有価証券報告書-第89期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/22 10:36
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127項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 事業環境、経営成績等の状況・分析・検討

①中期ロードマップ「SF 2nd Stage」における財務目標
当社グループが中期ロードマップ「SF 2nd Stage」で掲げる財務ガイダンスは下記の通りです。
指標2025年度
実績
2026年度
計画
2030年度
挑戦的目標
売上高の年平均成長率(CAGR)(注1)7.3%(注2)7.0%(注2)7%(注1)
営業利益率7.8%7.6%12%
自己資本利益率(ROE)4.7%(注3)5.5%程度(注3)10~12%
投下資本利益率(ROIC)3.9%(注3)4.0%程度(注3)8~10%
EPS(注4)成長率116.5%(注2)15%~20%
データサービス売上比率9%11%15%

(注)1 CAGR:2024年度から2030年度の成長率、2030年度挑戦的目標では同期間の平均成長率の目標を記載
2 2025年度及び2026年度の成長率は前年度実績に対する成長率を記載
3 継続事業からの当期純利益ベースで算出した数値
4 1株当たり利益(Earnings Per Share)
<事業セグメント別ガイダンス>
セグメント2025年度
実績
2030年度
挑戦的目標
売上高営業利益営業利益率CAGR営業利益率
制御機器事業
(IAB)
4,095億円428億円10.4%+6.0%16%
ヘルスケア事業
(HCB)
1,453億円154億円10.6%+4.0%14%
社会システム事業
(SSB)
1,443億円197億円13.7%+9.0%14%
データソリューション事業
(DSB)
512億円36億円7.1%+23.0%18%

②成長実現に向けた施策~キャッシュ創出力の強化~
SF 2nd Stageでは、当社グループを再び成長軌道に乗せるための積極的な投資の原資として、2026年度から2030年度の5年間累計で10,500億円のキャッシュ創出を目標に、収益拡大と資産効率向上の両面から施策を推進します。収益拡大に向けては、高収益なコア事業の成長を軸に、地域統括本社の発展的解消などによるグループ間接コストの削減や開発生産性の向上に取り組みます。資産効率の向上においては、事業ポートフォリオの継続的な見直しに加え、サプライチェーンの最適化による在庫圧縮や、取引先と連携したサプライヤー・ファイナンスの導入を通じて、運転資本の効率化を図ります。これらの取組みにより、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮による資金循環の効率化を実現し、キャッシュ・フロー創出力のさらなる向上を目指します。
<キャッシュ創出力の強化>0102010_021.png
③SF 2nd Stageにおけるキャピタルアロケーションの考え方
当社は、2030年に向けた経営戦略の中核としてポートフォリオマネジメントを位置付け、制御機器事業を軸に競争力の強化と持続的成長の実現を目指しております。ポートフォリオ改革の一環として実施した電子部品事業の株式譲渡やキャッシュ創出力強化の取組みによって、獲得した投資原資は成長を牽引する注力事業に重点的に配分します。また、資本効率の向上も重要課題と認識しており、自己株式の取得については、株価水準、財務健全性及び成長投資機会等を総合的に勘案し、機動的に判断してまいります。
0102010_022.png(注) 本社等の設備投資、必要手元資金への充当、社債・借入返済、株主還元等
④当社グループの経営成績の実績及び見通し
<2025年度実績>当社は、2026年3月30日にDMB(電子部品事業)の会社分割(吸収分割)及び承継会社の株式譲渡(子会社等の異動)を行うことを当社取締役会で決議したことに伴い、当連結会計年度から当事業を非継続事業に分類しています。このため、当社グループの経営成績等の開示数値については、売上高、売上総利益、営業利益、継続事業からの税引前当期純利益については、非継続事業を除外した数値を開示しています。
当期(2026年3月期)における当社グループの業績は、前期比で、増収増益となりました。売上高は、制御機器事業において生成AI関連などで堅調に推移する需要を着実に捉えたことに加え、他の事業も順調に推移したことで、前期比で増加しました。
営業利益は、原材料価格の高騰、物流コストの上昇、米国関税政策の影響などによる売上総利益率が低下したほか、2025年11月7日に発表した2030年度までの中期ロードマップ「SF 2nd Stage」の実現に向けた成長投資の実施があったものの、売上拡大および業績状況に応じた固定費コントロールを行った結果、前期比で増加しました。
継続事業からの税引前当期純利益および当社株主に帰属する当期純利益は、人員数・能力の最適化に伴う一時的費用を計上した前期に比べ、大きく増加しました。
<2026年度見通し>当社グループにおける次期(2027年3月期)の事業環境は、制御機器事業において、生成AI関連需要を背景に、半導体関連や二次電池領域での設備投資は年間を通して好調に推移すると見ています。ヘルスケア事業や社会システム事業においても事業環境は堅調に推移すると見込みます。
一方で、足元では中東情勢の動向次第で世界経済が大きな影響を受ける可能性もあり、不確実性の高い状況にあります。引き続き、今後の動向を注視してまいります。
なお、当社グループは、2027年3月期第1四半期より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度の見通しはIFRSに 基づき作成しています。
<売上高・営業利益・売上総利益率の推移>0102010_023.png(注)1 DMB(電子部品事業)を非継続事業に分類したことに伴い、2024年度及び2025年度の売上高、売上総利益率、営業利益については非継続事業を除いた継続事業の金額に組替えを行っています
2 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。
<2026年度の経営方針と重点取組み>次期は、「Trusted Growth ~GEMBA DX企業への転換に向けた顧客との信頼関係のさらなる深化~」を全社方針とし、注力13事業の成長に向けた計画を完遂するためのアクションを着実に遂行します。
<財務目標>
指標2024年度
実績
米国会計基準
2025年度
実績
米国会計基準
2026年度
計画
IFRS
売上高7,154億円7,674億円8,200億円
営業利益534億円599億円620億円
自己資本利益率(ROE)2.2%4.7%5.5%程度
投下資本利益率(ROIC)1.9%3.9%4.0%程度
1株当たり利益(EPS)86.83187.98228.86

(注)上記数値は非継続事業を除外して算出しています
また、ROE、ROIC,EPSの各数値は継続事業からの当期純利益ベースで算出しています
<非財務目標>0102010_024.png
⑤各事業セグメントの実績及び見通し
0102010_025.png<「SF2030」における成長戦略>IABでは、事業ビジョン「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」を掲げ、サステナブルな産業への進化に向け、産業の高度化と働く人々の幸せの両立を目指しています。このビジョンの実現に向け、大きく2つの取組みを進めています。それは、私たちのソリューションを支える商品(コンポーネント)の再強化と新たなソリューション創出に向けたパートナーとの協創です。
商品の再強化にあたっては、全社の開発リソースを競争力の高い商品開発に集中的に配分しています。2025年度にはセンサやコントローラなど20機種を計画通りリリースし、2026年度にもリレーなど多くの機種を発売する予定です。加えて、製造技術の進化を実現する制御アプリケーションの強化を業界やお客様にあわせて進めています。「半導体・EV」などの高精度な制御技術が求められる先端技術領域のお客様にむけても、オムロンのエンジニアがお客様の現場に入り込み、一緒に課題を解決することでアプリケーションを進化させていきます。例えば、半導体大手のNVIDIA社と仮想空間上で機器動作を高精度に再現・検証するデジタルツイン技術の協業を進め、現場の生産性向上に寄与することを目指しています。
新たなソリューションの創出に向けては、現場データによってライン単位、工場単位で「予兆保全」や「不良品を作らないモノづくり」「省エネルギー生産」を解決してきたi-BELTサービスに加え、製造業への高い知見を有するIT企業のコグニザント社との戦略的パートナーシップにより新たなIT-OTソリューションを創出し、今後の成長の柱としていきます。オムロンはコンポーネントの幅広い品揃えと新たなソリューションでお客様の課題を解決し、持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化に貢献していきます。
<2025年度の業績と2026年度の見通し>
2025年度の業績
売上高の
状況
グローバルにおける設備投資需要は、EV関連分野は引き続き停滞したものの、生成AI関連は堅調に推移しました。これらの投資需要を確実に捉えたことに加え、昨年度から継続的に進めている各エリアの顧客ニーズに対応した新商品を計画通りに開発・リリースを行った効果もあり、売上高は前期比で大きく増加しました。
営業利益の
状況
将来成長に向けた先行投資を実行したことに加え、部材価格や物流コストの上昇などの影響があったものの、売上高が大きく増加したことにより、営業利益は前期を大きく上回りました。

2026年度の見通し
売上高の
見通し
生成AI関連の力強い需要を背景に、半導体関連の設備投資はグローバルで堅調に推移すると見込みます。また、電気自動車(EV)や二次電池業界においても、停滞していた設備投資が緩やかに回復すると見込みます。また、顧客ニーズに対応した新商品のリリースも予定しており、次期の売上高は当期比で増加を見込みます。
営業利益の
見通し
将来の事業成長に向けた投資を売上高の増加に加え、固定費の効率的な運用や生産性向上を図ることで、次期の営業利益は当期比での増加を見込みます

<売上高・営業利益・営業利益率の推移><非財務目標KPIの進捗>0102010_026.png 0102010_027.png(注)1 経営管理区分の見直しにより、2022年度よりIABの一部をDMBに含めて開示しています。これに伴い2021年度を新管理区分に組み替えて表示しています。
2 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。
3 DMB(電子部品事業)を非継続事業に分類したことに伴い、2024年度及び2025年度の数値については、当該区分で再算出した数値で記載しています。
0102010_028.png<「SF2030」における成長戦略>革新的なデバイスの創出
50年以上にわたり蓄積してきた圧脈波(*)に関する深い知見とAIを活用して、血圧を測定するだけで「心房細動」の可能性を検知することができるオムロン独自の次世代アルゴリズム「Intellisence AFib」を搭載した血圧計を2024年に欧州と米国、中国で、2025年に日本と東南アジア、中南米で発売しました。これは、血圧測定時に取得できる圧脈波データを解析し、心房細動の可能性を判別する今までにない技術です。中国では、主要薬局チェーンと連携し、店舗に「心房細動リスクスクリーニングエリア」を設けるなど、この技術の価値をより多くのお客様に体験していただく機会を増やしています。脳梗塞の原因のひとつである心房細動の早期発見・早期治療につなげる取組みを、グローバルに展開していきます。
* 心臓が拍動し血液が動脈内を流れる際に、血管内壁にかかる圧力
デジタルヘルス事業の加速
2016年に日本でリリースを開始したスマートフォンの健康管理アプリ「OMRON connect」(オムロンコネクト)は、現在130を超える国や地域で累計1,500万以上ダウンロードされています。「OMRON connect」には血圧計などのデバイスで測定された数値が日々蓄積されています。これらの血圧データと、JMDC社の健診・レセプトデータを組み合わせることで、個人の疾病リスクを予測し、一人ひとりに最適なアドバイスを提供し、生活習慣改善をサポートするための検証が本格的にスタートしています。また、今後は通信機能つきデバイスの普及拡大による会員基盤の強化に加えて、専門家監修による個人向け健康管理プログラム医療との連携、さらに自社以外のサービスとの連携を拡大していきます。
これらの取組みにより、革新的な予防医療の仕組みを社会に実装し、世界中の人々の健康寿命の延伸に貢献していきます。<2025年度の業績と2026年度の見通し>
2025年度の業績
売上高の
状況
主力製品である血圧計市場において、中国を除くエリアでは堅調に推移しました。中国では、消費低迷の影響を受けつつも新商品を投入したことなどにより、第2四半期(2025年7月~9月)以降、継続して前年同期比で増加しました。しかしながら、第1四半期(2025年4月~6月)における減少の影響が大きく、通期の売上高は前期並みの水準となりました。
営業利益の
状況
米国関税政策による影響や血圧計のグローバルでの主要価格帯における競争激化がある中、原価低減や固定費構造の見直しに取り組みましたが、営業利益は前期比で大きく減少しました。

2026年度の見通し
売上高の
見通し
グローバルでの血圧計需要は堅調に拡大するものの、中国では横ばいに推移すると見込みます。グローバルでオンラインチャネル拡大への対応を進めるとともに、新興国における低価格化の流れの中でも価格競争力のある商品の投入を行い、需要拡大を引き続き捉えてまいります。以上より、次期の売上高は当期比で増加を見込みます。
営業利益の
見通し
売上高の増加に加え、収益性向上に向けた経営効率化を推進することで、原材料価格の高騰等の外部環境の変化に対応し、次期の営業利益は当期並みの水準を見込みます。

<売上高・営業利益・営業利益率の推移><非財務目標KPIの進捗>0102010_029.png 0102010_030.png(注) 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。
0102010_031.png<「SF2030」における成長戦略>SF2030におけるSSBのビジョンは「Design Next Social Structure ~ソーシャルオートメーションで、人と社会を有機的につなげ “ソーシャルグッド”を生み出す~」です。これには、顧客起点でお客様のニーズに応え、世の中の課題を見つめ、「次世代の社会システム」をデザインし続けるという意志を込めています。事業成長に向けた取組みとして、市場が堅調に成長する「エネルギー」と「マネジメント・ サービス(M&S)」をSSBの中長期的な成長事業として注力し、新たなソリューション提供を加速させていきます。
エネルギーソリューション
エネルギーソリューションでは、蓄電システムのトップシェアの維持に加え,高品質な新商品の投入等により付加価値の向上や新たなサービスビジネスの拡大により、市場成長を上回る事業成長を目指します。具体的には、蓄電システムの商品ラインナップ拡大に加え、日常生活における電力の使用パターンに応じて太陽光発電量と消費電力量の変動をAIで最適に制御するサービスなどと掛け合わせた提供を進めます。
M&S
M&Sでは、全国に有する保守拠点を活かした迅速・均質なサービス提供や、顧客の導入する機器メーカーに拘らないマルチベンダー対応に加え、多拠点をもつお客様の各拠点での機器の稼働状況や在庫管理、顧客行動など様々なデータを収集し、店舗運営にとどまらず事業運営全体での課題解決に向けて取り組むことで事業拡大を目指します。SSBは、事業成長の基盤を確立しながら、再生可能エネルギーの普及・効率的運用と社会のインフラ持続性に貢献し、次世代の社会システムをデザインし続けることで、“ソーシャルグッド”による笑顔溢れる未来の実現を目指します。
<2025年度の業績と2026年度の見通し>
2025年度の業績
売上高の
状況
エネルギーソリューション事業は、再生可能エネルギーの自家消費ニーズの高まりや補助金制度の利用、産業・商業領域でのカーボンニュートラルに向けた取組み加速による投資継続を受け、蓄電システムなどが堅調に推移しました。また、駅務システム事業についても、旅客者数の回復などを背景に、設備投資需要が安定して推移しました。これらの結果、売上高は前期比で増加しました。
営業利益の
状況
売上高が堅調に推移したことに加え、製造原価のコストダウンや価格適正化に取り組んだ効果により営業利益は前期比で大きく増加しました。

2026年度の見通し
売上高の
見通し
エネルギーソリューション事業においては、エネルギー価格の高騰や、カーボンニュートラルに向けた取組みが続いており、引き続き投資は堅調に推移すると見込みます。また、駅務システム事業では、顧客の設備投資が引き続き堅調であると想定しております。以上より、売上高は当期比で増加を見込みます。
営業利益の
見通し
売上高の増加や生産性向上により、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。

<売上高・営業利益・営業利益率の推移><非財務目標KPIの進捗>0102010_032.png 0102010_033.png(注)1 当社グループ内の経営管理体制変更により、従来SSBに計上していたオムロンデジタル株式会社の業績を本社機能部門としたことに伴い、
2025年度および2024年度のセグメント情報を新管理区分に組替えて記載しています。
2 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。
0102010_034.png<「SF2030」における成長戦略>データソリューション事業本部(DSB)は、オムロングループのビジネスモデルを、モノ(製品)単体の製造販売モデルからモノ+サービスのソリューションモデルへ進化させる中核的な役割を担います。長年にわたり、制御機器事業・ヘルスケア事業・社会システム事業で提供してきた各種製品から得られる現場データを活用して、顧客の課題解決をオムロンのサービス価値として提供します。
その成長を牽引するのは、JMDC事業の拡大と、DSBが注力する3つのデータサービス事業(データヘルス、コーポレートヘルス、マネジメント・サービス(M&S))です。データヘルス事業では、JMDCが持つ医療データとオムロンが持つバイタルデータを活用し、個人の疾患リスク可視化と行動変容の促進を通じて、予防医療の実現と市場拡大を図ります。コーポレートヘルス事業では、従業員の健康データを基盤に、組織・個人の課題を経営視点で可視化し、健康経営支援サービスを展開します。M&S事業では、現場データを活用したアセスメントとデータソリューションにより、顧客の業務プロセスの高度化を支援し、顧客の売上成長および収益性向上に資するサービスを提供します。オムロングループ全体では、制御機器事業(IAB)で推進するIAデータソリューション事業やヘルスケア事業(HCB)で推進するデジタルヘルス事業を加えた注力データサービス事業群で、2027年度データサービス事業売上高1,000億円超を目指します。
<2025年度の業績と2026年度の見通し>
2025年度の業績
売上高の
状況
JMDC社における健康情報プラットフォーム「Pep Up」(ペップアップ)の発行ID数が引き 続き拡大しました。健康保険組合や医療機関に由来した匿名加工データを利活用する製薬企 業および保険会社などとの取引額も引き続き増加しました。これらの結果、売上高は前期比 で大きく増加しました。
営業利益の
状況
データサービス事業創出に向けた投資を着実に実施する一方で、JMDC社の営業利益 が堅調に推移したことにより、前期比で大きく増加しました。

2026年度の見通し
売上高の
見通し
JMDC社の事業において、製薬企業中心に医療データ利活用の動きが引き続き拡大すると見込んでいます。また個人の健康、予防意識の高まりを受け、保険者、生活者向けサービスの需要も拡大が続くと見ています。以上より、次期の売上高は当期比で増加を見込みます。
営業利益の
見通し
売上高増加に伴い、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。

<売上高・営業利益・営業利益率の推移><非財務目標KPIの進捗>
0102010_035.png0102010_036.png
<データサービス事業の全社に占める売上構成比率>0102010_037.png
0102010_038.png

(注)1 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。
2 データサービス事業の売上は、DSBセグメントで行う事業の売上に加え、DSBセグメント事業以外が行う、現場データを活用して顧客の課題を解決するサービス事業の売上も合算して表示しています。

(2) 財政状態、キャッシュ・フローの状況・分析・検討

①財政状態
当期末の資産の部は、現金及び現金同等物の増加や株価上昇等による年金資産増加を背景とした前払年金費用の増加により、前連結会計年度末に比べ1,538億円増加の15,163億円となりました。負債の部は、事業運営資金確保のための短期債務の増加により、前連結会計年度末に比べ877億円増加の5,157億円となりました。純資産の部は、為替換算調整額や退職年金債務調整額の増加などにより、前連結会計年度末に比べ661億円増加し10,006億円となりました。株主資本比率は55.1%と強固な財務基盤を維持しています。なお、資産の部・負債の部の合計額には、DMB(非継続事業)に関連する流動資産及び流動負債を、それぞれ1,272億円、406億円含んでいます。
資金流動性については、当期末現在の手元現預金を1,665億円保有していることに加えて、金融機関との間で700億円のコミットメントラインを契約しており、高い水準を維持しています。また、今後の成長投資資金の確保に備え、格付機関から長期発行体格付として高格付を維持するとともに、グローバルで金融機関との良好な関係を維持することで、資金調達力を確保してまいります。
<2026年3月末の連結貸借対照表の概要>
2025 年 3 月末2026 年 3 月末増減
資産合計(資産の部合計)13,625億円15,163億円+1,538億円
負債の部合計4,280億円5,157億円+877億円
株主資本7,719億円8,359億円+640億円
非支配持分1,625億円1,647億円+21億円
純資産の部合計9,344億円10,006億円+661億円
負債及び純資産合計13,625億円15,163億円+1,538億円

なお、当期(2025年度)のROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)は、前期より改善しましたが、依然として当社グループの資本コスト(当社推定値8%)を大きく下回る水準となりました。さらなる企業価値向上のためには、蓄積されたキャッシュと今後生み出すキャッシュを既存事業の強化と新たな成長機会に再投資し、成長を加速することが必要と認識しています。引き続き、経営資本の適正配分により、将来キャッシュ・フローの創出能力と資本効率を高めて企業価値向上を実現してまいります。
0102010_039.png0102010_040.png(注)ROIC及びROEの2024年度、2025年度および2026年度の数値は、継続事業からの当期純利益をベースに算出しています。
<株主資本、株主資本比率>0102010_041.png
②キャッシュ・フローの状況
キャピタルアロケーションの方針
当社グループにおける株主還元方針を含めたキャピタルアロケーションポリシーは、以下のとおりです。
<キャッシュアロケーションポリシー>(ⅰ)中長期視点で新たな価値を創造するため、事業投資に軸足を置いた資源配分を実行します。持続的な成長を支える注力事業への投資を最優先し、特に最注力ドメインである制御機器事業領域への投資を強化します。
(ⅱ)そのうえで、安定的・継続的な配当に加え、当社グループの将来の資金需要、業績水準、株価水準、財務状況などを総合的に勘案し、自己株式の取得を機動的に実施します。
(ⅲ)投資や株主還元の原資は、内部留保や持続的に創出する営業キャッシュ・フローを基本としつつ、M&Aの実行においては外部資金調達も積極的に活用します。なお、金融情勢によらず資金調達を可能とするため、引き続き財務健全性の確保に努めます。
当社グループの株主還元方針については、「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載しています
2025年度のキャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の増加などにより、609億円の収入(前期比51億円の収入増)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、資本的支出などにより701億円の支出(前期比222億円の支出増)となりました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは92億円の支出(前期比170億円の支出増)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期債務の増加などにより324億円の収入(前期比370億円の収入増)となりました。
以上の結果、継続事業に係る当期末における現金及び現金同等物残高は、前期末から346億円増加し、1,665億円となりました。
<2025年度のキャッシュ・フローの概要>
2024年度2025年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー558億円609億円+51億円
投資活動によるキャッシュ・フロー△479億円△701億円△222億円
フリーキャッシュ・フロー79億円△92億円△170億円
財務活動によるキャッシュ・フロー△46億円324億円+370億円

資本政策の基本的な考え方
当社グループは、成長投資の実行と安定的な事業運営を行うため、資本効率を高めつつ、事業運営に必要な流動性と多様な調達手段を確保することを基本としています。SF 2nd Stageにおける、資金調達を含む資本政策の基本的な考え方は以下の通りです。
(ⅰ) 株主価値を維持・向上するため、売上高成長率、投下資本利益率(ROIC)、株主資本利益率(ROE)および1株当たり利益(EPS)成長率の目標水準を考慮した経営を行います。また、株主総利回り(TSR)の継続的な向上を実現するため、中長期視点で企業価値向上に繋がる成長投資に優先的に配分し、株主還元は安定的・継続的な配当を基本方針とします。なお、有望な投資機会が限定的な場合は、株価水準・財務健全性等を含めて総合的に勘案し、余剰資金を用いた機動的な自己株式の取得に充当します。
(ⅱ) 有望な投資機会に対しては財務規律を意識しつつ、必要に応じて財務レバレッジを活用するものの、経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢によらず資金調達が可能な財務健全性を確保することを前提とします。
また、規律ある財務戦略を実現するため、資本・負債バランスを示す純有利子負債資本倍率(Net DER)や収益性を示す利払前税引前減価償却前利益率(EBITDAマージン)等を財務規律上の重要指標と位置づけ、管理しています。
(ⅲ) 大規模な希薄化や支配権の変動を伴う資本政策を実施する場合は、取締役会で上記目標水準への影響・資金使途や回収計画の合理性・妥当性等を取締役会で十分に審議のうえ決議し、投資家・株主への説明責任を果たします。
<格付情報>本報告書提出時点における格付けについては、株式会社格付投資情報センター(R&I)から以下のとおり取得しております。
格付
長期短期
格付投資情報センターAA-a-1+

<社債情報>社債の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅱ 主な科目の内訳および内容の説明 I 短期債務および長期債務」をご参照ください。
(3) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当有価証券報告書に記載する連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。長期性資産の減損、のれんおよび非償却性の無形資産の減損、および繰延税金資産の回収可能性等については、事業環境の変化の影響を踏まえて見積りおよび判断を行っています。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅰ 重要な会計方針の概要 F 会計処理基準」に記載していますが、当社の経営戦略および連結財務諸表に与える影響から重要性があると考えられるものは以下のとおりです。
戦略投資等にかかるのれん等の評価及び繰延税金資産の回収可能性
当社グループは将来に向けた成長力強化の一環として積極的な戦略投資を行っています。
制御機器事業(IAB)においては、モノ作り現場の課題に対して、“i-Automation!”で革新を起こすアプリケーションを強化することを目的として、2015年にモーションコントローラーメーカーであるDelta Tau Systems, Inc. およびロボットメーカーであるAdept Technology, Inc.を、2017年にコードリーダーメーカーであるMicroscan Systems, Inc.をいずれも 米国にて取得しました。これら一連の戦略投資に起因して取得したのれんについては、取得した事業が“i-Automation!”戦略と一体となってシナジー効果が創出されることから、シナジー効果の享受が期待される、検査装置事業を除いたIABをのれんの報告単位として決定しています。
長期ビジョン「SF2030」ではデータを基軸とした価値創造への収益構造転換が重要になると考えており、その先駆けとして、2022年2月に医療データサービス会社であるJMDC社との資本業務提携のために同社株式を取得したのち、2023年10月には同社株式の追加取得を行い、連結子会社としました。JMDC社の連結子会社化により取得した事業ののれんについては、当社グループの既存ビジネスとJMDC社の協業により、ソリューションビジネスを推進するために2023年12月21日付で設立したデータソリューション事業本部(DSB)を報告単位として決定しています。
ヘルスケア事業(HCB)においては、脳・心血管疾患の重症化を防ぎ、治療をサポートする事業での協業を目的として、米国を中心に心疾患の診断と治療の支援サービスおよび商品を提供するAliveCor,Inc.へ2020年2月に出資を行いました。当年度末連結貸借対照表において、関連会社に対する投資および貸付金には、同社投資時識別した持分法によるのれん相当額が含まれています。
また、当年度末連結財務諸表には、当社にかかる繰延税金資産(繰延税金負債相殺前)が42,681百万円含まれています。繰延税金資産の残高は、2023年度の業績の急速な悪化に加え、2024年度から実施した構造改革「NEXT 2025」に関連する費用の計上や研究開発投資の継続的に実施した影響などにより前年度期末時点から増加しています。
・のれん評価
当社グループは、のれんの評価について、のれんの償却は行わず、少なくとも年に1回又は減損の兆候が識別された場合に減損テストを実施しています。
IABのれんの減損テストの実施に当たっては、当該報告単位の公正価値をディスカウント・キャッシュ・フロー法により算出した評価額と対応する帳簿価額を比較して行っています。
DSBのれんは、市場価格にコントロールプレミアムを加味した市場株価法による評価額と、経営者により承認された事業計画を基礎とし、事業計画予測期間以降は、類似する上場企業の財務諸表から算定したマルチプルを用いて算出した将来キャッシュ・フローの見積り額の現在価値に割り引いて算出しています。
これらの減損テストの実施に使用する事業計画の策定には、マクロ経済状況、市場成長率、利益率、設備計画等の仮定を用いており、事業計画予測期間以後のキャッシュ・フローは、各事業の所在国のインフレ率で永続的に成長する仮定や、類似企業の公開市場での評価を参考にしており、多くの重要な見積りを含んでいます。
加重平均資本コストは、リスクフリーレート、所在国の経済や市場の状況を反映させるためのリスクプレミアム、インフレ率、負債コスト、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムもしくはディスカウントが適用されるべきかの決定等、多くの見積りを使用して算出しています。
当年度の減損判定においては、のれんを持つすべての報告単位の公正価値が帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失は認識しておりません。
各オペレーティングセグメントの当期末連結貸借対照表におけるのれん残高および減損テストの方法は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅱ 主な科目の内訳および内容の説明 G のれんおよびその他の無形資産」に記載しています。
・関連会社に対する投資の評価
当年度末連結貸借対照表に計上されている関連会社に対する投資および貸付金には、HCBのAliveCor,Inc.に対する持分法による投資8,682百万円が含まれており、純資産に対する当社の持分相当額を上回る9,118百万円は、主に持分法適用開始時に識別したのれん相当額によるものです。
当社は、関連会社に対する投資について、投資先の超過収益力に基づく公正価値評価を行い、その価値の下落が一時的とは認められない場合には、持分の簿価が当該関連会社の公正価値の当社持分を超過した分について持分法損失を認識しています。同社についてはスタートアップ企業であるため将来事業計画の達成可能性の不確実性やのれん相当額の重要性を鑑み当該公正価値をのれんの評価と同じ方法で算出した結果、公正価値が投資簿価を上回ることから、評価損失の計上は不要と判断しています。
・繰延税金資産の評価
当年度末連結財務諸表に計上されている繰延税金資産は、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しており、将来の課税所得の見込みには多くの重要な見積もりを含んでいます。繰延税金資産の評価は、財政状態計算書日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、当社グループの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。当年度の回収可能性の評価においては、期末日時点の繰延税金資産の残高を利用できる十分な将来の課税所得の稼得を見込んでいます。
(4) 生産、受注および販売の実績
当年度におけるセグメントごとの販売実績は、「(1) 事業環境、経営成績等の状況・分析・検討」に記載のとおりです。なお、当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額で示すことはしていません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。

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