有価証券報告書-第51期(令和1年5月21日-令和2年5月20日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の影響による中国景気減速傾向が強まったことにより、わが国を含めたアジア経済及びヨーロッパ経済も減速傾向が強まりました。さらに、米国経済についても、不安定な世界経済の影響を受け、景気見通しが徐々に悪化しました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、世界経済の急激な減速など、先行きに対する不透明感が強まっております。
エレクトロニクス業界におきましては、スマートフォンやデータセンター関連設備需要の低迷により、メモリー半導体の市況悪化が続き、半導体設備投資計画の見直しがありましたが、第3四半期以降は回復傾向がみられました。一方、ロジック半導体においては、高性能化要求に対応するために、大手半導体メーカーを中心に積極投資が進むとともに、情報通信機器向け第5世代移動通信システム(5G)関連の需要の立ち上がりも見られました。また、新型コロナウイルス感染症拡大に対する各国の取り組みにより、医療機器関連の需要が増加しております。
このような情勢の中で当社グループは、営業-開発部門の連携を強化しつつ、新製品を軸とした重点顧客への提案活動に注力してまいりました。
新製品につきましては、海外市場向けAC-DC電源「WMAシリーズ」、小型基板単体シングル出力AC-DC電源「LHAシリーズ」、医用電気機器規格対応マルチスロットタイプAC-DC電源拡充モデル「AME400F/800F」、1Uラック搭載可能高効率AC-DC電源「FETA3000BA」、三相交流入力用ノイズフィルタ「JACシリーズ」電流拡充モデルをそれぞれ市場投入いたしました。
開発・生産面では、当社独自のパワー回路技術やデジタル制御技術・通信技術を活かし、新製品開発力の強化を推進するとともに、生産設備の自社開発や組立工程の品質・生産性の改善により、低コスト化技術力向上の活動に取り組んでまいりました。
一方で、新型コロナウイルスの感染拡大により、一部地域の海外部品メーカーにおける生産工場の操業停止が、当社グループの部品調達・生産活動に波及したものの、当連結会計年度の経営成績に対する影響は軽微でありました。
この結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、受注高は264億43百万円(前年同期比14.6%増)、売上高は238億65百万円(同14.4%減)となりました。利益面におきましては、人件費や経費の節減効果がありましたが、売上高の減少と変動費比率の上昇により収益力が低下し、経常利益は16億36百万円(同50.3%減)となりました。また、前第1四半期連結会計期間に取得したPowerbox International ABを含めたヨーロッパ事業の再編を進め、関係会社(Powerbox Australia Pty Ltd)の株式売却及びPowerboxグループ従業員の臨時解雇費用等の事業再編損3億12百万円、投資有価証券評価損1億9百万円を計上したことに加え、法人税等調整額の増加要因もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は3億3百万円(同85.7%減)となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
① 日本生産販売事業
日本国内では、顧客・販売店の在庫及び発注調整、半導体製造装置関連の設備投資延期、中国経済の減速の影響によって、需要の減少が続いておりましたが、第2四半期後半から在庫調整が進んだこと、半導体製造装置関連、5G関連、新型コロナウイルス対応のための医療機器関連の需要が増加しました。
このような情勢の中、営業-開発部門の連携を強化し、新製品の拡販活動に注力するとともに、新規顧客の開拓、重点顧客の深堀活動に取り組んでまいりました。
この結果、外部顧客への売上高は、149億71百万円(前年同期比16.2%減)、セグメント利益は15億85百万円(同47.5%減)となりました。
② 北米販売事業
米国では、米中貿易摩擦の影響に伴う生産調整や設備投資減速の影響により、需要が減少しておりましたが、第3四半期以降、半導体製造装置関連の需要が増加しました。
このような情勢の中、ファクトリーレップとの連携活動に注力してまいりました。
この結果、外部顧客への売上高は、17億48百万円(前年同期比28.6%減)、セグメント利益は1億12百万円(同63.1%減)となりました。
③ ヨーロッパ生産販売事業
ヨーロッパでは、中国経済の減速の影響を受け、ドイツ市場を中心に需要低迷が続いており、スウェーデンに本拠点を置くPowerbox社のカスタム電源ビジネスもヨーロッパ経済の低迷を受け、低調に推移いたしました。
このような情勢の中、営業力強化に向けた体制構築準備、新規プロジェクト獲得、新規顧客開拓に注力してまいりました。
この結果、外部顧客への売上高は、50億86百万円(前年同期比0.4%増)、セグメント損失は4億1百万円(前年同期はセグメント損失3億17百万円)となりました。
なお、当該セグメントは、前第1四半期連結会計期間にPowerbox International ABの株式取得を行い、新たに連結子会社化したことで、報告セグメントを「ヨーロッパ販売事業」から「ヨーロッパ生産販売事業」に変更しておりますが、企業結合のみなし取得日を2018年6月30日としているため、前連結会計年度において、同社の第1四半期連結会計期間の業績は含まれておりません。
④ アジア販売事業
アジアでは、中国と韓国において、顧客・販売店の在庫及び発注調整と中国経済の減速の影響によって、需要の減少が続いておりましたが、第2四半期以降に在庫調整が進んだこと、半導体製造装置関連、新型コロナウィルス対応のための医療機器関連の需要が増加しました。
このような情勢の中、ターゲット業界・顧客を絞り、新規プロジェクト獲得、新規顧客開拓に注力してまいりました。
この結果、外部顧客への売上高は、20億59百万円(前年同期比17.7%減)、セグメント利益は51百万円(同40.8%減)となりました。
⑤ 中国生産事業
中国生産事業においては、新製品の量産開始と受注増加に伴う生産能力の増強及び開発力強化のため、新工場の稼働準備を進めてまいりました。中国本土での新型コロナウイルス感染症拡大により一時的な工場操業停止の影響があったものの、中国政府指導の下、操業を開始しております。また、医療機器関連の需要拡大に伴い、生産体制の増強を実施しております。
この結果、セグメント間の内部売上高は、11億53百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は2億3百万円(同14.7%増)となりました。
財政状況につきましては、当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金、売掛債権、有価証券が増加した一方で、たな卸資産、有形固定資産及びのれん等の無形資産が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ20億4百万円減少し、422億91百万円となりました。負債の部では、買掛金、短期借入金、製品保証引当金の減少等により前連結会計年度末に比べ1億57百万円減少し、40億20百万円となりました。純資産の部では、自己株式の取得、利益剰余金及びその他の包括利益累計額の減少により前連結会計年度末に比べ18億46百万円減少し、382億71百万円となりました。この結果、自己資本比率は90.4%(前連結会計年度末は90.5%)となりました。
2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12億4百万円増加し、82億74百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、30億22百万円(前年同期比19.6%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益11億69百万円、減価償却費12億55百万円、事業再編損3億13百万円、たな卸資産の減少額5億72百万円、法人税等の支払額5億79百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、2億19百万円(前年同期は使用した資金38億25百万円)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入12億円を計上した一方で、有形固定資産の取得による支出9億8百万円があったこと等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、18億25百万円(同35.2%減)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出10億2百万円、配当金の支払額5億62百万円等によるものであります。
3)生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績、受注実績及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、ヨーロッパ生産販売事業においては、前第1四半期連結会計期間にPowerbox International ABの株式取得を行い、新たに連結子会社化したことで、報告セグメントを「ヨーロッパ販売事業」から「ヨーロッパ生産販売事業」に変更しておりますが、企業結合のみなし取得日を2018年6月30日としているため、前連結会計年度において、同社の第1四半期連結会計期間の生産実績、受注実績及び販売実績は含まれておりません。
a.生産実績
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価額によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
(注)1.金額は販売価額によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成に当たりましては、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。そのため、これらの見積りについては過去の実績や状況に応じ、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りに不確実性があるため異なる場合があります。特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される判断と見積りに重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響は経済や社会、企業活動に広範な影響を及ぼず事象であり、今後の感染症拡大や収束時期、その影響の程度を合理的に予測することは困難な状況にあります。
当社グループは、感染症の影響は長期化するものと考えておりますが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を踏まえて翌連結会計年度の下期以降には、経済活動や業績が回復に向かうとの仮定に基づき見積りを行っております。
① のれん等無形固定資産の減損処理
当社グループは、減損会計の対象となるのれん、技術資産及び顧客関連資産を有しております。現状、減損損失の認識が必要な資産はありませんが、今後、市場の動向や業績の状況に基づき見積られた将来キャッシュ・フローの総額の見積りが、帳簿価額を下回った場合に、減損損失の計上が必要になる可能性があります。
なお、2018年6月に連結子会社化した Powerbox International ABの株式取得の際に計上した無形固定資産(のれん、技術資産及び顧客関連資産)合計額は35億36百万円であり、定額法により償却を行っております。これら無形固定資産の当連結会計年度末の帳簿価額合計は26億14百万円であり、今後、投資時点の計画に比べ同社の業績が低調に推移した場合、減損損失の計上が必要になる可能性があります。
② 有価証券の減損処理
当社グループは、金融機関や販売又は仕入先の株式等を保有しております。これらの株式等は株式市場等の価格変動や投資先の業績悪化等による実質価額変動のリスクを負っており、投資価値が50%以上下落した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
③ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積りにより全部又は一部が回収できないと判断した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
④ 退職給付費用
当社の従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、翌期において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
期待運用収益率と実際の結果が異なる場合、又は予定利率等前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高:238億65百万円(前期比14.4%減)、経常利益:16億36百万円(同50.3%減)、売上高経常利益率は6.9%(前期:11.8%、4.9ポイント低下)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億3百万円(同85.7%減)となりました。
① セグメント別業績
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② 売上原価、売上総利益
前連結会計年度に比べ材料費等の変動費比率が1.1ポイント上昇したことに加え、労務費の増加や生産設備の増強による減価償却費の負担もあり、売上原価率が2.1ポイント上昇しました。その結果、売上総利益率は28.1%(前期30.2%)となりました。
③ 販売費及び一般管理費、営業利益
前連結会計年度末に比べ、減価償却費及びのれん等の償却が80百万円、製品保証費が2億72百万円がそれぞれ増加した一方で、売上高減少に伴う荷造運送費の減少37百万円、人件費、その他経費の節減効果3億43百万円により、販売費及び一般管理費は28百万円減少しました。この結果、売上高営業利益率は7.0%(前期12.0%)となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、生産活動に必要となる運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるものの他、投資活動において、生産設備の増強、新製品開発等を目的とした設備投資を適宜行う予定としております。
これらの資金に対しましては、自己資本比率が90.4%と十分な資本を維持しているため、自己資金にて充当する方針であります。今後も安定した収益基盤を確立し、一層の利益追求に取り組んでまいります。
3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、長期的財務目標として、連結ROE、連結ROAが安定的に二桁を維持できる経営体質を目指しており、第8次中期経営計画において、最終年度である2019年度の数値目標値「連結売上高280億円、経常利益56億円」を掲げ、主要課題に取り組んでまいりました。
当連結会計年度(2019年度)は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症などのグローバルな経営環境変化の影響を受け、海外部品調達停滞や当社の主力業界であるFA関連業界や通信関連業界における設備投資抑制などによる売上高減少に加え、生産能力向上に向けた設備投資や Powerbox International AB の買収に伴うのれん等の償却負担などが重なり、連結売上高238億65百万円(当初計画比△14.8%)、連結経常利益16億36百万円(同△70.8%)、連結ROE 0.8%、連結ROA 3.8%と目標を大きく下回る結果となりました。
第9次中期経営計画におきましては、最終年度の2022年度に連結売上高300億円、連結営業利益45億円を目標に掲げ、連結ROE 8.0%以上、連結ROA 11.0%以上を目指し、持続的成長と企業価値向上を実現すべく経営体質の改善に取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の影響による中国景気減速傾向が強まったことにより、わが国を含めたアジア経済及びヨーロッパ経済も減速傾向が強まりました。さらに、米国経済についても、不安定な世界経済の影響を受け、景気見通しが徐々に悪化しました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、世界経済の急激な減速など、先行きに対する不透明感が強まっております。
エレクトロニクス業界におきましては、スマートフォンやデータセンター関連設備需要の低迷により、メモリー半導体の市況悪化が続き、半導体設備投資計画の見直しがありましたが、第3四半期以降は回復傾向がみられました。一方、ロジック半導体においては、高性能化要求に対応するために、大手半導体メーカーを中心に積極投資が進むとともに、情報通信機器向け第5世代移動通信システム(5G)関連の需要の立ち上がりも見られました。また、新型コロナウイルス感染症拡大に対する各国の取り組みにより、医療機器関連の需要が増加しております。
このような情勢の中で当社グループは、営業-開発部門の連携を強化しつつ、新製品を軸とした重点顧客への提案活動に注力してまいりました。
新製品につきましては、海外市場向けAC-DC電源「WMAシリーズ」、小型基板単体シングル出力AC-DC電源「LHAシリーズ」、医用電気機器規格対応マルチスロットタイプAC-DC電源拡充モデル「AME400F/800F」、1Uラック搭載可能高効率AC-DC電源「FETA3000BA」、三相交流入力用ノイズフィルタ「JACシリーズ」電流拡充モデルをそれぞれ市場投入いたしました。
開発・生産面では、当社独自のパワー回路技術やデジタル制御技術・通信技術を活かし、新製品開発力の強化を推進するとともに、生産設備の自社開発や組立工程の品質・生産性の改善により、低コスト化技術力向上の活動に取り組んでまいりました。
一方で、新型コロナウイルスの感染拡大により、一部地域の海外部品メーカーにおける生産工場の操業停止が、当社グループの部品調達・生産活動に波及したものの、当連結会計年度の経営成績に対する影響は軽微でありました。
この結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、受注高は264億43百万円(前年同期比14.6%増)、売上高は238億65百万円(同14.4%減)となりました。利益面におきましては、人件費や経費の節減効果がありましたが、売上高の減少と変動費比率の上昇により収益力が低下し、経常利益は16億36百万円(同50.3%減)となりました。また、前第1四半期連結会計期間に取得したPowerbox International ABを含めたヨーロッパ事業の再編を進め、関係会社(Powerbox Australia Pty Ltd)の株式売却及びPowerboxグループ従業員の臨時解雇費用等の事業再編損3億12百万円、投資有価証券評価損1億9百万円を計上したことに加え、法人税等調整額の増加要因もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は3億3百万円(同85.7%減)となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
① 日本生産販売事業
日本国内では、顧客・販売店の在庫及び発注調整、半導体製造装置関連の設備投資延期、中国経済の減速の影響によって、需要の減少が続いておりましたが、第2四半期後半から在庫調整が進んだこと、半導体製造装置関連、5G関連、新型コロナウイルス対応のための医療機器関連の需要が増加しました。
このような情勢の中、営業-開発部門の連携を強化し、新製品の拡販活動に注力するとともに、新規顧客の開拓、重点顧客の深堀活動に取り組んでまいりました。
この結果、外部顧客への売上高は、149億71百万円(前年同期比16.2%減)、セグメント利益は15億85百万円(同47.5%減)となりました。
② 北米販売事業
米国では、米中貿易摩擦の影響に伴う生産調整や設備投資減速の影響により、需要が減少しておりましたが、第3四半期以降、半導体製造装置関連の需要が増加しました。
このような情勢の中、ファクトリーレップとの連携活動に注力してまいりました。
この結果、外部顧客への売上高は、17億48百万円(前年同期比28.6%減)、セグメント利益は1億12百万円(同63.1%減)となりました。
③ ヨーロッパ生産販売事業
ヨーロッパでは、中国経済の減速の影響を受け、ドイツ市場を中心に需要低迷が続いており、スウェーデンに本拠点を置くPowerbox社のカスタム電源ビジネスもヨーロッパ経済の低迷を受け、低調に推移いたしました。
このような情勢の中、営業力強化に向けた体制構築準備、新規プロジェクト獲得、新規顧客開拓に注力してまいりました。
この結果、外部顧客への売上高は、50億86百万円(前年同期比0.4%増)、セグメント損失は4億1百万円(前年同期はセグメント損失3億17百万円)となりました。
なお、当該セグメントは、前第1四半期連結会計期間にPowerbox International ABの株式取得を行い、新たに連結子会社化したことで、報告セグメントを「ヨーロッパ販売事業」から「ヨーロッパ生産販売事業」に変更しておりますが、企業結合のみなし取得日を2018年6月30日としているため、前連結会計年度において、同社の第1四半期連結会計期間の業績は含まれておりません。
④ アジア販売事業
アジアでは、中国と韓国において、顧客・販売店の在庫及び発注調整と中国経済の減速の影響によって、需要の減少が続いておりましたが、第2四半期以降に在庫調整が進んだこと、半導体製造装置関連、新型コロナウィルス対応のための医療機器関連の需要が増加しました。
このような情勢の中、ターゲット業界・顧客を絞り、新規プロジェクト獲得、新規顧客開拓に注力してまいりました。
この結果、外部顧客への売上高は、20億59百万円(前年同期比17.7%減)、セグメント利益は51百万円(同40.8%減)となりました。
⑤ 中国生産事業
中国生産事業においては、新製品の量産開始と受注増加に伴う生産能力の増強及び開発力強化のため、新工場の稼働準備を進めてまいりました。中国本土での新型コロナウイルス感染症拡大により一時的な工場操業停止の影響があったものの、中国政府指導の下、操業を開始しております。また、医療機器関連の需要拡大に伴い、生産体制の増強を実施しております。
この結果、セグメント間の内部売上高は、11億53百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は2億3百万円(同14.7%増)となりました。
財政状況につきましては、当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金、売掛債権、有価証券が増加した一方で、たな卸資産、有形固定資産及びのれん等の無形資産が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ20億4百万円減少し、422億91百万円となりました。負債の部では、買掛金、短期借入金、製品保証引当金の減少等により前連結会計年度末に比べ1億57百万円減少し、40億20百万円となりました。純資産の部では、自己株式の取得、利益剰余金及びその他の包括利益累計額の減少により前連結会計年度末に比べ18億46百万円減少し、382億71百万円となりました。この結果、自己資本比率は90.4%(前連結会計年度末は90.5%)となりました。
2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12億4百万円増加し、82億74百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、30億22百万円(前年同期比19.6%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益11億69百万円、減価償却費12億55百万円、事業再編損3億13百万円、たな卸資産の減少額5億72百万円、法人税等の支払額5億79百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、2億19百万円(前年同期は使用した資金38億25百万円)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入12億円を計上した一方で、有形固定資産の取得による支出9億8百万円があったこと等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、18億25百万円(同35.2%減)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出10億2百万円、配当金の支払額5億62百万円等によるものであります。
3)生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績、受注実績及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、ヨーロッパ生産販売事業においては、前第1四半期連結会計期間にPowerbox International ABの株式取得を行い、新たに連結子会社化したことで、報告セグメントを「ヨーロッパ販売事業」から「ヨーロッパ生産販売事業」に変更しておりますが、企業結合のみなし取得日を2018年6月30日としているため、前連結会計年度において、同社の第1四半期連結会計期間の生産実績、受注実績及び販売実績は含まれておりません。
a.生産実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年5月21日 至 2020年5月20日) | 前年同期比(%) |
日本生産販売事業(千円) | 18,030,465 | 78.6 |
北米販売事業(千円) | - | - |
ヨーロッパ生産販売事業(千円) | 3,809,075 | 97.1 |
アジア販売事業(千円) | - | - |
中国生産事業(千円) | 1,169,303 | 93.0 |
合計(千円) | 23,008,844 | 81.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価額によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高(千円) | 前年同期比 (%) |
日本生産販売事業 | 16,969,552 | 118.5 | 4,293,890 | 187.0 |
北米販売事業 | 1,681,751 | 73.2 | 527,810 | 88.8 |
ヨーロッパ生産販売事業 | 5,358,300 | 116.2 | 2,914,209 | 110.3 |
アジア販売事業 | 2,433,862 | 131.8 | 674,971 | 224.7 |
中国生産事業 | - | - | - | - |
合計 | 26,443,466 | 114.6 | 8,410,882 | 144.2 |
(注)1.金額は販売価額によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年5月21日 至 2020年5月20日) | 前年同期比(%) |
日本生産販売事業(千円) | 14,971,694 | 83.8 |
北米販売事業(千円) | 1,748,179 | 71.4 |
ヨーロッパ生産販売事業(千円) | 5,086,307 | 100.4 |
アジア販売事業(千円) | 2,059,223 | 82.3 |
中国生産事業(千円) | - | - |
合計(千円) | 23,865,405 | 85.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年5月21日 至 2019年5月20日) | 当連結会計年度 (自 2019年5月21日 至 2020年5月20日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
㈱リョーサン | 4,235,318 | 15.2 | 3,445,765 | 14.4 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成に当たりましては、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。そのため、これらの見積りについては過去の実績や状況に応じ、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りに不確実性があるため異なる場合があります。特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される判断と見積りに重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響は経済や社会、企業活動に広範な影響を及ぼず事象であり、今後の感染症拡大や収束時期、その影響の程度を合理的に予測することは困難な状況にあります。
当社グループは、感染症の影響は長期化するものと考えておりますが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を踏まえて翌連結会計年度の下期以降には、経済活動や業績が回復に向かうとの仮定に基づき見積りを行っております。
① のれん等無形固定資産の減損処理
当社グループは、減損会計の対象となるのれん、技術資産及び顧客関連資産を有しております。現状、減損損失の認識が必要な資産はありませんが、今後、市場の動向や業績の状況に基づき見積られた将来キャッシュ・フローの総額の見積りが、帳簿価額を下回った場合に、減損損失の計上が必要になる可能性があります。
なお、2018年6月に連結子会社化した Powerbox International ABの株式取得の際に計上した無形固定資産(のれん、技術資産及び顧客関連資産)合計額は35億36百万円であり、定額法により償却を行っております。これら無形固定資産の当連結会計年度末の帳簿価額合計は26億14百万円であり、今後、投資時点の計画に比べ同社の業績が低調に推移した場合、減損損失の計上が必要になる可能性があります。
② 有価証券の減損処理
当社グループは、金融機関や販売又は仕入先の株式等を保有しております。これらの株式等は株式市場等の価格変動や投資先の業績悪化等による実質価額変動のリスクを負っており、投資価値が50%以上下落した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
③ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積りにより全部又は一部が回収できないと判断した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
④ 退職給付費用
当社の従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、翌期において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
期待運用収益率と実際の結果が異なる場合、又は予定利率等前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高:238億65百万円(前期比14.4%減)、経常利益:16億36百万円(同50.3%減)、売上高経常利益率は6.9%(前期:11.8%、4.9ポイント低下)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億3百万円(同85.7%減)となりました。
① セグメント別業績
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② 売上原価、売上総利益
前連結会計年度に比べ材料費等の変動費比率が1.1ポイント上昇したことに加え、労務費の増加や生産設備の増強による減価償却費の負担もあり、売上原価率が2.1ポイント上昇しました。その結果、売上総利益率は28.1%(前期30.2%)となりました。
③ 販売費及び一般管理費、営業利益
前連結会計年度末に比べ、減価償却費及びのれん等の償却が80百万円、製品保証費が2億72百万円がそれぞれ増加した一方で、売上高減少に伴う荷造運送費の減少37百万円、人件費、その他経費の節減効果3億43百万円により、販売費及び一般管理費は28百万円減少しました。この結果、売上高営業利益率は7.0%(前期12.0%)となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、生産活動に必要となる運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるものの他、投資活動において、生産設備の増強、新製品開発等を目的とした設備投資を適宜行う予定としております。
これらの資金に対しましては、自己資本比率が90.4%と十分な資本を維持しているため、自己資金にて充当する方針であります。今後も安定した収益基盤を確立し、一層の利益追求に取り組んでまいります。
3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、長期的財務目標として、連結ROE、連結ROAが安定的に二桁を維持できる経営体質を目指しており、第8次中期経営計画において、最終年度である2019年度の数値目標値「連結売上高280億円、経常利益56億円」を掲げ、主要課題に取り組んでまいりました。
当連結会計年度(2019年度)は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症などのグローバルな経営環境変化の影響を受け、海外部品調達停滞や当社の主力業界であるFA関連業界や通信関連業界における設備投資抑制などによる売上高減少に加え、生産能力向上に向けた設備投資や Powerbox International AB の買収に伴うのれん等の償却負担などが重なり、連結売上高238億65百万円(当初計画比△14.8%)、連結経常利益16億36百万円(同△70.8%)、連結ROE 0.8%、連結ROA 3.8%と目標を大きく下回る結果となりました。
第9次中期経営計画におきましては、最終年度の2022年度に連結売上高300億円、連結営業利益45億円を目標に掲げ、連結ROE 8.0%以上、連結ROA 11.0%以上を目指し、持続的成長と企業価値向上を実現すべく経営体質の改善に取り組んでまいります。