四半期報告書-第88期第3四半期(2023/10/01-2023/12/31)

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2024/02/13 15:03
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(1)経営成績の概況
当第3四半期連結累計期間の世界の経済情勢は、人手不足を背景とする賃金上昇やサプライチェーンの供給制約の解消などの要因もあり底堅い成長となりましたが、物価高と金利高による住宅市場の減速や個人消費の伸び悩みに加え、地政学的対立の強まりなどもあり、先行きの不透明感が高まりました。米国では、サービス需要の着実な回復や部資材並びに労働市場における供給制約の解消が経済を下支えしていますが、金融環境の引き締まりや資源高などによるインフレの長期化が懸念されており、景気動向に注視が必要です。また、欧州では、高インフレや高金利により内需が抑制されていることに加え、外需も低調に推移しており景気低迷が持続しています。中国では、政府主導の消費喚起策や金融緩和などにより内需を中心に持ち直しの動きが見られますが、不動産不況や輸出の弱さが継続するなど景気下押し圧力が根強く残っています。日本では、インフレ圧力の高まりによる内需の弱含みもありますが、インバウンド需要の回復により景気は緩やかに回復しています。
当社グループが属するエレクトロニクス市場の部品需要は、半導体不足の緩和による自動車生産台数の回復もありモビリティ向けが増加したほか、スマートフォン市場において部品在庫調整からの回復傾向は見られましたが、各国での物価上昇による最終消費の落ち込みにより、PCやパワーツール向けなどの用途で減少しました。
そのような中、当第3四半期連結累計期間の売上収益は、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで減少したことに加え、コネクティビティモジュールがスマートフォン向けで減少しました。また、積層セラミックコンデンサにおいては、モビリティ向けやスマートフォン向けが増加しましたが、PC、AV機器、産業機器向けが減少しました。その結果、為替変動(前年同四半期連結累計期間比6円76銭の円安)の影響はありましたが、前年同四半期連結累計期間比6.7%減の1,249,744百万円となりました。
利益につきましては、コストダウンや円安効果、固定費の減少などの増益要因はありましたが、操業度の低下や製品価格の値下がりといった減益要因により、営業利益は前年同四半期連結累計期間比22.9%減の215,119百万円、税引前四半期利益は同20.2%減の225,434百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同18.0%減の174,512百万円となりました。
事業別セグメントについては、コンポーネントは売上収益が706,896百万円(前年同四半期連結累計期間比2.6%減)で営業利益が178,759百万円(同25.0%減)、デバイス・モジュールは売上収益が541,501百万円(同11.6%減)で営業利益が40,835百万円(同3.2%減)、その他は売上収益が47,765百万円(同12.8%減)で営業損失4,475百万円(前年同四半期連結累計期間は営業損失1,532百万円)となりました。
当第3四半期連結累計期間の事業別セグメントの売上収益を前年同四半期連結累計期間と比較した概況は、以下のとおりであります。
[コンデンサ]
この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。
当第3四半期連結累計期間は、積層セラミックコンデンサがモビリティやスマートフォン向けで増加しましたが、PC、AV機器、産業機器向けで減少しました。
その結果、コンデンサの売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ2.5%減の564,553百万円となりました。
[インダクタ・EMIフィルタ]
この区分には、インダクタ、EMI除去フィルタが含まれます。
当第3四半期連結累計期間は、インダクタやEMI除去フィルタがモビリティ向けで増加しましたが、インダクタがPCやAV機器向けで減少しました。
その結果、インダクタ・EMIフィルタの売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ2.3%減の135,417百万円となりました。
[高周波・通信]
この区分には、コネクティビティモジュール、樹脂多層基板、高周波モジュール、表面波フィルタなどが含まれます。
当第3四半期連結累計期間は、表面波フィルタや高周波モジュールがスマートフォン向けで増加しましたが、コネクティビティモジュールがスマートフォン向けで減少しました。
その結果、高周波・通信の売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ6.4%減の346,558百万円となりました。
[エナジー・パワー]
この区分には、リチウムイオン二次電池、電源モジュールが含まれます。
当第3四半期連結累計期間は、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで減少しました。
その結果、エナジー・パワーの売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ25.0%減の127,693百万円となりました。
[機能デバイス]
この区分には、センサ、タイミングデバイスなどが含まれます。
当第3四半期連結累計期間は、センサがモビリティ向けで増加しましたが、センサやタイミングデバイスがコンピュータやスマートフォン向けを中心に幅広い用途で減少しました。
その結果、機能デバイスの売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ6.4%減の67,239百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間の用途別の売上収益を前年同四半期連結累計期間と比較した概況は、以下のとおりであります。
[通信]
当第3四半期連結累計期間は、スマートフォン向けではコネクティビティモジュールが減少しましたが、表面波フィルタ、積層セラミックコンデンサ、高周波モジュールが増加しました。一方、基地局向けでは積層セラミックコンデンサが減少しました。
その結果、通信用途の売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ1.8%減の527,297百万円となりました。
[モビリティ]
当第3四半期連結累計期間は、自動車の生産台数の増加や電動化・電装化への対応により、積層セラミックコンデンサ、インダクタ、センサが増加しました。
その結果、モビリティ用途の売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ10.5%増の323,328百万円となりました。
[コンピュータ]
当第3四半期連結累計期間は、PC向けでコネクティビティモジュールや積層セラミックコンデンサが減少しました。
その結果、コンピュータ用途の売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ19.6%減の148,112百万円となりました。
[家電]
当第3四半期連結累計期間は、パワーツール向けでリチウムイオン二次電池が減少したほか、AV機器向けで積層セラミックコンデンサが減少しました。
その結果、家電用途の売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ27.6%減の115,003百万円となりました。
[産業・その他]
当第3四半期連結累計期間は、産業機器や代理店向けで積層セラミックコンデンサが減少しました。
その結果、産業・その他用途の売上収益は前年同四半期連結累計期間に比べ18.5%減の136,004百万円となりました。
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、棚卸資産が減少しましたが、現金及び現金同等物や有形固定資産、営業債権が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ129,753百万円増加し、2,988,056百万円となりました。
負債合計は、リース負債が増加しましたが、その他の金融負債や営業債務が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,727百万円減少し、496,634百万円となりました。
資本合計は、利益剰余金やその他の資本の構成要素が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ131,480百万円増加し、2,491,422百万円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ0.8ポイント上昇の83.4%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
<営業活動によるキャッシュ・フロー>当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、325,969百万円のキャッシュ・イン(前年同四半期連結累計期間比139,984百万円の収入増加)となりました。
これは、キャッシュ・フローの源泉となる四半期利益が174,217百万円、減価償却費及び償却費が131,086百万円、棚卸資産の減少が71,564百万円となったことなどによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、171,178百万円のキャッシュ・アウト(前年同四半期連結累計期間比71,728百万円の支出増加)となりました。
これは、投資の売却及び償還による収入が15,642百万円となった一方、生産能力増強や生産棟の建設を中心とした有形固定資産の取得による支出が185,730百万円となったことなどによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、102,705百万円のキャッシュ・アウト(前年同四半期連結累計期間比77,752百万円の支出減少)となりました。
これは、配当金の支払額が94,460百万円となったことなどによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の財務戦略と経営資源の配分に関する考え方及び資金調達と手許流動性の状況について重要な変更はありません。
(6)重要性がある会計方針及び見積り
当社グループでは、当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の第1四半期連結会計期間よりIFRSを初めて適用しております。当第3四半期連結累計期間において、当社グループにおいて重要性があると認識している会計方針及び見積りは、要約四半期連結財務諸表注記の「3.重要性がある会計方針」および「4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(7)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動に要した費用は、99,798百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当第3四半期連結累計期間のセグメント別の生産実績は、下表のとおりであります。
生産実績
(2023年4月1日~2023年12月31日)
金額(百万円)構成比(%)前年同四半期連結
累計期間比(%)
コンデンサ500,20644.5△20.9
インダクタ・EMIフィルタ121,66010.8△15.8
コンポーネント621,86655.3△20.0
高周波・通信317,77428.3△16.3
エナジー・パワー107,8759.6△47.1
機能デバイス66,8115.9△10.2
デバイス・モジュール492,46043.8△25.2
その他9,5360.9△1.7
1,123,862100.0△22.2

(注)1.金額は、販売価格で表示しております。
2.エナジー・パワーの「生産実績」は、パワーツール向けでリチウムイオン二次電池の需要が減少したことにより、前年同四半期連結累計期間比で大幅な減少となりました。
②受注実績
当第3四半期連結累計期間のセグメント別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。
受注高
(2023年4月1日~2023年12月31日)
受注残高
(2023年12月31日現在)
金額
(百万円)
構成比
(%)
前年同四半期連結累計期間比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
前連結会計年度末比
(%)
コンデンサ558,35146.510.2129,66644.7△4.6
インダクタ・EMIフィルタ132,99811.19.126,5049.1△8.4
コンポーネント691,34957.610.0156,17053.8△5.2
高周波・通信333,60627.8△0.757,25319.7△18.4
エナジー・パワー106,1248.8△29.955,81919.2△27.9
機能デバイス62,1245.2△8.516,6695.9△23.5
デバイス・モジュール501,85441.8△9.6129,74144.8△23.4
その他6,8190.6△4.54,1251.4△26.2
1,200,022100.00.8290,036100.0△14.6

(注)金額は、販売価格で表示しております。
③販売実績
当第3四半期連結累計期間のセグメント別の販売実績は、下表のとおりであります。
販売実績
(2023年4月1日~2023年12月31日)
金額(百万円)構成比(%)前年同四半期連結
累計期間比(%)
コンデンサ564,55345.2△2.5
インダクタ・EMIフィルタ135,41710.8△2.3
コンポーネント699,97056.0△2.5
高周波・通信346,55827.7△6.4
エナジー・パワー127,69310.2△25.0
機能デバイス67,2395.4△6.4
デバイス・モジュール541,49043.3△11.6
その他8,2840.7△7.3
1,249,744100.0△6.7

当第3四半期連結累計期間の用途別の販売実績は、下表のとおりであります。
販売実績
(2023年4月1日~2023年12月31日)
金額(百万円)構成比(%)前年同四半期連結
累計期間比(%)
通信527,29742.2△1.8
モビリティ323,32825.910.5
コンピュータ148,11211.8△19.6
家電115,0039.2△27.6
産業・その他136,00410.9△18.5
1,249,744100.0△6.7

(注)当社推計値に基づいております。