においてグループ会社を含めた営業・物流拠点の効率的な運用について検討を開始しました。また、セラミック・マテリアル事業において、5GやIoT等の普及を背景に需要の拡大が期待される積層セラミックコンデンサ用材料の生産能力増強のため、国内工場の新設、増床を進めました。
ものづくり強化活動、環境活動、安全衛生活動、働き方改革と事業活動の一体化を推進する取り組みについては、事業計画に沿った全社活動の計画を立案し、実施しています。その中で、各事業の課題抽出とその対策に取り組みました。また、指名・報酬委員会の設置、取締役会の第三者評価の実施など、コーポレート・ガバナンスの強化を行いました。
その結果、当連結会計年度の売上高は1,206億11百万円(前期比4.1%減少)、営業利益は42億7百万円(前期比43.8%減少)、経常利益は63億12百万円(前期比35.3%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は34億15百万円(前期比64.8%減少)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(工業機材)
国内では、主要顧客である自動車、鉄鋼、ベアリング業界の生産が低調に推移し、売上げは減少しました。海外では、北米及び東南アジアは自動車販売の落ち込みを受けた減産により、売上げは減少しました。中国は鉄鋼分野の生産が高水準で推移し前年並みを維持したものの、海外全体では減少となりました。オフセット砥石などの汎用砥石も、国内外共に総じて低調で、売上げが減少しました。その結果、工業機材事業の売上高は、585億79百万円(前期比7.3%減少)、営業利益は2億58百万円(前期比88.9%減少)となりました。
(セラミック・マテリアル)
電子ペーストは、積層インダクタ用新商品が好調でしたが、海外のスマートフォン等通信機器減産の影響を受けたため、大きく減少しました。電子部品材料は、民生機器用が減少したものの、自動車、通信インフラ用が増加したため、微増となりました。石膏は、アジア向けが増加しましたが国内向けが減少したため微増に留まりました。セラミックコアは、ガスタービン用が伸長しました。蛍光表示管は、北米・欧州で減少しました。触媒担体は、大きく減少しました。厚膜回路基板は、車載用の終息に伴う減少を新用途で補い、横ばいとなりました。その結果、セラミック・マテリアル事業の売上高は、322億40百万円(前期比7.4%減少)、営業利益は22億18百万円(前期比39.9%減少)となりました。
(エンジニアリング)
主力の乾燥炉及び焼成炉は、リチウムイオン電池及び電子部品分野で設備投資が活発に行われたことにより好調に推移しました。混合攪拌装置は、化学・食品業界向けが堅調で売上げは大きく増加しました。濾過装置は、海外向けは振るいませんでしたが、国内の大型案件の受注により増加しました。超硬丸鋸切断機は、自動車業界、工作機械業界向けが低調で、国内外共に売上げは減少しました。その結果、エンジニアリング事業の売上高は、223億26百万円(前期比15.5%増加)、営業利益は26億16百万円(前期比17.2%増加)となりました。
(食器)
国内市場は、百貨店向けの厳しい状況が続いていることに加え、第3四半期まで堅調に推移していたホテル・レストラン向けが年明け以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け微増に留まったことから、売上げは減少しました。海外市場は、米国では主要顧客の販売不振に歯止めがかからず減少し、欧州・アジアではエアライン向けが低迷したほか、スリランカで発生したテロ事件などの影響もあり、売上げは大きく減少しました。その結果、食器事業の売上高は、74億65百万円(前期比11.9%減少)、8億85百万円の営業損失となりました。
総資産は、前連結会計年度末に比べ58億50百万円(3.9%)減少し1,459億23百万円、負債合計は、前連結会計年度末に比べ22億58百万円(5.1%)減少し421億65百万円、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ35億91百万円(3.3%)減少し1,037億57百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ14億55百万円減少し、99億39百万円となりました。また、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは7億59百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ4百万円減少し、82億32百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を49億73百万円計上したことに加え、売上債権が41億59百万円減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度において投資活動に使用した資金は24億8百万円であったのに対し、当連結会計年度において投資活動に使用した資金は74億73百万円となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得により71億18百万円支出したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は前連結会計年度に比べ81億37百万円減少し、22億10百万円となりました。これは主に配当金の支払額が14億62百万円あったこと及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得により8億58百万円支出したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態)
ⅰ)総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ58億50百万円(3.9%)減少し、1,459億23百万円となりました。うち、流動資産が41億30百万円減少の685億41百万円、固定資産が17億20百万円減少の773億81百万円であります。これは主に受取手形及び売掛金が減少したことに加え、保有株式の株価下落に伴い投資有価証券の時価総額が減少したことによるものです。
ⅱ)負債
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ22億58百万円(5.1%)減少し、421億65百万円となりました。これは主に設備関係支払手形が増加したものの、支払手形及び買掛金並びに電子記録債務が減少したことに加え、その他有価証券評価差額金及び退職給付に係る調整累計額の減少により繰延税金負債が減少したことによるものです。
ⅲ)純資産
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ35億91百万円(3.3%)減少し、1,037億57百万円となりました。これは主に利益剰余金が増加したものの、その他有価証券評価差額金及び退職給付に係る調整累計額が減少したことによるものです。
この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度に比べ233円49銭減少して6,986円33銭となり、自己資本比率は前連結会計年度末の68.4%から69.0%に増加しました。
(経営成績)
ⅰ)売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ51億90百万円(4.1%)減少の1,206億11百万円となりました。なお、販売活動の概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
ⅱ)経常利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ34億51百万円減少の63億12百万円となりました。主な要因としては、売上高の減少によるものであります。
ⅲ)特別利益・特別損失
当連結会計年度の特別利益は1億30百万円であり、主なものはPCB処理費用戻入益68百万円であります。また当連結会計年度の特別損失は14億69百万円であり、主なものは地中埋設物処理費用10億86百万円であります。
ⅳ)親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、49億73百万円の税金等調整前当期純利益となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は34億15百万円となりました。
1株当たり当期純利益は237円22銭となり、自己資本利益率は前連結会計年度の9.5%から3.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度の資金残高は99億39百万円と、前連結会計年度末に比べ14億55百万円の減少となりました。
投資活動に使用した資金が、前連結会計年度より増加したことが主な要因で、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加しておりますが、これは第11次中期経営計画で掲げた海外製造拠点の増強や国内製造体制の再整備を目的とした工場拡張などにより、資金需要が増加したことによるものです。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金、金融機関からの借入れ又は社債の発行により資金調達することとしております。
運転資金につきましては、期限が一年以内の短期借入金で資金調達を行っております。国内におきましては、キャッシュ・マネジメント・システムにより当社が一括して資金を調達して各連結子会社に必要資金を分配し、海外におきましては、各々の連結子会社が運転資金として使用する現地通貨にて調達することを基本としております。2020年3月31日現在の短期借入金の残高は41億84百万円であります。
設備投資等の長期資金につきましては、自己資金を原則とし、一部を長期借入金により調達することとしております。長期借入金の残高は9億25百万円であります。
2020年3月31日現在の現預金残高は125億89百万円で、当社グループとして十分な水準の手元資金を確保していると考えております。新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞で、厳しい経営環境が続くと予想しており、運転資金確保の重要性を認識しておりますが、取引金融機関とは長年良好な関係を築いており、今後の資金調達について、現時点では問題はないと認識しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況に基づく仮定により、様々な見積りを行っており、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下の通りです。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症による影響については、第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項の(追加情報)「会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響について」に記載の仮定に基づき会計上の見積りを行っておりますが、現時点では不確実性が高く、翌連結会計年度の当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅰ)繰延税金資産
繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収が不確実と考えられる部分は、評価性引当額としています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
なお、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い、繰延税金資産の修正を行うため、当期純利益額が変動する可能性があります。
ⅱ)退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の期待運用収益率に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い債券の利回りを基礎として決定し、また、年金資産の期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
ⅲ)固定資産の減損
固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、損益を悪化させる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の経済情勢は、国内は輸出が減少するなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続きました。海外では、米国は個人消費が底堅く、概ね堅調に推移しました。欧州は低調に推移し、中国では米国との貿易摩擦の影響を受け緩やかな減速が続きました。年度終盤にかけては新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、経済活動に与える影響は世界全体へ広がり、長期化が懸念されています。
こうした経済環境の下、当連結会計年度は、第11次中期経営計画の初年度として、次の4つの基本戦略に全力で取り組んで参りました。
ⅰ)競争力のある新商品・新技術開発の促進
ⅱ)海外生産拠点の増強と海外市場開拓の推進
ⅲ)国内販売体制、製造体制の再整備
ⅳ)ものづくり強化活動、環境活動、安全衛生活動、働き方改革と事業活動の一体化
新商品・新技術開発につきましては、工業機材事業では自動車の電動化に対応した新商品、セラミック・マテリアル事業では高速通信向け積層セラミックコンデンサ用の新商品の開発に取り組んでいます。エンジニアリング事業ではリチウムイオン電池や自動車分野における新たな用途開拓による拡販を進めています。
海外生産拠点の増強と海外市場の開拓につきましては、中国蘇州工場で大型砥石を増産するための新工場の建設に着手しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、生産開始は予定していた2020年6月から遅れる見込みです。タイの石膏子会社については、出資比率を高め経営の効率化を進めるとともに、東南アジアにおける需要増加に対応するための製造設備の増設を完了しました。
国内販売体制、製造体制の再整備につきましては、工業機材事業においてグループ会社を含めた営業・物流拠点の効率的な運用について検討を開始しました。また、セラミック・マテリアル事業において、5GやIoT等の普及を背景に需要の拡大が期待される積層セラミックコンデンサ用材料の生産能力増強のため、国内工場の新設、増床を進めました。
ものづくり強化活動、環境活動、安全衛生活動、働き方改革と事業活動の一体化を推進する取り組みについては、事業計画に沿った全社活動の計画を立案し、実施しています。その中で、各事業の課題抽出とその対策に取り組みました。また、指名・報酬委員会の設置、取締役会の第三者評価の実施など、コーポレート・ガバナンスの強化を行いました。
その結果、当連結会計年度の売上高は1,206億11百万円(前期比4.1%減少)、営業利益は42億7百万円(前期比43.8%減少)、経常利益は63億12百万円(前期比35.3%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は34億15百万円(前期比64.8%減少)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(工業機材)
国内では、主要顧客である自動車、鉄鋼、ベアリング業界の生産が低調に推移し、売上げは減少しました。海外では、北米及び東南アジアは自動車販売の落ち込みを受けた減産により、売上げは減少しました。中国は鉄鋼分野の生産が高水準で推移し前年並みを維持したものの、海外全体では減少となりました。オフセット砥石などの汎用砥石も、国内外共に総じて低調で、売上げが減少しました。その結果、工業機材事業の売上高は、585億79百万円(前期比7.3%減少)、営業利益は2億58百万円(前期比88.9%減少)となりました。
(セラミック・マテリアル)
電子ペーストは、積層インダクタ用新商品が好調でしたが、海外のスマートフォン等通信機器減産の影響を受けたため、大きく減少しました。電子部品材料は、民生機器用が減少したものの、自動車、通信インフラ用が増加したため、微増となりました。石膏は、アジア向けが増加しましたが国内向けが減少したため微増に留まりました。セラミックコアは、ガスタービン用が伸長しました。蛍光表示管は、北米・欧州で減少しました。触媒担体は、大きく減少しました。厚膜回路基板は、車載用の終息に伴う減少を新用途で補い、横ばいとなりました。その結果、セラミック・マテリアル事業の売上高は、322億40百万円(前期比7.4%減少)、営業利益は22億18百万円(前期比39.9%減少)となりました。
(エンジニアリング)
主力の乾燥炉及び焼成炉は、リチウムイオン電池及び電子部品分野で設備投資が活発に行われたことにより好調に推移しました。混合攪拌装置は、化学・食品業界向けが堅調で売上げは大きく増加しました。濾過装置は、海外向けは振るいませんでしたが、国内の大型案件の受注により増加しました。超硬丸鋸切断機は、自動車業界、工作機械業界向けが低調で、国内外共に売上げは減少しました。その結果、エンジニアリング事業の売上高は、223億26百万円(前期比15.5%増加)、営業利益は26億16百万円(前期比17.2%増加)となりました。
(食器)
国内市場は、百貨店向けの厳しい状況が続いていることに加え、第3四半期まで堅調に推移していたホテル・レストラン向けが年明け以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け微増に留まったことから、売上げは減少しました。海外市場は、米国では主要顧客の販売不振に歯止めがかからず減少し、欧州・アジアではエアライン向けが低迷したほか、スリランカで発生したテロ事件などの影響もあり、売上げは大きく減少しました。その結果、食器事業の売上高は、74億65百万円(前期比11.9%減少)、8億85百万円の営業損失となりました。
総資産は、前連結会計年度末に比べ58億50百万円(3.9%)減少し1,459億23百万円、負債合計は、前連結会計年度末に比べ22億58百万円(5.1%)減少し421億65百万円、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ35億91百万円(3.3%)減少し1,037億57百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ14億55百万円減少し、99億39百万円となりました。また、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは7億59百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ4百万円減少し、82億32百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を49億73百万円計上したことに加え、売上債権が41億59百万円減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度において投資活動に使用した資金は24億8百万円であったのに対し、当連結会計年度において投資活動に使用した資金は74億73百万円となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得により71億18百万円支出したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は前連結会計年度に比べ81億37百万円減少し、22億10百万円となりました。これは主に配当金の支払額が14億62百万円あったこと及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得により8億58百万円支出したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
工業機材 | 46,261 | 90.1 |
セラミック・マテリアル | 23,514 | 86.4 |
エンジニアリング | 7,068 | 101.5 |
食器 | 3,304 | 86.9 |
合計 | 80,149 | 89.7 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
工業機材 | 58,006 | 90.9 | 8,054 | 93.4 |
セラミック・マテリアル | 31,762 | 90.9 | 3,596 | 88.3 |
エンジニアリング | 20,175 | 80.6 | 11,826 | 84.6 |
食器 | 7,241 | 85.5 | 491 | 68.7 |
合計 | 117,186 | 88.6 | 23,968 | 87.5 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 売上高 (百万円) | 前年同期比 (%) | 内、海外売上高 (百万円) | 前年同期比 (%) | 海外売上割合 (%) |
工業機材 | 58,579 | 92.7 | 17,537 | 88.5 | 29.9 |
セラミック・マテリアル | 32,240 | 92.6 | 15,411 | 90.0 | 47.8 |
エンジニアリング | 22,326 | 115.5 | 10,315 | 125.8 | 46.2 |
食器 | 7,465 | 88.1 | 3,339 | 78.1 | 44.7 |
合計 | 120,611 | 95.9 | 46,603 | 94.3 | 38.6 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態)
ⅰ)総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ58億50百万円(3.9%)減少し、1,459億23百万円となりました。うち、流動資産が41億30百万円減少の685億41百万円、固定資産が17億20百万円減少の773億81百万円であります。これは主に受取手形及び売掛金が減少したことに加え、保有株式の株価下落に伴い投資有価証券の時価総額が減少したことによるものです。
ⅱ)負債
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ22億58百万円(5.1%)減少し、421億65百万円となりました。これは主に設備関係支払手形が増加したものの、支払手形及び買掛金並びに電子記録債務が減少したことに加え、その他有価証券評価差額金及び退職給付に係る調整累計額の減少により繰延税金負債が減少したことによるものです。
ⅲ)純資産
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ35億91百万円(3.3%)減少し、1,037億57百万円となりました。これは主に利益剰余金が増加したものの、その他有価証券評価差額金及び退職給付に係る調整累計額が減少したことによるものです。
この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度に比べ233円49銭減少して6,986円33銭となり、自己資本比率は前連結会計年度末の68.4%から69.0%に増加しました。
(経営成績)
ⅰ)売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ51億90百万円(4.1%)減少の1,206億11百万円となりました。なお、販売活動の概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
ⅱ)経常利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ34億51百万円減少の63億12百万円となりました。主な要因としては、売上高の減少によるものであります。
ⅲ)特別利益・特別損失
当連結会計年度の特別利益は1億30百万円であり、主なものはPCB処理費用戻入益68百万円であります。また当連結会計年度の特別損失は14億69百万円であり、主なものは地中埋設物処理費用10億86百万円であります。
ⅳ)親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、49億73百万円の税金等調整前当期純利益となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は34億15百万円となりました。
1株当たり当期純利益は237円22銭となり、自己資本利益率は前連結会計年度の9.5%から3.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度の資金残高は99億39百万円と、前連結会計年度末に比べ14億55百万円の減少となりました。
投資活動に使用した資金が、前連結会計年度より増加したことが主な要因で、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加しておりますが、これは第11次中期経営計画で掲げた海外製造拠点の増強や国内製造体制の再整備を目的とした工場拡張などにより、資金需要が増加したことによるものです。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金、金融機関からの借入れ又は社債の発行により資金調達することとしております。
運転資金につきましては、期限が一年以内の短期借入金で資金調達を行っております。国内におきましては、キャッシュ・マネジメント・システムにより当社が一括して資金を調達して各連結子会社に必要資金を分配し、海外におきましては、各々の連結子会社が運転資金として使用する現地通貨にて調達することを基本としております。2020年3月31日現在の短期借入金の残高は41億84百万円であります。
設備投資等の長期資金につきましては、自己資金を原則とし、一部を長期借入金により調達することとしております。長期借入金の残高は9億25百万円であります。
2020年3月31日現在の現預金残高は125億89百万円で、当社グループとして十分な水準の手元資金を確保していると考えております。新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞で、厳しい経営環境が続くと予想しており、運転資金確保の重要性を認識しておりますが、取引金融機関とは長年良好な関係を築いており、今後の資金調達について、現時点では問題はないと認識しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況に基づく仮定により、様々な見積りを行っており、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下の通りです。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症による影響については、第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項の(追加情報)「会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響について」に記載の仮定に基づき会計上の見積りを行っておりますが、現時点では不確実性が高く、翌連結会計年度の当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅰ)繰延税金資産
繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収が不確実と考えられる部分は、評価性引当額としています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
なお、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い、繰延税金資産の修正を行うため、当期純利益額が変動する可能性があります。
ⅱ)退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の期待運用収益率に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い債券の利回りを基礎として決定し、また、年金資産の期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
ⅲ)固定資産の減損
固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、損益を悪化させる可能性があります。