四半期報告書-第86期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

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2022/02/10 16:10
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(1)経営成績の概況
当第3四半期連結累計期間の世界の経済情勢は、半導体等の世界的な供給不足が生産活動の制約につながりましたが、新型コロナウイルス感染症のワクチンの普及に伴う経済活動の進展や各国での景気刺激策の実施により、景気の回復が見られました。
米国では、巨額の経済対策やワクチン接種の進展により、個人消費や雇用が回復しました。一方で、中国では、電子機器等の世界的な需要拡大により輸出入の伸びは見られたものの、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大のほか、不動産業界の減速などにより、足元で経済の停滞感が強まっています。
また、新型コロナウイルス感染症の変異株の感染拡大や半導体等の供給制約の継続などもあり、世界経済の先行きは不透明な状況にあります。
当社グループが属するエレクトロニクス市場は、カーエレクトロニクス向けでは、自動車の電装化の進展や顧客による部品在庫積み増しの動きにより、前年同四半期連結累計期間比で需要が大きく増加しました。また、スマートフォン向けでは5G対応スマートフォンの増加により需要が拡大したことに加え、PC向けではリモートワーク用途などの需要が引き続き堅調に推移しました。
そのような中、当第3四半期連結累計期間の売上高は、コネクティビティモジュールや樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少しましたが、主力製品の積層セラミックコンデンサがカーエレクトロニクス向けやコンピュータ及び関連機器向けで大きく増加したことに加え、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで増加しました。また、インダクタがスマートフォン向けやコンピュータ及び関連機器向けで増加しました。その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、為替変動(前年同四半期連結累計期間比4円99銭の円安)の影響もあり、前年同四半期連結累計期間比13.0%増の1,379,461百万円となりました。
利益につきましては、生産高増加に伴い生産関連費用は増加しましたが、操業度益やコストダウン、円安効果などの増益要因により、営業利益は前年同四半期連結累計期間比40.1%増の336,028百万円、税引前四半期純利益は同43.2%増の342,867百万円、当社株主に帰属する四半期純利益は同42.0%増の250,434百万円となりました。
事業別セグメントについては、コンポーネントは売上高が1,080,140百万円(前年同四半期連結累計期間比25.4%増)で事業利益(※)が353,797百万円(同54.2%増)、モジュールは売上高が321,941百万円(同15.8%減)で事業利益が30,603百万円(同44.0%減)、その他は売上高が45,861百万円(同1.0%減)で事業利益が5,613百万円(同4.3%減)となりました。
(※)「事業利益」は売上高から事業に直接帰属する費用を控除した利益であります。
当第3四半期連結累計期間の製品別の売上高を前年同四半期連結累計期間と比較した概況は、以下のとおりであります。
[コンデンサ]
この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。
当第3四半期連結累計期間は、積層セラミックコンデンサが、リモートワークやオンライン教育の需要を背景としてPC向けで大きく増加したほか、顧客による部品在庫の積み増し需要によりカーエレクトロニクス向けで増加しました。
その結果、コンデンサの売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ29.4%増の592,327百万円となりました。
[圧電製品]
この区分には、表面波フィルタ、圧電センサ、発振子などが含まれます。
当第3四半期連結累計期間は、表面波フィルタがスマートフォン向けやIoT機器向けで増加しました。
その結果、圧電製品の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ18.4%増の109,763百万円となりました。
[その他コンポーネント]
この区分には、リチウムイオン二次電池、インダクタ、EMI除去フィルタ、コネクタ、センサ、サーミスタなどが含まれます。
当第3四半期連結累計期間は、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで大きく増加したほか、インダクタがPCやスマートフォン向けで大きく増加しました。
その結果、その他コンポーネントの売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ23.6%増の353,114百万円となりました。
[モジュール]
この区分には、コネクティビティモジュール、高周波モジュール、樹脂多層基板、電源モジュール、多層デバイスなどが含まれます。
当第3四半期連結累計期間は、コネクティビティモジュールにおいて製品ポートフォリオ見直しによりスマートフォン向けの売上が減少したほか、樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少しました。
その結果、モジュールの売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ15.8%減の321,941百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間の用途別の売上高を前年同四半期連結累計期間と比較した概況は、以下のとおりであります。
[AV]
当第3四半期連結累計期間は、巣ごもり需要を背景にゲーム機向けで積層セラミックコンデンサが増加しました。
その結果、AV用途の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ3.0%増の56,201百万円となりました。
[通信]
当第3四半期連結累計期間は、スマートフォン向けで積層セラミックコンデンサが増加したものの、同用途向けで事業ポートフォリオ見直しによりコネクティビティモジュールが減少したほか、高周波モジュールが減少しました。
その結果、通信用途の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ4.1%減の603,085百万円となりました。
[コンピュータ及び関連機器]
当第3四半期連結累計期間は、リモートワークやオンライン教育の需要を背景にPC向けで積層セラミックコンデンサやインダクタが大きく増加しました。
その結果、コンピュータ及び関連機器用途の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ28.7%増の275,262百万円となりました。
[カーエレクトロニクス]
当第3四半期連結累計期間は、顧客による部品在庫の積み増し需要により、積層セラミックコンデンサが大きく増加したほか、EMI除去フィルタやインダクタの売上も増加しました。
その結果、カーエレクトロニクス用途の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ29.5%増の245,111百万円となりました。
[家電・その他]
当第3四半期連結累計期間は、パワーツール向けでリチウムイオン二次電池の売上が大きく増加したほか、代理店向けで積層セラミックコンデンサの売上が増加しました。
その結果、家電・その他用途の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ49.5%増の197,486百万円となりました。
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産や現金及び預金の増加により、前連結会計年度末に比べ194,970百万円増加し、2,657,231百万円となりました。負債は賞与や税金の支払いを実行したことで未払給与及び賞与や未払税金が減少したことにより前連結会計年度末に比べ13,902百万円減少し、526,714百万円となりました。資本は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ208,872百万円増加し、2,130,517百万円となりました。株主資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.2ポイント上昇の80.2%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
<営業活動によるキャッシュ・フロー>当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加が54,914百万円となりましたが、キャッシュ・フローの源泉となる四半期純利益が250,263百万円、減価償却費が115,609百万円となったことなどにより、311,749百万円のキャッシュ・インとなりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは前年同四半期連結累計期間に比べ114,013百万円の増加となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資項目の償還及び売却が24,491百万円となりましたが、生産能力増強を中心とした有形固定資産の取得による支出が115,182百万円、有価証券及び投資項目の購入が19,697百万円となったことなどにより、116,366百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは前年同四半期連結累計期間に比べ8,939百万円の増加となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが76,779百万円となったことなどにより、77,385百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは前年同四半期連結累計期間に比べ46,052百万円の減少となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の財務戦略と経営資源の配分に関する考え方及び資金調達と手許流動性の状況について重要な変更はありません。
(6)重要な会計方針及び見積
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計方針及び見積について重要な変更はありません。なお、新型コロナウイルス感染症が見積及び当該見積に用いた仮定に与える影響につきましても重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動に要した費用は、82,483百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当第3四半期連結累計期間の製品別の生産実績は、下表のとおりであります。
生産実績
(2021年4月1日~2021年12月31日)
金額(百万円)構成比(%)前年同四半期連結
累計期間比(%)
コンデンサ637,94144.043.2
圧電製品118,4218.231.0
その他コンポーネント373,84225.832.9
コンポーネント計1,130,20478.038.3
モジュール320,89122.0△20.5
1,451,095100.018.9

(注)1.金額は、販売価格で表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.以下の製品別諸表については、主たる事業である電子部品並びにその関連製品の生産、受注及び販売の実績を記載しております。
4.カーエレクトロニクス向けやPC及び関連機器向けで積層セラミックコンデンサの売上が大きく増加したことにより、コンデンサの「生産実績」が前年同四半期連結累計期間比で、大幅な増加となりました。
5.スマートフォン向けやIoT機器向けで表面波フィルタの売上が大きく増加したことにより、圧電製品の「生産実績」が前年同四半期連結累計期間比で、大幅な増加となりました。
6.パワーツール向けでリチウムイオン二次電池の売上が大きく増加したほか、スマートフォン向けでインダクタの売上が大きく増加したことにより、その他コンポーネントの「生産実績」が前年同四半期連結累計期間比で、大幅な増加となりました。
②受注実績
当第3四半期連結累計期間の製品別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。
受注高
(2021年4月1日~2021年12月31日)
受注残高
(2021年12月31日現在)
金額
(百万円)
構成比
(%)
前年同四半期連結累計期間比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
前連結会計年度末比
(%)
コンデンサ611,87542.926.3209,26643.310.3
圧電製品93,4026.5△10.326,6405.5△38.0
その他コンポーネント362,87625.512.1136,88628.47.7
コンポーネント計1,068,15374.917.1372,79277.23.6
モジュール357,35425.1△9.2109,88422.847.6
1,425,507100.09.2482,676100.011.1

(注)1.金額は、販売価格で表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.スマートフォン向けで表面波フィルタの受注残高が減少したことにより、圧電製品の「受注残高」が前連結会計年度末比で、大幅な減少となりました。
4.IoT市場向けでコネクティビティモジュールの受注残高が増加したことに加え、電源モジュールの受注残高が増加したことにより、モジュールの「受注残高」が前連結会計年度末比で、大幅な増加となりました。
③販売実績
当第3四半期連結累計期間の製品別の販売実績は、下表のとおりであります。
販売実績
(2021年4月1日~2021年12月31日)
金額(百万円)構成比(%)前年同四半期連結
累計期間比(%)
コンデンサ592,32743.029.4
圧電製品109,7638.018.4
その他コンポーネント353,11425.623.6
コンポーネント計1,055,20476.626.2
モジュール321,94123.4△15.8
1,377,145100.013.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当第3四半期連結累計期間の用途別の販売実績は、下表のとおりであります。
販売実績
(2021年4月1日~2021年12月31日)
金額(百万円)構成比(%)前年同四半期連結
累計期間比(%)
AV56,2014.13.0
通信603,08543.8△4.1
コンピュータ及び関連機器275,26220.028.7
カーエレクトロニクス245,11117.829.5
家電・その他197,48614.349.5
1,377,145100.013.0

(注)1.当社推計値に基づいております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.パワーツール向けでリチウムイオン二次電池の売上が大きく増加したほか、代理店向けで積層セラミックコンデンサの売上が大きく増加したことにより、家電・その他の「販売実績」が前年同四半期連結累計期間比で、大幅な増加となりました。