有価証券報告書-第67期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)業績等の概要
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大による景気悪化の影響を受け、前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
部品事業の売上高は、自動車関連市場の低迷の影響を第1四半期連結累計期間(2020年4月1日から2020年6月30日まで)に大きく受けたものの、M&Aの貢献及び半導体や5G関連市場における需要増により微増となりました。一方、機器・システム事業の売上高は総じて減少しました。
利益は、減収に加え、積極的な設備投資を継続したことによる減価償却費の増加や、スマートエナジー事業における一時損失の計上もあり、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益のいずれも減益となりました。
(注)2020年4月1日付で、ソーラーエネルギー事業の名称をスマートエナジー事業へ変更しました。
| (百万円) |
| 前連結会計年度 (自 2019年 4月 1日 至 2020年 3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年 4月 1日 至 2021年 3月31日) | 増 減 | ||||
| 金 額 | 売上高比 (%) | 金 額 | 売上高比 (%) | 増減金額 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 1,599,053 | 100.0 | 1,526,897 | 100.0 | △72,156 | △4.5 |
| 営業利益 | 100,193 | 6.3 | 70,644 | 4.6 | △29,549 | △29.5 |
| 税引前利益 | 148,826 | 9.3 | 117,559 | 7.7 | △31,267 | △21.0 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 107,721 | 6.7 | 90,214 | 5.9 | △17,507 | △16.3 |
| 米ドル平均為替レート (円) | 109 | - | 106 | - | - | - |
| ユーロ平均為替レート (円) | 121 | - | 124 | - | - | - |
(2)財政状態及び経営成績の状況
a.売上高
当連結会計年度の売上高は1,526,897百万円となり、前連結会計年度の1,599,053百万円と比較し、72,156百万円(4.5%)減少しました。
部品事業における当連結会計年度の売上高は927,809百万円となり、前連結会計年度の912,434百万円と比較し、15,375百万円(1.7%)増加しました。自動車関連市場の低迷の影響を第1四半期連結累計期間に大きく受けたものの、M&Aの貢献及び半導体や5G関連市場における需要増加により、前連結会計年度に比べ微増となりました。一方、機器・システム事業における当連結会計年度の売上高は612,863百万円となり、前連結会計年度の704,480百万円と比較し、91,617百万円(13.0%)減少しました。ドキュメントソリューション及びコミュニケーションの売上減少等により、減収となりました。なお、ドル安円高の影響を主因として、当連結会計年度の邦貨換算後の売上高は、前連結会計年度に比べ約90億円押し下げられました。
b.売上原価及び売上総利益
当連結会計年度の売上原価は1,119,950百万円となり、前連結会計年度の1,157,879百万円と比較し、37,929百万円(3.3%)減少しました。
売上原価の主な内訳は、原材料費が前連結会計年度の420,158百万円から27,128百万円(6.5%)減少の393,030百万円で全体の35.1%を占め、人件費が前連結会計年度の247,480百万円から5,504百万円(2.2%)減少の241,976百万円で全体の21.6%を占めています。また、減価償却費は前連結会計年度の54,570百万円から10,559百万円(19.3%)増加の65,129百万円で全体の5.8%を占めています。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は406,947百万円となり、前連結会計年度の441,174百万円と比較し、34,227百万円(7.8%)減少し、売上高に対する売上総利益率は、27.6%から26.7%へ0.9ポイント低下しました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は336,303百万円となり、前連結会計年度の340,981百万円と比較し、4,678百万円(1.4%)減少しました。これは主に、当連結会計年度において、スマートエナジー事業の減損損失11,518百万円を計上した一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により旅費及び渡航費が減少したことに加え、前連結会計年度において計上したAVX Corporationにおける訴訟関連費用及び同社の完全子会社化のために支出した専門家報酬費用の影響がなくなったことによるものです。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費の主な内訳は、人件費が前連結会計年度の196,667百万円から11,753百万円(6.0%)減少の184,914百万円で全体の55.0%を占め、続いて販売費及び広告宣伝費が、前連結会計年度の42,989百万円から3,920百万円(9.1%)減少の39,069百万円で全体の11.6%を占めています。また、減価償却費は前連結会計年度の29,438百万円から4,405百万円(15.0%)増加の33,843百万円で全体の10.1%を占めています。
この結果、当連結会計年度の営業利益は70,644百万円となり、前連結会計年度の100,193百万円と比較し、29,549百万円(29.5%)減少しました。売上高に対する比率は前連結会計年度の6.3%から1.7ポイント低下し、4.6%となりました。
d.金融収益
当連結会計年度の金融収益は45,650百万円となり、前連結会計年度の48,154百万円と比較し、2,504百万円(5.2%)減少しました。これは主に、受取利息が減少したことによるものです。
e.金融費用
当連結会計年度の金融費用は2,194百万円となり、前連結会計年度の1,553百万円と比較し、641百万円(41.3%)増加しました。
f.為替換算差損益
当連結会計年度の平均為替レートは、対米ドルは3円(2.8%)円高の106円、対ユーロは3円(2.5%)円安の124円となりました。また、当連結会計年度末の為替レートは、対米ドルは前連結会計年度末に比べ2円(1.8%)円安の111円、対ユーロは10円(8.3%)円安の130円となりました。なお、当連結会計年度の為替換算差損益は375百万円の利益となりました。
当社では、外貨建の債権債務に係る為替変動リスクの低減を図るために、主に先物為替予約を利用しています。当社は、先物為替予約については、外国為替レートの変動をヘッジする目的に限定して利用しており、トレーディング目的のための先物為替予約は行っていません。
g.持分法による投資損益
当連結会計年度の持分法による投資損益は261百万円の利益となり、前連結会計年度の124百万円の利益と比較し、137百万円(110.5%)増加しました。
h.税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は117,559百万円となり、前連結会計年度の148,826百万円と比較し、31,267百万円(21.0%)減少しました。売上高に対する税引前利益の比率は前連結会計年度の9.3%から1.6ポイント低下し、7.7%となりました。
部品事業における当連結会計年度の事業利益は71,670百万円となり、前連結会計年度の78,068百万円と比較し、6,398百万円(8.2%)減少しました。減価償却費の増加による影響等により減益となりました。機器・システム事業における当連結会計年度の事業利益は19,404百万円となり、前連結会計年度の34,783百万円と比較し、15,379百万円(44.2%)減少しました。減収の影響に加え、スマートエナジー事業における減損損失11,518百万円の計上により、減益となりました。
i.法人所得税費用
当連結会計年度の法人所得税費用は24,209百万円(実効税率20.6%)となり、前連結会計年度の36,980百万円(実効税率24.8%)と比較し、12,771百万円(34.5%)減少しました。これは主に、税引前利益が減少したことに加え、当連結会計年度に一部の子会社に対する投資に係る一時差異について繰延税金資産を認識したことによるものです。
j.非支配持分に帰属する当期利益
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期利益は3,136百万円となり、前連結会計年度の4,125百万円と比較し、989百万円(24.0%)減少しました。
k.レポーティングセグメント別営業概況
産業・自動車用部品
当連結会計年度の売上高は359,044百万円となり、前連結会計年度の341,093百万円と比較し17,951百万円(5.3%)増加しました。自動車関連市場向けディスプレイの売上は減少したものの、M&Aにより機械工具等の売上が増加したことに加え、半導体製造装置用ファインセラミック部品等の売上が増加しました。なお、前連結会計年度に比べ、M&Aにより約190億円の増収効果がありました。
事業利益は18,142百万円となり、前連結会計年度の15,813百万円に比べ2,329百万円(14.7%)増加し、事業利益率は5.1%となりました。半導体製造装置用ファインセラミック部品等の生産能力増強を目的とした設備投資を継続したことや、機械工具等のM&Aにより減価償却費及び償却費が5,106百万円増加したものの、増収及び原価低減により、増益となりました。
半導体関連部品
当連結会計年度の売上高は263,595百万円となり、前連結会計年度の247,228百万円と比較し16,367百万円(6.6%)増加しました。5G対応スマートフォン向けにセラミックパッケージの需要が増加したこと等により増収となりました。
一方、事業利益は28,260百万円となり、前連結会計年度の30,511百万円に比べ2,251百万円(7.4%)減少し、事業利益率は10.7%となりました。セラミックパッケージ及び有機パッケージの中期的な需要増を見据えて実施した設備投資等の増加に伴い、減価償却費及び償却費が前連結会計年度に比べ3,564百万円増加したことを主因に、減益となりました。
電子デバイス
当連結会計年度の売上高は305,170百万円となり、前連結会計年度の324,113百万円と比較し18,943百万円(5.8%)減少しました。産業市場向けを中心にAVX Corporationやプリンティングデバイスの売上が減少したことに加え、約40億円の円高による押し下げ要因もあり、減収となりました。
事業利益は25,268百万円となり、前連結会計年度の31,744百万円に比べ6,476百万円(20.4%)減少し、事業利益率は8.3%となりました。原価低減に努めたものの、減収の影響に加え、事業拡大に向けた設備投資等の増加により減価償却費及び償却費が3,068百万円増加したことや、研究開発費が2,735百万円増加したことにより、減益となりました。なお、約10億円の円高による押し下げ要因もありました。
コミュニケーション
当連結会計年度の売上高は232,739百万円となり、前連結会計年度の270,818百万円と比較し38,079百万円(14.1%)減少しました。携帯電話端末の販売台数が減少したことに加え、情報通信サービス事業におけるエンジニアリング事業の売上減もあり、減収となりました。
一方、事業利益は14,597百万円となり、前連結会計年度の11,259百万円に比べ3,338百万円(29.6%)増加し、事業利益率は6.3%へ上昇しました。減収の影響はあったものの、携帯電話事業及び情報通信サービス事業ともに、原価低減等により収益性が改善したことから、増益となりました。
ドキュメントソリューション
当連結会計年度の売上高は316,226百万円となり、前連結会計年度の359,915百万円と比較し43,689百万円(12.1%)減少しました。当第1四半期連結累計期間を底に需要の回復は見られたものの、プリンター及び複合機の販売台数が前連結会計年度に比べ約15%減少したことから減収となりました。なお、前連結会計年度に比べ、M&Aにより約80億円の増収効果がありました。
事業利益は28,759百万円となり、前連結会計年度の34,489百万円に比べ5,730百万円(16.6%)減少し、事業利益率は9.1%となりました。前連結会計年度に比べ研究開発費は3,449百万円減少したものの、減収の影響を主因に、減益となりました。
生活・環境
当連結会計年度の売上高は63,898百万円となり、前連結会計年度の73,747百万円と比較し9,849百万円(13.4%)減少しました。主にスマートエナジー事業における太陽光発電システム等の販売減により、減収となりました。
事業損失は、減収の影響に加え、スマートエナジー事業において有形固定資産及びのれん等の減損損失11,518百万円を計上したことにより、前連結会計年度の10,965百万円に比べ12,987百万円増加し、23,952百万円となりました。
| レポーティングセグメント別売上高 (百万円) |
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増 減 | |||||
| 金 額 | 構成比 (%) | 金 額 | 構成比 (%) | 増減金額 | 増減率 (%) | ||
| 産業・自動車用部品 | 341,093 | 21.3 | 359,044 | 23.5 | 17,951 | 5.3 | |
| 半導体関連部品 | 247,228 | 15.5 | 263,595 | 17.3 | 16,367 | 6.6 | |
| 電子デバイス | 324,113 | 20.3 | 305,170 | 20.0 | △18,943 | △5.8 | |
| 部品事業計 | 912,434 | 57.1 | 927,809 | 60.8 | 15,375 | 1.7 | |
| コミュニケーション | 270,818 | 17.0 | 232,739 | 15.2 | △38,079 | △14.1 | |
| ドキュメントソリューション | 359,915 | 22.5 | 316,226 | 20.7 | △43,689 | △12.1 | |
| 生活・環境 | 73,747 | 4.6 | 63,898 | 4.2 | △9,849 | △13.4 | |
| 機器・システム事業計 | 704,480 | 44.1 | 612,863 | 40.1 | △91,617 | △13.0 | |
| その他 | 16,737 | 1.0 | 18,169 | 1.2 | 1,432 | 8.6 | |
| 調整及び消去 | △34,598 | △2.2 | △31,944 | △2.1 | 2,654 | - | |
| 売上高 | 1,599,053 | 100.0 | 1,526,897 | 100.0 | △72,156 | △4.5 | |
| レポーティングセグメント別税引前利益(△損失) (百万円) |
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増 減 | |||||
| 金 額 | 売上高比 (%) | 金 額 | 売上高比 (%) | 増減金額 | 増減率 (%) | ||
| 産業・自動車用部品 | 15,813 | 4.6 | 18,142 | 5.1 | 2,329 | 14.7 | |
| 半導体関連部品 | 30,511 | 12.3 | 28,260 | 10.7 | △2,251 | △7.4 | |
| 電子デバイス | 31,744 | 9.8 | 25,268 | 8.3 | △6,476 | △20.4 | |
| 部品事業計 | 78,068 | 8.6 | 71,670 | 7.7 | △6,398 | △8.2 | |
| コミュニケーション | 11,259 | 4.2 | 14,597 | 6.3 | 3,338 | 29.6 | |
| ドキュメントソリューション | 34,489 | 9.6 | 28,759 | 9.1 | △5,730 | △16.6 | |
| 生活・環境 | △10,965 | - | △23,952 | - | △12,987 | - | |
| 機器・システム事業計 | 34,783 | 4.9 | 19,404 | 3.2 | △15,379 | △44.2 | |
| その他 | △4,484 | - | △3,102 | - | 1,382 | - | |
| 事業利益計 | 108,367 | 6.8 | 87,972 | 5.8 | △20,395 | △18.8 | |
| 本社部門損益及び 持分法による投資損益 | 41,977 | - | 31,703 | - | △10,274 | △24.5 | |
| 調整及び消去 | △1,518 | - | △2,116 | - | △598 | - | |
| 税引前利益 | 148,826 | 9.3 | 117,559 | 7.7 | △31,267 | △21.0 | |
(注)2020年4月1日に、「コミュニケーション」に含まれる当社国内子会社 京セラコミュニケーションシステム㈱が、
「生活・環境」に含まれていた同 ㈱京セラソーラーコーポレーションを吸収合併しました。これに伴い、上記の
「前連結会計年度」の業績は、吸収合併後のレポーティングセグメントに組み替えて表示しています。
l.本社部門損益及び持分法による投資損益
本社部門損益は、金融資産に係る収益や、各セグメントに対して本社部門から提供される経営管理サービスに伴う収入等から構成されます。
当連結会計年度は31,703百万円の収益となり、前連結会計年度の41,977百万円の収益と比較し、10,274百万円(24.5%)減少しました。AIやIoTの活用により生産性向上を図るデジタルトランスフォーメーションの推進に係る費用が増加したことにより減益となりました。
m.生産、受注及び販売の実績
| レポーティングセグメント別受注高 (百万円) |
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減率 (%) | ||||
| 金 額 | 構成比 (%) | 金 額 | 構成比 (%) | |||
| 産業・自動車用部品 | 339,495 | 21.9 | 360,216 | 23.5 | 6.1 | |
| 半導体関連部品 | 243,726 | 15.8 | 266,775 | 17.4 | 9.5 | |
| 電子デバイス | 319,577 | 20.7 | 304,369 | 19.8 | △4.8 | |
| 部品事業計 | 902,798 | 58.4 | 931,360 | 60.7 | 3.2 | |
| コミュニケーション | 237,614 | 15.4 | 245,989 | 16.0 | 3.5 | |
| ドキュメントソリューション | 359,354 | 23.2 | 318,009 | 20.7 | △11.5 | |
| 生活・環境 | 70,923 | 4.6 | 61,662 | 4.0 | △13.1 | |
| 機器・システム事業計 | 667,891 | 43.2 | 625,660 | 40.7 | △6.3 | |
| その他 | 10,744 | 0.7 | 11,269 | 0.7 | 4.9 | |
| 調整及び消去 | △34,510 | △2.3 | △32,966 | △2.1 | - | |
| 受注高 | 1,546,923 | 100.0 | 1,535,323 | 100.0 | △0.7 | |
(注)1 当社は、需要の増加や顧客の要求、市場の変化等に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産実績は販売実績に類似しています。このため、生産及び販売の実績は「k.レポーティングセグメント別営業概況」に関連付けて示しています。
2 2020年4月1日に、「コミュニケーション」に含まれる当社国内子会社 京セラコミュニケーションシステム㈱が、「生活・環境」に含まれていた同 ㈱京セラソーラーコーポレーションを吸収合併しました。これに伴い、上記の「前連結会計年度」の実績は、吸収合併後のレポーティングセグメントに組み替えて表示しています。
(3)流動性及び資金の源泉
a.資金の源泉
<当連結会計年度末の資金の状況>当社の主な資金の源泉は、営業活動によって獲得した現金です。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは220,821百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を386,727百万円保有し、定期預金等の換金性の高い金融資産も79,852百万円保有しています。
そのうち、海外の連結子会社の保有する現金及び現金同等物と換金性の高い金融資産の合計額は、当連結会計年度末において246,750百万円になりますが、当社での使用を目的として、これらを当社へ還流することは現時点において想定していません。
また、当連結会計年度末の運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は、776,911百万円であり、自己資本比率(親会社の所有者に帰属する持分比率)は74.2%と引き続き強固な財務体質を保っています。
このように強固な財務体質を維持していることから、借入による資金を比較的低いコストで調達することが可能です。当連結会計年度末の短期借入金、1年内返済予定長期借入金、並びに長期借入金の残高は97,908百万円であり、総資産に対し2.8%と引き続き低い依存度となっています。
なお、当社の借入は、主として円建であり、一部の海外子会社にて米ドル建やユーロ建等の借入を行っています。
<当連結会計年度の資金需要>当社の当連結会計年度における主な資金需要は、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金、M&Aのための資金、並びに、配当の支払等となりました。
当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度の106,003百万円と比較し、11,103百万円(10.5%)増加し、117,106百万円となりました。産業・自動車用部品及び本社部門での投資は減少したものの、半導体関連部品及び電子デバイスにおいて投資が増加したことを主因として、設備投資額は前連結会計年度に比べ増加しました。研究開発費は、前連結会計年度の79,241百万円と比較し3,784百万円(4.8%)減少し、75,457百万円となりました。
また、当社は、主に既存事業の拡大及び新規事業の創出を目的としたM&Aを実施しており、その対価の総額は取得現金控除後で59,877百万円となりました。
当社は、当連結会計年度において、1株当たり140円、総額50,741百万円の配当金の支払いを行いました。
当社は、当連結会計年度において、これらの設備投資、研究開発並びにM&Aのための資金や、配当金の支払等の原資について、主に自己資金で賄いました。
<翌連結会計年度の資金需要>当社は、翌連結会計年度における主な資金需要として、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当金の支払等を見込んでいます。
翌連結会計年度においては、170,000百万円の設備投資と90,000百万円の研究開発費を予定しています。設備投資額は、5Gや半導体、ADAS向け部品を中心として、当連結会計年度に比べて増加する見通しです。また、研究開発費についても、事業拡大に向けて、新技術・新製品開発の強化を継続する考えであり、当連結会計年度に比べて増加する見通しです。これらの売上高に対する割合については、当連結会計年度に比べて増加する見通しです。なお、設備の発注契約を含め、当社の契約債務の詳細については、後述の「d.契約債務」を参照下さい。
また、配当は、2021年6月25日に開催された当社の定時株主総会において承認されており、1株当たり80円、総額28,995百万円の期末配当を実施します。
当社は、営業活動上の運転資金に加えて、これらの設備投資、研究開発並びに配当等に係る資金需要については、自己資金の範囲で対応できると考えており、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しています。
また、仮に一時的に多額の資金需要が生じた場合には、金融機関からの追加の借入や、社債、株式の発行といった他の資金調達手段を有しています。ただし、現時点では格付機関による信用格付に影響を与えるような外部からの資金調達を行う予定はありません。
なお、当社の主要市場での需要動向が悪化した場合や、製品価格が当社の予想を大きく超えて下落した場合などにおいては、当社の財政状態や経営成績にも影響が及び、結果として当社の流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。
| b.キャッシュ・フローの状況 | (百万円) | |
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減金額 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 214,630 | 220,821 | 6,191 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △145,551 | △183,792 | △38,241 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △157,126 | △80,968 | 76,158 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | △5,147 | 11,046 | 16,193 |
| 現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | △93,194 | △32,893 | 60,301 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 512,814 | 419,620 | △93,194 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 419,620 | 386,727 | △32,893 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・インは、前連結会計年度の214,630百万円に比べ6,191百万円(2.9%)増加し、220,821百万円となりました。これは、減価償却費及び減損損失の増加が当期利益の減少を上回ったことが主な要因です。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・アウトは、前連結会計年度の145,551百万円に比べ38,241百万円(26.3%)増加し、183,792百万円となりました。これは、M&Aによる支出が減少した一方で、設備投資や有価証券の購入が増加したことに加えて、不動産売却収入や定期預金の解約が減少したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・アウトは、前連結会計年度の157,126百万円に比べ76,158百万円(48.5%)減少し、80,968百万円となりました。これは、借入金の調達が減少したものの、前連結会計年度に実施したAVX Corporationの完全子会社化を目的とする非支配持分の買取がなくなったことが主な要因です。
なお、前連結会計年度末に比べ当連結会計年度末は欧米通貨に対し円安となったことを主因として、当連結会計年度において現金及び現金同等物は換算により11,046百万円増加しました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の419,620百万円から32,893百万円(7.8%)減少し、386,727百万円となりました。当社の現金及び現金同等物の大部分は円建ですが、海外の連結子会社では主として、米ドルを含む外貨建の現金及び現金同等物を保有しています。
c.資産、負債及び資本
当連結会計年度末における当社の資産合計は、前連結会計年度末の3,250,175百万円から243,295百万円(7.5%)増加し、3,493,470百万円となりました。
現金及び現金同等物は、事業利益の獲得及び営業債権の回収による収入を上回る、設備投資、M&A及び配当金支払に伴う支出があったことを主因として、前連結会計年度末から32,893百万円(7.8%)減少し、386,727百万円となりました。
短期投資は、資本性証券及び負債性証券からの振替を主因として、前連結会計年度末から16,853百万円(26.8%)増加し、79,852百万円となりました。
営業債権及びその他の債権は、前連結会計年度末から3,327百万円(1.0%)増加し、339,621百万円となりました。棚卸資産は、前連結会計年度末から1,050百万円(0.3%)増加し、345,354百万円となりました。ともに年度末の売上が堅調に推移したことを主因として、微増となりました。
資本性証券及び負債性証券は、KDDI株式を含む保有株式の株価上昇に伴う時価総額の増加等により、前連結会計年度末に比べて67,819百万円(5.7%)増加し、1,264,453百万円となりました。
有形固定資産は、前連結会計年度末から55,838百万円(14.6%)増加し、439,109百万円となりました。なお、当連結会計年度の設備投資額は117,106百万円、減価償却費は73,811百万円でした。
のれんは、M&Aを主因として、前連結会計年度末に比べて44,325百万円(20.9%)増加し、256,532百万円となりました。
無形資産は、M&Aを主因として、前連結会計年度末に比べて32,762百万円(27.6%)増加し、151,295百万円となりました。
その他の非流動資産は、退職給付に係る資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べて30,111百万円
(178.5%)増加し、46,978百万円となりました。
当連結会計年度末における当社の負債合計は、前連結会計年度末の795,933百万円から81,427百万円(10.2%)増加し、877,360百万円となりました。
営業債務及びその他の債務は、受注回復に伴う仕入増加を主因として、前連結会計年度末に比べて9,845百万円(5.7%)増加し、183,145百万円となりました。
非流動負債における借入金は、金融機関からの借入を主因として、前連結会計年度末に比べて12,918百万円(28.7%)増加し、57,888百万円となりました。
繰延税金負債は、KDDI株式を含む保有株式の株価上昇に伴う時価総額の増加、及び、M&Aによる無形資産の増加を主因として、前連結会計年度末から38,634百万円(14.2%)増加し、309,951百万円となりました。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末の2,454,242百万円から161,868百万円(6.6%)増加し、2,616,110百万円となりました。
利益剰余金は、親会社の所有者に帰属する当期利益90,214百万円及び支払配当金50,741百万円を計上したことに加え、年金資産の時価評価損益等24,114百万円を計上したことにより、前連結会計年度末の1,686,672百万円から63,587百万円(3.8%)増加し、1,750,259百万円となりました。
その他の資本の構成要素は、KDDI株式を含む保有株式の株価上昇を主因として、前連結会計年度末に比べて96,456百万円(16.8%)増加し、671,951百万円となりました。
当連結会計年度末の親会社の所有者に帰属する持分比率は、前連結会計年度末の74.8%から0.6ポイント減少し、74.2%となりました。
d.契約債務
当社の予定決済日ごとの契約債務は次のとおりです。当社はこれらの契約債務については自己資金で履行可能であると考えています。
| (百万円) |
| 2022年3月期 | 2023年3月期- 2024年3月期 | 2025年3月期- 2026年3月期 | 2027年3月期 以降 | 合 計 | |
| 短期借入金 | 30,135 | - | - | - | 30,135 |
| 支払利息(短期借入金)(注) | 4 | - | - | - | 4 |
| 長期借入金 (1年以内返済予定分を含む) | 9,885 | 52,848 | 4,640 | 400 | 67,773 |
| 支払利息(長期借入金) (1年以内返済予定分を含む) (注) | 1,067 | 1,034 | 213 | 60 | 2,374 |
| リース負債 | 16,326 | 16,158 | 7,350 | 12,838 | 52,672 |
| 設備の発注契約 | 49,462 | 13,497 | 14,308 | 1,664 | 78,931 |
| 合 計 | 106,879 | 83,537 | 26,511 | 14,962 | 231,889 |
(注)変動金利による借入金の支払利息については、当連結会計年度末の実質利率を使用して、将来見込まれる支払利息を算出しています。
当社は翌連結会計年度において、確定給付制度に対し、10,658百万円を拠出する予定です。また、当社は、当連結会計年度末において、不確実な税務ポジションとして負債を730百万円計上していますが、将来の解決時期を合理的に見積ることができないため、上記の表には含めていません。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。これらの連結財務諸表を作成する際には、見積り、判断及び仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、及び開示期間の収益・費用の金額に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断及び仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。
当社の連結財務諸表における見積りは次の場合において会計上非常に重要な見積りとなります。すなわち、当社が見積りを行った時点ではその対象となった事象が非常に不確実な状況にも関わらず見積りを行う必要があった場合、また、当該期間において当社が実際に採用したものとは異なるが当社が採用することができた見積りがある、もしくは複数の会計年度にわたって変更が発生すると予想される見積りがあり、その見積りが当社の財政状態及び経営成績の開示に重要な影響を及ぼす場合です。当社は会計情報の開示を行う上で、下記の項目を重要な会計上の見積りとして認識しています。各項目の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」を参照ください。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響については、景気への影響が懸念されるものの、各国における様々な感染防止及び経済対策により、世界経済は当連結会計年度に比べ回復に向かうものと仮定して会計上の見積りを行っています。
a.企業結合において識別した無形資産の公正価値
企業結合において取得した識別可能資産、並びに引き受けた負債及び偶発債務は、取得日の公正価値で測定し、企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額及び当社が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得した識別可能な資本持分の公正価値を超過する場合にはその超過額をのれんとして認識します。
特に、企業結合時の取得対価の配分において識別する無形資産(顧客との関係や非特許技術等)の公正価値の見積りは、将来のキャッシュ・フロー予測、割引率、既存顧客の逓減率、市場成長率等の仮定に基づき測定しています。この主要な仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しますが、将来の不確実な経済条件の変動により影響を受ける場合があり、仮定の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
b.棚卸資産の評価
当社は、棚卸資産が適正な価値で評価されるように評価損の金額を見積っています。過剰、滞留、並びに陳腐化した棚卸資産に対して評価損を計上しています。また、棚卸資産は正味実現可能価額まで評価損を行っています。当社は通常、一定の保有期間を超える棚卸資産を滞留もしくは陳腐化していると見なします。また、当社では、将来の需要予測や市況そして関与する経営者の判断のもとに、一定の保有期間に満たない棚卸資産についても評価損を計上することがあります。よって、今後も市場の状況や製品の需要が当社の想定を下回れば、棚卸資産の評価損を計上しなければならない可能性があります。
c.有形固定資産及び無形資産の耐用年数
有形固定資産は、事業ごとの実態に応じた見積利用可能年数または見積投資回収期間に基づき、主として定額法で償却しています。償却性無形資産は、資産の将来の経済的便益が消費されると予測される期間に基づき、主として定額法で償却しています。
将来、技術革新等による設備の陳腐化や用途変更並びに事業環境の変化等による利用可能期間の見直しの結果、耐用年数を変更する場合には、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
d.有形固定資産、のれん及び無形資産の減損
当社は有形固定資産及び償却性無形資産について、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で、減損テストを行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損テストを行っています。減損損失は、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を上回った場合に認識しています。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値は、マネジメントが承認した事業計画を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率により現在価値に割り引いて算定しています。
よって、使用価値は、様々な仮定に基づき算定されているため、使用価値の減少をもたらすような予測不能な事業環境の変化等が生じた場合には、減損損失が発生するリスクがあります。
e.償却原価で測定する金融資産の減損
当社は主に営業債権等の償却原価で測定される金融資産について、回収可能性や信用リスクの著しい増加等を考慮のうえ、将来の予想信用損失を測定していますが、実際の損失が予想信用損失より過大または過少になる可能性があります。
f.金融商品の公正価値
当社は特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
g.法人所得税費用
当社は繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りと税務上、実現可能と見込まれる計画に依拠します。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。
当連結会計年度末において繰延税金資産を121,042百万円認識しています。当社は、当連結会計年度の税引前利益及び法人所得税費用と比較し、当該繰延税金資産が将来において合理的に実現するものと考えます。
また当社は、税務調査を受けることを前提に税務上認識された不確実な税務ポジションについて、発生の可能性が高いと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。
当社は、当連結会計年度末において不確実な税務ポジションを総額で730百万円計上しています。当社は、法人所得税の不確実性に関する最終的な解決が将来の連結損益計算書へ重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
h.確定給付制度
確定給付制度において確定給付負債または資産の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除して算定されます。
確定給付制度債務の現在価値は数理計算上の仮定に基づき算定されます。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率などの基礎率についての見積り及び判断が求められます。
当社は優良社債の利回り等を参考に割引率を決定します。昇給率は主に過去の実績、近い将来の見通し、物価変動などにより決定されます。当社は毎年、数理計算の基礎となる前提条件を見直しており、必要に応じてその時点の市場環境をもとに調整を行っています。
日本及び世界的な経済の停滞により、当社が割引率を引き下げる場合には、確定給付制度債務及び関連する勤務費用等が増加します。
i.引当金及び偶発債務
当社は通常の事業活動を営む上で、様々な訴訟や賠償要求を受ける可能性があります。当社は、法律専門家と相談の上で、こうした偶発債務が重要な結果を引き起こす可能性を予測しています。当社は、不利益な結果を引き起こす可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当該債務を計上します。見積りを行う際、当社は受けている訴訟の進捗、及び他の会社が受けている同種の訴訟やその他関連する事項を考慮します。発生した負債は、見積りに基づいており、将来における偶発債務の発展や解決に大きく影響されます。
j.収益認識
当社は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下「IFRS第15号」)に従い、IFRS第9号「金融商品」に基づく利息及び配当金等、及び、IFRS第16号「リース」に基づくリース契約等を除く顧客との契約について、次のステップを適用することにより、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に(または充足するにつれて)収益を認識する。
当社は、情報通信、自動車関連、環境・エネルギー並びに医療・ヘルスケア等の市場における販売を主な収益源としています。当社におけるレポーティングセグメントは、「産業・自動車用部品」、「半導体関連部品」、「電子デバイス」、「コミュニケーション」、「ドキュメントソリューション」、「生活・環境」で構成されています。
これらのレポーティングセグメントにおいて、顧客への販売は、顧客と締結した取引基本契約書及び注文書に記載された条件に基づいて行われます。当該契約書及び注文書には、価格、数量並びに所有権の移転時点が記載されています。
(a) 製品の販売
製品の販売については、主に製品が顧客へ引き渡された時点または船積日で顧客が当該製品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断し、収益を認識しています。
なお、「ドキュメントソリューション」及び「生活・環境」における、最終消費者向けの設置を伴うプリンター、複合機や太陽光発電システムの販売については、契約上の義務がない限り、製品が設置され、顧客が受入れた時点において履行義務が充足されると判断し、収益を認識しています。
(b) サービスの提供
「ドキュメントソリューション」においては、プリンターや複合機の使用量に応じた従量料金、固定料金を支払う製品の保守契約による収益を認識しています。当社は、契約の履行義務を、契約に基づき、機器を常時利用可能な状態を顧客に提供することと判断しており、これらの収益を、関連する履行義務を充足するにつれて一定期間に渡り認識しています。固定料金の保守契約については顧客との契約に係る取引額を契約期間にわたり均等に収益認識しています。
すべてのセグメントにおいて、当社は製品に欠陥があった場合のみ返品を受入れます。また、当社の販売条件には、「電子デバイス」における販売プログラムを除いて、価格保証、ストック・ローテーションまたは返品規定はありません。
(c) 販売奨励金
「電子デバイス」において、各種電子部品を販売する代理店への販売については、以下の様々な販促活動が定められており、顧客との契約において約束された対価から販売奨励金を控除した金額で収益を測定しています。
ⅰ.ストック・ローテーション・プログラム
ストック・ローテーション・プログラムとは、品質に問題のない在庫について、直近6ヵ月の売上高に対して特定の比率を乗じ算出される金額分を、代理店が半年毎に返品することが可能な制度です。売上高に対するストック・ローテーション・プログラムの引当金は、現時点までの推移、現在の価格と流通量の情報、市場の特定の情報や売上情報、マーケティングやその他主要な経営手段を用いて算出した代理店の売上高に対する比率に基づき、収益認識時点で算定し、計上されており、これらの手続きには、重要な判断を必要とします。当社は、ストック・ローテーション・プログラムによる将来の返品について妥当な算定ができていると考えており、これまでの実際の結果と算定額に重要な乖離はありません。なお、製品が返品され、検収された時点で、代理店に対する売掛金を減額しています。
ⅱ.シップ・フロム・ストック・アンド・デビット・プログラム
シップ・フロム・ストック・アンド・デビット・プログラム(以下、シップ・アンド・デビット)は、代理店が顧客への販売活動における市場での価格競争に対して代理店を補助する仕組みです。シップ・アンド・デビットが適用されるためには、代理店が在庫から顧客へ販売する特定部分についての価格調整を、代理店が要求する必要があります。シップ・アンド・デビットは、現在及び将来の代理販売において、代理店が顧客へ販売する特定部分について適用されることがあります。IFRS第15号に準拠し、当社は代理店に対して収益を認識した時点で、その代理店への売上高にシップ・アンド・デビットが適用される可能性を考慮して、その売上高に関連する代理店の将来の活動に対して変動対価を見積り、計上しています。当社は、当該期間における売上高、代理店に対する売掛金の残額、代理店の在庫水準、現時点までの推移、市場状況、設備製造業やその他顧客に対する直接的な販売活動に基づく価格変動の傾向、売上情報、マーケティングやその他主要な経営手段を用いて、売上高に対する変動対価を見積り、計上しています。これらの手続きは慎重な判断のもとで行われており、またその結果、当社はシップ・アンド・デビットにおける変動対価について、妥当な算定、計上ができていると考えています。これまでの当社の実際の結果と算定額に重要な乖離はありません。
(d) リベート
「産業・自動車用部品」と「ドキュメントソリューション」における代理店への販売において、当社は、定められた期間内に予め定めた売上目標を達成した代理店に対し、現金でリベートを支払っています。このリベートについては、収益を認識した時点で見積った各代理店の予想販売額に基づき、リベート額を算定して、これを収益から控除しています。
(e) 返品
当社は、収益を認識した時点で過去の実績に基づいて返品による損失額を見積り、収益から控除しています。
(f) 製品保証
当社は、主に「ドキュメントソリューション」において、製品に対して通常1年間の製品保証を提供しています。また、最終消費者への販売において、1年間の保証期間終了後、延長保証契約を締結する場合があります。この延長保証契約については、別個の履行義務として識別し、取引価格の一部を当該履行義務に配分した上で、延長保証期間にわたり収益を認識しています。
また、製品販売、製品保証など複数の財またはサービスを提供する複数要素取引に係る契約については、契約に含まれる履行義務を識別し、契約の対価を配分する必要がある場合には、取引価格を独立販売価格に基づき配分しています。独立販売価格は、類似する製品またはサービスの販売価格やその他の合理的に利用可能な情報を参照して算定しています。